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ハンブルク国立歌劇場2021 シュトラウス歌劇「エレクトラ」をNHKプレミアムシアターで観る


昨年(2021)末のハンブルク国立歌劇場、R.シュトラウスの個性作品「エレクトラ Elektra」ですね。作品内容もさる事ながら演出がD.チェルニャコフですからただでは済まないでしょうw

今までも "2021バイロイト さまよえるオランダ人" や "2017エクサン・プロバンス カルメン" でハチャメチャな演出を見ている訳ですから。

個人的にシュトラウスのオペラならば「薔薇の騎士」よりも「サロメ」「エレクトラ」が好きですね。



オフィシャルのTrailerです


演出
例によってラストの書き換えが凄いです。原作にはないシーンになってしまいますね。時代背景は近現代に置き換えられています。

本来復讐の達成の喜びで部屋で踊り死すエレクトラがエンディングですが、今回そこには弟に復讐殺害された母親と愛人二人が運び込まれ、最後はオレストが妹クリソテミスも殺害してしまうという大変則のラストです。やっぱりチェルニャコフでした。そして三人の姉/兄/妹に奇妙なエロティックさを振るのも意味深でしたね。他にも斧を掘らないとか変則シーンはありましたが。

舞台・衣装
舞台はお屋敷の部屋を再現して、細かく調度品を配置されています。現代のオペラ舞台としては古典的ですね。衣装も近現代風で揃えられていて全体として一昔前的な舞台演出の印象を受けますね。

配役
【女性陣】タイトルロールのA.ストゥンディーテはどこを取っても難曲のパートをクリテムネストラとエギストへの怒りの狂気で歌い上げています。そして奇妙なエロティックさ、これぞエレクトラです。
その母クリテムネストラのV.ウルマーナはエレクトラと狂気を対比させる様に自らへ向かせて歌います。演技も見事で、この二人の狂気が見ものでしたね。
クリソテミスのJ.ホロウェイは一番声が伸びて良かったですね。キャラ的に演技・風貌もフィットしていました。

【男性陣】弟オレストのL.ヴァサルは徹底徹尾抑えた歌唱と演技で、エレクトラの投影像の様です。
エギスト端役の偉そうな道化で、J.ダザックもそんな感じでしたね。まぁこのオペラでは男性陣は出番が少ない訳で。

音楽
全歌唱パートを通してそれまでの心地良い機能和声からの逸脱を感じますね。調性なのですが歌唱に心地良い旋律は皆無で、時にオケとはポリフォニカルな対位的関係が作られています。今の時代のオペラに通じる楽曲構成ですね。


一にも二にもチェルニアコフの"エレクトラ"でした。まぁ予想通りと言う奇抜なエンディングだったでしょうか。

本来父親を殺された母親と愛人に対する姉弟の復讐のはずが、最後は妹まで殺害して母親と姉妹家族全員へのオレストの復讐劇に書き換えられていた訳ですね。

ただチェルニアコフの演出もなんとなく類型化して、最後にオリジナルにはない殺害シーンを入れる訳ですが本作はそれ以外のストーリーの弄りは控え目だった様に思えます。



【出演】
  ・エレクトラ:アウシュリネ・ストゥンディーテ [Ausrine Stundyte]
  ・クリテムネストラ:ヴィオレッタ・ウルマーナ [Violeta Urmana]
  ・クリソテミス:ジェニファー・ホロウェイ [Jennifer Holloway]
  ・エギスト:ジョン・ダザック [John Daszak]
  ・オレスト:ラウリ・ヴァサル [Lauri Vasar]

【合唱】ハンブルク国立歌劇場合唱団
【管弦楽】ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
【指揮】ケント・ナガノ [Kent Nagano]
【演出】ドミトリー・チェルニアコフ [Dmitri Tcherniakov]


収録:2021年12月11日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ブレゲンツ音楽祭2019 ヴェルディ歌劇『リゴレット』をNHKプレミアムシアターで観る

2019年のブレゲンツ音楽祭(オーストリア)からヴェルディのオペラ「リゴレット, Rigoletto (1851)」です。
ブレゲンツと言えば湖上の特設ステージの派手さですね。今回も派手なステージが期待できそうですが、P.シュテルツルの演出に知見がないのでどうでしょうか。



(5'強のexcerptです)



