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アルバン・ベルクの歌劇「ルル」:クリスティーネ・シェーファーのタイトルロールで


ベルクの代表作、未完の現代音楽オペラの傑作「ルル」です。
タイトルロールのクリスティーネ・シェーファーは現代音楽を得意としていてシェーンベルク「月に憑かれたピエロ」でも素晴らしい歌声?!を残していています。


Album Title | Composer
LULU (1928-未完)
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)
ここで使われている十二音技法(的な手法)は主音列の十二音をルルに割り当てて、その音列を様々な組合せ変更でシェーン博士・他のキャラクタに振り分けています。言われている事ですが、ワーグナーのライトモティーフの様ですね。

落ちぶれて娼婦に落ちる魔性のルル。その構造は■1)夫たち, 2)取り巻きたち, 3)客たち, の三つに分かれます。特徴的なのは■殺した夫シェーン博士(役)が 最後に客の切り裂きジャックで登場する事、他二人の死んだ夫(役)も三幕で客になる■興味ある第一・三幕シンメトリックな二役が設定されている事でしょう。また, ■第二幕でルルの"逮捕・裁判・投獄"が劇中無声映画で流される事ですね。

現代音楽家フリードリヒ・チェルハ補筆版の全三幕ヴァージョンです。1996年のグラインドボーン音楽祭、少々古いですがよく知られた一枚でしょう。

【配役】
 ・ルル:クリスティーネ・シェーファー [Christine Schäfer]
 ・シェーン博士/切り裂きジャック:ウォルフガング・シェーネ [Wolfgang Schöne]
 ・アルヴァ(シェーン博士の息子):デイヴィッド・クブラー [David Kuebler]
 ・ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:キャサリン・ハリーズ [Kathryn Harries]
 ・画家/黒人客(?*):ステファン・ドラクリチ [Stephan Drakulich]
 ・医事顧問/教授(客):ジョナサン・ベイラ [Jonathan Veira]
 ・シゴルヒ:ノーマン・ベイリー [Norman Bailey]
 ・衣裳係/ギムナジウムの学生/下僕頭:パトリシア・バードン [Patricia Bardon]
 ・猛獣使い/力業師:ドナルド・マクスウェル [Donald Maxwell]
 ・公爵/従僕/侯爵:ニール・ジェンキンス [Neil Jenkins]

【指揮】アンドリュー・デイヴィス [Andrew Davis]
【演奏】ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 [LPO]
【演出】グラハム・ヴィック [Graham Vick]

* 原題"ein Neger"ですが特に黒人として出てくる訳ではありません。





(日本語字幕付きで, わかり易いです)


演出
ヴィックの演出は、この時代のクールさを感じさせますね。古典的な演出からアヴァンギャルドに移行する時代のシンプルな洗練さです。残虐さやエロティックなシーン演出もそこそこで留めていますね。
個人的には、この陰惨なオペラには前衛のドロドロ演出の方が合っている気がしますね。


舞台・衣装
現代的な衣装はシンプルに、舞台もシンプルで狭いグラインドボーン・ハウスの舞台を生かしていますね。中央にせり上がりのある同心円で動く多重の回舞台もあって、この時代らしい20世紀末の洗練された印象です。


配役
まずは何と言っても95年のザルツブルクでもタイトルロールを演じているシェーファーですが、個人的には子供っぽく妖艶さに物足りなさを感じてしまいます。sopも美しいのですが魔性の色合いはありませんね。演技も薄めで小柄でベビーフェイスの小悪魔?、ちょっと違う感じでしょうか。
やっぱりシェーン博士/切り裂きジャックのW.シェーネの素晴らしさでしょう。見栄えと通りの良いバス・バリトンはこの役にピッタリでしたね。
その他顔ぶれも特筆はありませんが、バランスの良い顔ぶれでサポートしていましたね。あえて言えばアルヴァのD.クブラーのテノールと、シゴルヒ役ノーマン・ベイリーの存在感でしょう。


音楽
当時グラインドボーン音楽祭の音楽監督だったアンドルー・デイヴィスは、かなり音を広げて鳴らしている感じがします。歌唱パートはともかく、音楽自体も主役だと言っているかの様です。

ベルクの音楽自体はより調性に回帰指向が強くなっている最晩年ですから違和感はヴォツェックに比べたら無いに等しいでしょう。語りパートも決してシュプレッヒゲザングにはなりません。



約3時間と長いのですが、流れの明確な演出もあって飽きさせません。そして何と言ってもベルクの音楽の素晴らしさを楽しめる事でしょう。アンドルー・デイヴィスとLPOに拍手ですね。

ただこのストーリーの渦巻く猜疑心や凄惨な流れとは対極にある演出は、きれいにまとまり過ぎの気がします。3人の夫他周囲を死に巻き込み、殺人罪で最後は娼婦に落ちぶれて死を迎えるのですから。今風のアヴァンギャルドな演出で楽しみたいですね。

