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2020ハンブルク国立歌劇場公演 ヴェルディの歌劇「ファルスタッフ」をNHKプレミアムシアターで観る


ヴェルディのオペラ「ファルスタッフ, Falstaff」デブっちょの喜劇ですね。スペインの濃厚で刺激的な演出家C.ビエイトがどの様な舞台を作っているか興味がありますね。



(公式Excerptです)





演出
大袈裟な演技、表情、ドタバタ の喜劇演出でした。ビエイトらしいヤバいシーンの設定があるかと思ったのですが、ストーリーの置き換えも無く、舞台設定上の都合で洗濯籠とハーンの樫の木を弄ったくらいでほぼそのまま、少々肩透かしを食らった気分でもあります…w

舞台・衣装
舞台のメインセットは建物ですね。それがシーンによって回転して外観であったり二階建ての断面であったりで、キャストのドタバタが観易く作られています。衣装は現代風ですが、ラストの妖精達で少しアブノーマルになって僅かに前衛色を見せました

配役
何と言ってもタイトルロールのマエストリです。当たり役というだけあって存在そのものがファルスタッフです。デカくてデブの容姿w・演技・歌い、共にジャストフィットの楽しさでしたね。

大きくておデブのファルスタッフ以外は極端に言えば"その他諸々"的なのが このオペラ。女性陣で言えばアリーチェ(コヴァリェフスカ)も、メグ(アルドゥリアン)も、クイックリ夫人(カリャジナ)も突出したモノを見せる必要はなく大袈裟な表情や演技でコメディを演じればOKですね。

男性陣ではフォード(ブリュック)が気持ちの入った演技でしたが、役割通り。フェントン(パルチコフ)他も端役のファルスタッフの手下二人も同様で、控え目のキャラクタでコメディ演技主体です。


音楽
アクセル・コーバーはメリハリの強いタクトだった気がしますが、いかがでしょうか。特にディナーミクの振りが強く出し入れの明瞭な流れになっていた感じでした。


一にも二にもファルスタッフのアンブロージョ・マエストリのオペラでした。それが全てと言っていいくらいですね。

演出的には今の時代としてはスタンダード範疇で、もっとエロティックか危険な笑いの香りが欲しい気がしました。ビエイトですから。アヴァンギャルドな喜劇だったら興味深かったかと。



<出 演>
 ・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ [Ambrogio Maestri]
 ・フォード(金持ちの市民):マルクス・ブリュック [Markus Brück]
 ・アリーチェ(フォード夫人):マイヤ・コヴァリェフスカ [Maija Kovalevska]
 ・ナネッタ(フォード夫妻の娘):エルベニータ・カイタージ [Elbenita Kajtazi]
 ・クイックリ夫人:ナデジュダ・カリャジナ [Nadezhda Karyazina]
 ・メグ(ページ夫人):イダ・アルドゥリアン [Ida Aldrian]
 ・フェントン(青年紳士):オレクシー・パルチコフ [Oleksiy Palchykov]
 ・ケイアス(医者):ユルゲン・ザッハー [Jürgen Sacher]
 ・バードルフ(ファルスタッフの従者):ダニエル・クルーゲ [Daniel Kluge]
 ・ピストラ(ファルスタッフの従者):ティグラン・マルティロシャン [Tigran Martirossian]

<合 唱> ハンブルク国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> アクセル・コーバー [Axel Kober]
<演 出> カリスト・ビエイト [Calixto Bieito]


収録:2020年1月19日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





フィレンツェ五月音楽祭2019 ワーグナー 歌劇『さまよえるオランダ人』をNHKプレミアムシアターで観る

2019年の"フィレンツェ五月音楽祭"(Maggio Musicale Fiorentino) から「さまよえるオランダ人, Der fliegende Holländer」です。救済あり、一幕後インターミッションあり、のヴァージョンだった様です。

