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2019年5月24日 ラファエル・パヤーレ指揮 / アルスター管弦楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


ラファエル・パヤーレ, Rafael Payare
(アルスター管弦楽団, Ulster Orchestra)
ベネズエラの若手指揮者パヤーレ(39)は、アバドやドゥダメルの助手を務め頭角を表した今注目の一人ですね。ドゥダメルと同じベネズエラ出身で同国エル・システマで学んだのも同じです。実際にはドゥダメルの方が一つ年下ですが。
そのパヤーレが現在首席指揮者を務める英北アイルランドのアルスター管を振ったマーラー5で、BBC Radio 3放送のウェブサイトより配信です。

▶️ こちら (6月29日までの配信です)




マーラー 交響曲 第5番
(2019-5/24 at Ulster Hall)

20190528RafaelPayare-mahler5.jpg


第一部
第一楽章葬送行進曲は静的な流れ重視で重厚さは避けています。第一トリオでは適度な緊迫感を作ってコントラストを上手く付けて来ますね。演奏がややまとまりに欠ける主要主題回帰後の第二トリオの哀愁感もほどほどで 流れとしては自然ですね。第二楽章第一主題は激しさを表にして緊迫感を付け、第二主題(第一楽章第二トリオ)は演奏がやや怪しげですが哀愁にチェンジします。展開部と再現部も主題の変奏を激しさと哀しみのコントラストを上手く付けています。程よい揺さぶりで見晴らしの良い第一部になっていますね。

第二部
スケルツォ主題は明るさを感じ、アゴーギクを使っていますね。レントラー主題では緩めて優美、ここでもスパイスでアゴーギクを振っています。第三主題も上手く揺さぶりをかけて流れを作っています。展開部は速さ中心、再現部は主題の緩急を明確に色付けしていますね。コーダの揺さぶりは個性的です。
残念なのは、演奏の揃いが今ひとつの上オブリガートホルンがかなり酷い!!

第三部
第四楽章は静かな暖色系の印象で入りますが、山場から中間部に揺さぶりをかけて個性的なアダージェットです。第五楽章は序章の入りのhrが躓きます。第一主題と第二主題は疾走して、コデッタ主題も速めですが途中でテンポを変化させますね。展開部も速く、山場を盛り上げて再現部に雪崩れ込みます。コデッタは途中スロー化させつつ緊迫感を保ったまま最後の山場からコーダは派手派手しく、フィニッシュはアッチェレランドをビシッと決めます。当然の拍手大喝采!!


演奏のまとまりが今ひとつですが、流れは個性的で一聴に値するマーラー5です。指揮者の作る上手い緩急(アゴーギク)の良さ、それに着いて行くのがいっぱいいっぱいのオケ、と言った構図になっているかもしれません。#1ホルンは酷いです。(三楽章オブリガートホルン特に)

もう少し技量のあるオケでパヤーレの指揮を聴いてみたいと感じました。



残念ながらCDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

美しささえ感じるフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮/レ・シエクルの マーラー 交響詩『巨人』[ハンブルク1893-94 ワイマール稿] 交響曲 第1番 (旧稿)


Mahler : Titan Eine Tondichtung in Symphonieform
(Hamburg / Weimar 1893-94 version)
マーラー1番の旧稿と言うと、第一稿(ブタペスト稿)は残っていないので第二稿になりますね。とは言え知っている事はコンサート等で付記される■"花の章"がある二部五楽章構成、■交響曲ではなく「交響曲様式による交響詩 (独語は上記)」になっている事、■各楽章に表題がある、という位の認識しかありません。実際には1889年初演後、二回演奏機会があった第二稿は1893年のハンブルク(稿)と1894年のヴァイマール(稿)でも違いがあるそうです。
その後1896年の第三稿(ベルリン稿→マーラー協会全集版)が現在の標準で、全ての表題と第二楽章"花の章"が削除され四楽章の「交響曲 第一番」となった訳ですね。(なぜかCD等には"巨人, Titan"が記されますがw)

