クラウディオ・アバド80歳、幻の来日公演 2013年10月17日

今月予定されていたクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団の来日公演。Claudio Abbado 80歳、そして何と言ってもルツェルンとの来日でしたが、健康上の理由で中止となってしまいました。
予定されていた演目は、シューベルトの「未完成」とブルックナーの「交響曲第9番」。そうヴァント最後の来日公演と同じ。行きたかったなぁ.....
アバド幻の来日2013年10月 abbado02.jpg

【後日記】
この3ヶ月後の2014年1月20日にボローニャで逝去されました。RIP ABBADO.










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ジャンル : 音楽

2013年10月27日 ラザレフ/日本フィルのマーラー第9番 at 東京芸術劇場 ★★☆

台風一過、秋晴れの池袋へ。ロシア人作曲家を得意とする指揮者ラザレフ(Alexander Lazarev)がマーラーをどう振ってくれるかを楽しみに行って来ました。
東京芸術劇場 ラザレフ マーラー第9番 東京芸術劇場 ラザレフ マーラー第9番

結果は評価の別れる演奏だったかもしれません。でも、kokotonPAPA的には良かったですよ。^ ^
一曲目、16分程度の短い チャイコの”ロココ風の主題による変奏曲”は、あまり得意な曲ではありません。とりあえず古いですがBendron(cello), Ansermet指揮, Suisse Romande Orch.で聴いてから行きました。
しかし遥に上回りましたね。チェロ、横坂 源さんがエモーショナルな響きを効かせた演奏をしてくれました。カデンツァくらいかな、なんて思っていたのですが何の何の。ただ、パワー不足や技巧パートではテク的に音の切れがイマイチだったりしましたが、それよりも曲の流れが出来た事の方が上回りましたね。★★ですね。
日本フィルハーモニー交響楽団も、ラザレフも満足感を表していました。

そしてメインのマーラー交響曲第9番。一二楽章は不安と興奮。三四楽章は見事と言ってイイと思いますね。この曲は狂気か興奮が必要と思っていますが、それを感じさせてすれました。
全体的に速いのですが、特に一二楽章は入りから速い! そしてアゴーギクを振って来ます。ffパートは速く暴れ気味で好みですが、静音パートは今ひとつ。その強音パートも管楽器、特に木管が抜けた音を発してしまい、アレっ??っいう感じ。
三楽章も管楽器が音を外し気味で入りましたが、その後は静音パートも纏りを見せて良い流れを作ります。コーダは素晴らしく、四楽章の弦楽パートから、消えいるエンディングまで惹きつけてくれました。
エンディングは音が消えてもホールの余韻を保たせるかの様にラザレフもタクトを下ろさず無音の世界を創りあげました。このラストのpppは緊張感が漂いましたね。
個人的には一二楽章は★☆、三四楽章は★★☆。
期待していたより楽しませてもらいました。



テーマ : クラシック
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ノルドグレンの Nine Kwaidan Ballads を聴く

kokotonPAPAの好きなフィンランドの現代音楽家ペール・ヘンリク・ノルドグレン(Pehr Henrik Nordgren, 1944/1/19 - 2008/8/25)のピアノ曲「小泉八雲の怪談によるバラード」です。無調の作品になりますが旋律が残されているので、広がりのある楽曲になります。
1. O-tei (お貞)
2. Yuki-ona (雪女)
3. Mugen-kane (無間鐘)
4. Oshidori (おしどり)
5. Mujina (むじな)
6. Rokuro-kubi (ろくろ首)
7. Mimi-nashi-Hoichi (耳なし芳一)
8. Jikininki (食人鬼)
9. Ju-roku-zakura (十六桜)
と言う怪談話が元になっていますが、特に日本的な旋律と言う事はありません。
ノルドグレンは東京芸大でも学んでいますので、日本にゆかりがあるからこそのアルバムですね。このピアノの単音を生かした楽曲は実に素晴らしいです。シンプルにして大きな広がりを感じますね。お気に入りの一枚です。

演奏はフィンランド在住の日本人ピアニスト、舘野泉さん。左手のピアニストですね。(このアルバムは1990年録音で両手です)
今更説明は不要ですね。完璧なコラボです。




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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 70CD聴き比べ! [#2 / CD:11-30]

