カレヴィ・アホ の Symphony No. 9 / Cello Concerto を聴く

Kalevi Aho (1949/3/9 - ) はフィンランドの現代音楽家。と言っても軸足は新古典主義にある。
交響曲9番は"トロンボーンと管弦楽のための"と副題が配されているが、特に気にする必要性は感じない。雄大なフィンランドを感じさせる三楽章からなるSymphonyに仕上がっている。打楽器の使い方がとてもうまい。
チェロ協奏曲、第一楽章の展開は交響曲9番と似ている。そこへGary Hoffmanのチェロが入る。ホフマンのチェロは控え目な演奏でオケと協調する。二楽章はポリフォニック、ポリリズムを交えて豪快に展開する。この辺りは現代音楽風になるかもしれない。コーダの恐ろしいpppp静音は何だろうか?!
フィンランドを代表する指揮者 オスモ・ヴァンスカ(Osmo Vanska)と、フィンランドのラハティ市・シベリウスホールに本拠を置くラハティ交響楽団(Lahti SO)によるフィンランドの素晴らしい作品です。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

スメラ の Symphony No 5 Music for Chamber Orchestra In memoriam を聴く

Lepo Sumera (1950/5/8 - 2000/6/2) はソヴィエト(現エストニア)の現代音楽家。エレクトロアコースティック、電子音楽といった世界も展開するが、本CDは管弦楽曲になる。
交響曲5番は、十二音技法による対位法をシェーンベルクから学んだ作。弦楽器のトレモロは、それだけでなく米国系現代音楽の香りがする。不安感を醸し出しながら繊細な展開を見せる。
Music for Chamber Orchestra も同様な展開になる。そしてIn memoriam。いずれも調性を排してはいないので大きな違和感は無いと思う。繊細、冷徹的な音階が気持ちよい。
パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Jarvi)指揮、マルメ交響楽団(Malmo SO)による。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

グバイドゥリーナの Johannes-Passion を聴く

ヨハネ受難曲、お馴染みkokotonPAPAの好きなソフィア・グバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 1931/10/24 - )の作品をゲルギエフとマリインスキー劇場管で聴いてみましょう。とは言え、これは宗教曲ですが…

曲はバリトンとバスが中心になりオケもグバイドゥーリナらしからぬ、というかまさに宗教曲。暗い静音の楽曲。沈んだ曲調が全体を支配して流れます。そして全編を通して歌曲になります。
当然ながら現代音楽ではなく、宗教曲として聴くべき音楽ですね。多くを書く事もないし、またもやという事になります。
もちろんNo.6 Litugie im Himmel のラストの様にわずかにグバイドゥーリナらしい現代音楽作風の演奏も垣間みれますが、ほんとうに僅かです。
このパターンはイギリスの現代音楽家マクミランにもありますね。現代音楽家であっても宗教曲は自分の宗教心の世界の様です。その宗教に浸ってみないと見えない世界ですから、コメントできなくて当然かといつも思います。聴いて美しいとか、そんな音楽ではないでしょう。
ちなみに「ヨハネ福音書による復活祭オラトリオ」と本曲はグバイドゥーリナの作品の中でもキリストの二部作として別扱いされるのが普通でですね。
従って数多いグバイドゥーリナの宗教曲でも Seven Last Words Of Christ などとは作風も異なります。

キリスト教徒でもないkokotonPAPAにとって内容については不明点が多すぎるため、以下のブログを読ませていただきました。
http://koshiro.exblog.jp/15732118/
この曲に興味のある方はご参考に。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ダッラピッコラの Sonatina canonica / Tartiniana seconda / Due Studi / Quaderno musicale di Annalibera を聴く

イタリアの現代音楽家 Luigi Dallapiccola (1904/2/3 - 1975/2/19) は十二音技法を駆使する。とは言え調性を完全に無視してはいない。
このアルバムはピアノとバイオリンの楽曲を集めた作品集になる。
前述の通りでピアノソロにしても、どこか柔らかな旋律が残される典型的なセリー音楽。トータル・セリエリズム的で十二音(1オクターブを12分割した全半音すべて)だけではなく、そこに連音・強弱といった音指示を基本的に並べる。(興味ある人はググッて下さい)
音の並べ方で調性も取れるので楽に聴ける。そうすると中途半端な感は拭えない?
このアルバムは、そんな事も考えさせられる。それはそれで楽しい。でも、そんな感じ。

基本的に単音構成で作られたピアノ曲とバイオリンとのデュオ。メロディーラインは明瞭に存在する。特にピアノ曲は透明感ある美しい調べに不協和音(十二音技法)、と言えばわかってもらえるかな?



