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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 80CDの聴き比べです [#6 / CD71-80]

マーラー第9番も今回(#6)の10枚で80CDまで来ました。全て聴いてインプレするにはまだ時間がかかりそうですが、一枚一枚違って楽しいですね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在#6回 80CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:10CD 本投稿です
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 高関健, 山田一雄, ミュンフン



ゲオルク・ショルティ, Georg Solti
鳴りの良さとパワーのイメージが強いショルティ(w/シカゴ響)のマーラーですが、9番(正規盤)はロンドン響とシカゴ響の録音を残しています。アクの強さがマーラーに合うかは好みの問題もあるでしょうね。

(#1)
London SO
[DECCA] 1967-4/28-5/11
帯同して来日したこともあるロンドン響とのマーラー9ですね。1967年録音で、当時はこんなにマーラーに人気がなかったと思います。(少なくともSP→LP時代の父は長い交響曲は嫌いでしたね)
第一楽章
第一主題は息遣いのごとく表情を見せ、第二主題は葛藤を演ずる様です。その後も表情豊かな展開部で楽しませてくれます。暗雲と嵐、常に"風雲急を告げる"的パワー表現メインですけどw
第二楽章
主要主題はもったいぶった調子でややスロー、第一トリオはテンポを上げて切れ味、第二トリオでも図太さを感じます。とにかく強側のメリハリ、疲れますね。
第三楽章
主要主題はオケの鳴りが全開、副主題(第一トリオ)では多少肩の力を抜きますが気合がすごいです。中間部(第二トリオ)は落としますが背後に力がこもっているのがわかります。ラストは爆走!!
第四楽章
主要主題は太くて濃く、暑いお風呂みたいです。第一・第二エピソードも朗々とした鳴りでスローや閑を排して力感いっぱい。聴き終わったら疲れてぐったり。
・・・・・
太く力漲るマッチョなマーラー9です。個性的ですが狂気というわけではなく暑苦しいだけ?、この曲の哀愁や情感には接点がないので残念です。
スキヤキを濃い割下で肉だけガッツリ早食い口いっぱい、みたいなw 好きな方にはオススメです。(爆) えっ、㊟印付けろ?? ですかねぇ。




(#2)
Chicago SO
[DECCA] 1982-5
ショルティと言えば音楽監督(1969-1991)だったシカゴ響。そのマーラー9ですね。上記15年後の演奏ですが、こちらはどうでしょう。
第一楽章
第一主題・第二楽章ともに抑えが増して静的に澄んだ音色に変化しています。反復から第三主題も適度な激しさを見せてバランスがいいですね。展開部も落ち着いてクセがなくなりお手本的、見晴らしよくなりました。後半スローが気になるのは演奏時間も3'以上長くなったからでしょうか。
第二楽章
全体の流れは似ていますが、少し肩の力が抜けて聴き疲れは弱まりました。第一トリオ以降もスロー気味です。
第三楽章
LSOと同傾向、全開運転です。中間部は少し速くなっている感じです。
第四楽章
通して同じ様な流れですが、少しスロー化して楽になった感じです。それにしても何かが伸し掛る様に強く重いです。ラストの静音はオマケみたい。
・・・・・
力強いマーラー9です。一部は一般化しましたが、いずれにしろ力感。ならばいっその事ロンドン響に一票でしょうか。




ヘスス・ロペス=コボス, Jesús López-Cobos
Cincinnati Symphony Orchestra
[TELARC] 1996-5/5,6
本年(2018年)3月2日に亡くなったスペイン人指揮者ロペス=コボスが首席指揮者(1986-2001)を努めていたシンシナティー響を振ったマーラー9、他には2,3,10番を残していてファンがいますね。
第一楽章
第一主題から第二主題への変化の流れは適度、そこからの反復と第三主題(コデッタ?)も安心して聴けますね。展開部も奇を衒ったパートはなく、標準王道的な落ち着きです。どちらかと言うと穏やかさの印象でしょうか。
第二楽章
主要主題から優美さ、第一トリオも刺激的変化を避けてマイルドに、第二トリオはよりマイルドで少し長く感じます。
第三楽章
主要主題は切れ味よく、副主題も同じ流れ。中間部は色合いは変えますがテンポ変化は少なめです。ラストもパワーはふるいますが刺激は薄いですね。
第四楽章
主要主題の穏やかな広がりの良さは得意とする処でしょう。流れの延長で第一エピソード、第二エピソード共には情感は適度ですが、後半からコーダのターン音型では静的に落としてこの曲らしさを聴かせます。
・・・・・
まとまりの良いマイルドなマーラー9です。抑え気味のアゴーギク・ディナーミクで個性・刺激には欠けるかもしれません。刺激物の苦手な貴方におすすめですw




金 聖響, Seikyo Kim
Kanagawa Philharmonic Orchestra
[Octavia] 2011-5/28
在日韓国人指揮者の金(キム)さんは2009年から2014年まで神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めました。その時代の録音になります。その後いろいろ問題があったのは残念な事です。
第一楽章
序奏・第一主題は緩やかに、第二主題からは重厚さを見せる教科書的な流れです。反復最後の第三主題にかけてもきっちりと盛り上げています。展開部も陰鬱さとアレグロ・リゾルートからの激しさと良いコントラストで堂々本流ですね。ただキッチリとしている気配が強すぎて機械的な流れです。
第二楽章
主要主題はゆったりレントラー、第一トリオでキリッと表情を上げてリズムよく、第二トリオは穏やかに、と正攻法です。山場も約束通りに盛り上げますが、教科書通り的で表情が感じられません。
第三楽章
ここでも主要主題から副主題を全く違和感なくリズミカルに、中間部でターン音型を美しく奏でます。規格品ですが何かが足りません。
第四楽章
vnのターン音型は美しく、第一エピソードは陰鬱さを軸とする流れをきれいにつけています。第二エピソードも後半からはコーダに向けた流れが作られています。何かが欠けている様な、個性に欠けるのが個性?!
・・・・・
不要な揺さぶりを殺して教科書の様なマーラー9です。レシピ通りの料理が好きな貴方向き?
ただこの曲に欲しい情熱や思い入れが、ライヴにもかかわらず伝わらないのが唯一最大の問題かもしれません。




アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky
Tatarstan National Symphony Orchestra
[Μелодия] 2016

(コンドラシンとスラドコフスキーが1,5,9番を振った面白いset物ですね)

スラドコフスキーが首席指揮者で音楽監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー9ですが、両者ともよく知りません…
第一楽章
スローの序奏・第一主題から第二主題は激しさに表情を変え二面性を見せてきます。第三主題ももちろん激しさです。展開部も静のスローと烈のファストの明確な表情付けが、陰鬱さ・美しさ・激しさを生かす展開です。明瞭な第一楽章ですね。
第二楽章
歯切れの良いレントラーの主要主題から第一トリオをいきなりテンポアップ、第二トリオでスローダウンします。微妙ではなく明瞭なアゴーギクです。
第三楽章
主要主題は少々慌ただしい感じで副主題で少し取り戻し、絡んだ後に中間部で澄んだ音色からラストは精一杯盛り上げます。わかりやすいですね。
第四楽章
第一主題は予想通り一楽章回帰的にスローです。第一エピソードの鬱さは情感に欠けますし、第二エピソード後半からのターン音型のエモーショナルさは弱いです。山場は盛上げますが…
・・・・・
すっきり明快なマーラー9です。主題・動機ごとに明瞭にアゴーギクを振り替えています。個性も含めて微妙な"わび・さび"のアンジュレーションは弱いです。(この曲に一番欲しい物かもしれません)




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam

Danish National Radio Symphony Orchestra
[CNANDOS] 1991-9/23-25

(第7番とのカップリング3CDです)

北欧の怪人、フィンランドの指揮者セーゲルスタムです。個人的には多作の現代音楽家のイメージが勝ちますが、来日した指揮でも楽しませてもらいましたね。DR放送交響楽団(デンマーク放送交響楽団)首席指揮者時代(1988–1995)の演奏です。
第一楽章
とてもスローで大きな第一主題です。第二主題もその流れでスロー、そこから大きく山場を築いて反復、第三主題は落ち着きを払った雄大さです。展開部もスローを基本として奥行きのある流れを作っています。
第二楽章
主要主題スローで落ち着いたレントラーですが切れ味があります。第一トリオは威風堂々と、第二トリオは落ち着かせる様な優しさですね。山場は抑え気味で、この楽章のスローだけ今ひとつ感があるかもしれません。
第三楽章
主要主題と副主題は標準的なテンポで歯切れがいいですね。中間部のターン音型は最終楽章を印象付ける美しさです。ラストの緊迫は見事!決まりました。
第四楽章
主要主題は緩やか優美です。第一エピソードでは入りのcbからコーダ終焉に向けた気配を漂わせる構成です。第二エピソードも山場を含めて感情が溢れ出て、後半からコーダにかけての静音ターン音型パートの素晴らしさは格別かもしれません。
・・・・・
セーゲルスタムらしいスロー、雄大さと情感のマーラー9です。単純な静スロー・激ファーストの様なアゴーギクではないのがセーゲルスタムらしさでしょう。思い入れを感じられてとても好きな一枚です
CHANDOSの音の良さも一役買っているでしょう。




マルク・ゴレンシテイン, Mark Gorenstein
State Symphony Orchestra of Russia (Svetlanov SO)
[MDG] 2010-2/20
釜山フィルの首席指揮者も務めたゴレンシュタイン、ロシア国立交響楽団の音楽監督(2002-2011)時代の録音です。
第一楽章
緩やかスローの第一主題は美しく第二主題は変化は少なめに入って大きく広げます、反復後の第三主題も含めて王道ですね。展開部もスロー基本で大きくバランスの良さがありますが、やや刺激に欠けて時折スローの間延びも感じます。
第二楽章
レントラー主題もスロー強調ですが、第一トリオではしっかりと締めて、第二トリオは緩やか。山場もスローなので強調感に欠けますね。
第三楽章
主要主題はリズミカルで重さを付けて良い流れを作ります。第一トリオも流れに乗って緊張感を保ち、第二トリオで緩やかにターン音型では美しさを強調しますがその後が弱いです。でもラスト山場は暴れて面白く、この楽章が一番でしょう。
第四楽章
主題は得意の雄大さが光ります。第一エピソードは暗く鬱に入りスローを生かして大きく広げて良い流れを作り、第二エピソードは一転速めで入ります。山場(mixingバランスが?)から徐々にスローに戻し、ターン音型を緩やかに納めます。
・・・・・
緩やか広々スローなマーラー9ですね。スロー主体でアゴーギクが薄く、強音パートに締まりに欠けるのが残念ですね。
良い処もあり、ジャケットも好きなのですが。




高関健, Ken Takaseki
群馬交響楽団
[ALM] 1999-3/21
高関さんが群馬交響楽団の音楽監督時代(1993 - 2008年)の録音ですね。
第一楽章
第一主題から第三主題までメリハリが不足している感じです。展開部もスローパートのモヤッとした感じが拭えないのはアゴーギクやディナーミクの弱さだけでなく、管楽器の音色もあるかもしれません。強音パートは適度に暴れて面白いですが、前途多難を感じました。
第二楽章
主要主題は速めですが何かスカッとしません。第一トリオは流れに乗ってシャープさが感じられます。速い展開はいける様ですね。第一楽章よりまとまってきました。
第三楽章
主要主題はマーラー指示の様に荒々しさがありなかなかです。第一トリオもその流れに乗り、第二トリオの静展開ではやはり何かこもった気配になります。ラスト山場は見事です。
第四楽章
不安を感じたスローの主要主題は落ち着いた演奏になります。第一エピソードは繊細なのですが、寂寞感や情感に繋がりません。第二エピソードは山場があるので、そこはこなしています。
・・・・・
今ひとつ見晴らしの良くないマーラー9です。全体的には荒れたパワーパートは面白さがありますがスローのモヤモヤが拭えず、この曲の持つ哀しみや美しさと言った情感が、テクニカル的にも、弱く感じました。




山田一雄, Kazuo Yamada
新日本フィルハーモニー交響楽団
[fontec] 1986-6/7
ヤマカズさんが新日本フィルを振ったマーラー9ですね。本当は第5番同様映像付きで見たいところです。
第一楽章
緩やかで緊張感を漂わせる第一主題と第二主題、そして反復からの第三主題は雄大です。展開部は陰鬱な流れからJ.シュトラウスの引用で明るさを見せ、流れよく山場へと進みます。鬱パートと山場の組合せは明確にコントラストを付けてきますがしっかりとアゴーギクがコントロールされて心地よいですね。再現部の間延び感が少し残念ですが。
第二楽章
レントラー主題は速く軽快な勇み足風に、第一トリオで一般的なテンポ設定に戻し明快な三拍子を付け、第二トリオでスローダウン。三つの顔を明確にしていますね。
第三楽章
主要主題は速めに少し乱暴で切れ味よく、第一トリオでは流れに乗った落ち着きを見せて、第二トリオはまさに中間部らしい美しい流れを作り出します。ラストも暴れて見事な構成感ですが、真面目過ぎかもw
第四楽章
主要主題は第一楽章で感じた様な緩やかな緊張感が少し弱いですね。第一エピソードを支配する静は全体スローでコーダをイメージさせ、第二エピソードはテンポアップして山場を迎えた後スローに落としコーダへ繋げます。
・・・・・
構成感もあり、きっちり真面目なマーラー9です。スローの優しさとコントロールされた強音パートをどう見るかで評価は分かれるかもしれません。
個人的にはコンサートならではの一体感や興奮が欲しいところです。少し羽目を外してもいいかも。指揮台のヤマカズさんの音が聞こえますねw




