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ゲッベルス/ハース(Heiner Goebbels & Alfred 23 Harth)の「Live À Victoriaville」前衛ジャズ


Live À Victoriaville
(Heiner Goebbels, Alfred 23 Harth)
前回インプレのハイナー・ゲッベルスと言えば個人的にこのアルバムです。"Duo Goebbels/Harth" によるフリージャズですね。せっかくですから久しぶりに聴いてみましょう。(1987 LIVE, リリースは1993)

このアルバムのラスト "The Peking Opera / Peking Oper" を元に大友良英さんのGround Zeroによる名作「革命京劇」が作られました。

ピアノとサックスのデュオですが、他に演奏する楽器は多彩です。
[ゲッベルス]
ピアノ, シンセ, クラリネット, anches(木管のリード?), テナーサックス, violon chinois, パーカッション,ヴォイス
[ハース]
テノール&ソプラノサックス, バスクラ, anches, トロンボーン, クラリネット, トランペット







1. The Ballad of the Rotten Jacket / Ballade von Zerrissenen Rock
強鍵のpfとサックスが絡む力感溢れる流れ、ジャジーなテーマをキープしていますね。バラードの様なテーマも含まれていますが、中盤にはフリー・インプロビゼーションが登場します。


2. Los campesinos
pfとsaxのバラードで落ち着いて入って来て十分に聴かせると、速いアルペジオになって激しさを増します。そして即興的な興奮えと突入ですね。pfは調性を外して来ます。


3. The Ballade of the Durable Grey Goose / Ballade von der haltbaren Graugans
pfとsopsaxの会話の様な軽快な入り、途中で言い争いになったりw そして混沌的pfとなるとそこからは興奮即興パターンになります。この流れが軸ですね。 笑いをとる曲です。


4. The Laughing and the Crying Man / Der lachende und der weinende Mensch
2'弱の小曲で、エレクトロニクスな楽曲です。anchesを使っている?! パーカッションがアフリカンリズムの様な印象を作っていますね。


5. Lightning Over Moscow / Blitze über Moskau
これも4.と似た様相で、シンセとパーカッションと楽器群で構築されて面白い流れを作っています。ファンクでプリンスっぽさも感じますね。


6. Imagine You're a Dolphin / Stell dir vor, du bist ein Delphin
タイトルの通り水中の環境印象が作られます。pfの特殊奏法が使われているでしょうね。静な流れで面白い音が作り込まれてvoiceも入る楽しい曲です。


7. On Suicide / Über den Selbstmord
バラードで入ります。この時点で流れが予測できますね。と思いきや期待を裏切って即興には陥りませんでしたw


8. Le rappel des oiseaux
twin saxの微妙なホモフォニーで対位的かもしれません。これまでにない古典クラシカルなイメージです。まるでバッハの対位法の様で新鮮に聴こえます。


9. The Peking Opera / Peking Oper
唯一10'を越える曲です。プチプチと言うレコードのスクラッチノイズが入っていますがサンプリングでしょう。そして他にも特殊奏法のノイズが反復する中華和声の上に被り、フリー・インプロビゼーションと遊び心満点の表現が散りばめられて来ます。
サンプリングの中華アジテーションも入ってこれはコラージュと言っていいでしょうね。B.A.ツィンマーマンが聴いたらどう思うでしょう。(大友さんの革命京劇でも書きましたが)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



フリー・インプロビゼーションと特殊奏法の表現を軸にした前衛音楽で、今でも楽しく聴けますね。

激しくブロウするよくある即興ジャズ系とは一味違う遊び心に満ちた表現力は今でも魅力的です。特にラストの"The Peking Opera / Peking Oper"は拍手ですね👏



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洒脱なダンス音楽集:バーバラ・ハンニガン(Barbara Hannigan) の「Dance With Me」


ダンス・ウィズ・ミー
(バーバラ・ハンニガン, b. 1971)
カナダのソプラノ歌手ですが、今では指揮者の顔も随分と広がっています。sopの技量はそれほどでも無い感はあるのですが、特に現代オペラでの表現力の素晴らしさは群を抜きますね。

