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フィンランド国立歌劇場公演 ファーゲルルンドの 歌劇「秋のソナタ」を NHKプレミアムシアターで観る

イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)原作の1978年の映画「秋のソナタ, Höstsonaten」をベースに、フィンランド独立100周年を記念してフィンランド国立歌劇場が委嘱し、セバスチャン・ファーゲルルンド(Sebastian Fagerlund)が手がけた全2幕のオペラ作品ですね。フィンランド現代音楽家ファーゲルンドの第二作目のオペラです。

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(画像はwebよりお借りしました)


あらすじ
有名ピアニストの母と残された娘の葛藤を描く暗く鬱な内容です。

《第一幕》
著名ピアニストのシャルロッテが7年も会っていない娘エヴァに会いに来ます。エヴァは夫ヴィクトルとの息子エリックを3歳で亡くし、妹ヘレナは難病です。そしてシャルロッテ自身もパートナー、レオナルドを亡くなっています。
全て自分の世界しか話のない母と、不満を抱えるエヴァは折り合いが付きません。シャルロッテは、そこで難病の次女ヘレナをエヴァが引き取った事を知ります。その夜二人は感情のもつれを剥き出しにします。
《第二幕》夜の場の延長
母への不満を爆発させるエヴァ、演奏家としての不安を表出させるシャルロッテ、二人の心が対比されます。自分の世界に生きる母と僻みの娘の本音の錯乱にヘレナも加わりながら、シャルロッテは改心を誓います。ツアーに戻った母にエヴァは侘びる手紙を書き、まだ時間はあると願います。


演出

世界初演ですから、このブラウンシュヴァイク演出が基本となる訳ですね。音楽は北欧現代音楽ですから調性は薄く、ストーリーも鬱的で演出はシンプルになっています。プロジェクション・マッピングは使っていますがアヴァンギャルドさはありません。


舞台・衣装

広い舞台にシンプルな道具立、衣装は現代、まさに今の時代のオペラ設定です。


配役

明瞭な旋律を持つアリアや歌唱はありませんが、前衛的な歌唱跳躍のシュプレッヒゲザングもなく、感情爆発的激しさもありますがフラットな印象です。エヴァの葛藤の爆発も主に表情で表現することになるのでズンネガルドとシャルロッテのオッター二人の対比は重要で、見事でしたね。


音楽

曲は北欧現代音楽の流れで、演奏は陰影を付けて舞台を引き立てる様に感じました。


細川俊夫さんのオペラでも感じますが、現代音楽オペラらしい葛藤を描く作品です。動きの少ない中で人の心を描くのは現代音楽に合っていと思いますね。

とは言えストーリー展開は単純で、娘の中絶等々の話を挟んでも深みに欠けてしまいます。音楽に寄りかかれない分、演出が重要になるのかもしれません。
今回はオッターの老練?(62歳ですw)さが魅せてくれましたが、もう一回観たいかと言われれば、どうでしょう…



<出 演>
シャルロッテ・アンデルガスト:アンネ・ソフィー・フォン・オッター[Anne Sofie von Otter]
 ・世界で活躍するピアニスト
エヴァ:エリカ・ズンネガルド[Erika Sunnegårdh]
 ・シャルロッテの娘
ヴィクトル:トミ・ハカラ[Tommi Hakala]
 ・エヴァの夫
ヘレナ:ヘレナ・ユントゥネン[Helena Juntunen]
 ・シャルロッテの次女、難病で身体が不自由
レオナルド:ニコラス・セーデルルンド[Nicholas Söderlund]
 ・亡くなったシャルロッテのパートナー、回想シーンで登場
エリック:オットー・レトネン[Otto Lehtonen]
 ・3歳で亡くなったエヴァとヴィクトルの息子、思い出で登場
  (どう見ても3歳とは思えない年齢でしたがw)

<合 唱> フィンランド国立歌劇場合唱団[Finnish National Opera Orchestra]
<管弦楽> フィンランド国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> ヨーン・ストルゴーズ[John Storgårds]
<演 出> ステファン・ブラウンシュヴァイク[Stéphane Braunschweig]


