アイスラーのドイツ交響曲を聴く

ハンス・アイスラー (Hanns Eisler, 1898/7/6 - 1962/9/6) はドイツの現代音楽家です。シェーンベルクの新ウィーン学派から離れて、政治的な音楽家として東ドイツの国家も作曲していますね。

このドイツ交響曲(Deutsche Sinfonie, 1939年)は、デッカから退廃音楽シリーズ(Entartete Musik)として出ていた一枚です。

調性に幅のある音楽です。全体的に調性感は薄いのですが、所々で思い切り古典的なffパートが出現したりします。歌曲パートでは、言葉を明確に伝えようとする傾向が顕著です。
曲調は重苦しさを主体にした展開で、「反ファシズム抵抗カンタータ」という呼び名にふさわしい感じがしますね。実は歌詞がその様な内容なのです。
PraludiumからEpilogまで11楽章にわたる歌詞(3, 6, 10楽章には歌詞はありません)を見ながら曲を聴くと、この音楽の楽しさを感じられなくなってしまいます。各楽章名もドイツ語では良くわかりませんが、英語になるとわかります。当時の政治色の強い音楽です。
その手の世界がお好きな方の音楽かもしれません。標題音楽の一つの例かもしれませんね。

Lothar Zagrosek 指揮、Gewandhausorchester Liepzig の演奏です。
アイスラーの見た目がロジェヴェンに似ていると思うのは私だけ?




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

イッサーリスのチェロで「ドヴォルザークのチェロ協奏曲」を聴く

チェロ協奏曲と言えば ドヴォルジャーク「チェロ協奏曲ロ短調 Op.104」、そして組合せが気になるこのアルバム。チェロはSteven Isserlis、指揮Daniel Harding、Mahler Chamber O、そしてhyperionレーベル。これは聴いてみる価値がありそうです。
第一楽章、まず出だしからオケの切れ味が素晴らしいですね。そして入ってくるイッサーリスの飛切り気合いの入ったチェロ。もちろん、アゴーギクを巧く効かせてワンパターンを避けています。情熱的と言うよりも迫力の演奏です。デュ・プレを思い出しましたね。
第二楽章は緩徐パートとのメリハリが強く演奏され、楽曲への思い入れが伝わる様な緊迫感があります。
第三楽章も切れ味ある演奏が続きます。イメージを今ひとつ掴めないハーディングなのですが、ここの指揮では良い緊張感を維持していますね。
コンパクトで迫力の作品、好みの別れる演奏でしょう。イッサーリスの息づかいが聴こえるほどの臨場感。個人的にはとても面白いです。

カップリングには、第二三楽章に使われた歌曲 Lasst Mich Allein Op.82/1 と Original ending、その他に作品番号の無い初期のチェロ協奏曲「イ長調 (A major)」が入っています。




テーマ : クラシック
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サッリネンの Barabbas Dialogues を聴く

以前 Symphonies 1 & 7 を紹介したフィンランドの現代音楽家アウリス・サッリネン(Aulis Sallinen、1935/4/9 - ) の歌曲、バラバの対話 Op.84 (5人の歌手、ナレーターと7人の奏者のための) です。The Naantali Music Festival の為に2002, 2003年に書かれた作品です。
現代音楽の歌曲で、Dialogue(対話)となるとだいたいは想像が付くのではないでしょうか。しかし以前も書きましたが、完全なる無調ではありせんから大丈夫。(笑)
調性は薄いのですが残っており、シュプレッヒゲザングではなく歌唱なので微妙な歌曲になりますが、大きな違和感は無いと思いますね。所々でナレーターのトーキングが入ります。
歌詞がフィンランド語なのでさっぱり...ですが、英訳があるので助かります。キリスト教の復活祭に基づく内容は人間の内的世界を表しています。
ナレーターを含め6人の対話で、七楽章形式になります。演奏はピアノ、アコーディオン、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、パーカッション、の7楽器です。この演奏はスリリングですね。
現代音楽の歌曲を聴いてみるには、取っ付き易い作品だと思います。





