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トマーシュ・ネトピル / エッセン・フィル の「マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"」を聴いてみましょう


トマーシュ・ネトピル, Tomáš Netopil
(エッセン・フィルハーモニー管弦楽団, Essener Philharmoniker)
チェコの中堅指揮者ネトピルが同歌劇場の音楽監督を務めるエッセン・フィルを振ったマーラー6ですね。甘口で破綻のなかった9番に続くマーラーですが、どうでしょうか。
エッセン・フィルと言うと、1906年5月27日にマーラー本人の指揮でこの曲が初演された事が必ず出て来ますね。





マーラー 交響曲 第6番
(2019-5/14-17)



第一楽章
第一主題はビシッと勇壮で、パッセージは淑やかにアルマの主題はスローに華やか優美ですね。濃厚な提示部になっています。展開部の第一主題も締まり良く、第二主題回帰の挿入部ではスローでシンプルにしています。再現部を激しさを増して進み、コーダを陰鬱から立ち上げて鳴らします。バランス良く隙のない教科書通りの第一楽章ですね。


第二楽章
スケルツォです。主要主題は締まり良く、トリオはここでもスロー&シンプルです。王道なのか教科書的なのか、きっちりと作り込まれた感じです。


第三楽章
アンダンテです。主要主題は包む様な穏やかさで、第一トリオの副主題がobで哀愁を漂わせます。ほんの僅かにhrが綻びを見せますね。ミキシング修正すれば良かったのに、って言う感じです。中間部ではhr群がのびのびと音色を響かせ、第一トリオ回帰の山場は大きく鳴らします。


第四楽章
序奏はスロー揺さぶりは少なめでhrだけ少し怪しいw、アレグロ・エネルジコから第一主題は快走します。パッセージと上手く絡みながら第二主題は軽快で、王道ですね。展開部・再現部の出し入れもクセ無く安心して聴く事が出来ます。



王道的にキッチリ作り込まれたマーラー6ですね。堂々たる演奏でクセや欠点などありません。(後半楽章hrは少し修正すれば良かった気がします) その代わり情熱や個性の魅力も感じられません。

最近は演奏だけでなく録音技術を駆使して作り込まれた作品が多くなっている気がします。全曲通し一発勝負のLiveでどうなるのかが興味ありますね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





オスモ・ヴァンスカ(Osmo Vänskä)・ミネソタ管弦楽団 の「マーラー 交響曲 第1番」はまとまりの良さですね


マーラー交響曲 第1番
(オスモ・ヴァンスカ/ミネソタ管弦楽団)
ヴァンスカ/ミネソタ管のマーラーは過去, "第5番", "第6番" とインプレしています。
現在マーラー・サイクルの最中ですが、本ブログのターゲットの9番が出る前に1番を聴いてみましょう。もちろん「花の章, Blumine」も各楽章の表題もありません。第三稿四楽章版なので「巨人, Titan」のタイトルも不要ですね。




Osmo Vänskä
Minnesota Orchestra


第一楽章
序奏の下降動機で静かに入り、第一主題が穏やかな音色を紡ぎ、第二主題の絡みで華やかに広げます。第6番と同じく提示部反復。その後の展開部は静まって落ち着き、カッコー動機後hrの登場で明るさを広げます。一気に派手な山場を作って再現部はその流れから晴れやかに走って締めますね。第一楽章は心地良い流れです。


第二楽章
主部スケルツォ主題はリズミカルに主部は全体的に跳ねる様です。中間部レントラー主題は少し落ち着いて舞曲風にコントラストを付けていますね。短い主部回帰は一層華やかになって見晴らしがいいです。


第三楽章
有名な短調「グーチョキパーで何作ろ」の主要主題は弱音(ppに感じるくらい)からゆっくりと入ってきます。ob動機が加わると葬送の列の様な感じを与えますが、哀愁のある動機(トリオ)で色合いを変えてきます。中間部は静かな明るさを漂わせますが、主部回帰は変調とリズム変化をもう少し生かしても良かった感じがありますね。


第四楽章
第一主題は締まり良く、第二主題は少し鬱を見せる様な穏やかさになっています。もう少しコントラストがあっても良い様な感じもありますね。展開部は激しさを見せますがまとまり過ぎな気配です。再現部は表情変化は付けるのですが、コーダも含めてやはりきれいに始末を付けている感じが強いですね。



きれいにまとまった流れのマーラー1ですね。アゴーギクもディナーミクもほどほど。何か弾けたものがあれば生き生きとした感じが出た気がしますね。

前半は心地よく感じられるのですが、後半も同じ様なまとまり感で流れるとスパイスが欲しくなってしまします。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





佐渡裕 / トーンキュンストラー管弦楽団 の『マーラー 交響曲 第5番』は、速めでクールな感じですね


佐渡裕 Yutaka Sado
(トーンキュンストラー管弦楽団, Tonkünstler-Orchester)
2015年から佐渡さんが首席指揮者を務める、ウィーンのトーンキュンストラー管を振ったマーラー5番です。佐渡さんのマーラー5はもう一枚、個性が光る2001年のシュツットガルト放送響がありますね。




マーラー 交響曲 第5番
(2019年3月16日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー)



第一部
葬送行進曲のテンポはやや速めに、そして切れ味を感じます。第一トリオでは流れに乗って速めに進みますが、コントラストはほどほどですね。第二トリオも速めで哀愁感はクールです。第二楽章第一主題は速いです。第二主題では適度なテンポ設定の哀愁に感じますが気持ち速めでしょうか。キレはありますが速い流れの第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題はやや重め、レントラー主題は優しくでも気持ち速め、第三主題も殊更には鎮めませんね。展開部・再現部では"間"をとっていて安心して聴ける良い流れになっていますね。個性は薄いですが。

第三部
アダージェットはやや暖色系で標準的なテンポからスローへ、トリオもクールです。第五楽章第一・第二主題の絡みは速めのテンポで軽快に登り、コデッタも流れに沿っていますね。展開部は興奮を避けながら山場を作り、再現部は切れ味を増して山場からコーダは華やかに鳴らしました。大ブラボーですね。



個々の楽章や各主題はきっちりと仕上げて、全体としてはクールなマーラー5です。やや速めの設定がそう感じさせるのかもしれませんね。

シュツットガルト放送響と比べると個性派からクール派に、といった感じでしょうか。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





大野和士 / バルセロナ交響楽団 の「マーラー 交響曲 第5番」は…… 都響で聴きたいかも、ですね


大野和士 Kazushi Ono
Barcelona Symphony and Catalonia National Orchestra
2018-sept. rec.
大野さんが得意としそうなイメージですが、何故かあまりピンときませんね。録音は1996年に常任指揮者時代のザグレブ・フィルと残している様ですが。今回のリリースは2015年から音楽監督を務めるカタルーニャ国立バルセロナ響を振ったマーラー5です。(都響の音楽監督も同年からですね)
同楽団は二代前に大植英次さんが音楽監督(2006-2010)を務めていました。

マーラー 第5番 名盤珍盤 175CD 聴き比べ」にも追記予定です。






第一部
葬送行進曲は抑えを効かせて進み緩いアゴーギクで揺さぶりファンファーレを鳴らします。第一トリオの入りは不思議なリズム感を感じます。第二トリオでは繊細な哀愁からピークを奏でます。でも何かスッキリしません。
第二楽章第一主題は激しさそこそこ、第二主題で哀愁に落とします。展開部の第一主題や第二主題vcもどこか抜けの悪さがあります。再現部もテンポ設定にもっさり感がありますね。今ひとつスカッとしない第一部です。


第二部
スケルツォ主題はhrをメインに演奏の揃いが今ひとつに感じます。レントラー主題は弦楽器主体パートは普通ですが。続く主題変奏から第三主題も流れにまとまりが感じられません。展開部・再現部も同じですね。コーダも〆のhrが…


第三部
緩やかな暖色系の流れから山場も適度に、中間部は透明感ある流れを作ります。やや間延び感はありますが、クールで澄んだアダージェットですね。最終楽章、絡む第一・第二の二つの流れが落ち着きません。展開部から再現部も同様ですが山場は高らかに鳴らし挽回、コーダも大野さん好みに炸裂してアッチェレランドで駆け抜けました。最後の帳尻合わせは見事でした!