収録:2017年9月23日 フィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク復活祭音楽祭2018 歌劇「トスカ」をNHKプレミアムシアターで観る

人気のハルテロス(トスカ)、アントネンコ(カヴァラドッシ)、テジエ(スカルピア)、というお気に入りが並んだ今年のザルツブルク復活祭音楽祭の『トスカ』が観られるとは本当に良い時代ですね。

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(写真はweb上からお借りしました)


演出

シュトゥルミンガーによる新演出ですが、舞台を大きく使って現代に時代を移す今では標準的表現ですね。特異性はラストに待っていますが。
演出者がストーリーに手を加えてしまうのは今やお馴染み、スカルピアは第二幕でトスカに刺されて死ぬのですが、ここでは生き残ってラストで銃でトスカを撃ち殺します。(その時トスカも銃を持っていて撃ち合い、スカルピアだけ生き残る様です)
ラスト前のカヴァラドッシ銃殺が子供達の手によるというのはどうかと思いますが…


舞台・衣装

舞台は派手な大道具類が配置されます。時代背景は現代で、衣装も今の時代の様相ですね。


配役

トスカのA.ハルテロス、高音の延びはやっぱり素晴らしいですね。艶やかというよりも切れ味の良さを感じます。カヴァラドッシのA.アントネンコはスピント・テノールらしい情熱的な歌声が光り、この二人の声の絡みは素晴らしかったですね。今回一番のアリアはアントネンコの「星はきらめき」だと思いました。
スカルピア役のL.テジエのバリトンはテノールの様な艶やかさを感じます。第一幕ラストのソロや第二幕のトスカとのやりとりは光りました。とは言え少し太りましたかね。


音楽

個人的に印象の良くないティーレマンですが、例によって濃くて派手な音作りを感じました。シュターツカペレ・ドレスデン、ドレスデン国立管弦楽団というのはピンときません、も良い音色を奏でたと思います。


ハルテロス(トスカ)、アントネンコ(カヴァラドッシ)、テジエ(スカルピア)三人の歌声が見事にマッチして、三者三様の情熱的役柄を絡ませてくれました。
最後に待っていたどんでん返しは今やこの手の演出がないと物足りない感があるかもしれません。保守本流志向の方には変な方向に行っているかも?!


<出 演>
トスカ:アニヤ・ハルテロス [Anja Harteros]
カヴァラドッシ:アレクサンドルス・アントネンコ [Aleksandr Antonenko]
スカルピア男爵:リュドヴィク・テジエ [Ludovic Tézier]
 アンジェロッティ:アンドレア・マストローニ [Andrea Mastroni]
 スポレッタ:ミケルディ・アトクサンダバーソ [Mikeldi Atxalandabaso]
 堂守:マッテオ・ペイローネ [Matteo Peirone]

<合 唱> ザルツブルク・バッハ合唱団
ザルツブルク音楽祭および劇場児童合唱団
<管弦楽> ドレスデン国立管弦楽団 [Sächsische Staatskapelle Dresden]
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]
<演 出> ミヒャエル・シュトゥルミンガー [Michael Sturminger]


収録:2018年3月21・24日、4月2日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

エクサン・プロバンス音楽祭2017 ビゼーの歌劇「カルメン」をNHKプレミアムシアターで観る

昨シーズンのエクサン・プロバンス音楽祭(Festival d'Aix )から人気のCarmen。今回はカルメンをセラピー劇にした演出ですね。

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(写真はweb上からお借りしました)


演出

演出チェルニャコフは、演劇セラピーに訪れた倦怠期夫婦(ドン・ホセとミカエラ)が「カルメン」に入り込む設定にしています。近年よくある本編前後に新枠挿入パターンですが、夢とかにするのでなくセラピーとして「カルメン」を演じる、という流れですね。そう思えば、途中でもセラピストが入ってきたりするのも上手い味付けに感じました。カルメンが脱走するシーンなどに工夫がありますね。("脱走"の設定自体がありませんw)
ラストもドン・ホセが演技にのめり込み狂気を見せるのをうまく生かしています。