テーマ : クラシック
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2013年11月15日 ソヒエフ指揮のN響 と ベレゾフスキーのピアノ ★

若手指揮者ソヒエフと人気ピアニストのベレゾフスキーのコンサートがHNKホールでありました。オケはもちろんHNK交響楽団です。
当然なのですが、そうそういつも良い演奏に出会える訳もないですね。今回は少々残念な結果でした。
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ボロディンの「中央アジアの草原で」は長閑(のどか)で好きですね。弦楽器のピチカートがとても良い感じで響きます。でも8分程度の短い曲なのであっという間に終わって、可もなし不可もなしですかね。

今回の見所ベレゾフスキーのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」は、超有名曲。エキゾチックな楽曲ですが、ベレゾフスキーのピアノに冴えが見られませんでした。席の位置も関係しているかもしれませんが、軽々こなすベレゾフスキーのピアノにシャープさが見られません。オケがそれなりだとしても主役が引き立たないと….。
もともとベレゾフスキーのピアノが、それほど好きでもないと言う処にも聴く側の問題があったかも。(汗)

メインディッシュ、プロコフィエフの「交響曲 第5番」は好きな楽曲ですね。クールな主題が楽章毎に並ぶこの曲のポイントは、各楽器のパートが明瞭に分かれて見晴らしの良い展開です。残念ながら、演奏は渾然としてモヤモヤ。第二楽章の途中までは良い感じに思えましたが。

全体的に興味の薄いコンサートになりました。まぁ、あまり書く事もありません。
しかし現場では、ラフマニノフとプロコフィエフはブラボーと大拍手喝采。kokotonPAPAの好みでなかっただけなのか、はたまた駄耳の証明か。(笑)



テーマ : クラシック
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バルビローリのマーラー交響曲第6番 4CD聴き比べ

Mahler Symphony No.6 として癖のある代表の一つですね。おまけに似た年代の演奏が4つ残っているのも バルビローリ(John Barbirolli) の面白い処です。基本的にスローで重厚な演奏ですね。個人的にはDarlingtonやZinmanの様なクールな演奏の方が好みではありますが。

特に面白いのは楽章の並びの変化。ライブ録音では、第二楽章にAndante、第三楽章にScherzoを持ってくる少数派なのですが、途中のEMIスタジオ録音では逆になります。それもこの短期間で変えて、また戻すのも不思議。

◆BPO [TESTAMENT] 1966-1/13 Live =mono=
 超スローなスタートを切る第一楽章です。しかし、その後はペースを戻してアゴーギクを振ってきます。途中の第一主題はかなりのハイピッチですね。この辺りからすでにバルビローリ節です。第二楽章に入る緩徐楽章Andanteもこの演奏には合いますね。極端に叙情的にならずに冷静な展開です。その分だけややフラットな印象が強いですね。
第三楽章はあたかも第一楽章の復活の様な演奏になります。第一楽章に比べるとアゴーギクは緩めですね。そして第四楽章は重厚です。アゴーギク、ディナーミクともに強めに振っています。ハンマーは2発です。濃厚にして切れ味のある演奏です。この解釈はありですね。
BPOとBarbirolliと言うと どうしても9番が浮かびますが、こういう濃い演奏は将にBPOの真骨頂。相性抜群です。録音がデジタルリマスタリングでもしてくれたら嬉しいですね。TESTAMENTじゃ無理かな。
個人的には4枚の中で一番好きです。




◆New Philharmonia Orchestra [TESTAMENT] 1967-8/16
 ロイヤル・アルバートホールでのライヴです。三枚のライヴ盤の中では録音状態も良いですね。
第一楽章はスローなスタートからペースを戻して行きます。BPOとの様な独特のアゴーギクといった癖の強さは影を潜めます。第二楽章Andanteは、やや叙情的な演奏に変化して来ます。中途半端な感がなきにしもあらずですが。第三楽章Scherzoは特徴的なものは薄くなっています。第四楽章の独特な揺らし方もやや薄めになりますが、それでもシャープな演奏ですね。
各楽章の演奏時間は上のBPO盤とほぼ同じなのですが、変化の大きさに驚きます。平凡な演奏になってしまった気もしますね。