前回のMahler Symphony No.9 の聴き較べはバーンスタインのイスラエル響盤が出た時に10CDの聴き較べをしてみました。
今回は10月27日(日)のラザレフ指揮日本フィルのコンサートを前に聴き比べです。
【後日記】▶︎ コンサートのインプレ  ▶︎ 同CDのインプレ
とりあえず今回は20CD。これで30CD。9番は5番と違い枚数は少なめですからボチボチ行こうかとw

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#5回 70CDまで)
 #5:20CD
 #4:10CD
 #3:10CD
 #2:20CD 本投稿
 #1:10CD



ヘルベルト・フォン・カラヤン, Herbert von Karajan (4録音)
前回はバーンスタインをメインにしたので、もう一方の雄カラヤンから紹介します。実はここに凄い演奏が隠れています。オケは全てベルリンフィル(BPO)です。


(#1)
Berliner Philharmoniker
[DG] 1981年
カラヤン得意のセッションからですね。
 美しく壮大に入る第一楽章。第一主題の流麗さは素晴らしいが起伏は緩やか。第二楽章、第三楽章も激しい中にも柔らかく美しいタクトを振ります。第四楽章は最もスタンスがマッチしていて、基本スタンスは美しさ。ただ、第四楽章のラストはもっと静音弱音でお願いしたかったかな。
・・・・・
これが好きなマラ9かと言われると疑問ですが、それは別にしてBPOの弦楽の美しさと素晴らしさを再認識する事となりました。
現在リリース中のCDはシェーンベルクの”浄夜”とのカップリング。これを聴けばシェーンベルクの初期の後期ロマン派作品がいかにマーラーに影響されているか明白。マーラーがシェーンベルクを擁護していたのは有名な話ですからね。




(#2)

Berliner Philharmoniker
[DG] 1982-9/1
セッション盤とは大きく異なるKarajanのライブです。
・・・・・
指揮者と演奏者が集中して作り上げたセッションの素晴らしさはそれはそれですが、ライブにはそれを後押しするオーディエンスがいますよね。それがまざまざとわかるのがこの演奏。その緊迫感から情熱と高揚が生き生きと現れた9番。
一点の曇りも無く無機的美なカラヤンではなく、躍動美の華やかさとでも言うべきか。荒れる部分は無いのは、カラヤンらしさ。


《実はこの年1982年、カラヤンBPOはこの他に2回の同曲演奏があります。これがあまりにも違うので驚きな事は有名な話。以下がその2演奏会の非正規ライブ盤です》



(#3)
(★)☆
Berliner Philharmoniker
[sardana] 1982-5/1

これは本当にカラヤン? とにかく荒れるBPO。生々しく生き物の様なBPOの迫真の演奏。この曲には何かが潜んでいるのではないか、と思わせるほどに荒れます。第一楽章第一主題からいきなりのパワーが漲る演奏で始まり、そのペースは終始変わりません。特に第四楽章での演奏はハラハラものと言って良い感じ。しかし、荒っぽいだけかと言われれば そうではない。弱音パートなどはカラヤンの美しさそのもの。
強音になるととにかく竜乱する。演奏終了時は一息あって拍手、そしてその後にブラボーの嵐となります。
・・・・・
ゲネプロと本番だけ振ると言った様な緊張感をBPOに持たせたのでしょうか。これは凄い演奏です

興奮した演奏が良いかは別として、演奏会に通えばその手の演奏になかなか巡り会えないのは事実であり、巡り会えた時の感動は忘れられないですね。演奏者も演奏後に互いに握手を交わし、その演奏の充実ぶりは見てもわかる。個人的にはそんなコンサートが好き。音楽とともに感激も感じたいですよね。




(#4)
Berliner Philharmoniker
[saradana] 1982-8/27

同5/1に較べると、うって変わっておとなしい演奏に終始します。DG盤の4日前なのですが、その9/1演奏よりも尚おとなしい。これはこれで美しさが表に出て悪くないと思います。とは言え、強音パートでは息詰る様な激情をみせます。個人的にはDG盤よりも好きかも。演奏終了後は、拍手だけ ブラボーは無し。ヨーロッパのオーディエンスは厳しい。日本の公演は終了後に必ずと言っていいほどブラボーなのですが、それは疲れます。
・・・・・
一番穏やかですね。結局カラヤンBPOのマーラー9番Liveは中庸の1982-9/1がDG盤正規ライヴとして発売されたわけですね。極端な三つのパターンを試したのはカラヤン本人でしょうから全てはカラヤンらしい計算?(勝手な想像で失礼)