アルファ・レーベルからの彼女のリリースは毎回ワクワクするわけですが、今回はダンスミュージック集です。ジャズやタンゴまでジャンルに拘らずに良く知られた12曲で構成されています。

演奏は指揮者としてのハンニガンと密接な関係のルートヴィヒ管弦楽団(Ludwig Orchestra)の他、ベルラーヘ・サクソフォン・クァルテット(Berlage Saxophone Quartet)、tpソロはルシエンヌ・ルノダン=ヴァリ(Lucienne Renaudin Vary)、ソプラノは御本人です。







1. Moonlight Serenade - 2. Quien sera - 3. Youkali - 4. Copacabana - 5. Fluffy Ruffles - 6. Je veux t'aimer - 7. Whispering - 8. My Shawl - 9. I Could Have Danced All Night - 10. In The Mood - 11. Lambada - 12. Salut d'amour

まず冒頭グレン・ミラーの1. "ムーンライト・セレナーデ"でこのアルバムのコンセプトがわかりますね。ハンニガンのsopを含めて心地良くメローな流れに作り上げられています。ラテンの名作2. "キエン・セラ"も切れ上がる様相の角を落として心地良さ、バニー・マニロウのヒット曲4. "コパカバーナ"はチャカポコとしたリズムにルノダン=ヴァリがtpを洒脱に鳴らします。途中でジャジーな流れも取り入れますね。

5. "フラッフィー・ラッフルズ"ではハイテンポに軽快に、7. "ささやき"は大人の遊園地音楽、マイフェアレディからの9. "一晩中踊れたら"は美しいワルツになっています。
そして10. "イン・ザ・ムード"のライト・ジャイヴな洒脱さは思わず指を鳴らしてしまいますね。ラストはエルガーの名曲 12. "愛の挨拶"で、まさに愛を奏でるかの様です。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  アルファのPVで"3. Youkali"です



ジャンルレスで洒脱なダンス・ミュージック集になりましたね。若い頃だったら '中途半端で単純' などと知った風な口を利いていたかもしれません。

聴いた音楽の数や経験を重ねるとこう言った楽しみを感受出来る様になるのは本当に嬉しい事です。
誰か遊びに来た際にかけておいたら、ジャケットと合わせて最高にオシャレなBGMになること間違いなしです!



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サン・ラックス(Son Lux) の「Bones」はLIVEが断然楽しいネ



サン・ラックス Son Lux
サン・ラックスは、以前 "eighth blackbird" のCDで楽曲をインプレした際はライアン・ロット(Ryan Lott)の別名義でしたが、本作では他二人のメンバーが加わったグループ名になっています。

具体的には2008年からR.ロット(keyboard, vocal)が使い、そこにツアーメンバーだったラフィーク・バーティア(Rafiq Bhatia, guitar)とイアン・チャン(Ian Chang, dms)が2015年に加入しています。

ポスト・ロックやエレクトロニカ方向は元々のR.ロットの方向性で、ジャズやヒップホップも包括してボーダーレス化。さて、どの様な方向性になったのでしょうか。



Bones (2015)
グループになっての初アルバムで、ジャンル的にはトップダンス/エレクトロニックのアルバムチャートで10位になっています。全曲がメンバーの作曲となっていて、制作とミキシングを含むレコーディングもこなしていますね。14人のvocalの他 演奏メンバーも追加しています。







1. Breathe In - 2. Change Is Everything - 3. Flight - 4. You Don't Know Me - 5. This Time - 6. I Am The Others - 7. Your Day Will Come - 8. Undone - 9. White Lies - 10. Now I Want - 11. Breathe Out

まずは低音ドローンにvocalの1'に満たないアンビエント "1. Breathe In" から入ります。"2. Change Is Everything" は電子音パルスの波の中、"4. You Don't Know Me" はヒーリング・ポップス、"5. This Time" のギターはディストーション、"8. Undone" では少しジャズ風ギターに、全曲歌入で簡単に括るとポップ・ミュージックです。

