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『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» ジョアナ・カルネイロ指揮 / BBCフィルハーモニック 2019年10月26日


ジョアナ・カルネイロ, Joana Carneiro
(BBCフィルハーモニック, BBC Philharmonic)
ポルトガル人女性指揮者のカルネイロが、BBCフィルを客演で振ったマーラー5ですね。初めて聴くカルネイロですがさてどうでしょうか。BBC Radio 3ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (2019-12/5まで配信されますね)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(Live at Leeds Town Hall, 26 Oct 2019)

26oct2019jaonacarneiroMahler5.jpg
(写真はチェリストのLaura van der Heijdenです)


第一部
葬送行進曲は抑え気味でクールにファンファーレと対比付けをしています。第一トリオは適度な激しさとテンポアップで正攻法ですね。第二トリオでも適度な哀愁感です。第二楽章は第一楽章の延長線上を示す様に二つの主題を作りますね。展開部のチェロパートは極端に鎮めたスローで上手いコントラスト付けです。輪郭線のある第一部です。

第二部
スケルツォ主題とレントラー主題は、それぞれ華やかさと優美さで この楽章らしさを出しています。第三主題部でもクセはありませんね。再現部は各主題をより明瞭にしながら色合い濃く展開し、コーダは走ってピシッと締めます。

第三部
アダージェットの主要主題は感情移入を抑えて鎮め、トリオは繊細さを聴かせてくれました。第五楽章第一・第二主題の絡みからコデッタは軽快で心地良いですね。展開部は力感を増しながら山場を派手に作ります。再現部は出し入れを見せた流れから山場、そしてコーダへなだれ込みます。ラストはアッチェレランドからキレよくフィニッシュします。


適度なコントラストに正攻法の流れ、でも何かスパイスが欲しいマーラー5です。アゴーギクとディナーミクの振りが山場だけなのが要因かもしれませんね。その分安心して聴けたのも事実ですが、やや没個性の感も残りました。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





佐渡裕 / トーンキュンストラー管弦楽団 の『マーラー 交響曲 第5番』は、速めでクールな感じですね


佐渡裕 Yutaka Sado
(トーンキュンストラー管弦楽団, Tonkünstler-Orchester)
2015年から佐渡さんが首席指揮者を務める、ウィーンのトーンキュンストラー管を振ったマーラー5番です。佐渡さんのマーラー5はもう一枚、個性が光る2001年のシュツットガルト放送響がありますね。




マーラー 交響曲 第5番
(2019年3月16日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー)



第一部
葬送行進曲のテンポはやや速めに、そして切れ味を感じます。第一トリオでは流れに乗って速めに進みますが、コントラストはほどほどですね。第二トリオも速めで哀愁感はクールです。第二楽章第一主題は速いです。第二主題では適度なテンポ設定の哀愁に感じますが気持ち速めでしょうか。キレはありますが速い流れの第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題はやや重め、レントラー主題は優しくでも気持ち速め、第三主題も殊更には鎮めませんね。展開部・再現部では"間"をとっていて安心して聴ける良い流れになっていますね。個性は薄いですが。

第三部
アダージェットはやや暖色系で標準的なテンポからスローへ、トリオもクールです。第五楽章第一・第二主題の絡みは速めのテンポで軽快に登り、コデッタも流れに沿っていますね。展開部は興奮を避けながら山場を作り、再現部は切れ味を増して山場からコーダは華やかに鳴らしました。大ブラボーですね。



個々の楽章や各主題はきっちりと仕上げて、全体としてはクールなマーラー5です。やや速めの設定がそう感じさせるのかもしれませんね。

シュツットガルト放送響と比べると個性派からクール派に、といった感じでしょうか。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» アルペシュ・チャウハン指揮 / BBCスコティッシュ響 2019年9月26日


アルペシュ・チャウハン, Alpesh Chauhan
(BBCスコティッシュ交響楽団, BBC Scottish Symphony Orchestra)
バーミンガム生まれ29歳(b.1990)の若手指揮者で、2017年からアルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団(Filarmonica Arturo Toscanini)の首席指揮者に就任したそうです。今回はBBC-SSOを振ったマーラー5ですね。お馴染み "BBC Radio 3" ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (2019-10/24まで配信されますね)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(26 Sep. 2019 at Grand Hall)

26Sep2019AlpeshChauhan_BBCSSO-mahler5.jpg


第一部
tpのファンファーレに揺らぎを入れてますね。葬送行進曲は特に個性はありません。第一トリオでも適度なテンポアップと激しさです。何か楽器にフライングがありましたが。第二トリオも教科書的な流れを堅持しますね。第二楽章第一主題は激しさを速めに上手く建てて、第二主題の哀愁に繋げています。展開部もきっちりとした流れからvcの暗い音色を生かし、再現部の山場をまとまり良く作りますね。多少のアゴーギクはありますがクセの少ない第一部です。

第二部
スケルツォ主題はやや速めでシャキッと、弦楽奏のレントラー主題は少し揺さぶりを入れています。第三主題のhrは堂々と鳴らして、弦のピチカートはスローに落とします。その後の流れも力が入った印象で、この楽章特有の優美さが欠けるのが少し残念でしょうか。

第三部
第四楽章主要主題は暖色系の甘美さです。トリオの入りでは澄んだ音色を聴かせてくれますが総じて濃厚なアダージェットです。第五楽章第一・第二主題の絡みは程良いテンポ設定で安定しています。コデッタも大きく奏でていますね。展開部も優美さとパワーの流れ良く組立てて山場を作り、再現部も締まりの良い流れからラストを忠実に盛上げてくれます。フィニッシュのアッチェレランドはビシッと走ります。嬉しい最終楽章ですね。大喝采です。


安定感のあるクセの少ないマーラー5です。演奏のバランスも悪くありません。ただ、若手指揮者に期待した+αはありませんね。多少のアゴーギクがあり処々走りますが、そのくらいですね。

特筆はないのですがコンサートで実際に出会ったら嬉しい演奏、そんな感じです。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





CD化熱望の見事な『マーラー 交響曲 第6番』 «ネット配信» リッカルド・シャイー / ルツェルン祝祭管弦楽団 2019年8月24日


リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly
(ルツェルン祝祭管, Lucerne Festival Orchestra)
アバドの跡を継いで2016年からルツェルン祝祭管の音楽監督を務める人気のシャイーが、今年のルツェルン・サマーフェスで振ったマーラー6です。スイス"RTS Radio"(Radio Télévision Suisse)のウェブサイトからの配信ですね。

▶️ こちら (配信は2019/10/17まで。名演ですので是非!!)