とは言え、名作をすんなり楽しめるオススメDVDです。



独語+仏語字幕でOKならば、全編YouTubeで観られます!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アルバン・ベルクの歌劇「ヴォツェック, Wozzeck」を個性派ブルーノ・マデルナのDVDで

このブログのメインは現代音楽なので、約50年前の古いこの映画版DVDの注目ポイントはブルーノ・マデルナです。


Conductor
ブルーノ・マデルナ
(Bruno Maderna, 1920-1973)
個人的に好きな現代音楽家で指揮者です。前衛全盛期にトータル・セリエルを牽引し、指揮者としてはあのシェルヘンに師事して超個性的で素晴らしいマーラーやシェーンベルクを残していますね。(インプレしてあります)


Album Title | Composer
ヴォツェック Op.7 (Wozzeck, 1925年)
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)
新ウィーン楽派の中ではシェーンベルクと共に好きな音楽家です、ヴェーベルンは苦手ですがw
「ルル」と並ぶベルクの代表作オペラですね。三幕それぞれが明確な音楽構成を持っていて、"I. 5つの性格的作品" - "II. 5楽章交響曲" - "III. 6つのインヴェンション"、ですね。各幕・各場は舞台と整合して、三幕五場の作品となっています。(第三幕には間奏曲が入って"6つの…"となります)

ルル同様陰惨な作品になりますが、その両者を合わせた様なB.A.ツィンマーマンの名作「兵士たち」の元にもなっていますね。現代音楽オペラ(映像付き)は、作品により所謂(いわゆる)オペラと楽しみ方も違う事があります。今回のポイントは2つです。

■ 救済も大団円も無い陰惨ドロドロのストーリー。
マデルナ指揮のベルク現代音楽としての楽しみ。





(所有盤は左です。右は国内発売盤ですね)


音楽
無調ですが旋律感は強いので、前衛現代音楽としては聴き易いですね。歌唱は音の跳躍が大きく、一部はシュプレッヒゲザングになって 前衛初期の時代を感じさせてくれますね。特に役柄によってシュプレッヒゲザングを強くしているのも印象的です。
一幕では十二音技法が使われていますが、それは技法的にであり旋律と言ったものが存在するのがベルクらしさですね。第二幕はより調性感が強く交響曲構成で聴き易く、第三幕はセリエル的なパートを感じます。間奏曲は多調の後期ロマン派的ですね。(構成上はフィニッシュ前のコーダの位置付けになります)

マデルナは例によって派手な出し入れの強い流れを作ります。ただ声楽が主役のオペラですから得意の極端なアゴーギクの振りは避けている様です。それでもメリハリの良さは音楽だけを楽しんでも十分満足できるでしょう。


配役
唯一表情豊なタイトルロールのトニ・ブランケンハイム(Toni Blankenheim)が印象に残ります。ただ映画版なので、自由度の高い映像とセッション録音で作り込まれた完成度になるでしょう。舞台と違い映像と歌唱(音楽)の一体感が薄く、ここで配役の印象をコメントするのは難しいと思いますね。(映像無しで聴いた方が素晴らしさを感じます)


演出
1970年前後のオペラは時代背景に忠実に作られていますから、ここでもその様な設定(1820年頃)になっていてストーリーも基本通りですね。今の演出は現代の舞台設定やアヴァンギャルドですから、基本を知らないと その面白さがわかりづらいのが事実です。
個人的には、この作品こそドロドロの前衛演出で楽しみたいとは思いますが。


完成度が高くストーリーもわかり易いのですが、映画版はどうしても好きになれませんねェ。映像なしで音楽だけ楽しむ方が曲や歌唱の素晴らしさが満喫出来ます。問題は独語の歌詞だけでは追いづらい事でしょうか。

マデルナのコントラストの強い流れと、各配役のいずれも完成度の高い歌唱を期待する貴方にはオススメです。もちろんカラーで音も問題ありませんがmonoなのでご注意を。



なんとYouTubeで英語字幕付き全編観られます!




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2019-20アン・デア・ウィーン劇場公演 モニューシコ 歌劇「ハルカ」をNHKプレミアムシアターで観る

19世紀のポーランドの音楽家 スタニスワフ・モニューシュコ(Stanisław Moniuszko, 1819-1872)のオペラ「ハルカ, Halka」です。男性主役、演出、指揮者、含めてポーランド布陣による公演ですね。演出のM.トレリンスキに知見がありませんので、どの様な舞台になるか楽しみです。


■ 超あらすじ
【第一幕】領主ヤヌシュと名門令嬢ゾフィアの婚礼の会場。そこにヤヌシュに弄ばれた村娘ハルカが現れますが、ヤヌシュに言いくるめられてしまいます。
【第二幕】村の青年ヨンテックがハルカに騙されている事を伝えると、たまらず婚礼会場に向かいます。領主であるヤヌシュはヨンテックにハルカを何とかする様に言います。
【第三幕】正気を失って行くハルカ、ヨンテックはハルカがヤヌシュに遊ばれた事を村人に伝えます。
【第四幕】教会に向かうヤヌシュとゾフィア、それを祝う村人たち。ハルカは火を放とうとしますが止まり、川に身を投げます。教会から出てきた人々は、その事実を知りますが領主の婚礼の祝いはそのまま過ぎていきます。