このブログではマーラーの5, 6, 9番を中心にインプレをしていますが、第1番はあまり聴きません。第二稿と言われて頭に浮かぶのはマーラーではお馴染みのウィン・モリス盤くらいですね。

今回はフランソワ=グザヴィエ・ロト(Francois-Xavier Roth)の指揮で、レ・シエクル(Les Siecls)という事で入手してみました。







第一部:青春の日々から】
第一楽章 終わりなき春
序奏カッコウの動機は余韻を持たせ、本稿ではhrになるファンファーレは抑えながら響きがいいですね。第一主題は透明感強く、第二主題は寄り添う様に現れます。ちなみに本稿では提示部反復はありません。展開部は透明感のある暗さから、遠くから聞こえるhrで明るさが呼び起こされ緩やかに晴れ渡ります。黒雲の様な山場から再現部(コーダ)では落ち着きながら華やかです。

第二楽章 花の章
主部はスローに緩やかに変奏を沈めて、中間部の哀愁感は弱めですね。主部の再現では明るい色付けをしますが、やっぱり"花の章"は中途半端な感が拭えない気がします。

第三楽章 帆をいっぱいに張って
第三稿ではその表記が削除されたスケルツォですね。スケルツォ主題は明瞭に、転調変奏はディナーミクを効かせます。中間部はレントラーというよりも甘美なメヌエット風に感じますね。ラストは豪華絢爛風です。


第二部:人間喜劇】
第四楽章 座礁して
お馴染み"グーチョキパーで何作ろう"短調ver.の主要主題はpよりもppからのクレシェンドに感じますね。暗さほどほどで透明感と明瞭さです。obパートも表情変化は薄めです。中間部も変化は薄めに美しさを奏でます。主部回帰はもっとメリハリがあっても良い気がしますね。

第五楽章 地獄から楽園へ
第一主題は伸びよく明瞭に、中間部(トリオ)の様な第二主題はスローなvnの流れが生きています。展開部では激しさを鳴りの良さで表現しますが途中で息切れ風に感じますね。再現部も表情変化の多さがあるので鳴りの良さは感じますがスローパートがフラットです。va動機からは刺激の適度なアゴーギクのスパイスが効いてコーダまで良い流れです。この再現部後半が白眉ですね。



全体的に美しい流れが印象的なマーラー1番です。少しフラットに感じてしまうかもしれませんが、鳴りの良い華麗な美しいさが強調されたこのアプローチもありでしょうね。

もう少しアゴーギクを生かしてテンポ変化があったらもっと楽しめたかもしれません。最終楽章再現部後半の流れは力強さもありますね。(そういう曲ではありますが)





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年5月10日 マーク・ウィッグルスワース指揮 / アデレード交響楽団『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


マーク・ウィッグルスワース, Mark Wigglesworth
(アデレード交響楽団, Adelaide Symphony Orchestra)
イギリス人指揮者のM.ウィッグルスワースが首席客演指揮者を務めるオーストラリアのアデレード響を振ったマーラー9ですね。モーツァルト最後の協奏曲であるクラリネット協奏曲と合わせて "Fond Farewells" と銘打たれた今月9日,10日のコンサートから、オーストラリア放送協会ウェブサイトの配信です。(クラリネット協奏曲の方が前面に出ていますが…)

▶️ こちら (公開期間が不明ですが、お早目に)

CDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第9番
(2019-5/10 at the Adelaide Town Hall)

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第一楽章
第一主題入りからいきなりの揺さぶりを感じます。第二主題でも変化は少なめですが詰まる様な揺らぎを与えていますね。その後も引っ張る様な間を入れてから盛り上げ、反復から第三主題へ入りますが抑え気味に感じます。(録音の問題もあるかも) 展開部の前半は落ち着いていますが演奏が少々不安定、アレグロ・リゾルートからはせっかくの盛り上がりが打楽器群の録音レベルを抑えていて残念です。その後は三つの主題の変奏にアゴーギクの色付けをして面白いですね。アゴーギクの表現にオケが着いて行けたら面白い第一楽章になっていたかも