ポール・カランによる演出ですが知見がないので予想がつきませんね。下記YouTubeを見る限りでは奇抜さは無い様です。今の時代のオペラですと舞台・衣装だけでなくストーリーにさえ手を付ける事が不思議では無いので…



約1'と極短い抜粋版です


演出
衣装も舞台もシンプル化されていますが、原作に則った設定で 置き換えも採用していませんから今の時代にしたら古典的演出と言ってもいいかもしれません。もちろんストーリーに手を入れる事もありません。シンプルに暗いステージ、プロジェクション・マッピング(PM)は今のオペラの標準仕様でしょうね。

舞台・衣装
暗い舞台に大きなPM、単純な道具類。衣装は多少デザイナー的ですが、落着いたアースカラー基本に程々の時代考証でしょうか。いずれシンプル化されていますね。

配役
【女性陣】ゼンタ役のM.オーウェンズは太り過ぎです!!w 一人群を抜く巨体は役にフィットしないでしょう。ただ、sopは伸びと艶が素晴らしく今回のキャストではベストでしたね。性格設定は明るい女性です。個人的には細く鬱な方がワーグナー的だと思うのですが。
マリーのA.ヤーンスは印象が薄かったですね。

【男性陣】タイトルロールのT.ガゼリのバリトンと、ダーラント役のバスのM.ペトレンコは似た印象でした。歌唱・演技共に悪くないのですが、殊更良くも無いと言った風で、バリトンvsバスの重唱は地味に聴こえました。ただ、ラストのガゼリは素晴らしかったですね。
エリックのB.ベルヒトルトのテノールはほどほどでしたが、年齢的にはゼンタを慕う青年というには無理がある様な…w

音楽
ルイージのコンサートでの印象はクールな見かけと異なりますすね。単独でも演奏される序曲では 速め激しさで入り、アゴーギクとディナーミクのコントラスト付けを強くメリハリある演奏でした。(頭の中の序奏はE.D.ワールトです)
劇中での演奏もかなり出し入れの強い鳴りを感じ、やっぱりルイージでした。


ワーグナーと言うとバイロイトが前衛演出なので、久しぶりに旧タイプの演出・舞台・衣装のワーグナー作品でした。本来なら違和感なく楽しめるはずですが、今や少々物足りない感が否めないかもしれません。

配役も微妙で、ゼンタとエリックは少々アンフィット。その他男性陣は何かもう一つ欲しかった様な。



<出 演>
 ・オランダ人:トーマス・ガゼリ [Thomas Gazheli]
 ・ダーラント:ミハイル・ペトレンコ [Michail Petrenko]
 ・ゼンタ:マージョリー・オーウェンズ [Marjorie Owens]
 ・マリー:アネッテ・ヤーンス [Annette Jahns]
 ・エリック:ベルンハルト・ベルヒトルト [Bernhard Berchtold]
 ・かじ取り:ティモシー・オリヴァー [Timothy Oliver]

<合 唱> フィレンツェ五月音楽祭合唱団
     アルス・リリカ合唱団
<管弦楽> フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
<指 揮> ファビオ・ルイージ [Fabio Luisi]
<演 出> ポール・カラン [Paul Curran]


収録:2019年1月10・13日 フィレンツェ五月音楽祭劇場(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コロナ禍で中止になった 2020アン・デア・ウィーン劇場公演 ベートーヴェン歌劇「フィデリオ」NHKプレミアムシアターで



COVID-19に揺れる今年3月のヨーロッパ、オーストリアのアン・デア・ウィーン劇場(Theater an der Wien)での『フィデリオ, Fidelio』ですね。公演自体は中止を余儀なくされ、無観客ストリーミングによる上演となりました。

ベートーベン唯一のオペラですが、個人的には何回観ても今ひとつ感が拭えません。今回の演出C.ヴァルツも知見がないので、予想がつきませんね。第二稿二幕ver.です。



(CMajorEntertainmentからの配信、抜粋です)


