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ワーグナーの「ニーベルングの指環」を簡単に楽しく味わうなら この二枚:ダーリントンの管弦楽版とカラヤンのハイライト版


ワグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813-1883)の楽劇「ニーベルングの指環」を通しでDVDで見ると15時間くらいかかり、以前インプレしていますが実に疲れます。もちろん楽しいですが。
それをを簡単に、でも充実して楽しむ二つのアルバムですね。

 ① ジョナサン・ダーリントン指揮の管弦楽曲版
 ② カラヤンの全曲版からのハイライト版





ダーリントン/デュースブルク管の持ち味と合致するので、スケールの大きな演奏を楽しめます。このセットは個人的お薦めで、前回インプレに続いての紹介ですね。

Jonathan Darlington / Duisburger PO


特徴は声楽なしの管弦楽曲という事ですね。いくつかの編曲者版がありますが、このフリードマン・ドレスラー(Friedemann Dreßler)の管弦楽曲版 93'弱、CD2枚組です。それが短いのか長いのか、と言う事になるとヘンク・デ・ヴリーガー(Henk de Vlieger)版の60'に比べると聴き応えがあると思いますね。

内容的には、ラインゴールド13'はまだ良いとしてもジークフリートを12'と短くしているのが少々物足りない感じです。ワルキューレが27'はバランス良く、神々の黄昏が41'というのは長い感じですね。(Siegfried's Memory of Brunnhilde 辺りとかカットして、もう少し短くしてもいいような......)

ラインゴールドでは第一場と第四場、と言った様に単純にシーン割りをしている訳ではありません。でもヴォータンとブリュンヒルデの永遠の別れからローゲの炎のシーン、ラストのジークフリートの葬送行進曲からブリュンヒルデの自己犠牲などは その展開感が伝わり、思わずグッとくる感じがします。
ストーリーを知っていれば、楽曲名は独語・英語で書いてあるのですぐにイメージが掴めます。






CD1枚で気軽に楽しむにはカラヤン指揮/ベルリンフィル(BPO)でハイライト版を聴きます。こちらは声楽パートメインで、傑作の呼び声も高いかの全曲版からのハイライト集になります。

Herbert von Karajan / BPO


ここでもラインゴールドは第四場から抜粋で短め、ジークフリートは第二・三幕からでやや短め。そして神々の黄昏ワルキューレはバランス良くチョイスされて時間も多めですね。不自然に切れるパートがあるのは目を瞑りましょうw

なんと言っても歌手陣の豪華さも見逃せません。ストーリーさえわかっていれば、シーンが蘇りますね。国内廉価盤で、ストーリー展開から歌詞まで入っていますから、初めて手にするのにも良いですね。





この曲は歌無しではキツイといつも思っていましたが、組曲的構成で管弦楽版でも流れよく聴けました。もちろんカラヤン で歌唱パートを中心に置いて楽しむなら、いつでもシーンが浮かぶ楽しさが味わえます。
いずれにしても"指環"が気楽に楽しめるオススメの嬉しいアルバムです。

とは言え、いずれ全編15時間を出来れば映像付き(DVDやBD)で一度は楽しんでおきたいですよね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ダーリントン/デュースブルク管で聴く Jollivet, Ravel, Debussy

例によってkokotonPAPAお薦めのJonathan Darlington指揮 / Duisburger Philharmonic Orch. のセット。これはフランス音楽の三人、年代順にドビュッシー、ラヴェル、ジョリヴェ のピアノ曲です。

◇アンドレ・ジョリヴェ(André Jolivet, 1905/8/8 - 1974/12/20) の「 ピアノ協奏曲(1950年)」は、戦闘的な打楽器的展開の無調の concert です。多分に師であるヴァレーズ色を感じますね。勿論好きな一曲です。ピアノの Pascal Gallet も強健的で、第二楽章に顔を出す「怒りの日」変奏モチーフ?もピッタリです。この二楽章がバリエーション豊かで素晴らしいですね。ドビュッシーの様な風合いも瞬間的に顔を出します。
そして とにかく強鍵(狂鍵?)の似合う楽曲です。もちろんデュースブルク管の打楽器群も強力に協奏しています。この曲を聴くためだけに購入して十分です。

◇ラヴェルの「夜のガスパール(Gaspard de la nuit)」は、編曲が好きではありません。オリジナルのピアノ曲の素晴らしさが感じられません。ノーコメントです。

◇ドビュッシー(Claude Achille Debussy, 1862/8/22 - 1918/3/25) のピアノ曲「喜びの島(L'Isle Joyeuse)」は、作曲者監修の元、イタリア人指揮者モリナーリ(Bernardino Molinari)が編曲した公認?オーケストラ版です。
こちらは色彩豊なドビュッシーらしさが生きる展開です。7'ちょっとの小曲ですが、万華鏡を覗いた様なキラメく音の変化です。もう少しだけボンヤリとした演奏でも良いかもしれませんが、ダーリントン/デュースブルクらしい輪郭の明瞭なそれも決して悪くありませんね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





Stenhammar の Serenade を聴く

スウェーデンのヴィルヘルム・ステーンハンマル(Carl Wilhelm Eugen Stenhammar, 1871/2/7 - 1927/11/20)の転換期の作品になりますね。以前も紹介しましたが、この頃から後期ロマン派からの脱却が始まります。と言っても、北欧系の調性感のある音楽で所謂現代音楽ではありませんね。