演出
ストーリーはサーカス団への置き替えになっています。そしてそれを象徴する巨大なピエロの舞台装置が想像を超えた動きで圧倒しますね。どんどんと崩れて行くのはリゴレット本人を象徴しているのでしょう。
合唱団の舞台人数は多くてカラフル、パフォーマーも混じえて派手さが全面的に押し出されていて、度々宙に浮き、水の中に飛び込んだりします。夕暮れの美しい夕焼けから夜への時間設定もピッタリ合いましたね。

舞台・衣装
巨大な舞台装置全てがクレーン等で可動します。派手でお金のかかった舞台で、巨大なピエロの顔は目と口が動いて表情まで作ります!!
衣装はサーカスらしいカラフルさでファンタジー風です。ストーリーとの整合性には多少なりと違和感がありますが、今の時代らしさでしょう。

配役
【女性陣】ジルダのM.プティは少し地味な印象でしたね。sopもよく延びてコロラトゥーラも決めていたのですが。原因は一人だけ衣装が平凡だったのもあるかもしれません。そのギャップを楽しむ演出でしたから。
マッダレーナのK.ヴントザムはブラックなエロティックさで役柄をこなしたと言う感じでしょうか。

【男性陣】タイトルロールのV.ストヤノフはピエロです。もちろん顔も白塗り。でも演技と歌唱はそれとはアンフィットなくらいの表現力で本舞台一番でしたね。本来も道化ではあるのですが。
マントヴァ公爵のS.コステロは猛獣使い。第三幕聴きどころのアリア "女心の歌" が伸びるテノールで良かったですね。もちろん四重唱 "美しい乙女よ" は四人が楽しませてくれました。
スパラフチレのM.シェベシュチェーンは不気味な出立ちと演技、そしてバス・バリトンが役に合っていました。役柄上は端役なのですが存在感がありました。

音楽
舞台設定上仕方ないのかもしれませんが、音が引けて聴こえてしまう感じだったでしょうか。配役はアンプリファイドされていますから。


一にも二にもブレゲンツらしさが強調されて、それを楽しむ"リゴレット"でしたね。

P.シュテルツルの演出はストーリーの置き替えも合ったり、それを生かしたファンタジー的な衣装もあったりと今の時代らしさはありましたが、結果的にはブレゲンツらしい巨大な舞台装置などが主役でしたね。



既にDVD/BD化されていますね


【出演】
  ・マントヴァ公爵:スティーヴン・コステロ [Stephen Costello]
  ・リゴレット:ウラディーミル・ストヤノフ [Vladimir Stoyanov]
  ・ジルダ:メリッサ・プティ [Mélissa Petit]
  ・スパラフチレ:ミクローシュ・シェベシュチェーン [Miklós Sebestyén]
  ・マッダレーナ/ジョヴァンナ:カトリン・ヴントザム [Katrin Wundsam]

【合唱】ブレゲンツ音楽祭合唱団, プラハ・フィルハーモニー合唱団
【管弦楽】ウィーン交響楽団 [Wiener Symphoniker​]
【指揮】エンリケ・マッツォーラ [Enrique Mazzola]
【演出】フィリップ・シュテルツル [Philipp Stölzl]


収録:2019年7月12・17・19日 ボーデン湖上ステージ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウィーン国立歌劇場2019 オルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth)の現代歌劇「オーランドー Orlando」をNHKプレミアムシアターで観る


オーストリアの女性現代音楽家オルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth, b. 1968)の現代音楽オペラ『オルランド, Orlando』ですね。ノイズ系前衛のノイヴィルトですが近年力を入れているオペラが観られるのは嬉しい限りです。



(ダイジェストです)


ウィーン国立歌劇場初の女性作曲家作品で150周年記念委嘱作、また作曲だけでなく原作/脚本/演出/衣装を女性陣で揃えた事でも話題になりました。衣装はコム デ ギャルソンの川久保玲さんですね。

前衛音楽家の作品らしく指揮はその世界を代表するM.ピンチャー、ライヴ・エレクトロニクスが使われていてサウンド・エンジニアもいますから現代音楽そのものです。

原作は英小説家ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)による同タイトルで、そもそもが20世紀モダニズム文学を代表する作品です。