舞台・衣装

従って設定は現代。広いロビー、衣装はごくありきたりのスーツやインフォーマルです。どちらもアヴァンギャルドさはありません。この設定も今の時代のオペラに多いですね。

配役

突出のキャストはなかったと思いますが、まずは女性陣。カルメンのドゥストラックは声も演技も線が細かった気がします。ミカエラのドライシヒのsopは綺麗な歌声で聴かせてくれましたね。
男性陣、ドン・ホセのファビアーノはボチボチ熱演、闘牛士エスカミーリョのシンプソンは声、聴かせ処の"闘牛士の歌, Toreador Song"は軽いのですが容姿は決まりましたね。
ミカエラとエスカミーリョのラヴシーンには驚きましたが、ドン・ホセとカルメン二人がラストに向けて狂気を増していくのは上手かったです。

音楽

カサドw/パリ管の演奏は始めはソロ・パートの弦楽器も今ひとつで、やや重心が高い軽さを感じましたね。その後はバランスが良くなりました。(オペラの演奏は練習を重ねるという事はないので当然?!)


一にも二にもチェルニャコフ演出ですね。舞台設定を現在に置き換えただけではなく、賛否のありそうなチェルニャコフ独自展開が加わりカルメンのストーリーを利用したセラピーに徹底している処は新鮮です。
多少の中だるみはありましたが、ビゼー原作チェルニャコフの『カルメン』が楽しめました

こういった楽しみもエクサン・プロバンスらしさかもしれませんね。



<出 演>
・カルメン:ステファニー・ドゥストラック [Stéphanie d'Oustrac]
・ドン・ホセ:マイケル・ファビアーノ [Michael Fabiano]
・ミカエラ:エルザ・ドライシヒ [Elsa Dreisig]
・エスカミーリョ:マイケル・トッド・シンプソン [Michael Todd Simpson]

<合 唱> エデス合唱団 / ブーシュ・デュ・ローヌ少年少女合唱団
<管弦楽> パリ管弦楽団 [Orchestre de Paris]
<指 揮> パブロ・ヘラス・カサド [Pablo Heras-Casado]
<演 出> ドミートリ・チェルニャコフ [Dmitri Tcherniakov]


収録:2017年6月30日、7月6日 プロバンス大劇場(フランス)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アレーナ・ディ・ヴェローナ 野外オペラ・フェスティバル2017 ヴェルディの歌劇『ナブッコ』をNHKプレミアムシアターで観る

大向こうを唸らせる派手で大げさなジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『ナブッコ』は Arena di Verona の舞台がぴったりでしょうね。

Nabucco–ArenaDiVerona2017
(写真は公式サイトより)

演出

本物の馬や馬車が出てきたり、大きな建物を配したり、キャストの大人数配置や円形劇場の上から大量の兵士が降りてきたり、とにかく広大な舞台を最大限生かす舞台演出が魅力ですね。小細工なしの演出です。


舞台・衣装

舞台は上記の通りですが、衣装はもちろん紀元前という事はなくやや古めかしい時代的になっていますね。観ていて違和感がありません。


配役

何れにしても舞台が広すぎるので苦労が感じられました。まずは女性陣二人のsop。アビガイッレ役のS.ブランキーニは高音が伸びて素晴らしかったです、低い声は少し辛そうでしたが。フェネーナ役のN.スルグラジェは気が強い演技でした。歌はmezらしく二人のコントラストが良かったですね。
男性陣はナブッコのG.ギャグニッザは無理に声を強めずに良いバリトンの色を出していました。イズマエーレ役のR.ぺリッツァーリは、声をはりあげる様なテノールでした。ザッカリアのR.シヴェク、この舞台ではバスは厳しかった感じですね。