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コープランドの Appalachian Spring, Rodeo, Billy the Kid を聴く

アメリカの作曲家、Aaron Copland をバーンスタイン New York PO で聴ける楽しい一枚。
やっぱりAppalachian Spring、Rodeo、Billy the Kid のバレエ音楽三曲はコープランドの代表作だけあって素晴らしい。細かい事はいらないのがコープランドの曲の良さ。明快な曲構成は実に楽しい。
もちろん12音技法を取り入れた近現代音楽も残しているが、この三曲の素晴らしさを楽しんだ方が良い。バーンスタインとNYPOは、明るい表現と明朗に響く管楽器で展開。
人気曲 Fanfare for the Common Man も含まれている。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2012年11月19日 M.T.トーマス Live at サントリーホール ★★☆

M.T.ThomasとS.F.響のアジアツアー。最終の日本公演。良かった。

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ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲が★★☆
マーラー:交響曲第5番の一二楽章が★★★、三四五楽章が★★。全部合わせて★★☆です。

ラフマニノフは、ユジャ・ワンのピアノの後半の超絶的豪腕に、トーマスとサンフランシスコ響の盛上りが重なって素晴らしい演奏となった。もともとこの曲は最後に向けて盛上げて行くパターン。初めからパガニーニらしいテクニックを散りばめたピアノでオケが緩やかに上がって行く。そこにトーマスのクール解釈だから初めかなり緩め。
しかし、初めはテクだけかと思ったユジャ・ワンのピアノは最後は強烈に走った。
今年観たピアニスト、オット、ブニアティシヴィリと較べたら一番。曲が良いせいかもしれないが。例によって大胆なドレスで登場していた。
Yuja Wang の同演奏CDに較べると席の問題でピアノの生き生きとした音色を感じられない。それは差し引くとしても、切れ味はCDの演奏よりも良いと感じた。ピアノコンチェルトはいずれ席位置が大きく左右する。




マラ5はCDに較べると、作られた様な透明感と華は減り、その分この顔ぶれによる演奏の円熟さが明らかに結実していた。特に一二楽章の完成度は高い。管楽器の素晴らしさは格別だった。特にホルンの独奏はgood。
解釈も、五楽章をマーラーが三部に分けたのを的確に演奏。具体的には一二楽章と四五楽章は、三部作の一部と三部として続けて演奏された。
特徴的なアゴーギクも第五楽章の入りの部分などは同様だが、無機質的な演奏から息吹を感じる演奏になった気がする。それがベターなのかは別としても。
事前に聴き較べをしたマラ5の20CDの話はこちらから




アメリカのオケは面白い。団員の関係者が客席に居てステージ上で話をしたり、打楽器奏者は演奏中に準備したりする時は動きが目立たない様にするのが普通だが、前々お構いなし。初めのチューニングも通常だと管楽器が先で、弦が後だが、それも逆。
ちなみにM.T.Thomasの指揮ぶりはやや小柄な身体全体を使った面白いスタイル。

ユジャ・ワンのアンコール、プーランクはなんとトーマスとの1-piano,4-handsの連弾!
これは大受け! トーマスはソニー時代のCDでピアノも弾いていましたよね。
トーマスは拍手に応える時にユジャ・ワンの真似をしてピョコッとお辞儀をしてみせたり、腕を組んだりと、エンターテイナーぶりとかつてのプレイボーイぶり?を発揮していた。

最後はマラ5なので大ブラボーと拍手の嵐。3度4度とステージに引き出され、最後は眠いのよ、とポーズをしてコンマスを連れて戻ってお開きとなった。
十分に楽しい演奏会でした。

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テーマ : コンサートに行きます&行って来ました♪
ジャンル : 音楽

イザーイの Poems for Violin and Orchestra を聴く

kokotonPAPAの好きなベルギーの現代音楽家 Eugène Ysaÿe (Eugene-Auguste Ysaye 1858/7/16 - 1931/5/12) の「バイオリンとオーケストラの為の詩」を Rubenstein のバイオリンで。構成的にはバイオリン協奏曲。調性も崩していなければ、不協和音もありません。超絶技巧系のバイオリンを楽しめます。
流石はイザーイ。流れる様な調べは、将にバイオリン協奏曲向き。例によって高音に切れ上がるパートや超絶的部分はイザーイならでは。ルービンシュタインも超絶技巧を駆使しながらバイオリンを極限まで鳴らしてくれています。ルービンシュタイン向きではない様な気もしますが。(勝手に決めつけたりして)
バイオリニストなら、弾きたい曲だろうと思う感じ。コンサートで聴きたいですね。

