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来日中のアリス=紗良・オット(Alice Sara Ott) の新譜『ナイトフォール (Nightfall) 』:ドビュッシー, サティ, ラヴェル を聴く


アリス=紗良・オット
(Alice-Sara Ott, 1988/8 - )
人気若手、どこまでを若手というかはありますが、のドイツ人ピアニストですがコンサートで観る限りは華奢な見た目と違ってソフトなソロよりも強鍵なコンチェルト向きの印象ですね。

現在来日中で、本アルバム曲をメインにツアーを組んでいますね。


Nightfall
夕暮れ、夜の帳が降りる頃、と言ったタイトルですが、今更のドビュッシーとサティとラヴェルです。それも満を持してか超有名曲ばかりで、なぜ今更?といった疑念が頭を過ぎったりします。"夜のガスパール"以外はソフトタッチな曲ですし…
これだけの曲ですから誰でもイメージを持っていらっしゃると思いますが、私の頭にはドビュッシーはバヴゼ、サティは高橋悠治さん、ラヴェル*(夜のガスパールに関して)はアルゲリッチがいますね。

*ピアノ・ソロ曲に関して言えば何と言ってもアリス・アデールですね。




ドビュッシー : 1) 夢想, 2) ベルガマスク組曲全曲
流れる柔らかいパート、"夢想"や"月の光"はクールな優しさです。ベルガマスクの前奏曲・メヌエット・パスピエの様なメリハリがある方がオットらしい表情が生きていますね。スロー緩徐なパートより少しでも鍵盤を走らせる曲の方が彼女らしい気がしますがエモーショナルを排したそれがドビュッシーかと言われると…

サティ : 3) グノシエンヌ第1番, 4) ジムノペディ第1番, 5) グノシエンヌ第3番
サティの好みは無機質・無表情です。緩やかなディナーミク、ややスローのオットは良い気配を感じます。ジムノペディはもちろん、情感を抑えたグノシエンヌはなかなかですね。

ラヴェル: 6) 夜のガスパール全曲, 7) 亡き王女のためのパヴァーヌ
"夜ガス"はエモーショナルを殺した硬質な音色です。絞首台はクール、技巧性が売りの"スカルボ"も揺さぶりはありますがまとわりつく情感はありません。"パヴァーヌ"も表情を見せないクールさが悪くありませんね。


オットの主の流れはエモーショナルよりキッチリ・クールな表現になっています。ただ硬さを感じてそれがフランス印象派のピアノかと言われると個人的には少し好みとは違う気がします。

クールな美しさ新しいフランス印象派誕生? それなら淡々としたサティかラヴェルの"絞首台"や"パヴァーヌ"がいい感じですね。






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ジョナサン・ノット/東京交響楽団 の「ブルックナー:交響曲第9番」を聴く


コンサートとCD化
本年2018年4月14日のサントリーホールでのコンサート二曲がCD化されました。二枚組ですが、昨日インプレしたマーラー10番は28分でCD一枚という半端な編成。どうしても二曲共出したかったのでしょうね。


ブルックナー交響曲第9番
当日のコンサートのインプレでも書きましたが、この曲は楽しめました。CD化ではどうでしょう。コンサートのインプレも参考ください。(15日のミューザ川崎の同曲演奏会も使われているので、どちらがメインでどこまでマスタリングで調整されているのかはわかりません。いずれ演奏に大きな違いはないとは思いますが。)



第一楽章の第一主題からコンサートの印象通りにメリハリと緊張感が張り詰めています。第二主題でも広がりよく、第三主題も微妙な音の使い回しが綺麗です。展開部・再現部も音の鳴り良く押し寄せる山場を緊張感の中聴かせてくれます。ラストのトゥッティは迫力です。
第二楽章は主要主題と副主題がキレキレのパワーを炸裂させています。この曲のポイントと言っていい出来ですね。トリオでは手を返して軽快に弾みコントラストの良さを対比させています。
第三楽章の不思議な響きの動機を組合せた第一主題から第二主題も出し入れの良さが光ります。妖しげな調性をスローに隠と陽、そしてパワーを表現して緊張を維持していますね。欲を言えば、どこかで緊張を解した見晴らしの良さがあれば尚良かった気がします。(コーダは穏やかで良いのですが時すでに遅し、この楽章の特性もありますが)


