fc2ブログ

「Jugendstil」マーラーの"交響曲"(パート)、シェーンベルク"浄夜"をベアトリス・ベリュのピアノで


Jugendstil
(Beatrice Berrut, pf)
スイスの女性ピアニスト ベアトリス・ベリュのピアノ編曲&独奏で聴くマーラーとシェーンベルクです。

"Jugendstil, ユーゲント・シュティール"は直訳すると若者(Jugend)のスタイル(stil)ですが、19世紀末から20世紀初頭のドイツのアール・ヌーヴォーの事とか。時期的には確かに後期ロマン派終焉時代に当たり、マーラーとシェーンベルク初期にピッタリですね。それをコッテリと聴かせようという趣旨でしょうか?!

マーラーは交響曲の一部楽章、シェーンベルクの浄夜は全曲です。







1. マーラー:交響曲第5番 第四楽章・アダージェット
主部主題は色濃く甘美、アゴーギクとディナーミクを強く振って陰影を作ります。中間部の清美な動機も抑揚を与えて思い切り甘く濃厚です。
クレンペラーが聴いたら "だからサロンミュージックは嫌なんだ" って言いそう?!


2. マーラー:交響曲第3番 第二楽章
原曲はかなり古典色のメヌエット風ですが、ここでも揺さぶりますね。主部主題は高音寄りに、トリオはキンキンと音が飛び回ります。ここは変拍子パートなのでそれを表現しているのかと。回帰では一層濃くなって、一言で表せば'くどさ'を感じてしまいます。


3. マーラー:交響曲第6番 第三楽章
主部は妙なアゴーギクでギクシャクと、わざと半音強調にしたりとしてもいます。第一トリオは哀愁なのですが、'これみよがし'的に色合いをつけますね。中間部(第二トリオ)は'くどい流れ'からそのままの'くどさ'でこのパートで欲しい陽光が広がる様な印象はゼロです。


4. シェーンベルク:浄夜
ここでも同じ事が言えますね。この曲らしいダークな後期ロマン派の楽曲にそれ以上の表現主義的な色添えがついて回ります。その分かえってフラットに聴こえてしまいますね。パート毎の印象をインプレする必要はなさそうです。



マーラーは三曲ともに緩徐楽章を選んでいますが、ガッツリ表現主義的なピアノ曲になっています。強音パートは "どうだ、参ったか!!" って言う感じでしょうか。

タイトル通りなのかもしれませんが、駄耳なのでついていけないのが残念です。結果オリジナルの素晴らしさが残りました。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ラヴェルの管弦楽曲集「RAVEL LA VALSE」オラモ/ロイヤル・ストックホルムフィル


RAVEL LA VALSE
(Royal Stockholm Philharmonic Orchestra, Sakari Oramo: cond.)
モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel, 1875-1937)の人気曲をサカリ・オラモが昨シーズンまで主席指揮者を務めたロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団と演奏したアルバムですね。

ポイントは"クープランの墓"。オリジナル(ピアノ曲)から管弦楽版に編曲する際カットされた2曲*をケネス・ヘスケスの編曲版で追補、かつピアノ版と同じ並びにしている事だそうです。(それなのに2.と3.は"鏡"から二曲抜粋のままと言うのもアンバランスの様な…w)







1. クープランの墓 (1914-17, revised 1919)
[ I.プレリュード II.フーガ* III.フォルラーヌ IV.リゴドン V.メヌエット VI.トッカータ* ]
I.は速めの流れを軽妙に作ってobの音色を生かし、緩徐パートのII.も主題の変奏を透明感ある弦楽と管楽で対比させています。
III.ではいかにもラヴェルらしい斜に構えた美しさをソフトなスケルツォ風に、IV.はアレグロ的に華やかさを開かせる様に,弾ける様に,ステップを踏む様に。
V.は穏やかさを取り戻しobがメヌエットらしい哀愁を奏でますが、VI.ではハイテンポ強音で'くどさ'を感じてしまいます。個人的にはV.のメヌエットで終わった方が良かったのではないかと。

全体としてはいかにも印象派の変奏曲を洒脱に作り上げた感じです。アゴーギクを抑えて必要以上の甘美さを避けていますね。


2. 道化師の朝の歌 "Miroirs"より (1904-05, rev.?)
表情変化が強く掴みどころが弱い曲です。演奏もどこにフォーカスしているのか見えずらいです。


