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"いいとこ取り"の『マーラー 交響曲 第9番』 «ネット配信» エサ=ペッカ・サロネン指揮/シカゴ交響楽団 2018年5月


エサ=ペッカ・サロネン | シカゴ交響楽団
(Esa-Pekka Salonen | Chicago Symphony Orchestra)
8月13日までcovid-19の影響で活動休止中のCSOですが、E.P.サロネンが一昨年CSOを振ったマーラー9がネットで登場しましたね。

冷静な流れを作るサロネンとパワープレイのCSOという興味深いセットです。シカゴ響オフィシャルの"CSO Radio"から配信です。



▶️ CSO Radio (2021年の11月まで配信予定の様ですね)






«ネット配信»
マーラー 交響曲 第9番

EPSalonen-CSO-2018.jpg
[Live may 2018]


第一楽章
第一主題は抑えが効いた澄んだ流れに、第二主題も自然な流れからタメを作って山場を心地よく鳴らします。展開部前半は落着いた序奏から、第一主題回帰とワルツ引用を明るく、そして山場と見事な流れですね。中盤も陰鬱な第二主題変奏から上げて、第三主題回帰から大きな鳴りと共に後半のパッセージ葬送へと流れ込みます。心地良い見事な流れになっていますね。

第二楽章
主要主題は二つの動機をややスローに、鳴りを良く絡めます。第一トリオでは軽快さを見せるリズム感でチェンジして、心地良い流れです。第二トリオも極端な色付けはしませんね。

第三楽章
主要主題は穏やかな中に表情豊かなブルレスケ、第一トリオでも上手いリズム付けです。中間部(第二トリオ)ではスローに静、最終楽章をイメージさせる上手さになっています。ラストはいっきにテンポアップしシャープなストレット、爽快な楽章になりました

第四楽章
主部は包み込む様な優しく情感のある流れです。fg動機からは色濃くしていますね。第一エピソードは速めの流れで入って来るのが気になりますが、山場は違和感の無い流れになって、その後はスロー化します。計算されていますね。第二エピソードの入りがハープの音に聴え無いのですが… ここでも速めの流れから山場はCSOらしさ全開で大きく怒涛に奏でます。後半からコーダのターン音型は約束通りに鎮めて浮遊感の中で消え入ります。


冷静沈着な流れに、鳴りの良さが伴った心地良いマーラー9です。クールなE-P.サロネンと、パワープレイのCSOの'いいとこ取り'になりましたね。

キャラの異なるイメージ、個人的にです、のセットは失敗の可能性が大きい気がしますが、こういう事もある訳ですね。主席客演指揮者というのはどうでしょう。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団 の「マーラー 交響曲 第1番 "Titan"」バランス良さですね


アダム・フィッシャー Adam Fischer
(Düsseldorf Symphony Orchestra, 2017-2/10-12 Live rec.)
アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ響が進めるマーラー・サイクルから第三弾で登場した"第1番"ですね。

昨日インプレの1989年マーラー・フェスト・カッセル祝祭管から28年を経た"第1番"の変化はいかに!!ですね。




マーラー 交響曲 第1番「巨人」



第一楽章
序奏の弦ppp(pp)A音は鎮めて緊張感を与え、下降4度のカッコウ動機やファンファーレ動機との絶妙なバランスを作ります。提示部チェロの第一主題は明るく奏で、対位的な第二主題が絡むとリズミカルに広げますね。
展開部は透明感あるppスローからhr動機でテンポアップして穏やかな気配を作り、山場をハイテンポでバランスよく鳴らします。興奮はありませんね。
再現部は全体のおさらいの様に流れます。バランスが良く心地よさの第一楽章ですね。

第二楽章
スケルツォの主部は舞踏曲の様に優雅です。トリオでは繊細な弦の美しさをアゴーギクで際立たせ、上手い対比です。回帰では切れ味を加えた感じですね。

第三楽章
主部主題の短調『グーチョキパーで…』はやや速めに重さを控えた葬送行進曲で、カノンの流れを明確に奏しています。木管の二つの動機はスローからテンポを上げて雰囲気を変えて来ますね。良い流れです。中間部vnは緩徐の美しさを奏でて美しく、回帰からコーダは色合いを濃くするお約束になっています。

第四楽章
提示部第一主題はバランス良く落ち着いて、第二主題vnはスローな美しさに、そして緩やかに上げて行きます。
展開部第一主題も落ち着き感が強いですね。もう少しハジけても良いかもしれません。山場も行儀良さになっています。
厄介な再現部は序奏を静に心地よく、va動機を強烈に入れて雰囲気を緊張感に変えますね。コーダは落ち着いて勝利を讃えます。