オケは M.ロダン指揮、ベルギー国立管弦楽団 になります。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ゲルギエフ&マリインスキー NHKホール 2012年11月15日公演 ★☆

今年2回目のゲルギエフに行って来ました。前回に続きNHKホールです。
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休憩後の演奏は良かった。プロコフィエフの交響曲5番。一楽章は前半の不調を引きずるかのような不安定なまとまり感に欠ける演奏だった。しかし、第二楽章のドライブ感、そしてスピード感に乗ったアレグロから絶好調に。
これぞGergievとMariinsky Orchestraと言った演奏。この楽章としてはかなり速め。そして幽玄にして壮大な第三楽章、これがこの5番で一番厄介と思っているけど見事なスケール感でした。そして、好調さをそのまま第四楽章へ。アッチェレランドを掛け気味にコーダを仕上げていました。
この曲を聴く時はゲルギエフのCDメインで聴いていますね。基本的な解釈は殆ど変わっていない中、第二楽章は更に速めになり特に素晴らしかったと思います。

アンコールはワグナーのローエングリンから第一幕の前奏曲。これまた人気曲であり、繊細さと大胆さをバランスよくこなすのが得意なゲルギエフにピッタリの選曲。悪い訳なし!
この二曲なら★★☆だったのに。(第一楽章がねぇ.... )

残念だったのはメシアンの"キリストの昇天"。二楽章の鳥の囀りをモディファイした楽曲は良かった。でも、それ以外はメシアンらしい神秘さとクールさに欠けたフラットな演奏になってしまっていました。ゲルギエフで現代音楽と言う事で、期待が大きかっただけに残念。この曲は以前紹介もしています。(下記URL参照下さい)
http://kokotonpapa.blog135.fc2.com/blog-entry-541.html

そして最も残念だったのはシベリウスのバイオリン協奏曲。これも好きな曲。シベリウスの冷たさと神秘的な曲調は当然ながら好み。しかしバイオリンのカヴァコス(Leonidas Kavakos)の音色が暖色系。暖かみを感じて緩い。
好みじゃないからどうしようもない。

この休憩前の二曲は★一つ。この印象が強かったかな。

今回、ゲルギエフは指揮台なしで小ちゃな鉛筆の様なタクトを振っていました。でも手のヒラヒラは健在。^^v

【TV放送】NHK BSプレミアム 2013年1月20日(日)6am〜7:55pm

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テーマ : コンサートに行きます&行って来ました♪
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マーラー 交響曲第5番 名盤珍盤 170CD聴き比べ #2 [16-35]

Mahler symphony No.5 の聴き較べ 前回の15CD紹介に続いて、今回はとりあえず20CDを。

今回はM.T.トーマス & サンフランシスコ響の11月19日(サントリーホール)来日公演に合わせて再チェックです。そのM.T.トーマス盤をトップに、マーラー振りの一人テンシュテットをメインで紹介しています。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.5 の聴き較べです (現在 #12回 170CDまで)
 #12:10CD
 #11:10CD
 #10:10CD
 #9:15CD
 #8:15CD
 #7:10CD
 #6:14CD
 #5:5CD アバド追悼
 #4:20CD
 #3:25 26CD
 #2:20CD  本投稿
 #1:15CD



M.T.トーマス, Michael Tilson Thomas
★☆
SFSO
[SFS] 2005-9/28~10/2
1995年から音楽監督を務めるサンフランシスコ交響楽団とMichael Tilson Thomas、自主制作の5番ですね。
 第一楽章は奇をてらった部分はなくディナーミクをうまく使っている気がします。第二楽章は速めのテンポで入りますが全体としたら多少の揺さぶりのアゴーギクです。しかしここでもディナーミクの方で曲のメリハリを見せますね。第三楽章はスケルツォらしい流麗さと、展開の切れ味も良い感じ。第四楽章は線の細さを美しく描きます。と言っても必要以上の甘美さは持ち込まない冷静耽美なアダージェットです。第五楽章は緩やかなアゴーギクで進みます。
・・・・・
暴れる事無く、破綻もきたさず、そして流れの良いマラ5。ディナーミクが強めで透明感のある演奏は、部屋で聴く際には環境が左右しそう。コンサートが楽しみですね。