3. 海原の小舟 "Miroirs"より (1904-05, rev.?)
ここでも出し入れの強さを強調する演奏になっていますね。あまり好みでは…


4. 亡き王女のためのパヴァーヌ (1899, rev.1910)
第一主題から何やら淡々としていますね。hrがよそよそしく、あの包み込む様な優しさが薄く聴こえます。弦楽と木管はよい音を出してラヴェルらしさを作り、回帰する最後の主部パートは哀愁の美しさで締めくくります。


5. 古風なメヌエット (1895, rev.1928)
ピアノ曲のイメージが強いこの曲は少し尖った演奏に思えますね。金管が登場するとファンファーレ的な音色を響かせて、好みの方向性ではない印象になってしまいます。


6. ラ・ヴァルス (1919-20)
コンサートでもお馴染みのこの曲だけオリジナルが管弦楽曲ですね。
'いかにワルツを崩していくか' がキーな曲ですが、オラモらしい出し入れが効果を発揮。美とグロテスクな対比が作られ不安定さが構築されています。とは言えこの曲はもっと劇的な対比を作る事も出来るので、せっかくならやり過ぎくらいを聴きたかったですね。ラストは約束通りに荒れましたが、例えばもう少し流れにアゴーギクを効かせたりすると効果的だったかも。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  レニーがフランス国立管を振るとこうなりますね。これぞ "ラ・ヴァルス" !!




メリハリの強い演奏でラヴェルを演奏しています。ディナーミクを強調する流れで、澄んだ音色や瀟洒洒脱さは低いでしょう。
ベスト・トラックは"1. クープランの墓"ですね。

この流れから期待した"6. ラ・ヴァルス"はラスト以外暴れ足りませんでした。全体今ひとつ見晴らし不良の様な…



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ダナ・ゼムツォフ(Dana Zemtsov) がチョイスする「Dutch Hidden Gems, 忘れられたオランダの名曲」


Dutch Hidden Gems
Dana Zemtsov (ダナ・ゼムツォフ, va)
米を活躍の拠点とするメキシコ人女性ヴィオリストのゼムツォフ。
今回はあまり知られていないオランダの近現代音楽家の作品集、そこかポイントですね。

演奏はアンナ・フェドロヴァ(Anna Fedorava, pf), フィオン管弦楽団(Phion, Orchestra of Gelderland & Overijssel)。
指揮はシズオ・Z・クワハラ(Shizuo Z Kuwahara)さんで米で学び活躍しています。"Z"は正規のミッドネームではなく愛称(ズィー)だそうで、来日機会も多いですね。








ヘンク・バディングス
(Henk Badings, 1907/1/17 - 1987/6/26)
ジャワ島生まれの作曲家で、ほぼ独学だったそうです。多作家で、'the octatonic scale'(八音音階)といった独自の和声を使っていた様ですが、注目されたのは21世紀に入ってからですね。

■1. Viola Concerto (1965)
 弦のトレモロで入るので一瞬ブルックナーかとw すぐにvaソロとなりますが、重厚で出し入れが強いです。機能和声の音楽で新ロマン主義なのか新古典主義的なのか、1960年台の前衛の気配はありません。それでも濃厚幽幻な聴き応えがある楽曲になっていて、第三楽章では舞踏風の民族和声も使って構成も熟れて感じです。
ゼムツォフのvaも色濃い音色で重厚なオケに対峙して、コンサートで聴いてみたいですね。


■4. Sonate for Viola and Piano
 1.のスタンスをデュオ曲にした様な印象ですね。オケがpfになっている感じです。これはこれでフーガ的あり、対位的あり、美しいホモフォニーあり、技巧パートありで楽しめます。途中で一風変わった和声が登場しますが、それが'the octatonic scale'でしょうか?!
ここでも第三楽章は舞踏曲風です。



アルネ・ヴェークマン
(Arne Werkman, 1960/10/3 - )
ハーグ生まれですが、育ったのはスイス/フランスで1994年(34歳)からオランダに戻りました。主にジュネーブで学んだ様で、オランダではユトリヒト音楽院でで習っていますね。

■2. Pavane for Viola and String Orchestra
 ちょっと仏印象派の様な美しさの弦楽奏曲です。新ロマン主義なのかもしれませんね。強音パートは無く全体が微妙な浮遊感で構成されていて、短いカデンツァではダブルストップを効かせています。
ヴェークマンの他の曲も聴いてみたいですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