マーラー 交響曲 第6番 «ネット配信»
(24 Aug. 2019 at KKL Luzern, Concert Hall)

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第一楽章
第一主題はリズムを明確にシャープで勇壮、パッセージは緩やかに大きく変化させてアルマの主題を優美に奏でます。とても心地よい流れです。展開部は激しく入って挿入部をスローで見事な透明感ある気配を作ります。再現部は重厚さを増して突進、コーダではコントラストを付けて荒っぽさも見せます。見事な第一楽章です!

第二楽章
アンダンテですね。主要主題はスロー優美、わずかにアゴーギクを入れています。副主題(第一トリオ)のobも哀愁漂わせグッと来ます。大きく盛上げてから中間部(第二トリオ)で広がる明るい日差しを奏でます。山場からラストの広がりは見事で、ストーリーを感じる素晴らしさです。

第三楽章
主要主題は速いテンポで緊張感を与えています。第一楽章の雰囲気再現ではありませんね。その締まりのあるシャープな流れからトリオはメヌエット風の色付けでチェンジペースします。古典というよりピシッとした感がありますが。ピシッと締まった楽章になっています。

第四楽章
序奏の大きな揺さぶりはスローベースに抑え気味、アレグロ・エネルジコから第一主題を勇壮に派手に鳴らします。その流れに乗ったパッセージから、第二主題を軽やかにつなげます。この曲の聴かせ処の展開部は明瞭なコントラスト付(アゴーギク&ディナーミク)で雄大に聴かせてくれます。荒れる行進曲など鳥肌モノです!! 再現部も同様で、第一主題回帰から騎行は派手で激走してくれます。最高ですね。コーダになると「もう終わりか…」という気分です。

タクトが下りて暫くオーディエンスは静まり、その後 大喝采と湧き上がるブラボーです。ゾクゾクする様な見事な最終楽章でした。


王道基本ながら色付けが上手く堂々見事なマーラー6です。隠し味のアゴーギクが絶妙です。指揮者と一体の演奏も見事で破綻の影さえもありません。録音もよく、完成度の高さに寄与していますね。

CD化を熱望しますね。これだけ素晴らしいマーラー6番もそうそうありません。(唯一残念なのは一発目のハンマーの音だけが小さい事ですが、二発目OKなのでミキシングの問題でしょう)



CDではないので「マーラー第6番聴き比べ:70CD」にアップ出来ないのが残念です。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» ダニエレ・ガッティ / シュターツカペレ・ドレスデン 2019年9月17日


ダニエレ・ガッティ, Daniele Gatti
シュターツカペレ・ドレスデン, Staatskapelle Dresden
2018年からローマ歌劇場の音楽監督を務めるガッティが、シュターツカペレ・ドレスデンを客演で振ったマーラー5ですね。ガッティはコンセルトヘボウでのスキャンダルが残念でしたが。MDR中部ドイツ放送ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (賞味期限は短いと思いますので、お早めに)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(17 sep. 2019 LIVE aus der Semperoper Dresden)

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第一部
葬送行進曲は緩やか、そこにアゴーギクを加えています。第一トリオも基本スローで激しさは避けて律儀な感じですね。回帰する葬送行進曲は更にスロー化して、第二トリオは美しい哀愁を奏でています。第二楽章第一主題はテンポは普通ですが揺さぶりの激しさは適度に、第二主題も第一楽章第二トリオの様に美しい哀愁ですね。展開部vcのパートはスロー静を強調、再現部の山場は不思議な揺さぶりで荒れて面白いです。

第二部
スケルツォ主題は穏やかに入りテンポアップしますが、hrが少し怪しげですw こうなるとまとまりが良くありません。レントラー主題は緩い揺さぶりが印象的ですが微妙なニュアンスかも。第三主題部もtp, hrが怪しく落ち着ません。展開部から再現部にかけても強音パートではテンポアップで激しさを付けて面白いのですが、演奏が持ち堪えてくれない感じです。ラストの激走も凄いです。

第三部
アダージェットでもアゴーギクを振ってきます。トリオでも揺さぶりをしっかり付けていますね。珍しいです。第五楽章の第一・第二主題の絡みは速めですが演奏に一体感が薄いです。コデッタは緩やか優美にまとめます。展開部も怪しげな管楽器が気になりながら進んでコデッタで大きくテンポを落とす変化球。山場は再現部も合わせて激走、コーダはスローから怒涛です。面白い再現部です!


スローベースに微妙な(奇妙な?)揺さぶりの個性派マーラー5です。その緩急揺さぶりがしっくり来ないのが残念です。原因の一つはオケの管楽器(tp, hr, 他)がイマイチだからかもしれません。

なんだか昨日のヴァイグレ/読響のコンサートと似た問題点の様な…w


CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」には含めません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» クリスティアン・バスケス指揮 トゥルク・フィルハーモニー 2019年9月6日


クリスティアン・バスケス 指揮
トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
ベネズエラの"エル・システマ"出身、注目の若手指揮者バスケス(Christian Vasquez, 35歳)が フィンランドのトゥルク・フィル(Turku Philharmonic Orchestra)を振ったマーラー5です。ちなみにトゥルク・フィルの現首席指揮者は北欧の怪人レイフ・セイゲルスタムですね。
同オケのオフィシャル・ウェブサイト"TFO Live"からの映像付き配信です。

▶️ こちら (賞味期限は短いでしょうから、お早めに)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(6.sep.2019 at Turku Concert Hall)

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第一部
葬送行進曲は落ち着いていますね。殊更な重厚はなく悠々としています。第一トリオでも適度な緊張に刺激のスパイスを入れてきますね。第二トリオは静的で哀愁の良い流れで、構成上も上手い感じです。第二楽章第一主題も切れ味良くシャープで、第二主題(一楽章二トリオ)もコントラストの良い哀愁感です。展開部は両主題、vcのスローパート、共にバランス良く表情作りされていますね再現部もクセのない堂々とした流れで続きます。落ち着きがあって姿勢の良い第一部です。