クラウス・テンシュテット, Klaus Tennstedt (3録音)
マーラー振りの一人Tennshtedtのマーラー9番。ここにも素晴らしい録音が隠れています。


(#1)
London PO
[EMI] 1979-5/11,12,14
 第一楽章のディナーミクとアゴーギクから醸し出される大きな波の様なスケール感は重量級の演奏です。第二楽章も重厚感あるレントラーから入ります。第一楽章に較べるとややメリハリに欠けるかな。第三楽章はやや速めに展開しながら、アゴーギクで調整しバランスの良い演奏になっていますね。懐の大きな第四楽章。前半の弦楽奏から緩やかな大きな流れを作りながら、途中の山場で思い切り盛上げて行きます。最後の静音パートは素晴らしい。
・・・・・
軽快というより重厚なるマラ9。ただ、全体としては四つの楽章のバランスが今ひとつはっきりしません。情熱を秘め過ぎたからかもしれませんね。
今テンシュテットのマーラー交響曲ならライブも含めたLSOとの全集を低価格で入手するのがベストでしょう。




(#2)

NYP
1982-2/18

テンシュテットがニューヨークフィルをエイブリーフィッシャーホールで振ったFM放送録音。
 一楽章は美しさと狂乱と興奮。終了時にほっとするくらい。第二楽章のレントラーの入りも乱れぎみながら各楽器の張りつめたものを感じさせます。そして続くのは呼吸の様なアゴーギク。一体感があります。三楽章の入りは速く、そのまま荒々しさを見せながら突き進みます。逆にお遊びのクラのパートは乱れが無い生真面目な演奏。その後はまた暴れます。コーダは凄いですね。第四楽章、のっけから凄い緊張感あふれる重厚な演奏で、そのペースを保ったまま進み 見事に整えながら消え入る様に集結します。
・・・・・
これが恐ろしい。狂気を感じます。マーラー演奏の雄NYPと、得意とする指揮者Tennstedtの見せた一つの世界です。




(#3)
Philadelphia O
[Navikiese] 1988

非正規盤で劣悪な録音ですがTennstedtらしさ爆裂演奏なのです。auto録音のせい?かもしれないけど録音が極端にフラット。その為ディナーミクは不明で、想像するしか無ありません。
それにしても第一楽章は美しさと迫力を感じられますね。そして第二楽章が良いですよ、躍動感が伝わります。かなり情熱的で、テンポは速いです。第三楽章、序盤は荒れ、終盤にかけても暴れます。強烈な三楽章です。第四楽章、ここでディナーミクが不明なのは痛いですねぇ。この楽章の美しさがわかりません。しかし演奏は冷静。ラストの静音もしっかり聞こえてしまう不思議さ。(笑)
・・・・・
興奮を禁じ得ない演奏で個人的には☆ですが録音は劣悪です。それがかえってコンサートの臨場感を感じさせるからでしょうか。
マーラーの9番もしくはテンシュテットが特別に好きでなければ不要な品である事に違いありません。




オットー・クレンペラー, Otto Klemperer (3録音)
さてさてOtto Klempererの9番です。まさにクレンペラー節。しかし各楽章の注意書きを見れば、マーラーの意図に近く演奏しているのかもしれないですね。マーラーとの親交があったわけですし。とは言え、くせ者でならすクレンペラーですからわかりませんが。


(#1)

New Philharmonia O
[EMI] 1967-2/15-24
スローにして各楽器パートを際立たせるお馴染みの解釈が際立つ第二楽章。一楽章と四楽章は抑えながら爆発的な山場を作ります。困ったのは最終楽章の弦楽パート。これが素晴らしいのですが、クレンペラーが第5番のアダージェットを最後まで”サロンミュージックの様だ”と嫌って演奏しなかったのはなぜでしょう。この四楽章は途中で管楽器が入るあたりで強烈な山場を作っているのでOKなんでしょうかね?
・・・・・
今聴くとちょっと古くさい解釈っぽいかな。それがマーラーが生きた時代の演奏なのでしょう。現代の演奏が重厚でアゴーギクの薄い方向に行っているのかもしれません。
昔よりも音も格段に良くなったと思います。買うなら全集版が圧倒的にお得ですね。