セレナード Op.31 は6曲からなる楽曲です。曲調は後期ロマン派ですが、冷たさと広がりを感じられるいかにも北欧系の管弦楽曲です。北欧ですとフィンランド系の調性感の薄い現代音楽が最高ですが、こういった音もお気に入りです。^^v

一楽章のOvertureは自由なソナタ形式で、独特なテンポが.......などと 難しい事を考えずにゆっくりゆったりと流すのがいいですよね。

おなじみネーメ・ヤルヴィ指揮、エーテボリ交響楽団による演奏です。ちなみにニ代目の首席指揮者がステーンハンマル、ヤルヴィは十一代目になりますね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 190CD聴き比べです [#6 : 86-100]


残念ながらマゼール(ボストン響)の5月来日が中止になってマーラー第5番のライブを聴けなくなってしまいました。でも、フィルハーモニア管とのマーラー第5番(2011年)が新しくCDで出たので、既出のマゼール盤・他と聴き比べしてみました。

【後日記】二ヶ月後の7月13日に亡くなりました。前回#5アバド追悼に続き残念な事です。R.I.P. Maazel

今回15CD、これでマーラー5番の聴き比べもやっと 100CD まで来ました。まだありますねぇ。


Mahler Symphony No.5 -- 190 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル[x2], ドホナーニ, 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, マーツァル[x2], シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD 本投稿
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:20CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト, エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス, スターン, デプリースト, ワルター[☆], ミトロプーロス[㊟], ケンペ, ロスバウト, パレー[㊟], ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ルドルフ・シュワルツ
 #12:20CD
カーチュン・ウォン, クルンプ, バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ズィロウ・チャン, フックス, フロマン, ブリッグス(オルガン), トレンクナー&シュパイデル(ピアノDuo), ミヒャエル・ナナサコフ(ピアノDuo), ナタリア(アンサンブル), ホルスト=シンフォニエッタ(アンサンブル)




ロリン・マゼール, Lorin Maazel (3録音)

10歳を前にニューヨークフィルとフィラデルフィア管を指揮する天才ぶりを発揮したマゼール。数々の有名オケの首席指揮者等を歴任しましたね。この曲については非正規盤も多々出ていますが、オフィシャル3CDのインプレです。



(#1)
Wiener Philharmoniker
[Sony] 1982-9/30,10/4


ウィーン国立歌劇場の総監督(1982–1984)に就任した年のウィーンフィル(VPO)とマゼールのマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はスローで妙な揺さぶりを入れて長〜く感じます。第一トリオはテンポアップでキレキレの流れを見せますね。奇妙なコントラストを感じます。主題回帰はクセの強いスローに戻って、第二トリオは流れの良い哀愁になっていますね。クセのある主要主題と標準的なトリオをセットとしている様です。
第二楽章も第一主題は切れ味はいいのですがまとまりが今ひとつ、第二主題は標準的なテンポで哀愁感は薄めです。展開部も何か緊張感に欠ける感じが残ります。

【第二部】
スケルツォ主題は音のヌケが悪くシャキッとしません。レントラー主題もほどほどの印象しか残りません。第三主題も極平凡で、オブリガートhrもきっちり鳴らしますが惹かれるものが薄いです。展開部に若干の刺激はありましたが、最後まで魅力的パートが見当たりませんでした。

【第三部】
第四楽章主部は速めで入って甘美さを上げて、中間部も濃い目に情感を奏でますね。クレンペラーが嫌うサロンミュージックっぽいかもしれません。
第五楽章二つの主題のフーガの絡みもコデッタ主題も標準的、何か緊張感にも欠ける様な… 展開部もモワモワっと進んで、再現部の山場からコーダではまとめます。フィニッシュのアッチェレランドは弱めですが。


風変わりのスローと平凡さのマーラー5です。演奏はVPOですから悪いわけもなく、録音が特に足を引っ張っている事もないのですが…

魅力を感じられないのは、駄耳の証明でしょうかw






(#2)
New York Philharmonic
[New York Philharmonic] 2003-9


(DL版になります。CDがあるかは不明です)

VPOから21年後、音楽監督(2002-2009)時代の手兵ニューヨークフィルとのマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はスローでVPOと同じ様なクセものの流れを見せます。第一トリオで一転シャープさに切替るのも同じ方向性です。21年経っても変わらないのは凄いですね。第二トリオの哀愁も同様に心地よさですね。
第二楽章第一主題はまとまりが見られる様になって、第二主題は哀愁感を抑えるのは同じですが、少し速めになっていますね。展開部第二主題変奏は極端にスローに。第二楽章で見晴らしの改善?は見られますが、基本的には21年前をトレースした第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はやや速く、ここでもシャキッとしないのはhrの音色のせいでしょうか?! レントラー主題もほどほどの印象ですね。オブリガートhrはミスは無いのですがヌケの良さが弱いです。第三主題スローも凡庸ですね。その後も奇妙なアゴーギクを入れたりしますが、それでもVPOに比べるとシャープで見晴らしの良さを感じます。

【第三部】
第四楽章主部はテンポが標準的になって甘美さも抑えられ、今の時代のアダージェットらしくなって来ました。
第五楽章序奏の管楽器掛け合いから第一・第二主題はスローに入ってテンポアップして行きます。コデッタ主題も優美さを取り戻し、スッキリとした流れになりました。展開部も安心して山場まで聴けますね。再現部山場からコーダは雄大、フィニッシュのアッチェレランドはやっぱり弱めでした。