チョン・ミュンフン, Myung-Whun Chung
Seoul Philharmonic Orchestra
[DG] 2013-8/29,30
韓国生まれの米国人指揮者チョン・ミュンフン、ソウル・フィル(ソウル市立交響楽団)音楽監督時代のマーラー9番です。
第一楽章
第一主題はスローに続く第二主題も柔らかさ重視で、反復から第三主題で山場を作ります。展開部もスロー穏やかメインに山場を築くコントラストが明確ですね。好きな流れですが無表情的で、再現部はもやっとしてしまいます。
第二楽章
主部主題はややテンポを上げてリズムよく、第一トリオも大きくは変えずスケルツォらしいです。第二主題は静でスローに落とします。
第三楽章
主部主題・副主題はいきなりのアップテンポ、中間部で静で薄く展開します。ラストも盛り上げますが、なぜか訴えて来ません。
第四楽章
主要主題は弦楽器で大きく奏でます。第一エピソードは薄く良い流れですが無表情、ラストがコーダの様なのはやり過ぎでは。第二エピソードも早々と前半からエンディングに意識を持って行っている感じです。
・・・・・
第一・第四楽章の静を強調したマーラー9です。ただ、この曲に欲しい情熱や思い入れとは無縁ですね。






聴いた印象を素直に少しづつアップしていきたいと思っています。数々のヴァリエーションからこの曲の全体像が感じられると嬉しいと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ミッシャ・マイスキー(Mischa Maisky) の マーラー「アダージェット」多重録音版を聴く


ミッシャ・マイスキー
(Mischa Maisky, 1948/1/10 - )
ラトビアの人気チェリスト、クレーメル(の一年後輩)やアルゲリッチとの印象が強くて、やっている事は興味深いのですが今ひとつ食いつけない一人ですね。コンチェルトで一回行っているかもしれませんが、ソロ・コンサートはまだ聴いた事がありません。早いもので70歳になったんですねぇ。
今ですとチェロはM.ブルネロやG.ソッリマが好みですね。昔はもちろんデュ・プレですがw


Adagietto
マーラーの交響曲第5番第四楽章「アダージェット」をハープを除きマイスキーが多重録音で演奏しています。マーラーをblogタイトルにしているので聴いてみる事にしましたw

全十四曲のこのアルバムはマイスキーが子供達に贈った小曲集だそうです。興味のある方はググっていただくと色々出てきます。




アダージェット from Mahler's Symphony No.5
主要主題の第一動機はスローです。第二動機以降徐々に速めてクレシェンドでテンポを戻してきますね。中間部はメインパートが煽る様な感じが強く滑らかさには欠けるでしょう。
室内楽ver.として聴いた場合、あまりそう言う機会はありませんが、バランスが良いとは言えない気がしました。

■ その他
 2. マルチェッロ:アダージョ (オーボエ協奏曲, バッハによるチェンバロ協奏曲編)
 3. バッハ:ラルゴ [アリオーソ] (チェンバロ協奏曲第5番 第2楽章)
 4. モーツァルト:パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」(歌劇『魔笛』)
 5. サン=サーンス:カンタービレ「あなたの声に心は開く」(歌劇『サムソンとデリラ』)
 6. マスネ:タイスの瞑想曲 (歌劇『タイス』)
 7. チャイコフスキー:秋の歌 (四季 Op.37から10月)
 8. チャイコフスキー:感傷的なワルツ (6つの小品)
 9. スクリャービン:エチュード第11番 (12のエチュード Op.12)
 10. スクリャービン:ロマンス
 11. グリーグ:ソルヴェイグの歌『ペール・ギュント』
 12. シューベルト:ノットゥルノ 変ホ長調 D.987
 13. シューマン:アンダンテ・カンタービレ (ピアノ四重奏曲 Op.47 第3楽章)
 14. ブラームス:アンダンテ (ピアノ四重奏曲 Op.60 第3楽章)


古典は個人的には平和すぎて同じ曲に感じてしまいます.(汗) サン=サーンスやマスネ、チャイコやグリーグには情感がありました。やっぱりスクリャービンの二曲が感情の起伏があって良かったですね。最後のシューマンとブラームスはアルゲリッチ達とのクァルテットのLive (12のトリオも)です。ライヴのアプローズは不要でしょう。
このアルバムの為に演奏した1-11は優しく美しい曲が並び、ミッシャが子供達を思いながら弾いたんだろうなぁ...って感じですね。


新しいアプローチを期待したアダージェットですが、音数が少ないわりにスムーズなマッチングに欠けてしまった感があります。特別に新しい何かは??

心地よい小曲集なのでBGMでかけたら良いのかもしれません。胎教にオススメかもしれません。そんなアルバムですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

NHK交響楽団 Newライヴ・シリーズ『スヴェトラーノフ・N響 / マーラー交響曲第5番・第6番』をロシア国立響と聴き比べてみました


N響 vs ロシア国立響
先月発売された同シリーズの中にスヴェトラーノフ客演のマーラーの第五番(2000年)と第六番(1999年)が入っていました。

スヴェトラーノフ-マーラー-NHK

同時期エフゲニー・スヴェトラーノフ(Evgeny Svetlanov)が音楽監督(1965 - 2000)を務めていた手兵、ロシア国立交響楽団(Russian State SO)と聴き比べてみました。手兵vs客演さてどうだったでしょう。


本来なら『交響曲 第5番 170CD』と『交響曲 第6番 50CD』の中でインプレするのですが、次のアップ機会という事で先行投稿です。



スヴェトラーノフ / マーラー 交響曲 第五番

ロシア国立交響楽団
(Russian State Symphony Orchestra)
1995-10

第一楽章・第二楽章
特徴的にスロー弱音の葬送行進曲、山場ディナーミク強めです。第一トリオは明瞭にテンポを変え激しさですがクセはありません。第二トリオもややスローの標準的です。第二楽章の第一主題は速く第二主題はスロー静の対比です。展開部以降も同様で、コントラストを明確にした第一部ですね。
第三楽章
スケルツォ主題は緩めでhrも弱点、レントラー主題も第三主題も緩く演奏の質にも難があってぼんやりとした感じです。展開部・再現部も同じ流れで、特にスローの間延び感でボケた第二部に思えます。
第四楽章・第五楽章
主要主題は甘美を避けクール、中間部でも澄んだ流れを作っていて好きなアダージェットですね。最終楽章は第一第二主題がうまく絡みテンポアップで上げていきコデッタを優美に仕上げます。展開部と再現部の流れもスローが少なく山場も気持ち良く盛上げますが、この曲のコーダからラストでスローに落としてしまってはアウト!ですね。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか

スヴェトラーノフ節で、アゴーギクとディナーミク共に大きく振っているのですがスローが締まらない感じです。演奏も少々…なのも事実でしょう。





NHK交響楽団
(NHK Symphony Orchestra)
2000-9/28

5年後のN響との演奏になりますね。

第一楽章・第二楽章
葬送行進曲はやはりスローですがここでももっそりで何かが足りない感じです。第一トリオ・第二トリオ、展開部以降も第二楽章も5年前とよく似た第一部です。
第三楽章
ほぼ同じ構成、もやったスロー主体で見晴らしの悪さが印象に残ってしまいます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは色合いは同じですが、スローになっていて残念です。最終楽章も気持ちの良いテンポ設定で流れて行って、コーダ・ラストも類似かと思いきやスローにはしませんでしたね。アッチェレランドは効いていませんでしたが悪くありませんでした。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか。←1995年ロシア国立響と同じコメントです。(とにかくよく似ています)

スローで何をやりたいのか駄耳なのでわかりません、やっぱりこのスローは鬼門ですね。ラストが普通になっていたのが救いでした。





スヴェトラーノフ / マーラー 交響曲 第六番

ロシア国立交響楽団
(Russian State Symphony Orchestra)
1990

第一楽章
第一主題は抑揚を付けたスロー、モットーの後の静音は大きく落としアルマの主題は華やか、スヴェトラーノフらしい揺さぶりです。展開部以降も揺さぶりは強く、勇壮なパートは素晴らしのですが間をとったパートはぼんやりです。
第二楽章
とんでもなく速いスケルツォ主題、強烈です。そしてトリオでは素っ気なくスローで凄いコントラストです。冗談としか思えない面白さ!
第三楽章
穏やかな主要主題と副主題は適度なスローで流れて美しさと哀しみを感じ、中間部では広がり山場は見事です。長いスローパートは気になりますが。
第四楽章
序奏はコントラストが生きています。流れに乗って第一主題から経過句は強烈高速ですっ飛び、第二主題も軽妙ながら速く強烈な提示部です。展開部も緩急がここではメリハリになっていますね。騎行は爆速、行進曲は山場は力技が溢れ、麻薬の様な危ない魅力があります。


パワーパートは暴れて爆速もあるクセものマーラー6です。嫌いじゃありませんねぇ。

一部気になるスロー、録音にも問題?、には目を瞑りましょうw
スヴェトラーノフ節炸裂で好みは明確に分かれるでしょうが、個性派好きにオススメです。





NHK交響楽団
(NHK Symphony Orchestra)
1999-2/11

上記9年後、N響を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
スロー堂々葬送行進曲風の第一主題、アルマの主題は優美、アクの強さは減った提示部です。展開部からも遅め堂々が基本となって揺さぶりは大きく減り、挿入部の間延び感も避けられています。
第二楽章
速いスケルツォには変わりませんが驚くほどではなくなりました。トリオのスロー加減も削られて、全体として速めという感じになりましたね。
第三楽章
主要主題・副主題共にスローでクセもありません。弱点に感じたスローも大丈夫ですが、中間部も平均化です。山場はスヴェトラーノフらしいですね。
第四楽章
序奏はスロー主体、第一主題も適度な速さ、第二主題も自然に流れます。展開部・再現部もクセはなくなり、まとまりが良くなってはいますね。山場もちゃんと盛上げています。


落ち着いた大人のマーラー6です。スーツをスマートに着こなした感じ?!

ロシア国立響から大きく揺さぶりを削り去ってしまい、クセがない代わりに平凡な一枚になってしまったのは残念です。決して悪い着こなしではありませんが。(客演であの演奏は難しいでしょうね)




第五番はスローが足を引っ張ってぼんやり感が強い気がします。
 (ロシア国立交響楽団と瓜二つの演奏ですね)

第六番は落ち着いた演奏で悪くありません。
  +αがあれば良かったでしょう。
 (ロシア国立交響楽団はとても個性的で楽しめます)




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 50CDを聴き比べてみました [#3 / CD:41-50]

この夏は暑いので部屋でテンシュテットの4CDを中心に10CDほど聴いてみました。これで50CDになりますね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在 #3回 50CD
 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x2 ★☆], アバド[x4 ★☆], カラヤン[x2 (★)☆], ハイティンク[x2 ★], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2 ☆], プレートル[㊟], ワールト
 #2:20CD
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x2 ☆], P.ヤルヴィ[☆], N.ヤルヴィ[x2 ㊟], ジークハルト, セーゲルスタム, パッパーノ, ザンダー, ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット[☆], J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:10CD 本投稿
テンシュテット[x4 ☆], ヤンソンス[x2], MTトーマス, ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟]


クラウス・テンシュテット, Klaus Tennstedt (4録音)
マーラー振りと言われた時に個人的にまず浮かぶ好きな一人ですね。亡くなって今年で20年とは本当に早いものです。1983年から1991年の8年間に四つの正規録音を残しています。手兵ロンドンフィル(LPO)と1983年のセッションとライヴ。その三年後1986年のニューヨーク・フィル客演ライヴと1991年LPOのライヴです。密度が高くライヴが多いので興味深いですね。


(#1)
London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1983-4/28,29 5/4,9

(右は1983年のセッションと1991年のライヴを含めたマーラー全集16CD)

まずはLPO首席指揮者に就任した年のセッションです。
第一楽章
インテンポ(多分)で勇壮な第一主題からパッセージで鎮めてアルマの主題を華やかに奏でます。揺さぶりを適度に入れて快感ですね。展開部もキレのある第一楽章変奏を中心にして静を奏でるスローな挿入部、その後もコントラストが強い分、好みは分かれるでしょう。スローパートはもっそり感があるかもしれません。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は一楽章第一主題の写し的に入ります。トリオでスローながら弾む様に感じるのはスケルツォらしさを生かしたのでしょうね。ここでも強いコントラストです。
第三楽章
主要主題は予想通りスロー、副主題もスローをキープしますが哀愁も弱めです。表情が薄いスローで間延びした感じがしますね。中間部もややギクシャクですが山場は壮大です。
第四楽章
スロー陰影の強い序奏から第一主題で切れ上がり、パッセージで盛り上げると第二主題は爽快に駆け抜けます。展開部以降はスローで山場を引っ張るのでくどさがあるかもしれません。行進曲や騎行のスローは厳しいですね。
・・・・・
強調されたスロー多用が好みの分岐点となるマーラー6ですね。アゴーギクとディナーミクで、スローの静と勇猛、速い勇壮が強いコントラストを描きますが重心はスロー。個人的には少々スローやり過ぎの様な…




(#2)
London Philharmonic Orchestra
[LPO] 1983-8/22
セッションの約四ヶ月後のライヴですから興味は尽きませんね。LPOレーベルから後年(2009年)に発表されました。
第一楽章
セッションと似た提示部ですが揺さぶりは減り、速めになってスッキリとしたキレを感じます。展開部の挿入部の静も適度なスローになり、その後再現部にかけてもスローを抑えて速さに重心を移しシャープになりましたね。なんとセッションよりも1'30"以上速くなっていました。
第二楽章
スケルツォは速めの主要主題からトリオは控えめスローで優美になりましたね。コントラストはありますが、速め軸足で軽快です。
第三楽章
主要主題・副主題ともスローですが、副主題では哀愁が感じられる様になりました。感情が現れて聴きやすくはなりましたが、この楽章だけは強いスロー傾向のアンダンテです。
第四楽章
少しスローを抑え刺激的序奏、テンポアップして第一主題を快速に飛ばし第二主題で軽快さに広がりを見せます。展開部以降もスローの気になる揺さぶりはありますが、速さに軸足を移しているので聴きやすなりましたね。セッションより2'も速くなっていますw
・・・・・
セッションより軽快シャープなマーラー6になりました。速さに軸足を移して、落ち着かないスロー揺さぶりはあっても印象は正反対かもしれません。演奏時間は大きく短縮され、色々と試していたのかもしれませんね。




(#3)
New York Philharmonic
[MEMORIES] 1986-10/23
上記3年後、LPO音楽監督時代(1983-1987)のNYP客演Liveですね。NYPはズービン・メータが首席指揮者時代です。
第一楽章
勇壮な第一主題の少し速めのテンポに違和感はありません。第二主題も広がりのある優美さを見せて王道的提示部です。'83年ライヴに似た速めパターンですが重心が低い感じです。
第二楽章
スケルツォ主要主題も速めの中に落ち着きを見せる良い流れになりました。スローに落とすトリオは美しさです。このコントラストは良いですね。テンポ変化も自然です。
第三楽章
主要主題にも美しさが感じられる様になり、'83ライヴに似たスローな流れですがブラッシュアップされたアンダンテですね。
第四楽章
序奏から提示部、再現部以降、流れは'83ライヴに似ていますがNYPの音の華やかさと まとまりが一枚上手でワクワク感があります。
・・・・・
速め主体にスローの対比が落ち着いた流れのマーラー6です。基本は'83ライヴと同じですがNYPとの顔合せが吉と出たのかもしれません。
MEMORIESなので録音は大幅値引きして聴く必要がありますがw




(#4)

London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1991-11/4,7

(右は1983年のセッションと1991年のライヴを含めたマーラー全集16CD)

NYPの5年後の手兵LPOとのライヴです。1987年に首席指揮者を退き癌との闘病中でしたね。(桂冠指揮者になっています)
第一楽章
提示部第一主題からの流れは揺さぶりも'83セッションに戻った感じですが、演奏も練れて心地よいですね。展開部からも'83セッションに戻ったスロー揺さぶりですが、締まりがあって"もっそり感"はありません。元々勇壮パートは良いので、これぞライヴならではの緊張感の賜物でしょうか。スローはより強調され演奏時間はセッションよりも1'くらい長くなっています。
第二楽章
スケルツォも流れは'83セッションに近いですが、切れ味の主要主題にスローで弾むトリオの対比に磨きがかかった様です。
第三楽章
一貫してスローを通したアンダンテですが、主要主題の美しさはこれが一番でしょう。副主題の哀しみや中間部の明るさとの対比も聴かせてくれ、スローが生きました。
第四楽章
スロー主体にコントラストの強い序奏、切れ味の第一主題からパッセージ、軽快な第二主題はいつもの通り。展開部以降でスローの揺さぶりを取り戻しますが、ここでは広がりを感じてスケールの大きな演奏になっています。突撃しない行進曲も同様です。コンサート会場なら素晴らしかったでしょうね。
・・・・・
スローを最大限生かして勇壮さと対比させた個性的マーラー6ですね。色々試して最後は'83セッション回帰のスローに戻っています。(演奏時間はさらに長くなっています)

テンシュテットが拘った姿がここに結実したのでしょう、今まで違和感の強かったスローが生きていますね。LPOの演奏も見事です。(最終楽章展開部の行進曲をスローに振ってくる演奏は超個性的で他に聴いた事がありません。テンシュテットは悲劇的の何を表現したかったのでしょう)




マリス・ヤンソンス, Mariss Jansons (2録音)
ムラヴィンスキーの助手を務めていたラトビア人指揮者、今や人気ベテラン指揮者の一人ですね。もう一枚オスロ・フィルとの正規録音(2009)があるのですが見た事がありません。


(#1)
London Symphony Orchestra
[LSO Live] 2002-11
LSO(ロンドン交響楽団)を振ったマーラー6。LPO(ロンドン・フィル)では首席客演指揮者を務めていましたが録音は残していませんね。
第一楽章
軽快な第一主題、アルマの主題もさっぱりとこなしています。展開部も勇壮さは弱めで平和的パート重視ですね。
第二楽章
アンダンテです。主要主題、副主題(第一トリオ)共に沈んだ気配でだるい感じが強いです。中間部も印象に残りません。
第三楽章
主要主題はさっぱりと流し、トリオも何気なくテンポダウンしてきます。気持ちが入っている感じが伝わりませんね。
第四楽章
序奏は少しモヤモヤ、それでも第一主題は何とか勇壮さを見せますが流れは今ひとつシャキッとしません。展開部以降もそんなバランスで、時折元気さいっぱいですが時すでに遅し。
・・・・・
淡白あっさりのマーラー6です。何か元気もなく魂の抜けた様な…
ハンマーの音色もこもって、録音も一因?




(#2)
Royal Concertgebouw Orchestra
[RCO Live] 2005-8/22,9/7,8
2004-2015年首席指揮者を務めたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を振ったマーラー6です。オリジナルレーベル「RCO Live」はヤンソンスが着任した年から始まりました。
第一楽章
第一主題は抑揚がありメリハリが付きました。アルマの主題でも情感を感じさせる様になっていますね。その後も流れはLSOと同じだと思いますが明確な表情付けになりました。
第二楽章
アンダンテです。LSOの沈没気配から一般的な情感になって中間部も山場も明瞭です。基本的に抑え気味なのは変わりません。
第三楽章
切れ味が良くなった主要主題、トリオでもトーン変化を効かせていますね。
第四楽章
序奏の陰影付けは弱めですが、提示部は第一主題とパッセージを心地良く第二主題の穏やかさに繋ぎます。展開部・再現部では広がりの良い響きを奏でますね。
・・・・・
程よい抑揚で表情の伝わる、安心して聴けるマーラー6です。クセを感じないのはアゴーギクよりもディナーミク主体での色付けだからでしょう。(ベースはLSOと同じで色付けだと思います)
演奏も録音もこちらが上ですが、うまくまとまり過ぎですかね。それがヤンソンス/RCO?!




マイケル・ティルソン・トーマス, Michael Tilson Thomas
San Francisco Symphony
[SFS] 2001-9/12-15
MTTが1995年から長く音楽監督を務めるサンフランシスコ交響楽団とのお馴染み自主制作盤マーラー6ですね。過去の来日でも良いマーラーを聴かせてくれました。
第一楽章
第一主題から第二主題は感情移入を抑えテンポをうまく効かせたクールさ、展開部も適度な抑揚でパッセージの表現は心地良いですね。
第二楽章
スケルツォです。ここでも適度な揺さぶりで主要主題とトリオを組合わせています。興奮や優美よりもクール。特にトリオでのテンポの変化はうまいですね。この辺りがMTTでしょう。
第三楽章
主要主題は全体の流れに合って美しさ、副主題はスローに哀愁を醸して中間部は明るさを見せてほっとさせてくれます。スロー基本に緩徐らしさを全面に打出していますね。
第四楽章
序奏は基本的スローで抑えています。提示部はコントロールの効いた第一主題からパッセージ、第二主題と繋ぎます。展開部もうまく抑揚を付けて心地良い広がりを感じます。再現部も普通は目立たない第一主題回帰前のスローがいいですね。
・・・・・
興奮や切れ味とは一味違う落ち着いたクールなマーラー6です。ディナーミクは抑えて落ち着いたアゴーギクの味付けが絶妙です。アンダンテが緩徐抑えめなら絶対ですね。
私はゲイではありませんがw好みのMTTです。




ダニエル・ハーディング, Daniel Harding
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR KLASSIK] 2014-3/20-22
第9・10番では素晴らしいCDを残したハーディングですが、何回も行っているコンサートでは未だに当たった事がなく相性の良くないマエストロ代表です。(笑)
バイエルン放送交響楽団(首席指揮者はヤンソンス)を振ったマーラー6ですね。
第一楽章
第一主題をやや速めに、モットーからアルマの主題は優美、コントラストをうまく付けています。展開部も速め基調で緩急よく見晴らしの良い流れですが、全体的には個性に欠けるのが残念な気がします。
第二楽章
アンダンテを持って来ましたね。主要主題から第一トリオはテンポにもクセのない優雅さで、中間部(第二トリオ)も同じ流れの延長上にあり、大きな流れです。
第三楽章
ここでもクセのない主要主題にトリオで重心の低い腰の座ったスケルツォです。
第四楽章
個性的な序奏も捻りよりどっかり重厚さ。提示部はややスローの堂々たる第一主題から経過句、自然なつながりの第二主題です。この曲のピーク展開部は出し入れの明確な大きな流れを見せてくれます。
・・・・・
重心の低い独オケ教科書的なマーラー6です。悪くないのですが何かワクワクするオリジナリティで楽しませて欲しい気がします。


実はFM放送録音に同年(2014年)の12/5にベルリンフィルを振ったマーラー6のLiveがあります。個性に乏しい教科書から王道へ。重心の低さを上回る地響きの様な重圧感と切れ味を示し、アンダンテでは哀愁を引き出す、表情の豊かさと強力なオケの一体感です。我儘軍団の好き嫌いは別にしてBPOサウンドでしょう。ハーディングも指揮していて楽しかったのではw
ふとカラヤン/BPOのシャンゼリゼ6番(非正規盤)を思い浮かべました。




朝比奈 隆, Takashi Asashina (2録音)
朝比奈さんといえばブルックナーでしょうが、創設者であり54年間手兵であった大阪フィルハーモニー交響楽団と2枚のLive録音を残していますね。いずれも大フィルレーベルから出ています。


(#1)

Osaka Philharmonic Orchestra
[大阪フィル] 1979-9/7

AsahinaMahler6.jpg
(ジャケット写真です)

大フィル東京定期演奏会、71歳の時のライヴですね。今ほどマーラーが演奏されなかった1970年代のLiveです。
第一楽章
第一主題は速めで落ち着きに欠けるきらいがあります。モットーは強音で切替てあっさりと、アルマの主題は速めながら優美です。展開部も基本は速く、ディナーミクともに挿入部で落とされるくらいです。とにかく速いです!
(実は演奏時間表記25'32"は大間違いで、実際は20'56"ほど。これは提示部再現有りでは世界最速のN.ヤルヴィに迫りますね。Kaplan Foundation表記も間違っています。)
第二楽章
スケルツォです。主要主題は標準的でくせがありません。トリオで穏やかさを見せて、後半はこのコントラストが明瞭になりますね。
第三楽章
アンダンテですが、主要主題は抑揚を抑えて副主題のobも流れは感情をあまり見せません。静かに流れますが演奏に今ひとつ落ち着きがありません。後半はここでも盛り上げてきます。(気になるのはテンポはそれほど速くないのに演奏時間が12'53"少しと短いです。ここでも表記12'08"は間違いですね)
第四楽章
序奏は出し入れは強めですが、もやっとした感じです。第一主題はリズムよく力感を見せ駆け抜け、第二主題で晴れ晴れとした表情に変えて良い気配です。残念なのはオケの技量が少し… ところがこの曲のメインの展開部になると荒れた中に情熱が溢れて炸裂します。見事に気持ちは伝わりました。
・・・・・
突進する第一楽章の速さと最終楽章の情熱という異色のマーラー6です。オケの力量も十分ではありませんし これを名盤とする事もないでしょうが、最終楽章は指揮者とオケが一体となった気持ちが伝わりグッと来ます。




(#2)
Osaka Philharmonic Orchestra
[大阪フィル] 1992-2/18
その13年後、大阪定期公演での演奏で84歳でのタクトです。
第一楽章
第一主題はバランスが向上しているのがわかります。モットーからアルマの主題でも落ち着いていますね。処々速いですがテンポもより一般化してその分特徴が薄まっている気もします。全体の演奏レベルが格段に上がってるのはわかります。
第二楽章
主要主題は速めで切れ味があり、トリオでは適度に穏やかになります。全体的には速いスケルツォになっていますね。
第三楽章
主要主題は美しさを増して副主題も哀愁を奏でます。演奏レベルも安定し、美しいアンダンテですが没個性といえなくもありません。中間部の揃いは今ひとつかも。
第四楽章
序奏は適度にコントラスト付けて第一主題はテンポアップ、第二主題でスッキリ感を出していますが提示部としてはキレがあまり良くありませんね。展開部もスローのアゴーギクがもっそり感を作り、パワーパートでも演奏の一体感にやや欠けて見晴らしがあまり良くありません。この楽章は少々残念です。
・・・・・
欠点も大きく減った代わりに'79年の様な個性・情熱も薄まったマーラー6ですね。演奏レベルの向上は明白ですが凡百に埋もれそうで、心に残るのは'79年盤になるでしょうか。
(録音に一部ノイズが入りますが、未発表音源なのでご愛嬌w)



まだまだコンドラシンなど変わったのもありますので、徐々にアップしたいと思います。


テーマ : クラシック
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ジョナサン・ノット/東京交響楽団 の「マーラー:交響曲第10番アダージョ」を聴く


コンサートとCD
本年2018年4月14日のサントリーホールでのコンサートで録音していたのは知っていましたが、こんなに早くリリースされるとは思っていませんでした。コンサートのインプレとの違いはあるでしょうか。ブルックナーの9番は別途インプレしますね。→ こちら


マーラー交響曲第10番アダージョ
以下コンサートインプレと同じです。『ソナタ形式ですが個人的印象は①序奏主題、第一主題、第二主題がロンド形式の様に展開する前中盤、②まるでトリオ(中間部)の様なコラールから和音、③緩徐の長いコーダですね。』



序奏主題はコンサートより鬱に沈んだ印象、第一主題と反行形主題は暖かな美しさに感じました。特に暖色系の気配が印象的になっています。第二主題はコンサートの印象と同じく個性的な旋律が生きました。
中間部の様な管楽器主役の和音は迫力は抑え気味、コーダの緩徐は静美的印象が薄く感じたのもコンサート同様ですね。


調性の妖しさよりも温もりと力強いアダージョですね。コンサートで感じた通りのコントラストでしたが、スパイス不足の感は無くより明快に感じました。鬱的な、例えばD.ハーディングの様な、方向とは対極になる演奏でしょう。

出来ればノットには全曲を一度やってほしいです。







テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

【CD+BD化決定】サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルのフェアウェル・コンサート『マーラー交響曲第6番』NHKプレミアムシアター

先月2018年6月19・20日のサイモン・ラトル、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(BPO)常任指揮者としてのラスト・コンサートですね。ラトルはBPOとの初ライヴ(1987年客演)もこのマーラー第6番で、CD化されていています。(ラトルのマーラーの6番はもう一枚あり、その2年後1989年に手兵だったバーミンガム市響との録音を残していますね)

このブログでは『マーラー交響曲第6番 40CD聴き比べ』でラトルの二枚のCDもインプレしています。



マーラー 交響曲 第6番「悲劇的」 / ラトル・BPO

【第一楽章】
第一主題は切れ味良く重厚さは抑え気味、アルマの主題では少しスローにして優美さを見せますね。展開部・再現部でも切れ味重視で過度の色付けをしていません。重厚さや華美を控えてクールなラトルらしからぬ第一楽章ですね。

【第二楽章】
アンダンテです。主要主題は抑えた優しさを感じ、副主題のobとclも静かな哀しみを表現しました。中間部も抑えられた流れを継承しまして、ラスト前山場の溢れ出す哀愁は見事でしたね。

【第三楽章】
スケルツォは主要主題はやや速めの流れで切れ味良く、トリオは抑えながら変拍子を活かしました。最終楽章へはアタッカで繋げましたね

【第四楽章】
キーの一つ序奏はオケの個々の楽器の鳴りが澄んで見事でした。提示部第一主題は切れ味そのもの、パッセージを大きく奏でて第二主題をのどかに。展開部・再現部はバランスの良いアゴーギクとディナーミクでコントラストと見晴らしの良さが際立ちました。この楽章は素晴らしい出来でした。


クールで緊迫感のあるマーラー6でした。もっと大袈裟に来るかと思っていましたが、予想を裏切る抑えの効いた締まりの良い演奏で驚きました。白眉は最終楽章でしたね。

既発CDとの比較ではバーミンガム市響よりもBPOとの初ライヴに近く更に落ち着きと切れ味を増した感じでしょう。侮れない演奏ですね。


BPOのメンバーのセリフはまさに我儘天狗軍団で笑えましたね。





CD+BDでの発売になりましたね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

オスモ・ヴァンスカ(Osmo Vanska) の マーラー交響曲第六番 を聴く


オスモ・ヴァンスカ (Osmo Vänskä, 1953/2/28 - )
フィンランドの指揮者ヴァンスカというとラハティ響を育て上げた事が浮かびますね。
そして近年では昨年発売のマーラー第五番2015年来日のシベリウス「フィンランディア」(w/読響)を思い出します。(両インプレあり)
現在音楽監督を務めるミネソタ管弦楽団(Minnesota Orchestra)とのマーラー5番はややクセ者的な印象もあったのですが、チクルス第二弾の6番はどうでしょう。

『交響曲 第6番 30CD 聴き比べ』には次回追記予定です。



第一楽章
スローで抑えめの第一主題、モットーは美しくアルマの主題ではそれを広げる様に華やかですがスローのアゴーギクが気になりますね。反復後の展開部も力強さはあっても冷静さが常に背後にいます。再現部では少し躍動感が感じられるかもしれません。
第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題・副主題ともにごく普通の優美さ、中間部も流れは同じですが明るさが現れますね。美しい緩徐楽章ですが個性は薄いです。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は客観的で迫力や興奮を否定しているかの様です。クールとは違いますね。トリオは優美なスケルツォですが、それ以上でもありません。
第四楽章
序奏は緊張感の漂う素晴らしい流れかと思いきやスローモッソリに落ち込みがっかり。長い序奏から提示部の第一主題と経過句は勇壮ですがアゴーギクを殺して抑え込み、第二主題も同様です。展開部は序奏と同じく揺さぶりの効いた前半パートとフラット単調さの行進曲以降の組合せです。再現部も同じですが、それでもこの楽章が一番良いかもしれません。

よそよそしく掴みどろこの薄いマーラー6番です。この曲は興奮かクールさかですが、はっきりしないのはどうも…好みの問題になるかもしれませんね。
シベリウス・アカデミー同期生サロネンやサラステのマーラーの様にはいかない様です。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 80CD聴き比べです [#5 / CD:51-70]

第5回目は好きなノット盤や発売されたばかりのハーディング盤からベテラン勢、20CDのインプレ追加です。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在#6回 80CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD 本投稿
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:10CD
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 高関健, 山田一雄, ミュンフン



ジョナサン・ノット, Jonathan Nott
★☆
Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-9/15-19

(ノットのマーラーは全集で買って後悔しませんね)

現東京交響楽団の音楽監督を務めるノットが16年間首席指揮者だったバンベルク響とのチクルスからですね。
第一楽章
スロー緩やかな第一主題から第二主題も流れはスロー、そこから金管の下降を経て大きく反復と第三主題を奏します。展開部もスローな暗さと激しい山場の対比が葛藤を描くようです。山場の後は必ず落ち込む鬱も生きています。
第一楽章に欲しい"暗さ"がスローのテンポの中息づいて素晴らしいですね。
第二楽章
主要主題と第一トリオはテンポよく穏やかな優美さで、第二トリオも流れよくスケルツォを奏でます。優美さが引き立ち一楽章からの対比がきれいですね。
第三楽章
主要主題と副主題は速めの流れで、第二楽章ラストの狂奏からの繋がりがあります。中間部のターン音型で徐々に流れを穏やかに落とします。これは最終楽章の中心をなすターンへの流れにピッタリで、前後楽章との連携が見事ですね。ラスト山場も見事な狂乱です。
第四楽章
スローで哀しみの強いアダージョの主題。第一エピソードも沈んだ流れから弦楽緩徐の哀しみ溢れる美しさが大きく広がります。その後もスローなターン音型の浮遊感を最大限生かしながら透明な哀しみと美しさをラストの消え入る動機まで繋げます。この楽章に欲しい"死"を前にした澄んだ世界が感じられます。素晴らしいですね。
・・・・・
この曲の真髄とも言える第一楽章の"暗"と第四楽章の"哀"の美しさが伝わるマーラー9です。
スローで情感深い第一四楽章、明瞭な第二三楽章、その楽章構成が見事ですね。個人的ベスト5の一枚です!




ダニエル・ハーディング, Daniel Harding

Swedish Radio Symphony Orchestra
[harmonia mundi] 2016-9/8-10
ハーディングが2007年から音楽監督を務めるスウェーデン放送交響楽団(Swedish Radio Symphony Orchestra)との録音ですね。
第一楽章
緩やかで美しい第一主題、不安を感じさせる第二主題、反復は大きく奏でます。提示部のラストを激しく、展開部も柔らかさと切れ味の出し入れのコントラストが見事に付いていますね。再現部も懐の広さを感じさせながら、うまく静的なコーダへ結びます。
第二楽章
主部主題、第一トリオ、共にやや重さを感じます。第二トリオは緩やかですが、決して軽やかではありません。第二第三楽章では激しさがベースに存在しますね。
第三楽章
主部主題は切れ味良く、副主題もそれに絡みます。重厚さと軽妙さの微妙なバランスです。中間部はやや速めに美しさと哀しみを合わせ大きな波を奏でます。ラストの暴れ方は見事!!
第四楽章
主要主題は美しく、ファゴットのモノローグから第一エピソードは情感大きく盛り上げ繊細に納めます。第二エピソードもその流れです。「亡き子をしのぶ歌」の引用からコーダはpppスローの美しさを生かして消え入ります。
・・・・・
重心の低い切れ味と見事な広がり、哀愁よりも嶮しさのマーラー9番です。
一四楽章vs二三楽章の対比が見事でした。コンサートでは相性の良くないハーディングですが、期待を裏切る素晴らしさでしたw おすすめの一枚ですね。


本アルバムは2016年9月8-10日のセッションですが、翌2017年7月24日のヴェルビエ祝祭管弦楽団(Verbier Festival Orchestra)とのLiveを聴く事ができます。
Mahler “Symphony No. 9” (Daniel Harding • Verbier Festival Orchestra, 24 Jul 2017)
流れとしては良く似た演奏になります。第一楽章は悪くありませんが、第二楽章が軽めで間伸び感を感じます。第三楽章は揃いは今ひとつですが激しさが良いですね。第四楽章は似た展開ですがやや緩いです。
結果的には煮詰めたセッションと言う事になるのでしょうが、それをライヴで聴きたいところですね。




ミヒャエル・ギーレン, Michael Gielen (2録音)
個人的には現代音楽の擁護者といった指揮スタイルも含めて興味の尽きないギーレンですが、マーラー9番は首席指揮者を務めた現南西ドイツ放送交響楽団(SWR Sinfonieorchester)との録音が2枚正規盤として残されています。


(#1)

SWF-Sinfonieorchester Baden-Baden
[Intercord] 1990-Apr. Aug.
バーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団の首席指揮者時代のマーラー9ですね。
第一楽章
第一主題から第三主題までをディナーミク強く情感を高めた提示部。展開部も静のスローを鬱と哀に、強音パートをスピード感と切れ味にコントラストを付けて素晴らしいです。処々で細かな癖があるのもギーレンらしい?!
第二楽章
主部主題はなんともスロー、第一トリオは程よいテンポに戻して心地よく鋭いレントラーです。そこから穏やかに第二トリオへ入ります。スローの主題が特徴的ですね。
第三楽章
主要主題と副主題は刺激的にやや刺々しく絡んで流れ、中間部でテンポを大きく落としてコントラストをつけます。
第四楽章
主要主題はナチュラルに弦楽の美しさを讃えます。第一エピソードは細い静音から情感を込めつつも速めの流れで展開しラストでスローに持ってきます。第二エピソードも速めで入りスロー静音に落としてコーダへ向かううまさです。
・・・・・
表現的揺さぶりとメリハリのマーラー9です。静音パートは大きくスローにハイテンポを交えて、そこに一癖と好みは分かれるかもしれません。でも好きな演奏です。




(#2)
SWF-Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[Hanssler Classics] 2003-6/27-7/4
1996年にバーデン=バーデンからフライブルク・コンツェルトハウスへ本拠地を移しバーデン=バーデン・フライブルク南西ドイツ放送交響楽団に名称変更。ギーレンは1996年まで首席指揮者を努めていましたね。(その後2016年にシュトゥットガルト放送交響楽団と統合されて現在に至っています)
第一楽章
第一第二主題を緩やか厚めに、第三主題で大きく波を立てます。展開部はコントラストを強く付けて重厚です。クセはなくなり堂々の風貌です。
第二楽章
主部主題はやっぱりスロー、第一トリオもややスロー気味ですがレントラー感はあります。第二トリオでスローに落とし後半をアップテンポで切れ味を見せますが全体としてスロー感が強くなっています。
第三楽章
主要主題と副主題はややスローになり絡みも刺激は減りました。テンポアップ後の中間部で再びスローにします。基本はスローですね。
第四楽章
主要主題は微妙なアゴーギクを振った美しさになっています。第一エピソードは細い静音から速めに流れて情感を戻すのは同じです。第二エピソードも流れは変わりません。ディナーミクを抑えた事で厚みを感じますね。
・・・・・
クセはあるものの堂々としたマーラー9です。極端な静音ディナーミクを減らし重厚さが出ましたね。とはいえスロー中心のアゴーギクは個性的です。
ならば昔のクセ者の流れに心惹かれるものを感じますが。(汗)




小澤征爾, Seiji Ozawa (2録音)

(#1)
Boston SO
[Philips] 1989-10
言わずと知れたボストン響の音楽監督時代のマーラー9番です。
第一楽章
第一主題と第二主題を抑えて冷静な流れから展開部へ入ります。展開部もクールで静的パートと激情パートのコントラストがコントロールされています。再現部も"計算尽く"を感じます。
第二楽章
主要主題はややスロー穏やかに絡んで第一トリオでシャキッと気配を変え心地よいスケルツォになります。第二トリオは緩やか穏やかです。後半の山場も暴れる事なく全体として穏やかさのスケルツォですね。
第三楽章
主題と副主題は心地よい勇壮感と軽快感で絡んで進み、中間部では穏やか伸びやかで山場へ繋ぎます。ラストもマーラーの指示通りに荒々しく、見晴らしの良い楽章です。
第四楽章
序奏・主題の美しい広がりは第三楽章からの対比が心地よいですね。第一エピソードは暗い静音パートと弦楽緩徐パートの広がりが美しです。第二エピソードもうまくアゴーギク・ディナーミクを振って哀愁ある美しさが際立ちます。この流れからのラストの静的美しさはマッチしています。
・・・・・
全て小澤さんコントロール下、ライヴとしてはマイルドでまとまりすぎのマーラー9です。
ただ、第三楽章から最終楽章は素晴らしく全体この流れだったら絶対☆ですね。




(#2)
サイトウキネン・オーケストラ
[Sony] 2001-1/2-4
BSOとの12年後、これまた言わずもがなの創設者であり総監督を務めるサイトウキネンを振った演奏です。
第一楽章
タメの効いた第一主題と揺らぎを持った第二主題、金管の半音下降からの反復と第三主題の緊張感が素晴らしいですね。展開部・再現部共に緊張感とオケの漲るパワーを感じられます。ただこの楽章としては厳つい気配が強すぎの気がします。
第二楽章
主要主題は穏やかな流れ、第一トリオでピシッとするのはBSOと同じですね。その後も良く似ていますが演奏の切れ味はこちらが上。
第三楽章
主題と副主題は切れ味よく絡み、伸びやかな中間部以降ですが前半がややフラットに感じます。ラストのパワーは見事。
第四楽章
序奏・第一主題は重厚感、第一エピソードも重さが際立ちます。第二エピソード緩徐パートもそっけない感じです。ラストに向けても線の細さより朗々と鳴る気配です。
・・・・・
この曲に感じる哀しみや美しさが弱いマーラー9ですね。通して重厚、緩徐パートも厚い音色だからかもしれません。
演奏が素晴らしいのでコンサートで聴いたら賞賛してしまうかもしれませんね。(汗)




ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli (2録音)
シノーポリと言えば学研肌でスローという印象でしょうか。それと指揮中に倒れて亡くなった事。個性的ですが音楽的な好印象が残っていません。


(#1)
Philharmonia Orchestra
[DG] 1993-12
シノーポリが首席指揮者を努めていたフィルハーモニア管を振ったマーラー9です。
第一楽章
緩やかで甘美な第一主題、第二主題で曇らせますがテンポはキープされます。そこから揺らぎを入れて反復、第三主題から派手に盛上げます。展開部も"静音=スロー強調"の定義?で、強音パートとコントラストが明確です。
第二楽章
主要主題と第一トリオは適度なテンポ設定、第二トリオでも特異性はなくレントラーらしさはあるものの印象は薄めです。長い…
第三楽章
マーラーの言う"きわめて反抗的に"とまでは行かないかもしれませんが、前楽章より切れ味はあります。
第四楽章
主要主題は暖色系のややスローで哀愁ではないでしょう。第一エピソードは静音パートも含め速めになります。第一楽章での流れの設定とは全く異なります。ラストのvaの動機(F♯,G,A,G)だけ音が大きめなのも不自然さを感じます。
・・・・・
第一楽章のスローと強音パートの印象は第四楽章で崩されたり、統一感に欠けるマーラー9です。




(#2)

Staatskapelle Dresden
[PROFIL] 1997-4/6
上記4年後、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者として振ったマーラー9ですね。スロー化が全楽章で進み、82分から93分を超える演奏になっています。特に第一楽章は世界最遅演奏(32'57")です。
第一楽章
第一第二主題はさらに遅くなり気配も薄くなっています。強音もスロー化して反復、第三主題も大スロー化。何でもかんでもスローになってます。スロー再生で聴いているみたいです。世界最遅の第一楽章ですからね。
第二楽章
一部パートを極端にスロー化しり変な揺さぶり構成になっています。ディナーミクの弱側がスッと消えたり、流れを遮る様な奇妙なアゴーギクを振ったり。立派なクセ物楽章です。
第三楽章
ありきたり印象の主要主題と副主題はやや速めに…あれっ普通??…ところが中間部で一転大スロー化!! ここからはディナーミクも加わってクセ物と化します。
第四楽章
第一主題はスローが増して甘美ですが、乗っけから揺さぶってきます。第一エピソードは速め繊細、ですが、弦楽の山場からは昂ぶりを否定する様なスローと煽りが入ります。第二エピソードは平穏な流れで1回目の山場を迎えますが、ターン音型からスローになり2回目の山場は抑え目の大スローです。その後は超静音スローでコンサートなら素晴らしいでしょう。
・・・・・
スローで揺さぶりのクセ物マーラー9です。特に第一楽章のフラットスローは密度が希薄になって窒息しそうですw その後はアクの強い?流れがたっぷりと味わえますね。なんとラストは美しいです。
クセ物マニアの貴方におすすめです!!




クルト・ザンデルリンク, Kurt Sanderling (4録音)
日本でもお馴染みの父ザンデルリング。マーラーの9番は4枚も正規録音を残しています。(もう一枚フィルハーモニア管との非正規盤がありますが…)


(#1)
Berlin SO
[Deutsche Schallplatten] 1979-2/28,3/2,8
鍛え上げた手兵 ベルリン交響楽団(東独)の芸術監督/首席指揮者を1977年に退いた2年後の録音ですね。
第一楽章
スローな序奏と第一主題、第二主題から反復で大きな波を奏でます。第三主題の激しさから暗転して展開部に入りますが少しモヤモヤした感じですね、山場はパワフルですが。再現部は落ち着いた流れで悪くありません。
第二楽章
主要主題と第一トリオは硬派なレントラーとスケルツォ。第二トリオはやや緩めて流れる様なスケルツォです。後半は情感を上げますが真面目過ぎかも。
第三楽章
主要主題と副主題の絡みは教科書的で変化に乏しく、中間部やラストでも変化量が不足気味です。
第四楽章
序奏・第一主題は厚めの音で入ります。第一エピソードは細く入って厚くなりますが没個性的です。第二エピソードも生真面目で、流れにアゴーギク・ディナーミクの個性が感じられません。
・・・・・
破綻の無い、落ち着いて計算された真面目なマーラー9です。何か一味足りません。




(#2)
BBC Philharmonic
[BBC Legends] 1982-7
ベルリン響の3年後、BBCフィルハーモニックを振った演奏です。
第一楽章
スローな出だしは変わりません。第三主題から展開部も同様ですが、自然体の流れと程良いコントラストがありますね。
第二楽章
ここでも主要主題から第二トリオまで穏やかさのレントラーとスケルツォになっています。全体としてやや緩さが強くダレますが。
第三楽章
主要主題と副主題の絡みはフラット、中間部も変化が薄いです。ラストはもっと強烈さが欲しいです。
第四楽章
序奏・第一主題は緩徐色を強めていますね。第一エピソードも第二エピソードもその流れで緩徐的です。ただ単調で感情移入は薄くフラットさが拭えません。
・・・・・
特徴が薄く緩いマーラー9です。特に第二第三楽章にマーラーの指示する「粗野」や「反抗的」が欠ける感じですね。




(#3)
NDR Symphonieorchester Hamburg
[Profil] 1987-11/7
BBC-Pとの5年後、北ドイツ放送交響楽団(現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)との演奏です。非正規盤から昨年正規盤となって話題になりましたね。
第一楽章
序奏から第一主題は適度にスローですが第二主題と反復も含めて緊張感があります。第三主題も緊迫感がいいですね。展開部、再現部共に適度な揺さぶりと荒れが締まりのある演奏にしています。
第二楽章
主要主題はカッチリ、そこから流れを作り第一トリオは表情変化させて明確なリズムを刻みます。スローダウンの第二トリオも全体の流れを生き生きさせていますね。後半は約束通りに荒れ気味に。
第三楽章
主要主部と副主題は落ち着いた絡みから軽妙さを見せ、中間部で牧歌調にチェンジします。ラストはコントロールが効き過ぎかも。
第四楽章
第一主題は大きく優美さを見せます。そして第一エピソードも重心の低い豊かな表情を見せてくれます。第二エピソードも哀愁漂う表情を見せながら山場を作り、『亡き子をしのぶ歌』引用の浮遊感から消え入ります。
・・・・・
適度な揺さぶりと興奮、安心して聴ける王道的マーラー9です。初めて聴くのにもオススメですね。
指揮者よりもドイツオケならではのパターンの気がします。この演奏だけ色合いが違うのが明白ですから。(同じ事はマーラー5番でも感じてインプレしています)




(#4)
Philharmonia O
[ERATO] 1992-1/24,25
NDR響の5年後、名誉指揮者を務めたフィルハーモニア管弦楽団を振った演奏です。
第一楽章
出だしは再びスローに戻って、第二主題への流れは変化が薄く反復もモッソリ。第三主題も見晴らしがよくありません。展開部・再現部もスローモヤモヤですね。
第二楽章
主要主題のtbが奇妙なヴィブラートですが、流れはレントラーが生きています。第一トリオはスロー、例によって落ち着かない変化です。第二トリオもスローの揺さぶりでモヤモヤ感が拭えません。
第三楽章
主要主題と副主題はリズミカルですが変化に乏しく退屈、でも中間部では表情を一転させます。ラストは約束通りに少し乱舞して見せます。
第四楽章
入りは美しい緩徐ですね。第一エピソードは抑揚が抑えられてフラット、第二エピソードもその延長、通して長く感じてしまいます。
・・・・・
82年BBC-Pの延長線上にある、もどかしさ満点のマーラー9番です。モッソリ・モヤモヤ、体調不良かもw
結局ザンデルリンクはNDR主導の演奏だけという事に思えてしまいます。




キリル・コンドラシン, Kirill Kondrashin (2録音)

(#1)
Moscow Philharmonic Orchestra
[Meloydia] 1964-5
コンドラシンが15年間首席指揮者を務めた手兵モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団を振った演奏です。
第一楽章
美しく軽い第一主題、第二主題も重さは控え目に、反復でも重厚さより明るさを感じます。展開部も軽めながらスピード感と切れ味の山場です。再現部も速め軽量で胃もたれしない流れですね。
第二楽章
主要主題は落ち着きから優美に、第一トリオはややもったいぶっていますが良いスケルツォ感です。第二トリオも大きく変化はさせずに穏やかですね。
第三楽章
主要主題・副主題共に速め軽やかで中間部も速く変化量は少なめです。12'を切って流れは速いですね。
第四楽章
序奏・主題は透明感ある美しさで、第一エピソードは哀愁を感じる流れからhrが主題を美しく奏でていい緩徐パートです。第二エピソードも哀しみを感じる美しさから山場を作ります。この流れはラストの消え入るターン音型にベストマッチでこの楽章として好みですね。透明な美しい哀しみの音色は、静かな"ersterbend 死"のイメージに近い印象です。
・・・・・
やや速めライトウェイトの肩のこらないマーラー9番です。最終楽章の静的な美しさは好みですね。
コンドラシンにしては淡白でしょうか。




(#2)
Moscow Philharmonic Orchestra
[ALTUS] 1967-4/16
1967年東京文化会館でのマーラー9番本邦初演。記念すべき録音ですね。マーラー人気が近年の事であるのが今更ながら再認識されますね。
第一楽章
美しい緩やかさの第一主題から興奮を避けた第二主題、それを大きく構えた反復と第三主題の提示部です。展開部も落ち着きはらい緩やか優美からアレグロ・リゾルートで興奮の山場を作りコントラストの良い流れ。彫りが深く、美しさと暗い重さのバランス良い楽章です。
第二楽章
主要主題は優美ですが表情豊かです。第一トリオは派手め第二トリオを優美にと、濃厚なスケルツォ楽章です。
第三楽章
主要主題・副主題は切れ味と軽快さのバランスよく流れて中間部は速めです。緩やかな揺さぶりを感じます。
第四楽章
揺さぶりを感じる主題、第一エピソードは繊細な音色からマーラーらしい弦楽の美しい山場を作ります。第二エピソードも静音パートは素晴らくラストへの静的流れはいいのですが山場もクールです。
・・・・・
コンドラシンらしい陰影を付けた明快なマーラー9番です。山場強音パートに激情さや狂気があれば素晴らしかったでしょう。




ディミトリス・ミトロプーロス, Dimitris Mitropoulos (2録音)
B.ワルターの跡を継ぎニューヨーク・フィルの音楽監督(1949-1958)を務めたミトロプーロスはL.バーンスタインにバトンを渡したわけですが、米国にマーラーを広げた功績も大きいですね。第9番は1960年にNYPとVPOの両オケを振った録音が残されていますが、その違いも驚きです。
今回紹介は両方ともCDセットでmonoになります。


(#1)
New York Philharmonic
[Music&Arts] 1960-1/23
バーンスタインが引き継いだ1958年に名称をニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団からニューヨーク・フィルハーモニックに改名した元手兵を振ったマーラー9番です。
第一楽章
第一主題は適度な揺らぎ、第二主題も大きくは表情を変えませんが第三主題前後からは大きく盛りたてます。展開部は静音パートでうまく間を使いながらNYPらしいパワフルさを活かしていますね。
第二楽章
主要主題は速く、テンポを下げた第一トリオでは切れ味を見せます。第二トリオはやや速めな優美さです。
第三楽章
主要主題は切れ味とリズミカルを合わせながらの重量級、副主題は軽やかに絡みます。中間部ではシンプルな美しさ、スローに落としてラストは見事なパワープレイです。
第四楽章
主要主題は緩やかに美しく入り、第一エピソードでは美しい哀しみの流れから情感を盛上げます。第二エピソードはスローで哀しみの回音音型を最大限生かします。山場を大きく、『亡き子をしのぶ歌』引用からコーダは美しく消え入ります。
・・・・・
速め主体の流れで一昔前のスタイル?ですが、パワーのマーラー9です。第四楽章の素晴らしさで、1960年のNYPの実力が味わえますね。




(#2)
Vienna Philharmonic Orchestra
[Memories] 1960-10/2
上記同年10月に親交の厚かったウィーンフィルを振ったマーラー9番ですね。逝去(1960-11/2)一ヶ月前の演奏です。
第一楽章
スローになった第一主題から第二主題へは表情を変えずに、反復後の第三主題で盛上げます。展開部は静音スローを鬱的に表し、対比よく切れ味と迫力を見せます。今風の展開になっていますね。
第二楽章
主要主題は一気にスロー化(標準的に)されました。歯切れよく流れ第一トリオでも遅めでシャープ、第二トリオは緩やか穏やかです。その後は緩急交えた流れです。
第三楽章
主要主題はここでも重量級、副主題はスローでモッソリになっています。中間部は美しさを演出して、ラストは派手ですが落ち着いています。
第四楽章
主要主題は変わらず美しい流れですが、第一エピソードは速めになり静的哀しみの表情が薄くなっている感じですね。第二エピソードも速めになって、この楽章の逆変化が不思議です。山場を大きく情感を付けるのは同じですが。
・・・・・
大きく変わって教科書的なマーラー9になってしまいましたいます。演奏時間は80分と6分ほど長くなってスローを生かした演奏ですが、これで標準的な時間でしょう。




エサ=ペッカ・サロネン, Esa-Pekka Salonen
Philharmonia Orchestra
[signum] 2009-3/22
元は現代音楽家で、M.リンドベルイやサーリアホと実験音楽合奏団Toimiiを組んでいたりしましたね。1983年にMTTの代役として急遽フィルハーモニア管弦楽団を指揮。2008年から同楽団の首席指揮者を努めていて、来日公演でも素晴らしいマーラーを聴かせてくれましたね。
第一楽章
第一主題は緩やか、第二主題へも適度な刺激で、そして大きく盛上げて反復に入ります。第三主題から見事に山場に向かいます。展開部もメリハリの強い大きな流れを作り見晴らしの良さを感じますね。
第二楽章
主要主題はスローに歯切れよく、第一トリオはテンポアップして良いリズムを刻みます。第二トリオでは穏やかな流れに転じて展開がスッキリとしていますね。その後もテンポ変化がうまいです。
第三楽章
主要主題と副主題はリズミカルで少々派手気味で、中間部でもやや速めに流れを作ります。その後緩やかに落として大きく山場を築き、ラストはハイスピードで派手に盛上げて終わります。見事!!
第四楽章
序奏から主要主題は情感の厚みを感じます。第一エピソードでは薄暗さや哀しみを感じますが、やや速め重心低めです。第二エピソードでも美しさが速めのテンポで今ひとつ生かされません。その辺りはサロネンの意図でしょう。その後ターン音型からは静的叙情性を間を使って高め、コーダからフィニッシュは静かに消え入ります
・・・・・
明瞭明快、見晴らし良いマーラー9ですね。ディナーミクとアゴーギクのバランスがとてもいいですが、第一第四楽章に澄みきった静的哀愁さがあればだったかも。




ゲルト・アルブレヒト, Gerd Albrecht (2録音)
4年前(2014年)に亡くなられた読響の常任指揮者としておなじみのドイツ人指揮者アルブレヒトは二つの録音を残していますが、両者異なる展開で好演! 残念なのは共に市場にでる事が少ないという事でしょう。


(#1)

Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
[insider] 1991-9
albrecht-mahler9-hamburg.jpg
(聞いた事のないレーベルでamazonには登録が無い様です)

1988年1997年に音楽総監督を務めたハンブルク州立歌劇場、そこの管弦楽団であるハンブルク・フィルハーモニカーを振ったマーラー9です。
第一楽章
緩やか優美な第一主題、第二主題から反復そして第三主題ではうまく緊張を与えます。展開部以降もスロー基本で緩急良く堂々とした構えの王道演奏ですね。
第二楽章
ここでも緩やかな流れで構成されています。スローが強めの主要主題から第一トリオ、そして第二トリオと変化と締まりが良いですね。
第三楽章
主要主題はキレよく入り副主題も少し穏やかに、中間部でのシンプル&スローの落とし方がうまいですね。構えの大きさが響きます。ラストも気合の入った迫力です。
第四楽章
主要主題はスローに哀しみの美しさを奏でます。第一エピソードもその流れで沈んだ美しさから入り、終盤のターン音型を意識した素晴らしい流れです。もちろん第二エピソードは山場も含めて哀しみの美しさが見事に表現され、コーダから消え入ります。お見事!!
・・・・・
スロー基本で堂々としたマーラー9です。重心は低く鬱や哀の静的美しさと緊張はこの曲の本道でしょう。
入手難が問題ですがおすすめの一枚で、コンサートで出会えたら大喝采ものです。




(#2)
読売日本交響楽団
[YNSO] 1997-12/13
albrecht-yomikyo_mahler9.jpg
(会員配布盤の為amazonには登録が無い様です)

上記の9年後、読響の常任指揮者(1998-2007)を務めたアルブレヒトが就任の一年前に振ったマーラー9番です。(読響とのマーラー5番はいただけませんでしたが…)
第一楽章
序奏・第一主題はやや速めでシャープ、第二主題の表情変化は少なめですが金管で盛上げて反復し第三主題をビシッと決めます。展開部も速め基本で揺さぶりを含めて切れ味とテンションの張った流れです。キレキレのシャープな第一楽章ですね。
第二楽章
主要主題は抑揚を付け、第一トリオも流れに乗りリズミカルでシャープ。第二トリオで穏やかな色を見せますが後半の動機の絡みは速めの流れです。
第三楽章
主要主題は速めでテンションが張っています。副主題で軽やかになりますが絡んで速めで勢いを付けて進みます。中間部では穏やかに一休み? その後は揺さぶりを強めながらラストの速く切迫した強烈な山場を作ります。
第四楽章
主要主題は美しいのですが緊張した揺さぶりが強いです。第一エピソードは一転して暗く静かに落とし繊細さを見せつけ、山場は速めです。第二エピソードも速めに入りそのまま二度の山場を作り、その後はラストに向けたターン音型を揺らぎを付け美しく落とします。
・・・・・
緊張感みなぎるマーラー9です。速め設定*で揺らぎとテンションが強く、哀しみや美しさより緊迫さです。
初顔合わせがもたらしたのかこの張り詰めた空気は一聴の価値ありです。(非売品というのが残念!)


*演奏時間が81’から71'と大幅に短くなっています




クルト・マズア, Kurt Masur
New York Philharmonic
[TELDEC] 1994-4
3年前に亡くなった日本でもおなじみのマズアがニューヨークフィルの音楽監督時代のマーラー9です。
第一楽章
第一主題から第二主題への流れは一般的、その後半からは抑揚を強め反復は切れ味が良いです。第三主題で一転して展開部は暗いのですが速めで、小気味好い出し入れが良い流れを作ります。再現部は穏やかです。
第二楽章
主部主題レントラーは軽量、第一トリオは速いです。第二トリオで穏やかになり、後半は速め主体の出し入れから穏やかにまとめます。
第三楽章
主部主題は切れ味よく軽快に、第二トリオの静的動機が繰り返され中間部に入ると細かなやりとりからラストは激しい締めくくりです。
第四楽章
第一主題は情感強く入ります。第一エピソードでは静的暗転から叙情をたたえる流れになります。第二エピソードは哀愁、そこから山場を作るとコーダへ向かう準備になり、主要主題の変奏と『亡き子をしのぶ歌』引用からは美しさを見せてpppに終息します。
・・・・・
速めの流れに切れ味でコンパクトな印象が残ります。ライトウェイトのマーラー9です。
決して悪くはないのですが…






全集物を中心にまだ残っているようですので、また追記すると思います。^^;



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ダニエル・ハーディング / スウェーデン放送交響楽団 の マーラー交響曲第9番 は期待を裏切る素晴らしさ


ダニエル・ハーディング (Daniel Harding, 1975/8/31 - )
今や中堅どころとなったハーディングですが、個人的にはコンサートであまり当たった記憶がありません。一昨年のパリ管とのマーラー5番も今ひとつ。でもマーラー10番のCDは素晴らしいので、この9番にも期待して予約購入しました。

ハーディングが2007年から音楽監督を務めるスウェーデン放送交響楽団(Swedish Radio Symphony Orchestra)との録音ですね。

【後日記】『マーラー交響曲第9番 : 65CD聴き比べ』にも追記しました。




■ 第一楽章
緩やかで美しい第一主題、不安を感じさせる第二主題、反復は大きく奏でます。提示部のラストを激しく、展開部も柔らかさと切れ味の出し入れのコントラストが見事に付いていますね。再現部も懐の広さを感じさせながら、うまく静的なコーダへ結びます。
■ 第二楽章
主部主題、第一トリオ、共にやや重さを感じます。第二トリオは緩やかですが、決して軽やかではありません。第二第三楽章では激しさがベースに存在しますね。
■ 第三楽章
主部主題は切れ味良く、副主題もそれに絡みます。重厚さと軽妙さの微妙なバランスです。中間部はやや速めに美しさと哀しみを合わせ大きな波を奏でます。ラストの暴れ方は見事!!
■ 第四楽章
主要主題は美しく、ファゴットのモノローグから第一エピソードは情感大きく盛り上げ繊細に納めます。第二エピソードもその流れです。「亡き子をしのぶ歌」の引用からコーダはpppスローの美しさを生かして消え入ります。

期待を裏切る素晴らしさ。重心の低い切れ味と見事な広がり、哀愁よりも嶮しさのマーラー9番です。
近年ちょっとした でもクセの強いアゴーギク*が目立つ気がしていますが、ここでは違いましたね。一四楽章vs二三楽章の対比が見事でした。おすすめの一枚です。

*昨年発売のThe Wagner Projectや上記パリ管とのライヴ



本アルバムは2016年9月8-10日のセッションですが、実は2017年7月24日のヴェルビエ祝祭管弦楽団(Verbier Festival Orchestra)とのLiveを聴く事ができます。

Mahler “Symphony No. 9” (Daniel Harding • Verbier Festival Orchestra, 24 Jul 2017)

流れとしては良く似た演奏になります。第一楽章は悪くありませんが、第二楽章が軽めで間伸び感を感じます。第三楽章は揃いは今ひとつですが激しさが良いですね。第四楽章は似た展開ですがやや緩いです。
結果的には煮詰めたセッションと言う事になるのでしょうが、それをライヴで聴きたいところですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 50CDを聴き比べてみました [#2 / CD:21-40]

マーラーの6番、パワープレイが嵌れば言うことなしですね。一方で冷めたクールさもありで楽しめます。好きなので色々なパターンで気に入った演奏が多いかもしれません。
今回は変化球と魔球の二人、N.ヤルヴィとH.シェルヘンを含めた20CDのインプレです。ストックはそれほどありませんが、これで40CDになりますね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在 #3回 50CD
 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x2 ★☆], アバド[x4 ★☆], カラヤン[x2 (★)☆], ハイティンク[x2 ★], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2 ☆], プレートル[㊟], ワールト
 #2:20CD 本投稿
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x2 ☆], P.ヤルヴィ[☆], N.ヤルヴィ[x2 ㊟], ジークハルト, セーゲルスタム, パッパーノ, ザンダー, ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット[☆], J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:10CD
テンシュテット[x4 ☆], ヤンソンス[x2], MTトーマス, ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟]



【後日記】ヴァンスカのマーラー6が出たので追記です
オスモ・ヴァンスカ, Osmo Vänskä
Minnesota Orchestra
[BIS] 2016-11
現在音楽監督を務めるミネソタ管弦楽団(Minnesota Orchestra)とのマーラー5番はややクセ者的な印象もあったのですが、チクルス第二弾の6番はどうでしょう。
第一楽章
スローで抑えめの第一主題、モットーは美しくアルマの主題ではそれを広げる様に華やかですがスローのアゴーギクが気になりますね。反復後の展開部も力強さはあっても冷静さが常に背後にいます。再現部では少し躍動感が感じられるかもしれません。
第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題・副主題ともにごく普通の優美さ、中間部も流れは同じですが明るさが現れますね。美しい緩徐楽章ですが個性は薄いです。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は客観的で迫力や興奮を否定しているかの様です。クールとは違いますね。トリオは優美なスケルツォですが、それ以上でもありません。
第四楽章
序奏は緊張感の漂う素晴らしい流れかと思いきやスローモッソリに落ち込みがっかり。長い序奏から提示部の第一主題と経過句は勇壮ですがアゴーギクを殺して抑え込み、第二主題も同様です。展開部は序奏と同じく揺さぶりの効いた前半パートとフラット単調さの行進曲以降の組合せです。再現部も同じですが、それでもこの楽章が一番良いかもしれません。
・・・・・
よそよそしく掴みどろこの薄いマーラー6番です。この曲は興奮かクールさかですが、はっきりしないのはどうも…好みの問題になるかもしれませんね。
シベリウス・アカデミー同期生サロネンやサラステのマーラーの様にはいかない様です。




ジョナサン・ダーリントン, Jonathan Darlington

Duisburger Philharmoniker
[Acousence] 2008-6/18.19
このブログで超ご贔屓の管弦楽セット、ジョナサン・ダーリントン(Jonathan Darlington)とデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Duisburger Philharmoniker)です。マーラーは第5番でも素晴らしい演奏を残していますね。→ このブログ内のダーリントンの投稿記事

第一楽章
重厚オーソドックスな第一主題の行進曲、そしてアルマの主題(第二主題)は情熱溢れる美しさです。展開部の二つの主題は重厚ですが、挿入部では不安感を隠す様なスローの静寂さに。再現部も響の良い華々しさです。
第二楽章
アンダンテを採用しています。緩やかで優しさを感じる第一主題に哀しみをたたえる様な第二主題、中間部はその流れから山場へ向かいますが全体として穏やかさを重視した緩徐楽章です。
第三楽章
従ってスケルツォ、主部は第一楽章の回帰的で華やかさ。トリオはスケルツォらしい優美さになります。
第四楽章
序奏は極端な揺さぶりは使いませんがややスロー。提示部第一主題は跳ねる様なリズムで第二主題に続きます。この曲の難解パート展開部ではスローとコントロールの効いた激しさで落ち着いた表現です。再現部でも同様に過度の興奮を避けながら山場を盛り上げます。コーダは暗さ控え目、ラストの一撃は約束通りです。
・・・・・
重厚にして華々しい第一・四楽章、穏やかさと優美さの第二・三楽章、このコントラストの付け方がダーリントンの音楽ですね。Liveですが、録音も素晴らしくクールなマーラー6番でおすすめです。




サイモン・ラトル, Simon Rattel (2録音)
ラトルは1987年と1989年に同曲を振っていますが、あまりに落差が大きいです。


(#1)

Berliner Philharmoniker
[BPH] 1987-11/14.15
ラトルが初めてBPOを振ったライヴ、それがこのマーラー6番でした。その15年後にBPO主席指揮者・芸術監督に着いたわけですね。
第一楽章
切れ味と緊迫感の第一主題とモットー、そこからコントラストよく第二主題を華麗に奏でます。速めの流れと相まって締まりある演奏が爽快です。
第二楽章
アンダンテの主要主題は優美さが心地よく副主題も哀愁感がいいですね。スロー静音パートも透明感があり、中間部の広がりに心地よくつなげます。山場は哀しみが溢れ、グッと来ますね。
第三楽章
落ち着いた中に切れ味良い主部主題、変拍子を生かした洒脱なトリオはまさにスケルツォです。後半は出し入れが強くなり情熱が伝わりますね。
第四楽章
序奏は揺さぶり少なく、第一主題を王道的に締まり良く、経過句のhrも朗々と鳴らすと第二主題は軽快そのものです。展開部・再現部もこの楽章の持つ激しさと華々しさのコントラストがよく、大きな見晴らしが快感です。ラスト一撃ではフライングがありますがBPOのご愛嬌w
・・・・・
ピッと張ったテンションが心地よい流れを作るマーラー6。不要な揺さぶりを排した速めのテンポと切れ味がマッチしました。
初ライヴでラトル得意の陰影付けは薄まり、カラヤン呪縛のBPO色が強いかもしれません。好きな一枚です!!