演出
極端な置き換え、*ストーリーに手を付ける、前衛性の高いヴィジュアル、と言ったアヴァンギャルド方向はありません。プロジェクションマッピングも使わない極度にシンプル化した舞台設定と同じくシンプルで動きの少ない演技、ミニマル芸術的な方向性です。
 *注:ラストのマルツェリーネのシーン他 一部ストーリーを省略していますね。

舞台・衣装
無機的で何も象徴しない単純化された舞台ですが、スケールを感じます。そうなるとミニマル芸術方向ではないかも…汗。衣装も時代背景を紐付けしない単純なスタイルで、舞台と共に色彩感は極薄いですね。今の時代の舞台と衣装と言う事になるでしょうか。

配役
【女性陣】タイトルロールのN.シュヴァリエは地味ですが、役柄上そうなるのは仕方がないですね。sop歌唱は第二幕のフロレスタンとの重唱が聴き応えがありましたね。終わって見れば彼女がベスト・ロールでした。
フィデリオを愛するマルツェリーネのM.プティはsopも良く、可愛い女性役を演じました。

【男性陣】フロレスタンのE.カトラーがテノールも演技もフィットして良かったです。台詞が多いのはどうも好きになれませんが…
刑務所長のG.ブレッツはクールで良かったのですが、もっと悪党っぽい人選の方がこの舞台では映えたかもしれません。
ロッコのC.フィシェサーも良いバス・バリトンと演技で流れに締り入れました。

音楽
ホーネックと言うと、個人的には一癖ある演奏が浮かぶわけですが、左右の手を同期して振るスタイルも何となく違和感がありますね。(笑)
レオノーレ序曲についてはコメントするだけの知識がないのでパス、全体としては強音パートでの力感と派手さを感じました。第二幕ではその派手さが生きましたね。


舞台・衣装・演技の全てがシンプル化されたフィデリオです。そうなると配役が光らないとならないのですが、第一幕は光るパートがありませんでした。

期待外れかと思いきや、第二幕は主役二人を中心に見事な重唱で楽しませてくれました。

台詞も多く好みとは言えないフィデリオなので、どこかネガティブな見かたになってしまいますねw



<出 演>
 ・フロレスタン(囚人):エリック・カトラー [Eric Cutler]
 ・レオノーレ(男装してフィデリオ):ニコール・シュヴァリエ [Nicole Chevalier]
 ・ドン・ピツァロ(刑務所長):ガーボル・ブレッツ [Gábor Bretz]
 ・ロッコ(刑務所員):クリフトフ・フィシェサー [Christof Fischesser]
 ・マルツェリーネ(ロッコの娘):メリッサ・プティ [Mélissa Petit]

<合 唱> アルノルト・シェーンベルク合唱団
<管弦楽> ウィーン交響楽団
<指 揮> マンフレート・ホーネック [Manfred Honeck]
<演 出> クリストフ・ヴァルツ [Christoph Waltz]


収録:2020年3月18・20日 アン・デア・ウィーン劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ザルツブルク音楽祭2020 モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」を NHKプレミアムシアターで観る


"2020 Salzburger Festspiele"から、モーツァルトのオペラ「Così fan tutte」ですね。COVID-19の影響で、全二幕は同じですが休憩なしの2h20mの短縮版にしているそうです。単純なストーリーと配役なので大きな問題はなさそうな感じですが。

演出はモーツァルトを得意とするクリストフ・ロイなので楽しみです。とは言え、ミニマル主義的演出であまり冒険は無いですから前衛ステージにはならない予感です。



(公式Trailerです)


演出
超シンプルで費用を問題にする主催者側が喜びそうですw シンプルを通り越してリハ風景の様ですが、それが今風で違和感はありませんね。ゴテゴテとした時代考証的な方が引けるかもしれません、ロシア・オペラの様な…w
ストーリーには手をつけていません。今の時代、何をするかわかりませんが、それが魅力の一つでもあるのも事実ですね。