スローな低重心というヴァント以来の時代流を保ちつつ、荒さを見せながら澄んだ音色と流れを作る好演のブルックナー9です。コンサート・インプレでも書いた通りで、第三楽章の重厚一辺倒の印象を澄んだ流れ等で拭えれば名演と言ってもよかったのでは…
(ダイナミックレンジが広いのでヴォリュームをあげられる環境がおすすめです)

東響の演奏も見事でノットの意図を見事具現化している様です。本コンサートとCDで、来期は東響の定期会員になろうかと思います。^^v







テーマ : クラシック
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マイケル・ティルソン・トーマス/SFS で聴く チャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』


M.T.Tで新しい「悲愴」が見つかったのでつい入手です。今回は配信のみの発売で、2017年3月1-4日の録音ですね。
「悲愴, Pathétique」は数々ありますが、レコード時代からムラヴィンスキー/レニングラードPO(DG盤1960年)が頭の中にあります。どうしてもこれがスタンダードで自然と比較してしまっているでしょうか。さてマイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ交響楽団はどうでしょう。



チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』ロ短調 Op.74
【第一楽章】
スローで重苦しい序奏から第一主題をテンポを上げて第二主題は晴れない気分を軽妙さと美しさで流します。ディナーミク抑えめアゴーギクを振ってくる構成を感じますね。トゥッティから入る展開部も激しさよりも見晴らしの良さを感じます。再現部からコーダはあっさりしていますが、スローな提示部・再現部と速い展開部のコントラストが効いた構成です。
【第二楽章】
テンポ・情感がコントロールされたワルツで殊更の甘美さは避けて、中間部でも哀しみに特別に重み付けを増やしません。クールです。
【第三楽章】
スケルツォは軽量、行進曲も興奮を排除しています。前中半はやや肩透かしかもしれませんが反復後の行進曲は、それでもアゴーギクを効かせて勇壮さを見せてくれますね。(興奮は抑えていますが)
【第四楽章】
流れは一転、提示部第一主題から情感のこもった流れを作り、この楽章の持つ特異性を掴む様に山場も緊張感があります。明らかにこの楽章に焦点を当てた構成を感じますね。
全体楽章的には逆の構成の方がしっくり来たのでは? と思ってしまいます。


M.T.トーマスらしいクールな「悲愴」ですね。心にのし掛かる重さや熱い情感は回避しながら最終楽章で一気にエモーショナルさを見せつけます。
中二つの楽章がさっぱりし過ぎなのが個人的には残念な気がします。






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プロコフィエフ(Sergei Prokofiev) の「十月革命20周年のためのカンタータ」を聴く


セルゲイ・プロコフィエフ (Sergei Prokofiev, 1891/4/23 - 1953/3/5)
このブログではプロコフィエフやショスタコーヴィチを現代音楽に入れていません。多分一般的にもそうだと思います。この時代のロシア音楽らしい新古典主義と民族音楽、そして独特のリズム感は特徴的で今更の紹介文は不要ですね。


Cantata for twentieth anniversary of the october revolution
プロコフィエフが1936年にソ連に帰国してすぐ書かれた異色作品ですね。ロシア革命20周年(1937年)の為に書かれた、合唱付大編成、軍楽隊、バヤン(ロシア式アコーデオン)合奏、レーニンのアジーテション、のソ連社会主義礼讃音楽です。2016年のゲルギエフ来日公演で取り上げられましたね。