(#2)
VPO
[TESTAMENT] 1968-6/9

EMI盤の翌年、ウィーンでのライブ。ウィーンフィルとKlempererは、クレンペラー節が薄まりVPOらしい優雅さが加わったといったところ。ライブのせいかクレンペラーの計算よりも緩さと激情さが増幅されている様ですね。その落差がこの曲らしい展開になっているかもしれません。もちろん基本的な解釈はEMI盤と変わりません。
・・・・・
EMIの方がクレンペラー色が濃く出ていて好きですが、ライブの興奮も交えて聴きたいならばこれもありでしょう。ただ、今の時代で聴くと両者ともスローパートで少々だれ気味に感じるてしまうかもしれません。




(#3)
Israel SO
[Navikiese] 1970

非正規盤で録音は少々キンキンしていますが悪くはありません。晩年の演奏でイスラエル響との共演は演奏時間が上記二枚よりさらに長くなっています。
 第一楽章は独特の違和感?はあまり感じません。あれっ?って言う感じ。でも得意の第二楽章ではレントラーからクレンペラーらしさがはっきり残されています。この楽章の展開がクレンペラーでしょうね。そして第三楽章も独特な展開です。最終楽章はゆっくりと流れ、山場もわりとあっさりとしています。
・・・・・
全体としてマイルドなKlempererになっている感じでしょうか。ラストの拍手が唐突な感じですね。




ヴァーツラフ・ノイマン, Václav Neumann (3録音)
(#1)
Leipzig Gewandhausorchester
[BERLIN] 1967-11
Neumannがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターを務めた時代の演奏。この翌年からチェコフィルの首席指揮者となります。
 壮年期47歳のノイマンは、それらしく生き生きとエネルギッシュな第一楽章を奏でます。第二楽章も元気なレントラーから快活迫力の流れ。第三楽章、やや揃いの悪さを感じさせるも元気のいい演奏。第四楽章は重厚感ある弦楽曲で入りますが、出来れば細く冷たい入りであって欲しかった。でも悪くないかな。この部分は5番のアダージェットより情感を込めて良いですよね。マーラーは"抑えて"と指示していますが....。ただエンディングはあっさりとしています。
・・・・・
ノイマンの9番としては後期チェコフィルよりも好きですね。オリジナルのedel盤よりデジタルリマスタリングで音も良くなりました。




(#2)
Czech PO
[SUPRAPHON] 1982-1/12-16
 しまり無く退屈極ない第一楽章。流れもギクシャクとした感じ。不自然さに息が詰まる様です。二楽章も同じ様な展開。3/4拍子のレントラーなのですが、落ち着きません。三楽章、いきなりホルンの酷さ。四楽章もいまひとつの構成だですが、それでも四つの楽章の中では一番良く、美しさを感じます。
・・・・・
これ、本当にノイマン・チェコPO?! 久しぶりに聴き直しましたが、やっぱり合わないですねぇ。同じチェコ盤SUPRAPHONマーラー5番のノイマン・チェコPOはこんなには酷くないと思うのですが。




(#3)
Czech PO
[CANYON] 1995-8/21-24
 入りは柔らかく美しい一楽章。お手本の様な展開ですね。出来れば強音パートでの迫りくる様な迫力が欲しいです。一楽章の後半はやはり開放されないもどかしさを感じてしまいます。二楽章はリズミカルなレントラー、切れ味のある演奏を聴かせる。のですが、この楽章も途中でもたつく感じ。テンポが好みに合わないのかもしれないです。終盤にかけて切れ味鋭く持ち直してくれます。スタートから少々ダルな第三楽章。それでも四楽章が一番美しく良いですね。
・・・・・
死を前にしたNeumann最後の録音で有名なのですが.......
全体として面白みの欠ける標準的な9番といった印象が残ってしまいます。