クラウス・テンシュテット, Klaus Tennstedt (6録音)
マーラー振りの指揮者の一人 Klaus Tennstedt、もちろんkokotonPAPAも好きな一人です。テンシュテット(Klaus Tennstedt)と言えば、このマーラーのNo.5を得意としていたので5 6枚ほど並べてみました。

(#1)
LondonPO
[EMI] 1978-5,6,10
(現在テンシュテットのマーラーを買うならこれが一番でしょう。EMIのスタジオとライブを16cdにまとめてありますからね)

 第一楽章からバランスの良いディナーミクとアゴーギクで聴かせます。管の華やかさが葬送行進曲を勇壮に奏でます。コーダに向けては消え入る様に納めていますね。第二楽章は美しい入りから燃焼度を上げて行く。揺さぶりも強め。スケルツォもメリハリ強めで美しさと精悍さを見せます。多少持て余し気味ではありますが。アダージェットは基本は薄く静粛な仕上げで、捧げたアルマへの愛情が映る様だ。それを受けての最終楽章はテンシュテットらしく静かな入りから盛り上げて行きます。
・・・・・
全体に勿体ぶったマラ5です。もちろん悪くありません。




(#2)
《後日追記紹介》
North German Radio SO
[Profil] 1980-5/19
問題の北ドイツ放送響(現NDR)の音楽監督に就任した翌年の興味深い演奏が発売(2015年3月)されましたね。下記のニューヨークフィル同曲客演一ヶ月前になります。(折合いが悪く1981年演奏旅行中に決別しています)
 第一楽章はスローにして流麗とも言える葬送行進曲から流れよく第二主題へ入って行きます。その第二主題ではアゴーギクを効かせますね。第二楽章は切れ味鋭い入りから緩急を使った演奏で、強音パートは気持ちの入った情熱を感じます。そして一転、美しいスケルツォは長さを感じさせませんね。
アダージェットは、スケルツォの迫力のコーダから世界を区切る様に静的な展開です。殊更の甘美さやスローさは避けた展開は好みです。最終楽章はリズム良く入り流れる様にコーダに向かいます。終盤の山場からコーダは最高の盛上りをみせてくれます。
・・・・・
アゴーギクとディナーミクをうまく効かせるテンシュテットのマーラー第5番です。例によって第二楽章は特筆物の素晴らしさで、相性の悪かったNDRとの緊張感が生んだ産物なのでしょうか。




(#3)
NewYork PO
[NYP] 1980-6/18
ニューヨークフィルでMahlerを振った指揮者を集めた1〜10番のオムニバス盤、NEWYORK PHILHARMONIC The Mahler Broadcastsというアルバムに入っている5番です。
 第一楽章は、やはり管の響きよく弦のしっとりとした演奏でLPOよりも葬送的風合いが強く出ています。アゴーギクを効かせた演奏ですが、くどさはありません。せっかくのエンディングで咳が酷い。(笑) 第二楽章は、頭からメリハリをつけた気合いと迫力。第三楽章スケルツォも流れる様にと言うよりも切れ味。アダージェットはテンシュテットらしく華美を避けている。最終楽章は細かいアゴーギクで揺さぶる。例によってコーダへ向けては迫力。最後は大ブラボーです。
・・・・・
全体としては重厚さよりもシャープさのテンシュテットです。

この全集はNEWYORK PHILHARMONICのホームページの Buy Recordings から新品を購入出来ます。
http://nyphil.org




(#4)
★☆
LondonPO
[FM東京, KING] 1984-4/13

(右はSACDシングルレイヤーです)

当時の手兵LPOを率いて大阪フェスティバル・ホールでのライブ。
 あつい、第一楽章の入りからエネルギーがほとばしります。緩急の中にも滾る物が滲み出る様な演奏で、最後のピッチカートも強い。第二楽章も弦のパワーと切れ味が素晴らしいです。少々中だるみも感じないではないのですが、いずれ情熱的にコーダに走ります。スケルツォもパワフルで、華麗と言うよりも重厚。
そしてアダージェット。スローで入るのですが、この曲にスポットを当てている演奏ではないですね。冷静にナチュラルなアダージェットです。第五楽章はお約束通りに 抑えた演奏から入り、全体をクレシェンドのごとく登って行きます。途中でコーダを予測させる持って行き方を感じますね。ラストの約1分は劇的です。拍手はもう少し残して欲しかった。
・・・・・
これはパワー漲る素晴らしいマラ5です。