超あらすじ
16世紀のイングランド。エリザベス女王はお気に入りの若い貴族オルランドに永遠の若さを求めます。オルランドは年を取らないまま多くの失望を経験、トランス状態に陥ります。
気がつくと女性へと変身、ジェンダーギャップを感じながらも20世紀を見据えた執筆活動を始めます。そして結婚して子供を作り女性作家としての活動を続けます。



(既にDVD/BD化されています)


演出
ストーリーと音楽は前衛、衣装はファンタジー、舞台はプロジェクション・マッピング(以下PM)、いずれもそれを超えるアヴァンギャルドさはありません。それらしく見せつつ今の時代のオペラのヴァリエーションでしょう。

舞台・衣装
舞台は暗くPMが作り上げます。従って大道具はそれを映す大型ボード数枚がメインです。
衣装は近年多いファンタジーで、カラフルさとモノトーン。不可思議なストーリーにフィットしていますね。

配役
タイトルロールのK.リンジーは旧来のオペラの様な色濃い歌唱ではなくトーキングとの中間的です。理由は簡単、歌唱自体が無調、そしてオケも無調の前衛音楽なのでそれに乗ったアリア等が存在しないからでしょう。

他のメンバーも同じでナレーターは喋りですから、ソリストのコメントが付けられません。要は旧来的な音楽と歌手陣の歌唱を楽しむオペラから脱皮しているわけですね。

音楽
無調ポリフォニーの現代音楽で、旧来の主題や動機と言った心地良い旋律は存在しません。とは言え今の時代の多様性ですから調性感あるパートもありますが、その際もポリフォニー的に安定感を崩していますね。特殊奏法のノイズ系や空間音響系の様な技法はありません。

第二幕には20世紀考証パートにWWIIのスピーチ等のエレクトロニクス・コラージュもあり、B.A.ツィンマーマンが思い浮かびました。またロックバンドも同パートには登場しますが違和感は全くありません。その第二幕が音楽的にも一番興味深かったです。


"無調混沌系現代音楽に乗ったトーキング風、歌唱や音楽を楽しむ事は難しく、演技の表現力とストーリーを楽しむオペラです"
と以前なら思ったかもしれません。

でも、舞台・衣装・演技は今の時代の範疇、音楽的には前衛現代音楽ですが今更驚く事もありませんね。
不可思議なストーリーにフィットした現代の歌劇が楽しめました。



<出演>
 ・オルランド:ケイト・リンジー [Kate Lindsey, mez]
 ・ナレーター:アンナ・クレメンティ [Anna Clementi]
 ・守護天使:エリック・ジュレナス [Eric Jurenas, c-ten]
 ・女王/純愛/オルランドの子の友人:コンスタンス・ハウマン [Constance Hauman, sop]
 ・オルランドの子供:ジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド [Justin Vivian Bond]

<合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団 [Vienna State Opera Orchestra]
<指揮> マティアス・ピンチャー [Matthias Pintscher]
<脚本> キャサリン・フィルー [Catherine Filloux]
<演出> ポリー・グレイアム [Polly Graham]


収録:2019年12月18・20日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ヴェローナ野外劇場2021 ヴェルディ歌劇「椿姫」をNHKプレミアムシアターで観る


最も人気のあるオペラの一つ、ヴェルディ「椿姫, La Traviata (1853)」昨年2021年のアレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona)での公演ですね。同年7, 8, 9月に渡っていて複数キャスト(ヴィオレッタは3名、アルフレードは4名)でした。

新演出だそうですが残念ながらミケーレ・オルチェーゼに知見がありません。でもアレーナ・ディ・ヴェローナですから、突飛な事は避けて大型舞台映えするパターンでしょうね。いずれラストの悲しいシーンは苦手なのですが…


アレーナ・ディ・ヴェローナ2021 椿姫
(Webからお借りした今回のキャストです)


演出
当然かもしれませんが前衛的なものは'かけら'もありません。衣装から舞台まで全て"椿姫"らしさが貫かれていたという印象でしょうか。大きく使われるプロジェクションマッピングは今や標準仕様でしょう。

舞台・衣装
シンプルながらアレーナ・ディ・ヴェローナの大舞台を最大限生かしたステージ、そして合唱団メンバーの多さですね。派手な衣装もそれらしい出立ちでピッタリですね。