突出したものはありませんが、バランス良く聴き易い"マーラー1"です。何か一つスパイスがあると嬉しい感じですね。

個人的好みはマーラー・フェスト・カッセル祝祭管との若々しさかもしれません。全体の流れはよく似ていますが、スローパートも含めて安定感のデュッセルドルフ響と言った感じでしょうか。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アダム・フィッシャー/マーラー・フェスト・カッセル 1989 の「マーラー 交響曲 第1番 "Titan"」山場の鳴りの良さです


アダム・フィッシャー Adam Fischer
(グスタフ・マーラー・フェスト・カッセル祝祭管弦楽団, 1989 Live rec.)
A.フィッシャーがドイツのカッセル国立劇場の音楽監督時代(1987-1992)、グスタフ・マーラー・フェスト・カッセル音楽祭(1989年)で祝祭管弦楽団(Festspielorchester des Gustav Mahler Fest Kassel)を振った"マーラー1"が登場です。

なぜ今頃になって31年前の録音が登場したのでしょうか。デュッセルドルフ響とのチクルス推進中で"商売"になるという事でしょうねぇ。きっかけがなんであれ、聴けるのは嬉しい事ですが。




マーラー 交響曲 第1番「巨人」



第一楽章
特徴的な序奏A音静の7オクターブ・フラジョレットはやや音量が大きく、カッコウの4度下降は暗目です。チェロの第一主題が優美な舞踏風に登場、対位的な第二主題は繊細に流れます。明るい山場から反復して、展開部は繊細な序奏回帰で進みhrが明るさを見せて、山場は怒涛に鳴らします。再現部はその流れに乗って派手に、フィニッシュも壮大ですね。

第二楽章
スケルツォの主部は小気味よく低重心リズミカルです。トリオのレントラーでは軽妙ですが落ち着かない気配を感じますね。回帰ではいっそう重厚方向になります。

第三楽章
主部主題の短調『グーチョキパーで…』は暗さ控え目な葬送行進曲でカノンの流れは薄く感じます。木管の二つの動機は哀愁と軽妙さを上手く使い、中間部は緩やかなvnですが、今ひとつ締まりが弱いでしょうか。回帰は通常的で、アタッカで最終楽章へ入ります。

第四楽章
シンバルからの序奏はやや抑えて、提示部第一主題の管楽器と低弦が勇壮に出て来ます。激しい流れからの第二主題は優美スローですが、今ひとつ一体感に欠ける感じですね。
展開部第一主題は派手に鳴らして、徐々に上げて行き山場は落ち着いています。
厄介な再現部は静の表情を見せながら動機を並べて進みます。悪くはないのですが、緊張感が欲しい感じです。vaの動機で緊張感が出て山場は激走し、コーダは金管が鳴らし合いながら見事に終結させますね。


クライマックスの激しさを中心に据えたスカッとしたマーラー1です。なんと言っても鳴り派手な山場が聴かせどころでしょうね。スロー静のパートも悪くないのですが、そこに締まりがあったら更に良かったと思います。

こうなると次回は、デュッセルドルフ響との第一番をインプレしなければなりませんね。(未インプレですが既聴済みで、スロー静は一枚上手です)




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





オスモ・ヴァンスカ /ミネソタ管弦楽団 の「マーラー 交響曲 第7番」見晴らしの良さ!


オスモ・ヴァンスカ, Osmo Vänskä
(ミネソタ管弦楽団, Minnesota Orchestra)
ヴァスカ/ミネソタ管のマーラー・チクルス第6弾となる第7番が登場です。個人的には第三楽章〜第五楽章にかけての大きな変化がポイントですが、さてヴァンスカはどう繋げたのでしょうか。

現在A.フィッシャーもデュッセルドルフ響とチクルス中なので新しい流れが楽しめますね。




マーラー 交響曲 第7番



第一楽章
序奏, ボートを漕ぐリズムのテノールホルンの主題は標準的、木管の行進曲動機はスローです。提示部hrとvcの第一主題はリズミカルに登場、第二主題は感情を少し揺さぶって、コデッタは明るい行進曲になっています。長い展開部は動機や主題を入れ替えながらメリハリがありますね。第二主題は叙情豊かに広がりよく、第一主題回帰の山場は抑え目に作ります。
程よい揺さぶりで見晴らしの良い第一楽章になっています。