スローのクセと揺さぶりがここでも健在のマーラー5です。シャープさが増して平凡さが回避され、21年前のVPOよりも見晴らしは良くなりましたね。

第三部は安心ですが、第一・第二部は素直な流れとは言いづらく何かしっくりと来ないのは残念です。






(#3)
The Philharmonia Orchestra
[signum] 2011-5/5


(左は第4, 5, 6番のセット、右は全集です)

N.Y.P.から8年後、3年前にフィルハーモニア管弦楽団を振ったマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はスローでフィットしない揺らぎを入れます、結局最後までそれは譲れなかった様ですね。そして第一トリオも一転シャープで、第二トリオの穏やかな哀愁も、途中で入れる奇妙な揺さぶりも同じです。
第二楽章第一主題は切れ味よく、第二主題の哀愁が控え目なのも、展開部第二主題回帰のスロー静も、全て同じ。進歩のない長く同じ様な流れのままの第一部です。録音が良くなって聴き易くはなりましたが。

【第二部】
スケルツォ主題もやや速めで何かモヤッと、レントラー主題のほどほど加減もトレースされます。オケが変わってもよくここまで同じパターンで出来ると思います。第三主題スロー具合も、コーダのアゴーギク奇妙な揺さぶりも基本は変わりません

【第三部】
アダージェットはN.Y.P.と同じで甘美を避けたクールさですね。
第五楽章二つの主題がスロー主体になっていてコデッタもスロー、ここではベターっとスローの流れに変わっています。せっかくN.Y.P.で良い流れになったのが悪化していますね。展開部スローの中でディナーミクも含めて揺さぶって混沌気味。再現部もその混迷の流れで進みますが、山場からコーダは壮大、フィニッシュのアッチェレランドはやっぱり抑え気味でした。


約30年間同じ流れのままという驚きのマーラー5です。第三部(最終楽章)だけは今回も変化させていますが、スロー悪化を拭えない様な…

中止になったコンサートですが、同じ流れだったと推測できてしまいますね。オケは変わろうとマゼール不動!!ですね。





アントン・ナヌート, Anton Nanut

Radio Symphony Orchestra Ljubljana
[Master Classic] 1997-10/23


(所有盤とは異なります)

幽霊指揮者?で有名なナヌートが音楽監督(1981年-1998年)を務めたスロヴェニア放送交響楽団, RTV Slovenia SO(リューブリャーナ放送交響楽団)を振ったマラ5です。
【後日記】2017年1月13日に亡くなりました


【第一部】
葬送行進曲は重さを控えた流れでややフラットに、第一トリオも適度な激しさとテンポアップで標準的ですね。第二トリオの哀愁は軽めでテンポもやや速め。重さ控えめの第一楽章です。
第二楽章第一主題は速め軽量、第二主題は第一楽章第二トリオの再現ですがスローにしていますね。展開部はアゴーギクで両主題を差別化していますが落差は小さいです。標準的であっさり気味の第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は抑え気味で速め、オブリガートホルンがやや怪しげです。レントラー主題も速いので落ち着きません。アゴーギクで揺さぶってはいるのですが。第三主題もスローのhrが落ち着きません。展開部は締めて来ますが、あっという間に再現部に。速めで三つの主題を並べますが、演奏が今ひとつ。コーダも力感はありませんね。

【第三部】
アダージェット主部はモヤモヤっとした静スローの流れです。録音も??? 中間部はもっと透明感が欲しいですね。
第五楽章第一主題は速く、第二主題の弦はもつれ気味に絡んで速い流れです。怪しげなhrの後、コデッタ主題も速いです。落ち着きませんね。展開部もその延長線上から山場は盛大に、再現部も三つの主題を荒れ気味に進めてラストからコーダはなんとか派手にまとめます。


速くてあっさりスカスカしたマーラー5番です。最後までスルスルッと流れしまう感じで、オケも少々怪しげです。

何か一つ気持ちの入った処を聴きたかった感じですね。

 以下の様に幽霊ですw (Kaplan Foundation より)
 ・本録音で10枚以上の異なるレーベルで出ています。
 ・録音年は不明の様です。(本データは所有CD記載より)
 ・誤った他人名義でも数枚CD化されています。(Incorrectly Identified)





ユーリ・テミルカーノフ, Yuri Temirkanov

Saint Petersburg Philharmonic Orchestra
[Water Lily Acoustics] 2003-9/20,22


テミルカーノフがムラヴィンスキー死去の後を継ぎ1988年から音楽監督を務めるサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(サンクトペテルブルク交響楽団ではありません)によるマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はスローで鬱が漂う流れですが重苦しさはありません。第一トリオはテンポを上げますが激しさは回避、第二トリオは静で優美に入って哀愁は弱めです。
第二楽章第一主題はテンポを速めに刺激を上げているのですが音が前に出てきません。これは録音の問題でしょうね。第二主題は穏やかな哀愁を感じます。展開部の二つの主題のコントラストは上手いですね。録音が足を引っ張って緩やかスローでモワッと聴こえる第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はクセのない優美さで、レントラー主題は特徴的な揺さぶりを入れて穏やかに。第三主題はhrを朗々と鳴らしますね。ただ録音の問題でオケがこもって遠く聴こえます。これは気持ちよく聴くのが難しいレベルです。

【第三部】
第四楽章主部は緩いアゴーギクで静的、感情を抑えた流れです。中間部も澄んだ美しさで、クールなアダージェットですね。
第五楽章は二つの主題をテンポ良く絡ませて行きます。コデッタ主題は軽快優美ですね。展開部は速めのテンポ設定で進んで山場は派手に鳴らします。少しアゴーギクの揺さぶりもありますね。再現部ラストからコーダは爆速からのアッチェレランドです。