(#5)

LondonPO
[EMI] 1988-12/13
曰く付きの演奏。Tennstedtに興味ある人はググってください。
 第一楽章から力強いテンシュテットの葬送行進曲。第二楽章も派手な展開でライブならではの高揚感が伝わります。スケルツォも豪快にドライブしています。そして一転、アダージェットは静寂な演奏。このパターンは良いですよね。第五楽章は前半をかなり抑え気味、最後にパワーを集結させています。
・・・・・
多少荒っぽいマラ5。こういうのはライブで聴いたら楽しい。好きですね。




(#6)
Concertgebouw O
[MEMORIES] 1990-12
例によって怪しげ伊Memories盤の晩年ライブ。闘病の中のタクトです。
 一楽章は入りのtpが少々変わっているのと、ティンパニの奏でる第一主題が異常に小さい事くらいが気が付くくらいで普通。三楽章のスケルツォは長く感じました。でもそれ以外の二四五楽章は切れ味のある良い演奏ですね。それはコンセルトヘボウの感性かもしれません。
・・・・・
ロンドンPOとは明らかに異なるクールなTennstedtの演奏。




ガリー・ベルティーニ, Gary Bertini (2録音)
(#1)
VPO
[Weitblick] 1983-4/12
マーラーの指揮者として日本でも人気のあるGary Bertini、ウィーンフィルとの5番です。
 第一楽章は気負わず重厚さを残しながらも流している感じがします。そしてその流れは二楽章の出だしに繋がります。興奮を抑えた演奏ですね。しかしこの二楽章の流れは悪くなく、途中からの盛り上げ方が良くてスケルツォにうまく連携していきます。スケルツォの入りでホルンがもたつくのはご愛嬌でしょうか。ライブではこのスケルツォの前の楽章の合間でチューンし直す事がよくありますが、ここではスケルツォの後でも行われて、そのシーンが残されています。ライブならではですね。
スケルツォも全体としては抑え気味で進めて、ためたパワーがコーダで爆発。アダージェットは美しいですが、映画音楽の美しさではありません。ことさら甘美さを打ち出す訳でもなく、さめた美しさです。第五楽章は曲に逆らわずにコーダへ向かう流れで、この楽章へ繋げる為に構成されている気もしますね。
・・・・・
最後はウィーンフィルも集中力が増している感じです。押しては引く流れ。全体として冷静なるマラ5です。




(#2)
Kölner Rundfunk SO
[WDR EMI] 1990-1,2
Bertiniが首席指揮者として鍛えたケルン放送交響楽団との5番です。(現在はサラステが素晴らしい録音を残しています)
 安心感の高い第一楽章。大きな流れを掴んで離さない展開は魅力的です。第二楽章も同じ流れでつながり壮麗です。スケルツォは速めの演奏から入り、エモーショナルな展開。飽きさせる事がありません。コーダの切れ味も素晴らしいです。アダージェットは甘美に流れる方向で、好き嫌いが分かれるかもしれませんね。第五楽章は初めからテンションが高いです。そのためかコーダの盛り上がりが引けた感じかもしれません。
・・・・・
余すところなく詰め込んだ、って感じでしょうか。
亡くなる前の都響との録音が出されれば、と思う今日この頃です。




ヴァーツラフ・ノイマン, Václav Neumann (3録音)
(#1)
Gewandhausorchester Leipzig
[BERLIN] 1966
チェコフィルの指揮者として著名なヴァーツラフ・ノイマン(Václav Neumann)がその前に音楽監督を務めていたゲヴァントハウス管との5番ですね。
 第一楽章はとてもいい流れ、引き込まれる様な切れ味。管楽器が音を良く鳴らし、それに若干速めのテンポが良いのかもしれませせん。第二楽章も同じくやや速めながら、緩急をディナーミクで付けてきます。良い感じ。スケルツォも速いですが、そのテンポにうまく合ったタクトと演奏で、ここでも管楽器の鳴りが良いのを感じられます。明瞭な音使いは不安感無く楽しめますね。アダージェットもやや速めで適度な情感を持たせて流れます。そして徐々にテンポを落としてスローに。しかし、ラストで甘美な世界に持ち込み過ぎかな。第五楽章の入りは遅いテンポですが、すぐに速めのテンポに切り替えます。所々でアゴーギクを効かせながらコーダへ。コーダはアッチェレランドをビシッと効かせています。
・・・・・
この曲でテンポの速いのはあまり良くない気もするのですが、これはgoodです。ノイマンは後年のチェコフィルとのセットよりもゲヴァントハウスの演奏の方が好きですね。