Halka2019NPC.jpg
(オフィシャルサイトより)



1. 演出
設定を現代のホテルにして、裕福な婚礼客(領主の結婚)と従業員(村人)という構図になっていますね。そして舞台上にはプロジェクションマッピングと、今の時代らしい設定です。ハルカの赤ちゃんのシーンで一瞬グロテスクさが出るかと思いましたが、大丈夫でした。今の時代の演出はその手の危険性が高いですからねw と言う訳でアヴァンギャルドではありません。
前奏曲の際に舞台では事件の検視の様なシーンを持ってきているのはヤヌシュが引きずる背景設定の様ですね。

2. 舞台・衣装
回り舞台に階層の構造物とお金をかけていますね。衣装は現代風(ミニスカートとベルボトムは1970年代風?)です。全体的にモノトーンで合わせてありクールな感じでした。回り舞台は多用されて効果的に見えましたね。

3. 配役
男性陣では、ヨンテックのベチャワは太りましたねぇ。でも流石のテノールを聴かせてくれました。もちろん演技もビシッと決まっていました。
ヤヌシュ役のコニェチュニも良かったですね。バス・バリトンもさる事ながら、演技も好感が持てました。悪いヤツに見えないのが弱点といえばそうだったかもしれませんね。そう言えば2018バイロイトのローエングリンでもベチャワと一緒でしたね。その時のテルラムントでも悪さが足りない気がしたのを思い出しましたw

女性陣、タイトルロールのコリーン・ウィンターズはspoは朗々として、態度も堂々、本来のストーリー上のイメージとは少々印象が違いました。
ゾフィアは、シックな上流階級のお嬢様というよりも活発元気な女性の設定です。カヴァウェクは見た目も含めてピッタリでしたね。

4. 音楽
演奏は控えめに感じました。録音の問題もあるかもしれませんが、もう少し前に出てきても良かった気がしました。いかがでしょう。


女性陣二人の設定がイメージと違ったのは、現代の設定にした演出なのでしょう。男性陣は楽しませてくれましたね。

全体的に演出の上手さを感じました。意外ですが舞台と衣装の統一感も印象的で、クールに引き立てていましたね。



<出 演>
 ・ハルカ:コリーン・ウィンターズ [Corinne Winters]
 ・ヨンテック:ピョートル・ベチャワ [Piotr Beczała]
 ・ヤヌシュ:トマシュ・コニェチュニ [Tomasz Konieczny]
 ・ゾフィア:ナタリア・カヴァウェク [Natalia Kawałek]

<合唱指揮> エルヴィン・オルトナー
<合 唱> アルノルト・シェーンベルク合唱団
<管弦楽> ウィーン放送交響楽団
<指 揮> ウカシュ・ボロヴィチ [Łukasz Borowicz]
<美 術> ボリス・クドリチカ [Boris Kudlička]
<衣 装> ドロタ・ロケプロ [Dorothée Roqueplo]
<照 明> マルク・ハインツ [Marc Heinz]
<映 像> バルテク・マシアス [Bartek Macias]
<演 出> マリウシュ・トレリンスキ [Mariusz Treliński]


収録:2019年12月15・17日 アン・デア・ウィーン劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エクサン・プロバンス音楽祭2019 クルト・ヴァイルの歌劇「マハゴニー市の興亡」をNHKプレミアムシアターで観る

ドイツの近現代音楽家クルト・ワイル(Kurt Weill 1900-1950)のオペラ「マハゴニー市の興亡」(1930年, Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny)ですね。

台本はベルトルト・ブレヒトになります。ブレヒトとのコンビでは1928年に"マック・ザ・ナイフ"で有名な「三文オペラ」を大ヒットさせていますね。ヴァイルはナチスから逃れるため1935年に米国に移住してからはミュージカル音楽の世界に踏み入れてジャズやポップにも影響を与えている様です。

演出イヴォ・ヴァン・ホーヴェは尖った演出をする印象があるのですが、今回も危なさがあるのかも興味のポイントですね。(2017年のサロメはグロテスクさに腰が引けました)


■ 超あらすじ
  (ゴールドラッシュ時代のアメリカ)

【第一幕】場所の知れない荒野で指名手配犯3人(ベクビク, ファッティ, モーゼ)の車がストップし身動きが取れなくなります。そこで3人は"マハゴニー"という享楽の町を作り一儲け企みます。そのマハゴニーに4人のアラスカの木こり達(ビル, ジム, ジャック, ジョー)が楽しみを求めてやってきます。歓楽の町でジムは失望しながら売春婦ジェニーに出会い、町の規制を破り棄てます。
【第二幕】欲望に浸る中で、ジャックは食べ過ぎで死に、ジョーはボクシングでモーゼに撲殺されてしまいます。
【第三幕】ジムは様々な容疑と無支払で死刑となります。腐敗し火に落ちる町"マハゴニー"にデモが現れ、残ったビルがジムの棺を担いで行進して幕となります。