ほんわりモワッと聴こえるマーラー5です。犯人は録音だと思います。音が前に出てきませんね。咳もよく聞こえ正規録音とは思えません。

録音が良かったと想像すると、上手いアゴーギクで 静の美と烈のシャープさが明確な流れだったと感じます。金管が怪しげかどうかは微妙ですが…w





オトマール・スウィトナー, Otmar Suitner

Staatskapelle Berlin
[Deutsche Schallplatten] 1984-9/24,25、12/10-13


日本でもお馴染みだったスウィトナーが名門 ベルリン国立歌劇場のカペルマイスター時代のマーラー5です。


【第一部】
主要主題は静的な葬送行進曲で徹底的に押さえ、導入句は唸らせます。第一トリオではいきなりの快速にテンポアップ、重さは控えめですが強烈です。回帰する主題では妙なリズム付けをします。第二トリオは細くて奇妙な哀愁ですが、そこからクレシェンドし速め朗々と鳴らして来ます。
第二楽章第一主題は超特急で強烈に飛ばしますが、第二主題でスローで美しい哀愁に急変化、強烈ですね。再現部も陰影が強いです。シェルヘン先生が降臨?! 立派なクセモノの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は標準的に、レントラー主題はやや速めで揺さぶりながらも柔らかく優美ですね。オブリガートHrはやや詰まり気味です。スローの第三主題ではいっそう気になりますね。展開部は平凡、ホルツクラッパーを使っていませんね。再現部も主題の演奏にまとまりがない処にHrが詰まって入るので少しがっかり。第一部の変則的な流れが消えて見晴らしが悪くなってしまいました

【第三部】
アダージェット主部は生ぬるい流れでモワッと落ち着きませんが、中間部は繊細さが感じられます。
第五楽章第一・第二主題の絡みは緩やかに、コデッタ主題は優美です。ただ今ひとつ締まりに欠ける感じ。展開部はその延長線上にあって、山場の揺さぶりも気になりますね。再現部は管楽器が暴れながら入って興味深い変則の流れが復活、まとまり良くハイテンポで進み、ラストからコーダでは爆走します。残念!! 時すでに遅し


第一部の変則で期待をしたら、第二・三部で平凡になってしまう残念なマーラー5です。管楽器が今ひとつ、オブリガート・ホルンも足を引っ張りましたね。

一二楽章のアクの強い流れではの期待があったのですが…





上岡敏之, Toshiyuki Kamioka

Sinfonieorchester Wuppertal
[DENON] 2010-6/27,28


上岡敏之さんが首席指揮者(2004-2010)を務めたヴッパータール交響楽団とのマーラー5です。


【第一部】
スロー澄んだ音色で入るファンファーレ、葬送行進曲は抑え気味でスローサイドにアゴーギクを振ります。第一トリオはやや速めでシャープ、第二トリオは僅かに入れたリズムが特徴的ですね。
第二楽章第一主題はは速めで第一楽章との連携を強調する感じに、第二主題(第一楽章第二トリオから)はスローの哀愁です。展開部は第一主題回帰の力強さ、極端に静スロー化させた第二主題、その落差が強烈です。極端にスローに振ったパートの孤立感が気になる第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は標準的に優美、レントラー主題も緩やか優雅になっていますね。第三主題も極標準的でhrも朗々と見事です。展開部もクセは見当たらず、再現部も三つの主題を正攻法に再現しています。教科書の様な第一部のクセは皆無となった第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は緩く大きなスパンのアゴーギク、中間部から主部回帰は極端な静スローを持ってきます。この超スロー静が上岡マーラー5なのでしょう。
第五楽章第一・第二主題は正攻法的に絡んで、コデッタ主題も約束通りに軽快に美しいですね。展開部・再現部もアゴーギクを程よく付けて進み、山場を大きく捉えるとコーダは華やかに、フィニッシュはアッチェレランドで締めくくります。快感がありますね。大きなアプローズです。


静スローアゴーギクの第一部が個性的なマーラー5です。第三・第五楽章は教科書的で、極端な静スローが孤立してしまいました。

演奏も録音も悪くなく、"クセもの"と言うほどの個性でもなく、微妙な立ち位置を感じるかもしれません。





井上喜惟, Yoshihisa Inoue

Japan Gustav Mahler Orchestra
[JMO] 2004-7/24


これぞ最難関のCDですね。設立者で音楽監督の井上喜惟さんと仲間?のアマオケ、ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラのマーラー5です。マーラーを演奏する事を主として、国際マーラー協会から承認を受けているそうです。

ラインホルト・クビック(Reinhold Kubik)による2002年版最新校訂稿を取り上げていますが、これは国際マーラー協会による批判全集版(Kritische Neuausgabe)による第一弾で、総譜とパート譜の不整合等を修正してありS.ラトルがオブリガート・ホルンを別に分けた事でも知られますね。


【第一部】
いきなりファンファーレの金管が怪しげですが、葬送行進曲は低く構えて統一された流れです。第一トリオはマイルドな流れから締めてきますが、tpやTubaが自信なさげな音を… 第二トリオは薄い印象の音色で弱々しいです。tpはダメですね。
第二楽章第一主題は標準的なテンポですが締まりが無くゆるゆるです。第二主題も自信なさげなスローで、哀愁を奏でる余裕はありませんね。展開部も弱々しい流れに崩れる管楽器は変わりません。ラスト管楽器はまともに鳴りません。自信欠如の弦楽と金管崩壊の第一部で, 特にtpは悲惨の一言です。