(#2)
Czech PO
[SUPRAPHON] 1977-1/31, 2/2

(紹介の盤は日本コロンビアが発売した同盤)

Neumannとチェコフィル。この組合せは後年Canyonからも出されていますが、これはチェコの旧録音。チェコフィルはマーラを聴くには良いと思います。指揮者を誰にするかでしょうか。
 いきなり第一楽章はキレのある演奏で立ち上がる熱を帯びた葬送行進曲。第二楽章は、やや早いテンポ。緊張感があって飽きさせません。スケルツォはスローですが流れがいいですね。ただ、少し淡白かもしれません。
アダージェットは甘美に聴かせてしまいます。クラシックファンの嫌がる?演奏に近いかも。「クラシックはもっと崇高だ!」(笑) 第五楽章もわりとあっさりめに展開します。
・・・・・
なんとなく尻窄み的なマラ5。出来れば第一楽章の様なキレで終止して欲しかった気がします。




(#3)
Czech PO
[CANYON] 1993-3/16-20
上記録音から16年後のマーラー5です。この録音時期はノイマンがチェコフィルの音楽監督(1968年 - 1989年)を去った後になりますね。
 美しき響きの第一楽章。特に管楽器の響きが素晴らしいですね。第二楽章も同じ様に美しい音と流れです。第三楽章スケルツォはスロー。その分モッサリ感は否めないのですが、音が冴えているので一二楽章の繋がりでの違和感はないですね。ただ、聴き慣れたスケルツォじゃぁないです。第四楽章アダージェットはハープが強めで、甘さの強い演奏になります。個人的には少々クドい感じがしちゃいます。その分、最終第五楽章は軽め、軽快に運びます。
・・・・・
1977年のこのコンビの延長上で完成させた世界。美しくも甘美なマラ5です。こういう解釈があるのもこの曲でしょう。




小林研一郎, Kenichiro Kobayashi (4録音)
(#1)
Kyoto SO
[Kyoto Symphony Orchestra] 1985-9/26

コバケンこと小林研一郎が京都市交響楽団の首席指揮者に就任した年の演奏ですね。京響自費出版『京響音のあゆみ (PART-Ⅱ) 』になります。続けて4枚(内1枚DVD)インプレしますが、もう一枚正規録音(1983年 w/日本フィル)が残されていますね。
 あっさりとした葬送行進曲、第一トリオも軽めで処々で迫力を見せるものの淡白な第一楽章。第一楽章の流れと同じで、ポイント的に迫力と切れ味を押さえた第二楽章。tpがちょっと怪しいw
第三楽章スケルツォとレントラーは流れよく、でも第三主題が もそもそのスロー、管楽器群も怪しげでその後も長く感じます。
アダージェットは甘美さも興奮もない淡白さ、悪くないのですがフラット過ぎ。第五楽章もやや締まりの欠ける流れでなんとかコーダへ辿り着きます。大ブラボー!!です
・・・・・
録音も含めて見晴らしのよくないマーラー5です。管楽器も怪しげですが、迫力パートだけはコバケンですw




(#2)
Japan PSO
[CANYON] 1991-5/30,31

(右は現在入手出来るEXTONのSACDのハイブリッド盤ですね)

コバケンが常任指揮者に復帰した時代の日本フィルハーモニー管弦楽団との5番です。
 第一楽章はゆったりとした構えの葬送行進曲からテンポアップの第一トリオへの見晴らしが良いですね。第二楽章も出し入れの良いアゴーギクが各主題のコントラストを生かしていますね。
シャープなスケルツォから優美なレントラー、テンポの良い第三主題、展開部・再現部も安定した第三楽章です。
アダージェットはやや速めの澄んだ音色でスタート、アゴーギクを使い揺さぶりますがクール。個性的ですが悪くありません。第五楽章もバランス良く主題を絡めて提示部を進んで行きます。山場からコーダは速めの流れからビシッと締めます。
・・・・・
ややアゴーギクを振りますが、安心して聴けるマーラー5です。後のチェコフィル盤(CD)より好きですね。何か+αがあれば素晴らしかったでしょう。
音の抜けが今ひとつ、SACD盤ならすっきりするのかも…