第二部
この楽章を代表するスケルツォ主題は優雅に、レントラー主題は緩やかに美しく、両者王道です。第三主題はオブリガートホルンも活躍して流れに締まりを付けています。vaのピチカート第一音が外しますがw 展開部から再現部で少々演奏が落ち着かなくなるのが残念です。

第三部
スロー静美なアダージェットで、最近はこの傾向が多いでしょうね。第五楽章提示部の第一・第二主題の絡みは締まりがありますね。コデッタでもその流れを継続します。展開部はややバランスを崩す事もありますが、山場は大きく作ります。再現部も似た流れですが、山場からラストは抑えたテンポ、そこからアッチェレランドです。この楽章後半に締まりが薄いのは残念です。
オーディエンスの反応はボチボチ、ブラボーは飛びませんね。


クセはないのですが、やや締まりに欠けるマーラー5です。トゥルク・フィルも頑張っていますが、第三楽章の間延び感や第五楽章のバランス崩れは残念です。

第一楽章は素晴らしいので、その緊張感が続けば素晴らしかったと思いました。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





大野和士 / バルセロナ交響楽団 の「マーラー 交響曲 第5番」は…… 都響で聴きたいかも、ですね


大野和士 Kazushi Ono
Barcelona Symphony and Catalonia National Orchestra
2018-sept. rec.
大野さんが得意としそうなイメージですが、何故かあまりピンときませんね。録音は1996年に常任指揮者時代のザグレブ・フィルと残している様ですが。今回のリリースは2015年から音楽監督を務めるカタルーニャ国立バルセロナ響を振ったマーラー5です。(都響の音楽監督も同年からですね)
同楽団は二代前に大植英次さんが音楽監督(2006-2010)を務めていました。

マーラー 第5番 名盤珍盤 175CD 聴き比べ」にも追記予定です。






第一部
葬送行進曲は抑えを効かせて進み緩いアゴーギクで揺さぶりファンファーレを鳴らします。第一トリオの入りは不思議なリズム感を感じます。第二トリオでは繊細な哀愁からピークを奏でます。でも何かスッキリしません。
第二楽章第一主題は激しさそこそこ、第二主題で哀愁に落とします。展開部の第一主題や第二主題vcもどこか抜けの悪さがあります。再現部もテンポ設定にもっさり感がありますね。今ひとつスカッとしない第一部です。


第二部
スケルツォ主題はhrをメインに演奏の揃いが今ひとつに感じます。レントラー主題は弦楽器主体パートは普通ですが。続く主題変奏から第三主題も流れにまとまりが感じられません。展開部・再現部も同じですね。コーダも〆のhrが…


第三部
緩やかな暖色系の流れから山場も適度に、中間部は透明感ある流れを作ります。やや間延び感はありますが、クールで澄んだアダージェットですね。最終楽章、絡む第一・第二の二つの流れが落ち着きません。展開部から再現部も同様ですが山場は高らかに鳴らし挽回、コーダも大野さん好みに炸裂してアッチェレランドで駆け抜けました。最後の帳尻合わせは見事でした!



ラストは見事、でも演奏の見晴らしの良くないマーラー5です。流れにスカッとした抜けの良さがありません。指揮者のタクトにオケはいっぱいいっぱいの感じでした。ラストを上手く締めて印象挽回ですが。

こうなると、マーラーを得意とする都響との5番を大野さんに期待せずに要られませんね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 70CDを聴き比べてみました [#4 / CD:61-70]

今年(2019年)逝去したギーレン追悼アルバムが出たのを機に、大植さんとボンガルツの超個性派2CDも含めて10CDほど聴いてみました。これで70CDになりますね。まだまだストックが…


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 #4回 70CD
 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x2 ★☆], アバド[x4 ★☆], カラヤン[x2 (★)☆], ハイティンク[x2 ★], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2 ☆], プレートル[㊟], ワールト
 #2:20CD
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x2 ☆], P.ヤルヴィ[☆], N.ヤルヴィ[x2 ㊟], ジークハルト, セーゲルスタム, パッパーノ, ザンダー, ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット[☆], J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:20CD
テンシュテット[x4 ☆], シャイー[x2], ヤンソンス[x2], MTトーマス, ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟], スヴェトラーノフ[x2 ㊟], セル[x2], バルシャイ, 井上喜惟, 山田和樹, クルレンツィス[★]
 #4:10CD 本投稿
ギーレン[x3 ☆], シノーポリ, メータ, サロネン[☆], サラステ, ヤング, 大植英次[㊟], ボンガルツ[㊟]


ミヒャエル・ギーレン, Michael Gielen (4録音 3CD)

本年3月8日に亡くなった 緩急が個性的な人気指揮者ギーレン。今回追悼アルバム "In memoriam" が発売され、1971年と2013年の録音が収録されましたね。既発の2CDと合わせて4録音(3CD)を聴いてみようと思います。

特徴的なのは第二楽章をスケルツォからアンダンテへ入替(2013年)、そして演奏時間の長大化という明確な変化ですね。

ちなみに2013年録音は、最遅と言われたシノーポリ(約93')より更に遅いです。また第二楽章を途中で入替えて録音を残しているのは他にもアバドやバルビローリがいますね。

[演奏時間]    [一楽章] [二楽章] [三楽章] [四楽章] [トータル]
(#1)1971年 21'04" - 12'02" - 13'15" - 27'36"  約 74'
(#2)1984年 23'04" - 13'24" - 13'03" - 29'30"  約 79'
(#3)1999年 24'54" - 14'31" - 14'46" - 30'40"  約 85'
(#4)2013年 27'45" - 16'09" - 15'31" - 34'40"  約 94'

注:第二楽章はスケルツォです。2013年録音は第二楽章(アダージョ)と第三楽章(スケルツォ)の時間を入れ替えています。



(#1)
Southwest German Radio Symphony Orchestra
[SWR Classic] 1971-3/12-14


首席指揮者(1986-1999)就任の15年前、44歳のギーレンが南西ドイツ放送交響楽団(現:バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団)を振ったマーラー6ですね。今回発売になった一番古い録音です。