音楽

広い舞台と劇場に負けない様にでしょうが、目一杯派手で強音メリハリの演奏でした。まぁ、この舞台そしてナブッコという事でしょう。


一にも二にも大舞台を生かしたショーを楽しむのが、アレーナ・ディ・ヴェローナでしょう。カメラワークも素晴らしくそこは楽しめました。
「ナブッコ」や「アイーダ」はあまり好みではないのですが大舞台向きという事だけは間違いありませんね。


<出 演>
 ・ナブッコ (バビロニア王):ジョージ・ギャグニッザ [George Gagnidze]
 ・アビガイルレ (ナブッコが奴隷に産ませた娘):スザンナ・ブランキーニ [Susanna Branchini]
 ・フェネーナ (ナブッコの娘):ニーノ・スルグラジェ [Nino Surguladze ]
 ・イズマエーレ (エルサレム王の甥):ルーベンス・ペリッツァーリ [Rubens Pelizzari]
 ・ザッカーリア (ヘブライの祭司):ラファウ・シヴェク [Rafal Siwek]

<合 唱> ヴェローナ野外劇場合唱団
<管弦楽> ヴェローナ野外劇場管弦楽団 [Arena di Verona Orchestra]
<指 揮> ダニエル・オーレン [Daniel Oren]
<演 出> アルノー・ベルナール [Arnaud Bernard]


収録:2017年8月23・26日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

二期会公演 ヨハン・シュトラウス 喜歌劇「こうもり」をNHKプレミアムシアターで観る

ちょっと変則的演出の二期会公演でしたね。それもありの人気のオペレッタ「こうもり」です。

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(写真はweb上からお借りしました)

演出

日本でも活躍する著名オペラ演出家アンドレアス・ホモキ(Andreas Homoki)による東京バージョンだそうです。いきなりアルフレードが現れたり、第二幕の途中で休憩だったり、刑務所がそのままオルロフスキー邸の延長で、イッセー尾形さんの一人芝居があるという変則が売りの様です。


舞台・衣装

時代背景らしい大道具配置に衣装(今の時代の正装?)、それはそれでこの喜劇らしいさかもしれません。細かい所では隅の道具類が斜めになったりと細工が見られましたね。


配役

ロザリンデの澤畑さんが演技・歌唱ともに魅せてくれました。アルフレートの糸賀さん、台詞のトーンがやけに軽いですが演技が楽しくテノールも良かったですね。ファルケの宮本さんは役柄らしい気配を演じてました。
以前「金閣寺」で素晴らしかった小森さん、アイゼンシュタインでは声の出が今ひとつかな。オルロフスキー公爵は青木さんのズボンで、演技より歌と見栄えが良かったですね。
話題の刑務所の看守フロッシュのイッセー尾形さん、もちろん台詞だけですが独自の一人芝居を演じましたね。過去の日本でも現地でも有名役者さんが務めることもあり、それもこの喜歌劇のポイントでしょう。
アデーレの清野さんの演技はいただけません。歌もスタミナに欠け、日本人コメディアンの様な仕草と表情、日本語が相まって"お笑芸人"、凄く残念でした。


音楽

メリハリのある演奏でしたが、流れに乗れていたのかな?


台詞は日本語、歌はドイツ語。日本語で話がわかり易い一方で、よく知られている本劇の印象を変えてしまう感じがしますね。演技も、日本人的"お笑い感覚"が一部で印象付けされて残念でした。
イッセー尾形さんの一人芝居は悪くありませんが、そこだけイッセー尾形ショーでしたねw

....なるほど、喜歌劇ではなく日本のお笑 演出の「こうもり」だったのですね。個人的には洒脱さが欲しかったです。


<出 演>
 ・アイゼンシュタイン:小森輝彦
 ・ロザリンデ:澤畑恵美
 ・アルフレード:糸賀修平
 ・オルロフスキー:青木エマ
 ・ファルケ:宮本益光
 ・アデーレ:清野友香莉
 ・フロッシュ:イッセー尾形

<合 唱>二期会合唱団
<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団
<指 揮>阪 哲朗
<演 出>アンドレアス・ホモキ