ヤン・クーツィール
(Jan Koetsier, 1911/8/14 - 2006/4/28)
指揮者としても活躍した音楽家で、ベルリン音楽大で学びコンセルトヘボウの副指揮者、バイエルン放送響のカペルマイスターにも就いています。
ヒンデミットの影響があり、マーラーやR.シュトラウスを好んだとありますね。

■3. Concerto for Viola and Orchestra (1940, rev. 1955)
 確かにヒンデミットを感じる様な新古典主義基軸の印象を受けますね。主題や動機からの変奏もあったりと、旧来的な基本構成が主になっているのも明瞭です。
そう言えばヒンデミットもva奏者で、va曲も多かったですね。



ヘンリエッテ・ボスマンス
(Henriette Bosmans, 1895/12/6 - 1952/7/2)
音楽家の両親を持つ女性作曲家ですね。ピアニストとしても活躍していて、モントゥーやメンゲルベルクとの共演もあるそうです。コンセルトヘボウのために多くのピアノ協奏曲を提供しています。

■5. Arietta - Largo
 3'の小曲です。ロマン派の様なva/pfのデュオ曲です。時代が100年くらい遡った印象でしょうか。



前衛全盛期なのですが、選ばれているのは新古典主義や新ロマン派と言った機能和声の楽曲です。普段なら、インプレ対象外かもしれません。

それなのに意外や楽しめるアルバムになっているのはダナ・ゼムツォフのvaの表現力でしょうか。バディングスとヴェークマンは他の曲も聴いてみたいですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミヒャエル・ギーレンで聴く ツェムリンスキー「抒情交響曲」



抒情交響曲
アレクサンダー・ツェムリンスキー, 1871-1942
(ミヒャエル・ギーレン指揮, ウィーン放送交響楽団)
常にマーラーの「大地の歌」と比較されるわけですが、2人が歌い交わす構成だけで他は然程似てはいないかと。

「抒情交響曲」の方が厄介な楽曲でしょう。特に素直にホモフォニーで歌えない様なオケとの歪んだ調性の対位的関係は印象的です。

その印象はフィッシャー・ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau, bar)とユリア・ヴァラディ(Júlia Várady, sop)のご夫婦が歌う1981年録音(DG)の鉄板のマゼール/BPO盤が頭に擦り込まれているからでしょうね。
さて今回は超えられるでしょうか。

バリトンはローラント・ヘルマン、ソプラノはカラン・アームストロングです。







抒情交響曲 Op.18 (1922)
1. わが心, 穏やかならず - 2. お母様, 若い王子様が - 3. お前は夕暮れの雲 - 4. いとしいお方, 私に話して下さい - 5. 恋人よ, お前の甘い口づけから解き放してくれ - 6. 最後の歌を歌い終えたら, お仕舞いに - 7. 安らぐがよい, わが心よ

まず冒頭1.でオケは刺激的な音を鳴らし陰鬱な表情を濃く作ります。バリトンは伸びやかな低音を響せますが、オケが激しく覆い被さります。独特なオケとの対位的印象は薄く協調的ですね。

4.の流れはオケがややギクシャク、sopもmez的でこのパートに欲しい官能的な印象が弱いかも。短く激しい5.バッチリ決めて来ますね。"グレの歌"のバルデマル王を思わせる様で素晴らしいです。

6. 7.の別れの交わしはsopが切れ味の中に哀愁を聴かせます。歌詞よりも力強いです。barはそれに応じて緩やか穏やかにまとめていますね。これがこの曲のラストらしさです。
1.で登場した象徴的なV字動機が6. 7.にも出て、ラストを締め括ります。



オケ・歌手共に濃厚で出し入れの強い抒情交響曲です。揺さぶりもあってギーレンらしい流れでしょうか。

鉄板マゼールBPOの'まとまり'に較べると、こちらは'激しさと濃厚さ'です。歌手陣は前者が表現力なのに対して、こちらは太く強くでした。

ディースカウ/ヴァラディが作り出すオケとの対位的浮遊感の素晴らしさはやっぱり超えられない…?!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





クレール=マリ・ル・ゲ のピアノで聴くリスト『魂の喜び, Joies De L'ame』



魂の喜び
クレール=マリ・ル・ゲ (Claire-Marie Le Guay, pf)
フランスのピアニスト "ル・ゲ" ですね。かつて厄介なグヴァイドゥーリナのピアノ曲集で素晴らしい演奏を聴かせてくれた事を思い出します。

今回はリストのピアノ曲集で、人気曲がピックアップされていますね。ワーグナーの美しい "イゾルデの愛の死" のpfトランスクリプションも入っています。トランスクリプションが得意だったリストですからどんな編曲なのか楽しみです。







1. メフィスト・ワルツ 第1番
「村の居酒屋での踊り」で知られる お馴染みのテンポの速いリストらしいピアノ独奏曲ですね。(管弦楽ver.や四手ver.とは少々異なります)
"烈・静・烈・コーダ"構成で怒涛強烈な曲、それを前面に出しながらリストの作るメロディラインを濃厚に表現します。少し表現主義的な印象もあるくらいですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  濃厚さならこちらも負けていません。ダニール・トリフォノフですね。
  技巧性強調スタイルで弾き倒します!!