第一楽章
速め切れ味の第一主題は緊迫感漲りますね。パッセージも速めでアルマの主題もアゴーギクはありますが速いです。展開部は第一主題は強烈に、挿入部ではスローで長閑さを付けて コントラストを上手く見せています。再現部の第一主題は一層の迫力快走で走り抜け第二主題は緩やかに、コーダはディナーミクによるメリハリを付けて〆ます。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章同様締まりが強く、延長線上イメージです。もちろん速さの流れで、トリオでアゴーギクを効かせたスローでコントラストを付けるギーレンらしい構成ですね。最後の主題回帰は狂気を感じる様な切れ味です。
第三楽章
主要主題は穏やかに流れよく、副主題(第一トリオ)は少しスロー化して哀愁を見せますね。中間部(第二トリオ)は広がりを大きく鳴らし平穏な印象を着けてきますね。全体としてギーレンとしては揺さぶりのない淡白な緩徐楽章になっています。ラスト前の山場は強烈に盛上げますが。
第四楽章
渦巻く長い序奏は明瞭さを感じます。提示部第一主題は切れ味良い流れを上手く作ります。テンポ設定はやや速いですが標準的ですね。パッセージも切れ味の良さで、第二主題を軽快に作ります。締まり良い提示部です。展開部はディナーミクを効かせて派手気味にメリハリを作ります。この辺りは作り込まれたスタジオ録音を感じますね。アゴーギクも振った速い再現部も同様で見事に "聴かせる" 構成を感じます。その見事さに少々腰が引けますがw


快速切れ味のマーラー6ですね。緩徐パートのアゴーギク&スロー対比、ビシッと締まりのある流れ、ギーレンらしい印象の演奏かもしれませんね。アンダンテは山場以外今ひとつの感ですが。

途中カットもある様なこの年代のマーラーとして完成度は高いのではないでしょうか。デジタル・マスタリングで音も悪くありませんね。





(#2)
Radio Symphonie Orchester Berlin
[Altus] 1984-9/5,6


ベルリン放送交響楽団(現:ベルリン・ドイツ交響楽団, DSO)を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
やや速め力感の第一主題は、アゴーギクで緩やかな揺さぶりを感じますね。パッセージは標準的に落ち着けて、アルマの主題を情感豊かに奏でます。展開部は挿入部を鎮めますが、提示部同様に王道的な流れになっていますね。再現部も同じ印象を受けます。テンポ設定は気持ち速め、流れはギーレンらしい微妙なアゴーギクと厳しい切れ味を感じます。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は少しスローに入り第一楽章との類似性を抑えた感じです。(第一楽章ラストをテンポアップしています) トリオはややテンポを落として優美です。ここでもビシッとしたコントラストが見事です。
第三楽章
主要主題はやや速めで弱いディナーミク、副主題は哀愁の音色を木管に与えます。中間部は自然な流れから広がりを見せ、ラスト前の山場は激情的です。全体濃いめの色付けを感じますね。
第四楽章
アゴーギクでタメを作る序奏からアレグロ・エネルジコ、提示部第一主題は鳴り良く走ります。パッセージもシャープに続き、第二主題で見事に軽快感を見せますね。その後はアゴーギクでコントラストを着けて展開部に入ります。主題の入替をギーレンらしいアゴーギクとディナーミクで怒涛のパワープレイ、そのまま再現部になだれ込みコーダへと突き進みます。聴き疲れするほどの力感ですね。


気持ち速めの濃厚なマーラー6ですね。もちろんギーレンですから隙は無く、得意のアゴーギクにパワーと切れ味があります。聴き応えは十分。1971年よりも主流派的に感じますね。堂々濃厚なマーラー6を聴きたい貴方にオススメです。

それなのになぜかを付けられないのは、Liveなのに出来過ぎ感という贅沢なイメージからか、全体濃い味一本だからでしょうか。見事なのですが…





(#3)
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[Hanssler Classics] 1999-9/7-10


ギーレンが首席指揮者(1986-1999)として最後の年に録音したバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団とのマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題はややスローの低重心で重厚、アルマの主題は華やかな鳴りの良さですね。より王道的になっている提示部です。展開部・再現部も落ち着いていて、安定的です。アゴーギクも目立ちません。はて?ギーレンかなという感じですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の延長を感じるややスロー低重心で落ち着いています。トリオは落ち着いた中に静的優美さです。クセのない王道のスケルツォになっていますね。
第三楽章
アンダンテ主要主題は澄んで透明感があります。ギーレンでは無いような静美さです。副主題(第一トリオ)も美しい哀愁で彩られて、中間部(第二トリオ)も明確に明るい光が差し込みますね。美しい緩徐楽章になっています。
第四楽章
本来ドロドロとした序奏ですが、クドさを殺しています。提示部第一主題はシャープで、パッセージから第二主題も綺麗な流れで構成されています。展開部もコントラストのある主題の変奏ですが、クールな切れ味ですね。再現部は騎行から迫力が増しますが、ギーレンらしいアゴーギクの揺さぶりは弱いです。素晴らしいですが、何か一つ腑に落ちない感じがします。


落ち着き払った王道のマーラー6です。4録音の中では最もクセが無く安定的正攻法で、それを基準とするならば一番でしょう。初めて聴く方にも勿論オススメですね。出汁も素材も厳選した上品なお吸い物、みたいな。

個人的にはギーレンらしい濃い味噌汁が好きです、身体に悪そうですがw ギーレンでなければ ?!