第二楽章
主要主題入りの弦の動機はかなり揺さぶります。いきなりvnが躓く第一トリオはかなり速く、面白いテンポ設定なのに残念ながら演奏の揃いが悪いですねェ。第二トリオは明確にテンポダウンします。悪くないのですが技量不足が露呈する感じです。

第三楽章
主要主題は速めでやや暴れ気味、面白いかもしれません。第一トリオは洒落た流れで入りながら弦が暴れます。なかなか面白い流れを作っていますね。中間部(第二トリオ)は普通にトーンダウンさせていますが、後半面白い間をとっています。ラストの激しさは一体となって突き進む感じが光りました

第四楽章
主要主題は弦楽奏なのに揃いが怪しげです。(奇妙?微妙なアゴーギクとディナーミクを被せているのは確かですが…) 第一エピソードは静的でラストのターン音型を印象づける様な流れを作ります。独奏vnの音色も美しいく山場も上手いですね。第二エピソードは少しテンポアップして入り、その流れを生かして第一の山場を作り、落として第二の山場につなげます。上手い構成です。そこからスロー静に沈めて優しさと浮遊感のターン音型へと流れます。コーダは言わずもがな。


上手くアゴーギクを振って興味深いのですが、それを表現しきれないもどかしさのマーラー9です。それでも後半は素晴らしく、通して技量が伴った演奏ならかなり面白い作品になったでしょう。第三楽章と第四楽章は惹きつけられるものを感じました。

録音で打楽器を押さえ込んでしまったのは残念でした。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年5月13日 ミハエル・シェンヴァント指揮 / オールボー交響楽団『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


ミハエル・シェーンヴァント, Michael Schønwandt
(オールボー交響楽団, Aalborg Symphony Orchestra)
デンマーク人指揮者シェーンヴァント(現:モンペリエ国立歌劇場首席指揮者)が、同じくデンマークのオールボー交響楽団を振ったマーラー9。デンマーク放送のウェウサイト"DR P2 Koncerten"からの配信です。

▶️ こちら (今日まで!? いずれお早目に)




マーラー 交響曲 第9番
(2019-5/13 at Musikkens Hus Aalborg)

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第一楽章
序奏からやや演奏が怪しげです。第一主題は特筆なく第二主題は緩めですが、提示部反復にかけての広がり感は悪くありません。ただ第三主題で弾けてくれないのは残念です。展開部序盤スローは緩め、J.シュトラウス引用の金管も締まりません。山場以降の流れではその荒れた感じが生きたかもしれません。今ひとつ落ち着きと締まりのない感じは否めませんね。

第二楽章
主要主題は特筆なく、第一トリオは速いです。第二トリオではスロー化してから厚みをつけますが、管楽器が少し尖っちゃいます。可も無し不可も無しの印象ですね。

第三楽章
主要主題から第一トリオは悪くありませんが、これと言ったポイントはありませんね。第二トリオ(中間部)はtpの音色が自信無さげで怪しいです。ラストは走りますが、流れはいたって普通でしょう。

第四楽章
主要主題は心持ち速いので情感を湛える事はありません。第一エピソードは低弦の響きが生きましたが流れはフラット。第二エピソードも山場は盛り上げますが、流れは没個性的。後半からコーダへ向かうターン音型も透明感ある浮遊感に欠けます。


なんとなく掴み所がないマーラー9です。演奏が怪しげで、馬脚を表さない様に?色付けはディナーミクのみ、アゴーギクはほぼ感じません。何かシャキッとしたファウンデーションが不足している感じです。

個性的なアゴーギクを振ってもここでは難しい気がします。凡百の底に埋もれそうです。



CDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。

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2019年5月10日 トマス・セナゴー指揮 / ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団『マーラー 交響曲 第6番』«ネット配信»