配役
まずは冒頭の"乾杯の歌"ですが、グリゴーロのtenが今ひとつで ヨンチェバのsopが響きましたね。二人とも少し固さを感じましたが。

ヴィオレッタのヨンチェバのsopはまさに伸びやかさが光りました。リリコ・スピントのイメージでしょうか。長いアリアもコロラトゥーラも十分に聴かせてくれましたね。間違いなく主役でした

アルフレードのグリゴーロは始めは今ひとつ声が弱かった様な… 途中からはグリゴーロらしい声量が戻って伸びやかに聴かせてくれて安心しました。
ジョルジョのペテアンのbas/barは力強さがありました。演技も見た目も役柄にフィットしていましたね。'嫌なじいさん'でしたw

音楽
出し入れを明確にした演奏でした。もっともアレーナ・ディ・ヴェローナではこうなるのが普通かもしれませんね。


今や古典的とも思われる演出、そしてヨンチェバの舞台でした。スケールの大きなアレーナ・ディ・ヴェローナで、椿姫らしさを安心して楽しむことが出来ましたね。

物足りなさがあるとするならば、出来過ぎで全部予想通りの安定感。今の時代のアヴァンギャルドな演出で観て見たかったと言う思いかもしれません。


【出演】
 ・ヴィオレッタ:ソーニャ・ヨンチェバ [Sonya Yoncheva]
 ・アルフレード:ヴィットリオ・グリゴーロ [Vittorio Grigolo]
 ・ジョルジョ:ジョルジュ・ぺテアン [George Petean]

【合唱】アレーナ・ディ・ヴェローナ合唱団
【管弦楽】アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団
【指揮】フランチェスコ・イヴァン・チャンパ [Francesco Ivan Ciampa]
【演出】ミケーレ・オルチェーゼ [Michele Olcese]


収録:2021年8月7・19日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





パリ・オペラ・コミック座2017 パーセルの歌劇「ミランダ」をNHKプレミアムシアターで観る


2017年のパリ・オペラ・コミック座(Opéra Comique)公演からですが、"パーセル"にも"ミランダ"にも知見はありません。
シェークスピア「テンペスト」からの展開とかセミオペラに関する件もここで記述する事は控えておこうと思います。



(オフィシャルの抜粋版です)
  

演 出
現代に設定して海難事故から生還したミランダが父親に支配された葛藤を責めると言う話になります。
銃が出てきたり教会内とは思えない抽象的な前衛的シーンがあって興味深いのですが、バロック音楽や変化の少ない舞台とのアンフィット感を拭えません。

舞台・衣装
一幕で教会内部だけの無機的な舞台です。シンプルですが変化に乏しいのは違いありません。そして衣装は今の時代で、多少の変則性はありますが両者何かもう一味欲しい処でしょうか。

配 役
アリアや重唱と言った聴かせ処は無いので、個々の配役の印象は薄く個別のインプレは不要かと。宗教的な台詞とバロック音楽が主軸で、明瞭なキャラクターの差異がとても薄く感じます。
最初から最後までバロックのミサの中にいるような流れです。

音 楽
バロックは今や聴くことが無いので、表情が薄く感じてしまいます。抑揚の低い流れ、楽器編成からも淡々とした印象です。そしてこの演奏が舞台の全てをコントロールしているかの如くです。
バロックファンの方にとっては聴こえ方と観え方が違うと思いますが。


ポイントは二つ。一つはバロック音楽が全てを支配したオペラです。それが楽しめるか否かで印象は全く変わってしまうでしょう。

もう一つは背景に強く配された宗教的な台詞の数々ですね。宗教曲は現代音楽でも多いのですが、極力インプレしません。その世界を知らないと本質はわかり得ないでしょう。

通常のオペラ感とは全く異なる作品です。個人的にはハードルが高く、楽しめる力量にないのが残念です。


【出演】
  ミランダ:ケイト・リンジー [Kate Lindsey]
  プロスペロー(ミランダの父):ヘンリー・ワディントン [Henry Waddington]
  アンナ(ミランダの継母):キャサリン・ワトソン [Katherine Watson]
  ファーディナンド(ミランダの夫):アラン・クレイトン [Allan Clayton]
  司祭:マルク・モイヨン [Marc Mauillon]
  アンソニー(ミランダの息子):アクセル・リクヴィン [Aksel Rykkvin]