【第二部】
スケルツォ主題のオブリガート・ホルンは余裕ゼロでメタメタ、他の楽器も含めてスケルツォになりません。弦楽のレントラー主題も全くまとまりがありません。この後の管楽器の酷さには目を覆います。残念ですが、このレベルでは厄介な第三楽章を成立させるのは無理としか思えません。展開部の超スロー揺さぶりは無意味ですしコーダは悲惨です。

【第三部】
第四楽章は弦楽ですから静的な平和な流れにホッとしますね。実際にはゆるゆると流れているだけとわかってしまいますが。途中で何かを落とす大きな音がします。方向性は静的で好みですね。
第五楽章は序奏でhrがオオコケ、第一・第二主題は心地よくリズミカルに…と、やりたい事はわかるのですがボロボロで, hr/tpを中心に如何せん音になりません

いくらアマチュアとは言え管楽器は酷すぎます。これ以上酷い演奏のCDは勿論持っていませんし、コンサートでも出合った事がありません(実は第6番はこれほどではないのですが…)


演奏レベルから行けばアウト、鑑賞レベルに達しません。あえて言えば、指揮者と共有した気持ち(流れ/方向性)は感じるかもしれません。

論外なのですが、ある意味 究極の恐ろしいマーラー5かも
覗いてみたいですか?! 今ならまだ入手可能ですw





西本智実, Tomomi Nishimoto

Royal Philharmonic Orchestra
[KING] 2009-9/21,22


大阪出身の人気指揮者 西本智実さんがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー5、サントリーホールでのライヴですね。


【第一部】
気になる揺さぶりのファンファーレ、葬送行進曲はベタ〜っとした流れに感じますね。第一トリオは約束通りのテンポアップと激しさです。回帰する葬送はやはり間延び感が強いですね。第二トリオは繊細な哀愁になり、最後は揺さぶってtpに渡します。
第二楽章第一主題は速くて切れ味の流れです。第二主題は表情薄めの哀愁で、落差をつけるのはgoodですが今ひとつフィットしない感じです。展開部・再現部も明確に静・動・スロー・ファストを組みますが一体感に欠けますね

【第二部】
スケルツォ主題は速めで優美さは弱いですね。ここでもレントラー主題は揺さぶりのあるスローです。やっぱりコントラストを付けたいのかな、っていう感じです。第三主題はもちろんスロー濃厚に引っ張ります。展開部以降も気になるのはスローでの間延び感と、現れるといきなり速いスケルツォ主題の違和感でしょうか。

【第三部】
アダージェット主部は微妙な揺らぎを感じる暖色系の穏やかさです。中間部ではvnがしゃくる様な微妙なアゴーギクを使い個性を付けて来ますね。主部回帰はもっそりスロー、素直には作らないゾと言う作為を感じます。
第五楽章第一・第二主題はやたら速く不自然、コデッタ主題は少し優美にするのはアダージェット中間部引用の強調でしょうか。とにかく全体爆速,ラストは爆裂です。
とんでもないフラブラもこの演奏にはピッタリかも!?


違和感が払拭できない個性派マーラー5です。揺さぶりも挟んで、スローの緩さとファストの烈の強烈なパート差別化です。

何を狙ったクセモノ演奏なのでしょう。個性派はいつも大歓迎ですが、"何か違う"感じです。





リボル・ペシェック, Libor Pešek

Czech National Symphony Orchestra
[Victor] 2007-3/1-4


チェコユニット、2007年から首席指揮者を務めるペシェックとチェコ・ナショナル交響楽団のマーラー5です。


【第一部】
程よい流れの葬送行進曲に導入句のファンファーレが明瞭です。第一トリオもスカッとしてメリハリある流れになっていますね。ラストでチューバ がコケますが。第二トリオの哀愁もクドさは避けて朗々と鳴らします。
第二楽章第一主題の切れ味は第一主題の延長を暗示して、第二主題も第一楽章第二トリオの動機回帰的になります。展開部の両主題も明るさと程よい陰鬱さのバランスが上手いですね。再現部ラストのコラールも爽快、明瞭でスッキリした第一部です

【第二部】
スケルツォ主題は明るく晴れやかな舞踏曲に、レントラー主題では上品な優美さに切り替えますが舞う様なリズムが上手いですね。オブリガートhrとtpは少々怪しげですが、第三主題もスロー静の哀愁を奏でます。展開部からはアゴーギクを使って少し揺さぶりを入れコントラストがイイですね。再現部第一主題回帰からはテンポを上げて、コーダは快速です。金管は気になりますが、出し入れで聴かせる第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は今の時代のアダージェットで濃厚さは避けています。中間部も透明感のある美しさで好みですね。
第五楽章の二つの主題はリズム良く明快なフーガの流れを作り、反復で厚みを増してコデッタ主題は優美です。hrは怪しいものの展開部は延長線上に進んで山場は晴れ晴れ。再現部一体感を見せながら山場を大きく鳴らしコーダも快感です。フィニッシュのアッチェレランドが弱かったのは残念。


明瞭・明解なスッキリしたマーラー5です。管楽器が処々で危なっかしいのですが、全体像は"明るく真っ直ぐ"な気配で統一されています。

気持ち良さが伝わり、何か+αがあったら応援したくなる作品になった気がしますね。





ネーメ・ヤルヴィ, Neeme Järvi

Scottish National Orchestra*
[Chandos] 1989-10/23,24


ネーメ・ヤルヴィが首席指揮者(1984–1988)を退任した翌年のスコティッシュ・ナショナル管を振ったマーラー5です。(*現:Royal Scottish National Orchestra)