演奏は以下の豪華布陣です。
◻︎アジテーター:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(Gennady Rozhdestvensky)
◻︎指揮:ネーメ・ヤルヴィ(Neeme Järvi)
◻︎演奏・混成合唱:フィルハーモニア管/フィルハーモニア合唱団



Cantata for twentieth anniversary of the october revolution, Op.74 (1936-37年)
I. Prelude » II. The Philosophers » III. Interlude » IV. A tight little band » V. Interlude » VI. Revolution » VII. Victory » VIII. The Oath » IX. Symphony » X. The Constitution
爆裂音から入り静的な流れを見せながら、合唱や1917年のレーニンの演説(アジテーション)を入れ込み、サイレンが鳴り常に激しい山場を作る。カンタータなので歌唱パートが多く、英文を見ればわかりますが勝利を歌い上げ、音楽構成と合わせて極端なプロパガンダ祭典音楽そのものですね。
炸裂クラスターに混沌があったりもしますが、プロコフィエフのロシア新古典的な音楽です。前衛を否定していたソ連は満足だったでしょう。凄い迫力とパワーです。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  ゲルギエフとロッテルダム・フィルのLIVEです!

Excerpts from 'The stone flower', Op.118 (1949年)
その12年後、一転してプロコフィエフが共産党ジダーノフ批判(1948年に始まった前衛芸術を拒否し芸術様式の統制を図る)を受けた時代のバレエ音楽「石の花の物語」からの抜粋ですね。演奏会用組曲Op.126-129もありますが、ここではバレエ曲の抜粋ですね。
民族音楽の色合いが新古典主義に加わり派手なサウンドもプロコフィエフらしい音楽になっています。一部はストラヴィンスキーのバレエ曲を思わせますね。政策的背景も含めて何が前衛拒否に当たったのか不明ですが、個人的には上記カンタータと楽風の相違はありません。今なら全く違和感はないでしょう。


カンタータはもの凄いパワーと迫力が迫って来ます。ただ音楽的には特別な事はないかもしれません。N.ヤルヴィらしい明瞭さは生きていると思いますが、速いテンポの揺さぶりは無いようですね。プロコフィエフ・ファン、時代背景を思い浮かべたり、大音響曲を聴きたい方は満足感が高いと思います。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


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ドビュッシー(Debussy) の「映像 Images I, II」聴き比べ ▶︎ マルカンドレ・アムラン、バヴゼ、ミケランジェリ


アムランの久々の来日(2018年6月)を前にCD棚を見たら印象の薄いドビュッシー「映像」がありました。ならばと、好きなバヴゼ、基準となるミケランジェリでちょっと聴き直してみました。

Debussy-Images.jpg

【映像 第1集】(Images I, 1905年)
  1. 水の反映, Reflets dans l'eau
  2. ラモーをたたえて, Hommage à Rameau
  3. 運動, Mouvement
【映像 第2集】(Images II, 1907年)
  1. 葉ずえを渡る鐘, Cloches à travers les feuilles
  2. 荒れた寺にかかる月, Et la lune descend sur le temple qui fut
  3. 金色の魚, Poissons d'or



マルカンドレ・アムラン, Marc-André Hamelin
アムランがドビュッシーに合っていたのか記憶が消えています…
 ▶︎ このブログ内のM.A.アムランのCDインプレ


まずは一番知られた「水に映る影」ですが、繊細なタッチとエモーショナルで微妙なアゴーギクを振りますが全体としてはとてもソフトです。「運動」は技巧の見せ所なので、速いアルペジオに対して旋律側も速い弾きになっていますね。両手のコントラストが欲しい感じがします。「葉ずえを渡る鐘」はミケランジェリに近い硬質さを感じます。一番技巧性の強い「金色の魚」は本来の"何気なく超絶を弾き倒す"なのですが、エモーショナルさを前面にしています。

甘美さを抑えた美しさですが表情が薄い感じですね。アムランらしからぬソフトタッチが貫かれています。




ジャン=エフラム・バヴゼ, Jean-Efflam Bavouzet
個人的にフランス人の曲はフランス人演奏家、お国もの?、の印象が。ドビュッシーのピアノはバヴゼがいい感じで全集で持っていますね。


