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エルネスト・ショーソンの代表作「愛と海の詩 | 交響曲 変ロ長調」をフランス・セットで


エルネスト・ショーソン (Ernest Chausson, 1855-1899)
フランスの音楽家でフォーレとドビュッシーの間の年代になりますね。20歳を過ぎてから音楽の道に入り44歳で早逝、活動期間は短いです。セザール・フランクに師事していますが、ベルリオーズやドビュッシー、そしてワーグナーの影響も強いそうですが…



Poème de l'amour et de la mer | Symphonie
Alexandre Bloch (cond.) | Orchestre National de Lille
同年代作品の二つ、ショーソンの代表作ですね。

"Poème de l'amour et de la mer, Op. 19"はフランクの影響で統一テーマが繰り返して使われるそうです。3パートのカンタータ、もしくは連作歌曲で、楽曲的には上記の音楽家の影響が見られるとの事ですね。初期のアールヌーボーだともあります。Textはショーソンの友人でもあるモーリス・ブーショール(Maurice Bouchor)からになります。
"Symphonie, Op. 20"は師であるフランクの名曲「交響曲ニ短調 (1888)」の影響が大きいそうですがより自由度がある様ですね。年代的にはすぐ直後に作られています。

演奏はアレクサンドル・ブロック指揮、フランス国立リル管弦楽団になります。







1. 愛と海の詩, Op. 19 (1882-92)
瞬間的に感じる第一印象は仏ロマン派のイメージでしょうか。後期ロマン派も印象派も感じませんし、殊更ワーグナー を感じることもないですね。あえて言うなら歌曲にはシャンソンの香りがするかもしれません。駄耳なので統一された動機は気がつきませんでした。

3パートで中間パートの管弦楽曲はあまり面白みはありません。やっぱり歌曲がイイですね。ヴェロニク・ジャンス(Véronique Gens)はかなり濃い目のsopで、朗々とした歌いがメインですね。

歌曲にも関わらず、sopパートでもオケがかなり対位的に主張して来るのが特徴的です。オケが単なる歌曲伴奏にならないのは個性的ですね。それがショーソンの意図なのか指揮者A.ブロックのタクトなのかは不明です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  録音風景ですね。alphaレーベルのPVです



2. 交響曲 変ロ長調, Op. 20 (1889-90)
第一楽章は主動機の変奏から入ってきますが、ロマン派から後期ロマン派への流れを感じますね。第二楽章は緩徐で陰鬱な流れが印象的な入りでしたが、気がつけばロマン派的な流れになっていました。第三楽章はベルリオーズやフランクの印象があるかもしれません。残念ながら、これと言った楽しさを見つける事はできませんでした



ロマン派の楽風ですね。特に強烈な個性を放つ事はありません。交響曲は退屈やや平凡で、歌曲の方が自由度が大きく楽しめる気がしました。

オケは明瞭さが強く、陰影を付ける表現ではありませんね。歌曲には合いましたが交響曲はフラットになったかもしれません。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ジェラルド・フィンジ(Gerald Finzi) の「チェロ協奏曲・他」をポール・ワトキンスのチェロで

COVID-19が世界の様相を一変させています。
こんな時"#StayHome"ならお部屋で音楽を。


Composer
ジェラルド・フィンジ
(Gerald Finzi, 1901/7/14 - 1956/9/27)
イングランドの音楽家で、一周り若い同じイングランド出身のベンジャミン・ブリテン(1913-1976)と似た印象でしょうか。年代的には近現代音楽ですがガチのイギリス音楽なので、このブログでは現代音楽リストには入れていません。久しぶりに聴くフィンジです。


Album Title
Cello Concerto・Eclogue・Nocturne・Grand Fantasia & Toccata
注目は代表作になる"チェロ協奏曲"ですね。チェロはポール・ワトキンス(Paul Watkins)で、今回のオケBBC交響楽団の首席チェリスト(1990-1997)を務めた後、ナッシュ・アンサンブルを経て2013-14シーズンからエマーソン弦楽四重奏団のメンバーとして活躍していますね。指揮はアンドリュー・デイヴィス(Andrew Davis)で、レーベルは"CHANDOS" バリバリの英国セットですね。

その他は、管弦楽曲とピアノ(と弦楽/管弦楽)曲で、ピアニストは仏系カナダ人のルイ・ロルティ(Louis Lortie)ですね。ロルティがどの様にフィンジを弾いてくれるのかもポイントです。