舞台・衣装
ミニマリスト演出ですから、白い壁一枚の様な超シンプルな舞台。そして現代服装で、モノトーナル主体のスーツとドレス。対比させる役には派手な色を使っています。シンプルな分、演技が映えるので実力が反映されそうです。


配役
【女性陣】フィオルディリージ役ドライシヒは表情で貞淑さを表現し、このオペラの聴かせ処の第二幕アリアの感情表現はちょっとグッと来ました。姉妹ドラベッラのクレバッサは感情的なキャラを上手く演じ、Mezも伸びやかでしたね。デスピーナのデゾンドレがもっと光ると、この舞台が映えたかもしれません。

【男性陣】グリエルモのシュエンは相変わらず見栄えがしましたが、フェランド役ヴォルコフのテノールはもう少し伸びやかさが聴きたかったです。ドン・アルフォンソのクレンツレは演技が冴えましたが、バス・バリトンらしさは薄かった感じですね。まぁそう言う役柄ですが。

突出した歌唱力はありませんでしたが、全員舞台映えしましたね。個人的には見栄えも重要だと思っています。多重唱が魅力に欠けたのは残念ですが。


音楽
女性指揮者のマルヴィッツに知見が無いのですが、ディナーミクを使って出し入れを感じる流れを感じました。微妙なアゴーギクもあってシンプルな舞台に合ったモーツァルトになった様な。ラストは派手に鳴らしましたね。


前半は淡々とした印象が残りましたが、後半は楽しめましたね。シンプルに拘った演出に一つはあるかもしれませんが、ゴチャゴチャした楽しさがもう少し有った方が好みです。

三大オペラ(フィガロの結婚, ドン・ジョヴァンニ, 魔笛)に比べるとどうしても地味に感じてしまうのは仕方がないのかもしれません。



<出 演>
 ・フィオルディリージ:エルザ・ドライシヒ [Elsa Dreisig]
 ・ドラベッラ:マリアンヌ・クレバッサ [Marianne Crebassa]
 ・グリエルモ:アンドレ・シュエン [Andrè Schuen]
 ・フェランド:ボグダン・ヴォルコフ [Bogdan Volkov]
 ・デスピーナ:レア・デゾンドレ [Lea Desandre]
 ・ドン・アルフォンソ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ [Johannes Martin Kränzle]

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> ヨアナ・マルヴィッツ [Joana Mallwitz]
<演 出> クリストフ・ロイ [Christof Loy]


収録:2020年7月28・30日、8月2日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2006年ザルツブルク音楽祭 『ZAIDE・ADAMA, ツァイーデ・アダマ』モーツァルト と チェルノヴィン



ツァイーデ・アダマ  (ZAIDE・ADAMA)
モーツァルト生誕250年を記念にザルツブルク音楽祭で全22作品の上演をDVDにまとめたシリーズ「MOZART 22」の第9弾「ZAIDE・ADAMA」(2006年)です。

この作品はモーツァルトの未完作品"ZAIDE"に新たに作られた"ADAMA"を入れて再構築しています。

ZAIDE(1780)は「後宮からの逃走 (1782)」の元となった作品でタイトルも見つかっていないので主人公の名前をとっていますね。


2006ZaideAdama.jpg
(映像は演出のClaus Guth氏のwebよりお借りしました)



ハヤ・チェルノヴィン Chaya Czernowin
再構築を担当した前衛女性現代音楽家チェルノヴィンは、ザルツブルク音楽祭の演出家ペーター・ルジツカ(Peter Ru­zicka)から委嘱され、脚本もZAIDEのヨハン・アンドレアス・シャハトナー(Jo­hann An­dreas Schacht­ner)を元にチェルノヴィンが担当しています。ちなみにADAMAとはヘブライ語で地球(earth)の意味だそうです。(基本的にはチェルノヴィンの作品と言っていいでしょう。スコアをリリースしているSCHOTT社も作曲者は分けていますがチェルノヴィン作品としています)