Festival_D_Aix2019.jpg
(写真はオフィシャルサイトからお借りしました)



演出
舞台上にカメラマンを配置して、その映像を大型モニターに投影すると言う設定ですね。インスタレーション系に踏み込んでいる感じです。ただ処々で背景に映像を入れる事自体はデフォルトで設定されている様です。
ただ流れ的にはやや寂しく、過食死やボクシング僕殺などはもっと派手なシーンを作っても良かった気がしました。ジェニーとジムの関係もはっきりしませんでしたね。

舞台・衣装
暗くてシンプルな舞台は今風で、上記の大型モニターが置かれます。そこにリアルタイムの映像が映されるのは斬新で、臨場感が上がりますね。衣装は当時の労働者風です。

配役
まず男性陣ですが、モーゼ(ウィラード・ホワイト)、ファッティ(アラン・オーク)は声・演技ともに地味ですね。期待したジム(ニコライ・シュコフ)も声は良いのですが人物設定が不明瞭で男性陣は今ひとつの感じでした。

一方の女性陣、悪役側ベクビクのカリタ・マッティラは、ラトルの"グレの歌"で素晴らしいトーヴェの記憶があります。今回の演技の内容と表情は全く別人ですねw 役作りはピッタリでしたが、sopはトーヴェで聴かせた優しさが感じられてしまいました。
ジェニー役のアンネッテ・ダッシュは、何と言っても2011バイロイトの"ネズミのローエングリン"でエルザ役の印象が残りますね。マッティラと同じく演技と容姿は役に合わせていて、ここでは売春婦的です。声にも伸びと尖ったsopが感じられましたね。

音楽
先ずは語りパートが多い事に気がつきますね。近現代音楽としては旋律感もあって、声楽パートも特異性はないので安心して楽しめます。その分中途半端感と背反ですが。なんとなくガーシュインやバーンスタインの様な音も感じる処もあります。
演奏はサロネン/フィルハーモニア管らしい落ち着いたコントロールとメリハリの管楽器を感じましたね。


原作のキャラクターと人間関係の不明瞭さが一番だと思いますが、イヴォ・ヴァン・ホーヴェの演出の切れ味も弱く、まとまりと山場に欠ける感じでした。

近現代の音楽と享楽のストーリー設定ですから、もっと出し入れの強いアヴァンギャルドな流れを作ってくれたら少しは楽しめた様な…
(現代音楽と前衛演出好きですが、今回は残念でした)


<出 演>
 ・レオカディア・ベクビク:カリタ・マッティラ [Karita Mattila]
 ・支配人ファッティ:アラン・オーク [Alan Oke]
 ・三位一体のモーゼ:ウィラード・ホワイト [Sir Willard White]
 ・ジェニー:アンネッテ・ダッシュ [Annette Dasch]
 ・ジム:ニコライ・シュコフ [Nikolai Schukoff]
 ・ジャック:シーン・パニッカー [Sean Panikkar]
 ・ジョー:ペイジン・チェン [Peixin Chen]
 ・ビル:トーマス・オリーマンズ [Thomas Oliemans]

<合唱指揮> リチャード・ウィルバーフォース
<合 唱> アンサンブル・ピグマリオン
<管弦楽> フィルハーモニア管弦楽団 [Philharmonia Orchestra]
<指 揮> エサ・ペッカ・サロネン [Esa-Pekka Salonen]
<美術・照明> ヤン・ヴァースウェイヴェルド [Jan Versweyveld]
<衣 装> アン・デュハウス [An d’Huys]
<映 像> タル・ヤーデン [Tal Yarden]
<演 出> イヴォ・ヴァン・ホーヴェ [Ivo van Hove]


収録:2019年7月4・11日 プロバンス大劇場(フランス)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミラノ・スカラ座 2019/20開幕公演 プッチーニの歌劇「トスカ」を円熟のA.ネトレプコで。 NHKプレミアムシアター。

先月行われたTeatro alla Scalaシーズン開幕公演が早速登場ですね。今や恒例となり嬉しい時代になりました、生きているもんですね。(笑)

プッチーニの超人気オペラ「トスカ, Tosca」に, 歌姫ネトレプコ, メーリ, シャイーと役者が揃いましたね。今や演出が主役となりかねないのでリーベルモルが気になる処ですが、昨シーズン開幕公演「アッティラ」での印象は舞台設定は派手ですがその他はコンベンショナルだった気がします。



(公式Trailerです)