ラストは見事、でも演奏の見晴らしの良くないマーラー5です。流れにスカッとした抜けの良さがありません。指揮者のタクトにオケはいっぱいいっぱいの感じでした。ラストを上手く締めて印象挽回ですが。

こうなると、マーラーを得意とする都響との5番を大野さんに期待せずに要られませんね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 80CDを聴き比べてみました [#4 / CD:61-80]

今年(2019年)逝去したギーレン追悼アルバムが出たのを機に、大植さんとボンガルツの超個性派2CD、超怪しいヴロンスキーを含めて20CDほど聴いてみました。これで80CDになりますね。まだまだストックが…


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 #4回 80CD
 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x2 ★☆], アバド[x4 ★☆], カラヤン[x2 (★)☆], ハイティンク[x2 ★], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2 ☆], プレートル[㊟], ワールト
 #2:20CD
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x2 ☆], P.ヤルヴィ[☆], N.ヤルヴィ[x2 ㊟], ジークハルト, セーゲルスタム, パッパーノ, ザンダー, ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット[☆], J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:20CD
テンシュテット[x4 ☆], シャイー[x2], ヤンソンス[x2], MTトーマス, ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟], スヴェトラーノフ[x2 ㊟], セル[x2], バルシャイ, 井上喜惟, 山田和樹, クルレンツィス[★]
 #4:20CD 本投稿
ギーレン[x3 ☆], シノーポリ, メータ, サロネン[☆], サラステ, ヤング, 大植英次[㊟], ボンガルツ[㊟], シュテンツ, ヘンヒェン[x2], アシュケナージ[x2], ヴロンスキー, タバコフ, シュワルツ, マーツァル, ネトピル


ミヒャエル・ギーレン, Michael Gielen (4録音 3CD)

本年3月8日に亡くなった 緩急が個性的な人気指揮者ギーレン。今回追悼アルバム "In memoriam" が発売され、1971年と2013年の録音が収録されましたね。既発の2CDと合わせて4録音(3CD)を聴いてみようと思います。

特徴的なのは第二楽章をスケルツォからアンダンテへ入替(2013年)、そして演奏時間の長大化という明確な変化ですね。

ちなみに2013年録音は、最遅と言われたシノーポリ(約93')より更に遅いです。また第二楽章を途中で入替えて録音を残しているのは他にもアバドやバルビローリがいますね。

[演奏時間]    [一楽章] [二楽章] [三楽章] [四楽章] [トータル]
(#1)1971年 21'04" - 12'02" - 13'15" - 27'36"  約 74'
(#2)1984年 23'04" - 13'24" - 13'03" - 29'30"  約 79'
(#3)1999年 24'54" - 14'31" - 14'46" - 30'40"  約 85'
(#4)2013年 27'45" - 16'09" - 15'31" - 34'40"  約 94'

注:第二楽章はスケルツォです。2013年録音は第二楽章(アダージョ)と第三楽章(スケルツォ)の時間を入れ替えています。



(#1)
Southwest German Radio Symphony Orchestra
[SWR Classic] 1971-3/12-14


首席指揮者(1986-1999)就任の15年前、44歳のギーレンが南西ドイツ放送交響楽団(現:バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団)を振ったマーラー6ですね。今回発売になった一番古い録音です。

第一楽章
速め切れ味の第一主題は緊迫感漲りますね。パッセージも速めでアルマの主題もアゴーギクはありますが速いです。展開部は第一主題は強烈に、挿入部ではスローで長閑さを付けて コントラストを上手く見せています。再現部の第一主題は一層の迫力快走で走り抜け第二主題は緩やかに、コーダはディナーミクによるメリハリを付けて〆ます。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章同様締まりが強く、延長線上イメージです。もちろん速さの流れで、トリオでアゴーギクを効かせたスローでコントラストを付けるギーレンらしい構成ですね。最後の主題回帰は狂気を感じる様な切れ味です。
第三楽章
主要主題は穏やかに流れよく、副主題(第一トリオ)は少しスロー化して哀愁を見せますね。中間部(第二トリオ)は広がりを大きく鳴らし平穏な印象を着けてきますね。全体としてギーレンとしては揺さぶりのない淡白な緩徐楽章になっています。ラスト前の山場は強烈に盛上げますが。
第四楽章
渦巻く長い序奏は明瞭さを感じます。提示部第一主題は切れ味良い流れを上手く作ります。テンポ設定はやや速いですが標準的ですね。パッセージも切れ味の良さで、第二主題を軽快に作ります。締まり良い提示部です。展開部はディナーミクを効かせて派手気味にメリハリを作ります。この辺りは作り込まれたスタジオ録音を感じますね。アゴーギクも振った速い再現部も同様で見事に "聴かせる" 構成を感じます。その見事さに少々腰が引けますがw


快速切れ味のマーラー6ですね。緩徐パートのアゴーギク&スロー対比、ビシッと締まりのある流れ、ギーレンらしい印象の演奏かもしれませんね。アンダンテは山場以外今ひとつの感ですが。

途中カットもある様なこの年代のマーラーとして完成度は高いのではないでしょうか。デジタル・マスタリングで音も悪くありませんね。





(#2)
Radio Symphonie Orchester Berlin
[Altus] 1984-9/5,6


ベルリン放送交響楽団(現:ベルリン・ドイツ交響楽団, DSO)を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
やや速め力感の第一主題は、アゴーギクで緩やかな揺さぶりを感じますね。パッセージは標準的に落ち着けて、アルマの主題を情感豊かに奏でます。展開部は挿入部を鎮めますが、提示部同様に王道的な流れになっていますね。再現部も同じ印象を受けます。テンポ設定は気持ち速め、流れはギーレンらしい微妙なアゴーギクと厳しい切れ味を感じます。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は少しスローに入り第一楽章との類似性を抑えた感じです。(第一楽章ラストをテンポアップしています) トリオはややテンポを落として優美です。ここでもビシッとしたコントラストが見事です。
第三楽章
主要主題はやや速めで弱いディナーミク、副主題は哀愁の音色を木管に与えます。中間部は自然な流れから広がりを見せ、ラスト前の山場は激情的です。全体濃いめの色付けを感じますね。
第四楽章
アゴーギクでタメを作る序奏からアレグロ・エネルジコ、提示部第一主題は鳴り良く走ります。パッセージもシャープに続き、第二主題で見事に軽快感を見せますね。その後はアゴーギクでコントラストを着けて展開部に入ります。主題の入替をギーレンらしいアゴーギクとディナーミクで怒涛のパワープレイ、そのまま再現部になだれ込みコーダへと突き進みます。聴き疲れするほどの力感ですね。


気持ち速めの濃厚なマーラー6ですね。もちろんギーレンですから隙は無く、得意のアゴーギクにパワーと切れ味があります。聴き応えは十分。1971年よりも主流派的に感じますね。堂々濃厚なマーラー6を聴きたい貴方にオススメです。

それなのになぜかを付けられないのは、Liveなのに出来過ぎ感という贅沢なイメージからか、全体濃い味一本だからでしょうか。見事なのですが…





(#3)
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[Hanssler Classics] 1999-9/7-10


ギーレンが首席指揮者(1986-1999)として最後の年に録音したバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団とのマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題はややスローの低重心で重厚、アルマの主題は華やかな鳴りの良さですね。より王道的になっている提示部です。展開部・再現部も落ち着いていて、安定的です。アゴーギクも目立ちません。はて?ギーレンかなという感じですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の延長を感じるややスロー低重心で落ち着いています。トリオは落ち着いた中に静的優美さです。クセのない王道のスケルツォになっていますね。
第三楽章
アンダンテ主要主題は澄んで透明感があります。ギーレンでは無いような静美さです。副主題(第一トリオ)も美しい哀愁で彩られて、中間部(第二トリオ)も明確に明るい光が差し込みますね。美しい緩徐楽章になっています。
第四楽章
本来ドロドロとした序奏ですが、クドさを殺しています。提示部第一主題はシャープで、パッセージから第二主題も綺麗な流れで構成されています。展開部もコントラストのある主題の変奏ですが、クールな切れ味ですね。再現部は騎行から迫力が増しますが、ギーレンらしいアゴーギクの揺さぶりは弱いです。素晴らしいですが、何か一つ腑に落ちない感じがします。


落ち着き払った王道のマーラー6です。4録音の中では最もクセが無く安定的正攻法で、それを基準とするならば一番でしょう。初めて聴く方にも勿論オススメですね。出汁も素材も厳選した上品なお吸い物、みたいな。

個人的にはギーレンらしい濃い味噌汁が好きです、身体に悪そうですがw ギーレンでなければ ?!