ガリー・ベルティーニ, Gary Bertini (3録音)
(#1)
Wiener Symphoniker
[Weitblick] 1985-2-3
構えの大きな第一楽章。多少だれる感じがなきにしもあらずですが、荒れ気味なVSOのffパートはこの曲としては好みで楽しいです。第二楽章も情熱が勝る演奏。やや速めの第三楽章は流れは軽やか。第四楽章は入りからやや暑苦しく、この弦楽パートは透明感が欲しい気がしますね。その分、山場は極度に盛上げます。ラスト4分の静音パートも夏の夕暮れの様な気配。冬であって欲しかった。(笑)
・・・・・
情熱は厚いのですが重厚と言う訳でもなく全体的には明朗さが強め、その辺がこの曲としてはちょっと残念かも。




(#2)

Kölner Rundfunk SO
[EMI] 1991-7/1-3
 Gary Bertini, まさに手兵のケルン放送交響楽団を率いてのサントリーホールでのライブ録音です。重厚なる第一楽章は迫力十分、オケの音も明瞭で揃いも素晴らしい。レントラーもやや遅めで、まさにマーラーの言う「緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように」、終盤にかけては「そして、きわめて粗野に」ですね。第三楽章も適度な反抗的表現でとても良いリズムが刻まれ、コーダの展開も見事です。最終楽章は重厚ながら澄んだ響きと息づかいの様な緩急の出し入れ。クライマックスへの展開もとても自然、コーダは澄み切った静音で消え入ります。
・・・・・
ベルティーニが磨き上げたケルンRSOとのマーラーの9番。いつ聴いても、グッとくるものがあります




(#3)
Tokyo Met PO(都響)
[fontec] 2004-5-30
 美しい入り、ため の利いた Bertini / 都響 の第一楽章です。アゴーギクの利かせ方も悪くないですし、スローですが 都響の演奏もしまりが良い感じ。二楽章もスローに入り、そろった音が美しいです。決して荒れる事はなく、それでいてダイナミックに演奏される三楽章。ややフラットですが美しい四楽章。欲を言えば、途中で迎えるクライマックスへ向けての盛り上げが欲しかったかも。そうすると、その後のpppのコーダまでが生きてくる気がしますね。
・・・・・
全体を通してバランスの良いアゴーギクとディナーミクです。弱音パートは徹底して抑えてきます。悪くない9番と思いますね。録音の良さも寄与して、澄んだ音色を効かせているのかもしれません。




ラファエル・クーベリック, Rafael Kubelík (2録音)
(#1)
Smphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[DG] 1967
 入りは一般的なのだが、途中から意味不明のアゴーギクとディナーミクでこの曲の解釈としては疑問ですね。二楽章はレントラーさが歪められている感で、第三楽章も少々不安定感が強いです。でもこの楽章と続く第四楽章の弦楽器の入りは我慢出来るかな。四楽章の弦楽器パートは安心します。特別な事は全くないのですが、それまでが....。最終楽章としては良くもなければ悪くもない、ですね。
・・・・・
この曲は思い入れと狂気が必要(好み)だと思うのですが、これは方向性が違うかなぁ。ドン・ジャン・ポコポコ。
入手するなら安価盤で出た全集ですね。
^^;




(#2)
Smphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[audite] 1975
 当時、バイエルン放送交響楽団 (英:Bavarian Radio Symphony Orchestra)の首席指揮者だったRafael Kubelíkが手兵を率いて来日した際の東京文化会館でのライブです。
第一楽章はアゴーギクを揺らしディナーミクも振っているので、やっぱり!という感じ。歯切れも悪いかな。第二楽章も同じ様に落ち着きません。第三楽章も楽器のバランスが良くないし、まとまりもなく聴こえます。しかし、コーダに向けては狂気を伺わせてくれますね。続く第四楽章の弦楽の入りはバランスが良いです。でもアゴーギクがどうしても自分に合わないのと管楽器が入るとやっぱり歯車が狂いだす感じがします。エンディングも余韻無しでいきなり切れちゃいます。
・・・・・
もっさりスカスカした9番かも。