演出
リーベルモンらしい演出と言って良いですね。重厚舞台に進んだプロジェクション・マッピング、ストーリーには手を付けずに、と今や希少な王道的で安心感がありますね。個人的にはアヴァンギャルドの方が好みではありますが。
(音楽監督シャイーは今回初稿を選んだそうですがよくわかりませんでした…汗 第二幕でカヴァラドッシが囚われた部屋にトスカが現れてしまうのは初稿? それとも演出でしょうか)

舞台・衣装
古典風重厚な道具を配してせり上がりや回り装置を生かしたお金のかかった舞台です。そこに動的なプロジェクション・マッピングを入れるのはリーベルモンらしさでしょうね。衣装も適度に時代考証された風で、全体的に今の時代としてはまさに古典的な印象と言った感じです。

配役
ネトレプコのタイトルロールは何回目でしょう。48歳になり今やドラマティコの様なsopと嫉妬深い熱演は流石でしたね。山場, 第二幕 "歌に生き, 愛に生き" は舞台演出も合わせて魅せてくれました。
・男性陣ではカヴァラドッシのメーリは落ち着いたテノールで、トスカとの対比を作りました。二人のDuoは聴かせ処でしたね。この二人のセットは多い気がしますね。ザルツブルク音楽祭2017「アイーダ」の二人も良かった記憶があります。
・悪徳総監スカルピアのサルシは見栄え・演技・バリトン共に役にピッタリしていました。今まであまり好印象がなかったので期待以上でしたね。第二幕のサルシは光りました。
・脱獄犯アンジェロッティのチーニ、スカルピアの副官スポレッタのボシ、は少し軽い印象でした。

音楽
2017年から音楽監督を務めるシャイーは、程度な陰影付けは感じましたが、演奏に思わず耳を傾ける様な事はしませんでしたね。


古典的で派手な演出の中、メインキャスト三人が楽しませてくれましたね。今やシンプル舞台に前衛演出がメインとなるオペラですが、懐かしささえ感じました。

ネトレプコは益々トスカにピッタリになりましたね。若い頃の細くて美しい彼女が似合った"ラ・ボエーム"のミミとは違う世界になってきました。



<出 演>
トスカ:アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
カヴァラドッシ:フランチェスコ・メーリ [Francesco Meli]
スカルピア男爵:ルカ・サルシ [Luca Salsi]
アンジェロッティ:カルロ・チーニ [Carlo Cigni]
スポレッタ:カルロ・ボシ [Carlo Bosi]


<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー [Riccardo Chailly]
<演 出> ダヴィデ・リーベルモル [Davide Livermore]


収録:2019年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ザルツブルク音楽祭2019 オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」をNHKプレミアムシアターで観る


今年のザルツブルク音楽祭(Salzburger Festspiele)から、人気の演出家バリー・コスキーによるオッフェンバック(Jacques Offenbach) の「天国と地獄 (Orphée aux enfers)」です。これをTVで観られるのが嬉しいですね。

コスキーは2017年のバイロイト音楽祭「マイスタージンガー」で面白い演出を見せたのを思い出します。今回は神の世界の破茶滅茶ぶりをどう捌いてくれるのか楽しみです。



(euronewsからの出演者解説付き超ダイジェストです)



演出
一部流れに変更を加えつつ始めから終わりまで破茶滅茶です。息つく暇も有りませんね。徹底しています。細かい事はその陰に隠れてしまいますが、配役に擬音・語り手を入れたり、衣装も表情作りもグロテスク・エロティックな表現でしたね。その徹底さがコスキーらしい演出になるでしょう。

舞台・衣装
コスキーの破茶滅茶演出に沿った極端な衣装の対比が笑いにスパイスを加える様でした。ジュピテルは約束通りハエになっていましたが卑猥な衣装でしたね。舞台は今流行りの暗い背景主体です。

配役
世論のフォン・オッターは相変わらず美しいですが老けた印象です。(まぁ64才ですから…笑)
ウリディスのキャスリーン・リーウェック一人が歌唱・演技・体型?!共に光りましたね。ハエのジュピテルとの"ジー・ジー"二重唱(Duo de la Mouche)は過激なエロティック・コメディでした。近年では驚きませんね。ステュクスは役者のM.ホップを採用して擬音と語りパートで孤軍奮闘なのですが、これが今回演出の一つの見せ場ですね。
それ以外はコスキーの破茶滅茶演出の範疇になるでしょう。なにせ個々の個性を超えた極端さですから。

音楽
オケなしの語りパートが多くて、その方が印象に残りましたね。


全面破茶滅茶狂気のコスキー演出の徹底したエンターテイメントでしたね。他の全ては、その陰に隠れた感じです。神の世界狂気「天国と地獄」らしさ炸裂の楽しさでした。

どんどん過激になるコスキーの次回演出作品が楽しみですね。


<出 演>
 ・世論(Public Opinion):アンネ・ソフィー・フォン・オッター [Anne Sofie von Otter]
 ・ジョン・ステュクス:マックス・ホップ [Max Hopp]
 ・ウリディス:キャスリーン・リーウェック [Kathryn Lewek]
 ・オルフェ:ホエル・プリエト [Joel Prieto]
 ・アリステ/プリュトン:マルセル・ビークマン [Marcel Beekman]
 ・ジュピテル:マルティン・ヴィンクラー [Martin Winkler]