第二楽章
序奏のhrの掛け合いから主要主題は弦を連れて緩やかな行進曲風に進みます。チェロの第一トリオは優美に踊る様に現れて、中間部(第二トリオ)は哀愁をobが歌います。
良いリズムとテンポ、バンダとの掛け合いも上手く使った楽章になっています。

第三楽章
主部の動機群は適度な刺激を与えて潜む様な緊張感があります。マーラーの言う "影のように"ですね。中間部ではあまり変化を付けて来ません。

第四楽章
主要主題は緩やかでこの楽章らしさが出ています。そうなると、繰り返される変奏、そしてギターとマンドリンの音色が生きて来ますね。中間部では、その流れに長調旋律をのせる感じでいいですね。洒脱です。

第五楽章
主要主題は金管が華やかに空気を一変させます。パッセージも明瞭さですね。パウゼ後の第一エピソードは舞曲風に、第二エピソードはメヌエット風に主題と絡みます。その後は二つのエピソード変奏をテンポを振って進みます。第一楽章第一主題の回帰を切れ味良く陰鬱を醸して再現させて、優美な第二エピソードからコーダは華やかに結びます。



程よい刺激と揺さぶりがマッチしたマーラー7です。第三楽章の不気味さから、第四楽章の小洒落た夜曲、そして最終楽章の祭典的明るさ。この曲らしさ全開です。

予想を上回る素晴らしさを味わえました。アゴーギクの使い方が心地よく、今回のチクルスの中では聴き応えのある一曲になっているのではないでしょうか。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団 の『マーラー 交響曲 第9番』は最終楽章ですね



アダム・フィッシャー Adam Fischer
(デュッセルドルフ響 Düsseldorfer Symphoniker)
アダム・ フィッシャーとデュッセルドルフ響のマーラー・サイクルから第9番が出ましたね。ここまでで穏やか基調のマーラー像になっているので、何となく想像できてしまう感じです。


 ▶️ マーラー交響曲第9番 100CD聴き比べ




Mahler Symphony No. 9



第一楽章
第一主題はスローで穏やか、いかにもA.フィッシャーらしいです。第二主題は急に黒雲が広がる様に、山場もコントロール下にありますね。展開部前半は緩やかな暗さからJ.シュトラウスII引用を穏やかに、アレグロ・リゾルートから山場も興奮っぽくを見せつつ冷静です。後半もアゴーギクを使って揺さぶりつつ、決して荒れる事はありませんね。第三主題回帰からの山場も客観的です。再現部は丁寧に。


第二楽章
主要主題は正攻法に二つの動機を絡ませ、第一トリオをテンポ明確にして色合いをつけています。第二トリオも基本に忠実な穏やかさで、変化球なしの王道的な第二楽章です。失敗の少ない方向性ですね。


第三楽章
ここでも王道の流れで、主要主題はテンポ良く 緩やかさの第一トリオと絡んで軽快です。中間部(第二トリオ)も予想通りの穏やかさでチェンジペースです。ラストpiù strettoは一瞬間を置いて走る計算した〆めになっていますね。


第四楽章
主部は穏やかな夕暮れの様、fg動機はグッとスローにして後半をテンポアップしています。程よいスパイスですね。第一エピソードは暗くスローに入り後半のターン音型を意識させていますね。弦楽器のポルタメントが懐かしさを誘います。第二エピソードでも冒頭からターン音型の静かな儚さを奏でていて方向性は全てラストに向いているのが明確です。山場は激しさではなく高まる感情になっていて、後半からコーダはまさに絶え入るがごとく… この最終楽章は"あり"かもしれません。



落ち着いた流れで細部まで計算されたマーラー9です。静音パートは魅力的で、強音パートも興奮を排しながらも刺激を与えます。特に最終楽章の静のターン音型表現はピッタリですね。

全てがコントロール下にある安心感と穏やかさをベースにした構築が好みを左右するでしょう。それがA.フィッシャーですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ズービン・メータ指揮/ロサンゼルス・フィル『マーラー 交響曲 第2番 "復活"』2020年1月 «web配信» アルトの藤村実穂子さんが光りました