Michiyoshi Inoue, 井上道義

新日本フィルハーモニー交響楽団
[EXTON] 2000-6/9
 マーラー各楽曲も好きだけど、現代音楽も取り上げるので個人的にお薦めの ミッキーこと井上道義。(ツンツルテンのMickeyもおかしいけど)
一楽章からInoue的解釈な9番が突っ走りますね。悪くないですねぇ。緩さの中のディナーミクを利かせた各楽器の音色も素晴らしいです。第二楽章もスローを基本にディナーミクを振った3/4拍子から展開すします。三楽章は標準的なペースですが、一二楽章より大胆な演奏です。ここでも音の一つ一つが大切に演奏されていますね。四楽章は美しさよりも思い入れを感じさせるダイナミックさ。
・・・・・
練習には時間を掛けたと思われる、狂気はありませんが個性的なマラ9です。特に第三楽章は素晴らしい。いけます。




Kenichiro Kobayashi, 小林研一郎
日本フィルハーモニー交響楽団
[EXTON] 2007-1/25,26
 コバケンのマラ9 Liveです。第一楽章、特にかわったところもないですね。と言うか閉塞感を感じます。多少揺さぶり感のある演奏なのですが、発散した所がありません。長く感じてしまいます。第二楽章、レントラー的リズム感もはんぱな感じで、構成自体も少し眠い。第三楽章は出だしアンバランスですが、途中から多少切れ味が出てきます。コーダに向けてはgoodですね。最終第四楽章が一番良いと思います。
・・・・・
不明瞭な流れを感じてしまい、個人的には好みじゃないマラ9になります。





次もコンサートをターゲットにインプレしようと思います。


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オペラ:モーツァルトのドン・ジョバンニ の観比べ聴き比べ 3つのDVD です

何となくドン・ジョバンニ(Don Giovanni : 1787, Mozart)を観たくなりました。^^;
オペラでモーツァルトと言うと ”フィガロの結婚” 等、人気ですよね。でも個人的には中途半端な感じがしてあまり観ません。イタリアオペラの様に息も絶え絶えのアリアでもなく、ワグナーの様なストリー性と音楽でもなく、ドビュッシーの幽玄さでもなく、と言った風です。
オペラは舞台があってのモノと思っていますので、DVD 3枚を聴き比べです。

◆ユロフスキー:フィンリー 2010 グラインドボーン音楽祭
 所有の中で一番新しい作品です。ドン・ジョバンニ当り役のジェラルド・フィンリー、そしてkokotonPAPAの好きなケイト・ロイヤルがドンナ・エルヴィーラを演じています。でも、一番人気を博したのはレポレロのピサローニかもしれません。
衣装は現代風(1900年代後半でしょうか)イタリアンスーツ&ドレスで、舞台はややアブストラクト、演技もストーリーにこだわらない、といった将に現代のドン・ジョバンニです。
少々残念なのは、ドンナ・アンナとオッターヴィオの掛合いが今ひとつだった事。そしてツェルリーナとマゼットもの遣り取りも、もっとユーモアがある方が好きです。全体的にシリアスな気配が強いのは、このオペラにはそぐわないと思います。
今の時代の演出ですとアバンギャルド風になるので、最後の石像の展開は苦しい感じがしますね。ここでも騎士団長は石像ではなくゾンビみたいに出てきますので頷くシーンの驚きなどが今ひとつ合いません。ジョバンニがツェルリーナ(本当はエルヴィーラの侍女)に呼びかけ歌うシーンもマンドリン(もしくはリュート?)が使われるのですが、当然持たないですからその音を奏でる演奏とシックリこない気がします。ラストは地獄に連れて行かれたはずのジョバンニの死体が血にまみれて現場に存在します。まぁ、時代が変化しているので仕方ないですね。