収録:2017年11月22・24日 日生劇場


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2017年チューリヒ歌劇場公演 マスネの歌劇「ウェルテル」をNHKプレミアムシアターで観る

オペラ「タイス」でお馴染みのフランスの作曲家ジュール・マスネ(Jules Massenet, 1842/5/12 - 1912/8/13)のオペラ『ウェルテル, Werther (四幕)』ですね。もちろんゲーテの「若きウェルテルの悩み」がベースです。

OperZürich2017-Werther
(映像はwebより)

演出

シンプルな舞台設定はギュルバカらしさでしょうね。そしてライティングストップモーションで陰影を付けています。舞台・ストーリー共に前衛性はありませんが、少し奇妙な老人を配したパートやプロジェクション・マッピングもあり 今らしいオペラにはなっていますね。


舞台・衣装

狭い舞台はバックに木製室内を一面に配したシンプルさ、衣装は現代風。舞台の密集感が気になる処でしたが。


配役

ウェルテルのフアン・ディエゴ・フローレスは演技も濃く声の延びて熱唱ですが、個人的には少し抑え気味の方がマッチする気がしましたね。もっと心象的に悩みを見せて欲しかったですね。
シャルロットも同じで第三幕はもっと鬱な気配から入っても良かったかも。


音楽

前奏曲とラストで細く美しい流れが感じられましたが、幕中では特別な印象はありませんでしたね。


熱演主体でしっくり来ない印象が残ります。間とか鬱、洒脱さがありませんでしたね。平板な舞台に展開の速さもそう感じさせたのかもしれません。ウェルテルが濃すぎ、他にも第二幕の冒頭シーンの中途半端さは何? 
そうか、このオペラがわからずハイレベルな演出にもついて行けなかったという事ですね。^^;



<出 演>
ウェルテル:フアン・ディエゴ・フローレス (Juan Diego Flórez)
シャルロット:アンナ・ステファニー (Anna Stephany)
アルベール:アウドゥン・イヴェルセン (Audun Iversen)
ソフィー:メリッサ・プティ (Mélissa Petit)

<合 唱> チューリヒ歌劇場 児童・少年合唱団
<管弦楽> フィルハーモニア・チューリヒ
<指 揮> コルネリウス・マイスター (Cornelius Meister)
<演 出> タチヤナ・ギュルバカ (Tatjana Gürbaca)

収録:2017年4月20・24日 チューリヒ歌劇場(スイス)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ミラノ・スカラ座2017/18シーズン開幕公演 ジョルダーノの歌劇『アンドレア・シェニエ』をNHKプレミアムシアターで観る

ウンベルト・ジョルダーノのオペラ『アンドレア・シェニエ』、フランス革命を基にした悲劇ですね。1896年3月の初演もミラノ・スカラ座でした。
今回は何と言ってもエイヴァゾフとネトレプコの夫妻がタイトルロールと歌姫を演じた事が話題でしたが、NHKプレミアムシアターはネトレプコ好きですねw

TeatroAllaScala-AndreaChénier-2017-2018
(画像はオフィシャルサイトより)



演出

マリオ・マルトーネはイタリアオペラ保守本流の演出でしょうか。クセはなく個性もなく…的ですが。大人数の団員を配した舞台が目を引いたくらいかもしれません。


舞台・衣装

時代背景的な衣装と舞台で、今や古臭い感じもする設定ですね。ただ暗さに照明の設定は今らしさでしょう。配置された額縁のミラーが大きくて歪みがあって特徴的でした。何かを映し出す意図なのでしょうか。


配役

見飽きた感もあるネトレプコちゃんはますます育ってご立派な体格、マッダレーナの可愛い仕草に違和感がありますw もちろん歌声は艶やか太いsop、文句無しですが。個人的にはベルシ役のストロッパのmezoの方が尖ってクールに思いました。
男性陣ではタイトルロールのエイヴァゾフが思いの外、失礼、良かったですね。朗々とした声と役作りでした。ジェラールのルカ・サルシも期待したほどではなかった感じでしたしね。