チェルノヴィンは次の様に言っていますね。

"ADAMAはモーツァルトのZAIDEの物語の対位的になっていて、自分がこの新たな作品の完全性に貢献したのは伝統的アリアではなく、フラグメントやピースをZAIDEのエレメントと交互に時折ラップする様にする事です。その意味で、ADAMAはZAIDEの鏡と言えるでしょう"

事実チェルノヴィンの言う通り、全29シーンに細分化されて ツァイーデが15シーン(全曲)、アダマが13シーン、一つの舞台で二つの流れが折り重なって演じられます。(オケも指揮者も出演者もそれぞれ別です)


■ 物語の構成 ■
"ZAIDE"にはZaideとGo­matzの二人の恋人がいて、それは中近東の想像上の過去になります。"ADAMA"にも男女二人の恋人がいて、今日の中近東での宗教的かつ政治的な闘争に巻き込まれています。
時代が異なる恋人の関係を、モーツァルトの政治や文化の衝突で監禁された(Zaide)不運の愛と、イスラエル女性とパレスチナ男性の暴力で引き裂かれた愛で対比しています。ADAMAの配役には名前がありません。女・男・父と言った具合です。
(ちなみにチェルノヴィンはイスラエル出身。また、今回の演出は地域性を見せません)





音楽
ADAMAのシーンはモロに前衛現代音楽で、ノイズ系を含む前衛音楽に無調の旋律を歌います。もちろんZAIDEは古典音楽とアリアがあるので、その対比になっています。

一般的に前衛現代音楽家でもオペラの歌唱は調性+不協和音レベルになるのが殆どですが、チェルノヴィンは違いますね。歌唱自体に難しい無調旋律を与えています。これは素晴らしいですね。

オケ配置はZAIDEサイドはオケピットですが、ADAMAサイドは舞台の右で舞台道具の扉のガラスから見る事が出来ます。


演出
これが初演ですから比較するものはありません。配役の他に、大きな顔の被り物の人物が舞台に存在します。また血を見せるシーンもあって少しアヴァンギャルドですね。ZAIDEとADAMAそれぞれの配役は常に舞台に居てそれぞれ協調する演技設定になっています。二つのストーリーのミラーリフレクションにしていますね。

全体としては心象表現の強い前衛演出でZAIDEが持つロケーション的ストーリーを表現する事はありません


舞台・衣装
舞台は狭いですね、オケがいますから。白い部屋、そこに5倍くらいの大きさの家具が配置されて、人物が小さく見える様になっています。ADAMAでは全面にプロジェクション・マッピングが施されたりします。衣装はシンプル現代的です。


配役
【ZAIDE】Gomatzのレティプーはテノールものびのびと演技も熱がこもっています。Zaideのエルドマンはソプラノもよく声が出て、愛らしさが表現されていました。良い演技とテノールを聴かせてくれたのはSlimanのエインズリーで第二幕を締めましたね。曲があまりにもモーツァルトっぽ過ぎでしたがw

【ADAMA】二人は無調で難しい歌が入ります。心地良い旋律は存在しない訳で、そこは配役の良し悪し外です。演技は常にシリアスな気配が表現されて二つのストーリーの合成に貢献していますね。



ADAMAが完全に前衛現代音楽で出来上がっているのが驚きです。それが出来たのは古典の流れと前衛の流れをタイミング良く入れ替える構成にしたからでしょう。

その素晴らしさを構築したのがチェルノヴィンと言う事になりますね。クラウス・グースの演出も古典ZAIDEを前衛的にして統一感があり、全体として前衛オペラです。

今や前衛演出全盛ですからモーツァルト・ファンの方も違和感は少ないでしょうし、前衛現代音楽ファンとしてはもちろんオススメの作品です!!