(#3)
Czech PO
[Fuji Television] 1997-11/15 DVD
コバケンはアシュケナージが首席指揮者を務めた時代のチェコフィルとの映像・録音がありますね。この時期は日フィルの常任指揮者をしていました。
 冒頭のtpファンファーレにタクトを振らないのにビックリ! 葬送行進曲は適度な重厚さ、第1トリオとのコントラストも良いですね。第二楽章も第一二主題のコントラストをうまく付けて、展開部のスローも適度に押さえます。王道の第一部ですね。
スケルツォは管のまとまりが今ひとつですがレントラーは優美。第三主題も適度のスローで、展開部から再現部と繋ぎます。ややスローな事と管楽器の不安定さが気になりますが堂々とした第三楽章です。
アダージェット、中間部の揺らぎを含め一番標準的かもしれません。第五楽章は締まりのある流れで山場へ向かい、テンポよくコーダを華々しくまとめます。
・・・・・
次のチェコフィルとの録音、スロー方向への兆候が見えますね。でも通して堂々正攻法のマーラー5だと思います。




(#4)
Czech PO
[CANYON] 1999-3/11-13
チェコフィルを振るコバケンのマラ5の2枚目。チェコフィルのマーラーは各コンダクターで良い演奏を残していますね。ちなみに3年後2002年にプラハの春音楽祭オープニングコンサートで東洋人初のチェコ・フィル指揮をしています。
 第一楽章は葬送行進曲的な気配をあまり強くしていないのが功を奏して大きな構えです。二つのトリオの緩急の出し入れは弱いですね。第二楽章も同様ですが展開部のスローは大きく、その後ももたせ過ぎのテンポにクセを感じます。
第三楽章、スケルツォとレントラーをクセなく流して第三主題をドッとスローに、展開部から再現部は特徴はありませんがもったりして切れ味に欠けます。
アダージェットは抑揚抑えた緩やか〜な流れで終始します。第五楽章は第一楽章と同じく大きな流れを感じられ、コーダは見事です。
・・・・・
全体的には緩さ方向のアゴーギクにクセを感じます。二三四楽章のもっさり感が強いマーラー5です。録音は良いですね。




ベンジャミン・ザンダー, Benjamin Zander
Philharmonia O
[TELARC] 2000-8/7-10
ザンダーがフィルハーモニア管を振った5番です。当時の首席指揮者はドホナーニ、今はサロネンが手腕を振るっていますね。
 第一楽章は重厚さと主題(トリオ)間のコントラストが心地良いです。第二楽章も同じ気配で展開され、フィルハーモニアも破綻を来す事無く素晴らしいバランスです。微妙に振られた独自のアゴーギクとディナーミクの組み立てが歯切れ良さを生む第一部です。
第三楽章はスケルツォ、レントラー共には快活明朗、その後もスタンスは変わらず洒脱な第二部になっています。静音パートがやや緩さを感じのが残念。
アダージェットは速めで適度な揺さぶりの静寂さです。うまく過度の甘美さを回避していますがやや間延び感もあります。第五楽章を通して、特に提示部と山場、のスローさに緩さを感じます。コーダは得意の切れ味で爆演が見事!
・・・・・
録音の良さもあって心地良い第一部を味わえるのですが、その後のスローと静音パートの間延び感がちょっと残念。初めの期待が後でガックリのマーラー5です。

このCDは2枚組で1枚はザンダーの考えるマーラー5が語られています。ライナーノートにもマーラーの立ち位置等があり興味深いです。




ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli
Philharmonia O
[DG] 1985
続けてフィルハーモニア管ですが、ジュゼッペ・シノーポリ(Giuseppe Sinopoli)が首席指揮者を務めた時代の5番です。学研肌の指揮者で鳴らすシノーポリはシュトックハウゼンやマデルナの元で現代音楽も師事しています。
 美しい第一楽章。それはtpの音色の印象から来るのかもしれません。流れとしては特別な解釈をしている訳ではないと思います。
第二楽章も教科書通り、もう少し激しさが欲しかったかな。スケルツォは軽く、そして少々もたつき感を感じてしまいます。アゴーギク/ディナーミクの振り方がしっくり来ないからでしょうか? 同じ事がアダージェット、最終楽章にも言えますね。
・・・・・
個人的に落ち着かないです。シノーポリらしいと言えば、そうなのかもしれません。^^;