アルトで藤村実穂子さんが登場した今年1月のロサンゼルス、コロナ禍直前の公演ですね。


Conductor | Orchestra
ズービン・メータ Zubin Mehta
(Los Angeles Philharmonic)
ロサンゼルス・フィル/名誉指揮者メータのマーラー2番です。ソプラノがチェン・レイス(Chen Reiss), アルトが藤村実穂子さんで歌手陣も実力派布陣ですね。メータはイスラエル・フィルとのマーラー3番(CD:2016年rec.)でも藤村さんを起用していますね。

本年1月と思われるコンサート、これは是非聴きたいですよね。ロサンゼルスの放送局KUSCからのweb配信です。


▶️ KUSC (期間は短いと思われますのでお早めにどうぞ)





マーラー 交響曲 第2番 "復活" «web配信»
(Live at Walt Disney Concert Hall, Jan 2020)

LAphil2020-mahler2-mehta.jpg


第一楽章
第一主題から葬送行進曲は落ちついた流れ、第二主題は情感美しく祈りの様です。コデッタも興奮は避けて〆められます。展開部前半は柔らかく美しい第二主題、コデッタ動機からの山場は気持ちを引き締めます。後半は激しい入りから一気に低く沈みスローに、コラールの山場を勇壮に盛り上げ、コデッタ動機を打ち付けます。再現部は両主題を丁寧にトレースしていますね。
冷静に抑えた第一楽章になっていますね。

第二楽章
主要主題はスローな宮廷音楽メヌエット風に、トリオでは繊細な弦で哀愁を付加して来ます。ピチカートのラスト主題回帰がアゴーギクで表情豊かになっていますね。

第三楽章
主部は緩やか流麗な『子供の不思議な角笛』で、中間部は金管が典礼曲風に広げます。コーダはその動機が大きく鳴りますが、抑えが効いていますね。

第四楽章
主部アルト、藤村さんの「原光」は落ち着き払った中に伸びがよく聴かせてくれます。中間部でも管楽器に包み込まれる様に明るい声で聴かせます。藤村さんの楽章になっていますね。

第五楽章
提示部第一主題の金管は落ち着いて、パウゼ後のhrの動機が穏やかに響きゆっくりと歩みを進め、第二主題の木管は繊細に"怒りの日"を鳴らします。"復活"の動機が穏やかに出ると、三つの動機が神経質に絡んで緊張感が伝わります。
展開部"死者の行進"は軽快さでリズミカルに進みます。心地よさがありますね。
再現部は緩やかなhrが印象的に入り、緊迫感を上げて行きます。夜鶯は繊細ですね。クロプシュトック"復活"の合唱は静に現れ、ソプラノが寄り添う様に登場します。アルトは "O glaube, Mein Herz" を切々とシャープに歌い、落ち着いた気配で男声合唱が出るとsop/alto重唱が朗々と対位旋律を見事に歌います。そこからは山場へ登りあがり感動的な"Aufersteh'n"で、ここに全てを終結させた素晴らしさです


穏やか流麗でラスト大団円終結のマーラー2です。とどめのラストへ全てを集中させた素晴らしさですね。よくあるパターンではありますが、バッチリ決まりましたね。

ストーリーの作り方、そしてこの曲の主役であるアルト、藤村さんがやっぱり光りましたね。楽しめました。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





インバル/都響 二枚の「マーラー 交響曲 第8番 "千人の交響曲"」その違いは?!



Conductor | Orchestra
エリアフ・インバル Eliahu Inbal
(東京都交響楽団, Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra)
約6年違いでの同楽団とチクルス完成という不思議なインバル/都響のマーラーですね。マーラー振りの指揮者と、マーラーを得意とするオケの二回の録音の違いはどこにあるでしょうか?!



マーラー 交響曲 第8番


① 2008-4/9 ミューザ川崎シンフォニーホール




第一部
提示部:第一主題「来れ創造主たる精霊よ」は程よく激しく、第二主題のソプラノ(#1)はスローに落ち着いて各独唱の重唱も丁寧に流れます。
展開部:入りの管弦楽奏は暗い中にリズムを与えて、再び重唱になり朗々とした歌唱が聴き応えがありますね。第一主題変奏と合唱は激しく登場しそのまま山場を構築します。
再現部:興奮を落ち着かせる様に重唱群が出現して、コーダは少年合唱団の"Gloria…"が弱い感じですが、ラストは高揚して終わりますね。
このパートらしい緩急出し入れの明確な第一部になっていますね。特別な事はないのですが…


第二部
【1. 序奏:山峡・森・岩・荒地】
5度下降のピチカートが印象的な主題を陰影強く表現していますね。程よい揺さぶりが聴きやすさを作っています。

【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
序奏主題からの「合唱とこだま」は表情が薄い感じです。「法悦の神父」はテノール風のバリトンで、「瞑想の神父」は少々弱目ですが、愛を讃歌します。

