フランク・マルタン の Maria-Triptychon, Der Sturm, Jedermann を聴く

フランスの現代音楽家、Frank Martin。十二音技法を研ぎすました形をとる。得意の声楽が入る三曲が集められた一枚。
歌劇「嵐」Ste from Der Sturmはアンバランスな中に美しさを描き出す。スケール感も感じられる現代音楽歌劇。
マリア三部作 Maria-Triptychon は、細いソプラノから入る。こうなると”らしい”、何がらしいのか?、いわゆる近現代音楽的な気配十分。(笑)
閑話休題。三章からなる作品はヴォイスと弦のからみも良く、展開も明確で好きな曲調だ。
ホーフマンスタール(Hugo von Hofmannsthal)のイェーダーマンから6つのモノローグ Sechs Monologe aus Jedermann。六章からなる戯曲。ちなみに原作エヴィリマンをホーフマンスタールが独語化してザルツブルグ音楽祭で定例上演されている事で有名だ。「死神にとりつかれた大金持ちの男の劇」というサブタイトルになっている。ここでのマルタンの作風は「嵐」に近い。
Matthias Bamert 指揮、London PO による。こころ落ち着く作品だ。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ドイツの現代音楽家ヨーク・ヘラーの Sphären – Der Ewige Tag

York Höller(1944/1/11 -)の楽曲は以前も紹介しましたが、これも同じ傾向の曲調です。調性は無視されていますが、古典和声的な旋律のパートが多いので無調ですが、突飛でもありません。
と言っていたら「いつもそう言ってるけど、全部変だよ」 と横から声が。まぁ、そう言うことらしいですが ^^;

邦題は、『天球』、『永遠の日』で、ビシュコフ指揮 ケルン放送交響楽団の演奏です。

音はコンピューターとオケの組合せで、全体としてはサントラのイメージと言うとわかってもらえるかもしれません。『永遠の日』には音声も入る。音声が入るとより音の厚みが増す気がします。肉声は平均率ではないから当然ですね。常識的な調性に影響されなければ肉声が一番無調に向いているのではないでしょうか。
現代音楽は印象的な旋律が少ない分、映画音楽には採用されるケースが多いので実はみんな結構聴いているんですよね。NEOSレーベルらしからぬ、このヘラーのアルバムなどはそう言う意味でお薦めです。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サイモン・ラトル/BPOの「ブルックナー交響曲第9番 / 第4楽章補筆版」をアーノンクール、アイヒホルン、と聴き比べ

ブルックナーの交響曲では第9番が好きですね。と言っても第四楽章入りは今回のラトルBPOを含めて3枚しかありません。サイモン・ラトルとベルリンフィル盤が出たので聴き比べてみましょう。

これを入手したのは、第四楽章補筆完成盤と言う事ですね。それも、サマーレ、フィリップス、コールス、マッツーカ(SPCM)2012年最新版による第四楽章の初演。ラトルが以前からブル9第四楽章についてはいろいろコメントしていたので興味がありました。

ラトル指揮BPO、SPCM 2012年最新盤
CDかけて、いきなりイメージが違う印象でした。第四楽章がどうのといった以前の問題で、演奏があまり好みではありません。
言葉は不適切ですが、鼻からハリボテの様な演奏に感じて 管と弦のバランスも好みでありません。組み立ててくる音がちょっとスカスカに思えます。技術的にどうのこうのといった難しい事はわかりませんが…
世の中の評価に合わないと言う事は自分の駄耳の証明でしょうね。(汗)
10年後くらいに聴き直してみたいです。




アーノンクール指揮VPO、新全集版スコアの2002年盤
比較に聴いたのがこれで、実に好みの演奏でした。第四楽章はフラグメント演奏(楽譜が残っている部分の演奏)で、途切れ目はアーノンクール自身による解説が入ります。曲として素直に聴くのは厄介ですが、演奏はこの方が遥かに好みですね。それに別CDになるので、普通に三楽章完から違和感無くプラスで四楽章フラグメントに入れます。
例えばヴァントのスロー重厚演奏に慣れていると、第二楽章に現れるわずかなるアゴーギクが聞き手をハッとさせますが悪くないですし、第三楽章も緻密で間延びのない安心感がアーノンクールらしい重厚さにつながっていますね。
ナチュラルにブル9として聴いても、これは好みの上位に位置します。