2. 愛の夢
第3番ですね。美しいノクターンで、とても表情が豊かな甘美さを奏でます。アゴーギクで作る表情が濃厚さを作りますね。


3.「トリスタンとイゾルデ」より "イゾルデの愛の死"
強鍵で入り、有名な主題を色濃く。原曲のワーグナーよりも濃淡が強いですね。それがリストらしさでしょう。あの冷たく美しい静的な印象よりも、右手と左手のハーモニーを作りつつ強い感情表現になっています。ル・ゲの演奏もそれを強調しています。


4.「詩的で宗教的な調べ」から "愛の賛歌"
スローな緩徐曲です。ここでも緩やかな流れにアゴーギクを振って美しさを甘美さに強調する演奏です。強弱出し入れも強く振って、その印象を深めているでしょう。


5. 「詩的で宗教的な調べ」から "葬送"
pfを大きく鳴らす冒頭、アルペジオ主体のパートもここでは打鍵を強くして、後半の激しい強奏パートは勇壮です。ただ、少し静的な美しさが欠ける感がなきにしもあらず かもしれません。pfを鳴らす曲になっています


6. 巡礼の年第1年「スイス」から "泉のほとりで"
有名なパートですね。水の流れの美しいアルペジオが印象的ですが、個人的な好みはもっと静的中心の繊細さかもしれません。ここでは強音と技巧を見せるル・ゲですね。


7. コンソレーション ver.1850
これまた美しい流れの人気曲ですね。予想通りにル・ゲは濃いめの表現です。pfパフォーマーでもあったリストですから、このくらいの表現の方が合っているのかもしれません。よく知られる "III. Lento placido" は甘美です。



技巧性よりも濃厚表現のル・ゲのピアノです。アゴーギクとディナーミクが明確で、静の感情表現を前者で、強弱出し入れを後者で色付けます。とにかくpfを鳴らしますね。

リストのよく知られるピアノ曲を表情濃く聴きたい方にオススメの一枚になっています。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ユルギス・カルナヴィチウス(Jurgis Karnavičius)の「弦楽四重奏曲 第三番・第四番」

後期ロマン派としてインプレした弦楽四重奏曲 第一番・第二番に続いて、調性からの逸脱を強める続編が出ましたね。結果違った訳ですが…


ユルギス・カルナヴィチウス
(Jurgis Karnavičius, 1884/5/5 - 1941/12/22)
リトアニアの音楽家で、ヴィオラ奏者から音楽理論と作曲をロシアで学びペテルブルク音楽院で教鞭もとっています。

リトアニア独立後に戻り同国を代表するオペラ作曲家になっていますね。リトアニアの民族音楽やロシアの古典を軸に、時代背景の後期ロマン派から20世紀初頭のモダニズムを取り入れた楽風だったそうです。
ポリフォニーや楽器類を駆使して調性からの逸脱を図っていると記述がありますが、少なくとも弦楽四重奏曲には感じられませんね。



String Quartets Nos. 3 & 4
(Vilnius String Quartet)
弦楽四重奏曲の第三番・第四番です。時代背景的にはペテルブルク音楽院の時代になりますから、モダニズム的な楽風が取り入れられているか微妙なところですね。弦楽四重奏曲は4曲しか書いておらず、既出の第二番では不協和音を入れて調性を越えようとするスタンスだけは感じました。結果的には調性を越える事は無かった事になる訳ですが…

演奏はリトアニアをベースとするヴィリニュス弦楽四重奏団です。







1. 弦楽四重奏曲 第3番 Op.10 (1922)
I.アンダンテ、美しい主題には僅かな不協和音が仄かに感じられますが、本質は後期ロマン派なのは明らかで、構成もホモフォニーでトリオを挟みます。II.はリズム感を上げてアレグロにした楽章で、古典の印象と後期ロマン派時代のシェーンベルクを思わせますね。III.はLento. Allegro non troppoで遅早が混ざりややもたれ気味。中間楽章に緩徐を置いた方がフィットした印象です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ヴィリニュスのLIVEでIII.楽章です