(バヴゼは右の全集がおすすめですね)

I-1.「水に映る影」はナチュラルな美しさで、明瞭なタッチと速めにアゴーギクを付けています。ディナーミクも大きく鳴り響かせます。I-3.「運動」は軽やかさと響のコントラストを生かし、II-1.「葉ずえを渡る鐘」はソフトな印象にまとめています。II-3.「金色の魚」はヴィルトゥオーゾ性を高める演奏です。
ミケランジェリでは印象の薄いI-2.「ラモーをたたえて」やII-2.「荒れた寺にかかる月」も美しさが染みますね。

ディナーミクとアゴーギクをうまく生かした情感深さが魅力のバヴゼです。静音のエモーショナルさは際立ちます。




アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ, Arturo Benedetti Michelangeli
今更ミケランジェリもないとは思うのですが、ドビュッシーのピアノというと思い浮かべるのも困ったものですw


(何かと基準となるミケランジェリ、所有は右の全集です)

「水に映る影」は硬質な美しさです。粒立ちの良いピアノの音色で陰影は薄めですが、シャープさが印象的です。「運動」では速いアルペジオに美しい音色とディナーミクを効かせてメリハリを付けていますね。「葉ずえを渡る鐘」の硬質透明さはミケランジェリらしさが感じられます。「金色の魚」ではアゴーギクで表情が強く感じられますね。

硬質な音色と切れ味のミケランジェリですね。抑揚も適度でクールさが魅力でしょう。




いかにもドビュッシーのピアノ曲らしさの「映像」。ソフトながら表情を抑えたM.A.アムラン、透明感ある甘美さのバヴゼ、硬質堅実なミケランジェリ。
個人的嗜好にはアムランは向かない印象です。やっぱりバヴゼ一押しでしょう。





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ストラヴィンスキーの『春の祭典』四手ピアノ版 聴き比べ || バヴゼ&ギィ、ラベック姉妹、マルカンドレ・アムラン&アンスネス

ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882/6/17 - 1971/4/6)の『春の祭典, Le sacre du printemps, The rite of spring』前回はオケ版でインプレしましたが、今回は 4-hands piano版ですね。注目の顔ぶれ3CDの聴き比べです。

以前アシュケナージとガブリーロフのピアノでもインプレしていますね。


ジャン・エフラム・バヴゼ(Jean-Efflam Bavouzet)
フランソワ・フレデリック・ギィ(François-Frédéric Guy)
個人的に好きなピアニストの一人バヴゼですね。フランス人音楽家のピアノ曲ならバヴゼが一番です。相方もフランス人ピアニストのギィですね。


序奏は繊細さが光ります。繊細スマートの「春のきざし - 誘拐」でも強音は爆裂的ではなく切れ味です。「敵の部族の遊戯」の躍動感もいいですね。第二部の序奏、そこから続く繊細なタッチのパートもこのDuoの聴かせ処でしょう。一転「選ばれし生贄への賛美」のパワーも光りますね。「生贄の踊り」のリズムの組合せも切れ味を感じます。

興奮を排した繊細さがバヴゼらしいスマートな春祭ピアノ版ですね。あくまでも冷静沈着クールなスタイルです。

同時収録されているバルトーク:2つの映像、ドビュッシー:遊戯(2台ピアノ版バヴゼ編曲)も素晴らしく、おすすめ盤ですね。




ラベック姉妹 (Marielle et Katia Labèque)
フランス人カティアとマリエルの姉妹ピアノDuo、2016年のシェーンブルンでも楽しい演奏を披露してくれましたね。
アルバム「Invocations」からです。