【出演者】
[ZAIDE]
 ・Mo­jca Erd­mann, Zaide
 ・Topi Le­htipuu, Go­matz
 ・Jo­han Re­u­ter, Allazim
 ・John Mark Ains­ley, Soli­man
 ・Ren­ato Gir­o­lami, Os­min
[ADAMA]
 ・Noa Fren­kel, Wo­man
 ・Yaron Windmüller, Man
 ・An­dreas Fisc­her, Fath­er
 ・Paul Lorenger, Dan­cer
 ・Bernd Grawert, Act­or

【オケ・指揮者】
[ZAIDE]
 ・Moz­ar­teum Or­ches­tra Salzburg, Ivor Bol­don(con­d.)
[ADAMA]
 ・Aus­tri­an En­semble for New Mu­sic, Jo­hannes Kal­itzke(con­d.)

【演出】
 ・Claus Guth


ザルツブルク音楽祭 2006年8月15-19日

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2019ベルギー王立モネ劇場公演 オッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」を NHKプレミアムシアターで観る


ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach, 1819-1880)の人気オペラ「ホフマン物語, Les Contes d'Hoffmann)ですね。昨年(2019)のベルギー王立モネ劇場の公演です。

ホフマン物語といえば一人四役を演じる事ですよね。5幕中の四つのシーン(1,5.ルーテルの酒場 - 2オランピア - 3.アントニア - 4.ジュリエッタ)でそれぞれの役になりますね。役名が変わるだけで本質的には同じ様な役ですが。(このブログ的にはアルバン・ベルクの「ルル」を思い浮かべます)

未完成作品なので補筆版が多く存在しますが、現在のスタンダード"ケイandクック版"での上演です。



(公式Trailerです)


演出
演出家のヴァルリコフスキには知見がないのですが、現代のハリウッドに置きかえてホフマンを錯乱気味の映画監督にしています。

オリジナルと変えてあるのは次のシーンで、いずれも映画の引用が主です。■1.オリジナルに無い英語の台詞(プロローグと第三幕ラスト)挿入。本編はもちろん仏語ですが。また■2.第三幕のアントニアは死にません。■3.最後はオスカーの授賞シーンで、監督ホフマンが(英語で)割り込んで来ます。(ラストは中途半端感を拭う様にミューズが現れて救済シーンです)

全体的にはその置きかえが中途半端な印象です。もっと極端に、アヴァンギャルドに!!、ですね。


舞台・衣装
舞台は大画面のプロジェクション・マッピング、暗い舞台、シンプルな道具配置。キャストはケバケバしい化粧、今風の安っぽい衣装で大胆下品風、と言った感じです。今風ですが、衣装は内容のわりにインパクトが足りない感じですね。


配役
【男性陣】タイトルロールのE.カトラーは それなりに演技も作ってテノールも程々に生きていた感じです。リンドルフ(他)のG.ブレッツは敵対するイメージは合っていましたね。ただバリトンがややテノール風で対比感が弱かったかも。メイクは明らかにジャック・ニコルソンの映画"ジョーカー"のパロディでしょう。アンドレス(他)のL.フェリックスは存在感が弱かったですね。

【女性陣】注目のオランピア(他)のP.プティボンですがsopはともかく あまり面白さがありませんでした。これは完全に演出の問題でしょう。ニクラウスとミューズのM.ロジェが一番個性的な印象を受けましたね。mezと演技はそこそこなのですが存在感がありました。

キャストが今ひとつ感だったのは演出による処が大きかったのでは無いでしょうか。(個人的にあまり好みの演出ではありませんでしたから)