(#4)

SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[SWR Classic] 2013-8/21


ギーレンが首席指揮者退任14年後にバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団を指揮したマーラー6。今回発売、引退一年前86歳での録音です。ここで第二楽章をアンダンテにしています。

第一楽章
第一主題行進曲はグッとスローになりますがメリハリは良く付いて、パッセージは落ち着きを払っています。アルマの主題はスローの中にも緩やかながらアゴーギクを効かせます。提示部は"繰り返し"の方が気持ち速めに感じますね。展開部の挿入部は元々スローなので流石に極端には落としていませんが、その中に各楽器の音色を生かしているので空間を感じる流れです。再現部も鳴りの良さが朗々としていますね。
第二楽章
ここでアンダンテにして来ましたね。主要主題は緩やかに、副主題(第一トリオ)は哀愁感を強く感じます。中間部(第二トリオ)では伸びやかな広がりがあります。スローが生きた大きく美しい緩徐楽章になっていますね。
第三楽章
主要主題は大きなスローですが締まり良く、第一楽章の印象を残していますね。トリオはスロー穏やかに、落差はあまり付けませんが回帰するとアゴーギクを振って来ます。ギーレンらしさを感じる少ないパートかもしれません。
第四楽章
序奏は大きなスローベースの陰影付けです。提示部第一主題はスローで大きい流れを作り、パッセージも広がり良く、第二主題をその中に置く感じです。展開部も大きくスローで、このパートにありがちなせっかちな緊迫感・迫力と言った流れよりも、"大きな見晴らし"の様な印象を受けますね。行進曲もスロー低重心で悠然とした新しい世界です。再現部はやや旧来的な流れを取り戻してパワープレイ的な要素も見られます。コーダは大きなスローからの一撃で、ラストのピチカートも生きました。
オーディエンスは大ブラボー・大喝采です!!


大きなスローで通した、ゆったり泰然自若のマーラー6ですね。もちろん各パートには締まりもコントラストもありますが、細かな表情よりも広大・雄大な音の広がりを強く感じます。

ギーレンの新たな境地でしょうか、これは今までに聴いた経験のない新しいマーラー6を感じます




ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli

The Philharmonia Orchestra
[DG] 1986-9


シノーポリが首席指揮者(1984-1994)時代のフィルハーモニア管を振ったマーラー6ですね。上記ギーレンの2013年録音が出るまで、世界最遅演奏だったと思います。(全楽章が遅いわけでは無く、アンダンテが異常にスローなのですが…)

[演奏時間]       [一楽章] [スケルツォ] [アンダンテ] [四楽章] [トータル]
(シノーポリ)1986年 25'09" - 13'39" - 19'53" - 34'32"  約 93'
(ギーレン) 2013年 27'45" - 16'09" - 15'31" - 34'40"  約 94'

ちなみにシノーポリはシュトゥットガルト放送響(1985年)との録音も残していますが、それは然程遅くありませんね。


第一楽章
勇壮な第一主題行進曲からパッセージで一息ついて、アルマの主題を大きく奏でるといった教科書的な提示部です。再現部第一主題も適度に激しく、挿入部もほどほどにテンポダウン。中盤以降奇妙な揺さぶりを散見しますが、全体が平均的印象を超えませんね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の延長性を強く感じます。やや速めでしょうか。トリオも標準的に優美です。ここでも多少のテンポの揺さぶりを感じますね。
第三楽章
問題のアンダンテです。主要主題は緩く甘美で"間"をとって揺さぶりながらスローに進みます。副主題(第一トリオ)も同じスローの揺さぶりで哀愁は弱めです。中間部(第二トリオ)での変化を感じないほどモワ〜ッと全体スローです。変な事は確かですが緩徐楽章ならこれもアリ的な感じ、ただこの楽章だけどうして?!という違和感は残りますね。他の楽章に個性的な味付けはありませんから。
とは言え、いつまでたっても終わらないスローが凄いです! (普通なら終わるあたりから、更に5'くらいありますからねェ)
第四楽章
アンダンテの後で集中力も切れますが、流れはディナーミクでのメリハリです。序奏アレグロ・エネルジコから第一主題を力感よく走らせて、第二主題を極端にスロー化するという変則があります。全楽章にこの手の特異性を通せれば面白かったでしょうね。展開部・再現部にもテンポの揺さぶりがあり興味深いですが、"時すでに遅し" です。


アンダンテだけが極端にスローの変則マーラー6ですね。他の楽章はテンポ変化の揺さぶりくらいなので残念です。全楽章を通して何らか意図のある特異性を持ち込んでいたらまた楽しみが違ったかもしれませんね。(それでも34'overの最終楽章は少し変わっていますから、特に前半二つの楽章ですね)

変則は嫌いじゃありませんが、中途半端出し惜しみ は着いて行くのが厳しいです。(汗)




ズービン・メータ, Zubin Mehta

Israel Philharmonic Orchestra
[Apex] 1995-7


インド出身の指揮者メータが長く音楽監督を務める(本年2019年で退任です)イスラエル・フィルを振ったマーラー6ですね。メータの6番はもう一枚、非正規盤ですがVPOとの録音があります。

第一楽章
第一主題はかなり速いです。静音化するパッセージも速く、アルマの主題では速度を落として優美のコントラストを付けますが直ぐに速い流れに戻してきますね。展開部第一主題は少し混乱気味に、挿入部は基本に立ち返りスロー美を奏でます。再現部は提示部より一層速く慌ただしいですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はそれほど速めていません。第一楽章との類似性を避けているのでしょうか。トリオ(中間部)はスロー静な穏やかさで、全体の流れは標準的になっていますね。
第三楽章
アンダンテの主要主題は抑えて優美、副主題(第一トリオ)も静的な陰ある哀愁です。中間部(第二トリオ)は程よく明るさを見せて、ここでも標準的な流れを作っていますね。
第四楽章
序奏は抑え気味、提示部第一主題でパワフルに驀進します。パッセージからも締まり良く、第二主題で軽妙さに転じます。展開部第二主題回帰の山場を大きく盛上げ、コラールを派手に第一主題変奏の行進曲を軽快に走らせます。再現部第一主題回帰は迫力があり、騎行では締まりある流れを作ります。若干の強弱はありますが標準的印象でしょう。


速く慌ただしい第一楽章の後は標準的な流れのマーラー6です。標準的な三つの楽章も多少の色付けはあるもののやや面白みに欠ける感がありますね。いっその事、もっと荒れて驀進した方が面白かった気がします。




エサ=ペッカ・サロネン, Esa-Pekka Salonen


Philharmonia Orchestra
[Signum] 2009-5/28


サロネンが2008年から首席指揮者を務めるフィルハーモニア管弦楽団を振ったマーラー6ですね。2017年5月18日にこのセットで素晴らしい来日公演 "悲劇的" がありましたね。