<合 唱> ベルリン・ヴォーカルコンソート
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> エンリケ・マッツォーラ [Enrique Mazzola]
<演 出> バリー・コスキー [Barrie Kosky]


収録:2019年8月12・14・17日 モーツァルト劇場(ザルツブルク)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ロッシーニのオペラ「オリー伯爵」2011年 チューリッヒ歌劇場公演:好色コメディーの演出が光りました [DVD]


オリー伯爵 (Le Comte Ory, 1828年)
イタリア人作曲家ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini, 1792/2/29 - 1868/11/13)がフランスに移ってからの歌劇ですね。

元はフランス国王シャルル10世の即位のために書かれた戴冠式用限定オペラ「ランスへの旅」です。その音楽を流用して、好色者として知られたオリー伯爵を題材にした作品ですね。個人的に好きなオペラの一つです。

2011年12月31日 チューリッヒ歌劇場での収録です。

【配役】
 ・オリー伯爵:ハヴィエル・カマレナ [Javier Camarena]
 ・アデル伯爵夫人:チェチーリア・バルトリ [Cecilia Bartoli]
 ・イゾリエ(オリー伯爵の小姓): レベッカ・オルヴェラ [Rebeca Olvera]
 ・教育係(オリー伯爵付き):ウーゴ・グアリアルド [Ugo Guagliardo]
 ・ランボー(オリー伯爵の仲間):オリヴァー・ヴィドマー [Oliver Widmer]
 ・ラゴンド夫人(アデル伯爵夫人の侍女頭):リリアーナ・ニキテアヌ [Liliana Nikiteanu]

【指揮】ムハイ・タン [湯 沐海, Mu-hai TANG]
【演奏・合唱】チューリッヒ歌劇場管弦楽団・同合唱団
【演出】モーシェ・レイザ & パトリス・コリエ [Moshe Leiser & Patrice Caurier]






DVDになります


演出
レイザーとコリエの演出です。オリジナルは1200年代の十字軍の時代設定ですが、ここでは1900年代前半。オリー伯爵はキャンピングカーで流浪する盲人の神父に化けている設定ですね。好色コメディタッチを十分に効かせた演出で、この歌劇を楽しませてくれた感じです。イゾリエと伯爵夫人が…の演出は一歩踏み込んでいるかもしれませんねw


舞台・衣装
ヨーロッパの古い町並みを背景にしていますね。女性の衣装はロカビリー時代の様なヒラヒラです。舞台にはシトロエン2CVなどのフランス車が実車で登場しますね。


配役
タイトル・ロールのハヴィエル・カマレナは伸びの良いテノール、役柄らしい演技で楽しませんてくれましたね。ランボーのオリヴァー・ヴィドマーはあまり目立たず、第二幕ワインのシーンだけでした。教育係のウーゴ・グアリアルドは微妙なコミカルさで上手かったですね。

女性陣、アデル伯爵夫人のチェチーリア・バルトリがコロラトゥーラも聴かせて、ドラマティコとまでは行かないでしょうがしっかりとしたsopで、濃い表情の演技と共に流石でした。"ズボン役"で女性が演じるオリー伯爵の小姓イゾリエのレベッカ・オルヴェラは演技も良く、mezは良い声でした。残念なのは可愛さが欲しい役どころですが、見た目が老け気味だった事です。ラゴンド夫人のリリアーナ・ニキテアヌは今ひとつの声と演技でした。


音楽
古楽器での演奏でしたね。でもそれは聴いただけではわからない、と言ういのが印象です。



エロティック・コメディーの味付け(演出)と、タイトル・ロールとアデル伯爵夫人の二人がマッチしてとても楽しい喜劇オリー伯爵になっていましたね。

個人的には同年のメトのJ.D.フローレスのオリー伯爵の方が好みではありますが。



テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽





グラインドボーン音楽祭2019 モーツァルトの歌劇「魔笛」をNHKプレミアムシアターで観る


今年の夏の英グラインドボーン音楽祭(Glyndebourne Festival Opera)からモーツァルトの人気オペラ「魔笛 (The Magic Flute)」カナダの演出Duoのバルブ&ドゥセーによる演出ですね。



(見せ場の一つ、夜の女王の第二幕アリアです)


魔笛の演出(舞台・衣装含む)ですと、古いジョン・コックスやグース・モスタートの古典的なパターンが頭にあります。近年では面白い宮本亜門さんの演出もありましたが…
さて、バルブ&ドゥセー(André Barbe と Renauld Doucet)はどう楽しませてくれたのでしょうか。