音楽

シャイーだったのでもう少しオケが前に出るかと思いましたが、控えめだった気がしますね。各幕毎のラストは押し出しが効いていましたが。


全体として地味な印象を受けました。もちろんアヴァンギャルドには無縁で、古臭さを感じてしまいました。
その中で、エイヴァゾフの良さが光ったのが楽しめましたね。映像用のカメラワークにも力を入れていた感じです。


<出 演>
・アンドレア・シェニエ:ユシフ・エイヴァゾフ (Yusif Eyvazov)
・マッダレーナ:アンナ・ネトレプコ (Anna Netrebko)
・カルロ・ジェラール:ルカ・サルシ (Luca Salsi)
 ・ベルシ:アンナリーザ・ストロッパ (Annalisa Stroppa)
 ・コワニー伯爵夫人:マリアーナ・ペンチェヴァ (Mariana Pentcheva)
 ・ルーシェ:ガブリエレ・サゴーナ (Gabriele Sagona)
 ・フーキエ・ダンヴィル:フーキエ・ダンヴィル (Gianluca Breda)
 ・マチュー:フランチェスコ・ヴェルナ (Francesco Verna)
 ・無信仰者:カルロ・ボシ (Carlo Bosi)
 ・シュミット:ロマーノ・ダル・ゾーヴォ (Romano Dal Zovo)


<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー (Riccardo Chailly)
<演 出> マリオ・マルトーネ (Mario Martone)


収録:2017年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

英国ロイヤル・オペラ2017 ヴェルディの歌劇「オテロ」を NHKプレミアムシアターで観る

今年6月の英国ロイヤル・オペラ(ROH)、ヴェルディの「オテロ (全4幕)」です。もちろん原作はシェイクスピアの悲劇『オセロ』 で、おどろおどろしい嫉妬劇ですね。
注目は初タイトルロールのヨナス・カウフマン。古〜ぃデル・モナコwのイメージが重なる「オテロ」となると.....どうだったのでしょう。2008年ザルツブルクのアントネンコが良かった記憶がありますね。

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(写真はオフィシャルサイトより)



演出

演出はローレンス・オリヴィエ賞を受賞のキース・ウォーナーですが、一捻り的な演出の印象がありますね。冒頭のヤーゴが仮面の一つを叩きつけるのは本性を現す予告で、その仮面を第三幕最後にオテロに被せる当たりがウォーナーらしいのでしょう。
ただ、オテロ一人に異常な狂気を与える演出はいただけません。一人浮いてしまった感じでした。ラストのドロドロ流れる血みどろ も今流ですが唐突で不自然ですね。


舞台・衣装

舞台は真っ暗、照明がスポット的に当たり影と光で心理戦を象徴しているかの様でした。衣装は時代的な印象を残した現代風ですね。
前衛性はありません。今の時代のオペラらしいシンプルさでした。


配役

タイトルロールのカウフマン、声は素晴らしく熱演でした。ただ、オテロらしいテノール・ドラマティコとするとやや重心が高い様な、気になる見た目の小粒感も…
もう一人の主役ヤーゴのマルコ・ヴラトーニャ、憎々しい役回りなのですが卑劣さが弱く憎めませんw
端役ですがカッシオのアントゥーンは役にぴったりの洒脱な声と姿が生きていましたね。デズデモナのアグレスタは第三幕のオテロとのやりとりが素晴らしかったです。ただ中低音域が弱く地声が顔を出しましたね。


音楽

ロイヤル・オペラの音楽監督アントニオ・パッパーノはマーラーで音の鳴らしが良い印象があります。この舞台でもメリハリの効いた音の鳴らしを聴かせてくれました。強音パートの迫力は舞台を食うほど?! 今回の主役は音楽だったかも。