第一楽章
第一主題、王道ですが管楽器に少し不安を感じますね。第二主題は微妙にアゴーギクを入れて流れを優美に変えます。展開部では第一主題を高らかに、挿入部を穏やか長閑に奏します。ここでも間延びを避ける様に緩いアゴーギクを振っていますね。再現部は二つの主題を色濃く、コーダの主役第二主題もメリハリを付けています。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はややテンポを落として第一楽章の類型化を逃れています。激しさよりも落ち着きですね。第二主題はスローに落としてここでも落ち着いた流れをキープします。変拍子を殊更に印象付ける事はありません。(全体にアゴーギクを使っているからそう感じるのかも)
第三楽章
主要主題はやや速めで静的に入り、第一トリオも同じ流れで極端に情感を濃くする事はありません。ここでもクールです。中間部は明るく鳴らし、後半の山場は大きく奏でます。
第四楽章
序奏は揺さぶりは弱く主にコントラスト付け、アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は鳴り良く走らせます。パッセージのHrも朗々と響き、第二主題は軽快です。展開部はアゴーギクで緩急を付けて、込み入った構成を明確にしました。交響曲2番引用の行進曲は速めに振って見事に決まりましたね。再現部も第一主題回帰後山場から騎行が同様に走って素晴らしいです。


スパイスを上手く効かせたクールなマーラー6です。適度で絶妙なアゴーギクによる色付けで、通して心地良さがありコントラストも明確です。

この曲は熱烈爆走的演奏が一つのパターンですが、サロネンは全体の流れをスッキリとさせて、その対極にある演奏です。整理されすぎという意見も有りそうですが、好みでオススメですね。




ユッカ=ペッカ・サラステ, Jukka-Pekka Saraste

Oslo Philharmonic Orchestra
[Simax] 2010-3/10-12


オスロ・フィルハーモニー管弦楽団のマーラーチクルスの一環で、音楽監督だったサラステが振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は約束通りの勇壮さ、パッセージを緩やかにアルマの主題の伸びやかな美しさに繋げます。堂々ですが、処々微妙なアゴーギクを感じますね。展開部・再現部もクセのない流れを作っています。ラストの締まりはいいですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章回帰的ですがクールな印象もあり切れ味がありますね。トリオ(中間部)は約束通りにスロー&穏やかさのメヌエットの印象です。後半速めのアゴーギクは少し気にはなりますが、見晴らしの良い楽章になっています。
第三楽章
アンダンテですね。主要主題は美しく優しく、第一トリオ(副主題)はテンポを落とさずに哀愁を奏でます。流れの基本は少し速めに感じますね。第二トリオ(中間部)はスローにして広がりを聴かせてくれます。後半の第一トリオ回帰は大きな波の山場を作ります。
第四楽章
序奏は各主題をスローに鳴り良くコントラスト良く、提示部第一主題は刺激を付けて行進します。パッセージから第一主題の絡むパートを落ち着いて奏でると、第二主題はテンポを維持したまま穏やかに現れますね。展開部第一主題前のvcは厳しく切れ味ある流れを誘導し、回帰する第二主題の山場へ。その後もアゴーギクとディナーミクを共鳴させて、この曲らしいコントラストの強い締まった流れです。最後はコーダでは三発目のハンマーが登場します。


基本速め印象ですが、堂々としたマーラー6です。王道に速めのアゴーギクを振った感じでしょうか。その微妙な立ち位置をどう感じるかで評価が分かれるかもしれませんね。

ハンマー三発という珍しさ、演奏も録音もよく、広がりがあるので気持ちよく聴きたい方にオススメですね。




シモーネ・ヤング, Simone Young

Hamburg Philharmonic Orchestra
[Oehms Classics] 2007-4/22,23


日本でもおなじみのオーストラリア人女性指揮者S.ヤングはコンロンやバレンボイムに師事しています。ドイツを中心に活躍していて、音楽監督を務めた時代のハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6ですね。

第一楽章
第一主題は勇壮に、木管の経過句を緩やかに落としてアルマの主題の優美さと繋がりを良く作っていますね。展開部は主題の絡みの後の挿入部にやや間延び感がありますが安定して、再現部では両主題の締まりが増してコーダはメリハリが強いです。
第二楽章
アンダンテです。主要主題は穏やかに、イングリッシュホルンが動機を示す副主題(第一トリオ)は哀愁を高めます。中間部(第二トリオ)は大きな長調的広がりを見せますが、以降は山場を除くと少し緩いでしょうか。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は第一楽章の印象を持って進み、トリオではテンポを落として変拍子の表情変化を生かしています。
第四楽章
象徴的な長い序奏は極端な陰影や表情付けはありません。提示部第一主題は軽快に鳴らして経過句を締まり良く、第二主題でも流れを維持して心地よさがあります。問題の展開部はスコアの持つ出し入れの快感を伝えていますが、もう少し刺激のスパイスを加えたら素晴らしかったと思います。再現部は騎行ではテンポ変化を生かして流れに勇壮さをみせてくれます。(コーダではヤングの意図で3発目のハンマーが打たれます)


揺さぶりは無く安定指向のマーラー6です。心躍る様な冒険や楽しみはありませんが、王道的流れは大きく外しません。

アクセルコントロール(アゴーギク)は安全運転ですから、初めて聴くのにもおすすめですね。




大植英次, Eiji Oue


Osaka Philharmonic Orchestra
[fontec] 2005-3/20


齋藤秀雄→小澤征爾→L.バーンスタインに師事した人気指揮者の大植さんのマーラーと言うとどうしても第9番が浮かびますが、これは大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督時代のマーラー6ですね。