アイヒホルン指揮リンツ・ブルックナーPO、1993年盤
実はブル9は未完成の第三楽章で静かに終わる事に慣れていますので、第四楽章盤はもう一枚しかありません。SPCM版の補筆完成ですね。流れで違和感無く第四楽章を聴けます。但し曲全体のタクトは軽く、残念ながら好みではないのですが。
(現在は全集版でしか入手不可の模様です)

マーラーの第10番もそうですが、作曲者本人が未完で終わった作品は素直に聴くのが難しい場合がありますね。



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アルゲリッチの「ルガーノ2011」が出ましたね

入荷遅れとか言いながら先日届きました。Martha Argerich and friends live from LUGANO 2011。2010年盤からジャケットがアルゲリッチのアップになり、それまでの重厚なイメージと変わりましたね。今年の写真はどうかねぇ。そう言えば同じ年の別府音楽祭のジャケットも似ていました。解説書の開いた1ページ目の写真の方がかっこいいかも。

一枚目の若手とのコラボは例によっていかにもアルゲリッチのルガーノ祭。一曲目のベートーベンのバイオリンソナタもアルゲリッチのサポートにRenaud Capucon のバイオリンですが、Capuconの音色はビオラに近い音出しが特徴的て暖色系。第三楽章Allegro vivaceでは強烈なアルゲリッチの追い込みにタジタジ風に感じます。
二曲目のモーツァルトのソナタはCristina Martonとのピアノ連弾、緊迫感が薄く少しだるいかも。例によってエンディングを締めますが、観客は素直で反応が薄いです。(笑)
三曲目のハイドンのピアノ三重奏は素晴らしい。Alissa Margulisのバイオリンは好きですね。冷めた音使いが良く。アルゲリッチの様子が浮かぶ様です。曲自体も、この手の場にふさわしい感じで、三楽章Finale: Prestoは最初から飛ばして仕上げてきます。
四曲目は得意とするシューマンで幻想小曲集。Capucon兄弟のGautierのCelloは透明感のある音色で悪くありませんね。三楽章Rasch und mit Feuerは切れ味鋭く息づかいが入っています。

二枚目は重厚な曲が集まっています。一曲目、リストの悲愴協奏曲ホ短調は個人的にも好きな曲で、Ailbersteinとの迫力ある2ピアノ演奏です。テクニカルな部分と、叙情的な部分がリストらしく、二人の呼吸もピッタリ、素晴らしいですね。
二曲目、ラフマニノフの悲しみの三重奏も良いですね。ちなみにこの曲にはアルゲリッチはいないのですがKozahukhin(p), Capucon(vn) ,Levionnois(vc) のセットはなかなか。
三曲目、ショスタコの"モスクワのチェリョムーシカ"から3-ピアノ連弾。前回も火の鳥(組曲)を3-ピアノでやっていましたが、こういうアプローチはこの音楽祭ならではの楽しさでしょう。アルゲリッチは不在で、Tomassi, Griguoli, Stella。ちなみにこの若手イタリア人ピアニスト3人は火の鳥も同じセットでしたね。編曲も同じGrigouliで楽しいですね。

三枚目はピアノ中心の大きな編成。一曲目はラベルのラ・ヴァルスで、これはTiempoとの2-ピアノ演奏。曲が良いですよねぇ。二曲目、ラヴェルのピアノ協奏曲はコメント割愛です。
三曲目はザレブスキのピアノ五重奏曲。ザレブスキ?恥ずかしながら知りませんでした。アルゲリッチ選抜Piano Quintetはいつもながらの素晴らしさで一楽章Allegroをオケ風にこなし、二楽章Adagioを感性高く。三楽章Scherzo: Prestoは民族音楽風な演奏から、四楽章Finaleへ。アルゲリッチの強烈なピアノのイニチアチブが光る演奏でした。ライブで観たら楽しいだろうね、って感じです。