チェロ協奏曲 イ短調 Op.40 (1955年)
病で死の宣告を受けての第一楽章は派手な導入部で、やっぱりブリテンを思い浮かべてしまいます。(年齢は逆ですが…) チェロはオケの主題(序奏?)部が終わるとしなやかな流れで現れます。ワトキンスの音色はクセのない素直さを感じますね。vcのパートは穏やかに、カデンツァは独特のダブルストップを奏でます。愛妻の印象を元にした第二楽章は美しい緩徐楽章で、優しさを感じるオケの導入部からチェロもその延長線上に入ってきます。チェロの動機をclやhr等が引き継ぐ流れもいいですね。第三楽章はピチカートで入りますが、曲調は明るいアレグロ的なイングランド民謡🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿ベースの色合いを感じますね。
ブラインドで聴いても"英国"系?だよね、って言う音楽です🇬🇧


エクローグ ヘ長調 Op.10 (1952年)
ピアノと弦楽オケで、途中で放棄したピアノ協奏曲の一部を流用したそうです。マイルドで美しいロルティらしいpfで入ってきますね。上記コンチェルトの二楽章の類型を感じる美しさ、pfの主に対してオケの従といったホモフォニー構成感の強い楽曲です。全休符の後のトリオ?ではその美しさが心に響きますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ピアノはRoberto Planoですが、本CDの方が優しさが染み入ります



夜想曲 嬰ハ短調 Op.7 (1950年)
"New Year Music"とサブタイトルがありますが、ニューイヤーイヴでの夜想曲になる様です。
暗く静かな主題部は緩やかな出し入れのアンダンテ風です。動機がロンドの様に組み合わされていますね。イングランドの印象でしょうか。


大幻想曲とトッカータ ニ短調 Op.38 (1953年)
これも未完に終わったピアノ協奏曲の一部楽章を元にしていますね。バロック的な旋律を時折見せながら、硬いタッチの音並び、硬派の印象の曲ですね。その中に見え隠れするフィンジ色と、ロルティのソフトなpfタッチが印象的です。



1950年代と言うと前衛全盛ですが、全く別世界の英国音楽ですね。まさにクラシック音楽たる所以でしょう。でも英国音楽ファンにはたまらない調べでしょうね。後期ロマン派でも新古典主義でもない独特の味わい、そしてフィンジの美しい優しさの緩徐ですね。

ワトキンスのチェロは平和です。ロルティのピアノは美しい緩徐にピッタリですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ルーセル「蜘蛛の饗宴」デュカス「魔法使いの弟子」19世紀末-20世紀初頭のフランスの管弦楽曲を、フランスの指揮者とオケで聴いてみましょう



Composers
ポール・デュカス (Paul Dukas, 1865-1935)
アルベール・ルーセル (Albert Roussel, 1869-1937)
ポール・デュカスはドビュッシーやサティと同年代のフランスの音楽家ですね。パリ音楽院に学んでいて、仏印象派年代ですが独ロマン派の様な楽風印象がありますね。仏前衛現代音楽の師となるメシアンが師事していました。

アルベール・ルーセルはデュカスより4歳若く、同様に仏印象派年代ながら独ロマン派の香りがするのが特徴的です。初期の作品は前者ですが、後期はより調性が明確で新古典主義と言われている様です。こちらも後に米現代音楽に影響を振るったヴァレーズが師事していましたね。

それぞれ二人の代表作の一つで、演奏はパスカル・ロフェ指揮、フランス国立ロワール管弦楽団ですね。







1.ポリュークト序曲, Polyeucte (1891, Dukas)
デュカスの事実上のデビュー曲で「コルネイユの悲劇」を元にした演奏会序曲です。
印象派と言うよりも後期ロマン派的な流れとライトモティーフの様な表題音楽風の構成を明確に感じますね。そう言った意味では指摘されている様に重厚な管弦楽はワーグナー的で、少し古いですがイデーフィクスの仏ロマン派ベルリオーズの様な感じもあるかもしれません。少なくとも仏印象派の気配はありませんね。


2.蜘蛛の饗宴, Le Festin De L'araignée (1913, Roussel)
ファーブル昆虫記を元に蜘蛛や虫たちの戦いのバレエ音楽(13パート)で、ルーセルの初期作品ですね。
前奏曲はいかにもの"仏印象派"の流れを感じます。それをベースにバレエ音楽らしい表情付けがあって、パート毎のタイトルを見ながら聴くとシーンが浮かぶ様です。チャイコフスキーやストラヴィンスキーのフランス版という面持ちでしょうか。実は組曲版もあるのですが、洒脱なバレエ音楽の楽しさがあって聴くならこの全曲版ですね。
仏セットの演奏もそれらしい洒落た表情を見せています。