トマス・セナゴー, Thomas Søndergård
(Royal Scottish National Orchestra)
デンマークの指揮者セナゴーはパーカッショ二スト(主としてティンパニー)として活躍後に指揮者となっています。今回は昨年(2018年)より首席指揮者を務めているロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管を振ったマーラー6ですね。英BBCラジオ3のウェブサイト"Radio 3 in Concert"よりの配信です。

▶️ こちら (2019年6月13日まで公開されています)

残念ながらCDではないので「マーラー第6番聴き比べ:60CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第6番
(2019-5/10 at The Usher Hall)

20190510ThomasSøndergårdRSNO-mahler6


第一楽章
第一主題は落ち着いた行進曲でパッセージも同様に。アルマの主題も劇的な情感は避けていますね。展開部はアルマの主題を勇ましく変奏して挿入部を上手くスロー静の流れにしています。極端にスロー化していないのが好感が持てますね。再現部も第一主題にスパイスを加えますが、コーダは落ち着きを取り戻します。

第二楽章
アンダンテの採用ですね。主要主題はやや陰を持って美しく、第一トリオは哀愁というきれいな流れを作ります。中間部(第二トリオ)は晴れ晴れとした印象です。淡々としたクドさのない美しさですが、少し演奏が不安定なパートも。

第三楽章
スケルツォですね。主要主題はやや速めですが興奮はなく、さっぱりとした感じです。トリオも速めでメヌエット風にせず極端なチェンジはしませんね。

第四楽章
主題と動機が入り乱れる個性的な長い序奏は明瞭で、特には深彫りせず。アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題の盛り上げは弱く、Hrのパッセージでも流れはフラット気味です。第二主題は少し軽妙さを見せます。展開部では多少激しさが表現されますが、揺さぶりの少ない速め基本の流れは変わりません。展開部・再現部の行進曲や騎行パートの勇壮さは速めベースですからホットに生きていますね。


感情移入はほどほどに、流れのシンプルなマーラー6です。やや速めでアゴーギクやディナーミクの振り幅を抑えているからそう感じるのかもしれませんね。

どうせならもっとクールにした方が面白かったかも




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年5月10日 ダニエル・ハーディング指揮 / バイエルン放送交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


ダニエル・ハーディング, Daniel Harding
(バイエルン放送交響楽団, Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)
個人的には相性の良くない指揮者の一人です。(笑) マーラーの5番は演奏機会が多い様ですね。日本国内でも新日フィルやパリ管首席指揮者就任の来日でも振っています。スウェーデン響との録音は今ひとつでしたが、今回客演したバイエルン放送響ではどうでしょう。5月9,10,11日と演奏された中から10日の公演をバイエルン放送"BR-Klassik"のウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (多分すぐに公開終了になると思いますが)

CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第5番
(2019-5/10 at Gasteig München)

DanielHardingSOBR-mahler5.jpg


第一部
ファンファーレは普通に入り主要主題も重厚さは避けてすっきりとした印象です。第一トリオも大きなテンポ変化は避けて適度な締まりです。第二トリオも特徴的なものはなくごく標準的に感じました。第二楽章第一・第二主題も特異性は皆無、でも展開部ではチェロを少し沈めて多少のアゴーギク振って来ます。再現部も同様ですね。この方がいい感じです。
もっと揺さぶってくるかと思いましたが、あまりクセのない第一部でしたね。

第二部
スケルツォ主題、レントラー主題共に優美、第三主題は緩やかでやや締まりに欠ける感もありますが安定した提示部です。短い展開部で元気を取り戻して、再現部は三つの主題を色濃く混ぜて良い流れを作っていましたね。フィニッシュもアッチェレランド気味に締めました。
ただ、この楽章主役のオブリガートHrはやや難ありでしょうか。