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ジョージ・ロックバーグ の Violin Sonata-Caprice Variations を聴く

Peter Sheppard Skaerved (vn)、Aaron Shorr (p)、での演奏。George Rochbergのバイオリンソナタは十二音技法バリバリの現代音楽。ピアノとバイオリンの勝負といった感じで素晴らしいの一言。両楽器の出しどころ、引きどころ、これが現代音楽のデュオだといった処か。好演。
これにカプリース、曲からもわかる通りパガニーニのバイオリンソロ、の組合せはナイスカップリングだろう。バイオリンのピーター・シェパード・スケアヴェズ は、ソナタの繊細な音色にも合うし、カプリースの超絶的演奏にも良い、現代音楽にぴったりだ。もちろんカプリースは超絶曲であり現代音楽ではないが。多分、好むのは同じタイプかと思う。

現代音楽なら、この辺でもスタートにはいいかもね。

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バルトーク Concertos(Violin, Viola) を クレーメル, バシュメット, ブーレーズ で聴く楽しさ

Bartókの協奏曲3つを演奏している。"Concerto for Two Pianos, Percussion and Orchestara"、"Concerto for Violin and Orchestra no.1"、"Concerto for Viola and Orchestra"。バルトーク、ブーレーズ、BPO、クレーメル(vn)、バシュメット(va)なんと豪華な!
そう、一曲目のピアノとパーカッションは さておき。問題は2・3曲目にある。ちなみに一曲目のオケはBPOではなくLSOになる。

バイオリン協奏曲第一番はクレーメル(vn)。これだけでも役者は勢揃い。二楽章からなるこの曲。一楽章Andante sostenutoの入りからクレーメルの細く切れそうな音である。なんという緊張感だろう。そしてクレシェンドしながらカミソリの様な鋭さに。そして波のうねりの様なBPOとの協調に入っていく。そして極限に薄いカミソリの様なvnで終える。
そして二楽章Allegro giocosoは、リズミカルながらそこはバルトーク。微妙な不協和音とリズム変化を交える事で緊張感を高める。全体として緩やかな流れとクレーメルの緊張感のあるvnは絶品。バルトークのハープの入れ方は絶妙だな。

ビオラ協奏曲は三楽章からなる。第一楽章Moderatoはバシュメット(va)のソロから入るので似ている。入りはバレー曲の様な風合い。そしてすぐビオラの音域の広さを感じられる。バシュメットのビオラ中音域の音色の素晴らしさも光る。二楽章と三楽章はほぼ切れ目なくつながる。バイオリン協奏曲とにてリズム変化をつけてはいるが、不協和音は少なく、静と動、ビオラの音域を生かす曲調になっている。やはりソロに近いパートがバシュメットの技量を発揮していると思う。

一度聴いて欲しいね。

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ギドン・クレーメル の「Edition Lockenhaus」を聴く

クレーメルが主宰するロッケンハウス室内音楽祭。コンサートでの外れが少なく、多くの皆さんも私も、好きなクレーメルの5枚組のCDセットです。1981~2008年の録音をロッケンハウス音楽祭30周年盤としてセットしたものですね。悪かろうはずが無い、ですね。
この中の3~5枚は最高の出来と感じました。もちろん1枚目のラトル&クレメラータ・バルティカのメタモルフォーゼン、メシアンの声楽入りも良いんですけれど、ショスタコとエルヴィン・シュルホフの繋がりが将に完璧。クレーメルの目指した音楽が体感できると思うのですが、いかがでしょう。えっ、インプレになっていませんか??!
クレーメル好きの人にとってイメージ通りなので、それでOKですよね。

今年10月末日のクレーメル来日公演、クレメーラータ・バルティカ、そして期待のカティア・ブニアティシヴィリ(p)との競演チケットも既に先行予約でゲットしたのでこれを逃す理由が見つからないですね。