源流を手繰ればプリンスあたりが出て来そうな感じですね。



エレクトロニクス・ポップサウンドで、全曲歌入。もろにポップで このブログの守備範囲ではない様です。




実はLIVEがYouTubeにあって、こちらはvocalも含めて本人達トリオ演奏で全然面白いです。楽曲を「Bang On a Can」か「eighth blackbird」に提供して編成を見直せば、米エクスペリメンタリズムとしても生き生きとしそうですよね。えっ、ダメですか?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "Bones"のLIVEです。圧倒的に面白いです!!
  CDはセッションなので、このエレクトロニクス・ポスト・ロック感は弱いです


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ジュリアン・ジュベール(Julien Joubert) の「Vous ne saurez jamais...」美しいフレンチ・ミュージック



ジュリアン・ジュベール (Julien Joubert, 1973/10/15 - )
仏音楽家のJ.ジュベールはチェロ・ピアノ・歌唱から作曲家に転向していて、一部作品を指揮者/オーケストレーションの兄との共同作業にしている様です。作曲のモチーフとして詩人・文学者のTEXTを元にしている事も多い様ですね。また少年少女たちとの合唱団活動にも力を入れているそうです。

聴く側にとって厄介?なのは楽風が多岐にわたっている事の様ですね。よくわからないのが魅力だと仏webにもありますw


Vous ne saurez jamais...
仏小説家マルグリット・ユルスナール(Marguerite Yourcenar)の作品を元にした楽曲ですね。死した女性の七つの詩で、苦悩に耐える為の源になるTEXTが盛り込まれているそうです。それなのにライナーノートにTEXTないという…w

楽曲タイトルが "Vous ne saurez jamais..., あなたは決して知る事はない…" なのか "Tombeau, 墓石" なのかもよくわかりません。前者はジャケット・タイトルですが、楽曲としては後者の第7パートです。

指揮・オケの他に、二人の歌い手に本人のピアノ、そして合唱団が入ります。







1. Tombeau (2019?)
2'〜3'の小曲7パートの楽曲です。美しい調性?の歌曲です。もちろん前衛でもなければクラシカルっぽくもありません。シャンソンを感じるパートはありますが、ポップス系でもなくムードミュージック系でしょうかね。
グルノーブル冬季オリンピックのフランシス・レイのサウンド・トラックを思い出しました



このブログのインプレ曲ではありませんでしたが、心が洗われる様な美しい楽曲には違いありません。

ちなみにフランシス・レイのサウンド・トラック盤は好きでCDになっても所有しています。




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チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden) の「Liberation Music Orchestra」今聴いても素晴らしいビッグバンド前衛!


今更古い前衛ジャズを持ち出してどうする?、と言う事もありますが前回インプレにカーラ・ブレイの名前が出ていたので主張のある前衛の "Liberation" (社会的 政治的解放)な音楽を久々に聴いてみようかと。


Liberation Music Orchestra
Charlie Haden (1937-2014)
ジャズを聴いていた学生時代にハマったアルバムで、ベーシストのC.ヘイデンが政治的バックグラウンドとフリージャズを基に組織・楽曲化した1970作品です。ヘイデンの他にカーラ・ブレイが編曲を含めて大きくフィーチャーされて、後の彼女のベースともなっているでしょうね。

楽曲は9パートで、現代音楽のハンス・アイスラーやフリージャズのオーネット・コールマンの作品も"引用"、現代音楽の技法で言えば、で盛り込まれています。引用としてはラストのピート・シーガー "We shall overcome" が印象的でしょう。

編成は13人で、ジャケット写真で右端がC.ヘイデン、左端がC.ブレイ、座っているのはドン・チェリーですね。他にもG.バルビエリやD.レッドマン、P.モチアンと言った錚々たるメンバーです。







リベレーション・ミュージック・オーケストラ (1970)
パート毎のインプレはしませんw
ジャジーなメロディラインに不協和音、ビッグバンドの響き、地域を超えた民族和声展開、主張ある楽曲引用、そして混沌フリーと言ったまさにダイバーシティーなサウンドです。