◆New Philharmonia Orchestra [EMI] 1967-8
 例によって第一楽章は超スローのスタート。全体としてゆっくり目で、アゴーギクの振り方がやや緩やかです。とは言え大きなうねりとコーダへ向けては迫力があります。第二楽章には標準的にScherzoを持って来ています。流れは一楽章と同じで、延長線上にありますね。でもこの並びで変化の無い解釈では個人的に間延び感がします。
第三楽章に配されたAndanteはいっそう叙情的にスロー、長いです。一二楽章の類似性に対して大きなギャップを感じてしまいます。第四楽章もスロー。雄大というよりも間延びです。
とにかくスローで長く83分、録音は一番まともなのですが異常です。好みは分かれるでしょう。

ちなみに録音が1967年8月という事になると上記同オケとのLiveの同月にスタジオ録音した事になりますね。演奏時間(83分、他3CDは 74分前後)といい、楽章の入れ替えといい、不思議過ぎです。




◆New Philharmonia Orchestra [ARKADIA] 1969-1/22 =mono=
 第一楽章は、スタートは相変わらずですが、その後は常軌を逸した感は薄くなっています。第二楽章Andanteはエモーショナルな演奏になっていますね。第一楽章との繋がりなら、やっぱりこの方がシックリくる気がします。
第三楽章は軽めになっていますね。第四楽章も全体的に大人し目、とはいうものの雄大です。終盤で妙なアゴーギクを振っているのは流石はバルビローリでしょうか。
全体的に特徴は薄く、美ささえ感じる様な演奏になっています。これはフィルハーもニア管のキャラかもしれませんね。基本的には '67年のTESTAMENT盤と似た傾向になります。
イタリアのARKADIA盤(HINT盤でも出ていましたね)で、録音は劣悪なので特にこれを探してまで聴く必要は無いかもしれません。



来日を果たせなかった指揮者バルビローリ。'70年の大阪万博に初来日の予定がありましたが、直前に急逝しています。



その他指揮者でマーラー交響曲第6番の聴き比べを始めました。

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #2回 40CDまで)
 #2: 20CD
 #1: 16CD
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ (本投稿)



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レントヘンの Symphonies 8 & 15 を聴く

ドイツ人でオランダに帰化したユリウス・レントヘン(Julius Röntgen, 1855/5/9 – 1932/9/13 レントゲンとも)です。後期ロマン派から無調への変遷をみせてくれます。声楽曲や室内楽が多いのは本人がピアニストとして活躍していた事もあるかもしれません。ここでは例に寄って交響曲をまずは聴きます。

交響曲第8番は、後期ロマン派の香りが強い一楽章形式です。特徴的に感じられる部分はありませんが穏やかで優美な楽曲になり、部屋でかけておいても良いかもしれません。レントヘンらしく途中でソプラノのヴォカリーズ (Vocalise)が入ります。
交響曲第15番は1931年の作品で、第8番と一年違いです。レントヘンは晩年に積極的な作曲活動をしていた事がよくわかりますね。曲調は後期ロマン派ながらメリハリのある展開となり、四楽章形式になっています。こちらの方が聴き易いでしょうか。

北欧的でイングランド辺りの民謡の趣を感じてしまいます。
特徴的に突出したものはありませんね。とても平和で聴き易い展開です。少々緩いと言うか、退屈ですが.....
演奏はデヴィッド・ポルセライン指揮、NDR放送交響楽団になります。





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オペラ:モーツァルトの「魔笛」をフェリシティ・ロットとキャスリーン・バトルで