音楽
指揮のアルティノグリュにも知見がないのですが、強音パートはともかく静音パートが弱かった感じがしますね。



どの幕もオリジナルに対するハリウッド置きかえが中途半端で、それが全ての印象の足を引っ張っていた感じです。

舞台の置きかえをするならその落差も徹底的であって欲しかったです。"これじゃ歌詞と合ってないよねェ"くらい前衛に!!w


<出 演>
 ・ホフマン:エリック・カトラー [Eric Cutler]
 ・オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリシア・プティボン [Patricia Petibon]
 ・ニクラウス/ミューズ:ミシェル・ロジエ [Michèle Losier]
 ・リンドルフ/コペリウス/ミラクル/ダッペルトゥット:ガーボル・ブレッツ [Gábor Bretz]
 ・アンドレス/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:ロイク・フェリックス [Loïc Félix]

<合 唱> モネ劇場合唱団
<管弦楽> モネ劇場管弦楽団
<指 揮> アラン・アルティノグリュ [Alain Altinoglu]
<演 出> クシシュトフ・ヴァルリコフスキ [Krzysztof Warlikowski]


収録:2019年12月17・20日 ベルギー王立モネ劇場 (La Monnaie)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウイーン国立歌劇場 2019年公演 R.シュトラウスの歌劇「影のない女」をNHKプレミアムシアターで観る


観るチャンスの少ないオペラ、リヒャルト・シュトラウスの「影のない女, Die Frau ohne Schatten」(全3幕: 約3時間半)の登場ですね。ティーレマンの指揮もポイントでしょう。ただ、演出のヴァンサン・ユゲ(Vincent Huguet)に知見がないので予想がつきません。



(公式Trailerです)


よく出て来るのは"魔笛"を元にした話ですが、感じられますか?! 皇帝・皇后がタミーノ / パミーナで、バラックと妻がパパゲーノ / パパゲーナ、乳母が夜の女王でしょうか。ちょっと無理がありますよねェ…

演出
シンプルな舞台・衣装で、プロジェクション・マッピング(以下PM)も今やスタンダードです。何よりストーリーには手をつけていませんから安心して観ていられる事に繋がっているかもしれませんね。今の時代ですと極標準的な印象になるでしょうか。

舞台・衣装
舞台はアースカラーで無機質な大物配置で暗く設定されて 大きな背景は時にPM、最近の傾向そのものでしょう。衣装も時代背景(神話ですが)と現代衣装のミックスといった、これまた現代のスタンダード。

配役
まず第一印象は女性陣がレベル高く楽しませてくれた感じです。
女性陣はタイトル・ロールのC.ニールント、バラックの妻のN.シュメンテ、乳母のE.ヘルリツィウス、それぞれ三者三様に素晴らしかったです。安定した歌唱と演技でしたね。
男性陣では皇帝役のS.グールド。同2019のバイロイトでタンホイザーのタイトルロールでしたが印象は薄かったのですが、役柄らしい堂々とした雰囲気でしたが声がやや弱い印象でした。バラックのW.コッホはクールさが目立ちましたね。

演出でもう少し配役にコントラストを付けてもらえたら良かった気がします。

音楽
楽曲が少々難解なのも変化に乏しい感を残しています。演奏でティーレマンがメリハリを付けているのですが。
ただ、ラストの石像になった皇帝に皇后が会うシーンは、交響詩の様なわかりやすい曲の流れになって大団円を受け入れやすくしていますね。


第一・二幕がわかりづらいイメージはやはり変わりませんね。楽曲から行くと近代オペラですから、単純に楽しみづらく長く感じます。

その分?!第三幕は素晴らしく、愛の物語が伝わりましたね。ラストの救済はやっぱり感激的です。


<出 演>
 ・皇后:カミッラ・ニールント [Camilla Nylund]
 ・皇帝:ステファン・グールド [Stephen Gould]
 ・乳母:エヴェリン・ヘルリツィウス [Evelyn Herlitzius]
 ・バラック:ウォルフガング・コッホ [Wolfgang Koch]
 ・バラックの妻:ニナ・シュテンメ [Nina Stemme]

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]
<演 出> ヴァンサン・ユゲ [Vincent Huguet]


収録:2019年5月25日、6月10日 ウイーン国立歌劇場(Vienna Staatsoper, オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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