(#4)

SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[SWR Classic] 2013-8/21


ギーレンが首席指揮者退任14年後にバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団を指揮したマーラー6。今回発売、引退一年前86歳での録音です。ここで第二楽章をアンダンテにしています。

第一楽章
第一主題行進曲はグッとスローになりますがメリハリは良く付いて、パッセージは落ち着きを払っています。アルマの主題はスローの中にも緩やかながらアゴーギクを効かせます。提示部は"繰り返し"の方が気持ち速めに感じますね。展開部の挿入部は元々スローなので流石に極端には落としていませんが、その中に各楽器の音色を生かしているので空間を感じる流れです。再現部も鳴りの良さが朗々としていますね。
第二楽章
ここでアンダンテにして来ましたね。主要主題は緩やかに、副主題(第一トリオ)は哀愁感を強く感じます。中間部(第二トリオ)では伸びやかな広がりがあります。スローが生きた大きく美しい緩徐楽章になっていますね。
第三楽章
主要主題は大きなスローですが締まり良く、第一楽章の印象を残していますね。トリオはスロー穏やかに、落差はあまり付けませんが回帰するとアゴーギクを振って来ます。ギーレンらしさを感じる少ないパートかもしれません。
第四楽章
序奏は大きなスローベースの陰影付けです。提示部第一主題はスローで大きい流れを作り、パッセージも広がり良く、第二主題をその中に置く感じです。展開部も大きくスローで、このパートにありがちなせっかちな緊迫感・迫力と言った流れよりも、"大きな見晴らし"の様な印象を受けますね。行進曲もスロー低重心で悠然とした新しい世界です。再現部はやや旧来的な流れを取り戻してパワープレイ的な要素も見られます。コーダは大きなスローからの一撃で、ラストのピチカートも生きました。
オーディエンスは大ブラボー・大喝采です!!


大きなスローで通した、ゆったり泰然自若のマーラー6ですね。もちろん各パートには締まりもコントラストもありますが、細かな表情よりも広大・雄大な音の広がりを強く感じます。

ギーレンの新たな境地でしょうか、これは今までに聴いた経験のない新しいマーラー6を感じます




ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli

The Philharmonia Orchestra
[DG] 1986-9


シノーポリが首席指揮者(1984-1994)時代のフィルハーモニア管を振ったマーラー6ですね。上記ギーレンの2013年録音が出るまで、世界最遅演奏だったと思います。(全楽章が遅いわけでは無く、アンダンテが異常にスローなのですが…)

[演奏時間]       [一楽章] [スケルツォ] [アンダンテ] [四楽章] [トータル]
(シノーポリ)1986年 25'09" - 13'39" - 19'53" - 34'32"  約 93'
(ギーレン) 2013年 27'45" - 16'09" - 15'31" - 34'40"  約 94'

ちなみにシノーポリはシュトゥットガルト放送響(1985年)との録音も残していますが、それは然程遅くありませんね。


第一楽章
勇壮な第一主題行進曲からパッセージで一息ついて、アルマの主題を大きく奏でるといった教科書的な提示部です。再現部第一主題も適度に激しく、挿入部もほどほどにテンポダウン。中盤以降奇妙な揺さぶりを散見しますが、全体が平均的印象を超えませんね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の延長性を強く感じます。やや速めでしょうか。トリオも標準的に優美です。ここでも多少のテンポの揺さぶりを感じますね。
第三楽章
問題のアンダンテです。主要主題は緩く甘美で"間"をとって揺さぶりながらスローに進みます。副主題(第一トリオ)も同じスローの揺さぶりで哀愁は弱めです。中間部(第二トリオ)での変化を感じないほどモワ〜ッと全体スローです。変な事は確かですが緩徐楽章ならこれもアリ的な感じ、ただこの楽章だけどうして?!という違和感は残りますね。他の楽章に個性的な味付けはありませんから。
とは言え、いつまでたっても終わらないスローが凄いです! (普通なら終わるあたりから、更に5'くらいありますからねェ)
第四楽章
アンダンテの後で集中力も切れますが、流れはディナーミクでのメリハリです。序奏アレグロ・エネルジコから第一主題を力感よく走らせて、第二主題を極端にスロー化するという変則があります。全楽章にこの手の特異性を通せれば面白かったでしょうね。展開部・再現部にもテンポの揺さぶりがあり興味深いですが、"時すでに遅し" です。


アンダンテだけが極端にスローの変則マーラー6ですね。他の楽章はテンポ変化の揺さぶりくらいなので残念です。全楽章を通して何らか意図のある特異性を持ち込んでいたらまた楽しみが違ったかもしれませんね。(それでも34'overの最終楽章は少し変わっていますから、特に前半二つの楽章ですね)

変則は嫌いじゃありませんが、中途半端出し惜しみ は着いて行くのが厳しいです。(汗)




ズービン・メータ, Zubin Mehta

Israel Philharmonic Orchestra
[Apex] 1995-7


インド出身の指揮者メータが長く音楽監督を務める(本年2019年で退任です)イスラエル・フィルを振ったマーラー6ですね。メータの6番はもう一枚、非正規盤ですがVPOとの録音があります。

第一楽章
第一主題はかなり速いです。静音化するパッセージも速く、アルマの主題では速度を落として優美のコントラストを付けますが直ぐに速い流れに戻してきますね。展開部第一主題は少し混乱気味に、挿入部は基本に立ち返りスロー美を奏でます。再現部は提示部より一層速く慌ただしいですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はそれほど速めていません。第一楽章との類似性を避けているのでしょうか。トリオ(中間部)はスロー静な穏やかさで、全体の流れは標準的になっていますね。
第三楽章
アンダンテの主要主題は抑えて優美、副主題(第一トリオ)も静的な陰ある哀愁です。中間部(第二トリオ)は程よく明るさを見せて、ここでも標準的な流れを作っていますね。
第四楽章
序奏は抑え気味、提示部第一主題でパワフルに驀進します。パッセージからも締まり良く、第二主題で軽妙さに転じます。展開部第二主題回帰の山場を大きく盛上げ、コラールを派手に第一主題変奏の行進曲を軽快に走らせます。再現部第一主題回帰は迫力があり、騎行では締まりある流れを作ります。若干の強弱はありますが標準的印象でしょう。


速く慌ただしい第一楽章の後は標準的な流れのマーラー6です。標準的な三つの楽章も多少の色付けはあるもののやや面白みに欠ける感がありますね。いっその事、もっと荒れて驀進した方が面白かった気がします。




エサ=ペッカ・サロネン, Esa-Pekka Salonen


Philharmonia Orchestra
[Signum] 2009-5/28


サロネンが2008年から首席指揮者を務めるフィルハーモニア管弦楽団を振ったマーラー6ですね。2017年5月18日にこのセットで素晴らしい来日公演 "悲劇的" がありましたね。

第一楽章
第一主題、王道ですが管楽器に少し不安を感じますね。第二主題は微妙にアゴーギクを入れて流れを優美に変えます。展開部では第一主題を高らかに、挿入部を穏やか長閑に奏します。ここでも間延びを避ける様に緩いアゴーギクを振っていますね。再現部は二つの主題を色濃く、コーダの主役第二主題もメリハリを付けています。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はややテンポを落として第一楽章の類型化を逃れています。激しさよりも落ち着きですね。第二主題はスローに落としてここでも落ち着いた流れをキープします。変拍子を殊更に印象付ける事はありません。(全体にアゴーギクを使っているからそう感じるのかも)
第三楽章
主要主題はやや速めで静的に入り、第一トリオも同じ流れで極端に情感を濃くする事はありません。ここでもクールです。中間部は明るく鳴らし、後半の山場は大きく奏でます。
第四楽章
序奏は揺さぶりは弱く主にコントラスト付け、アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は鳴り良く走らせます。パッセージのHrも朗々と響き、第二主題は軽快です。展開部はアゴーギクで緩急を付けて、込み入った構成を明確にしました。交響曲2番引用の行進曲は速めに振って見事に決まりましたね。再現部も第一主題回帰後山場から騎行が同様に走って素晴らしいです。


スパイスを上手く効かせたクールなマーラー6です。適度で絶妙なアゴーギクによる色付けで、通して心地良さがありコントラストも明確です。

この曲は熱烈爆走的演奏が一つのパターンですが、サロネンは全体の流れをスッキリとさせて、その対極にある演奏です。整理されすぎという意見も有りそうですが、好みでオススメですね。