第三部
アダージェットは冷たく静めた好きな流れですね。全体スロー、主部山場も殊更の盛り上げは避け、中間部も僅かに揺さぶりをかけながらもクールでした。第五楽章第一・第二主題の対位法的絡みはアッサリと、コデッタ主題は優しく奏でます。展開部はやや間延び感から、展開部は主題変奏もメリハリ良く進みます。山場からコーダは見事に盛り上げ、フィニッシュはビシッとアッチェレランド。大喝采です。


細かな揺さぶりはあっても、本流的なマーラー5ですね。緩さも感じますが、第一・第二・第三部、共にラストが決まっていますね。(それぞれソナタ形式の再現部です)

良い悪いは別として超個性的だったパリ管との来日公演、それに近いスタンスのスウェーデン響とのCDに比べると、平凡な印象が勝つかもしれません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年12月3日 デイヴィッド・ロバートソン / シドニー交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


デイヴィッド・ロバートソン, David Robertson
(シドニー交響楽団, Sydney Symphony Orchestra)
米人指揮者D.ロバートソンはブーレーズに師事しアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席指揮者を務めた事もありますね。今回は今年まで首席指揮者(2014-2019)を務めるシドニー響を振ったマーラー5です。ツアーの様で独ハンブルクのエルプフィルハーモニーでの昨年末の演奏、北ドイツ放送のウェブサイト(NDR Kultur)からの配信です。

▶️ こちら (多分一ヶ月,2019-6/2まで公開かと)

CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第5番
(2018-12/3 at Elbphilharmonie Hamburg)

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第一部
第一楽章葬送行進曲はコントラストが良く、第一トリオでもディナーミクによるメリハリを付けていますね。第二トリオは哀愁ですがクドさはありません。第二楽章第一主題は重心を下げて締まりのある流れを作ります。第二主題は第一楽章第二トリオのままで、良いコントラストです。展開部も序奏や両主題の対比を上手く付けて見晴らしの良さがありますね。特にチェロの緩徐パートは美しいです。心地よい第一部でした。

第二部
スケルツォ主題は広がりよく伸びやか、レントラー主題では軽やかな優美さに変化させます。第三主題は沈めて来ますがオブリガートホルンと弦楽器の"間"が素晴らしいですね。展開部は提示部延長的で、再現部は各主題の変奏を色濃く絡み合わせて息をつかせません。この楽章が短く感じるのは素晴らしいですね。

第三部
第四楽章は山場も抑えて流れは静的クール、中間部の細く冷たい音色は心に染み入ります。屈指の素晴らしいアダージェットです。最終楽章は緩やかな序奏から第一・第二主題の絡みは落ち着気味、コデッタが現れると優美さを色添えて提示部を終えます。何かスッキリしません。展開部でも流れが今ひとつもたつき気味で、ホルンも怪しげだったのが残念です。再現部は山場は広がり大きく、コーダ前で間延びしますが、そこからは派手に盛り上げてフィニッシュはアッチェレランド弱めですが切れ味を見せました。最終楽章、アゴーギクが見晴らしの良さを欠いたのが残念です。


計算されたスマートさ、堂々本流的マーラー5でしたね。王道風ですが各主題を明確に色付けした、主としてディナーミク、見晴らしの良さが光ました。

最終楽章で印象を落としたのがとても残念ですが、コンサートで当たったら気持ち良い演奏でしょう。



前半のルノー・カピュソンのvnをフィーチャーしたコルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold)のヴァイオリン協奏曲op.35もなかなか面白いですよ。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

とんでもないハプニング付き!! 2019年4月25日 イラン・ヴォルコフ / バーミンガム市響『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


イラン・ヴォルコフ Ilan Volkov
(バーミンガム市交響楽団, City of Birmingham Symphony Orchestra)
イスラエル人指揮者のヴォルコフは、ボストン響時代の小澤征爾さんのアシスタントを務めた事がありますね。BBCスコティッシュ響やアイスランド響の首席指揮者を歴任し、今回は先月ゲスト指揮者としてバーミンガム市響を振ったマーラー9番になります。"A deeply personal farewell"と題されたこの日のコンサート、イギリス・ラジオ放送"BBC Radio 3"のウェブサイトからネット配信です。