第一楽章
速い第一主題にまず驚きますね、大植さんですからw 経過句も速いですが抑えています。第二主題はテンポを標準的レベル(やや速い?)に落とし、揺さぶりは強いですが甘美を避けてスッキリとした流れです。展開部は第一主題をガツッと締め上げて、揺さぶってから第二主題に流れ挿入部へと。ここでもスローの中に微妙な揺さぶりで緊張感を与えていますね。その後はブレーキの様なアゴーギクを使って走り、爆裂から再現部へ。第一主題は荒れます、ここでも急ブレーキ的なアゴーギクですね。ちょっとシェルヘン先生を思わせる様な…
第二楽章
スケルツォですね。主要主題はやや抑え気味に入りますが、間を詰めた様な流れに緊迫感があります。トリオは極端にスローにして木管の動機まで引っ張ります。その後も揺さぶりは大きく、個性的ですね。
第三楽章
主要主題は細くスローで繊細に入って来ます。第一トリオは入りのイングリッシュホルンから流れは静美です。中間部(第二トリオ)で明るい日差しが差し込むと、回帰する主題で美しい哀愁に戻り、最後の第一トリオからは哀しみの山場を大きく作り上げます。揺さぶりを排して美しい緩徐楽章に仕立てていますね。
第四楽章
序奏の主題群はスロー構成で強烈な緊迫感を湛え、アレグロ・エネルジコから一気に加速して提示部第一主題を爆走します。経過句で落ち着かせると主題変奏と対位しながら盛り上げて行きます。そして第二主題で軽妙に落ち着かせると、テンポアップして展開部へ。第二主題を大きく広げて山場を作り、その後は切れ味良い流れから突撃、第二主題回帰で落ち着きし再び突撃とコントラストと見晴らしの良い展開部です。再現部も強烈にコントラストを着けて派手派手しく駆け抜けます。


強烈な揺さぶりでクセモノの一角をなす大植マーラー6ですね。急テンポからガクッと落としたスローの極端なコントラスト、もちろん暴れるパートは荒れます。H.シェルヘン、B.マデルナ、と言った方向性も感じる好きな一枚です。大フィルも好演ですね。普通の演奏じゃつまらない、と言う貴方に超オススメ盤であります!!

久しぶりに聴きましたが、安定志向の方には向かないでしょうねぇ。本来なら?、悩みどころですw




ハインツ・ボンガルツ, Heinz Bongartz


Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig (MDR Sinfonieorchester)
[Weitblick] 1969-6/30


プロイセン時代のドイツに生まれた指揮者ボンガルツ(1894-1978)ですね。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6です。

第一楽章
第一主題行進曲はとてもスローで重厚、彫りが深いです。経過句はスローながらクールに、アルマの主題は広がり大きく華やかです。珍しい提示部の反復無し! 展開部でも第一主題変奏はスローで重厚にして派手な鳴りですね。挿入部はもちろん静的なのですが、なぜか管楽器の響に煌びやかさを感じます。再現部もテンポを抑えて、コーダもスローな葬送から低重心を保ってフィニッシュします。スロー重厚で派手な鳴りがとても個性的です。
第二楽章
アンダンテですね。主要主題はややスローの優美さ、第一トリオ(副主題)は哀愁抑えめです。両主題の回帰で一部カットされている様ですね。中間部(第二トリオ)は明朗で明るい光です。山場は大きく哀愁を溢れる様に奏でてエンディングに向かいます。
第三楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章のパロディを避ける様にテンポアップです。とは言え標準的ですが、これなら第二楽章へ持ってきても良かった様な。ここでも華やかな鳴りを感じますね。(デジタル・マスタリングの影響かもしれません) トリオはテンポを落とさず、殊更に古典的にはしませんね。トリオの後の木管パートがカットされています。第二トリオとも言うべき重要パートですが…
第四楽章
個性を出しやすい序奏は陰影抑え気味、あえて個性を殺している感じさえします。しかし後半モットーからスローに転じて、提示部第一主題は 第一楽章を回想させるスロー重厚になります。パッセージもスローで、第二主題もスローの流れから逸脱しません。ここでも基本は大きな流れを作っています。展開部も行進曲も含めてスロー基本で鳴り良く、コントロールされて暴れる事はありません。再現部第一主題の再現は派手派手しいです。もちろんスローですが。コーダは元々スローなので違和感が少ないですが、ラスト一発の前の"間"が殆どありません。


提示部反復なしで中間楽章ではカットあり、第一第四楽章はスロー偏重という超個性的マーラー6です。でも流れは、大きな構えと鳴りの良さで悪くありません。シェルヘン先生と同じ様なカットはこの時代ならでは、と感じます。今では御目に掛かる事はまずありませんね。

年代の割に録音が良く、個性派を好まれる貴方にオススメの一枚です。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミヒャエル・ギーレン追悼アルバム『In memoriam』マーラー 交響曲 第6番 1971年・2013年 2録音。演奏時間も印象も大きな違いを感じますね


In memoriam Michael Gielen
本年3月に亡くなった人気指揮者ギーレン(Michael Gielen, 1927/7/20 - 2019/3/8)。今回追悼アルバム "In memoriam" が発売され、1971年と2013年のマーラー6番が収録されましたね。ギーレンの既発の2CD(1984年・1999年)より前と後、2013年は引退一年前の録音です。

オケは名称が変わりましたが、両方とも同じ南西ドイツ放送交響楽団(現:バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団)です。ギーレンが首席指揮者(1986-1999)を務めたオケですが、両録音ともその時代ではありませんね。

特徴的なのは二つ。
 1) 後年の方が演奏時間が長大になっています
 2) 2013年録音は第二楽章アンダンテに変更しています
実は他2録音も含めて年代を追うごとに演奏時間は長くなり、第二楽章は最後(2013年)にアンダンテに変更しています。4録音全体のインプレは以下にアップしています。

▶️ マーラー交響曲第6番:70CD 聴き比べ






マーラー 交響曲 第6番


 



1971 3/12-14 at Hans-Rosbaud-Studio, Baden-Baden

第一楽章
速め切れ味の第一主題は緊迫感漲りますね。パッセージも速めでアルマの主題もアゴーギクはありますが速いです。展開部は第一主題は強烈に、挿入部ではスローで長閑さを付けて コントラストを上手く見せています。再現部の第一主題は一層の迫力快走で走り抜け第二主題は緩やかに、コーダはディナーミクによるメリハリを付けて〆ます。

第二楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章同様締まりが強く、延長線上イメージです。もちろん速さの流れで、トリオでアゴーギクを効かせたスローでコントラストを付けるギーレンらしい構成ですね。最後の主題回帰は狂気を感じる様な切れ味です。

第三楽章
主要主題は穏やかに流れよく、副主題(第一トリオ)は少しスロー化して哀愁を見せますね。中間部(第二トリオ)は広がりを大きく鳴らし平穏な印象を着けてきますね。全体としてギーレンとしては揺さぶりのない淡白な緩徐楽章になっています。ラスト前の山場は強烈に盛上げますが。