オテロが一人芝居の様な狂気の熱演でした。後半のオテロとデズデモナのシーンは良かったです。ただ、オテロ役というともっと"どっしり"とした風貌と声が浮かんでしまいますね。
一番残念だったのは、ウォーナー演出のオテロの狂気を超えた狂人。全体の中でよそよそしさを感じてしまいました。どうせやるなら、丸ごとドロドロにしてしまった方が良かったかもw



<出 演>
 オテロ:ヨナス・カウフマン (Jonas Kaufmann)
 デズデモナ:マリア・アグレスタ (Maria Agresta)
 ヤーゴ:マルコ・ヴラトーニャ (Maria Agresta)
  カッシオ:フレデリック・アントゥーン (Frédéric Antoun)
  ロデリーゴ:トーマス・アトキンス (Thomas Atkins)
  エミーリア:カイ・ルーテル (Kai Rüütel)
  モンターノ:ユシフ・エイヴァゾフ (Simon Shibambu)

<合 唱> 英国ロイヤル・オペラ合唱団
<管弦楽> 英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
<指 揮> アントニオ・パッパーノ (Antonio Pappano)
<演 出> キース・ウォーナー (Keith Warner)


収録:2017年6月24日 英国ロイヤル・オペラ・ハウス(ロンドン)




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク音楽祭2017 ヴェルディの歌劇「アイーダ」をNHKプレミアムシアターで観る

今年の夏のザルツブルク(Salzburger Festspiele)、ヴェルディのスペクタクル・オペラ『アイーダ, Aida』(全4幕) が茶の間で楽しめましたね。(もちろん深夜ではなく録画ですw)
注目は初のタイトル・ロールを演じる まん丸ネトレプコちゃんですね。

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オフィシャルサイトより

演出

注目の演出はニューヨークで活躍するインスタレーション系の女性映像作家シリン・ネシャット。白と黒メインに一人アムネリスにシグナルカラーの配色、大きく単純な舞台装置にプロジェクションマッピングという演出は、シンプルな中に今の時代らしい「アイーダ」になりましたね。
"勝って帰れ"等、アイーダの独唱シーンでのPMは気持ちが生かされていました。またバレエだけは前衛っぽかった?!、でも生きていました。


舞台・衣装

舞台は大きな壁の様な装置がメインで光と影のシンプルさ。そこに投影される特大映像が浮き立ちました。衣装も時代考証や、殊更の現代性でもない抽象的シンプルなもので、舞台とのマッチが良かったですね。


配役

・タイトル・ロールのネトレプコ、言われている様に今や声の艶や太さと繊細さは声量と共に素晴らしいですね。46歳という年齢から言っても絶頂期でしょうか。
・ラダメスのフランチェスコ・メーリはネトレプコとのコンビが多いですが、ザルツブルグ音楽祭2014 同じヴェルディの「トロヴァトーレ」ではハイCがイマイチだったのが記憶にありますw でも、いつもながらのハリのあるテノールでしたね。
・アムネリスのエカテリーナ・セメンチュクのmezもネトレプコのsopとの重唱で幅広い声域を聴かせて、演技と共に良さが光りました。実質 今回のベストアクトレスでしょう。
・バス・バリトン陣では突出はいませんが、名脇役的な存在感がありバランスの良さを感じました。


音楽

リッカルド・ムーティとVPOは太い音色を響かせました。VPOというよりも、ムーティの印象でしょうか。バレエ曲ではVPOらしいスマートさを感じました。


屋外ステージの様なスケールの大きさが浮かぶアイーダですが、現代的シンプルさで従来とは異なったアイーダになった感じです。売りの一つであるスペクタクル感には欠けたのは残念ですが、仕方ないかもしれません。
配役はネトレプコだけでなくバランスの良い顔ぶれでアイーダらしい多重唱も楽しませてくれました。それにしても、毎度書いていますが、今やコロコロしてしまったネトレプコも今回はセメンチュクが居て良かったかもw


<出 演>
 王ファラオ  : ロベルト・タリアヴィーニ (Roberto Tagliavini)…エジプト国王
 王女アムネリス: エカテリーナ・セメンチュク (Ekaterina Semenchuk)
 アイーダ   : アンナ・ネトレプコ (Anna Netrebko)…エチオピア王女で今は奴隷
 ラダメス   : フランチェスコ・メーリ (Francesco Meli) …指揮官
 ラムフィス  : ディミトリ・ベロセルスキー (Dmitry Belosselskiy)…祭司長
 アモナスロ  : ルカ・サルシ (Luca Salsi)…エチオピア王

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> リッカルド・ムーティ (Riccardo Muti)
<演 出> シリン・ネシャット (Shirin Neshat)


収録:2017年8月9・12日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

グラインドボーン音楽祭2017 ブレット・ディーンのオペラ「ハムレット」の初演を NHKプレミアムシアターで観る

グラインドボーン音楽祭(Glyndebourne Festival Opera)委嘱作品になるブレット・ディーン(Brett Dean, 1961/10/23 - ) の全二幕の歌劇「ハムレット」ですね。もちろん世界初演です。

台本はカナダで活躍中のマシュー・ジョスリン(Matthew Jocelyn)、演出は映画Candyで知られるニール・アームフィールド(Neil Armfield)になります。ストリーはシェークスピアの原作に忠実ですから不安はありませんね。

GlyndebourneFestivalOpera2017-NHKpremiumTheater.jpg
(写真はオフィシャルサイトより)
[演出]
今風で特異性はありません。アヴァンギャルドさはなく、深淵的なダークな舞台といったところでしょうか。新作オペラですからこれが基準となる訳ですね。

[舞台・衣装]
舞台は大きな壁の入替を中心としてセットは最低限、衣装は現代というありげな設定です。第二幕ではライティングの暗さで影を強調して異常性をうまく強調していました。

[配役]
タイトルロールのクレイトンは声も演出上の設定でもボチボチでしょうか。太ったタイトルロールは舞台ではやっぱりイマイチかも。(CDなら声だけ勝負でOKですが)
なんといってもオフィーリア役のバーバラ・ハンニガン去年のエクサン・プロバンス音楽祭のタイトルロールでも大活躍でした、が演技ともに素晴らしかったですね。第二幕初めの狂気のシーンは真骨頂でした。(写真にはありませんが、またもやエロティック!) ハンニガンは普段から現代音楽を得意としていますから歌唱はバッチリですね。

[音楽]
現代音楽ベースの楽曲で複調多調的ですね。
まず感じたのは歌唱パートの難しそうなこと。調性の薄さで歌いづらそうです。そして有名な"To be or not to be"等は語りになります。

現代音楽ですが合唱・歌唱パートは極端な無調でもありませんしシュプレッヒゲザングほどの狂気の語りでもありません。とはいえ耳馴染みの良い旋律やアリアは皆無ですから、それなりの許容が必要かもしれませんね。歌詞は英語です。
楽曲にはピアノも含まれていて現代音楽感が生かされていますね。新作初演なので比較する演奏はありません。



全体としては現代音楽ですが前衛ではありませんから、今の時代のオペラですね。
ただ、第一幕と第二幕のギャップが大きいです。今ひとつ平凡な第一幕に比べて、脚本・演出ともに第二幕の方がおぞましさや狂気が舞台に感じられて良かったです。
第一幕に締まりがあったら、素晴らしいオペラになるでしょうね。

<出 演>
 ・ハムレット:アラン・クレイトン (Allan Clayton)
 ・ガートルード:サラ・コノリー (Sarah Connolly)
 ・オフィーリア:バーバラ・ハンニガン (Barbara Hannigan)
 ・クローディアス:ロッド・ギルフリー (Rod Gilfry)
 ・父王の亡霊・墓掘人夫・他:ジョン・トムリンソン (John Tomlinson) 一人三役

<合 唱> グラインドボーン合唱団
<管弦楽> ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> ウラディーミル・ユロフスキ (Vladimir Jurowski)
<演 出> ニール・アームフィールド (Neil Armfield)


収録:2017年6月30日、7月6日 グラインドボーン音楽祭歌劇場(イギリス)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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