2. 弦楽四重奏曲 第4番 (1925)
第一印象は第3番と同じ流れで、続けて聴いたら4楽章かと思ってしまいます。残念ながらモダニズムや調性からの脱却は感じられませんね。でも楽曲的には心地良い美しさがあって、それがカルナヴィチウスなのでしょう。
ここでも処々で"浄夜"の印象がふと浮かぶのが不思議です。



美しいメロディ・ラインの主題が印象的な後期ロマン派の弦楽四重奏曲です。その方向性が好きな方にはオススメですね。モダニズム的な操作は隠し味にもならないほどですから、全く心配はありません。

ヴィリニュスの演奏も濃淡をはっきりさせた流れを作って聴き応えがありますね。コンサートで聴いたら楽しめそうです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ガードナー/ベルゲン・フィルで聴くシベリウス管弦楽集『ペレアスとメリザンド、タピオラ、春の歌、他』



ジャン・シベリウス
(Jean Sibelius, 1865-1957)
近年注目作をリリースするエドワード・ガードナー指揮,ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団のシベリウスを聴いてみました。

年代的にはドビュッシー(b.1862)やR.シュトラウス(b.1864)に近いシベリウス、1894年から1925年までの初期から晩年に渡る5曲ですから、楽曲の変化・推移も味わえるグッド・チョイスですね。「ペレアスとメリザンド*」,「タピオラ」といった代表作も含まれています。(*組曲版で本来11曲のところ8(9)曲で、曲の入替もあります)

インプレは年代順に聴きました。CDでの順番は曲番号です。(作品番号は改作もあるので年代と逆になる曲も多々ありますね)
1.と3.のsopはリーセ・ダーヴィドセン(Lise Davidsen)です。







5. 交響詩 春の歌 Op.16 (1894)
緩やかな旋律の主題が北欧風景的に聴こえるシベリウスらしい北欧ロマン派といった雰囲気を作り出していますね。今回唯一の19世紀の初期作品で、山場へ昇る楽曲構成ですが大仰な印象は作りません。


3. 組曲 ペレアスとメリザンド Op.46 (1905)
冒頭の"I. At the Castle Gate"で一挙に重厚さの旋律が支配する楽風になりますね。それと合わせて"II. Melisande"〜"III. At the Seashore"の緩徐は明らかに印象派風で、その影響を表すかの様です。
"V. The Three Blind Sisters"は今回はsopが入るver.を使っていますが、ちょっとマーラー歌曲風にも感じますね。その後も後期ロマン派的な出し入れを使っていますね。個人的にはマーラー(角笛)的な旋律を処々で感じてしまいます。誰もそんな事書いていませんが…
最後の緩徐は後期ロマン派色が強く、北欧ロマン派?から後期ロマン派や仏印象派の影響になる時期の様相でしょうか。


1. 交響詩 ルオンノタル Op.70 (1910)
sopが入ります。調性ですが神秘・幽幻の音色を濃くしています。明瞭な主題が弱まり、反復・変奏の構成が強くなっていますね。


4. 恋人 Op.14 (1911)
3パートの曲です。I.はアンダンテ風で澄んだ美しい音色と浮遊感ある旋律で、北欧の空気感を感じますね。II.はスケルツォ風、ここでも透明感のある流れになっています。III.はワルツ風で短旋律の動機が反復変奏されて続きます。後期ロマン派的で全体が弱音で構成されているのが印象的です。


2. 交響詩 タピオラ Op.112 (1925)
メリハリが強い楽風に変化していますね。短旋律の反復・変奏が強まって、それがホモフォニーで構成されます。神秘・幽幻な印象はここでも聴かれますね。後半で強音パートが登場しますが、反復構成は変わりません。



技巧や印象派と言った楽風の影響を受けながら、北欧風景的後期ロマン派の流れは最後まで残されていた事がわかりますね。

中後期の幽幻な短旋律の反復・変奏が印象的ですが、それは今の時代のクラシックの一つの潮流でもありますね。その源と言った聴き方もあるかもしれません。(実際にはこの後に欧前衛時代がやってくる訳ですが)

ガードナー/ベルゲン・フィルの演奏は意外や抑え気味の演奏でしたね。予想ではもっと揺さぶって来るかと思いましたが、フィットしてシベリウスの全貌を覗けるアルバムです。



 ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
07 | 2022/08 | 09
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます