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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 100CDの聴き比べです [#7 / CD91-100]

マーラー第9番今回10CDインプレで100CDまで来ました。同じ曲なのに様々なバリエーションがあり、指揮者やオケの個性が一緒に味わえるので楽しいですね。

このブログはあくまで楽曲のインプレで、マーラーの人生や楽曲の背景 その構成には触れていません。生きた時代も世界も違う歴史上の才人の人生や作曲経緯、ましてやその思いを安易な調べで素人のブログに載せるのは申し訳ない気がします。("商品"はインプレできますが…)

楽曲的には最終楽章も二つの主題(動機)の変奏とコーダと見る方が見晴らしが良い気もしますが、今は主題とエピソードでインプレしています。
(もちろんマーラーのスコアには主題や中間部といった表記はどこにもありません。BPM速度標記さえないので演奏テンポの差も大きいわけですが…)


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 100CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:20CD
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 若杉弘[x2], 高関健, 山田一雄, 秋山和慶, 大植英次[㊟], ギルバート, シェーンヴァント, クーン, ブラウン, ミュンフン, ネトピル, ノセダ[☆]
 #7:10CD 本投稿です
ワルター[x2 ★☆㊟], ブーレーズ[x2 ☆㊟], ノリントン, エルダー, ペシェク, ドホナーニ, シュワルツ, タバコフ



ブルーノ・ワルター, Bruno Walter (2録音)

ワルターはマーラーに呼ばれ副指揮者からウィーン歌劇場(1901-1913)に立ちましたね。その時25歳、もちろん総監督はグスタフ・マーラー本人(41歳)です。
100CDインプレまで来たので、ここでワルターの有名な二録音を聴き比べておきましょう。この二曲はワルターの二つの顔を持つ演奏になりますね。



(#1)
★☆(㊟)
Vienna Philharmonic
[OPUS蔵・他] 1938-1/16


(同年録音の貴重な第5番アダージェットも聴く事ができるOPUS蔵盤です)

ナチスから逃れてウィーンでVPOを振ったワルターの歴史的名演Liveですね。
第一楽章
第一主題から第二主題への表情変化は明確に、その後の山場と反復 第三主題もメリハリは明瞭です。アゴーギクも見事に決まっていますね。展開部前半の陰鬱を速めのテンポの揺さぶりで奏して、J.シュトラウス引用を明るく表現します。中盤は激しく荒れたパートと陰鬱パートのコントラストを強烈に付けています。コーダのまとめも素晴らしいですね。速め基本です。
第二楽章
スローな二つの動機がメリハリ強く絡む主要主題、第一トリオはテンポアップしてシャープなレントラーに切り替えますね。第二トリオもスローにはなりますが隙は全くありません。山場はマーラーの指示 "きわめて粗野に" 以上にキレキレです。
第三楽章
冒頭から激しい主要主題、絡む副主題もシャキッとしていて両者疾駆疾走します。走った後の中間部もテンポは上げ気味のまま緊張感をキープし、ラストは爆裂でまさにマーラーのいう"きわめて反抗的に"です!!
第四楽章
主題を穏やか優美に広げてfg動機で瞬間的に暗転させてテンポを速めます。第一エピソードもその流れで速め、暗鬱に沈む事なく感情を広げます。第二エピソードも速めの流れから山場を炸裂させ、後半からコーダは濃いめ静美な浮遊感に落とし込みます。
19'を切るかなり速い最終楽章ですね。


アゴーギクとディナーミクを大きく効かせた個性的でビシッと硬派のマーラー9です。ゆるさの微塵もありません。速さと緊張感に乗って一気に聴き終えます。一度はぜひ聴いておきたい演奏です。録音の古さなど関係ありませんね。個性も光ります。

バーンスタイン9番の原点にあるのがワルターと感じますね、特に中間楽章では。





(#2)
Columbia Symphony Orchestra
[Sony (CBS)] 1961-1/16-30, 2/6

 
(右は全集で1番は名盤、5番も素晴らしいのでおすすめですね)

VPOから23年後、当時CBSが録音オケとしていたコロンビア交響楽団を振ったマーラー9ですね。ワルターのステレオ録音用に米西海岸で編成されたオケですね。ワルターはこの翌年に85歳で亡くなっています。
第一楽章
第一主題は緩やか大きく、第二主題も流れを生かして盛り上げます。テンポも時代にあった設定となり見晴らしの良い提示部です。展開部前半をスローに落とし、アレグロ・リゾルートからもアゴーギクは弱くその分ディナーミクで見事にコントラスト付けしています。スロー化でこの曲の陰鬱感の美しさが引き出された感じです。
第二楽章
スローな主要主題ですがキリッとした動機の絡み、第一トリオではテンポアップして心地よい切れ味をつけます。もちろん第二トリオは美しく。
第三楽章
スローですが締まりの良い主題とソフトな副主題が絡みながら少しテンポを上げて山場を作ると、中間部でも大きな変化よりも美しさを引き立てます。
第四楽章
主要主題は穏やかそのもの、ここでもfgの動機で少しテンポを上げています。第一エピソードもそのテンポで暗い美しさを奏でて、第二エピソードも美しさを軸に山場へ引上げます。ターン音型の静パートからはこの演奏の真骨頂となりますね。


今の時代のスロー基本美しさ軸足のマーラー9の原点です。23年前と大きく様変わり、アゴーギクを排した全編スローとなっていますね。VPO盤とは正反対で曲の美しさが光る演奏です。スロー化でもディナーミクを使ったコントラスト付けがしっかりと付けられています。

音質もリマスタリングで今の時代になり価値が上がっていますね。本来の位置付けは★☆かもしれません…




ピエール・ブーレーズ, Pierre Boulez (2録音)

指揮者としてのブーレーズのCDと言うと、Sony(CBS)とDGでの同曲再録音を浮かべますがマーラー9のSony盤はありません。その代わりに同時代の録音がマイナーレーベルからリリースされています。それで聴き比べができますね。



(#1)

BBC Symphony Orchestra
[ENTERPRISE] 1972-10/22


(所有と同じENTERPRISE盤。他にMemoriesとAs Discからもリリース)

BBC交響楽団の首席指揮者(1971-1975)時代のロンドンでのライヴです。実はもう一枚BBC響とはこの前年1971年録音[Arkadia]がありますが未所有です。
第一楽章
第一主題から第二主題は特異はなく反復を含めて安定した提示部です。展開部も同様で前半はあまり沈めずにアレグロ・リゾルートから表情変化を付けますが、極端なコントラスト付けはしてしません。流れは全体的にやや速めでシャープさがあり、その辺りがこの時代のブーレーズらしさでしょう。
第二楽章
主要主題は軽快に二つの動機を絡め、第一トリオを歯切れよく切り替えていますが録音がこもり気味でシャキッと聴こえないのが厳しいですね。
第三楽章
主要主題と副主題はピシッと締まり良くテンポも上げ気味で刺激的、いい感じです。中間部も速めで入る珍しい流れですが一気にスロー化して山場、ラストは一気にストレッタして見事です。この録音レベルでも素晴らしい楽章とわかります
第四楽章
主題は厚めの流れで微妙なテンポ変化を入れてきます。第一エピソードは速めで暗鬱さは控え目、第二エピソードも速めで揺さぶり強く山場へなだれ込みます。後半からコーダもスローの揺さぶりですが音圧は高く、録音され?、て変ですね。それにしても個性的な最終楽章です。


全体速めでややテンポを揺さぶったマーラー9です。特に第四楽章はクセのある揺さぶりが強く個性的展開、第三楽章は実に見事な切れ味です。前半には目を瞑って㊟印と言う事で。(後半楽章は上記ワルター1938年を彷彿させますね)

録音が(演奏も?)今ひとつで、音楽として楽しむには少々難ありですすが個性派好きの貴方にはオススメです。





(#2)

Chicago Symphony Orchestra
[DG] 1995-11


上記23年後、シカゴ交響楽団の首席客演指揮者(1995–2006)時代のグラモフォン盤マーラー9ですね。
第一楽章
穏やかで澄んだ第一主題と重心の低い第二楽章、見晴らしの良い流れで完成度の高い提示部です。展開部前半はスロー静に重心を落とし、中盤からはCSOらしい鳴りの良さを生かしています。厄介なコーダも清流にこなして、朗々とした見事な第一楽章ですね。
第二楽章
二つの主題動機は歯切れよく、第一トリオではレントラーらしい優雅さを、そして第二トリオで柔らかいスロー美に落ち着かせます。変化球なし、曲の完成度の高さです。
第三楽章
主題に副主題(第一トリオ)、共に各楽器の鳴りもシャープです。中間部(第二トリオ)も穏やかさが心地よいですね。ラストはキッチリと締めてきます。
第四楽章
やや速めの主題は適度な揺らぎで延びやかです。第一エピソードも速めで暗鬱さに沈むのを避け、心が高揚する後半の広がりにつなげます。第二エピソードも速めの流れからタメを作って山場を奏で、後半からコーダのターン音型はゆるい揺らぎを加えて浮遊感を作り出します。


惹きつけられる素晴らしさというよりも、完成度の高さが見事なマーラー9です。CSOの演奏、録音、全て揃ってピカピカに磨き上げたっていう感じですね。

確かに突出したモノはありませんが、これだけの安定感充実感もそうそう無いと思います。




ロジャー・ノリントン, Roger Norrington

Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
[Hanssler Classic] 2009-9/5


イギリス人指揮者ノリントンが首席指揮者時代(1998-2011)にシュトゥットガルト放送交響楽団を振ったマーラー9ですね。ノンビブラートで軽快といった印象がありますね。
第一楽章
第一主題は揺らぎなき穏やかさ、第二主題もほどほど、反復と第三主題でタメを作って盛り上げます。展開部は前半のスロー静を特徴的に、強音は速くと正攻法ですがそのコントラストがぴったり来ますね。鬱ベースのスローが面白いです。
第二楽章
二つの動機が絡む主要主題は速くアッサリ風味、第一トリオでもリズミカル軽量に、第二トリオでもテンポは速めを保ちます。ノリントンらしい楽章でしょうか。
第三楽章
主要主題はここでも軽快で副主題(第一トリオ)もやや落ち着きますが同様です。中間部(第二トリオ)も一呼吸程度で大きな展開感はありませんね。走るラストも激しいのですがほどほどです。
第四楽章
主要主題も速めで重厚さは避けています。第一エピソードもその流れで静的パートもあまりスロー化させません。そこが一楽章との違いですね。第二エピソードも速いのですが山場は間を作ってしっかり盛り上げ、後半からコーダのターン音型ではスロー静音に落とします。
この楽章20'を切るのは珍しい速さですね。


緩急はあるのですが基本速さ、サッパリとしたマーラー9です。ノリントンらしい軽快感がそう思わせるのかもしれません。

低重心のドッカリとしたマーラー9の対極にいる演奏ですね。第一楽章のスロー静の"鬱"が最終楽章にも生かされたらより面白かったという感じです。




マーク・エルダー, Mark Elder

Hallé Orchestra (The Hallé)
[Halle] 2014-5/22


2000年からハレ管弦楽団の首席指揮者を務めるM.エルダーが、その手兵を振ったマーラー9ですね。オペラを得意としていますね。
第一楽章
第一主題は緩やか穏やかに、第二主題も抑え気味、反復から盛り上げて第三主題、と言う正攻法ですね。展開部も前半を静に落とし、アレグロ・リゾルート以降をを多少の揺さぶりを交えて変化を大きく鳴らします。クセなく安心して聴ける反面、これと言った個性は弱く感じます。コーダは少しユルいですね。
第二楽章
主要主題も第一トリオも第二トリオもクセはなく標準的なのですが、なんとなく流れている様な気配。スケルツォ(相当楽章)なのに弾んでくれないのは辛いですね。
第三楽章
主要主題と副主題は適度なテンポと締まりを見せてリズムを刻み、ポリフォニカルな良い流れを作って中間部で情景を一変させます。とても見晴らしの良い流れで、山場からラストもマーラーの指示通り"Sehr trotzig, きわめて反抗的に"、素晴らしい楽章です
第四楽章
主要主題は心もち速めながら感情込めた哀愁を奏でます。第一エピソードは沈んだ面持ちを見せる様なスロー暗に軸足を置き重心の低い情感を湛えます。第二エピソードも山場を息詰まる様な演奏で作り上げ、後半のターン音型からコーダの5'は静的浮遊感を漂わせた空間を作りました。
指揮者とオケが一体となった情感が伝わりましたね。


流れのゆるい前半と充実の後半、二つの顔のマーラー9です。前半はスパイスが足りませんね。後半は気持ちも入って、コンサートらしい一体感も感じられた素晴らしさです。

第三楽章は第一主題の動機の多声を生かした見事さがあるので本当に残念、前半だけやり直しよろしく!!って感じ。




リボール・ペシェク, Libor Pešek

Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
[Virgin Records] 1990-6


ペシェクが音楽監督(1987-1998)を務めた時代のロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団のマーラー9です。現在は桂冠指揮者ですね。
第一楽章
第一主題は優美、第二主題も同じ流れを保ち山場を作ると反復から第三主題で大きくまとめます。展開部は前半は鬱な中にJ.シュトラウスの引用を穏やかに生かし、アレグロ・リゾルートからは強音パートに鋭いキレを見せてくれますね。コーダのスローは少し気になりますが、見事なコントラストです。
第二楽章
主要主題の二つの動機は穏やか軽やかですが緩め、第一トリオも流れは変えず優雅な宮廷音楽調です。第二トリオもその流れに乗っています。やや間延び感があるでしょうか。
第三楽章
主要主題と副主題は速めの切れ味で適度な荒れた表情も、中間部はまさにチェンジペースでスローに変えて大きく広げますがややフラット。山場とラストの激しさはキレキレで光ります。
第四楽章
主要主題は流れの良いスロー、第一エピソードは透明感のある静に沈ませています。(緩くディナーミクの揺さぶりが入っていますね) 第二エピソードは少しテンポアップさせ哀愁感を付けて、山場を鳴りよく奏でます。(山場の下り坂のスロー化は??ですが) 後半からコーダは極端に静音化します。


スロー基本でキッチリとしたマーラー9です。オケの鳴りも良くパワープレイのパートは素晴らしいのですが、処々でベースのスローがフラットな間延感になるのが残念。

スローのフラット以外はディナーミク/アゴーギクのバランスも上手いですし、定位の良い録音も一役買っているのですが。




クリストフ・フォン・ドホナーニ, Christoph von Dohnányi

The Cleveland Orchestra
[DECCA] 1997-5


ドホナーニが音楽監督(1984-2002)として鍛えた手兵クリーブランド管弦楽団を振ったマーラー9ですね。現在は桂冠指揮者です。
第一楽章
大きくスローに振った第一主題。第二主題で重心を落として盛り上げますが、上手く揺らぎをかけて寄せては引く波の様です。展開部前半のスロー静もディナーミクで緊張感を与えて、中盤を出し入れ良く程よく荒れながら聴かせます。パワーと静のコントラスト、聴きやすい第一楽章ですね。
第二楽章
主要主題は標準的なテンポとリズム感で、第一トリオは歯切れ良くですがスロー化です。ちょっと珍しい流れでしょうか。第二トリオはその流れで落ち着きを見せる感じです。スローお上品な楽章です。(マーラーの意図とは違う様な…)
第三楽章
主要主題と副主題はキレ良いリズム感です。スロー化させた第二楽章と対比する感じでしょうか。中間部も約束的に静めますね。ラストも盛り上げますが暴れる事はありません。
第四楽章
主題は暖色系の緩やかさです。第一エピソードは静で暗に、回帰する主題を大きく奏でます。第二エピソードは一つ目の山場を揺らぎを使って盛り上げ、後半の主題はターン音型の浮遊感をコーダにつなげます。


安心して聴けるバランス感のマーラー9です。ベースはスローですが適度な揺らぎを入れているので飽きることもないでしょう。

突出を避けた安定志向がお好みの方におすすめです。打楽器重低音は床が響く録音です。




ジェラード・シュワルツ, Gerard Schwarz

Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
[Artek] 2006-6/1-3


米トランペット奏者で指揮者のG.シュワルツが音楽監督(2001-2006)を務めた時代にロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団と行ったマーラー・チクルスからの第9番ですね。
第一楽章
第一・第二主題とも表情は穏やか、一山上げてから提示部反復は見晴らしが良いです。展開部前半もピチカートを強調する程度でクセはなく、中盤での激しいテンポ変化も堂々とこなしています。コーダも含めて良く出来ていますね。
第二楽章
主要主題は適度なテンポに切れ味、第一トリオで少し色付けを増したレントラーにしています。絡ませながら第二トリオで一息入れる感じでしょうか。落ち着いた流れですね。
第三楽章
上げ気味の主要主題は第一トリオと絡んで適度に刺激的で流れよく進み、中間部からの表情変化も上手く付けています。ラストもしっかりとストレッタしています。
第四楽章
主題の流れは緩やかで大きく、第一エピソードもその流れで中後半はぶ厚いです。第二エピソードの山場はタメを作って見事に鳴らし上げ、後半からはコーダに向けてターン音型を緩やかに沈めて行きます。


80点主義的なマーラー9ですね。全楽章ミスや変な処は全然感じません。全く悪くないのですが、惹きつけられる何か+αが見当たりません。

炸裂するパワーや狂気とまで言いませんが、良い流れの演奏ほど この曲には強い思い入れの様な+αが欲しい気がします。




エミール・タバコフ, Emil Tabakov

Sofia Philharmonic Orchestra
[Capriccio] 1991-3

 
(右は全集です)

タバコフのソフィア・フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者(1987-2000)時代のマーラー9です。ブルガリア・セットのチクルスからですね。
第一楽章
スローに振った第一主題と第二主題はチェンジペースも薄く、スローに徹した提示部です。展開部もスローですが前半の静はコントラストが強めで引用パートは緩め、アレグロ・リゾルートからはテンポ変化を大きく付けて表情変化を見せてきます。コーダは超スロー、出し入れの強い楽章です。
第二楽章
スロー気味の主要主題は処々ゆるく、第一トリオはテンポアップで帳尻合わせです。第二トリオは落としますが、表情変化は薄いでしょうか。
第三楽章
かなり速い主要主題と副主題は荒れた表情を見せます。中間部で大きくスロー化しますが、ラストはひと暴れ。
第四楽章
主題を広がりよく鳴らし、第一エピソードの静けさ暗さも弱めです。第二エピソードは超スローから山場を作り、後半はスロー静のお約束ですね。


テンポ変化の大きいマーラー9です。一つの主題の中でも大きくテンポを変化させ、全体では超スローから乱速までありますね。それでやや統一感は欠けるのが残念ですが。






まだしばらく枚数がありそうなので、楽しめます。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ロト/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 の「マーラー 交響曲 第3番」を聴く


マーラー 交響曲 第三番
六楽章と長いのですが、各楽章の構成はわかり易く出来ていますね。楽章間の関連*を知っておけば、歌曲二曲を中間楽章に見立て三部構成(1,2,3楽章 - 4,5楽章 - 6楽章)で聴く事でよりスッキリと楽しめます、個人的にはw

第3番はブログ右欄の様なCD聴き比べはしませんが、一番好きなマーラーの交響曲です。演奏者によってあまり大きな差がないのもポイントでしょうか。

*実際には最後に書かれた第一楽章が第一部で、以降が第二部の二部構成です。また楽章間の関連性もそれぞれありますね。


フランソワ=グザヴィエ・ロト
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
ロトについてはストラヴィンスキー"火の鳥"のCDや来日公演で良い印象が根付いています。個人的にはレ・シエクルの様なピリオドには然程興味はなく、あくまでロトのスタンスですね。
今回のケルン・ギュルツェニヒ管は現在ロトが2015年から首席指揮者を務め、CD案内にある通りマーラー本人指揮で同曲初演(1902年, 第5番も1905年に初演)しています。

既発売の同オケとの「マーラー第5番」インプレは ➡️ こちらです。






第一楽章
序奏の8本Hrの第一主題は悠悠と。そこからスロー静に落とし、行進曲からは緊張感漲らせて第二主題に繋げます。全休符からの第三主題「目ざめるパン(牧神)」は一転して牧歌調の流れですが短く、スロー基本で揺さぶりの緊張感の序奏です。
提示部は第二主題を重厚に、第三主題を低弦で重心を下げ、第四主題で軽妙な牧歌的印象を残します。変化させた牧歌的流れを生かして山場へ登り詰めるのも見事ですね。
展開部はスロー低重心とテンポ変化の動機変奏の流れ良く、再現部は形通り主題回帰を見せてコーダはアッチェレランドを効かせて走り抜けます。

第二楽章
主要主題は表記通りのメヌエットで静的に優美に、トリオは弾けて変拍子を踊る様に見せます。通して抑えを効かせた感じで上手い構成感です。

第三楽章
主部主題は角笛「夏の歌い手交代」をそれらしく表現しつつテンポ変化を加えます。中間部のこの曲を特徴付ける一つポストホルン(コンサートではバンダです)は遠く聴こえる情景を伝えます。

第四楽章
アルトのサラ・ミンガルド(Sara Mingardo)は随分と落ち着いた気配が強くスローのせいもあってか間延び感も感じます。もう少し穏やかさが広がった方が好みです。基本スローが上手く生かせなかった感じでしょうか。

第五楽章
児童合唱の"ビム・バム"はテンポも合って清々しのですが、アルトが少々太く聴こえます。陰と陽が被って表情が見えづらい感じです。

第六楽章
弦楽の緩徐主要主題は広がりある美しさを緩やかに奏でますが抑えすぎでしょうか。第一トリオは管楽器で流れを少し取り戻します。その変奏で徐々に上げて、短い第二トリオ(第一楽章提示部コデッタ)で山場を築きます。最後の主要主題回帰からコーダはこの曲の持つ個性そのもので華飾壮大です。


揺さぶりつつも録音の良さもあってシャープさを感じました。不要な興奮を避けているのはロトらしさでしょう。「角笛三部作」らしい牧歌調も対比させていますね。

スローの落とし処がしっくり来ればより好みのマーラー3です。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ジャナンドレア・ノセダ / トリノ・レッジョ劇場管 の『マーラー 交響曲 第9番』を聴く


ジャナンドレア・ノセダ (Gianandrea Noseda, 1964 - )
トリノ王立歌劇場 (Orchestra Teatro Regio Torino)
日本でもおなじみのイタリア人指揮者ノセダは、ゲルギエフのマリインスキー劇場で首席客演指揮者を務めていました。今回の新譜は、2007年から本年(2018年)4月まで音楽監督を務めていたトリノ王立歌劇場管(トリノ・レージョ劇場管)とのLive録音(2017年10月20,21日)になります。

「マーラー交響曲第9番 80CD聴き比べもご参照下さい。






第一楽章
第一主題は静的ですが珍しい速め軽やかさ、第二主題でも重さを抑えています。山場と反復の第三主題はクドさを避けたうまい盛り上げですね。展開部もさらっと心地よい流れをベースにメリハリを付けていますので纏わりつく様な重さはなく、後半葬送行進曲の流れも軽妙です。とても興味深い第一楽章です。


第二楽章
主要主題は速めで爽快に、第一トリオでも歯切れを増しますが軽快さ重視です。第二トリオも穏やかですが軽やか、全体の流れが統一された心地よさを感じますね。


第三楽章
主要主題は歯切れよく芯のある流れを作り、副主題(第一トリオ)はもちろん軽妙で、中間部(第二トリオ)では約束通りの緩やかさにします。特徴的なのはハープで主題が入れ替わるパートで振られたスローのコントラストで、フィニッシュと合わせて強力です。


第四楽章
主要主題は緩やかな哀愁ある正攻法で緩やかに入り、テンポを上げます。第一エピソードも哀愁を強く奏でますが速めのテンポでクドさを回避、第二エピソードも穏やかな哀愁感の心地よい流れから二度の山場を大きくコントラストを付けます。コーダからフィニッシュはスローand超静音に消え入ります。



前半を軽快な表情付けに、中後半でキレと哀愁ををうまく付けたマーラー9です。
前半のオリジナリティーある流れから、後半で死のイメージを纏ったこの曲に沿わせる流れは見事で、その構成感に一票を投じます







テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サイモン・ラトル/バイエルン放送交響楽団 で聴く マーラー『大地の歌』| バーンスタイン, カラヤン と聴き比べ


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)
今年ラトルはマーラーを続けて出したので、第6番に続いて"大地の歌"もインプレしましょう。

「大地の歌」全体の流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。

アルト(orメゾソプラノ)のパートはバリトンの場合もあるので、今回はせっかくですからカラヤン/BPO | バーンスタイン/VPOと聴き比べてみようと思います。前者はアルト採用、後者はバリトン採用ですね。(バーンスタインはMez.採用Sony盤もあります)




サイモン・ラトル / バイエルン放送響
[Mez.] マグダレーナ・コジェナー, [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
アレグロですがペザンテの印象が強い楽章ですね。ファンファーレ主導の提示部はオケの切れ味が強く陰影が濃いです。テノールもテンションが高いです。展開部管弦楽は繊細さです。

第二楽章「秋に寂しき者」
緩徐楽章ですね。導入部の木管は抑えめで哀愁を細く奏でます。切れ味あるMezとオケとの一体感に僅かな乖離を感じます。展開部も変化は少なめで全体に表情が薄めに感じますね。

第三楽章「青春について」
短いスケルツォでしょうか。テノールも軽妙に入り、スローの中間部は陰を見せてコントラストを強めに付けています。

第四楽章「美について」
コモド(乙女)の中に走狗する(若者)トリオが入りますね。乙女は落ち着いたスローで歌い、中間部では若者が勢いのついたオケの演奏と共にテンポアップして元気が溢れますね。再現部も含めてコントラストが明瞭です。

第五楽章「春に酔える者」
凛々しいアレグロですね。勇ましい提示部を強調するテノール、キーとなる展開部でテンポを落とす二回目の調性感の変化はナチュラルです。再現部は元気復活ですね。

第六楽章「告別」
緩徐の提示部は、適度な重厚さのオケに繊細なMez.の組合せで、山場は伸びやかですが生真面目さが強い流れです。ややフラットに感じるかもしれません。中間部管弦楽パートは、情感の陰影付けが強くラトルらしさでしょう。再現部 王維の「告別」は表情がありますね。


落ち着いたMez.に対して表情豊かなテノールの組み合わせ。オケは明瞭な音使いです。クセはなくコントラストをはっきりとさせて、ラトルらしい「大地の歌」になっている感じです。
ラトル派の貴方におすすめですね。

旧盤(EMI)を比べると、バリトン採用で印象は異なりますね。演奏はバーミンガム市響の方が楽章によってのメリハリに差(一楽章は濃く二楽章は穏やかとか)があります、テノールは似た感じですが。











カラヤン / ベルリン・フィル
[アルト] クリスタ・ルートヴィヒ, [テノール] ルネ・コロ




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
提示部は導入ファンファーレ、オケそしてテノールも虚飾の無いバランスの良い流れを作って説得力を感じます。管弦楽の展開部もしゃしゃり出る事なく美しさを聴かせます。再現部もシャープな流れですね。

第二楽章「秋に寂しき者」
繊細な木管の導入部にアルトが入り、透明感があります。展開部は伸びやかで暖かさを見せ、山場を広がり大きく聴かせます。ルートヴィヒとオケのマッチングの良さを感じますね。

第三楽章「青春について」
ちょっと戯けた様にテノール、軽く弾むオケ、うまい流れを作るスケルツォで入ります。中間部は少し落ち着きを見せながら最後に回帰、全体の流れは統一感がありますね。

第四楽章「美について」
導入部コモドの乙女はオケと合わせて明るく明瞭に表情を付けて、中間部ではテンポアップし晴れ間を見せる様なオケに跳ねる様に歌います。再現部も合わせて伸びやか明るさが伝わります。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは伸び伸びと歌い、広がりがあります。展開部二回目のテンポダウンではHrを中心に調性感の変化を感じさせてくれるのが嬉しいです。そうなると続く再現部が生きて来ますね。

第六楽章「告別」
提示部は重厚さを避けたスローで落ち着いたオケとアルト、次第にアルトの表現力が増して山場に繋げます。オケが常に美しい澄んだバックを受け持っているのも好感触ですね。管弦楽の中間部は、緩やかで穏やかな流れに陰影を自然に付けています。再現部も含めて ルートヴィヒとオケの美しい楽章になっていますね。


アルトは繊細で伸びやか、テノールはクリーンなハイトーンで広がりを効かせます。オケは抑えながら澄んだ音色で引き立てます。興奮や華飾を排して 落ち着いた心地よさの「大地の歌」ですね。
その中に流石のルートヴィヒの表現力があって、やっぱり好きな演奏です。





バーンスタイン / ウィーン・フィル
[バリトン] フィッシャー=ディースカウ, [テノール] ジェームス・キング




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
入りのファンファーレから速めでテンションが高いです。オケもテノールもハイテンション、緩急はあっても戦闘的ですね。展開部管弦楽の印象が残りません。

第二楽章「秋に寂しき者」
バリトンは落ち着きはらっています。男性パートで聴くと歌詞の印象が異なって感じますね。ただ高音パートを柔らかく歌うのでオケとの緩徐バランスは悪くありません。展開部では光が差してくる様な流れを作っています。

第三楽章「青春について」
テノールの軽妙さには少し濃い味付けがあります。中間部でも味の濃さが表立っています。

第四楽章「美について」
導入コモドはゆったりと穏やかに歌い、中間部ではオケが華やかさを奏でてバリトンも生き生きと歌い上げます。テンポアップでの表情も面白いですね。流石はディースカウと言ったところでしょうか。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは適度なテンションで堂々と、展開部二回目のスローでの調性感の振りは弱めです。ここではテノールが落ち着きを見せましたね。

第六楽章「告別」
ゆったりとした提示部はまさにディースカウの真骨頂で素晴らしいですね。重厚さを避けて歌詞の一つ一つを丁寧に歌います。オケも尚更に丁寧な美しい演奏に聴こえてしまいますね。最高の楽章で一つの完成形では!


バリトンは優しさを湛え、テノールは少々くどめの対比です。オケも色付けが濃い演奏ですね。 役割(歌詞)と表現を明確にした「大地の歌」です。
何と言ってもフィッシャー=ディースカウの歌うマーラー、ここでも素晴らしい歌詞表現です。でも、この曲だけはバリトンよりもアルト(or Mez.)の方が好みです。




カラヤン盤とバーンスタイン(ディースカウ)盤の二枚はお気に入りなので、あえて載せてみました。特に ディースカウの歌う第六楽章の素晴らしさ、全体としたらルートヴィヒが歌うカラヤン盤という嗜好です。ワルター盤もいいので、そのうちにまた。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ダニエル・ハーディング / スウェーデン放送響 の『マーラー 交響曲 第5番』を聴く


同年代中堅指揮者三人のマーラー交響曲 新譜CD三連続インプレの最後は、第5番でD.ハーディングです。(クルレンツィス:b.1972年、ネトピル, ハーディング:b.1975年)



ダニエル・ハーディング (Daniel Harding, 1975 - )
スウェーデン放送交響楽団 (Swedish Radio Symphony Orchestra)

コンサートでは相性の悪い指揮者の一人、ハーディングです。この曲もコンサートでは新日フィルとパリ管で聴いていますが、パリ管ではとてもクセの強い演奏でした。このスウェーデン放送響との第9番のCDは良かったですが、第5番はどうでしょう。
現在はパリ管と本CDスウェーデン放送響の音楽監督ですね。


マーラー交響曲第5番 175CD聴き比べ」もご参考下さい



マーラー 交響曲 第5番



第一部
第一楽章提示部主要主題はスローで揺らぎを入れていますがやや間延び気味。第一トリオでは激しさというより派手やかに、第二トリオも微妙な揺らぎを入れていますね。第二楽章第一主題は明瞭に、第二主題も揺らぎをなくして素直な響きです。再現部・展開部も激しさは控えめで、第二主題は緩め、弱めのコントラストに感じます。

第二部
スケルツォ主題は優美ですが揺らぎを入れて、レントラー主題はあっさり感ですね。再現のvnの方が優美です。第三主題はスローを強めにして落としています。展開部・再現部も刺激な抑えめで印象はスローが勝っている感じですね。obl.hrの鳴りは良かったです。コーダは異常な速さです!

第三部
アダージェットは速めで入り後半スロー化ですが終始物静かに。山場も控えめ中間部でも冷静で好きなクールな展開ですね。中間部の揺らぎは気になりますが。最終楽章は第一第二主題が心地よく絡んであげてゆき、コデッタ(第四楽章中間部の変奏)は軽快に現れます。展開部・再現部の山場からコーダは興奮は抑え気味に、フィニッシュでいきなりのアッチェレランドです。(第三楽章と似ていますね)



今ひとつスカッとしない、独特の揺らぎも気になるマーラー5ですね。抑えた強音パートとスローの印象が強く残りますね。

ふとパリ管との来日公演の同曲を思い浮かべました。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

トマーシュ・ネトピル / エッセン・フィル の『マーラー 交響曲 第9番』を聴く


トマーシュ・ネトピル (Tomáš Netopil, 1975 - )
エッセン・フィルハーモニー管弦楽団 (Essener Philharmoniker)
若手チェコ人指揮者ネトピルは、ストックホルム王立音楽院でヨルマ・パヌラ(Jorma Panula)に師事し、2013年からエッセン・フィルの音楽監督を務めています。

ちなみにエッセン・フィルは1906年にマーラーの"交響曲第6番"をマーラー本人の指揮で初演していますね。またR.シュトラウスの"家庭交響曲"もシュトラウス本人指揮で初演されています。

マーラー交響曲第9番 85CD聴き比べ」もご参考下さい



マーラー 交響曲 第9番



第一楽章
穏やかでスロー美の第一主題から、同じ雰囲気を漂わせて第二主題へ。反復後の第三主題は広がりを見せて展開部も穏やかさを主体にしてJ.シュトラウスの引用を聴かせます。山場も大きいですが穏やかさが感じられますね。少々緩め美的な第一楽章でしょう。展開部で経過部の鐘が殆ど聴こえないのは不思議ですが。

第二楽章
主要主題は弱く穏やかで、第一トリオもマイルドに、第二トリオは当然一層穏やかです。

第三楽章
主要主題は弾みますが強烈さはありません。副主題(第一トリオ)も平和な気配で、中間部は緩徐的表情に変化させますが元々穏やかですから…

第四楽章
主要主題は広がりある甘美さを奏でます。第一エピソードも陰影は付けますが哀愁は薄めの穏やかスロー、第二エピソードも山場は〆めますが緩い静的パートが印象を支配しますね。コーダからフィニッシュは哀しみをpppに沈めて終息します。ここで救われた感じです。



全体を通して穏やかスロー甘口のマーラー9です。破綻のない綺麗な演奏ではありますが。
生クリームたっぷりのケーキに、ぬるくて砂糖いっぱいのコーヒーをホテルのラウンジで、みたいな。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

テオドール・クルレンツィス / ムジカエテルナ の『マーラー 交響曲 第6番』を聴く


テオドール・クルレンツィス (Teodor Currentzis, 1972 - )
ムジカエテルナ (MusicAeterna)
クルレンツィスとムジカエテルナ、今注目度の高いセットですね。ギリシャ人指揮者でテミルカーノフのアシスタントから、2004年にムジカエテルナを創設し音楽監督となっています。この9月から南西ドイツ放送交響楽団(SWR Sinfonieorchester)の首席指揮者も務めていますね。
個人的にはメリハリを強くしてくるタクトを感じてしまいますが、ここではどうでしょうか。

マーラー交響曲第6番 60CD聴き比べ」もご参考下さい



マーラー 交響曲 第6番



第一楽章
第一主題は切れ味鋭く、モットーで約束通りに落とすとアルマの主題を情感強く奏でます。見晴らしの良い提示部です。展開部も挿入部のスロー静と前後の速い切れ味のコントラスト付けを明確にしていますね。チェンジペースの際にしゃくる様な妙な揺さぶりを付けているのは気になりますが。

第二楽章
スケルツォです。主要主題はここでも速く切れ味、中間部は少し落として優美さを色付け。チェンジペース時の揺さぶりはしっくりきませんが。

第三楽章
主要主題は少し揺さぶりを感じますね。細かなアゴーギクとディナーミクを組合せた感じです。違和感が… 副主題は楽譜指示通り情感を高めます。中間部は明るさと広がりを付けています。濃い味付けですね。

第四楽章
気になる序奏は緩やかさ主体です。第一主題は対比させる様に締まった流れを作ります。決して暴れません。第二主題はテンポ変化を抑えて軽妙です。展開部・再現部も強音パートにアゴーギクを振って波をうまく作っています。勇壮な行進曲や騎行は締まって見事ですね。一体感が出てきて心地良い最終楽章になっています。



計算づくのマーラー6です。強音パートも型崩れはしませんし、スローも退屈に落ちる事もありません。静はスロー、強音パートは切れ味でファスト、アゴーギク主体のコントラストをピシッと付けています。時折気になる細かな揺さぶりもスパイス。

でも、やっぱり聴き終わった全体印象はくどい気がしますね。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 100CDの聴き比べです [#6 / CD71-90]

マーラー第9番も今回(#6)の20枚で90CDまで来ました。全て聴いてインプレするにはまだ時間がかかりそうですが、一枚一枚違って楽しいですね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 100CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:20CD 本投稿です
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 若杉弘[x2], 高関健, 山田一雄, 秋山和慶, 大植英次[㊟], ギルバート, シェーンヴァント, クーン, ブラウン, ミュンフン, ネトピル, ノセダ[☆]
 #7:10CD
ワルター[x2 ★☆㊟], ブーレーズ[x2 ☆㊟], ノリントン, エルダー, ペシェク, ドホナーニ, シュワルツ, タバコフ



ゲオルク・ショルティ, Georg Solti (2録音)

鳴りの良さとパワーのイメージが強いショルティ(w/シカゴ響)のマーラーですが、9番(正規盤)はロンドン響とシカゴ響の録音を残しています。アクの強さがマーラーに合うかは好みの問題もあるでしょうね。



(#1)
London SO
[DECCA] 1967-4/28-5/11


帯同して来日したこともあるロンドン響とのマーラー9ですね。1967年録音で、当時はこんなにマーラーに人気がなかったと思います。(少なくともSP→LP時代の親父は長い交響曲は嫌いでしたねw)

第一楽章
第一主題は息遣いのごとく表情を見せ、第二主題は葛藤を演ずる様です。その後も表情豊かな展開部で楽しませてくれます。暗雲と嵐、常に"風雲急を告げる"的パワー表現メインですけどw
第二楽章
主要主題はもったいぶった調子でややスロー、第一トリオはテンポを上げて切れ味、第二トリオでも図太さを感じます。とにかく強側のメリハリ、疲れますね。
第三楽章
主要主題はオケの鳴りが全開、副主題(第一トリオ)では多少肩の力を抜きますが気合がすごいです。中間部(第二トリオ)は落としますが背後に力がこもっているのがわかります。ラストは爆走!!
第四楽章
主要主題は太くて濃く、暑いお風呂みたいです。第一・第二エピソードも朗々とした鳴りでスローや閑を排して力感いっぱい。聴き終わったら疲れてぐったり。


太く力漲るマッチョなマーラー9です。個性的ですが狂気というわけではなく暑苦しいだけ?、この曲の哀愁や情感には接点がないので残念です。
スキヤキを濃い割下で肉だけガッツリ早食い口いっぱい、みたいなw 好きな方にはオススメです。(爆) えっ、㊟印付けろ?? ですかねぇ。





(#2)
Chicago SO
[DECCA] 1982-5


ショルティと言えば音楽監督(1969-1991)だったシカゴ響。そのマーラー9ですね。上記15年後の演奏ですが、こちらはどうでしょう。

第一楽章
第一主題・第二楽章ともに抑えが増して静的に澄んだ音色に変化しています。反復から第三主題も適度な激しさを見せてバランスがいいですね。展開部も落ち着いてクセがなくなりお手本的、見晴らしよくなりました。後半スローが気になるのは演奏時間も3'以上長くなったからでしょうか。
第二楽章
全体の流れは似ていますが、少し肩の力が抜けて聴き疲れは弱まりました。第一トリオ以降もスロー気味です。
第三楽章
LSOと同傾向、全開運転です。中間部は少し速くなっている感じです。
第四楽章
通して同じ様な流れですが、少しスロー化して楽になった感じです。それにしても何かが伸し掛る様に強く重いです。ラストの静音はオマケみたい。


力強いマーラー9です。一部は一般化しましたが、いずれにしろ力感。ならばいっその事ロンドン響に一票でしょうか。




ヘスス・ロペス=コボス, Jesús López-Cobos

Cincinnati Symphony Orchestra
[TELARC] 1996-5/5,6


本年(2018年)3月2日に亡くなったスペイン人指揮者ロペス=コボスが首席指揮者(1986-2001)を努めていたシンシナティー響を振ったマーラー9、他には2,3,10番を残していてファンがいますね。

第一楽章
第一主題から第二主題への変化の流れは適度、そこからの反復と第三主題(コデッタ?)も安心して聴けますね。展開部も奇を衒ったパートはなく、標準王道的な落ち着きです。どちらかと言うと穏やかさの印象でしょうか。
第二楽章
主要主題から優美さ、第一トリオも刺激的変化を避けてマイルドに、第二トリオはよりマイルドで少し長く感じます。
第三楽章
主要主題は切れ味よく、副主題も同じ流れ。中間部は色合いは変えますがテンポ変化は少なめです。ラストもパワーはふるいますが刺激は薄いですね。
第四楽章
主要主題の穏やかな広がりの良さは得意とする処でしょう。流れの延長で第一エピソード、第二エピソード共には情感は適度ですが、後半からコーダのターン音型では静的に落としてこの曲らしさを聴かせます。


まとまりの良いマイルドなマーラー9です。抑え気味のアゴーギク・ディナーミクで個性・刺激には欠けるかもしれません。刺激物の苦手な貴方におすすめですw




金 聖響, Seikyo Kim

Kanagawa Philharmonic Orchestra
[Octavia] 2011-5/28


在日韓国人指揮者の金(キム)さんは2009年から2014年まで神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めました。その時代の録音になります。その後いろいろ問題があったのは残念な事です。

第一楽章
序奏・第一主題は緩やかに、第二主題からは重厚さを見せる教科書的な流れです。反復最後の第三主題にかけてもきっちりと盛り上げています。展開部も陰鬱さとアレグロ・リゾルートからの激しさと良いコントラストで堂々本流ですね。ただキッチリとしている気配が強すぎて機械的な流れです。
第二楽章
主要主題はゆったりレントラー、第一トリオでキリッと表情を上げてリズムよく、第二トリオは穏やかに、と正攻法です。山場も約束通りに盛り上げますが、教科書通り的で表情が感じられません。
第三楽章
ここでも主要主題から副主題を全く違和感なくリズミカルに、中間部でターン音型を美しく奏でます。規格品ですが何かが足りません。
第四楽章
vnのターン音型は美しく、第一エピソードは陰鬱さを軸とする流れをきれいにつけています。第二エピソードも後半からはコーダに向けた流れが作られています。何かが欠けている様な、個性に欠けるのが個性?!


不要な揺さぶりを殺して教科書の様なマーラー9です。レシピ通りの料理が好きな貴方向き?
ただこの曲に欲しい情熱や思い入れが、ライヴにもかかわらず伝わらないのが唯一最大の問題かもしれません。




アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky

Tatarstan National Symphony Orchestra
[Μелодия] 2016


(コンドラシンとスラドコフスキーが1,5,9番を振った面白いset物ですね)

スラドコフスキーが首席指揮者で音楽監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー9ですが、両者ともよく知りません…

第一楽章
スローの序奏・第一主題から第二主題は激しさに表情を変え二面性を見せてきます。第三主題ももちろん激しさです。展開部も静のスローと烈のファストの明確な表情付けが、陰鬱さ・美しさ・激しさを生かす展開です。明瞭な第一楽章ですね。
第二楽章
歯切れの良いレントラーの主要主題から第一トリオをいきなりテンポアップ、第二トリオでスローダウンします。微妙ではなく明瞭なアゴーギクです。
第三楽章
主要主題は少々慌ただしい感じで副主題で少し取り戻し、絡んだ後に中間部で澄んだ音色からラストは精一杯盛り上げます。わかりやすいですね。
第四楽章
第一主題は予想通り一楽章回帰的にスローです。第一エピソードの鬱さは情感に欠けますし、第二エピソード後半からのターン音型のエモーショナルさは弱いです。山場は盛上げますが…


すっきり明快なマーラー9です。主題・動機ごとに明瞭にアゴーギクを振り替えています。個性も含めて微妙な"わび・さび"のアンジュレーションは弱いです。(この曲に一番欲しい物かもしれません)




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam


Danish National Radio Symphony Orchestra
[CNANDOS] 1991-9/23-25


(第7番とのカップリング3CDです)

北欧の怪人、フィンランドの指揮者セーゲルスタムです。個人的には多作の現代音楽家のイメージが勝ちますが、来日した指揮でも楽しませてもらいましたね。DR放送交響楽団(デンマーク放送交響楽団)首席指揮者時代(1988–1995)の演奏です。

第一楽章
とてもスローで大きな第一主題です。第二主題もその流れでスロー、そこから大きく山場を築いて反復、第三主題は落ち着きを払った雄大さです。展開部もスローを基本として奥行きのある流れを作っています。
第二楽章
主要主題スローで落ち着いたレントラーですが切れ味があります。第一トリオは威風堂々と、第二トリオは落ち着かせる様な優しさですね。山場は抑え気味で、この楽章のスローだけ今ひとつ感があるかもしれません。
第三楽章
主要主題と副主題は標準的なテンポで歯切れがいいですね。中間部のターン音型は最終楽章を印象付ける美しさです。ラストの緊迫は見事!決まりました。
第四楽章
主要主題は緩やか優美です。第一エピソードでは入りのcbからコーダ終焉に向けた気配を漂わせる構成です。第二エピソードも山場を含めて感情が溢れ出て、後半からコーダにかけての静音ターン音型パートの素晴らしさは格別かもしれません。


セーゲルスタムらしいスロー、雄大さと情感のマーラー9です。単純な静スロー・激ファーストの様なアゴーギクではないのがセーゲルスタムらしさでしょう。思い入れを感じられてとても好きな一枚です
CHANDOSの音の良さも一役買っているでしょう。




マルク・ゴレンシテイン, Mark Gorenstein

State Symphony Orchestra of Russia (Svetlanov SO)
[MDG] 2010-2/20


釜山フィルの首席指揮者も務めたゴレンシュタイン、ロシア国立交響楽団の音楽監督(2002-2011)時代の録音です。

第一楽章
緩やかスローの第一主題は美しく第二主題は変化は少なめに入って大きく広げます、反復後の第三主題も含めて王道ですね。展開部もスロー基本で大きくバランスの良さがありますが、やや刺激に欠けて時折スローの間延びも感じます。
第二楽章
レントラー主題もスロー強調ですが、第一トリオではしっかりと締めて、第二トリオは緩やか。山場もスローなので強調感に欠けますね。
第三楽章
主要主題はリズミカルで重さを付けて良い流れを作ります。第一トリオも流れに乗って緊張感を保ち、第二トリオで緩やかにターン音型では美しさを強調しますがその後が弱いです。でもラスト山場は暴れて面白く、この楽章が一番でしょう。
第四楽章
主題は得意の雄大さが光ります。第一エピソードは暗く鬱に入りスローを生かして大きく広げて良い流れを作り、第二エピソードは一転速めで入ります。山場(mixingバランスが?)から徐々にスローに戻し、ターン音型を緩やかに納めます。


緩やか広々スローなマーラー9ですね。スロー主体でアゴーギクが薄く、強音パートに締まりに欠けるのが残念ですね。
良い処もあり、ジャケットも好きなのですが。




若杉弘, Hiroshi Wakasugi (2録音)

ドイツを中心に指揮活動をされ現代音楽にも精通された若杉さん、亡くなってから今年で10年になるんですねぇ。本場ドイツで研鑽したマーラー9、興味ある二つの録音を残されています。



(#1)
Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
[Altus] 1983-6/11


始めのドイツのオケのポストに就いたケルン放送交響楽団(現:ケルンWDR交響楽団, WDR Sinfonieorchester Köln)、首席指揮者(1977–1983)時代のマーラー9ですね。
第一楽章
スローで穏やかな第一主題、陰を強くする第二主題、反復から第三主題も研ぎ澄まされて堂々の提示部です。展開部も陰で悠々とした流れを作り、山場も過度の興奮を避け緊迫感重視です。
第二楽章
主要主題は緩やかスローに、vn動機は力強さを見せます。第一トリオはより歯切れの良さで第二トリオのシンプル優美につなげます。ここ二つの中間楽章は冷めたクールさです。
第三楽章
主要主題は力感を込めながらも客観性を強く、第一トリオもしっかりと抑えを効かせます。中間部(第二トリオ)は"subito poco espressivo"なのですがpoco強めのシンプル美ですね。ラスト山場も計算通りの盛上げでしょう。
第四楽章
主要主題は殊更のスローではありませんが緊迫感が漂います。第一エピソードはトーンダウン風に抑えて入り、vn独奏や木管からの流れを生かし見事に情感を湛えます。第二エピソードは山場を切れ味よく、そして後半のターン音型を日の沈む夕暮れの様に感じさせてくれました。


悠々としたスローを基に、泰然たるマーラー9です。興奮を排して個性的なクールさと言っていいでしょう。
そこが諸刃の剣で、欠ける感情移入を補填する+αが 特に二つの中間楽章で欲しかったのも確かです。興味深い一枚には違いありません。




(#2)
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
[fontec] 1991-5/2


約10年の時を経て、都響の音楽監督時代(1986-1995)にタクトを振ったマーラー9番です。マーラー・チクルスの一枚ですね。さて、その変化はどうでしょう。
第一楽章
第一主題から第二主題への流れは一般化した感じです。特に第二主題はテンポを速めにして反復や第三主題に刺激を与えています。展開部以降もスローの基調は見せるもののメリハリが付き王道化ですね。
第二楽章
主要主題を速め、一般的?、に戻して心地よい流れを作ります。第一トリオも明確なリズム変化を作って、第二トリオをスロー優美に奏でます。没個性?にはなりましたが聴きやすのは間違いありません。
第三楽章
主要主題はここでもテンポアップ(=一般化)して締まりを見せ精悍な演奏になっています。副主題と中間部ではテンポ変化も明確化されて見晴らしも良いですね。ここまでの三つの楽章は大きく時間短縮されています。
第四楽章
主要主題はなぜか第5番アダージェットを思い浮かばせます。第一エピソードは静的に入りますが感情の盛上りは抑えめになっています。第二エピソードは速め、山場もその流れの上に作られます。後半からコーダ終焉のターン音型はお約束通りですね。


より見晴らしがついて、堂々王道のマーラー9です。
欠点もなく都響の演奏も見事で素晴らしいのですが10年前の録音からは全体やや教科書風?、ケルン放送響との個性漲る演奏が懐かしく感じてしまいます。

質は高く、初めて聴くにも良いと思う一枚ですね。




高関健, Ken Takaseki

群馬交響楽団
[ALM] 1999-3/21


高関さんが群馬交響楽団の音楽監督時代(1993 - 2008年)の録音ですね。

第一楽章
第一主題から第三主題までメリハリが不足している感じです。展開部もスローパートのモヤッとした感じが拭えないのはアゴーギクやディナーミクの弱さだけでなく、管楽器の音色もあるかもしれません。強音パートは適度に暴れて面白いですが、前途多難を感じました。
第二楽章
主要主題は速めですが何かスカッとしません。第一トリオは流れに乗ってシャープさが感じられます。速い展開はいける様ですね。第一楽章よりまとまってきました。
第三楽章
主要主題はマーラー指示の様に荒々しさがありなかなかです。第一トリオもその流れに乗り、第二トリオの静展開ではやはり何かこもった気配になります。ラスト山場は見事です。
第四楽章
不安を感じたスローの主要主題は落ち着いた演奏になります。第一エピソードは繊細なのですが、寂寞感や情感に繋がりません。第二エピソードは山場があるので、そこはこなしています。


今ひとつ見晴らしの良くないマーラー9です。全体的には荒れたパワーパートは面白さがありますがスローのモヤモヤが拭えず、この曲の持つ哀しみや美しさと言った情感が、テクニカル的にも、弱く感じました。




山田一雄, Kazuo Yamada

新日本フィルハーモニー交響楽団
[fontec] 1986-6/7


ヤマカズさんが新日本フィルを振ったマーラー9ですね。本当は第5番同様映像付きで見たいところです。

第一楽章
緩やかで緊張感を漂わせる第一主題と第二主題、そして反復からの第三主題は雄大です。展開部は陰鬱な流れからJ.シュトラウスの引用で明るさを見せ、流れよく山場へと進みます。鬱パートと山場の組合せは明確にコントラストを付けてきますがしっかりとアゴーギクがコントロールされて心地よいですね。再現部の間延び感が少し残念ですが。
第二楽章
レントラー主題は速く軽快な勇み足風に、第一トリオで一般的なテンポ設定に戻し明快な三拍子を付け、第二トリオでスローダウン。三つの顔を明確にしていますね。
第三楽章
主要主題は速めに少し乱暴で切れ味よく、第一トリオでは流れに乗った落ち着きを見せて、第二トリオはまさに中間部らしい美しい流れを作り出します。ラストも暴れて見事な構成感ですが、真面目過ぎかもw
第四楽章
主要主題は第一楽章で感じた様な緩やかな緊張感が少し弱いですね。第一エピソードを支配する静は全体スローでコーダをイメージさせ、第二エピソードはテンポアップして山場を迎えた後スローに落としコーダへ繋げます。


構成感もあり、きっちり真面目なマーラー9です。スローの優しさとコントロールされた強音パートをどう見るかで評価は分かれるかもしれません。
個人的にはコンサートならではの一体感や興奮が欲しいところです。少し羽目を外してもいいかも。指揮台のヤマカズさんの音が聞こえますねw




秋山和慶, Kazuyoshi Akiyama

The Kyushu Symphony Orchestra
[fontec] 2011-11/10


日本指揮者協会の会長である秋山和慶さんが九州交響楽団首席指揮者時代(現:桂冠指揮者)にタクトを振ったマーラー9番です。もちろん九響も日本オーケストラ連盟の正会員なのでプロのオケです。
第一楽章
第一主題はややスローで重さは控えて、第二主題でも表情変化は薄めですね。ところが反復前から第三主題で魂が入った様な情熱を感じさせる流れを作り出します。展開部もスローな面持ち・秘めた情熱ながら、そのスローが無表情でそっけないのが残念です。アレグロ・リゾルートからのテンポ変化は上手く、その後の出し入れの効いた構成は緊迫感を伝えてくれます。
第二楽章
ここでも主要主題はスローに入り、第一トリオは締まりを付けた感じです。第二トリオは優しく、でも全体的には緩さを感じてしまいます。凡百に埋もれそう。
第三楽章
主要主題は緩く感じ、副主題(第一トリオ)もやや締まりに欠けますが第二楽章よりは良い感じ。中間部(第二トリオ)は標準的穏やかさ。ただ、後半・ラストに盛り上がりと締まりはありましたね。
第四楽章
序奏から主要主題は表情が引き締まった様な哀愁と思いを感じました。第一エピソードは後半のターン音型哀愁を印象付ける様な流れ、第二エピソードは速く、二つの山場はしっかり締めて、後半からコーダはターン音型を崩しながらのお約束です。


処々で見せる緊張感にハッとしますが、全体としては玉石混交的のマーラー9です。とは言え、この曲に欲しい情熱溢れる一体感が垣間見られたのは嬉しかったですね。

最後に不要なフラブラがぶち壊し。カットして欲しかったです。




大植英次, Eiji Oue


NDR Radiophilharmonie
[EXTON] 2009/6/28


大植さんのハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーの主席指揮者(1998-2009)最後の年の来日Live(サントリーホール)、ほぼ10年経つんですねぇ。世界最遅のマーラー9になります。(Kaplan Foundation 2010ver.)
第一楽章
大きなスローで緩やか揺らぎの第一主題、美しく広がりがあります。第二主題も抑えながら大きく反復へ向かい第三主題も派手に鳴らさず間をとったアゴーギクを生かしてきます。展開部でもスロー静を基調として揺さぶりのある流れ。アレグロ・リゾルートで多少テンポアップしパワーも見せますが基本はあくまでスローの揺らぎです。
第二楽章
主要主題は極スローに二つの動機を絡め、hrに奇妙なヴィヴラートも入れています。第一トリオも切れ味はありますがスロー、第二トリオもスローで出し入れにクセはありません。流れのアゴーギクは弱く、要は全体をスローに引き伸ばした感じです。
第三楽章
主要主題は当然ながらスロー、第一トリオも同様ですが不思議な切れ味が感じられます。中間部は必要以上には落とさず流れを合わせている様です。ただマーラーが二つの中間楽章に指示した激しさには縁がありませんね。(ラスト一瞬垣間見ますが)
第四楽章
主要主題はスローを生かした美しさで哀愁感は低く、第一エピソードはスローな鬱と美。前半印象は甘美なアダージョです。第二エピソードは初めからターン音型を意識させながら山場を作ります。アゴーギクは薄く浮遊感を強め、スローを効かせて静かに絶え入ります。


強烈なスローが個性的マーラー9です。興奮や強音も抑え込んでいます。それをどう取るかで好みは分かれるでしょう。少し間延び感が気になるのも確かですが、個人的には個性派歓迎方向です。師バーンスタインとは似ても似つきません、というか似た演奏は浮かびませんw

大阪公演もあったと思います。ブログに演奏会インプレを残す前なので既に記憶(脳)はあやふやですが、妙な揺らぎのスロー・マーラー9の印象でした。(CDでは揺らぎは薄く感じますが)




アラン・ギルバート, Alan Gilbert

Royal Stockholm Philharmonic Orchestra
[BIS] 2008-6/2-7


都響/首席客演指揮者のA.ギルバートがロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団で首席指揮者(2000-2008)を務めた最後の年のマーラー9ですね。ちなみに来年(2019)からNDRエルプフィルハーモニー管(旧:北ドイツ放送響)の音楽監督ですね。
第一楽章
第一主題・第二主題は特徴的ではありませんが、緊張感をうまく与えていますね。それを反復から第三主題へとつなげます。揺らぎも上手く使い、緊迫する提示部ですね。展開部もJ.シュトラウスの引用を穏やかに、アレグロ・リゾルートからは迫力を明確に打ち出すコントラストが心地良いですね。アゴーギクとディナーミクのマッチした切れ味があります。
第二楽章
主要主題は速めで二つの動機を絡めますが、印象は穏やか。第一トリオも格段のアップは見せず、第二トリオでも表情変化は薄めです。穏やか速めの印象です。
第三楽章
主要主題も副主題もほどほど的に尖っています。ここでも速めの流れから中間部も変化は少ないですね。ラストはテンポアップで激しさを見せますが、中間楽章二つはコントラストに欠けるきらいがあります。
第四楽章
主要主題は緩やかな哀愁感です。第一エピソードは静哀に軸足を置いて後半ターン音型を印象付ける感じです。第二エピソードは山場を大きく作ってターン音型につなげ、静的な終息になります。


全体が速め、どこか落ち着かない印象のマーラー9です。静音パートをスローにして、強音は速めるというお約束的な設定ですが、よそよそしく落ち着きません。何がそう思わせるのでしょう?!

流石はBIS(sacd)で録音はいいですね。




ミヒャエル・シェーンヴァント, Michael Schønwandt

Danish National Symphony Orchestra
[Challenge Classics] 2012-1/7


オペラを得意とするデンマーク人指揮者シェーンヴァントがデンマーク国立交響楽団(DR放送響)を振ったマーラー9ですね。首席客演指揮者を務めた事もあるデンマーク・セットです。
第一楽章
第一主題はバランスよく表情を付けています。第二主題でも感情を盛り上げ、反復から第三主題で広げます。堂々の提示部ですね。展開部でも重心の低い流れで、穏やかな前半から中盤を陰影強く構成します。
第二楽章
一楽章に対比する様な軽快なテンポの主要主題がうまいですね。第一トリオも切れ味で明るさを表現、第二トリオではテンポを落として落ち着かせます。表情豊かです。
第三楽章
主要主題は力強くメリハリよく、第一トリオで少し落ち着きを取り戻し、第二トリオでは穏やかな広がりを見せます。上手い組み立てですね。もちろんラストは激しさとアッチェレランドで山場を駆け抜けます。
第四楽章
一転して主要主題は緩やか大きな流れを作り楽章間のコントラストを明確にします。マーラーの指示を生かした感じですね。第一エピソードは繊細さを奏で、第二エピソードは少しテンポを上げて山場を大きく築きます。そこからはゆっくりスロー静へ流れてターン音型入り、コーダに沈みます。


まとまりの良い明確な構成感のマーラー9です。奇を衒わず王道的で安心して聴けますね。
何か+α、Liveならではの興奮や一体感があればです。侮れずシェンヴァント!




グスタフ・クーン, Gustav Kuhn

Orchestra Filarmonica Marchigiana
[Oehms Classics] 2004-2


ドイツ人指揮者クーンがイタリアのマルキジアーナ・フィルハーモニー管弦楽団(1985年設立)を振ったマーラー9です。クーンは来日もありますが、オケ共に知見がありません。
第一楽章
第一主題はややスローですが揃いが今ひとつ、第二主題から反復もややギクシャクです。展開部も流れどうのよりも音の細部がまとまらない感じが気になります。
第二楽章
主要主題はややスローでまとまり、第一トリオでも活性を見せ、第二トリオは軟着陸します。でも流れはダラっとしてもっさりです。
第三楽章
主要主題と副主題は良いリズム感を作ります。モヤモヤですが、スカッと抜けた何かがあればいい感じでしょう。ラスト山場は走れません。
第四楽章
主要主題はややスローでフラット。第一エピソード・第二エピソードでもペタッとフラットです。浮遊感の薄いターン音型も残念。


残念ながらちょっとレベルの低さを感じてしまうマーラー9でしょうか。全体スロー・フラットな設定は、アゴーギクを振ったら成立しないのではなどと邪推してしまいます。

オケの技量も含めて演奏が手の内に入っていない感じです。ワースト争いの一枚ですね。そういう演奏も聴いてみたい貴方向け?!




ジャスティン・ブラウン, Justin Brown

Badische Staatskapelle Karlsruhe
[PANCLASSICS] 2011-7/17,18,19


2008年からJ.ブラウンが音楽監督を務めるカールスルーエ・バーデン州立歌劇場のオケ(カールスルーエ・バーデン州立管弦楽団)を振ったマーラー9番です。J.ブラウンはタングルウッドで小澤さんやバーンスタインに師事し、バーンスタインのアシスタントも経験しているそうです。
第一楽章
第一・第二主題を標準的に、反復での第三主題も大きく奏でて王道的提示部です。展開部もクセはなくアレグロ・リゾルートからの激しい出し入れも経過部も落ち着いています。流れはやや速めですね。
第二楽章
主要主題はスローで折り目正しく、第一トリオはリズミカルに、第二トリオではスロー・シンプルに。後半もマーラーの"きわめて粗野に"という感はなく、気の抜けた炭酸飲料的です。
第三楽章
主要主題・副主題(第一トリオ)は速めですがマイルド、力みなぎる感じはありません。中間部はスロー・シンプルですが美しさや哀愁も薄いです。マーラーは"きわめて反抗的"と言っていますが。
第四楽章
主要主題は優美です。第一エピソードはターン音型の印象を強く奏でて緩やかに、第二エピソードも山場も抑え気味に後半のターン音型に繋げ終息に向かいます。特徴はありませんが、この楽章が一番良いのかもしれません。


落ち着いた真面目なマーラー9です。多少のアゴーギクは感じますが、小澤さん ましてやバーンスタインの印象はありませんね。
クセもミスもないのですがこじんまりして、何か個性が欲しいところです。




チョン・ミュンフン, Myung-Whun Chung

Seoul Philharmonic Orchestra
[DG] 2013-8/29,30


韓国生まれの米国人指揮者チョン・ミュンフン、ソウル・フィル(ソウル市立交響楽団)音楽監督時代のマーラー9番です。

第一楽章
第一主題はスローに続く第二主題も柔らかさ重視で、反復から第三主題で山場を作ります。展開部もスロー穏やかメインに山場を築くコントラストが明確ですね。好きな流れですが無表情的で、再現部はもやっとしてしまいます。
第二楽章
主部主題はややテンポを上げてリズムよく、第一トリオも大きくは変えずスケルツォらしいです。第二主題は静でスローに落とします。
第三楽章
主部主題・副主題はいきなりのアップテンポ、中間部で静で薄く展開します。ラストも盛り上げますが、なぜか訴えて来ません。
第四楽章
主要主題は弦楽器で大きく奏でます。第一エピソードは薄く良い流れですが無表情、ラストがコーダの様なのはやり過ぎでは。第二エピソードも早々と前半からエンディングに意識を持って行っている感じです。


第一・第四楽章の静を強調したマーラー9です。ただ、この曲に欲しい情熱や思い入れとは無縁ですね。




トマーシュ・ネトピル, Tomáš Netopil

Essener Philharmoniker
[OEHMS] 2018-4/10-13


チェコ人指揮者ネトピルは、ストックホルム王立音楽院でヨルマ・パヌラ(Jorma Panula)に師事し、2013年からエッセン・フィルの音楽監督を務めています。
(エッセン・フィルは、1906年にマーラーの"交響曲第6番"をマーラー本人の指揮で初演していますね。またR.シュトラウスの"家庭交響曲"もシュトラウス本人指揮で初演されています)

第一楽章
穏やかでスロー美の第一主題から、同じ雰囲気を漂わせて第二主題へ。反復後の第三主題は広がりを見せて展開部も穏やかさを主体にしてJ.シュトラウスの引用を聴かせます。山場も大きいですが穏やかさが感じられますね。少々緩め美的な第一楽章でしょう。展開部で経過部の鐘が殆ど聴こえないのは不思議ですが。
第二楽章
主要主題は弱く穏やかで、第一トリオもマイルドに、第二トリオは当然一層穏やかです。
第三楽章
主要主題は弾みますが強烈さはありません。副主題(第一トリオ)も平和な気配で、中間部は緩徐的表情に変化させますが元々穏やかですから…
第四楽章
主要主題は広がりある甘美さを奏でます。第一エピソードも陰影は付けますが哀愁は薄めの穏やかスロー、第二エピソードも山場は〆めますが緩い静的パートが印象を支配しますね。コーダからフィニッシュは哀しみをpppに沈めて終息します。ここで救われた感じです。


全体を通して穏やかスロー甘口のマーラー9です。破綻のない綺麗な演奏ではありますが。
生クリームたっぷりのケーキに、ぬるくて砂糖いっぱいのコーヒーをホテルのラウンジで、みたいな。




ジャナンドレア・ノセダ, Gianandrea Noseda


Orchestra Teatro Regio Torino
[fone] 2017-10/20,21


2007年から本年(2018年)4月まで音楽監督を務めていたトリノ王立歌劇場(トリノ・レッジョ劇場)管弦楽団とのLive録音になります。

第一楽章
第一主題は静的ですが珍しい速め軽やかさ、第二主題でも重さを抑えています。山場と反復の第三主題はクドさを避けたうまい盛り上げですね。展開部もさらっと心地よい流れをベースにメリハリを付けていますので纏わりつく様な重さはなく、後半葬送行進曲の流れも軽妙です。とても興味深い第一楽章です。
第二楽章
主要主題は速めで爽快に、第一トリオでも歯切れを増しますが軽快さ重視です。第二トリオも穏やかですが軽やか、全体の流れが統一された心地よさを感じますね。
第三楽章
主要主題は歯切れよく芯のある流れを作り、副主題(第一トリオ)はもちろん軽妙で、中間部(第二トリオ)では約束通りの緩やかさにします。特徴的なのはハープで主題が入れ替わるパートで振られたスローのコントラストで、フィニッシュと合わせて強力です。
第四楽章
主要主題は緩やかな哀愁ある正攻法で緩やかに入り、テンポを上げます。第一エピソードも哀愁を強く奏でますが速めのテンポでクドさを回避、第二エピソードも穏やかな哀愁感の心地よい流れから二度の山場を大きくコントラストを付けます。コーダからフィニッシュはスローand超静音に消え入ります。