【第一部】
鳴りの良いファンファーレから第一主題は静粛の印象を強く、とても良い流れを感じます。第一トリオは朗々と鳴らしてテンポアップは適度に抑えていますね。悠々の繋がり感が効果的で、第二トリオでも静的に哀愁を奏でてコントラストを付けています。
第二楽章第一主題はテンポを速めて切れ味鋭い流れ、第一楽章の延長とは異なる事を宣言しているかの様です。第二主題では極端な哀愁は避けて、上手い対比ですね。展開部・再現部の主題変奏もコントロールが効いています。心地良い流れを感じる第一部になっています。

【第二部】
スケルツォ主題は若干スローで少し揺さぶりを入れて、レントラー主題はスロー優美でコントラストが素晴らしいですね。第三主題も柔らかく、聴かせ処のオブリガートhrも安心して楽しめます。再現部の各主題も明瞭に心地良く、hrが響く第三主題回帰からのコーダはシンプルながら華々しいです。アゴーギクをスローに振って18分あるのですが、長さを感じさせません

【第三部】
第四楽章主部の澄んだ静けさは抑えが効いて静寂に佇むごとく、好きなパターンです。中間部は繊細さから情感を増して行きますね。父ヤルヴィらしからぬ静粛性のアダージェットです!
第五楽章第一・第二主題の管と弦は小気味よく軽快に、反復後のコデッタ主題も約束通りの軽妙感を奏でます。王道的ですね。展開部は力感を加えて進み、山場へはテンポアップです。再現部はコデッタもリズムを効かせ 山場を華々しく鳴らして、コーダはビシッとアッチェレランドを効かせます。


明瞭な流れを作る意図と演奏がマッチした気持ちの良いマーラー5です。良くドライヴして、良く鳴る、まさに父ヤルヴィらしい表現ですね。(極端な緩急も得意ですがw)

スコティッシュ・ナショナル管もそれに応え、Chandosのナチュラルな録音の良さも一役買っているのではないでしょうか。心地良いマーラー5をお望みの貴方にはです!





ゲルト・アルブレヒト, Gerd Albrecht

Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
[EXTON] 2003-1/22,23


おなじみのアルブレヒトが読響の常任指揮者時代(1998-2007)のマーラー5ですね。


【第一部】
華やかなファンファーレから主要主題は静的葬送行進になります。導入句は華やかでコントラストが明瞭です。第一トリオは約束通りのテンポアップと派手さ、第二トリオもクセを付けずに程よい哀愁を奏でます。
第二楽章 第一主題は標準的な刺激で流して第一楽章との関連性を示して、第二トリオの哀愁に繋げていますね。第一部としての統一感があります。適度なディナーミクで主流派的な第一部です。何か+αが欲しい気がしますね。

【第二部】
スケルツォ主題は聴き馴染んだ優美さ、レントラー主題も適度な優雅さです。第三主題も上手い鎮め方で、hrも鳴りを上手くコントロールしていますね。展開部・再現部もこれと言った個性を振る事はありません

【第三部】
第四楽章主部は緩やかに僅かなアゴーギク、中間部でも変化は弱めでソロvnの音が浮いて気になります。ラストだけやたらと濃く、不思議なアダージェットですね。
第五楽章 第一・第二主題は標準的なテンポで絡んで、コデッタ主題の印象は弱いです。展開部・再現部の山場は鳴りが大きいのですが、コーダは興奮を避けていますね。この曲はここが聴かせどころのはずですが??!!


主流的とみるか没個性的とみるか、そこがポイントのマーラー5です。オケの鳴りも悪くなく、揺さぶりも適度で悪くなく、突飛な事もなく、全て悪く無いのですが、ここと言う魅力が見つかりません

副指揮者の事前リハ?魂注入前? 読響とはマーラー9(1997年)で緊張感ある素晴らしい演奏を残しているのですが…





イヴァン・フィッシャー, Iván Fischer

Budapest Festival Orchestra
[Channel Classics] 2012-9


ブタペスト生まれの指揮者イヴァン・フィッシャーが創設者で音楽監督のブダペスト祝祭管弦楽団。ハンガリー・ユニットによるマーラー5です。


【第一部】
派手なファンファーレから葬送行進曲は低弦の刻むリズムを利かせてクールな流れです。第一トリオは鳴りの良さを前面に押し出します。管楽器群もそれに応えますね。第二トリオは薄く繊細な哀愁で入って優美さを経てクライマックスへ。見晴らしの良い第一楽章です。
第二楽章第一主題は落ち着いていますが、ややスローで切れ味に欠ける感じです。第二主題は緩やかな哀愁になっていますね。展開部からもスローのパートが増えて間延び感が気になります。せっかくの鳴りの良さが残念ですね。

【第二部】
スケルツォ主題はややスローで持て余し気味に感じます。オブリガートhrも気になります。レントラー主題は同じテンポなのでチェンジ効果は薄めになりますね。主部回帰からの変装はテンポを上げて締まりが戻りますが、第三主題はスローで引っ張るパターンからピチカートも超スロー。緩みが気になります。流れは取り戻せずスローの個性的アゴーギクが裏目に出てしまった第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は甘美ではありませんが、揺らぎを強めた流れです。個性的アダージェットでちょっと"変"かな…中間部はppの流れでクセはありませんね。
第五楽章二つの主題はクセのあるリズムを刻んでややスローの変則パターンです。フィットしずらい変化球を投じて来た感じです。緩いスロー間延び感で進み、締まり欠如に感じてしまいます。