特にメインとなる"III.Medley"のポリリズム・ポリフォニーのフリー・インプロヴィゼーションは絶品です。C.ブレイによる編曲で、"El Quinto Regimiento", "Los Cuatro Generales", "Viva la Quince Brigada" と言うスペインの内乱の曲をベースにしています。混沌と明確なスパニッシュ旋律のコントラストが素晴らしいですね。この構成がその後のC.ブレイですね。技巧的にはテープも使われています。

その後も強烈なフリー混沌とメロディーラインの交錯と対比が素晴らしく、今聴いても十部に期待に応える作品です!! "VIII. Circus" には何とミュージック・コンクレートも使われていますね。


 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  全曲聴く事が出来る様です。是非!



ワクワク聴いた時代が思い浮かびます。今聴いてもこの時代の混沌のフリージャズの元気さを味わえますね。そして見事な多様性でもあり、ラスト "We shall overcome" は思わずグッと来てしまいます。

1970年と言えば欧エクスペリメンタリズム前衛の停滞期そのものの時代、この延長線上に今の自分の前衛現代音楽の嗜好性があるのは明白ですw

前回インプレの "Ante Lucem" に足らないものが全てここにあります。コレクションに加える事をオススメ出来る一枚です!!




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カタリーナ&スヴァンテ・ヘンリソン の「High, Low or In-Between」チェロと歌

面白いのか、面白くないのか、聴く人次第のアルバムですねw


High, Low or In-Between
Katarina Henryson, Svante Henryson
スヴァンテは元オスロ・フィルハーモニックの首席コントラバス奏者で現代音楽家、チェロは独学だそうですね。カタリーナはスウェーデンのジャズ・アカペラ・アンサンブル「リアル・グループ, The Real Group」、多々来日しています、の元一員(リーダー)で楽曲提供もしているそうです。ヘンリソンご夫妻ですね。

Svanteのチェロで、奥様Ktarinaが歌います。曲はロック・ジャズ・ポップ・等のカバーで良く知られたナンバーも多々あります。ジョージ・ハリソンの "Here Comes the Sun" とか。
そして曲はお二人の記念になる日々に関係したものが選ばれているそうです。もちろんお二人の楽曲(スヴァンテ*, カタリーナ**)も入って、全17曲。個別インプレは不要でしょう。

使われているチェロも独特のものですね。興味ある方はググってくださいw







1. Come Down in Time - 2. We Walk in a Fog - 3. Here Comes the Sun - 4. *Green (Instrumental) - 5. **A Little Kindness - 6. Eyes of a Child - 7. The Dry Cleaner from Des Moines - 8. *High (cello improvisation) - 9. **I Found the Key - 10. So Long, Frank Lloyd Wright - 11. *In between (cello improvisation) - 12. Everybody's Got To Learn Sometime - 13. Kiss - 14. *Low (cello improvisation) - 15. Det Växer Från Edens Tider - 16. Siv Larssons dagbok (Chega de Saudade) - 17. Monicas Vals (Waltz for Debby)

全体はただのポップなチェロ伴奏ソングです。本当に特別な事は何もありません。ヴァリエーションも似たり寄ったりで、チェロの伴奏というのが珍しいだけ…
スヴァンテのチェロ・ソロ曲*、歌パートの主旋律がある"4.Green"以外、8, 11, 14, は即興で面白いです。ダブルストップなのかエレクトロニクスなのか、と言った面白さや伸びやかさがありますね。全く違う音です。このパターンに歌を載せてくれたら面白かったかもしれません。カタリーナの曲**は、少しジャズ風味かもしれませんが然程の面白さはありません。

カタリーナの声は、楽曲にもあるジョニ・ミッチェルを優しくした様な感じですね。特にシャウトしたりとかはせずに淡々と歌います。歌伴のチェロはピチカートとボウイングを混ぜていますが、特殊奏法的な物はありませんね。ピチカートが多いのが曲の変化を薄めている気もしました。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  3. Here Comes the Sun、二人のステージです