3.魔法使いの弟子, L'apprenti Sorcier (1897, Dukas)
デュカスと言えばこの交響詩(交響的スケルツォ)ですね。ゲーテの詩を元にしていて、箒に魔法をかけて水浸しになるミッキーマウスのアニメで有名なストーリーです。
"ポリュークト"に比べると重厚さが引き算されて表情の付け方がストーリー性が強く感じられる様です。多分誰でもディズニーの"ファンタジア"が浮かぶのではないでしょうか。(実際にはストコフスキー編曲ver.ですが)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ミッキーマウスのアニメ"Fantasía"からです。やっぱりこれ?!




このアルバムの聴きどころはルーセル"蜘蛛の饗宴"のフランスらしい洒落たバレエ音楽でしょうね。

デュカスの"魔法使いの弟子"はどうしてもミッキーマウスが出てきてしまいますw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アントン・アレンスキー(Anton Arensky) の「ピアノ三重奏曲 第一番・第二番」を トリオ・カルドゥッチで聴いてみましょう


Composer
アントン・アレンスキー
(Anton Arensky, 1861/7/12 - 1906/2/25)
アレンスキーと言われても名前を聞いた事があるかもしれない…と言った印象です。年代的には後期ロマン派時代ですが、ロシアの音楽家ですから。

ロシアではR.コルサコフとスクリャービン/ラフマニノフの間の年代で、前者に師事していて後者はアレンスキーに師事していました。(スクリャービンは後年 対立関係にあったとありますが、音楽方向から行けば当然の様な…) 楽風は師のコルサコフや同年代のチャイコフスキーの影響が強いと言われていますね。ロシア民謡をあまり取り入れず、欧州ロマン派の影響も見られる様です。


Album Title | Player
Piano Trios
トリオ・カルドゥッチ (Trio Carducci)
アレンスキーはピアノ三重奏曲(pf, vn, vc)を二曲残しています。本人の一部演奏も残っている第一番は代表作の一つですね。両者とも四楽章形式で交響曲に近い構成です。

"トリオ・カルドゥッチ"は、2016年に創設されたイタリアの新進気鋭のピアノ・トリオです。本アルバムがデビューCDとなりますが、この録音の後ヴァイオリニストを変更していますね。






ピアノ三重奏曲 第一番, ニ短調 Op. 32 (1894年)
第一楽章第一主題は哀愁を強く激しさを増すと第二主題のvcは落ち着いた流れを作ります。出し入れの強いロマン派的な流れです。展開部・再現部でも特にpfの力感を強く感じますね。第二楽章のスケルツォ主部は跳ねる様な三つの楽器の会話ですが、ここでもpfの強音が気になります。中間部ではやや流麗さを加えてきます。変奏はあっても楽章内の表情変化は薄いです。全楽章に感じますね。
緩徐の第三楽章・最終楽章も含めて、四つの楽章での変化はそれぞれあるのですが新鮮さは見当たりません。古さを感じる流麗な主題と強いコントラストのロマン派楽曲ですね。


ピアノ三重奏曲 第二番, ヘ短調 Op. 73 (1905年)
第一番の11年後、亡くなる前年の作品です。全体を3拍子ベースにした四楽章構成。第一楽章導入部からすぐに感じたのは第一番から変わらない出し入れの強い流れですね。楽章構成も緩徐とスケルツォを入れ替えているだけですし、vnの濃厚フラットな演奏も気になります。各楽章のインプレをするのは控えましょう。



古典から推移したロマン派の様な古さを感じます。残念ながら楽曲的には面白さが見出せませんでした。

出し入れが強いのは演奏者の個性かもしれません。今の時代のプレイヤーらしくエモーショナルよりも激しいコントラスト、YouTube方向性を感じますね。くどい演奏と合わせて、悪趣味なこのジャケットも何とかして欲しい様な…w

駄耳な上に感性も低いので。m(_ _)m




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ジョヴァンニ・ボッテジーニ(Giovanni Bottesini) のコントラバス曲集『Via Bottesini Concerti E Pezze Concertanti』: ウィース・ド・ブフ


