アンナ・ネトレプコ『闇に抱かれ, Amata dalle tenebre』微妙なイゾルデ
闇に抱かれ, Amata dalle tenebre
(アンナ・ネトレプコ Anna Netrebko, b.1971: sop)
(アンナ・ネトレプコ Anna Netrebko, b.1971: sop)
今年50歳を向えた現在最高のディーヴァの一人アンナ・ネトレプコ。個人的には30代の頃の繊細なsopが意外に好きですが。
5年ぶりのリリースとは驚きで、もっと頻繁に出ていたかと思いましたがやっぱり聴いてみたくなりますね。
演奏はリッカルド・シャイー指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、曲目は以下の通りです。
5年ぶりのリリースとは驚きで、もっと頻繁に出ていたかと思いましたがやっぱり聴いてみたくなりますね。
演奏はリッカルド・シャイー指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、曲目は以下の通りです。
1. R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》「すべてのものが清らかである国がある」
2. ヴェルディ《アイーダ》「勝ちて帰れ!⋯神々よ、憐れみたまえ」
3. ヴェルディ《ドン・カルロ》「世のむなしさを知り給うたあなた」
4. ワーグナー《タンホイザー》「貴き殿堂よ」
5. チレア《アドリアーナ・ルクヴルール》「哀れな花よ」
6. チャイコフスキー《スペードの女王》「もうかれこれ真夜中⋯ああ、心配で疲れ切ってしまった」
7. プッチーニ《蝶々夫人》「ある日、わたしたちは見ることになるのよ」
8. ワーグナー《ローエングリン》「ひとりさびしく悲しみの日々を送り」
9. プッチーニ《マノン・レスコー》「独りぼっちで、破滅して、見捨てられて」
10. パーセル《ディドとエアネス》「ベリンダ、そなたの手を⋯土の中に横たえられし時」(ディドの嘆き)
11. ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》「穏やかに、静かに彼が微笑み」(イゾルデの愛の死)
■ まずは入りの1. アリアドネは落ち着きを払ってmez風に、そしてヴィブラートを効かせてハイトーンで色付けします。2.のアイーダでは勇壮そのもので今のドラマティコの実力を見せつける様に、3.のエリザベッタも堂々朗々で表現力も濃いです。ヴェルディの重厚さがフィットしていますね。
4.のエリーザベトは伸びやかなsopを利かせ、5.ではアドリアーナを繊細なハイトーンで歌い上げて、6.のリーザはチャイコらしい後期交響曲風の音に乗って鬱美と、様々な表現力を披露して来ます。伸びやかなsopで表現力も十分な7.の蝶々夫人は今回の聴き処でしょう。
8.のエルザは明るく力強くて、もう少し鬱に歌っても良かったかもしれません。9.ではオケと共に哀愁を湛えた音楽に浸りますがネトレプコのマノンですから力感も仕込みます。一転10.ディドは哀愁を切々と歌います。この二曲のコントラストがいいですね。
ラスト11.はオケが前奏曲をかなり濃厚に奏でているのが印象的と言うか、何か違う様な。イゾルデも力強いsopで歌い上げて、演奏も歌も素晴らしいのですが何処か違和感が残ります。
その "イゾルデの愛の死" の映像付きですね
DGなので音は本CDと同じだと思います
どの曲でも同様な完成度があり少々お腹いっぱい感もありますが、ネトレプコらしいsopと表現が楽しめる一枚になっていますね。
良く知られた楽曲が並び、オケも前奏曲等のパートで濃い表現を見せてネトレプコのsopとフィットしていました。個人的には力の抜けた曲はそれなりにバランス良く聴きたかった感じがしますね。
良く知られた楽曲が並び、オケも前奏曲等のパートで濃い表現を見せてネトレプコのsopとフィットしていました。個人的には力の抜けた曲はそれなりにバランス良く聴きたかった感じがしますね。