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シルベストレ・レブエルタス の La Noche de los Mayas を聴く

メキシコの作曲家、Silvestre Revueltas。管楽器をうまく使う、民族音楽性の強い作曲をする。特別違和感のある旋律や調性はないから聴き易い。年代から行けば現代音楽に近くなるが、無調や十二音技法には縁がないのでそちらの方向が苦手な方にもお薦め。
タイトル曲のLa Noche de los Mayasは、表題程に民族色はなく素晴らしい広がりだ。その他にもAlcanciasや民族色の薄いToccata、少し不協和音を取り入れたPlanosも含まれて、ラテンアメリカ系クラシックを聴くには実に楽しい一枚。

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リサ・バティアシュヴィリ の「Echoes of Time」を聴く

Batiashviliのドイツグラムフォン移籍第一弾「時の谺(こだま)」。あまり趣味の良い邦題に思えませんが。
バティアシュヴィリはあまり興味なかったのですが、曲目とサロネン、そしてグリモーの組み合わせに負けた.....かなw

一曲目のショスタコーヴィッチのバイオリン協奏曲一番はスタートの一楽章が良いですね。神経質なNocturne: Moderatoを良く表している感じです。サロネンが作る流れもピッタリとはまって悪くありません。欲を言えば、もっと細い繊細で切れそうな音を出してくれたらより好みです。でも、次の楽章からはボチボチ。曲調がショスタコーヴィッチ得意(特異?)の民族音楽性の高いパートに個性を際立たせるのが難しいようですね。バティアシュヴィリのvnの音色にももっと切れ上がる様な鋭さが欲しい気がしてしまいます。とはいえ四楽章では良い演奏を聴かせてくれています。
二曲目のカンチェリのV&V、やっぱり細い音が欲しい感じ。もっとカミソリの様な感じが好きですね。曲は流石はカンチェリ、素晴らしいです。

三曲目はショスタコのLyric Waltzで、これは良いですね。柔らかいフレーズはバティアシュヴィリのvnに良く合っています。こういう曲風の方が合うんじゃないのかな。次のペルトのSpiegel im Spiegelはオルゴールの様なメジャーで、合うのではないかと思うのですがスローの演奏がどっちつかず。グリモーとのデュオですが、グリモーの繊細なピアノが目立ちますね。後半に向けてグリモーに調和するように出来が良くなります。最後の一曲、ショスタコのVocaliseはメロディアスな曲が彼女のvnと合っていてグリモーのピアノも良い感じです。

個人的嗜好では、前半二曲の選曲が向いていない気がします。この手の曲の好みは丸みのある暖かい音よりも神経質な高音ですね。特にショスタコのvnコンチェルトなどはシャープさを感じられないとイマイチ感があります。後半三曲はきっと良い出来なのだろうと思うので、好みが違うから仕方ありません。そういう視点だとカンチェリとかイザーイの曲は難しいと感じました。





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リゲティ の 弦楽四重奏の一番と二番をパーカー・カルテットで聴く

György LigetiのString Quartets 1, 2。演奏はParker Quartet。
切れ上がる現代音楽。現代音楽は弦楽四重奏が実にあう。リゲティの代表曲とは言いがたいが、緊張感の高い演奏と楽曲はアグレッシブさが詰め込まれている。
トレモロを多用されるとミニマル傾向が出てしまうが、ここではそのような展開はない。リゲティの楽曲も幅が広い。これはその中では調性を破壊するような現代音楽ではない。調性に癖のあるダイナミックな、ディナーミクとアゴーギク風の弦楽四重奏といった感じ。各楽章をどうのこうのは不要だと思う。強烈である。これ以上に強烈なのが聴きたい貴方にはアルディッティSQ盤をおすすめする。
ぜひ生で聴いてみたい。
ちなみに三曲目のアンダンテとアレグレットはリゲティ初期の作品で二楽章からなるとても美しい弦楽曲。これは現代音楽とは無縁の調べ。現代音楽の作曲家は概ね前期はこの手の方向性が多い。

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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