ジョヴァンニ・ボッテジーニ
(Giovanni Bottesini, 1821/12/22 - 1889/7/7)
ロマン派時代のイタリア人の指揮者・コントラバス奏者・作曲家ですね。元はヴァイオリン奏者でしたが、ミラノ音楽院入学時にコントラバスを選択しています。コントラバス奏者として活躍し、イタリアでは"Il Paganini del contrabbasso" (コントラバスのパガニーニ)と言われている様です。

その後作曲家としてオペラも書いていますが、主としてコントラバス曲で知られていますね。この時代らしくベッリーニのトランスクリプションでコントラバス幻想曲も多く残しています。指揮者としてはヴェルディからの要請で「アイーダ」の初演を指揮しいるそうです。


Via Bottesini Concerti E Pezze Concertanti
ウィース・ド・ブフ (Wies de Boevé, b.1987)
現バイエルン放送響首席コントラバス奏者のブフがボッテジーニのコントラバス協奏曲を四曲選んだアルバムです。ボッテジーニに倣って3弦のコントラバスを使用しているとの事ですね。(ジャケット写真を見てもその様です)

コントラバス曲となるとついつい聴きたくなってしまいます。ヴァイオリンはヨシフ・イヴァノフ(Yossif Ivanov)、ワイラースタイン指揮、ブリュッセルフィルの演奏です。






Double Bass Concerto in B Minor
「コントラバス協奏曲 第2番」ですね。 ロマン派時代ですが、古典や宮廷音楽的な印象も受けます。コントラバスのチェロ的な鳴りと旋律感が強いですね。全体的に柔らかい印象で、技巧が全面に出てくるわけではありません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Bottesini Competition 2017 で優勝したときのステージです!



Grande allegro di concerto (alla Mendelssohn)
この曲の方がロマン派の流れが明確ですね。"メンデルスゾーン風に"とありますが、メンデルスゾーンに詳しくないのでわかりません。多分に情感の強いオケとコントラバスの協奏構成にはなっていますね。その意味では個人的にはより聴き易さを感じます。カデンツァもエモーショナルです。


Gran Concerto for Double Bass in F-Sharp Minor
「コントラバス協奏曲 第1番」です。やはり古典的な流れを感じますね。出し入れが強く、第2番よりもオケのパートが多く取られています。三曲続けて聴いてくると残念ながら少々退屈に感じてしまい、コントラバスならではの何かが欲しい気がしてしまいます。


Gran Duo Concertante for Violin and Double Bass
以前エーデン・ラーツのコントラバスでインプレしています。その時も書きましたが、R.シュトラウスの「ドンキホーテ」の様なvnとcbの掛け合いが楽しめます。(もちろんドンキホーテはvaとvcですが)
ここではイヴァノフのvnが切れ味良く、冴えて楽しませてくれます。楽曲的にも演奏的にもこのアルバム一番ですね。



コントラバスの奏でる古典風な優雅な楽曲を楽しむアルバムですね。グリグリのcb超絶技巧を味わう作品ではありません。もちろん技巧性の高いパートも存在して楽しめます。

長い夜にウイスキーのお供で楽しむ…そんな一枚です。

次はH.W.ヘンツェの現代音楽コントラバスのアルバムをインプレ予定です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ベンジャミン・ブリテンの『春の交響曲』5CD聴き比べ:ブリテン, ガーディナー, ヒコックス, ラトル, プレヴィン


ベンジャミン・ブリテン
(Benjamin Britten, 1913/11/22 - 1976/12/4)
今更のブリテンで、いつも書く事ですが前衛全盛期に生きていますがそこに踏み入れる事はありませんでした。でも調性の微妙さは聴いてわかりますね。前衛と新古典主義の時代ですが、どちらでもない英国音楽で、このブログでも現代音楽家のCDリストには入れていません。



春の交響曲
Spring Symphony, Op. 44 (1949年)
メリハリのあるブリテンらしい曲ですよね。12曲全歌曲で、元はラテン語で書こうとしたらしいので俗語オラトリオ(orカンタータ?)的な四部構成で、4楽章の交響曲になっています。個人的な楽しみ方は次の通りですね。

【第一部】
一番長い"序奏"と続くキャラクター色の濃い3'以下の四つのパートのコントラストですね。聖歌的で後半強い流れの序奏 "1.Shine out" を幽玄さと切れ味で、続く短いパートでは "4.The Driving Boy" の少年少女合唱団の明るさに期待しますね。
【第二部】
緩徐楽章に当たる三曲です。序奏と似た構成の三曲目 "8.Out on the Lawn I lie in Bed" の澄んだ流れがメインですが、その前の二曲を上手く繋げて欲しいです。
【第三部】
スケルツォに当たる楽章になる三曲でしょうか。テンポの良さがあると良いですね。アタッカで繋がる "9.When will my May come" と"10.Fair and Fair" のテノールとソプラノのコントラストが聴き処です。
【第四部】
"12.Finale"の一曲構成です。やっぱり派手に切れ味よくブリテンらしく、ですね。特に後半の"Sumer is icumen in"は明るく。