▶️ こちら (公開は2019-5/26までですね)

CDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第9番
(2019-4/25 at Symphony Hall, Birmingham)

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第一楽章
第一主題は穏やか、第二主題でも大きな変化は与えません。提示部後半から反復でも抑え気味のいい感じ、第三主題では締まりを見せました。この楽章のキー 展開部淀んだ第一主題の中からJ.シュトラウス引用で光が射し、中盤の出し入れが強い流れも上手くコントロール出来てる感じです。特別な個性はありませんが、アゴーギクが見晴らしの良い表情変化を作っています。

第二楽章
主要主題はスロー気味で抑揚強めに、第一トリオでも流れは変えません。三拍子の中間部(第二トリオ)では落ち着きを作ってきますね。それでも全体としては少し濃い目、ややフラット印象でしょうか。

第三楽章
主要主題・副主題と前楽章コーダの流れからはシャキッと立ち上がらせて来ますね、特徴は薄いですが。中間部はチェンジペースしますが少しギクシャク感が残ります。ラストは適度に暴れて上手いフィニッシュです。

第四楽章
主要主題は緩やかですが情感的にはクールです。処々音が怪しいのが気になりますが。第一エピソードは情感はありますが流れは速めで薄味的。ただ後半のターン音型はコーダを思わせますね。第二エピソードも速めですが山場はしっかりアゴーギクを振って、後半のターン音型からコーダは約束通りに納めて行きます。とんでもないハプニングがラストに待っていましたが.....


コンパクトにまとまったマーラー9ですね。アゴーギクの設定が上手く、全体に表情豊かです。ただ基本はあっさりめのテンポ設定で、どこかを更に強調する様な流れを作ったら面白かった気がします。コンパクト軽量級に感じるのは録音に起因する可能性もありますね。

この曲を象徴する最終楽章のコーダからフィニッシュで愚か者が大声でハミングし、静的に消え入る美しいラストを搔き消てしまいます。こんなのありえません!!
(アプローズはそれに負けないほど凄かったですが)



最後に入っている"Viktor Ullmann String Quartet No.3, Op.46"も素晴らしいので是非聴いてくださいね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団で聴くマーラー『大地の歌, Das Lied von der Erde』


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860-1911)
『大地の歌』前回は昨年サイモン・ラトル/バイエルン放送響が発売された際に、カラヤンとバーンスタインとの聴き比べでインプレしています。▶️ インプレです。
今回はハンガリー人指揮者アダム・フィッシャー(Ádám Fischer)がデュッセルドルフ交響楽団(Düsseldorf Symphony Orchestra)を振った昨年(2018年)の録音になります。最近は弟のイヴァン・フィッシャーのマーラーも気になりますね。

アルトはアンナ・ラーション(Anna Larsson)、テノールはスチュアート・スケルトン(Stuart Skelton)で、E.ガードナー指揮「グレの歌」でも二人で採用されいます。またS.スケルトンは前回インプレのラトル盤に、ラーションはこのセットのマーラー交響曲第3番でも採用されていて脂ののった二人という事になるでしょうか。

「大地の歌」流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。


アダム・フィッシャー / デュッセルドルフ交響楽団
[アルト] アンナ・ラーション [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
ペザンテの印象よりも少し調性を怪しくした様な流れを感じますね。スケルトンのテノールも朗々としてはいますが、ネガティヴな印象です。朗々堂々というより陰を感じます。


第二楽章「秋に寂しき者」
陰鬱さを感じるオケとアルトの流れは不可思議な流れの緩徐楽章です。薄く繊細な流れを軸にここでも調性の揺らぎの様な流れを感じますね。再現部では少し明るい光が射します。