ユッカ=ペッカ・サラステ, Jukka-Pekka Saraste

Oslo Philharmonic Orchestra
[Simax] 2010-3/10-12


オスロ・フィルハーモニー管弦楽団のマーラーチクルスの一環で、音楽監督だったサラステが振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は約束通りの勇壮さ、パッセージを緩やかにアルマの主題の伸びやかな美しさに繋げます。堂々ですが、処々微妙なアゴーギクを感じますね。展開部・再現部もクセのない流れを作っています。ラストの締まりはいいですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章回帰的ですがクールな印象もあり切れ味がありますね。トリオ(中間部)は約束通りにスロー&穏やかさのメヌエットの印象です。後半速めのアゴーギクは少し気にはなりますが、見晴らしの良い楽章になっています。
第三楽章
アンダンテですね。主要主題は美しく優しく、第一トリオ(副主題)はテンポを落とさずに哀愁を奏でます。流れの基本は少し速めに感じますね。第二トリオ(中間部)はスローにして広がりを聴かせてくれます。後半の第一トリオ回帰は大きな波の山場を作ります。
第四楽章
序奏は各主題をスローに鳴り良くコントラスト良く、提示部第一主題は刺激を付けて行進します。パッセージから第一主題の絡むパートを落ち着いて奏でると、第二主題はテンポを維持したまま穏やかに現れますね。展開部第一主題前のvcは厳しく切れ味ある流れを誘導し、回帰する第二主題の山場へ。その後もアゴーギクとディナーミクを共鳴させて、この曲らしいコントラストの強い締まった流れです。最後はコーダでは三発目のハンマーが登場します。


基本速め印象ですが、堂々としたマーラー6です。王道に速めのアゴーギクを振った感じでしょうか。その微妙な立ち位置をどう感じるかで評価が分かれるかもしれませんね。

ハンマー三発という珍しさ、演奏も録音もよく、広がりがあるので気持ちよく聴きたい方にオススメですね。




シモーネ・ヤング, Simone Young

Hamburg Philharmonic Orchestra
[Oehms Classics] 2007-4/22,23


日本でもおなじみのオーストラリア人女性指揮者S.ヤングはコンロンやバレンボイムに師事しています。ドイツを中心に活躍していて、音楽監督を務めた時代のハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は勇壮に、木管の経過句を緩やかに落としてアルマの主題の優美さと繋がりを良く作っていますね。展開部は主題の絡みの後の挿入部にやや間延び感がありますが安定して、再現部では両主題の締まりが増してコーダはメリハリが強いです。
第二楽章
アンダンテです。主要主題は穏やかに、イングリッシュホルンが動機を示す副主題(第一トリオ)は哀愁を高めます。中間部(第二トリオ)は大きな長調的広がりを見せますが、以降は山場を除くと少し緩いでしょうか。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は第一楽章の印象を持って進み、トリオではテンポを落として変拍子の表情変化を生かしています。
第四楽章
象徴的な長い序奏は極端な陰影や表情付けはありません。提示部第一主題は軽快に鳴らして経過句を締まり良く、第二主題でも流れを維持して心地よさがあります。問題の展開部はスコアの持つ出し入れの快感を伝えていますが、もう少し刺激のスパイスを加えたら素晴らしかったと思います。再現部は騎行ではテンポ変化を生かして流れに勇壮さをみせてくれます。(コーダではヤングの意図で3発目のハンマーが打たれます)


揺さぶりは無く安定指向のマーラー6です。心躍る様な冒険や楽しみはありませんが、王道的流れは大きく外しません。

アクセルコントロール(アゴーギク)は安全運転ですから、初めて聴くのにもおすすめですね。




大植英次, Eiji Oue


Osaka Philharmonic Orchestra
[fontec] 2005-3/20


齋藤秀雄→小澤征爾→L.バーンスタインに師事した人気指揮者の大植さんのマーラーと言うとどうしても第9番が浮かびますが、これは大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督時代のマーラー6ですね。

第一楽章
速い第一主題にまず驚きますね、大植さんですからw 経過句も速いですが抑えています。第二主題はテンポを標準的レベル(やや速い?)に落とし、揺さぶりは強いですが甘美を避けてスッキリとした流れです。展開部は第一主題をガツッと締め上げて、揺さぶってから第二主題に流れ挿入部へと。ここでもスローの中に微妙な揺さぶりで緊張感を与えていますね。その後はブレーキの様なアゴーギクを使って走り、爆裂から再現部へ。第一主題は荒れます、ここでも急ブレーキ的なアゴーギクですね。ちょっとシェルヘン先生を思わせる様な…
第二楽章
スケルツォですね。主要主題はやや抑え気味に入りますが、間を詰めた様な流れに緊迫感があります。トリオは極端にスローにして木管の動機まで引っ張ります。その後も揺さぶりは大きく、個性的ですね。
第三楽章
主要主題は細くスローで繊細に入って来ます。第一トリオは入りのイングリッシュホルンから流れは静美です。中間部(第二トリオ)で明るい日差しが差し込むと、回帰する主題で美しい哀愁に戻り、最後の第一トリオからは哀しみの山場を大きく作り上げます。揺さぶりを排して美しい緩徐楽章に仕立てていますね。
第四楽章
序奏の主題群はスロー構成で強烈な緊迫感を湛え、アレグロ・エネルジコから一気に加速して提示部第一主題を爆走します。経過句で落ち着かせると主題変奏と対位しながら盛り上げて行きます。そして第二主題で軽妙に落ち着かせると、テンポアップして展開部へ。第二主題を大きく広げて山場を作り、その後は切れ味良い流れから突撃、第二主題回帰で落ち着きし再び突撃とコントラストと見晴らしの良い展開部です。再現部も強烈にコントラストを着けて派手派手しく駆け抜けます。


強烈な揺さぶりでクセモノの一角をなす大植マーラー6ですね。急テンポからガクッと落としたスローの極端なコントラスト、もちろん暴れるパートは荒れます。H.シェルヘン、B.マデルナ、と言った方向性も感じる好きな一枚です。大フィルも好演ですね。普通の演奏じゃつまらない、と言う貴方に超オススメ盤であります!!

久しぶりに聴きましたが、安定志向の方には向かないでしょうねぇ。本来なら?、悩みどころですw




ハインツ・ボンガルツ, Heinz Bongartz


Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig (MDR Sinfonieorchester)
[Weitblick] 1969-6/30


プロイセン時代のドイツに生まれた指揮者ボンガルツ(1894-1978)ですね。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6です。

第一楽章
第一主題行進曲はとてもスローで重厚、彫りが深いです。経過句はスローながらクールに、アルマの主題は広がり大きく華やかです。珍しい提示部の反復無し! 展開部でも第一主題変奏はスローで重厚にして派手な鳴りですね。挿入部はもちろん静的なのですが、なぜか管楽器の響に煌びやかさを感じます。再現部もテンポを抑えて、コーダもスローな葬送から低重心を保ってフィニッシュします。スロー重厚で派手な鳴りがとても個性的です。
第二楽章
アンダンテですね。主要主題はややスローの優美さ、第一トリオ(副主題)は哀愁抑えめです。両主題の回帰で一部カットされている様ですね。中間部(第二トリオ)は明朗で明るい光です。山場は大きく哀愁を溢れる様に奏でてエンディングに向かいます。
第三楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章のパロディを避ける様にテンポアップです。とは言え標準的ですが、これなら第二楽章へ持ってきても良かった様な。ここでも華やかな鳴りを感じますね。(デジタル・マスタリングの影響かもしれません) トリオはテンポを落とさず、殊更に古典的にはしませんね。トリオの後の木管パートがカットされています。第二トリオとも言うべき重要パートですが…
第四楽章
個性を出しやすい序奏は陰影抑え気味、あえて個性を殺している感じさえします。しかし後半モットーからスローに転じて、提示部第一主題は 第一楽章を回想させるスロー重厚になります。パッセージもスローで、第二主題もスローの流れから逸脱しません。ここでも基本は大きな流れを作っています。展開部も行進曲も含めてスロー基本で鳴り良く、コントロールされて暴れる事はありません。再現部第一主題の再現は派手派手しいです。もちろんスローですが。コーダは元々スローなので違和感が少ないですが、ラスト一発の前の"間"が殆どありません。


提示部反復なしで中間楽章ではカットあり、第一第四楽章はスロー偏重という超個性的マーラー6です。でも流れは、大きな構えと鳴りの良さで悪くありません。シェルヘン先生と同じ様なカットはこの時代ならでは、と感じます。今では御目に掛かる事はまずありませんね。

年代の割に録音が良く、個性派を好まれる貴方にオススメの一枚です。




マルクス・シュテンツ, Markus Stenz

Gürzenich Orchester Köln
[OEHMS] 2013-11/10-12


(右はマーラー全集になります)

ドイツ人指揮者シュテンツはタングルウッドでバーンスタインや小澤征爾さんに習っていますね。シュテンツが首席指揮者(2003–2014)を努めた時代のケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、マーラー・チクルスからの第6番です。ちなみにギュルツェニヒ管はマーラーの第三番・第五番の初演を1902年と1904年に行っていますね。