序奏ではソフトで柔らかさを感じますね。不協和音も生きています。「春のきざし - 誘拐」では強音パートと弱音パートのコントラストが見事です。ディナーミクとアゴーギクの組合せがうまく、パワー主体に美しさが同居しますね。「春の輪舞」の影のある緩やかさも聴き処でしょう。「生贄の踊り」では厄介なリズムが見事に表現されます。でも印象はなんといってもパワープレイのピアノでしょうね。

カラフル迫力の春祭ピアノ版です。楽しさとパワーの組合せは得意のパターン。
見方を変えると大向こうを唸らせるショーマン的タイプかもしれませんが、それが彼女たちの個性ですよね。




マルカンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)
レイフ・オヴェ・アンスネス(Leif Ove Andsnes)
6月に久々の来日を控えたM.A.アムラン、ノルウェーのアンスネスという強力布陣ですね。


序奏から硬質な響きで、音の粒立ちの良さが明瞭です。「春のきざし - 誘拐」でもこれ見よがしの表情を見せずに細かく速いアルペジオを聴かせます。この切れ味こそが まさにアムラン(主導)でしょう。「春の輪舞」の沈んだ気配も美しいです。全体として揺さぶる様なアゴーギクを振らずに流れるのも印象的で「大地の踊り」ではそこにパワーが発揮されます。

印象は硬質、とにかく個々の音の粒立ちが明瞭でキレキレ・シャープな春祭ピアノ版です。まさにヴィルトゥオーゾなDuoピアノ。
いつものアムランよりも弾けて(はじけて)いる?!




ホールでじっくり味わうバヴゼ&ギー、フェスティバル向き熱狂のラベック姉妹、ヴィルトゥオーゾに酔うアムラン&アンスネス。
それぞれ個性際立つ楽しい3枚ですね。






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ストラヴィンスキーの『春の祭典』クルレンツィス、ロト、シャイーで聴き比べ

古楽器を使った演奏で高評価のロトとクルレンツィスのストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882/6/17 - 1971/4/6)『春の祭典 (Le sacre du printemps, The rite of spring)』ですが、発売元や評論家の先生方の思惑が渦巻いていそうなので買ってそのままでしたw 今回シャイー盤が出たので聴き比べをしてみました。


テオドール・クルレンツィス (Teodor Currentzis, 1972/2/24 - )
ギリシャ生まれでロシアの指揮者、ロトよりも三ヶ月若いクルレンツィスと自ら創設したムジカエテルナ(MusicAeterna)ですね。2019年2月来日が決まって大騒ぎしていますが、この曲以外でクルレンツィスを知らないのでなんとも…


「春のきざし - 誘拐」の切れ味、冒頭ゆるい「春の輪舞」のコントラストは素晴らしいですね。その後も突撃的なパートをストラヴィンスキーらしい動機を生かすような激しさで展開しています。激か静かの演奏です。個人的注目の「生贄の踊り」、しばしば現代音楽で三つの変拍子を動機としている事でアナリーゼ対象となりますね、はそのリズムを切れ味よく聴かせます。
バレエ音楽としたら濃すぎる感じがします。

強烈なメリハリの春祭ですね。コンサート受けは間違いなし的な展開です。特に古楽器がどうの といった印象は受けません。(駄耳だから?!)
弱音パートでの神秘的表情が薄い気がしてしまいます。





フランソワ=グザヴィエ・ロト (François-Xavier Roth, 1971/11/6 - )
2016年来日で都響との「ペトルーシュカ」「火の鳥」を観ましたが、素晴らしかったですね。→インプレです
そういう事からもレ・シエクル(Les Siècles)とのCDが際物ではないことは感じますね。今回の来日公演には行きませんが。
ちなみに1911年初版を使っています。


「春のきざし - 誘拐」ではメリハリよりも序奏からの流れを生かしています。静の中から表情展開は舞台を彷彿させてくれますね。湧き立つ激しさも突出ではなく、静音パートでも表情は豊かです。「生贄の踊り」ではそれぞれのリズムにディナーミクの差別化を配して激しさに陥らない客観視をしています。
コンサートで聴いた「火の鳥」の様なバレエ曲らしい完成度を感じます。