飯森範親, Norichika Iimori
Württembergische Philharmonie Reutlingen
[ebs] 2003-4
飯森範親が音楽総監督を務めたロイトリンゲン(ドイツ)のヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団との5番です。
 実に静かな第一楽章の出だしファンファーレ、葬送行進曲はスローに、再度現れる際のファンファーレは強烈でコントラストが見事です。第二主題も切れ味よく、この明白なコントラストが第二楽章でも引き継がれてシャープな第一部です。
第二楽章も切れ味鋭く入って、ここでもスローなテンポをうまく使いながらディナーミクで締まりのある演奏を見せてくれます。スケルツォ・レントラーは軽いリズムで柔らかい流れ、第三主題でも極端には落としませんが展開部と再現部では迫力を見せてくれます。
アダージェットは適度なテンポとディナーミク、冷たい美しさは好きなパターンですね。最終楽章も過剰な興奮もなくスマートな演奏です。山場からコーダに向けての盛り上げはその分素晴らしいですね。
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特徴的な弱音・強音andスロー・ファストのコントラスト。クールに計算されたマーラー5ですが、全体に感じる弱さが残念…

注:ハイブリッドSACDなのですがCDplayer(DAC含む)違いで音の厚みに差が感じられます。(我が家では)




井上道義, Michiyoshi Inoue

Royal PO
[RPO] 1990-5/9
個人的に好きなマーラーの指揮、Inoue MichiyoshiのロンドンRoyal Festival Hallでのライブです。
 例によって構えの大きな 超スロー & ディナーミク、実に個性的。第一楽章はまさに葬送行進曲で、静かな流れと音の出し入れが凄い。第二楽章が少々かったるいのはこの曲に対する個人的なイメージギャップかもしれません。しかしここでも個性は引き立ちます。第三楽章のスケルツォはダンスの様に華麗な立ち上がり、そして控えた展開になります。ここまで極静音に落とす解釈は殆ど思い当たりません。これでアダージェットにつなげるのか心配なるほどです。しかし後半テンポを上げ気味に展開してコーダの盛り上がりに繋げます。アダージェットはなんとも超静音のスタートで素晴らしい美しさ。実に繊細です。第五楽章もアダージェットからのきれいな繋がりを見せながら入り、そして壮大なコーダ。
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ロンドンのオーディエンスの熱きブラボーは半端じゃないです。お薦めです。






次は2013年1月のインバルとセーゲルスタムのマーラー5番の前に聴き較べをしようと思います。



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ラヴェルの Works For Piano, Four Hands を聴く

昨日に続いてピアノ連弾集をもう一枚。Louis Lortie と Helene Mercier による Maurice Ravel のピアノ連弾作品集です。これは表題の通り一台を二人、四手で弾きますね。
Ma Mere L'Oye、Rapsodie espagnole、は幻想的にして、かつ静寂が支配する素晴らしい楽曲です。テクニックよりもこの曲の美学をどこまで演じられるかでしょう。もちろんRapsodie espagnoleの IV. Feria の様に劇的に盛り上げて終わるパートも含まれます。
Introduction et Allegro は同じ様に静寂さ なのですが、明るさを感じるのが違います。

Bolero。言わずと知れたラヴェルの名曲をピアノ連弾で。まぁ、これはやらなくてもいいんじゃないかなぁ、なんて思っていました。面白いけど、想像が付いてしまいます。だいたいそんな感じ。コンサートのアンコールでやったら受けるでしょう。アルバム構成上は無い方が個人的には良いと思います。

ラストは La Valse。アルゲリッチ & フレイレの連弾を昨日紹介したので、どうしても比較してしまいますね。ラヴェルらしい幻想的かつ超絶性が同居する曲です。アルゲリッチ & フレイレの方が、一音一音がより明瞭強烈で迫力が迫ります。こちらの方は全体構成を幽玄性を持たせた印象ですね。同じ曲でもかなり印象が違います。ピアノ曲として聴くのであれば、圧倒的にアルゲリッチ盤がお薦めです。本アルバムでの構成、幻想幽玄な並びならこちらで。
でも、この曲は本当に名曲だと思いますね。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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