第四楽章
渦巻く長い序奏は明瞭さを感じます。提示部第一主題は切れ味良い流れを上手く作ります。テンポ設定はやや速いですが標準的ですね。パッセージも切れ味の良さで、第二主題を軽快に作ります。締まり良い提示部です。展開部はディナーミクを効かせて派手気味にメリハリを作ります。この辺りは作り込まれたスタジオ録音を感じますね。アゴーギクも振った速い再現部も同様で見事に "聴かせる" 構成を感じます。その見事さに少々腰が引けますがw


快速切れ味のマーラー6ですね。緩徐パートのアゴーギク&スロー対比、ビシッと締まりのある流れ、ギーレンらしい印象の演奏かもしれませんね。アンダンテは山場以外今ひとつの感ですが。

スタジオ録音で作り込まれていて、デジタル・マスタリングで音も悪くありませんね。この年代のマーラーとして完成度は高いのではないでしょうか。





2013 8/21 at Großes Festspielhaus, Salzburg [LIVE]

第一楽章
第一主題行進曲はグッとスローになりますがメリハリは良く付いて、パッセージは落ち着きを払っています。アルマの主題はスローの中にも緩やかながらアゴーギクを効かせます。提示部は"繰り返し"の方が気持ち速めに感じますね。展開部の挿入部は元々スローなので流石に極端には落としていませんが、その中に各楽器の音色を生かしているので空間を感じる流れです。再現部も鳴りの良さが朗々としていますね。

第二楽章
アンダンテですね。主要主題は緩やかに、副主題(第一トリオ)は哀愁感を強く感じます。中間部(第二トリオ)では伸びやかな広がりがあります。スローが生きた大きく美しい緩徐楽章になっていますね。

第三楽章
主要主題は大きなスローですが締まり良く、第一楽章の印象を残していますね。トリオはスロー穏やかに、落差はあまり付けませんが回帰するとアゴーギクを振って来ます。ギーレンらしさを感じる少ないパートかもしれません。

第四楽章
序奏は大きなスローベースの陰影付けです。提示部第一主題はスローで大きい流れを作り、パッセージも広がり良く、第二主題をその中に置く感じです。展開部も大きくスローで、このパートにありがちなせっかちな緊迫感・迫力と言った流れよりも、"大きな見晴らし"の様な印象を受けますね。行進曲もスロー低重心で悠然とした新しい世界です。再現部はやや旧来的な流れを取り戻してパワープレイ的な要素も見られます。コーダは大きなスローからの一撃で、ラストのピチカートも生きました。
オーディエンスは大ブラボー・大喝采です!!


大きなスローで通した、ゆったり泰然自若のマーラー6ですね。もちろん各パートには締まりもコントラストもありますが、細かな表情よりも広大・雄大な音の広がりを強く感じます。

これは今までに聴いた経験のない新しいマーラー6を感じます。




緊迫と切れ味の1971年から、大きく広がりの2013年へ。ギーレンの42年の変移は印象的ですね。大きく性格の異なるマーラー6で、個人的には構えの大きな2013に一票です

年代も大きく違う二つの録音ですが、マスタリングで音の違和感を上手く消していますね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





近年最高の演奏では!!『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» ユッカ=ペッカ・サラステ / ケルンWDR交響楽団 2019年7月5日


ユッカ=ペッカ・サラステ, Jukka-Pekka Saraste
(ケルンWDR交響楽団, WDR Sinfonieorchester Köln)
サラステが今シーズン(2018–2019)まで首席指揮者を務めるケルンWDR交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)を振ったマーラー5ですね。このセットは素晴らしいマーラー5番のCD(2013年録音)を残しているので楽しみですね。先日のマーラー6番に続いての、独放送局"WDR3 Radio"ウェブサイトからの配信です。


▶️ こちら (8月7日まで楽しめます)


実は一曲目のベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann)のフォトプトーシス(Photoptosis)も素晴らしい演奏です。是非お聴きいただきたいですね。




マーラー 交響曲 第5番
(5 Jul. 2019 at Kölner Philharmonie)

20190705JukkaPekkaSaraste-Mahler5.jpg
(当日のプログラムの表紙です)


第一部
第一楽章葬送行進曲は陰鬱ですが殊更のスローではありません。導入句のファンファーレは力強く、第一トリオは一気にテンポアップして切れ味鋭い迫力を見せてくれますね。第二トリオは細い哀愁から入りますが哀しみに溺れる事なく鋭い流れに戻りますね。第二楽章第一主題も激しさと鋭さです。そして第二主題(一楽章第二トリオ)を鎮めてコントラストをキッチリと付けて来ます。展開部・再現部でも動機と主題が一層のコントラストで彩られています。マーラーの指示に沿ったメリハリある気持ちの良い第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題はリズム良く弾ける流れで、そこからレントラー主題は緩やか優美に流れを変えています。切れ味ある小刻みな動機の後、第三主題は落ち着いた流れにしていますね。短い展開部で一気に激しさを表出させて、その流れに乗って再現部の主題回帰はより華やかに入ります。こちらの方が展開的流れです。コーダは派手で迫力の素晴らしさです!
優美な前半から切れ味の後半、素晴らしい構成と演奏の第三楽章です。オブリガート・ホルンも良い音色です。

第三部
第四楽章主部は甘美を避けてやや速めで透明感ある流れでクールそのものです。マーラーの緩徐でお約束の情熱パートもさりげない上手さで、続く中間部はトーンを抑えて秘めた感情を表現します。ラストで溢れる感情、好きなアダージェットです! 最終楽章の第一第二主題の絡みは適度な揺さぶりを付けた切れ味を、コデッタ主題ではリズム良くと対比します。展開部は各主題の広がりを大きくして、山場に向かいます。再現部も主題を明確に色付けて締まり良く、山場からコーダは纏まり派手さと迫力を作ります。フィニッシュはアッチェレランドがビシッと決まります。鳴り止まない大喝采!!


構成感のしっかりとしたメリハリのマーラー5です。この曲の持つ迫力・優美・洒脱を見事に構成して、近年聴けた最高の演奏の一つかと。

実際のコンサートでこの演奏に出会えたら当面マーラー5番は行かなくてもいいかも!!



本当に残念ながらCDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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