【後日記】2018年6月19・20日のサイモン・ラトル、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者最後のコンサートの演目が「マーラー交響曲第6番」でした。この最終楽章は素晴らしく一聴の価値があると感じました。→ インプレです



(#2)
City of Birmingham SO
[EMI] 1989-12/14-16
上記BPOの2年後録音、ラトルが鍛え上げたバーミンガム市響とのマーラー6番です。
第一楽章
提示部第一主題は重厚、モットーで抑えてアルマの主題は優美ですが、反復でなぜか間延び感が残ります。展開部・再現部でもスローパートでの緩さが気になりますね。やや締まりに欠ける感が強いです。
第二楽章
アンダンテですね。主部の二つの主題はスローでふんわり・もわ〜っと穏やか、掴み所がわかりずらいです。中間部以降も同様の流れで、山場以外は強烈な間延び感です。(汗)
第三楽章
スケルツォ主要主題は切れ味よく、ここまでで一番良い流れです。トリオもスケルツォらしい優美さがいいですね。
第四楽章
長い序奏は混沌さよりシャープさで、アレグロ・エネルジコからは流れよく提示部第一主題に入ります。そこから経過句、第二主題は特出はありませんが安心感がありますね。ただ展開部への繋ぎで緩さを見せる様に、その後もスローの間延び感が顔を出してしまいます。アップテンポの騎行などは締まっているのですが。
コーダでは三発目のハンマーが聴こえます。
・・・・・
BPOとは打って変わったスロー基本。そのスローが靄った見晴らしの良くないマーラー6です。アゴーギクや管楽器も処々で今ひとつ感が残りますね。

この2年の大きな違いは?? こちらは手兵ですからラトルのマーラー6、2年前はBPOの個性が出たマーラー6ということになるでしょう。




パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi

Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2013-6/29,30
現N響首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが、当時首席指揮者だったフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振ったBD盤(第5番とカップリング)です。
第一楽章
やや速めで、行進曲は落ち着いて、アルマの主題は広がりを大きく進みます。展開部の穏やかさと再現部の切れ味も良いですね。
第二楽章
主部主題はテンポを抑えて適度重厚さ、トリオは一転スローで抑えめのシンプル。パーヴォも踊るスケルツォです。
第三楽章
アンダンテは主部の二つの主題はスローで澄んだ美しさ、同じ流れで中間部を超えると叙情高く山場を盛り上げて静かに締めくくります。美しい緩徐楽章ですね。
第四楽章
序奏は鬱でスローの揺さぶりからアレグロ・エネルジコで走ると、提示部行進曲は切れ味良く経過句を含めて進み、第二主題もシャープです。キーとなる展開部はスローの美しさと切れ味の表情変化を見事に付けて、行進騎行ではアゴーギクを振って来ます。再現部も同様に出し入れの良い流れを作り、コーダを鎮めてラスト一撃です。
・・・・・
切れ味の鋭さと美しい穏やかさのコントラスト、見晴らしの良いマーラー6ですね。広がりがあるBDの録音の良さも大きく寄与しているでしょう。
(ダイナミックレンジの広い録音の良さでハンマーの音がこんなに良く聴こえたのは初めてですね。逆にラスト一撃が弱く感じて弱点に思えるくらいですw)

同じ放送局系であるN響をベルリンで振った(2017年2月28日)演奏より一枚上手ですね。




ネーメ・ヤルヴィ, Neeme Järvi (2録音)
息子パーヴォとは違う、速さとメリハリの父ヤルヴィの本領発揮のマーラー6ですね。
ネーメの二つの録音、第一楽章提示部(再現有り)は20'程度でとても速い演奏です。参考にその演奏時間を並べておきますね。
      RSNO 日フィル
 第一楽章 20:01 20:52
 第二楽章 11:32 11:41
 第三楽章 13:37 13:05
 第四楽章 27:07 27:29


(#1)

Royal Scottish National Orchestra
[CHANDOS] 1992-11/8,9
ネーメ・ヤルヴィが1988年にロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者を退いた後の演奏ですね。現在は桂冠指揮者を務めます。
第一楽章
第一主題の入りから驚きのハイスピードです。アルマの主題も速くて優しさよりもそっけなさです。(笑) 展開部の挿入部ではスローにテンポを落とし、再現部で再びハイスピードに激しさを加えます。
第二楽章
スケルツォ主部主題も速くてキレキレ、トリオでは美しさを見せ揺さぶりをかけながら小ロンドCパートへ入ります。激しい出し入れが切れ味を感じさせてくれます。
第三楽章
やや速めから標準的になり、緩徐楽章の色合いを残すように哀愁の音色を奏でます。山場の盛り上げも美しく見事ですね。
第四楽章
王道系です。序奏は程々の揺さぶり、提示部行進曲は華やかさと切れ味、経過句から軽妙な第二主題につなげます。展開部は出し入れと陰影強くメリハリの効いた、このパートらしい切れ味が光ります。再現部でもその良い流れをつなげてコーダからラスト一撃です。
・・・・・
第一楽章、こういう変化球は大好きですね。速さのN.ヤルヴィの面目躍如。そして全体を貫く切れ味と怒涛のマーラー6番です。
演奏の切れ味も素晴らしいですし、音質もCHANDOSですから☆の方が良かったかな!!
(☆と㊟は紙一重ですw 個性派・クセ者でも楽しめるものが㊟ですね)




(#2)
日本フィルハーモニー交響楽団
[JPS] 2000-6/23
RSNOとの8年後、ネーメ・ヤルヴィが現在 客員首席指揮者を務める日フィルを振った演奏です。RSNOとの比較で聴いてみました。
第一楽章
第一主題はRSNOよりはテンポは遅いですがそれでも速め、アルマの主題はやや速め程度の提示部、展開部も標準的な演奏で基本速め、再現部は迫力で暴れ気味になりラストは突っ走ります。再現部はこちらの勝ち!!
第二楽章
スケルツォ主部主題もやや速め程度になり、トリオ以降も特徴的な揺さぶりは減っています。
第三楽章
アンダンテは速めで感情移入を避けた淡白さです。もちろん後半山場は迫力ですが全体的に美しさや哀愁は弱いです。
第四楽章
序奏は所々で暴れます、そこから提示部行進曲から経過句へは疾走、第二主題は軽快ですが弱い感じ。展開部は揺さぶりを生かして、厄介なこのパートをコントラスト良く見晴らしを付けます。続く再現部が素晴らしく、適度に暴れながら盛り上げが見事です。コーダのスローは影を感じさせる流れからラストの一撃です。
・・・・・
RSNOに比べると前半楽章のテンポも"速め"くらいで、後半の王道さも不足気味です。それでも充分に一癖モノを楽しめるマーラー6。
日フィルも好演で、RSNO盤を知らなければ㊟印です。




マルティン・ジークハルト, Martin Sieghart
The Arnhem Philharmonic Orchestra
[EXTON] 1994-3/19
交響曲第5番では残念な演奏だったオーストリア人指揮者ジークハルトと常任揮者を務めていた時のアーネム・フィルです。
第一楽章
第一主題は重厚勇壮で、アルマの主題は情感深い良い流れの提示部です。展開部も締まりのある第一主題からスローの挿入部へ重厚さの余韻を残す様に入り平安な流れにつなぎます。再現部は提示部の回帰で、コーダからフィニッシュも素晴らしい見晴らしの良さです。
第二楽章
スケルツォ主部の主題は第一楽章第一主題の流れを汲んで締まりが良いですね。重厚さをベースにトリオで一息つく感じです。マーラーの指示通り「重々しく」です。
第三楽章
緩やかで穏やかな第一主題、哀しさ覚える第二主題、その緩徐の流れから後半の山場を盛り上げます。スローさで時折気がぬける様な気配は気になりますが。
第四楽章
あまり変化を付けない序奏で入ります。提示部第一主題は勇壮、第二主題では穏やかに流れます。展開部コントラストの強い演奏で、アゴーギク・ディナーミクを振って濃い演奏です。スローの流れが素直に受け入れられないパートもありますが。再現部もスローから迫力で山場へ進み、輝かしい管楽器パートからコーダへ入り、ラストの一撃を迎えます。
・・・・・
90'を超えるスローな重厚さを全面に押し出したマーラ−6番です。もう少しスローさを抑えれば全体が締まったかも。また、録音・ミキシングでの作品作りも強く感じ、それもオケを助けている気がしますね。




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam
Danish National Radio Symphony Orchestra
[CHANDOS] 1990-9/24-26
フィンランドの怪人セーゲルスタムは個人的には現代音楽家の印象の方が勝ちますね。首席指揮者(1988–1995)を務めたデンマーク放送交響楽団(DR放送交響楽団)を振っています。第5番では素晴らしい演奏を見せてくれましたね。
第一楽章
行進曲主題はシャープに、アルマの主題はディナーミクで優しさを見せますが両者クセはありません。特徴的なのは展開部・再現部のスローパートを強調している事でしょう。
第二楽章
スケルツォ主部主題は第一楽章の印象を継続する様に進み、ここでもトリオをスローに明確に落として優美さを強調します。
第三楽章
第一主題は柔らかな音色で、第二主題では色合いを哀しみに変えます。優しさの中から山場を作るマーラーの緩徐楽章らしさに溢れたアンダンテになっています。セーゲルスタムは山場を押さえ気味でいいですね。
第四楽章
序奏は揺さぶりは少ないながら、不安感を掻き立てて提示部に流れ込みます。行進曲から経過句を経て第二主題まで冷静に奏で展開部へ。ここでもスローをうまく使い、過度の興奮や重厚さはありません。再現部もコーダも冷静です。気になったのはコーダでハンマーの様な音を感じた事、そうであればハンマー三発演奏ですが。
・・・・・
シャープさとスローの出し入れ(Agogik)がセーゲルスタムらしいですね。興奮と重厚さを排して、クールでスマートなマーラー6です。好きな盤ですね。
突撃型演奏が好きな方には向かないかも。




アントニオ・パッパーノ, Antonio Pappano
Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia
[EMI] 2011-1/8,10,11
パッパーノが音楽監督を務める聖チェチーリア音楽院管弦楽団を振ったマーラー6です。
第一楽章
第一主題はスローにして重厚、モットーで抑えると第二主題アルマの主題を華やかに奏でます。展開部・再現部は強弱コントラストを生かして派手で壮大ですね。管楽器の華やかさが光ります。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は重厚、変拍子のトリオは優美でまさにスケルツォ。この二つの旋律が小気味好く、メリハリのある流れを作っていますね。
第三楽章
抑えの効いた主要主題はスローに美しく、イングリッシュホルンの副主題も同様に美しい流れを作ります。中間部以降も情感強い山場を含めて、美しい緩徐楽章になっていますね。
第四楽章
長い序奏は力強さと暗さのコントラストを付けて明瞭に、アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は抑え気味の行進曲から経過句で盛り上げると、軽快な第二主題へと見晴らしの良い流れを見せてくれます。展開部・再現部は行進曲や騎行を切れ味よく派手で劇的に、コーダは暗く沈みラストの一撃へ繋げます。
・・・・・
見事なライヴ、派手で華々しい明瞭なマーラー6。気持ち良さが欲しい人にはこれでしょう。☆を付けたくなります。




ベンジャミン・ザンダー, Benjamin Zander (2録音)
英国人指揮者ザンダーは1979年に自ら立上げたセミプロのオーケストラ、ボストン・フィルハーモニー管弦楽団(小澤征爾さんのいたボストン響 BostonSymphonyOrchestraとは違います)を率いてますね。コンサートの前にはプレトークで、毎回コンセプトを解説しているそうです。