爽快で見晴らしの良い第一楽章が聴き処のマーラー5です。その後は個性的スロー軸足の流れになるのですが、アンマッチ・間延び感が支配して残念ですね。

速めのパートはキレと鳴りが素晴らしいので、そちらに軸足を置いて欲しかったです。





堤俊作, Shunsaku Tsutsumi

The Shun-Yu-Kai Orchestra
[俊友会] 1993-1/31

shunyukai-mahler5.jpg
(アマチュア自主制作盤なのでamazonにはありませんね)

桐朋学園の齋藤秀雄門下生で 東京シティフィル創設者の故:堤俊作さんが、1983年に結成したアマチュア・オケ「俊友会管弦楽団」を振ったマーラー5ですね。


【第一部】
静かに落ち着いた主要主題葬送行進曲、ファンファーレは高らかです。第一トリオはテンポアップ、切れ味もありますが極標準的です。第二トリオは少し速めですが哀愁感がありますね。
第二楽章第一主題は適度に暴れて良い感じに、第二主題は第一楽章同様に哀愁ですがややフラット。展開部・再現部の緩急の緩は締まりに欠けますが強音パートはビシッときます。

【第二部】
スケルツォ主題はやや間延び感、レントラー主題でも締まりが不足気味です。第三主題の主役Hrは、Tpと合わせて厳しいですね。展開部で元気さが戻り、再現部も元気なパートは聴けますね。

【第三部】
アダージェットは静的にクールですがどこか締まりに欠けます。中間部の情感も同様です。
最終楽章は第一主題と第二主題を頑張って絡め上げて行きますが、コデッタあたりは辛くなりますね。展開部と再現部二つの山場からコーダは見事、ラストはアッチェレランドをビシッと決めました。


緩さはあるものの正攻法で通したマーラー5です。第三楽章の様なパートはやっぱり厳しいですが、強音パートはしっかりした演奏で大きな破綻もありません。

弦を含めて各楽器が全体に緩いのはアマオケですから仕方ありませんが、録音にも要因の一端があるかもしれません。(有名オケだったら締まりに欠ける"ぬるま湯"的ですが)





ハイコ・マティアス・フェルスター, Heiko Mathias Förster

Neue Philharmonie Westfalen
[Solo-musica] 2010-5,6,7


ドイツ人指揮者フェルスターが音楽監督時代(2007-2014)の独のノイエ・ヴェストファーレン管弦楽団を振ったマーラー5ですね。


第一部
ファンファーレのtpが少し怪しげ、主要主題はスローでややあっさりですが山場はかなり刺激的です。第一トリオは適度に上げて多少荒れて悪くありません。第二トリオは少し速めですね。
第二楽章第一主題はまとまりは今ひとつですがインパクトのある強音を響かせます。第二主題は第一楽章第二トリオの再現です。展開部と再現部も聴き処は強音での切れのあるパートでしょう、それ以外はもっさり風かも。

第二部
スケルツォ主題は軽妙で優美、レントラー主題も落ち着いた流れです。第三主題も悪くありませんが各主題の動機以外のパート、展開部と再現部に一体感がありません。コーダは華々しいです。

第三部
アダージェットは薄く静かに、山場も抑え気味に中間部を締めて甘美を避けた薄味シンプルな流れです。
最終楽章提示部は二つの主題がテンポ良く絡んで進みますが、コデッタは落ち着きませんし山場も荒れ気味です。でも派手なコーダからフィニッシュはアッチェレランド効かせて締めました。


全体のまとまりに弱さを感じるマーラー5です。強音パートの刺激と切れ味は楽しめるのですが、オケの力量も含めて見晴らしの良さが欲しかったですね。

実は強音パートも、暴れるから面白い と言うだけ…?!







まだまだあります。でも中にはもっととんでもない数を所有している方がいらっしゃるようなので、こんなもんならまだ良いか?と言う事にして、ボチボチと続けましょう。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





Pettersson:Vox Humana、Rosenberg:The Shepherd Of Days (Dagdrivaren) を聴く

スウェーデンの現代音楽家二人の声楽曲になりますね。CDには英文訳の歌詞が入っています。

アラン・ペッテション(Gustav Allan Pettersson, 1911/9/19 - 1980/6/20)の Vox Humana [人の声] は1974年の作で、ソロイスト・コーラス・オケの組合せで三部構成になっています。ペッテションの声楽を含む唯一の交響曲 第12番の一ヶ月後に書かれていますね。同じ Pablo Neruda の詩 The Great Joy が Vox Humana のpart.3にも採用されています。part.1はラテンアメリカのワークソング、part.2はアメリカ先住民の詩を元にしていますね。単純な歓喜の歌に回帰するわけではありません。
曲調はペッテションの陰重的な交響曲とは一味違って古典的、宗教的、また現代的と変化に富んでいます。その分平凡な出来で、今ひとつです。

ヒルディング・ルーセンベリ(Hilding Rosenberg, 1892/6/21 - 1985/5/18)の The Shepherd Of Days (Dagdrivaren) は1963年に書かれたバリトンとオーケストラの曲で、詩は Sven Alfons の Ängelens bild (Portrait of an Angel) です。
曲調は調性感が薄く、バリトンとオケの流れが 単純な歓喜の表現ではない Alfons の詩と相俟っています。こちらの方が良いですね。歌詞と合わせて聴くのは必須です。

基本的に現代音楽の声楽は好きなのですが、ペッテションは少々期待はずれです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ワンポイント・レコーディングと通常CD、コンサートの差:『インバル/都響のマーラー第5番』で