5CDの全体インプレです

 ① ブリテン本人 :押し出しの強さで、ブリテンらしい?!
 ② ガーディナー:バランスとクールさで、完成度を感じます
 ③ ヒコックス :朗々たる鳴りの良さがあります
 ④ ラトル   :意外にも落ち着いた聴き易さです
 ⑤ プレヴィン :表情ある楽しさはプレヴィンならでは

個人的オススメは最後に。





個別インプレです


①ベンジャミン・ブリテン
 (コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団)



【第一部】序奏は幽玄で濃厚、主張の強さを感じます。続く小曲は明るさの中に陰影付けがあります。"3.Spring…"の鳥の鳴き交わしは、重厚な背景音がすごいですね。
【第二部】少し暖かみを感じる春の足音の様な流れから、"8.Out on…" は広がりを感じる伸びやかさがあります。緩やかな明るさの緩徐楽章ですね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは演奏共にシャキッとした流れです。"11.Sound…"は弾む様なスケルツォになっています。
【第四部】終始炸裂的な音を使った歯切れの良さが際立ちます。起立整列してビシッとした印象です。"Sumer…"では花咲き乱れる派手な様相からフィニッシュです。

折り目正しい表情で、強音側のディナーミクが印象的です。




②エリオット・ガーディナー (フィルハーモニア管弦楽団)



【第一部】序奏は抑えた透明感のある幽玄さから、後半激しさを盛り上げます。続く小曲は明るさを前面にして、"4.The Driving Boy"は子供達の歌声に心地よさが良いですね。
【第二部】幽玄さと暖かみのバランス良い流れから、"8.Out on…" は静かで明るい日差しの森の中を歩く様に進みます。透明感を感じる緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは抑えながらもアゴーギクの良さを感じてシャープです。"11.Sound…"の合唱団も素晴らしいですね。
【第四部】ここでもディナーミクで透明感ある入りから、アゴーギクを利かせて切れ味の強い流れです。力技よりも切れ味ですね。後半"Sumer…"は揺さぶりを効かせて明るさを作っています。
全体、オケと合唱団のバランスも優れますね。

アゴーギク/ディナーミクを効かせながらもクールです。




③リチャード・ヒコックス (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は冷静で落ち着いた流れを作り、後半山場も迫力を付けますが客観的に感じますね。続く小曲は春の訪れを感じる様に、"3.Spring…"は歌唱も鳥の鳴き交わしも色濃く、"4.The Driving Boy"は子供達が元気です。
【第二部】明るさ主体の明瞭さの流れから、"8.Out on…" は聖歌的な印象が強く落ち着かせる様な緩徐を感じますね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが強い演奏と相まって朗々としています。"11.Sound…"は派手さとリズミカルなスケルツォです。
【第四部】落ち着いた入りから晴朗なハリのある歌唱が広がります。後半"Sumer…"は少しスローに狂乱風に鳴らします。

明瞭で朗々とした流れが特徴的ですね。




④サイモン・ラトル (バーミンガム市交響楽団)



【第一部】序奏の入りからアゴーギク/ディナーミクの振りを感じますね。鬱な気配から表情豊かな流れの緊張感、後半山場は意外に冷静です。続く小曲群はバランスの良さを感じますね。"4.The Driving Boy"は思いの外落ち着いた流れです。
【第二部】冷静な表現から、"8.Out on…" は静でスローを基本に緊迫感の流れです。やや暗めの緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはクールに落ち着いた流れに乗って、"11.Sound…"も興奮を排除して、落ち着いたスケルツォ楽章ですね。
【第四部】基本は冷静さかと思いきや、強音パートでは荒さを上手く見せます。出し入れのバランスが良く、それまでの楽章と一味違いますね。後半"Sumer…"もドンシャン的です。