ストーリーを感じる表情のある春祭ですね。アゴーギクとディナーミクのバランスの良さが心地よい感じがします。





リッカルド・シャイー (Riccardo Chailly, 1953/2/20 - )
今や円熟の年代に入ったシャイーとルツェルン祝祭管(Lucerne Festival Orchestra)ですから期待は大きいですね。
2014年のゲヴァントハウスとの来日で聴いたマーラーの第7番は素晴らしかったですね → インプレです


序奏から色の濃い展開です。「春のきざし - 誘拐」への繋がりも同じですが、唐突的な大音響展開はありません。全体的に濃厚な演奏で静音と強音とに落差をあまり付けませんね。「生贄の踊り」でもリズムが突出することはありませんでした。
バレエの姿を想像するのは難しいかもしれませんが、本来の"大規模な管弦楽"らしさは一番かもしれません。

バレエ音楽というよりも管弦楽曲的春祭です。楽器の鳴りも朗々として微妙な表情よりも祝典(Celebration)的明瞭さですね。




ドンシャン的なクルレンツィス、情景浮かぶバレエ音楽のロト、管弦楽風のシャイー、それぞれの楽風で楽しめます。
個人的には 煮詰めたロトの完成度に一票でしょうか。


次回はM.A.アムランやバヴゼらの四手ピアノ版でインプレ(聴き比べ)します。


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ガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré) の The Music for Cello & Piano を聴く


ガブリエル・フォーレ (Gabriel Faure, 1845/5/12 - 1924/11/4 )
フォーレの印象といえば、優しく美しい楽曲でフランスらしい音楽でしょうか。古典でもロマン派でもないその微妙な後期の和声はフランス印象派の黎明音楽家と言われていますね。


The Music for Cello & Piano
1880年から1921年までのチェロ&ピアノ小曲集で、主に中期のフォーレらしい美しい旋律の曲が並んでいます。
・チェロ:アンドレアス・ブランテリド (Andreas Brantelid)
・ピアノ:ベングト・フォシュベリ (Bengt Forsberg)
'6.Morceau de lecture' のみもう一人のチェリスト:フィリップ・グラデン(Filip Graden)とのDuoになります。



1.Romance (1894) - 2.Papillon (1884) - 3.Sérénade (1908) - 4.Berceuse (1879?) - 5.Sonata for Cello and Piano No.1 (1917) - 6.Morceau de lecture (1897) - 7.Berceuse, form Dolly (1864/1893) - 8.Sicilienne (1893/98) - 9.Elégie (1880) - 10.Sonata for Cello and Piano No. 2 (1921) - 11.Andante (1894)

年代順になっていないのが残念ですが、初期から後期までのフォーレが楽しめます。
古典やロマンの香り漂う優しさと美しさの初期作品4.Berceuseや7.Berceuse, form Dolly、フォーレらしい和声の中期作 2.Papillonの洒脱なvcのトリルや3.Sérénade、8.Sicilienne、11.Andanteの旋律ですね。ちなみにSicilienneは名作「ペレアスとメリザンド」に転用されている有名な旋律です。

 試しにYouTubeで「Sicilienne」を観てみる?
  David Louwerseのチェロと François Daudetのピアノです。


素晴らしいのは半音階的で調性感の薄くなる後期作品。5.Sonata for Cello and Piano No.1の第二・三楽章、10.Sonata for Cello and Piano No. 2の第三楽章は、まさに仏印象派の音色でドビュッシーやラヴェルにつながる事が明白です。

ブランテリドのvcは暖色系で表情豊かな音色と演奏ですね。全体としてはもう少しクールに弾いてもらった方が好みかもしれません。ベストトラックは9.Elégieでしょう。


フォーレをただの美しいサロンミュージックと聴くのか、時代を反映させた和声を楽しむのかで違うかもしれません。個人的には後期作品の洗練に一票ですが。
もちろんリビングルームでゆったりとした時間を過ごすのには最高の音楽でしょう。