(#1)
Boston Philharmonic Orchestra
[Carlton] 1994-3
その手兵ボストン・フィル(略ならBPO?笑)を振ったマーラー6です。
第一楽章
勇壮な第一主題ですがモットー弱音でスロー化、アルマの主題では広がりのよい美しさで対比がいいですね。展開部のスローパートを強調して間延び感、それ以外はややありきたりで少々退屈な第一楽章です。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はキレはありますが重心が軽め、トリオもやや速めで軽量。あっさり過ぎかも。
第三楽章
主要主題、副主題共に適度に優美ですがフラット気味、ぬるま湯です。中間部以降も変化は薄いです。
第四楽章
陰鬱薄めの序奏から提示部第一主題は流れに乗りますが抑揚が不足気味、第二主題でも表情変化は適度ですね。展開部もモヤモヤしています。再現部の締まりが一番いいかもしれません。
・・・・・
モワッとしたマーラー6です。オケもイマイチで気持ちが入っていません、残念ながら。
ハンマー三発でしたね。




(#2)
Philharmonia Orchestra
[TELARC] 2001-5/22-25
上記の7年後、フィルハーモニア管を振ったマーラー6です。興味深いアルバムで、第四楽章はハンマー3発(初期稿)と2発(改定)の二つのヴァージョンを残しています。また全楽章の解説コメントCD付きで、どうも解説をしないと気が済まない?様ですw (マーラー5番でも同様に解説語りCD付きでしたね)
第一楽章
重厚な第一主題からアルマの主題は華々しくスロー重視の提示部です。展開部以降も演奏の締まりは良いのですが、全体のスロー感が今ひとつで集中力が途切れます。
第二楽章
スケルツォ主要主題は締まりを感じます。トリオ後半もうまく変化を付けていますね。堂々としています。
第三楽章
主要主題は少し抑揚を付け優美で前楽章とのコントラストがいいですね。副主題はスローを生かした哀愁さがうまいです。中間部以降も適度な揺らぎが生きた展開です。
第四楽章
序奏は陰影薄めアゴーギクは振っていますがスローが気になります。第一主題から第二主題への流れや展開部以降もボストンフィルと似ています。スローが気になるもののオケの締まりが全然上でその分が楽しめます。
・・・・・
スローが足を引っ張るマーラー6です。第二第三楽章は楽しめますが、特筆はと問われれば…??
何よりオケの差を感じましたね。




ゲオルク・ショルティ, Sir Georg Solti

Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1970-3,4
言わずと知れたショルティが育て上げた手兵 シカゴ交響楽団とのマーラー6ですね。
第一楽章
速さで突き進む第一主題、派手に奏でるアルマの主題、乗っけからまさにショルティ/シカゴ響炸裂です。展開部も勇壮さメインに柔らかな響のコントラスト、激しさを増しながら再現部へ突入するとコーダを派手派手しく納めます。
第二楽章
第一楽章の流れをそのままに主要主題は速め迫力、怒涛の進撃です。トリオは優美なスケルツォに変化させコントラスト付けが上手いですね。
第三楽章
アンダンテらしい優美な流れの主部二つの主題、中間部では明るさと美しさから大きく山場を作ります。厚いアンダンテ。
第四楽章
序奏は陰鬱さは薄く重厚中心に変化を与えています。提示部第一主題と経過句は迫力の行進です。第二主題もその流れのまま続きます。展開部・再現部も緩急はありますが突撃性大重視です。3発目のハンマー?の様な音がしますが。
・・・・・
いかにもショルティ/シカゴ響、怒涛の迫力のマーラー6ですね。とにかく勇壮な戦闘シーンです。




アントニ・ヴィト, Antoni Wit
Polish National Radio Symphony Orchestra
[NAXOS] 1992-12/15-19
カラヤンの助手を務めていたポーランド人指揮者ヴィトですが、何と言ってもNAXOSで数多くの録音を残している事で知られていますね。そのヴィトが1983-2000年の間音楽監督を務めたポーランド国立放送交響楽団との録音です。
第一楽章
第一主題は勇壮、モットーで静まりアルマの主題は華やかです。展開部ではスローパートを強調しているのが特徴的ですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は抑えめで、トリオはスローに落とします。最後の主要主題では迫力を見せますが、楽章としては控えめの感じがしますね。
第三楽章
主部の二主題は穏やかそのもの、中間部もやや抑え気味に山場を作ります。
第四楽章
序奏は静的、第一主題は行進曲を明確にしていますがやや弱め。展開部・再現部共にコントラストは弱めです。
・・・・・
穏やかさが印象に残るマーラー6ですね。迫力もあるのですが強烈さは弱いですね。炭酸の弱いコーラみたい?!




ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[MEMORIES] 1960-10/4 =mono=
さてシェルヘン先生です。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6ですが、大カット短縮演奏です。よく言われるのは第5番ですが、こちらも負けず劣らずの狂気を味わえます。(MEMORIESから再発されましたね)
第一楽章
第一主題・第二主題共に猛烈なハイスピードで管楽器はもつれ気味。提示部の繰り返しはもちろんカット!! 展開部・再現部も早回しで聴いているみたいですw
第二楽章
アンダンテを持ってきました。ここでは特別大きな異常性を見せませんね、中間部入りと山場でいきなりテンポアップは凄いですがそのくらい。シェルヘンは緩徐楽章は猛スピード化させない傾向ですね。(第5番では逆に超スロー化しています)
第三楽章
爆速スケルツォです。小ロンド形式で主要主題とトリオを繰り返すわけですが、そんなかったるい事しません。当然カット!! あっという間に終了、演奏時間は約半分w
第四楽章
序奏はコントラスト良く、アゴーギクが強いくらいです。まぁ一般的には充分"変"ですが。提示部第一主題からスピードアップ、でも第二主題も含めてそれほど過激ではありません。展開部はテンポは揺さぶりの強い程度の感じですが、後半はカ〜ット!! なのでハンマーは一発になっちゃいますw。再現部も似た流れで中盤をカット!! でもコーダはごく普通ですね。
・・・・・
爆速、奇怪、カット短縮のマーラー6です!!
詳細は楽章インプレの通り。音は劣悪ですが、一度聴いてみてほしいですねw




ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン, Jaap van Zweden
Dallas Symphony Orchestra
[dsolive] 2013-3
オランダのズヴェーデンはコンセルトヘボウ管のコンマスから指揮者になっています。来年2018年からニューヨークフィルの音楽監督に就任が決まっていて、早くも3月には新たな手兵を率いて来日しマーラー5番を演奏しますね。(もちろんチケット購入済みですw)
これは音楽監督を務めたダラス交響楽団を振ったマーラー6になります。
第一楽章
第一主題は少々まとまりの悪さと管楽器も危なげですがクセはありません。モットーからアルマの主題は優美です。展開部も再現部もバランスの良い音出しを感じます。
第二楽章
スケルツォです。主部主題からトリオもクセはなく安心の流れで切れ味もありますね。見事ですが何か一つ個性が欲しい感じです。
第三楽章
静的で美しいアレグロ。主部の主題も透明感があり、中間部でも牧場の広がりの様なのびやかさを見せます。本流の演奏ですね。
第四楽章
序奏の揺さぶりや陰鬱感は弱めですが良い流れで、第一主題から経過句も行進曲らしい切れ味で進みます。その流れからの第二主題も爽やかですね。展開部・再現部でも処々で間延び感はありますが山場を大きく奏でて、行進曲や騎行を勇壮に進みます。特徴に欠けるのは残念ですが素晴らしい演奏です。
・・・・・
音も良く クセも無く きれいにまとまったマーラー6です。その分、指揮者の意図や個性を楽しみづらくワクワク感がありません。初めて聴くならおすすめでしょう。




ジョナサン・ノット, Jonathan Nott

Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-10/27-31
現東響の音楽監督であるジョナサン・ノットが16年間首席指揮者を務めたバンベルク交響楽団とのマーラー・チクルスからのマーラー6です。ノットは現代音楽で著名なアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めていた事もあり、現代音楽を積極的に取り上げるので好きですね。
第一楽章
速い第一主題、アルマの主題も優雅ですが速めです。展開部ではスローとのコントラストをうまく付け、再現部では激しさを増して来ます。コーダも第一主題を陰影強く、ラストは華々しさです。
第二楽章
スケルツォです。第一楽章の第一主題の流れを感じる主部主題で、切れ味抜群ですね。トリオでは一転させて優美そのもの、見晴らしと締まりの良さが感じられます。
第三楽章
アンダンテの主部二主題は緩やかな優しさの緩徐楽章です。マーラーの緩徐楽章につきものの山場も大きく奏でます。ただ、流れのキーになる中間部に明確さが欠けるのが気になり残念です。
第四楽章
個性が出やすい序奏はあまり弄りません。切れ味の行進曲から心地よい第二主題の提示部。展開部は落差の大きなコントラストが特徴的に付けられます。この辺りがノット節とでもいう感じでしょうか。再現部前半を緩く、第一主題再現からは一気に走り、コーダは暗く沈めます。
・・・・・
コントラストと切れ味のマーラー6です。指揮者とオケが流れの強弱・遅速表現を共有していることがわかります。陰影が強く好みが分かれるかもしれませんが主張が明確で好きですね。アンダンテ中間部は見逃しましょうw




ジェフリー・サイモン, Geoffrey Simon
Northwest Mahler Festival Orchestra
[NWMF] 1998-7/19
(自主制作盤の様で、残念ながらamazonでは見つかりません)

オーストラリア人指揮者J.サイモンは米国でチェロをシュタルケルに師事、指揮を英国で習って米オケで活動していました。現在は英国を活動拠点に、レオポルド・ストコフスキー協会の会長でもあります。
米アマチュアオケのノースウェスト・マーラー・フェスティヴァル管弦楽団の指揮者兼顧問時代の演奏で、同音学祭1998年のLiveです。
第一楽章
速い第一主題をモットーでスローダウンさせ、その流れにアルマの主題を乗せて行きます。ありそうで無いうまい流れですね。展開部では速い流れとスローを対比良く見せてくれます。
第二楽章
スケルツォも速めの主要主題で第一楽章との繋がりがいいですね。(議論と好みはあるでしょう) トリオは適度に落として美しくメリハリがあります。
第三楽章
主要主題と副主題では一転してスローで甘美です。中間部前で哀愁を見せて中間部では明るさを広げラストの山場を盛り上げます。が、この展開は楽器の実力が出るので厳しいかも…
第四楽章
序奏はスローで陰影の少ない、陰影深くは無理でしょうが、流れです。第一主題は落ち着いて適度なテンポですがHrは苦しい、第二主題はそのままのテンポで続きますが揺さぶりがうまく付けられていますね。展開部も王道的な抑揚を付けて表情豊かです。二発目ハンマーは壊れた様な音がしますw 重厚&パワー王道的流れですね。
・・・・・
基本は速さでスローとのコントラストを見せるマーラー6です。オケの技量はHrの酷さを頂点に次元は低いですが最終楽章は気持ちが伝わります。それがアマやユースのオケの楽しさですね。^^/
録音も今ひとつでrec.レベルが低く大きくヴォリュームを上げる必要がありましいた。




モーリス・アブラヴァネル, Maurice Abravanel
Utah Symphony
[Vanguard] 1974-5

(入手可能なら全集で持っていてもアブラヴァネルは面白いですね)

アブラヴァネルは第二次大戦でユダヤ迫害を逃れてオーストラリアに渡った後、米国ユタ州でユタ響の発展に寄与していますね。ユタ交響楽団を30年以上(1947–1979)に渡り磨き上げたアブラヴァネルのマーラー6です。
第一楽章
やや速めの第一主題はモットーでペースを落としてアルマの主題で広がりを見せます。現在では絶滅種の繰り返し無しの提示部です。それ以外はクセの少ない第一楽章ですね。
第二楽章
スケルツォも速く入り、約束通りにトリオで優美にスロー化させます。流れは自然体で肩が凝りません。
第三楽章
優美な主要主題から副主題は哀愁を感じて素晴らしい流れです。中間部で明るい光を照らして山場を盛上げて納めます。感情移入を避けているのですがグッとくるものを感じます。
第四楽章
序奏の陰影は少なめ、第一主題の適度な興奮から第二主題が穏やかな風を吹き込みます。展開部も適度なテンポ変化を付けて気持ち良いですね。過度の興奮を避けて流れ重視の最終楽章です。
・・・・・
アブラヴァネルらしいテンポ変化とナチュラルな演奏がマッチして心地良いマーラー6です。力む様な興奮を排してオケの馬脚を表さない流れかもしれませんが、アンダンテでは心を打たれるものがあります。

㊟印を付けた第5番の様な変化球とは対極にある自然体の演奏で興味深いですね。でも第一楽章提示部の反復無しver.は今や貴重かも。一聴の価値ありです。




パク・ヨンミン, Young Min Park
Bucheon Philharmonic Orchestra
[Sony] 2015-9/8,9
ギーレンに師事し、ラ・フォル・ジュルネ金沢でも来日経験のあるパクが2015年から音楽監督を務めるプチョン・フィルハーモニック・オーケストラ(1988年創設)を振ったマーラー6です。
第一楽章
第一主題は勇壮、アルマの主題は伸びやか優美な提示部です。基本は真正直な演奏ですが、展開部のスローは間延び感、再現部もキリッとした切れ味が欲しい感じです。
第二楽章
アンダンテを持って来ました。主部の二主題は穏やかですが、全体スローさの中に気持ちが伝わってこないもどかしさを感じます。
第三楽章
主部主題、トリオ共にまとまりは良いのですが、角を落とした様な何か一つ欲しい流れです。
第四楽章
序奏は派手さとコントラストが効いています。提示部第一主題行進曲は流れよく入るのですがスローの緩さが出ますね。第二主題も印象は薄いです。とは言えこの楽章の展開部・再現部が一番スパイスが効いています。まぁそう言う曲ですが。
・・・・・
スロー基本で安全運転のマーラー6。音も良くミスもクセもないのですが、情熱や個性といった訴えかける何かが感じられません。最終楽章展開部以降が元気になりますが、時すでに遅しかな。
(スローの揺さぶりはギーレン仕立て?!w)






次は数枚ストックしているテンシュテットをメインにインプレしようと思っています。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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