抑え気味のコントラスト付けで聴き易い表現です。




⑤アンドレ・プレヴィン (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は静的な深淵さで沈んだ流れから中盤で切れ味を見せて、山場もシャープです。続く小曲では表現力ある歌唱と演奏のバランスが良く、"3.Spring…"は演奏も歌唱も鳥の鳴き交わしも華麗、"4.The Driving Boy"は子供達が楽しげです。
【第二部】優しさを感じるプレヴィンらしい流れからの "8.Out on…" は、祈りを感じる様な神聖ささえ感じます。山場は抑え目にしてクールな緩徐楽章です。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが付いてオケとのバランスが良く、"11.Sound…"も心地良いリズム感でまさにスケルツォですね。
【第四部】落ち着きから強音へ、小刻みからパワーへと、流れに表情が豊かです。"Sumer…"は締めくくりに相応わしい華々しさです。

表情豊かな歌唱とオケが心地良いです。





オススメCD
⑤プレヴィン:心地よい流れを楽しめますね
 (ブリテンの曲らしい音の張りが欲しいなら①ブリテン本人ですw)



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  バーンスタインとニューヨークフィル、1963年5月3日のライヴ音源です。



■来月4日都響#897のコンサートを前に予習を兼ねて聴いて見ました。大野和士さんが得意としそうなメリハリがあるので期待できそうですね。
【2020年2月27日 記】新型コロナウィルスの影響で中止となりました。

■来月28日のNHKプレミアムシアターでは、ラトル/ロンドン交響楽団の2018年のライヴ映像が楽しめます。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





シュテファン・イルマーのピアノで聴く、ジギスムント・タールベルク『ピアノ作品集』


ジギスモント・タールベルク
(Sigismond Thalberg, 1812/1/8 - 1871/4/27)
スイス生まれでフランス・オーストリア・イタリアで活躍した、ロマン派時代のバリバリの超絶技巧ピアノストにして作曲家ですね。

曰く、3本や10本の腕や手があると言われる程の技巧曲の名手で、作品はトランスクリプションも含みますね。その辺りもよく比較されるリストと似ています。(リストもベートーベンの曲などトランスクリプションを残していますね)


12 Etudes Op 26, Fantaisies Op. 33 & Op. 40
二つの幻想曲と、12エチュードの三曲を収録したピアノ曲集ですね。エチュードは前後半を分けて、その間に「ロッシーニ "湖上の美人" による幻想曲」を挟んでいます。一曲目の「ロッシーニ "エジプトのモーゼ" による幻想曲」と共に得意のトランスクリプションですね。

ピアノはシュテファン・イルマー(Stefan Irmer)になります。






Fantaisie sur des thémes de lópéra Moise de G. Rossini Op. 33 (1839年)
美しいロマン派らしいピアノ曲です。激しい強鍵とソフトタッチの対比が明確です。技巧性の高さはありますが楽曲としては動機の反復変奏が印象的で、主題の変化もありますね。
イルマーのpfのタッチは強鍵パートでの粒立ちの良さがあって鳴りが良く、ピッタリしています。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ピアニストは違いますが、こちらの方がアゴーギクの振りでバランスは良いかも



Douze Études nos. 1-6 Op. 26
基本的に反復変奏主体の技巧曲です。聴かせに入る楽曲並びで2'-3'なのでアンコール用とでも言ったらわかっていただけるでしょうか。例えばショパンのエチュードの様に美しいシンプルな流れに続く超絶技巧性ではなく、通して技巧性と感情の昂りを前面に押し出していますね。


Fantaisie sur des motifs de la Donna del Lago op. 40
前の幻想曲と同様にソフトと強鍵の対比になっていますね。イルマーのpfは全体的にパキパキとした音立ちが強いのでソフトな流れのパートもギスギスしているかもしれません。ソフトなパートは、やっぱり柔らかなタッチのエモーショナルさでコントラストを付けて欲しいですね。


Douze Études nos. 7-12 Op. 26
前半よりも柔らかい曲が並びますが、イルマーは叩きますから音がピンピンと立っています。ピアニストのキャラで、ピアノが鳴りまくりますね。緩徐のNo.10でもエモーショナルさは弱く、硬くフラットです。終わって、どっと聴き疲れ感がのしかかりますw



タールベルクの曲調はロマン派時代のピアノ・ヴィルトゥオーゾ楽曲そのものですね。よく弾み、その手のピアニスト向けです。今回はそれ以上にピアニストのキャラの濃さが出た気がしますね。

イルマーの常に"叩く"個々の音は、終始ピアノをガッツリ鳴らしている印象です。幻想曲のソフトなパートやエチュードNo.10でエモーショナルさが聴けたら良かったのではないかと感じました。
全編"グワワ〜ン!"といったピアノの鳴りが好きな貴方にオススメです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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