前半を軽快な表情付けに、中後半でキレと哀愁ををうまく付けたマーラー9です。前半のオリジナリティーある流れから、後半で死のイメージを纏ったこの曲に沿わせる流れは見事で、その構成感に一票を投じましょう。







聴いた印象を素直に少しづつアップしていきたいと思っています。数々のヴァリエーションからこの曲の全体像が感じられると嬉しいと思います。

#2,3回あたりの古いインプレも見直し(聴き直し)の必要性を感じますね。そのうち…


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ミッシャ・マイスキー(Mischa Maisky) の マーラー「アダージェット」多重録音版を聴く


ミッシャ・マイスキー
(Mischa Maisky, 1948/1/10 - )
ラトビアの人気チェリスト、クレーメル(の一年後輩)やアルゲリッチとの印象が強くて、やっている事は興味深いのですが今ひとつ食いつけない一人ですね。コンチェルトで一回行っているかもしれませんが、ソロ・コンサートはまだ聴いた事がありません。早いもので70歳になったんですねぇ。
今ですとチェロはM.ブルネロやG.ソッリマが好みですね。昔はもちろんデュ・プレですがw


Adagietto
マーラーの交響曲第5番第四楽章「アダージェット」をハープを除きマイスキーが多重録音で演奏しています。マーラーをblogタイトルにしているので聴いてみる事にしましたw

全十四曲のこのアルバムはマイスキーが子供達に贈った小曲集だそうです。興味のある方はググっていただくと色々出てきます。




アダージェット from Mahler's Symphony No.5
主要主題の第一動機はスローです。第二動機以降徐々に速めてクレシェンドでテンポを戻してきますね。中間部はメインパートが煽る様な感じが強く滑らかさには欠けるでしょう。
室内楽ver.として聴いた場合、あまりそう言う機会はありませんが、バランスが良いとは言えない気がしました。

■ その他
 2. マルチェッロ:アダージョ (オーボエ協奏曲, バッハによるチェンバロ協奏曲編)
 3. バッハ:ラルゴ [アリオーソ] (チェンバロ協奏曲第5番 第2楽章)
 4. モーツァルト:パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」(歌劇『魔笛』)
 5. サン=サーンス:カンタービレ「あなたの声に心は開く」(歌劇『サムソンとデリラ』)
 6. マスネ:タイスの瞑想曲 (歌劇『タイス』)
 7. チャイコフスキー:秋の歌 (四季 Op.37から10月)
 8. チャイコフスキー:感傷的なワルツ (6つの小品)
 9. スクリャービン:エチュード第11番 (12のエチュード Op.12)
 10. スクリャービン:ロマンス
 11. グリーグ:ソルヴェイグの歌『ペール・ギュント』
 12. シューベルト:ノットゥルノ 変ホ長調 D.987
 13. シューマン:アンダンテ・カンタービレ (ピアノ四重奏曲 Op.47 第3楽章)
 14. ブラームス:アンダンテ (ピアノ四重奏曲 Op.60 第3楽章)


古典は個人的には平和すぎて同じ曲に感じてしまいます.(汗) サン=サーンスやマスネ、チャイコやグリーグには情感がありました。やっぱりスクリャービンの二曲が感情の起伏があって良かったですね。最後のシューマンとブラームスはアルゲリッチ達とのクァルテットのLive (12のトリオも)です。ライヴのアプローズは不要でしょう。
このアルバムの為に演奏した1-11は優しく美しい曲が並び、ミッシャが子供達を思いながら弾いたんだろうなぁ...って感じですね。


新しいアプローチを期待したアダージェットですが、音数が少ないわりにスムーズなマッチングに欠けてしまった感があります。特別に新しい何かは??

心地よい小曲集なのでBGMでかけたら良いのかもしれません。胎教にオススメかもしれません。そんなアルバムですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

NHK交響楽団 Newライヴ・シリーズ『スヴェトラーノフ・N響 / マーラー交響曲第5番・第6番』をロシア国立響と聴き比べてみました


N響 vs ロシア国立響
先月発売された同シリーズの中にスヴェトラーノフ客演のマーラーの第五番(2000年)と第六番(1999年)が入っていました。

スヴェトラーノフ-マーラー-NHK

同時期エフゲニー・スヴェトラーノフ(Evgeny Svetlanov)が音楽監督(1965 - 2000)を務めていた手兵、ロシア国立交響楽団(Russian State SO)と聴き比べてみました。手兵vs客演さてどうだったでしょう。


本来なら『交響曲 第5番 170CD』と『交響曲 第6番 50CD』の中でインプレするのですが、次のアップ機会という事で先行投稿です。



スヴェトラーノフ / マーラー 交響曲 第五番

ロシア国立交響楽団
(Russian State Symphony Orchestra)
1995-10

第一楽章・第二楽章
特徴的にスロー弱音の葬送行進曲、山場ディナーミク強めです。第一トリオは明瞭にテンポを変え激しさですがクセはありません。第二トリオもややスローの標準的です。第二楽章の第一主題は速く第二主題はスロー静の対比です。展開部以降も同様で、コントラストを明確にした第一部ですね。
第三楽章
スケルツォ主題は緩めでhrも弱点、レントラー主題も第三主題も緩く演奏の質にも難があってぼんやりとした感じです。展開部・再現部も同じ流れで、特にスローの間延び感でボケた第二部に思えます。
第四楽章・第五楽章
主要主題は甘美を避けクール、中間部でも澄んだ流れを作っていて好きなアダージェットですね。最終楽章は第一第二主題がうまく絡みテンポアップで上げていきコデッタを優美に仕上げます。展開部と再現部の流れもスローが少なく山場も気持ち良く盛上げますが、この曲のコーダからラストでスローに落としてしまってはアウト!ですね。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか

スヴェトラーノフ節で、アゴーギクとディナーミク共に大きく振っているのですがスローが締まらない感じです。演奏も少々…なのも事実でしょう。





NHK交響楽団
(NHK Symphony Orchestra)
2000-9/28

5年後のN響との演奏になりますね。

第一楽章・第二楽章
葬送行進曲はやはりスローですがここでももっそりで何かが足りない感じです。第一トリオ・第二トリオ、展開部以降も第二楽章も5年前とよく似た第一部です。
第三楽章
ほぼ同じ構成、もやったスロー主体で見晴らしの悪さが印象に残ってしまいます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは色合いは同じですが、スローになっていて残念です。最終楽章も気持ちの良いテンポ設定で流れて行って、コーダ・ラストも類似かと思いきやスローにはしませんでしたね。アッチェレランドは効いていませんでしたが悪くありませんでした。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか。←1995年ロシア国立響と同じコメントです。(とにかくよく似ています)

スローで何をやりたいのか駄耳なのでわかりません、やっぱりこのスローは鬼門ですね。ラストが普通になっていたのが救いでした。





スヴェトラーノフ / マーラー 交響曲 第六番

ロシア国立交響楽団
(Russian State Symphony Orchestra)
1990

第一楽章
第一主題は抑揚を付けたスロー、モットーの後の静音は大きく落としアルマの主題は華やか、スヴェトラーノフらしい揺さぶりです。展開部以降も揺さぶりは強く、勇壮なパートは素晴らしのですが間をとったパートはぼんやりです。
第二楽章
とんでもなく速いスケルツォ主題、強烈です。そしてトリオでは素っ気なくスローで凄いコントラストです。冗談としか思えない面白さ!
第三楽章
穏やかな主要主題と副主題は適度なスローで流れて美しさと哀しみを感じ、中間部では広がり山場は見事です。長いスローパートは気になりますが。
第四楽章
序奏はコントラストが生きています。流れに乗って第一主題から経過句は強烈高速ですっ飛び、第二主題も軽妙ながら速く強烈な提示部です。展開部も緩急がここではメリハリになっていますね。騎行は爆速、行進曲は山場は力技が溢れ、麻薬の様な危ない魅力があります。


パワーパートは暴れて爆速もあるクセものマーラー6です。嫌いじゃありませんねぇ。

一部気になるスロー、録音にも問題?、には目を瞑りましょうw
スヴェトラーノフ節炸裂で好みは明確に分かれるでしょうが、個性派好きにオススメです。





NHK交響楽団
(NHK Symphony Orchestra)
1999-2/11

上記9年後、N響を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
スロー堂々葬送行進曲風の第一主題、アルマの主題は優美、アクの強さは減った提示部です。展開部からも遅め堂々が基本となって揺さぶりは大きく減り、挿入部の間延び感も避けられています。
第二楽章
速いスケルツォには変わりませんが驚くほどではなくなりました。トリオのスロー加減も削られて、全体として速めという感じになりましたね。
第三楽章
主要主題・副主題共にスローでクセもありません。弱点に感じたスローも大丈夫ですが、中間部も平均化です。山場はスヴェトラーノフらしいですね。
第四楽章
序奏はスロー主体、第一主題も適度な速さ、第二主題も自然に流れます。展開部・再現部もクセはなくなり、まとまりが良くなってはいますね。山場もちゃんと盛上げています。


落ち着いた大人のマーラー6です。スーツをスマートに着こなした感じ?!

ロシア国立響から大きく揺さぶりを削り去ってしまい、クセがない代わりに平凡な一枚になってしまったのは残念です。決して悪い着こなしではありませんが。(客演であの演奏は難しいでしょうね)




第五番はスローが足を引っ張ってぼんやり感が強い気がします。
 (ロシア国立交響楽団と瓜二つの演奏ですね)

第六番は落ち着いた演奏で悪くありません。
  +αがあれば良かったでしょう。
 (ロシア国立交響楽団はとても個性的で楽しめます)




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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