第三楽章「青春について」
スケルツォですね。オケもテノールも流れのよさを感じさせてくれます。中間部の陰付けでは一呼吸的です。


第四楽章「美について」
アルトなので当然ですが、落ち着いたトーンで歌うラーションの乙女。それに合わせるオケの主要主題パートは洒脱さです。中間部の馬で駆ける若者との対比は歌曲らしい適度なコントラストで安定的ですね。


第五楽章「春に酔える者」
ここでも流れはクールです。アゴーギクでテンポ変化させたくなる処を落ち着いたタクトでコントロールしています。従って中間部(展開部?)でも変化は少なめで、コントラストが強い流れとは一味違いますね。


第六楽章「告別」
提示部のアルトの伸びとフルートは印象的で流れにモード的な和声さえ感じます。フラットに感じるかもしれませんがラーションの表現力が素晴らしいですね。オケ・パートの展開部ではスローな中に抑えたアゴーギクで陰のある表情を作り、再現部はより提示部回帰的に感じます。ラーションがいいですね



クールな『大地の歌」です。時に調性を薄く感じさせる様な流れも見せながら、アゴーギク・ディナーミク共に抑えて全体的には落ち着いていますね。
スケルトンはヘルデン・テノール風に、ラーションは深みのある表現で素晴らしいですが、曲としてはオケと指揮者の個性が印象的かもしれません。

出し入れが強いパターンがお好きな方も、一度聴いてもらいたい感じですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

シルヴァン・カンブルラン/読響 のAltus新譜『マーラー 交響曲 第9番』を聴く


シルヴァン・カンブルラン Sylvain Cambreling
(読売日本交響楽団, Yomiuri Nippon Symphony Orchestra)
先月をもって読響の首席指揮者を退いたカンブルラン。昨年2018年4月20日のサントリーホールでのLive盤が発売されましたね。このコンサートは行ってきました。▶️ インプレです

正直なところそれほどの演奏では無かった気がしたのは私だけではなかった様でしたが、ミキシングとマスタリングの処理で録音(CD)ではどうなっているでしょう。極端なエラー以外はかなり調整幅はあるので気になりますね。(演奏エラーでさえ調整している事もある様ですが…)
本CDは4月発売でしたが、3月のカンブルランのコンサート会場では先行発売されていましたね。






第一楽章
序奏の管楽器が怪しげ、第一主題・第二主題もやや重めの流れで後半から反復で緊迫感を上げ第三主題で盛り上げますが、あまり特徴的ではありません。まとまりも今ひとつで、展開部も管楽器が冴えません。楽章全体の流れはスローをベースに陰鬱重めで悪くはないのですが。


第二楽章
主要主題は締まりよく、第一トリオは弾む様に、第二トリオでも管楽器が怪しい音を出しますねぇ。ややギクシャク気味で流れも個性に欠けますね。


第三楽章
主要主題はスローぎみで揃いが悪くもっさりとした感じで管楽器は怪しげ、副主題も同様です。驚きは中間部でテンポも落とさずスルッと通り抜けてしまいます。ただラストは荒れ気味なのが生きて激しさが決まりました。


第四楽章
主要主題は濃厚で暑苦しいアダージョ、第一エピソードは入りの低弦も怪しげw それ以外はスローパートは落ち着いています。山場が濃いめで疲れますが。第二エピソードは山場をガッツリ盛上げます。後半からはターン音型で鎮めてコーダへ向かいますが、ここは弦楽パートなので曲調通りですね。



なぜか落ち着かないマーラー9です。管楽器の怪しさ、ギクシャクした流れ、そういったものが強く感じられるにも関わらず一切遠慮のない演奏です。それが良さを見せるパートもあるのですが、全体としては一体感を感じられません。練習不足?!って言うこともないでしょうが、かなり残念な一枚になってしまいました

これが狙いならレアといえばレア(笑) コンサートの印象とほぼ変わらない結果でした。そう言えばカンブルランのコンサートで好みのマーラーに当たった事がありません。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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