第一楽章
第一主題は切れ味良く、パッセージを鎮めてアルマの主題ではやや速めの華やかさです。シャープな提示部ですね。展開部の挿入部の長閑さと前後のコントラストが良いですね。コーダの締まりも見事です。
第二楽章
アンダンテです。主要主題は緩やか優美、対比させる様に副主題(第一トリオ)は哀愁を強く感じさせますね。二回目の副主題が重く沈んだ後の中間部では大きく晴れ間を見せる流れで、上手いですね。終盤の山場は感激的です。
第三楽章
スケルツォです。主要主題は速めに力強く、時に怒涛の様です。中間部は洒落たメヌエット風にコントラスト付けですね。中間部の後の木管パートはあっさりと流していますね。全体的にはスケルツォらしさを感じさせます。
第四楽章
アクの強い序奏はアタッカの様に入り、ディナーミク主体の陰影付けです。アレグロ・エネルジコから第一主題を切れ味良く駆け抜け、パッセージと主題が絡みながら疾走。第二主題は自然に現れます。この曲の聴きどころ展開部から再現部は出し入れを見事に入れて、行進曲心地よく騎行を激しく、全体を劇的に奏します。


全体構成がスマートで、引き締まったマーラー6です。やや速めのテンポ設定とアンダンテの緩やかさのコントラストも効果的です。極端な揺さぶりも配していませんが、完成度の高い演奏になっています。

贅沢を言うとスキがなさすぎるのが落ち着きません。何か一つ個性を見せてくれるとなのですが。




ハルトムート・ヘンヒェン, Hartmut Haenchen (2録音)

(#1)
Slovenian Philharmonic Orchestra
[ZYX] 1989-3/13-16


】本CDは アントン・ナヌート(Anton Nanut)指揮/リュブリャナ放送響(Radio Symphony Orchestra Ljubljana) となっていますが間違いです。録音データ等も一切ありませんね。Kaplan Foundationによると"Incorrectly Identified"(誤認)で、本記述のヘンヒェン盤になります。
ナヌート名義は数々の幽霊が出ますのでチェックが必須ですね。ちなみにナヌートはマーラー6番の録音は残していない様です。



ヘンヒェンがスロヴェニア・フィルに客演して振ったマーラー6ですね。この時期、スロヴェニア・フィルには主席指揮者が不在だった様です。

第一楽章
第一主題はかなり速いですね。パッセージで鎮め、アルマの主題も速めで僅かなアゴーギクを振ります。締まりは良いですね。展開部も速いですが、挿入部ではキッチリとスローの幽玄さへ持って行きます。再現部は荒れた良い流れから、コーダは速いテンポで炸裂疾走です。シャキッとした気持ちよさの第一楽章です。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はやや速めで切れ味があります。トリオは優美にスロー化させて表情変化を明確にして心地良いですね。トリオに続く木管の動機はあっさりとしています。
第三楽章
主要主題は意外やスローで副主題(第一トリオ)のobも静かに現れます。'なるほど' の印象ですね。もちろん中間部(第二トリオ)では明るく広げます。ラスト前の山場は壮大ですが、ややバランスが気になります。
第四楽章
クセの強い序奏は多少のディナーミクくらい、アレグロ・エネルジコからスパートし第一主題を疾走させます。パッセージを少しスローにするのは落ち着きませんねぇ、一気に行って欲しかったです。第二主題は軽妙ですね。展開部も入りのスローは落ち着きません。その後も今ひとつマッチしないテンポ変化、ここへ来てオケの不安定さも感じてしまいますね。最後は馬脚を露わしてしまい残念な楽章になってしまいました。


前半楽章だけなら快速ベースが心地良いマーラー6です。適度な荒々しさも含めて気持ち良く、もちろんアンダンテなどはスロー静に上手く対比も作っています。
残念なのは最終楽章で、オケも含めてのアンバランスさは辛いところでしょう。





(#2)
Netherlands Philharmonic Orchestra
[LaserLight] 1991-10/8,11,12



Haenchen-Mahler6.jpg

ヘンヒェンが初代主席指揮者(1985–2002)を努めたアムステルダムを拠点とするネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団(orオランダ・フィルハーモニー管弦楽団)を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は標準的なテンポと流れになりましたね。アルマの主題も特徴は感じませんが提示部繰り返しの方が元気ですね。展開部も挿入部スローのサンドイッチ的な典型的流れに落ち着いています。コーダも含めて安定路線になっています。
第二楽章
スケルツォです。ややテンポを上げていますが、第一楽章を引きずる様な主要主題です。中間部は約束通りレベルの穏やかさで、殊更に優美でもありません。全体としては出し入れはあるのですが、何かスカッとしません。1989年の面白さの片鱗が見えるのですが残念です。
第三楽章
主要主題はスローで少し不思議なアゴーギクです。副主題(第一トリオ)も似たテンポのスローでコントラストが薄いですね。中間部ではhrの音色が美しく広がります。
第四楽章
序奏はかなり表情薄めですね。第一主題は速めにドライヴしてパッセージと絡んで進み、第二主題もお約束の軽妙さです。展開部も基本は標準的な流れになてっいて出し入れが効いた良い流れです。それにしても録音のハンディ、こもった様な、は大きいです。聴く楽しみを大きく阻害しますね。


標準的な流れで安定感がありますが、何かすっきりしないマーラー6です。スピーカーの後で鳴っている様なこもった音質が足を引っ張っているが大きな要因でしょうね。音のヌケが良ければ最終楽章はかなり良い印象が残ったと思います。

異なるCD-P、DAC、そしてヘッドフォンでも全部同じでした。とても残念です。




ウラディーミル・アシュケナージ, Vladimir Ashkenazy (2録音)

ピアニスト・指揮者として大活躍のアシュケナージですが、コンサートを含めてハズレが無い印象です。過小評価されているかもしれませんね。マーラー6は2つの録音を残しています。特徴的なのは第二楽章を入れ替えている事ですね。



(#1)
Czech Philharmonic Orchestra
[Exton] 2001-2/8,9


主席指揮者時代(1996-2003)にチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6です。チェコフィルのマーラーは良い演奏を残していますね。

第一楽章
速くて歯切れの良い第一主題からパッセージで落ち着けて、アルマの主題は優美です。展開部も導入部第一主題は速く、挿入部でテンポをゆっくりとスローに幻想的に落とします。再現部を疾走し、コーダももちろん速いです。軽快快速の第一楽章ですね。
第二楽章
スケルツォ主題は速め、適度な重厚さとシャキッと切れ味です。トリオはノンビリ牧歌的に、続く木管の動機も優美にとコントラストを付けますね。
第三楽章
主要主題は緩やかでアンダンテらしい優美さを付けて、副主題もスローを強め哀愁の色を強めます。中間部では明るい日差しを明確に表し、ラスト山場は壮大です。スロー化させながらも見晴らしの良い楽章ですね。
第四楽章
様々な動機が絡む序奏は適度なテンポ設定ですが濃厚表現です。アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は飛ばします。派手で、この流れは快感です。その後もパッセージと絡みながら緊張感を高めて、第二主題が軽快に出現します。展開部は両主題を派手に鳴らしながら、行進曲はまさに重走です。再現部も同じく第一主題回帰から騎行は怒涛の爆走でたまりませんね。パワープレイの最終楽章です。


前半は軽快快速、後半は濃厚の二面性マーラー6です。前半二楽章を聴いて清涼感と思いきや、後半は重厚な派手さで驚きます。両方とも楽しませてくれますが、怒涛の後半パターンでまとめてくれたら絶対です!