【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
「天使の合唱」もやや弱め、「若い天使たち」も少し弱いですね。「成熟した天使たち」ではvnのソロとアルト(#1)が登場しますが、どうしても合唱の弱さが気になります。「未熟な天使たち」「祝福された少年たち」も同じですね。

【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
「マリア崇拝の博士」のテノールは伸びの良い高音が役柄らしい気配を出して心地良いですね。「かつてのグレートヒェンの告白」(sop2)はやや表情に欠けます、「罪深き女」(sop1)の方が表情がありますね。「サマリアの女」(alto1)鎮めた印象を上手く歌い素晴らしいですね。「エジプトのマリア」(alto2)はやや腰高の印象で、"贖罪の女三人の合唱"は絡みが弱い感じです。
「懺悔する女 (グレートヒェン)」はいっぱいいっぱい。ピークとなる短い「栄光の聖母」は印象に全く残らず残念!

【5. コーダ:神秘の合唱】
「神秘の合唱」を静かに唱えると、ソリストが入るとスローで山場へ向かい大団円を作ります。興奮や高揚は避けた感じでしょうか。


特別な個性は感じられません、第一部は曲なりの良さですが、第二部歌唱パートは気になります。

テノールは良かったですし、サマリアの女のアルトも表現力がありましたが、他のソロや合唱には弱さを感じますね。





② 2014-3/8 東京芸術劇場, 3/9 横浜みなとみらい




第一部
提示部:第一主題「来れ創造主たる精霊よ」はテンポを速く切れ味があります。第二主題のソプラノ(#1)とそこからの重唱群は良い絡みを聴かせてくれていますね。
展開部:入りの管弦楽奏も表情が付いて、重唱はバランス重視、一転第一主題の変奏と合唱は派手派手しく鳴らし歌い上げます。見事な山場で、コントラストが見事ですね。
コーダは少年合唱団で始まる"Gloria…"から山場へは緊迫感を見せて一気に駆け上がり、見事にフィニッシュします。上手い流れです
表情豊かで見晴らしが良くなった第一部です。


第二部
【1. 序奏:山峡・森・岩・荒地】
5度下降(一楽章第一主題は4度)のピチカートが印象的な主題は適度に、山場は鋭い緊迫感を与えています。

【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
「法悦の神父」はスロー静から緩急を交えて表現あるバリトンで、「瞑想の神父」のバスもワーグナー風な表現力で、愛を歌います。もう少し声量があれば尚可でしょうね。

【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
「天使の合唱」「祝福された少年たち」も明瞭に、速いテンポが生きます。「成熟した天使たち」ではアルト(#1)が合唱に乗ってしっかりと愛の絆を歌っています。

【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
「マリア崇拝の博士」は児童合唱の勢いの上に現れて、テノールを生かして聖母を讃えます。まぁ役得ではありますが。優しいオケと合唱の流れから「かつてのグレートヒェンの告白」(sop2)は伸びやかに、「罪深き女」(sop1)も優しいソプで、「サマリアの女」(alto1)は低い声で切々と、「エジプトのマリア」(alto2)はシャープに、それぞれ願いを歌います。女性陣のバランスが良いですね。
「懺悔する女 (グレートヒェン)」の願いは澄んだsopでファウストを思う優しさを感じられ、ちょっとグッときます。そして応えるバンダの「栄光の聖母」はハイトーンで包み込む感じ、良いですね。このグレートヒェンから聖母は見事です。

【5. コーダ:神秘の合唱】
「神秘の合唱」で '永遠の女性' を静に讃えると、ソリストが入ってゆっくりと山場へ向かい、大団円はタメを作って炸裂です。お見事!


緩急出し入れと歌手陣の充実で、見晴らしの良いマーラー8になっています。バランスが良く、全編通して心地よさが感じられますね。

突出した何かはないかもしれませんが、録音も良く、誰でも安心して楽しめる一枚ですね。




緩急ある楽曲構成と歌手陣の充実度で、②の完成度が勝りますね。インバル/都響の二録音は概ねこの傾向にあると思います。

録音も妙に作り込まれた①よりも②の方が臨場感があって好感がもてますね。(個人的嗜好です)
個人的にはインバルはショスタコーヴィチやバルトークの方が素晴らしいと思っていますが。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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