演出
舞台と時代設定は、20世紀初めの老舗ホテルだそうです。ザラストロは料理長、夜の女王は女主人という対決設定ですね。
喜劇的シーンも上手く仕込んでいましたが、全体的にすっきりしない流れに感じました。タミーノとパミーナ二人が火と水の試練を乗り越えるのが料理人設定で、そこで笑いを取りましたが、それは違う様な。
最後にアヴァンギャルドな演出が残されていますね。(女性・人種問題と絡めてました)

舞台・衣装
舞台道具は手書き風で二階を作ったりと、今の時代としては大きな設置です。衣装は20世紀初めの印象ですね。近現代ですが、パパゲーノはかつての鳥の羽を思わせる緑のスーツを着ています。

配役
女性陣ではパミーナ(S.フォミナ)のsopは良かったですね。強い女性の印象は設定でしょうか。夜の女王(K.ヴェッテグレン)は、見た目も優しいsopでしたね。かの夜の女王のアリア(第二幕)ではコロラトゥーラに余裕が感じられませんでした。第一幕では少々金切声っぽかった様な。パパゲーナ(A.ローズ)は、"パパパ"の二重唱で最高の演出を含めて楽しませてくれました。このシーンは本舞台一番でした!!
男性陣タミーノ(D.ポルティーヨ)は生真面目っぽいテノールで 役にはあっていたと思いますが、何となく控え目でしょうか。役得のはずのパパゲーノ(B.ビュルガー)は前半は演技も控え目でした。でも後半はコメディーさが増して楽しませてくれましたね。ザラストロ(B.シェラット)は落ち着いた良い気配とバスでしたね。舞台が締まりました。

音楽
ウィグルスワースは序曲では速めのメリハリ付けが印象的でしたね。劇中ではもちろん特別に感じる様な事はありませんでした。


前半はもやもや、後半に面白さを見せた"魔笛"でした。ラストは夜の女王が復活してパミーナやザラストロと仲直りするのも今の時代らしい前衛的演出でしたね。

前半(第一幕)にも"パパパ"の様なシーンが演出されれば、楽しい"魔笛"だったという気がします。


<出 演>
ザラストロ:ブリンドリー・シェラット [Brindley Sherratt]
タミーノ:デイヴィッド・ポルティーヨ [David Portillo]
夜の女王:カロリーネ・ヴェッテグレン [Caroline Wettergreen]
パミーナ(夜の女王の娘):ソフィア・フォミナ [Sofia Fomina]
パパゲーノ:ビヨルン・ビュルガー [Björn Bürger]
パパゲーナ:アリソン・ローズ [Alison Rose]

<合 唱> グラインドボーン合唱団
<管弦楽> エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団
<指 揮> ライアン・ウィグルスワース [Ryan Wigglesworth]
<演出・美術・衣装> バルブ&ドゥセー [Barbe & Doucet]


収録:2019年8月4日 グラインドボーン音楽祭歌劇場(イギリス)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アンナ・スミルノワのアビガイッレが光る, 2019年 チューリヒ歌劇場公演 ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」NHKプレミアムシアター

本年6月の「Nabucco Oper Zürich 2019」旧約聖書を題材にしたヴェルディの初期オペラ「ナブッコ」ですね。

オペラ・セリアの流れをくむ派手で大向こうを唸らせる印象のナブッコですが、今回のキモ?はやっぱり演出のホモキさんでしょうねぇ。日本でもお馴染みですが、濃い色付けでしょうね。きっと…



(公式Trailerです)



演出
王位を巡るストーリーを家族の物語に展開するホモキの演出だそうです。そう言われてもわかりませんね、まぁ原作も家族と言えばそうなのですが…
ナブッコらしく歌劇団のメンバーも小さな舞台に溢れる様に出てきます。ただ動きがあるので違和感はなく惹き込まれた感じはありましたね。メインキャストも同じ様に表情と動きがある演出でした。メリハリを付けるホモキ演出らしさでしょうか。少しだけいじってあるとすれば、アビガイッレが銃で自殺になっていてその音も入っている事くらいでしょう。

舞台・衣装
舞台は暗くグリーン基調のシンプルそのもの。大きな壁があるのみです。衣装は二世紀くらい前の欧州の様相で、ネイチャーカラーで統一されています。(兵士はブルー系) 大きな壁は分断の象徴だそうです。

配役
男性陣, タイトルロールのミヒャエル・フォレは堂々たる演技とバリトンで楽しませてくれましたね。役柄ピッタリでした。
イズマエーレ役のベルネームは少し印象が薄い感じでした。
ザッカーリアのツェッペンフェルトはいつもの通りのツェッペンフェルトです。(笑) スマートなバス・バリトンと容姿でクールで役を引立てていましたね。ただ声が前に出ていない様な。

女性陣はアビガイッレ役スミルノワは、伸びの良いソプラノを聴かせました。表情・演技も舞台映えしたと思います。見た目の太さに目をつぶれば今回のベスト・キャストでしょうねw
フェナーナのシメオーニはスミルノワに比べると声・演技共に控えめの印象でしょうか。