後半だけでも是非聴いて欲しいですね。





(#2)
Sydney Symphony
[Exton] 2011-3/3-5


上記チェコフィルとの10年後、シドニー交響楽団主席指揮者時代(2009-2012)のマーラー6ですね。

第一楽章
ここでも速くキレ良い第一主題で入り、パッセージを鎮めてアルマの主題は軽めの優美です。展開部第一主題は通常のテンポに近くなって、挿入部はあまりスローダウンはせずに流します。再現部からコーダはやや速めの標準的になっています。ディナーミクも付き、チェコフィルからは軽快さが引き算された第一楽章になっています。
第二楽章
アンダンテに変更です。主要主題はやはり柔らかな優美さですが、副主題(第一トリオ)の哀愁は弱めです。中間部は明るい日差しですが弱まっているでしょうか。全体のコントラストが薄まってしまった感じですね。
第三楽章
スケルツォ主題はやや速めでシャープです。トリオもやや速めであっさり風味になって、続く木管動機(第二トリオ)も同様ですね。
第四楽章
序奏は明瞭な強音主体で派手ですね。提示部第一主題はトーンを落としましたが快走し、落ち着いた流れを作って第二主題は軽妙な良い入りです。展開部導入部の二つの主題の対比も標準的に落ち着き、その後も見晴らしの良さは上がりました。再現部も同様ですね。10年前の怒涛から切れ味に、"怒涛"に未練は残りますがここでも見事な最終楽章です。


角を削ぎ落とし標準的方向修正になりましたが、その分没個性的印象のマーラー6になってしまいました。決して悪い処などないのですが…
(チェコフィルから続けて聴かなければ、違った好印象になったかもしれません)

個人的にはアシュケナージのパターンは第二楽章スケルツォの方が向いている感じがします。




ペトル・ヴロンスキー, Petr Vronský

Moravian Philharmonic Orchestra
[ArcoDiva] 2009-5/18


チェコ人指揮者ヴロンスキーが2005年より首席指揮者を務めている(と思われる)チェコのモラヴィア・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6です。

第一楽章
第一主題はやや軽め速めで、パッセージでも特異性はなくアルマの主題も速めで情感は込めません。展開部・再現部もどこか落ち着かない流れです。各主題がどうのと言った感じでは無く、演奏が全体的に怪しげで落ち着きません。速くてスカスカした感じの第一楽章です。
第二楽章
アンダンテです。主要主題は弦楽なのに揃わないのが不思議、副主題も管楽器は音が出ませんね。中間部の晴れ間もモヤッとしてます。
第三楽章
スケルツォです。主要主題は速いですが音が変です。中間部はスローですがobはミスってません?! その後、声部の合わないパートも現れます。シロフォンは着いて来れず。思わず唸ってしましますw
第四楽章
序奏は怪しげ各楽器の品評会的で凄い!!、メタメタです。ここだけ聴けば全てが理解できそうです。
これ以上インプレは必要ないでしょう。エッ、大ブラボー!!??


演奏も流れも疑問符だらけのマーラー6です。録音も各楽器間のミキシングが処々で何か変です。と言うか全部変ですね。最終楽章は究極のメタメタ、全インプレ中でも一二を争うダメ珍盤です!!

だいたいカウベル使ってません。プロのオケですよねぇ…




エミール・タバコフ, Emil Tabakov

Sofia Philharmonic Orchestra
[Capriccio] 1993-10


(CDが見つからずmp3です。CDは右の全集なら)

ブルガリアの指揮者タバコフが首席指揮者を努めた時代のソフィア・フィルを振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は速めですがややバランスが良くない感じです。アルマの主題はもったいぶった流れを作りますね。展開部は荒っぽい第一主題から挿入部スローは安全運転で徐行、hrは怪しい運転ですw 再現部は荒っぽい演奏を生かしています。コーダも荒れた演奏です。怪しげでギクシャクした第一楽章ですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章延長線上の流れで、ここでも強引な印象ですね。中間部は殊更に優美とかは無くノンビリと一休み的、そこに緩急を大きく付けて来ます。演奏の性格が現れていますね。
第三楽章
主要主題は優雅です。そこに副主題(第一トリオ)が適度に哀愁感を漂わせます。至って通常的な緩徐楽章になっているかと思いきや、副主題回帰後の山場は強力、その落差が凄い!!
第四楽章
序奏は管楽器が少し怪しげな音色を…ですが、スローベースからアレグロ・エネルジコで提示部第一主題を一気にテンポアップ。パッセージと軽快に絡むと第二主題が軽やかに爽快に現れます。上手い流れですね。展開部は華やかな流れも作り第一ハンマーに突入、得意の強引なドライブで行進曲は爆走です。再現部も落ち着いた第二主題変奏から第一主題が現れると騎行はパワー爆発、爆裂突撃します。


荒っぽくてちょっと怪しげなマーラー6です。㊟でしょうかねぇ…荒っぽく強引です。真摯なマーラーファンは拒否権発動でしょうね。

酷いといえばそうなんですが、爆裂の最終楽章など好きなパターンかもw




ジェラード・シュワルツ, Gerard Schwarz

Royal Liverpoor Philharmonic
[Artek] 2005-11/3-5


アメリカ人指揮者でトランペッター、シアトル響の創設者の一人のシュワルツ。首席指揮者最後の年(離任後)にロイヤル・リヴァプール・フィルを振ったマーラー6ですね。マーラー・チクルスからの一枚です。

第一楽章
第一主題は勇壮にパッセージも標準的に鎮めて、アルマの主題は速めのテンポで広げます。展開部の第一主題は少しテンポアップして、挿入部も適度なスロー化ですね。hrが少し窮屈ですが後半は激走します。再現部も第一主題は快速で走り抜け、今度はアルマの主題でテンポを落とします。第一楽章とは逆パターンです。
第二楽章
アンダンテです。主要主題は緩やかに穏やかに、第一トリオの副主題おなじテンポから哀愁を奏でます。中間部(第二トリオ)は晴れやかな音色をhrが出しますね。山場など処々で標準的なテンポですが、総じてスローの印象です。
第三楽章
スケルツォです。主要主題はクセのない流れです。トリオと続く木管の動機はシンプルです。主題回帰では力感が見え、その後はテンポに揺さぶりをかけていますね。
第四楽章
序奏は揺さぶります。各楽器の技量が問われますがスカッとしないのは痛いですね。提示部第一主題はテンポアップです。パッセージも速く、そこへ第二主題が軽やかに現れます。展開部・再現部は処々奇妙な揺さぶりをかけ、ディナーミクで味付けですが決まりません。ほどほどの録音も要因かもしれません。なんとコーダに1発が入りハンマー3発でした!


主題や動機のテンポ変化を付けていますが、今ひとつシャキッとしないマーラー6です。演奏も流れも録音(ダイナミックレンジ )も程々にまとまっています。その程々感が締まりの薄さに繋がっているかもしれません。




ズデニェク・マーツァル, Zdeněk Mácal

Czech Philharmonic Orchestra
[Exton] 2006-5/4,5


チェコ人指揮者マーツァルが首席指揮者(2003-2007)を務めたチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6です。

第一楽章
第一主題は飛び跳ね感の強い速めの流れ、パッセージで落ち着きますがアルマの主題も第一主題と似た速めです。展開部は挿入部も速く対比が薄いのが残念です。再現部は流れに合って勇壮、コーダももちろん速めでビシッと、ここで帳尻が合いましたね。
第二楽章
スケルツォ主題は快速に突き進み、第一楽章以上に速い流れを作ります。締まり良くこれが得意なパターンの様な感じです。トリオは優美に変化を付けていますね。
第三楽章
主要主題は優美に入り、副主題でコーラングレが哀愁美を奏でます。中間部は明るさを見せる典型の流れで、副主題回帰からの山場は大きく響き渡ります。王道のアンダンテになっていますね。
第四楽章
序奏はスローベースで意外に落ち着いて、アレグロ・エネルジコから高揚して提示部第一主題は突撃です。得意のパターンに入って来た感じですね。そうなると展開部も第二主題山場からは派手に鳴らして、行進曲から第一主題を駆けます。再現部も静的入りから第二主題で火が付き、第一主題から騎行を激走、この楽章らしい激しさのハイライトを作っていますね。


前半は少し忙しなく、後半は堂々としたマーラー6です。前半が速め設定なので落ち着かない感じがするのが残念ですが、後半二楽章は王道的で聴き応えもあり楽しめますね。




【後日追記】2020/1にリリースされたました
トマーシュ・ネトピル, Tomáš Netopil

Essener Philharmoniker
[Oehms] 2019-5/14-17


マーラーの第9番に続き、チェコの中堅指揮者ネトピルが同歌劇場の音楽監督を務めるエッセン・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6ですね。エッセン・フィルと言うと、1906年にマーラー本人の指揮でこの曲が初演された事が必ず出て来ますね。

第一楽章
第一主題はビシッと勇壮で、パッセージは淑やかにアルマの主題はスローに華やか優美ですね。濃厚な提示部になっています。展開部の第一主題も締まり良く、第二主題回帰の挿入部ではスローでシンプルにしています。再現部を激しさを増して進み、コーダを陰鬱から立ち上げて鳴らします。バランス良く隙のない教科書通りの第一楽章ですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は締まり良く、トリオはここでもスロー&シンプルです。王道なのか教科書的なのか、きっちりと作り込まれた感じです。
第三楽章
アンダンテです。主要主題は包む様な穏やかさで、第一トリオの副主題がobで哀愁を漂わせます。ほんの僅かにhrが綻びを見せますね。ミキシング修正すれば良かったのに、って言う感じです。中間部ではhr群がのびのびと音色を響かせ、第一トリオ回帰の山場は大きく鳴らします。
第四楽章
序奏はスロー揺さぶりは少なめでhrだけ少し怪しいw、アレグロ・エネルジコから第一主題は快走します。パッセージと上手く絡みながら第二主題は軽快で、王道ですね。展開部・再現部の出し入れもクセ無く安心して聴く事が出来ます。