【合唱/管弦楽】ピグマリオン [Pygmalion]
【指揮】ラファエル・ピション [Raphaël Pichon]
【演出】ケイティ・ミッチェル [Katie Mitchell]


収録:2017年9月29日 パリ・オペラ・コミック座

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミラノ・スカラ座 2021/22シーズン開幕公演 ヴェルディの歌劇「マクベス」をNHKプレミアムシアターで観る


Teatro alla Scala 今シーズン開幕公演ですね。お馴染みの顔ぶれが並んだと言う印象でしょうか。

演出はスカラ座にも多く登場する人気演出家のD.リーヴェルモル。プロジェクション・マッピング(以下PM)と重厚派手な展開が今回も発揮されるでしょうね。
そしてネトレプコ、サルシ、メーリの個性派歌手陣、演出リーヴェルモルに音楽監督シャイー。これは2019年の"トスカ"も同じでした。アブドラザコフも登壇していますから、なんとなく予想がつきそうな印象になります。

今や珍しいパリ版での公演、以前はフランス上演版ではバレエを入れたオペラが多かったわけですね。



(ミラノ・スカラ座の'Official Trailer'です)


演出
冒頭、車(BMW実車)の背景全面に動的PMで入って来る時点でリーヴェルモルの演出とわかりますね。大仰です。
具体的なストーリーの置き換えは不明ですが、現代に設定されています。ただ配役への性格付けや基本ストーリーは極STDで前衛性はありません。前衛バレエ振り付けはピンと来ませんでした。

舞台・衣装
背景が全面PMを使える様になっていて、道具類は場面毎に配置されます。それは派手で、大階段や大オブジェクトが乱立、二階建ての回廊が可動式で吊り下がり、舞台は大きくせり上がります。リーヴェルモルらしさが舞台に展開されました。
衣装は完全に今の時代で、カラー統一性があって'あるある系'ですね。ただ主役級男性陣が平服なのはそのキャラを殺していた気がします。

配役
 一言で表すなら重厚・濃厚な顔ぶれですね。

【女性陣】なんと言ってもマクベス夫人のネトレプコ、役柄通りのイヤなヤツでしたw これ以上の適役はいないでしょうね。遠慮なしの演技と歌唱で魅せてくれました。

【男性陣】タイトルロールのサルシもピッタリでアブラギッシュな演技と歌唱でした。
バンコーのアブドラザコフはクールさが目立ちましたね。それがマクベスとの絶妙なコントラストを作ってくれました。
マクダフのメーリは延びあるテノールで正義を歌い、悲しみの表情もその歌唱に入れ込みましたね。

音楽
指揮者もオケ・メンバーも皆マスクでした。シャイーらしいメリハリを付けた流れが、濃厚な歌手陣に負けない音楽を奏でてくれました。やっぱりシャイーはどことなく交響曲風に鳴らしてくれる気がします。


実は嫉妬と野望のヴェルディの歌劇はあまり好きではありません。でもこの配役・演出・音楽は納得の布陣でツボを押さえた見事さ、最後まで惹きつけてくれました。

ただ演出は派手ですが前衛性は低く、これなら時代考証的な方が執拗さが伝わって面白かった様な気もしましたね。今やその様な演出は絶滅してしまったわけですが。(ロシアだと味わえます)



【出演】
 ・マクベス:ルカ・サルシ [Luca Salsi]
 ・バンコー:イルダール・アブドラザコフ [Ildar Abdrazakov]
 ・マクベス夫人:アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
 ・マクダフ:フランチェスコ・メーリ [Francesco Meli]

【合唱】ミラノ・スカラ座合唱団
【管弦楽】ミラノ・スカラ座管弦楽団 [Orchestra e Coro del Teatro alla Scala]
【指揮】リッカルド・シャイー [Riccardo Chailly]
【演出】ダヴィデ・リーヴェルモル [Davide Livermore]


収録:2021年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





テオドール・クルレンツィスが振る モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』ザルツブルク音楽祭 2021


昨年のザルツブルク音楽祭(Salzburger Festspiele)からモーツァルトの人気オペラ「ドン・ジョヴァンニ, Don Giovanni」ですね。NHKプレミアムシアターで観ましたが今なら下記YouTubeでも

注目は演出のR.カステルッチと指揮のクルレンツィスでしょうね。カステルッチは美術・衣装・照明いっさいをこなしながらどの様な"ドン・ジョヴァンニ"を作ってくれたのでしょうか。
個人的にはクルレンツィスには興味が薄いのですが、オペラでは初めて聴くのでメリハリ勝負でない事を期待しますw



英訳付きで全編楽しめます。観られる内に是非どうぞ!!