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R.シュトラウスの『町人貴族』聴き比べ:テンシュテット / ライナー / シュトラウス


リヒャルト・シュトラウス (Richard Strauss, 1864/6/11 - 1949/9/8)
今更のドイツ後期ロマン派最後の大物ですね。マーラーと時代を共にしてお互いに指揮者としても敏腕を振った二人、違うのはオペラと交響詩を得意とした事でしょうか。


町人貴族, Le bourgeois gentilhomme Op.60 (1917年)
モリエールの戯曲『町人貴族』のフーゴ・フォン・ホーフマンスタール改作時付随音楽から9曲にした組曲ですね。貴族になりたい金持ち町人ジョルダン、その娘リュシルが策略を巡らせて結婚をする喜劇です。
実はバロック調の曲構成でほぼ聴かないのですが、今回は明後日(2018-1/10)の大野和士/都響のコンサートを前に聴きなおしてみました。

1.Ouverture - 2.Minuet - 3.The Fencing Master - 4.Entry and Dance of the Tailors - 5.Lully's Minuet - 6.Courante - 7.Entry of Cléonte - 8.Intermezzo - 9.The Dinner
それぞれ1'から5'ほどの小曲(9.The Dinnerは10')なので、パート別の印象は不要かと思います。



クラウス・テンシュテット(Klaus Tennstedt)が音楽監督を務めた時代のロンドンフィル(LPO)との演奏です。
序曲の入りから優美です。通して洒落た古典っぽさを感じさせてくれる演奏で、テンシュテットの個人的な印象とは違って軽やかさが感じられます。とは言え「9.宴会」では交響詩の様な流れを切れ味のある演奏で聴かせてくれました。




フリッツ・ライナー(Fritz Reiner)が鍛え上げた手兵シカゴ響(CSO)を振った演奏です。ライナーはシュトラウス本人との交流もあり、得意としていましたね。ここでは2曲(5,6)がカットされています。
序曲から切れ味のある演奏でテンポも速め全体が重心の低い流れです。もちろんメヌエットやバロック調の曲では優美さも見せますが陰影がありますね。1956年の録音とは思えないほど音もいいです。また曲構成から2曲が欠けても印象に影響ありませんね。華々しく表情豊かで流石はシュトラウスを得意とするライナーです。




リヒャルト・シュトラウス本人の指揮でも聴いておきましょう。オケは音楽総監督を務めたベルリン国立歌劇場附属オーケストラのシュターツカペレ・ベルリン(Staatskapelle Berlin)、1930年の録音です。
バロック感もそれほど強くなく、アゴーギクで流れを作っています。メヌエットでも優美さの中に交響詩の様な動機を感じさせてくれます。印象は一番シャープでシュトラウスの曲らしい表情です。(笑)
ただ古いspからのmonoですから、それ以上の素晴らしさを聴き取るのは難しいですね。


ライナー盤が、重心の低い流れでバロック的な印象を後期ロマン派的なものにしていいですね。あまりにバロック色が濃いのはシュトラウスさに欠ける気がします。
シュトラウス本人は、想像以上にシュトラウスらしさが感じられて(笑)録音の問題がなければ"これ"でしょう。
テンシュテットは軽すぎる感じです。

大野/都響がこのバロック・古典の調べをどう演奏してくれるか興味がありますね。独奏vnにも興味が湧きますし、「9.宴会」は一番の聴かせ処でしょう。





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ハンヌ・リントゥ/都響の公演を前に、シベリウスのクレルヴォ交響曲を聴いておきましょう

ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865/12/8 - 1957/9/20)の『クレルヴォ交響曲 Op.7』、明後日のコンサートを前に予習ですねw

北欧叙事詩『カレワラ (全50章)』の第31−36章がクレルヴォですが、シベリウスはクレルヴォと妹の近親相姦にメインテーマを入れ替えてある様ですね。(妹の死のシーン・詩の改変他)