王道的にキッチリ作り込まれたマーラー6ですね。堂々たる演奏でクセや欠点などありません。(後半楽章hrは少し修正すれば良かった気がします) その代わり情熱や個性の魅力も感じられません。

演奏だけでなく録音技術を駆使して作り込まれた感じもあり、全曲通し一発勝負のコンサートでどうなるのか興味ありますね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミヒャエル・ギーレン追悼アルバム『In memoriam』マーラー 交響曲 第6番 1971年・2013年 2録音。演奏時間も印象も大きな違いを感じますね


In memoriam Michael Gielen
本年3月に亡くなった人気指揮者ギーレン(Michael Gielen, 1927/7/20 - 2019/3/8)。今回追悼アルバム "In memoriam" が発売され、1971年と2013年のマーラー6番が収録されましたね。ギーレンの既発の2CD(1984年・1999年)より前と後、2013年は引退一年前の録音です。

オケは名称が変わりましたが、両方とも同じ南西ドイツ放送交響楽団(現:バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団)です。ギーレンが首席指揮者(1986-1999)を務めたオケですが、両録音ともその時代ではありませんね。

特徴的なのは二つ。
 1) 後年の方が演奏時間が長大になっています
 2) 2013年録音は第二楽章アンダンテに変更しています
実は他2録音も含めて年代を追うごとに演奏時間は長くなり、第二楽章は最後(2013年)にアンダンテに変更しています。4録音全体のインプレは以下にアップしています。

▶️ マーラー交響曲第6番:70CD 聴き比べ






マーラー 交響曲 第6番


 



1971 3/12-14 at Hans-Rosbaud-Studio, Baden-Baden

第一楽章
速め切れ味の第一主題は緊迫感漲りますね。パッセージも速めでアルマの主題もアゴーギクはありますが速いです。展開部は第一主題は強烈に、挿入部ではスローで長閑さを付けて コントラストを上手く見せています。再現部の第一主題は一層の迫力快走で走り抜け第二主題は緩やかに、コーダはディナーミクによるメリハリを付けて〆ます。

第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章同様締まりが強く、延長線上イメージです。もちろん速さの流れで、トリオでアゴーギクを効かせたスローでコントラストを付けるギーレンらしい構成ですね。最後の主題回帰は狂気を感じる様な切れ味です。

第三楽章
主要主題は穏やかに流れよく、副主題(第一トリオ)は少しスロー化して哀愁を見せますね。中間部(第二トリオ)は広がりを大きく鳴らし平穏な印象を着けてきますね。全体としてギーレンとしては揺さぶりのない淡白な緩徐楽章になっています。ラスト前の山場は強烈に盛上げますが。

第四楽章
渦巻く長い序奏は明瞭さを感じます。提示部第一主題は切れ味良い流れを上手く作ります。テンポ設定はやや速いですが標準的ですね。パッセージも切れ味の良さで、第二主題を軽快に作ります。締まり良い提示部です。展開部はディナーミクを効かせて派手気味にメリハリを作ります。この辺りは作り込まれたスタジオ録音を感じますね。アゴーギクも振った速い再現部も同様で見事に "聴かせる" 構成を感じます。その見事さに少々腰が引けますがw


快速切れ味のマーラー6ですね。緩徐パートのアゴーギク&スロー対比、ビシッと締まりのある流れ、ギーレンらしい印象の演奏かもしれませんね。アンダンテは山場以外今ひとつの感ですが。

スタジオ録音で作り込まれていて、デジタル・マスタリングで音も悪くありませんね。この年代のマーラーとして完成度は高いのではないでしょうか。





2013 8/21 at Großes Festspielhaus, Salzburg [LIVE]

第一楽章
第一主題行進曲はグッとスローになりますがメリハリは良く付いて、パッセージは落ち着きを払っています。アルマの主題はスローの中にも緩やかながらアゴーギクを効かせます。提示部は"繰り返し"の方が気持ち速めに感じますね。展開部の挿入部は元々スローなので流石に極端には落としていませんが、その中に各楽器の音色を生かしているので空間を感じる流れです。再現部も鳴りの良さが朗々としていますね。

第二楽章
アンダンテですね。主要主題は緩やかに、副主題(第一トリオ)は哀愁感を強く感じます。中間部(第二トリオ)では伸びやかな広がりがあります。スローが生きた大きく美しい緩徐楽章になっていますね。

第三楽章
主要主題は大きなスローですが締まり良く、第一楽章の印象を残していますね。トリオはスロー穏やかに、落差はあまり付けませんが回帰するとアゴーギクを振って来ます。ギーレンらしさを感じる少ないパートかもしれません。

第四楽章
序奏は大きなスローベースの陰影付けです。提示部第一主題はスローで大きい流れを作り、パッセージも広がり良く、第二主題をその中に置く感じです。展開部も大きくスローで、このパートにありがちなせっかちな緊迫感・迫力と言った流れよりも、"大きな見晴らし"の様な印象を受けますね。行進曲もスロー低重心で悠然とした新しい世界です。再現部はやや旧来的な流れを取り戻してパワープレイ的な要素も見られます。コーダは大きなスローからの一撃で、ラストのピチカートも生きました。
オーディエンスは大ブラボー・大喝采です!!


大きなスローで通した、ゆったり泰然自若のマーラー6ですね。もちろん各パートには締まりもコントラストもありますが、細かな表情よりも広大・雄大な音の広がりを強く感じます。

これは今までに聴いた経験のない新しいマーラー6を感じます。




緊迫と切れ味の1971年から、大きく広がりの2013年へ。ギーレンの42年の変移は印象的ですね。大きく性格の異なるマーラー6で、個人的には構えの大きな2013に一票です

年代も大きく違う二つの録音ですが、マスタリングで音の違和感を上手く消していますね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





大人の味付けを感じる端正さ、ブロムシュテット / バンベルク響の『マーラー 交響曲 第9番』


ヘルベルト・ブロムシュテット, Herbert Blomstedt
(バンベルク交響楽団, Bamberger Symphoniker)
このブログではマーラー9番は守備範囲なので作曲者と楽曲紹介は割愛です。
今回リリースされたのはスウェーデン人指揮者(米生まれですが)のブロムシュテットが名誉指揮者を務めるバンベルク響を昨年2018年6月に振った新しい録音ですね。ブロムシュテットはマーラーをそれほど多く残して無いので、91歳の貴重な録音になるかもしれませんね。

近いうちに「マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 100CD」にも追加記述する予定です。






第一楽章
緩やか穏やかな第一主題から陰に籠る様な第二主題へと流れ、山場から提示部反復、第三主題を盛り上げるのは基本的ですね。展開部前半の隠な流れから中後半の出し入れの強いパートも上手く陰影を付けますが安定的で、この楽章の印象は落ち着いた感じです。


第二楽章
主要主題は二つの動機を対比的に紳士的、第一トリオはレントラーらしく優美で、流れは緩やか主体です。第二トリオでは更に落ち着きを増した感じです。主要主題の回帰からも然程暴れませんね。


第三楽章
主要主題は適度な抑揚とテンポ、副主題(第一トリオ)も決して慌てません。レハールの引用も穏やかに流れて、中間部(第二トリオ)は格別に変化を強調していません。ラストも真面目に荒れていますw。この二つの中間楽章の落ち着きが曲全体を印象付けているかもしれませんね。


第四楽章
主要主題は感情移入は薄く端正です。第一エピソードは入りから終盤のターン音型を思わせる静けさです。ブロムシュテットの計算を感じますね。第二エピソードの山場は初めて情感強くまとめます。もちろん後半からコーダは計算通りにターン音型を鎮めて消え入ります。上手い構成感を感じました。



落ち着き払った大人の(?)マーラー9ですね。アゴーギクによる揺さぶりや感情移入を廃して、端正な几帳面さを感じます。"座して心穏やかにお抹茶をいただく"、といった風でしょうか。中間楽章のテンポ設定が緩やかなのも影響しているかもしれません。

日本でも人気のブロムシュテットらしいマーラー9番でしょうか。一度聴いて欲しいですね





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ジャンル : 音楽





美しささえ感じるフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエクルの マーラー 交響詩『巨人』[ハンブルク1893-94 ワイマール稿] 交響曲 第1番 (旧稿)