演出
やたらと舞台に志向を凝らしています。ドン・ジョヴァンニとレポレッロが見た目も衣装もそっくりだとか、パフォーマーが背後に居たり、車椅子やピアノを上から落下させ破壊したり、女性陣は本人の裸婦(胸にはボカシ)が並行して出現、犬が色々出たりと、至る所に関連不明の仕込みを配しています。

抽象表現ですが、ストーリーの置き換えとかそれ自体に手を入れるといったアヴァンギャルドな前衛的手法ではありませんね。小細工の詰め合わせ演出と言った感じでしょうか。その度にそちらへ集中が動いてしまい、役柄がボケたり広い舞台も持て余し気味になったりと言う気がします。

舞台・衣装
舞台は白基調でブルーヘイズっぽい気配です。処々半透明幕の様でした。衣装も時代考証はありませんが白と無彩色で貫かれています。第二幕では色合いは出ますが衣装はシンプルです。

配役
【女性陣】ドンナ・アンナのN.パブロワは二幕のコロラトゥーラが転がらずやや魅力に欠けた感じでしたが、エルヴィーラのF.ロンバルディが良かったですね。表現・表情・sop、いずれも延びやかで魅せてくれたと思います。
ツェルリーナのA.L.リヒターも可愛さの印象が役にフィットしていましたね。マゼットとの"ぶってよ私のマゼット"はもっと可愛い演出が欲しかったですが。少なくとも目に殴られた痕はいらないでしょう。

【男性陣】タイトルロールのD.ルチアーノとレポレッロのV.ブリアンテの二人は残念だったかもしれません。演出上の問題ですがこの役柄に欲しい楽しいコメディ部分がほぼ感じられませんでした。これでは"ドン・ジョヴァンニ"になりませんね。
オッターヴィオのM.スパイアーズは一・二幕のアリアを充分に聴かせてくれましたし、マゼットのD.シュテフェンスはツェルリーナとのキャラクタ的相性も見栄えがあって旧来的な楽しさを見せてくれました。

音楽
序曲でわかりますが濃厚で出し入れが強いです。クルレンツィスですね。時に演奏の強さが歌を上回るのはどうでしょうか。何よりアンフィットなpfが気になりました


喜劇の表現を排除して、ストーリーとの違和感ある仕込みを多数配置、ドン・ジョヴァンニの楽しさが行方不明になってしまった印象です。

本ブログは前衛好き方向なので近年のバイロイトの様な尖った方向性は大歓迎ですが、本作は少々期待と違った感じでした。配役も役柄を生かしてもらえなかった様な…

ただ ラストのドン・ジョヴァンニが地獄に落ちるパートは一人芝居で、騎士長の石像が出ないままの上手い演出でしたね。



【出演】
 ・ドン・ジョヴァンニ:ダヴィデ・ルチアーノ [Davide Luciano]
 ・騎士長:ミカ・カレス [Mika Kares]
 ・ドンナ・アンナ:ナデジュダ・パブロワ [Nadezhda Pavlova]
 ・ドン・オッターヴィオ:マイケル・スパイアーズ [Michael Spyres]
 ・ドンナ・エルヴィーラ:フェデリカ・ロンバルディ [Federica Lombardi]
 ・レポレッロ:ヴィート・プリアンテ [Vito Priante]
 ・マゼット:ダーヴィト・シュテフェンス [David Steffens]
 ・ツェルリーナ:アンナ・ルチア・リヒター [Anna Lucia Richter]

【管弦楽・合唱】ムジカエテルナ [musicAeterna Orchestra & Choir]
【男声合唱】ザルツブルク・バッハ合唱団
【指揮】テオドール・クルレンツィス [Teodor Currentzis]
【演出・美術・衣装・照明】ロメオ・カステルッチ [Romeo Castellucci]


収録:2021年8月4・7日 ザルツブルク祝祭大劇場 (オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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