あらすじ = 全五楽章

《第一・二楽章:演奏のみ》カレワラ 31-34章
一家殺害されたカレルヴォの息子クレルヴォは幼くして一人残され、仇敵ウンタモへの復習を誓います。生き延びたクレルヴォは鍛冶屋に売られますが、父の形見のナイフで鍛冶屋の妻を殺します。逃げ出したクレルヴォは、森の中で父カレルヴォと母が生きていた事と妹が行方不明である事を知ります。

《第三楽章:ソプラノ・バリトン・合唱》35章
メインパートです。租税納めの帰り道、クレルヴォは若い娘を誘惑し一夜を共にしますが、それが妹と知り絶望します。(妹は自害しますが、シベリウスはカットしています)

《第四楽章:演奏のみ》36章
全ての責をウンタモと捉えたクレルヴォは怒りに燃えウンタモ一家復讐へ向かいます。(両親の死も、ウンタモの復讐もカットされています)

《第五楽章:合唱》36章
ウンタモ一家に復讐を果たし、森を歩くクレルヴォは妹への呵責の念から自害します。


パーヴォ・ベルグルンド / ボーンマス交響楽団
 Paavo Berglund / Bournemouth Symphony Orchestra の古い全集にしか所有がありません。

KULLERVO / Jean Sibelius

【第一楽章】導入部 Johdanto (Allegro moderato)
 後期ロマン派的な明確な音と、初期から見られる北欧的な風景感のある流れの中に主題がに現れます。展開部・再現部もその流れの組み合わせですね。再現部後半は激く、全休符からのコーダは静けさで閉じられます。(鍛冶屋の妻の殺害と脱出でしょうか)

【第二楽章】クレルヴォの青春 Kullervon nuoruus (Grave)
 緩やかで美しい緩徐楽章でロンド形式、トリオでは表情を変えます。主部の回帰で激しさと静けさの組合せとなり、両親と再会の衝撃かもしれません。

【第三楽章】クレルヴォとその妹 Kullervo ja hänen sisarensa (Allegro vivace)
 女性を求める心踊る五拍子リズムから入り、合唱がクレルヴォの動きを歌い続けます。その間にクレルヴォと女性(2人)の出会いでは短くやりとりが交わされます。三人目の娘(妹)が金銀に惹かれクレルヴォの欲望に捉えられるシーンから合唱はリズムとトーンを落とし管弦楽が流れます。その後、静かなオケをバックに身の上話が独唱されていきます。妹が身の上を語るのが終わると(本来はここで川に身を投げます)、クレルヴォは激しい調子で後悔の念を歌い上げます。

【第四楽章】戦いに向かうクレルヴォ Kullervon sotaanlähtö (Alla marcia)
 スケルツォですが途中(トリオor展開部?)では戦闘モードの旋律に変わります。コーダからフィニッシュは雄々しく締めます。

【第五楽章】クレルヴォの死 Kullervon kuolema (Andante)
 悲しみのこもる合唱が森の中を歩き妹の最後の場所へたどる道を歌います。自らの剣に死を問い、死を迎えるまでを激しく、管弦楽の後で合唱が大きく死を歌い終息します。

シベリウスらしい北欧風景感のある流れと後期ロマン派的な明確な音の展開がありますね。標題音楽ですから、話の流れをイメージして聴くと楽しさが増します。(途中の勝手な解釈は大目に見てください)
第三・五楽章は歌詞*があり、特に第三楽章は素晴らしいので、しっかり目を通しておくのは大切になりますね。


*コンサートで配られる月間都響No.338(10-11月号)の対訳はとても参考になりました
 (PDF版には入っていませんね)

コンサート当日一番不安で楽しみなのは『フィンランディア』がアンコールで準備されている事です。このコンサート受けする楽曲をアンコールでやるとメインが霞むのはいつもの事ですから…



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ジャンル : 音楽

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kokotonPAPA

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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