チューリヒ歌劇場合唱団には東洋系の男女が多く見られ違和感を感じます。欧州の話ですからねぇ。

音楽
F.ルイージは来日コンサートでは割と激しさを見せたりする印象ですが、まぁオペラだとどうしても舞台を中心に観るので特筆はありませんね。


狭い舞台ながらシンプルな配置と動きのある配役の演出で楽しませてくれたのではないでしょうか。配役ではタイトルロールとアビガイッレの二人が光りました。特にアビガイッレ役のスミルノワは見事に感じましたね。

ストーリーに前衛性を盛り込んでも面白かった気がしましたね。今やストーリー自体にさえ手を加える時代ですから。そうでなければアレーナ・ディ・ヴェローナの様な屋外の大劇場に時代背景の派手な舞台が"ナブッコらしい"気がします。



<出 演>
ナブッコ(バビロニア王):ミヒャエル・フォレ [Michael Volle]
イズマエーレ(エルサレム王のおい):バンジャマン・ベルネーム [Benjamin Bernheim]
ザッカーリア(ヘブライの大祭司):ゲオルク・ツェッペンフェルト [Georg Zeppenfeld]
アビガイッレ(ナブッコが奴隷に産ませた娘):アンナ・スミルノワ [Anna Smirnova]
フェネーナ(ナブッコの娘):ヴェロニカ・シメオーニ [Veronica Simeoni]

<合 唱> チューリヒ歌劇場合唱団
<管弦楽> フィルハーモニア・チューリヒ
<指 揮> ファビオ・ルイージ [Fabio Luisi]
<美 術> ウォルフガング・グスマン [Wolfgang Gussmann]
<衣 装> ウォルフガング・グスマン
ズザーナ・メンドーザ [Susana Mendoza]
<照 明> フランク・エヴァン
<振 付> チャン・キンスン
<演 出> アンドレアス・ホモキ [Andreas Homoki]


収録:2019年6月21・23日 チューリヒ歌劇場(スイス)

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マドリード・レアル劇場公演 モーツァルト 歌劇「イドメネオ」を NHKプレミアムシアターで観る

本年2月のTeatro Real、モーツァルト中期のオペラ「イドメネオ, Idomeneo」ですね。人気オペラはこの後の後期モーツァルト得意のオペラ・ブッファ時代です。それ以前のオペラ・セリア時代作品ですから背景はギリシャ神話、演出のロバート・カーセンどんな作品に作り込んでいるのか楽しみですね。



(ハイライトシーンです)



演出
時代を現代に設定し、トロイアの人達と王女イリアが難民キャンプに、ギリシャ側のイドメネオ達が軍人たち、です。亡命したアルゴスの王女エレットラはもちろん軍服です。ストーリー的にはアヴァンギャルドさはありませんね。残念なのは舞台や情景や人物が全体的にもっさりとした事でしょうか。登場する合唱団員も100人以上で動き少なく、それも足を引っ張っていた様な気がしました。

舞台・衣装
舞台をシンプルに大きく使う印象で変化は少ないですね。舞台装置・衣装は現代風、そして荒れる海など背景はプロジェクションマッピングを大きく使います。今の時代のオペラらしい設定ですね。

配役
男性陣、タイトルロールのエリック・カトラーのテノールに冴えがありませんでした。イダマンテ役のポルティージョの方が演技共に上回った感じでしょうか。
女性陣、イリア役のアネット・フリッチュのsopは今ひとつでしたが、エレットラのエレオノーラ・ブラットは声も伸びがよく、演技も良かった気がします。
ただ残念ながらいずれも惹きつけてくれる様な配役ではなかった様な…

音楽
チェンバロ伴奏で歌うレチタティーヴォ・セッコがあるのが時代を感じますね。オケは基本的に抑え気味の感じがしました。


主役陣と舞台の流れが平板・フラットでやや退屈に思え、長いオペラに感じてしまいました。3時間のオペラですから、演出か配役でもう少しスパイスを効かせて欲しかった気がします。

実はこの公演は海外では珍しくダブルキャストだった様で、もう一方のキャスティングはどうだったのかな?!などと思ってしまいました。



<出 演>
 ・イドメネオ:エリック・カトラー [Eric Cutler]
 ・イダマンテ:ダビー・ポルティージョ [David Portillo]
 ・イリア:アネット・フリッチュ [Anett Fritsch]
 ・エレットラ:エレオノーラ・ブラット [Eleonora Buratto]
 ・アルバーチェ:ベンジャミン・ヒューレット [Benjamin Hulett]

<合 唱> マドリード・レアル劇場合唱団
<管弦楽> マドリード・レアル劇場管弦楽団
<指 揮> アイヴァー・ボルトン [Ivor Bolton]
<演 出> ロバート・カーセン [Robert Carsen]


収録:2019年2月25・27日 マドリード・レアル劇場(スペイン)

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