◆アーノンクール:ジルフリー 2001 チューリヒ歌劇場
 DVDの画像がアップ過ぎですね。舞台を観ている感じがしません。舞台は単純化されているので背景に影響される事が少ない演技主体の演出になるので、それでも良いのかもしれませんが残念ですね。
ロドニー・ジルフリーのジョバンニはプロポーションといい気配といい適役だと思います。そしてツェルリーナのリリアナ・ニキテアヌが良かったですね。
でも主役を食っちゃったのがエルヴィーラ役のチェチリア・バルトリ。グロテスクなまでの表現は好きになれませんねぇ。歌唱シーンのドアップも少々鬱陶しいですし、最後の「修道院に行く」と言う台詞も全く合いません。^^; 演出のユルゲン・フリムなのか、やっぱりアーノンクールなのか。どちらにしろ意図でしょうね。
演出では、地獄に堕ちても女たらしのジョバンニがラストで背景に出てくるのも一興です。衣装はやや古典的な風合いでしたので違和感はありません。出演者達が身に纏ったコートの出来が素晴らしかったと思います。
もう一つ良かったのはアーノンクールの演奏ですね。カーテンコールの拍手もアーノンクールが一番でした。(笑)
エルヴィーラの件さえ無ければ、とても洒脱でクールなドン・ジョバンニです。
海外版なのに珍しく日本語字幕は入っているので変だなと思っていたら、NHKが制作協力していたんですね。最近は中国語の字幕が入っている事が増えましたが。




◆フルトヴェングラー:シエピ 1954-10 ザルツブルグ音楽祭
 原作の意図を感じられるならこれでしょう。CDでもお馴染みの名盤になり今更ですが、古さの割には画質はカラーで十分耐えるレベル、音質はSPよりは良いですね。このオペラの源流を再確認する為に観たと言って良いかもしれません。
背景・衣装・演出は古典的です。そこがポイントだと思いますね。原作の展開はこの時代を背景に書かれているので上記DVDでコメントした様な違和感はありません。演出が一人歩きしていない安心感があります。
多分19世紀末から20世紀半ばはこの様な演出で観られたのではないでしょうか。フルトヴェングラーとVPOも舞台進行とマッチした重厚な演奏ですね。動くフルトヴェングラーも貴重です。始めだけですが。ヾ^^;

ドンナ・アンナ(エリザベト・グリュンマー)、オッターヴィオ(アントン・デルモータ)、エルヴィーラ(リーザ・デラ・カーザ)のシリアスなシーン。この三人の歌は素晴らしく、ソプラノ二人の短いですがコロラトゥーラも楽しめます。
演技ではジョヴァンニ(チェーザレ・シエピ)、レポレロ(オットー・エーデルマン)の掛合い、ツェルリーナ(エルナ・ベルガー)、マゼット(ヴァルター・ベリー)の喜劇シーンも楽しく、流石は名演ですね。
ジョバンニのシエピとレポレロのエーデルマンの体格が違いすぎて、あれでは入れ替りに無理がありますね。(笑)
オペラがイタリアからオーストリア・ドイツに広がって一番人気があった古(いにしえ)の時代を彷彿させてくれる事も楽しみの一つです。マーラーも指揮者としてこのオペラを得意としていたそうです。一度は観ておきたいですよね。これを観てドン・ジョバンニを再確認できてホッとしました。



それにしても約3時間弱の作品を続けて楽しむのはパワーがいりますね。その分だけ充実した時間でしたが。^^v


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ペッテションの Symphony No.12 »De döda på torget« を聴く

何回か紹介している 重厚なる苦渋音楽(笑)のスウェーデンの音楽家アラン・ペッテション(Gustav Allan Pettersson, 1911/9/19 - 1980/6/20)の声楽が入る交響曲第12番「広場の死者/ The Dead of the Square」です。
九楽章構成で一楽章から全ての楽章で声楽が入ります。問題は 使われているPablo Nerudaの詩の歌詞がスウェーデン語で書かれてライナーノートの対訳がドイツ語と言う事です。オリジナルはスペイン語ですし、対訳には英語もありません。

楽曲としては、以前紹介した前期・中期からこの12番では、合唱がフィーチャーされているせいもあるでしょうが、宗教的な圧迫感を感じさせます。のしかかる様な暗い陰は変わりません。
そうなると益々問題なのは歌詞ですね。それがわからないと楽しさは半減です。英訳ページを探しているのですが、簡単には見つかってくれません。裁きの日の内容なのでしょうか......