Mahler : Titan Eine Tondichtung in Symphonieform
(Hamburg / Weimar 1893-94 version)
マーラー1番の旧稿と言うと、第一稿(ブタペスト稿)は残っていないので第二稿になりますね。とは言え知っている事はコンサート等で付記される■"花の章"がある二部五楽章構成、■交響曲ではなく「交響曲様式による交響詩 (独語は上記)」になっている事、■各楽章に表題がある、という位の認識しかありません。実際には1889年初演後、二回演奏機会があった第二稿は1893年のハンブルク(稿)と1894年のヴァイマール(稿)でも違いがあるそうです。
その後1896年の第三稿(ベルリン稿→マーラー協会全集版)が現在の標準で、全ての表題と第二楽章"花の章"が削除され四楽章の「交響曲 第一番」となった訳ですね。(なぜかCD等には"巨人, Titan"が記されますがw)

このブログではマーラーの5, 6, 9番を中心にインプレをしていますが、第1番はあまり聴きません。第二稿と言われて頭に浮かぶのはマーラーではお馴染みのウィン・モリス盤くらいですね。

今回はフランソワ=グザヴィエ・ロト(Francois-Xavier Roth)の指揮で、レ・シエクル(Les Siecls)という事で入手してみました。







第一部:青春の日々から】
第一楽章 終わりなき春
序奏カッコウの動機は余韻を持たせ、本稿ではhrになるファンファーレは抑えながら響きがいいですね。第一主題は透明感強く、第二主題は寄り添う様に現れます。ちなみに本稿では提示部反復はありません。展開部は透明感のある暗さから、遠くから聞こえるhrで明るさが呼び起こされ緩やかに晴れ渡ります。黒雲の様な山場から再現部(コーダ)では落ち着きながら華やかです。

第二楽章 花の章
主部はスローに緩やかに変奏を沈めて、中間部の哀愁感は弱めですね。主部の再現では明るい色付けをしますが、やっぱり"花の章"は中途半端な感が拭えない気がします。

第三楽章 帆をいっぱいに張って
第三稿ではその表記が削除されたスケルツォですね。スケルツォ主題は明瞭に、転調変奏はディナーミクを効かせます。中間部はレントラーというよりも甘美なメヌエット風に感じますね。ラストは豪華絢爛風です。


第二部:人間喜劇】
第四楽章 座礁して
お馴染み"グーチョキパーで何作ろう"短調ver.の主要主題はpよりもppからのクレシェンドに感じますね。暗さほどほどで透明感と明瞭さです。obパートも表情変化は薄めです。中間部も変化は薄めに美しさを奏でます。主部回帰はもっとメリハリがあっても良い気がしますね。

第五楽章 地獄から楽園へ
第一主題は伸びよく明瞭に、中間部(トリオ)の様な第二主題はスローなvnの流れが生きています。展開部では激しさを鳴りの良さで表現しますが途中で息切れ風に感じますね。再現部も表情変化の多さがあるので鳴りの良さは感じますがスローパートがフラットです。va動機からは刺激の適度なアゴーギクのスパイスが効いてコーダまで良い流れです。この再現部後半が白眉ですね。



全体的に美しい流れが印象的なマーラー1番です。少しフラットに感じてしまうかもしれませんが、鳴りの良い華麗な美しいさが強調されたこのアプローチもありでしょうね。

もう少しアゴーギクを生かしてテンポ変化があったらもっと楽しめたかもしれません。最終楽章再現部後半の流れは力強さもありますね。(そういう曲ではありますが)





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アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団で聴くマーラー『大地の歌, Das Lied von der Erde』


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860-1911)
今回はハンガリー人指揮者アダム・フィッシャー(Ádám Fischer)がデュッセルドルフ交響楽団(Düsseldorf Symphony Orchestra)を振った昨年(2018年)の録音になります。フィッシャーのマーラーと言えば最近は弟のイヴァン・フィッシャーのも気になりますね。

『大地の歌』については昨年サイモン・ラトル/バイエルン放送響が発売された際に、カラヤンとバーンスタインとの聴き比べでインプレしています。▶️ インプレです。

アルトはアンナ・ラーション(Anna Larsson)、テノールはスチュアート・スケルトン(Stuart Skelton)で、E.ガードナー指揮「グレの歌」でも二人で採用されいます。またS.スケルトンは前回インプレのラトル盤に、ラーションはこのセットのマーラー交響曲第3番でも採用されていて脂ののった二人という事になるでしょうか。

「大地の歌」流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。


アダム・フィッシャー / デュッセルドルフ交響楽団
[アルト] アンナ・ラーション [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
ペザンテの印象よりも少し調性を怪しくした様な流れを感じますね。スケルトンのテノールも朗々としてはいますが、ネガティヴな印象です。朗々堂々というより陰を感じます。


第二楽章「秋に寂しき者」
陰鬱さを感じるオケとアルトの流れは不可思議な流れの緩徐楽章です。薄く繊細な流れを軸にここでも調性の揺らぎの様な流れを感じますね。再現部では少し明るい光が射します。


第三楽章「青春について」
スケルツォですね。オケもテノールも流れのよさを感じさせてくれます。中間部の陰付けでは一呼吸的です。


第四楽章「美について」
アルトなので当然ですが、落ち着いたトーンで歌うラーションの乙女。それに合わせるオケの主要主題パートは洒脱さです。中間部の馬で駆ける若者との対比は歌曲らしい適度なコントラストで安定的ですね。


第五楽章「春に酔える者」
ここでも流れはクールです。アゴーギクでテンポ変化させたくなる処を落ち着いたタクトでコントロールしています。従って中間部(展開部?)でも変化は少なめで、コントラストが強い流れとは一味違いますね。


第六楽章「告別」
提示部のアルトの伸びとフルートは印象的で流れにモード的な和声さえ感じます。フラットに感じるかもしれませんがラーションの表現力が素晴らしいですね。オケ・パートの展開部ではスローな中に抑えたアゴーギクで陰のある表情を作り、再現部はより提示部回帰的に感じます。ラーションがいいですね



クールな『大地の歌」です。時に調性を薄く感じさせる様な流れも見せながら、アゴーギク・ディナーミク共に抑えて全体的には落ち着いていますね。
スケルトンはヘルデン・テノール風に、ラーションは深みのある表現で素晴らしいですが、曲としてはオケと指揮者の個性が印象的かもしれません。

出し入れが強いパターンがお好きな方も、一度聴いてもらいたい感じですね。





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シルヴァン・カンブルラン/読響 のAltus新譜『マーラー 交響曲 第9番』を聴く


シルヴァン・カンブルラン Sylvain Cambreling
(読売日本交響楽団, Yomiuri Nippon Symphony Orchestra)
先月をもって読響の首席指揮者を退いたカンブルラン。昨年2018年4月20日のサントリーホールでのLive盤が発売されましたね。このコンサートは行ってきました。▶️ インプレです

正直なところそれほどの演奏では無かった気がしたのは私だけではなかった様でしたが、ミキシングとマスタリングの処理で録音(CD)ではどうなっているでしょう。極端なエラー以外はかなり調整幅はあるので気になりますね。(演奏エラーでさえ調整している事もある様ですが…)
本CDは4月発売でしたが、3月のカンブルランのコンサート会場では先行発売されていましたね。






第一楽章
序奏の管楽器が怪しげ、第一主題・第二主題もやや重めの流れで後半から反復で緊迫感を上げ第三主題で盛り上げますが、あまり特徴的ではありません。まとまりも今ひとつで、展開部も管楽器が冴えません。楽章全体の流れはスローをベースに陰鬱重めで悪くはないのですが。


第二楽章
主要主題は締まりよく、第一トリオは弾む様に、第二トリオでも管楽器が怪しい音を出しますねぇ。ややギクシャク気味で流れも個性に欠けますね。


第三楽章
主要主題はスローぎみで揃いが悪くもっさりとした感じで管楽器は怪しげ、副主題も同様です。驚きは中間部でテンポも落とさずスルッと通り抜けてしまいます。ただラストは荒れ気味なのが生きて激しさが決まりました。


第四楽章
主要主題は濃厚で暑苦しいアダージョ、第一エピソードは入りの低弦も怪しげw それ以外はスローパートは落ち着いています。山場が濃いめで疲れますが。第二エピソードは山場をガッツリ盛上げます。後半からはターン音型で鎮めてコーダへ向かいますが、ここは弦楽パートなので曲調通りですね。



なぜか落ち着かないマーラー9です。管楽器の怪しさ、ギクシャクした流れ、そういったものが強く感じられるにも関わらず一切遠慮のない演奏です。それが良さを見せるパートもあるのですが、全体としては一体感を感じられません。練習不足?!って言うこともないでしょうが、かなり残念な一枚になってしまいました

これが狙いならレアといえばレア(笑) コンサートの印象とほぼ変わらない結果でした。そう言えばカンブルランのコンサートで好みのマーラーに当たった事がありません。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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