先月の三連休のドン・ジョバンニ(3DVD)に続いてモーツァルトのオペラをもう一つ楽しみました。お馴染み”魔笛”ですね。これも個人的にはあまり盛り上がりません。フリーメーソンに興味でもあればもっと楽しめたかも?(笑)

◆ハイティンク:フェリシティ・ロット 1978年 グラインドボーン音楽祭 演出:ジョン・コックス
やっぱりフェリシティ・ロットのパミーナですね。当り役ですから素晴らしいソプラノです。この作品の一番の見所ですね。後は役どころが良いパパゲーノのアリア「娘か可愛い女房が一人」が、グロッケンシュピールの音と相まって魔笛の魅力の一つですね。
魅力と言えばコロラトゥーラの夜の女王、残念ですがちょっとキツかったかな。
なぜか出演者が観客に背中を見せるシーンが多いのは不思議な演出です。ロット以外は、それほど面白みがある訳でもないかも。演出は原作の指示とおり「ラムセスの時代」っぽいスタンダードです。




◆レヴァイン:キャスリーン・バトル 1991-11 メトロポリタン歌劇場 演出:グース・モスタート
 ちょっと古いですが、メトですね。何と言ってもパパゲーノ役のマンフレート・ヘムですよね。役どころが良いのと当然としても、この人だけで十分楽しめました。アリアと、パパゲーナとのデュエット、パパパパ...はこの作品一番の見せ所でした。後は当たり前ですがやっぱり夜の女王の第一幕・第二幕のアリアでしょうか。バトルのパミーナの印象は薄いですね。ちなみに3人の童子はボーイソプラノが採用されています。
舞台は基本的に上のジョン・コックスと殆ど同じでしたね。近年の演出の様な独自解釈が無いので安心して楽しめます。この作品は当たり前の事が楽しめればkokotonPAPA的には十分です^^ゞ



なにはともあれ、連休にゆっくりと楽しめるのは最高の一時ですね。



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リードホルムの Greetings from an Old World 他を聴く

スウェーデンの現代音楽家イングヴァル・リードホルム(Ingvar Natanael Lidholm, 1921/2/24 - )の管弦楽曲集です。ブロムダール(Karl-Birger Blomdahl)の月曜の会に所属していました。スタイルは無調・セリエルですが、初期作品はストラヴィンスキーやヒンデミットの影響があると言われています。ちなみにカール=ビリエル・ブロムダールはここでも何回か紹介していますが、kokotonPAPAの好きな作曲家の一人ですね。
無調・十二音技法と言っても実験的な音楽ではなく、あくまで技法であり曲調の広がりにつながっていると感じます。

 Greetings from an Old World (1976年) は中期の作品で、調性はありません。でも旋律は残り、流れを感じられる作品ですね。出番は薄いですがチェロがフィーチャーされていて、カデンツァ的な扱いが引き立ちます。ここでも異常な音を並べる訳ではなく、チェロソロのイメージです。
 Toccata e Canto (1944) は初期作品です。Toccata はストラヴィンスキーのバレエ音楽に近いですね。調性感を少しだけ削るとこの曲になるといった風でしょうか。楽しい一曲です。2曲目 Cantoは、調性が残る弦楽曲で北欧の風景を感じさせてくれます。と言っても行った事は無いので個人的なイメージですが...(汗) とても美しい一曲ですね。
 Kontakion (1978) が代表作の一つでしょう。Greeting from....と同年代の作品で作風は近いですが、弦楽器の展開がスリリングです。中盤は管と打、そして後半ではフルオケの展開になり、全てに緊張感があります。コンサートで聴きたいですね。
 1954年の作品 Ritornell で無調・十二音技法の展開が明確になっています。大編成オケによる初めての作品にもなります。その後のリドホルムの音楽の流れがこの辺りで出来上がったのでしょうね。

ロジェストヴェンスキー指揮 ロイヤル・ストックホルムSOの演奏は素晴らしいです。代表作のPoesis (1963) が収録されてはいませんが、それはまた今度。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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