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ミヨーの交響曲・管弦楽曲集を聴く

転調と多調の現代音楽家ミヨー(Darius Milhaud, 1892/9/4 - 1974/6/22)の交響曲を主体に聴けるアルバムです。
旋律を大切にしながら調性と言う枠から逃れて自由度が広がりますね。このアルバムでは前期と中期の作品になりますが、前期はとても優美さを感じます。中期は壮大さが加わっていますね。
また身体的ハンデがあったにも関わらずミヨーは指揮者としても活躍。シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」のフランス初演も振っています。もっとも昔は作曲家の殆どは指揮者の仕事をしてましたね。

交響響第1番(なんとOp.210 !!)は四楽章形式で古典的に見えますが、微妙な調性感が感じられてとても楽しい曲です。交響曲第2番は五楽章形式になりますが、曲調は第1番と似ていますね。プロヴァンス組曲は一番年代が古く作風が古典的です。このCDに混ぜなくても良い様な....
CD2枚目は中期の交響曲です。交響曲第6番は四楽章と古典的ですが和声は古典とは違いミヨー独自のもので、透明な空気が伝わる様な美しい流れを感じられます。前期の作品よりも不協和音は減ってディナーミクが厚くなっている感じがします。交響曲第7番は第6番に続いて同じ年に作られていて、続けて聴くと楽章の展開の様です。特徴的なのは調性感の緩い第二楽章かもしれません。最後の地中海風序曲は一楽章の交響曲の様な楽曲ですね。

これは以前Tower Recordsから格安の企画盤として出されていたプラッソン(Michel Plasson)指揮、トゥールーズ市管(Orchestre National du Capitole de Toulouse)によるものです。とてもお得な盤だったのですが、廃盤ですね。
 Milhaud Symphonies

今ならcpoから出ている全集が良いと思いますね。



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メリライネンの Concerto No.2 for Piano / Symphony No.3 / Concerto for Double Bass & Perc. を聴く

昨日に続き ウスコ・メリライネン(Usko Meriläinen, 1930/1/27 – 2004/11/12) です。無調の作品になりますね。フィンランドを代表する現代音楽家です。そしてお気に入りのアルバムになります。
一曲目のピアノ協奏曲第2番は1969年の作品で、一楽章構成になります。打楽器的な中にも旋律を残すピアノとディナーミクの大きなオケとのコントラストはスリリング。そして静音パートのピアノの単音の並びは幻想的。好きなパターンです。コンサートで聴きたいですねぇ。
交響曲第3番は1971年の作品で、曲調は一曲目のピアノ協奏曲と似た展開です。無調ですが旋律は存在していて、古典的な四楽章構成です。第一楽章はAndanteで戦闘的、第二楽章 Lento assai はアダージョの様な展開で薄い刃物で切れそうな味わい。そして第三楽章 Allegro giocoso はスケルツォに対応する様なややリズミカルなテンポが感じられます。第四楽章へはアタッカで繋がり、Lento assai は短い曲で波乱を残してフェイドアウトします。
ダブルベースとパーカッションの為の協奏曲は三楽章構成、1973年の作品です。パーカッションが出てきた時点で展開が予測できる感じですね。ダブルベースとパーカッションの会話の様な表情豊かな楽曲です。パントマイムの様なといってもいいかもしれません。

本CDは以前レコード出ていた2枚を一枚にして再発されていますね。これも古いのですが入手は出来る様です。それにしても値段が納得できませんね。中古を扱うお店で見つけられれば遥かに安価でしょうけど、何せ古くてマイナーですからねぇ。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

メリライネンの Mouvements circulaires en douceur, String Quartets Nos. 1&2 を聴く

フィンランドの現代音楽家、ウスコ・メリライネン(Usko Meriläinen, 1930/1/27 – 2004/11/12)です。新ウィーン学派を継承し表現主義(Expressionism)をベースにしていますので無調の作品になります。

一曲目のMouvements circulaires en douceur(1985年)は、Pierre-Yves Artaudの依頼で書かれ、フルートをフィーチャーした無調の楽曲です。
素晴らしいのは二曲目のString Quartet No.1(1956年), そして次のNo.2 "Kyma"(1980年)になると思います。無調の中に旋律が交差して行く弦楽四重奏ですね。対立的になったり、協調的になったり、その展開がとてもスリリングです。
No.1 では十二音技法が採用されていますが、実験的要素は薄く楽曲的には手法が生かされている気がします。No.2では四つの楽器の独立したフレーズが対話の様に絡み合います。
好きな一枚です。古いので現在は見つけるのが難しくなりました。

Usko Meriläinen


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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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