コンサートで聴いた演奏と後日発売になったCDの印象が異なる事ってありますよね。今回コンサートに行ったインバル/都響のマーラー第5番で通常録音盤とワンポイント録音盤(EXTON 2013-1/19,20,22)が出たのでインプレしてみました。

InbalTMSOMahler_No5.jpg


実際のコンサート (2013年1月20日 東京芸術劇場) での感じ方は、その時のブログ『2013年1月20日 インバル=都響のマーラー第5番』に書きました。

CDは演奏ではなく、マイク位置採取の録音データです。録音場所・機材・エンジニア・プロデューサー? 、と言った介在があります。従って似て非なるものになります。

意図を持って、ありえませんが、悪いバランスで悪演にする事は簡単に出来てしまいます。また、コンサートでの視覚的効果も忘れてはいけませんし、録音データ再生側も装置・環境・音量 という条件がありますね。

とは言え、全部コンサートで聴くのは非現実的、聴けたとしても一度きり。残念ですが、録音はそれはそれとして欠かせないと言う事ですよね。それが一歩でも会場に近づけば、嬉しい事に違いありません。現に小さい頃に聴いたSP盤に比べたら格段の進歩に違いありませんから。





【CDインプレ】
上記コンサートのインプレと読み比べて下さい。(お暇があればw)


 重厚になり過ぎず適度なテンポで進む第一楽章の第一主題、第二主題も切り替わりでアップテンポを感じるものの通すと緩やかな流れです。出来過ぎの感が強く、弾けるものがないような。ややフラットなのかな。
第二楽章は一楽章第二主題に優雅さを加えた様な展開ですね。そもそも第一部として一体の楽章ですから、その意図通りの演奏でしょう。
第三楽章スケルツォは細かい音のパートとフルオケのバランスの良い演奏です。ここではアゴーギクを振って来るのですが、この展開はあまり好みではありませんね。第一部に比べて、構成を付けて変化を作り込んだ感じです。この楽章にインバルのマーラー5番の意図が現れている気がします。
アダージェットは例によってやや速めにして、ラストの山場を意識する程度であっさり系ですね。
アタッカで繋がる第五楽章は、スローで穏やかな入りからすぐにテンポを上げて行きます。楽曲の特徴を生かしてコーダへの期待を感じさせてくれます。この楽章の構成は好きですね。ラスト2分は素晴らしいですね。コンサートを思い出しました。
音は良く、インバルの声がすごく良く聴こえたりします。(笑)





【ワンポイント録音インプレ】
★コンサートと通常録音、そしてワンポイント録音の違いです。


標準録音の後、ワンポイント録音(両者SACDハイブリッド)を聴いて驚いたのは音場の広がり感ですね。コンサートホールにこちらの方が近い感じです。個々の楽器の音のバランスは通常録音の方がいいのですが、そこがコンサートとの違いですね

良いコンサートホールではホール全体で音を聴けるのですが、それに近い感じです。楽器の配置の感もそれなりに感じられます。ティンパニやtpはやや奥に感じますね。(ホールでp席で聴けば逆になりますがw)
個人的にはオーディオ的に聴く事は嫌いですが、こういう技術でCDでコンサートと近い演奏が楽しめる様になるのは大歓迎です。


次に出るインバル/都響のマーラー第9番にもワンポイント録音盤が出る様でしたら、迷わずにそちらを購入するつもりです。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





Josef Matthias Hauer の Violin Concerto, Apokalyptische & Romantische Phantasie を聴く

ヨーゼフ・マティアス・ハウアー(Josef Matthias Hauer, 1883/3/19 - 1959/9/22)と言えば、同じオーストリアのシェーンベルクよりも先に十二音技法を確立したとして有名ですかね。いずれ罵りあいになるのですが...
以前も紹介していますね。このCDは Symphonic Works と題されて初期から後期に渡る楽曲が並んでいるので楽しめます。

一曲目の管弦楽曲「黙示録幻想曲」(Apokalyptische Phantasie)Op.5 は1913年の初期の作品です。音数の少ない暗い展開で調性から大きく外れる事はありません。
二曲目の管弦楽曲「ロマンティック幻想曲」(Romantische Phantasie)Op.37は1925年の作品でハウアーの最盛期の作品になります。曲調は一曲目と似て、低音を重視したスローで暗いテーマをベースに展開し、調性感は薄く良い展開です。この二曲はペッテションをスマートにした感じとでも言うと良いでしょうか。この年代の楽曲は十二音技法である「44のトローペの理論」を元にしていると言われています。
三曲目の管弦楽曲「組曲第7番」(VII. Suite)Op.48 は初演を、あのシェルヘンが指揮していますね。1926年の作で5つの小曲です。トローペの感が強い無調の作品です。この順番で聴いてくると変化がとても良くわかります。曲調は単純化し、一定の拍子で展開されています。そう言う意味ではミニマル的な感じですね。
四曲目は三楽章のヴァイオリン協奏曲(Violinkonzert)Op.54です。無調ですが旋律は存在しているので聴き易いです。三曲目の延長にある楽風ですね。Thomas Christianのvnも細く鋭い音色で好きなパターンです。
五曲目は1957年作の晩年の作品「管弦楽の為の12音の戯れ」(Zwölftonspiele für Orchester)の二曲で、作品番号はありませんが、オペラ「黒い蜘蛛」と並ぶ代表作ですね。

お気に入りの一枚です。




テーマ : 現代音楽
ジャンル : 音楽





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