チェロを伴奏にしたポップ・ソングアルバム。それ以上でも以下でもない様です

現代音楽家のチェロ、ジャズ系ヴォーカリスト、二人が作る……その期待値を上げ過ぎたかもしれませんねw




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山下洋輔「バンスリカーナ」再々発売と過去の音楽記憶

久しぶりのジャズ系インプレで、再発売されていたとは知らずの一枚です。思わずポチッと…

クラシック好きの父親がかけていたSP盤/蓄音機の時代から、中学生の時にはSP&LP/stereoに。ロック中心時代のその頃の情報源は"ミュージック・ライフ"、ジャズ中心の高校生時代は"スウィング・ジャーナル"、クラシック系はレコードのライナーノートにある評論家の先生のあまりの上から目線でうんざり腰が引けて雑誌は一切買わない事にw

もちろん当時はインターネットどころがPCさえありませんでしたから、ロックは深夜放送、ジャズは新宿や銀座のレコード屋さんも情報源でしたね。
ネット情報は、インターネット発展の前の電話回線の"パソコン通信" nifty-forumからですから1990年代中盤になってからです。PCネタがメインで、音楽系は薄かった様な…

このアルバムはフリージャズ好きの学生時代でした。前衛現代音楽にシフトするのはもっと後の事ですね。


Player
山下洋輔 (1942/2/26 - )
山下洋輔さんの紹介をするつもりは当然ありませんw トリオは坂田明(as), 森山威男(ds)が個人的な印象です。その後、ドラムスを小山彰太さんに入れ替えて、大きな編成等もやっていたのではないかと思います。違うかな?

1970-1980年代の活躍が印象に残っていますが、この後1980年代からは激しさは変わりませんがコード重視の音作りになって行った様に思います。


Album Title
Banslikana (1976年)
Piano Solo
ライヴで見せる姿とは一味も二味も違うスタンダード曲を中心としたアルバムでしたね。レコードで購入した時は、どんなスタンダードになっているのか興味津々だった記憶があります。

聴きやすさと刺激のバランスが良くてBGMの様にかけていたと思いますね。






1. チュニジアの夜 - 2. ステラ - 3. バンスリカーナ - 4. キアズマ - 5. 枯葉 - 6. コーズ・デイドリーム - 7. ララバイ - 8. バード

ハードボイルドな味付けのスタンダード&オリジナルジャズ曲になっていますね。"チュニジアの夜"などは縦横無尽の打鍵の疾駆がYAMASHITA的で、"ステラ"はかなりフリー・バラードな味付けになっています。

"バンスリカーナ"は名曲で、このフレーズが今でも時折頭に浮かびます。メインフレーズ(主題)を変奏しながら強鍵で進んで行くのは前衛的です。YAMASHITA節炸裂ですね。

"キアズマ"も得意曲ですが、こちらは即興的な楽曲で熱が入っています。"枯葉"はトランスクリプション的で、オリジナルの気配はありません。激しいフリーインプロビゼーションです。"コーズ・デイドリーム"は挟まれる美しいコードが特徴的です。"バード"はバップの香りがありますね。

昔のレコードの録音時間制約から、全8曲で長くても一曲あたり8'以下と言うのが残念です。



バンスリカーナという曲を聴くと主題の変奏と、打楽器の様にピアノを扱う奏法とで、この後自分の嗜好が前衛現代音楽に向かったのがわかります。まさに前衛ピアノ曲と演奏です。

フリーインプロビゼーションは類型化を感じますが、バンスリカーナ 一曲を聴くために買っても惜しくないレアな一枚です!



 ★YouTubeで山下洋輔トリオを聴いてみる?
  やっぱりバンスリカーナのトリオ爆演と言うならこれでしょう。
  本CDと同年モントルー1976ライヴ"Montreux Afterglow"からです。
  3.5'あたりの爆演や、5.5'あたりからの坂田さんのas大ブロウもあって、
  こちらの方が聴きやすいかも。今聴くと思わず笑みがこぼれてしまいます。



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