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パリ・オペラ座公演 ラモー歌劇「みやびなインドの国々」をNHKプレミアムシアターで観る

バロック音楽家ラモーの1736年の古いオペラ「優雅なインドの国々, Les Indes galantes」です。3時間を超える大作ですね。

バロック時代、ヨーロッパ以外をインドと称して東側(東インド)と西側(西インド)とみなし、その野蛮な国の文化を一つのオペラで楽しむと言う、当時の白人世界の偏見の極みの様なオペラですw


Title | Composer
みやびなインドの国々 ジャン=フィリップ・ラモー
なんと言っても特徴的なのは仏ヒップホップ系ダンサーで振付師のB.デンベリを起用している事でしょう。まぁフランスのオペラと言えばバレエが入るのが常套手段ですからw
演出ののコジトレは知見がありませんので、推測が出来ませんね。

【超あらすじ】
[プロローグ] 女神エベが若者達と楽しんでいる所へ戦いの神べローヌが現れて戦いの時を伝えると、若者達は各地に散った。愛を取り戻させるべく、エベの願いでキューピット達が遣わされる。
[四つの幕] インドの国々(ヨーロッパ以外の事です)トルコ、ペルー、ペルシャ、アメリカ、で愛が成就されていく。


<出 演> (各シーンでの役名です)
 ・エベ / パーニ / ジーマ:サビーヌ・ドゥヴィエル [Sabine Devieilhe]
 ・ベローヌ / アダリオ:フロリアン・センペイ [Florian Sempey]
 ・アモール / ザイール:ジョディ・デボス [Jodie Devos]
 ・オスマン / アリ:エドゥウィン・クロッスリー・メルセ [Edwin Crossley-Mercer]
 ・エミリエ / ファティマ:ジュリー・フックス [Julie Fuchs]
 ・ヴァレル / タクマ:マティアス・ヴィダル [Mathias Vidal]

<管弦楽> オーケストラ・カペッラ・メディテッラネア
<指 揮> レオナルド・ガルシア・フラルソン [Leonardo García Alarcón]
<振 付> ビントゥ・デンベリ [Bintou Dembélé]
<演 出> クレマン・コジトレ [Clément Cogitore]


収録:2019年10月8日・10日 パリ・オペラ座バスチーユ(フランス)





(ラストのダンスシーンです)


演出
大きな3つの流れが混用されます。①プロローグのファッションショーへの読み替えとバレエ。ファッションショーの舞台裏から衣装撮影、そしてショーの設定で女神エベはデザイナーですね。②第一・二幕はバレエ中心的でストーリーとは関連の薄い流れ。③後半二幕はバレエは控えてストーリーに近い衣装と配役設定になっています…少し統一してもらった方が焦点を絞りやすかった気がします。

面白かったのは①の読み替えとバレエで、オペラ演出というよりも前衛バレエ振付の印象ですね。

舞台・衣装
無機質シンプルな舞台と現代的衣装です。中央にせり上がり舞台があり、その上部に大物を吊り下げると言うのが舞台装置で周辺には何も配置しませんね。

配役
曲が単調過ぎて歌い手のキャラを楽しむのが難しいですね。それがバロック歌劇の難しさでしょう。

音楽
残念ながらバロック音楽は範疇の外となるのでコメントのしようがありません。指揮のフラルソンも全く知見がありませんね。



バロック音楽と現代バレエの融合ですが、後半はそれを弱めて半端な感じが残ります。

プロローグの様なストーリーの読み替えとバレエを徹底してやっていたらもっと楽しかったかもしれません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





英国ロイヤル・オペラ公演 ヴェルディの歌劇「運命の力」を NHKプレミアムシアターで観る

今回は見逃せない豪華布陣ですね。個人的にはこの顔ぶれならテジエのファンですが、それにしてもNHKさんはネトレプコ好きですね。


Opera Title | Composer
運命の力 ジュゼッペ・ヴェルディ
英国ロイヤル・オペラ・ハウス(Royal Opera House) 2018/19 Spring の最終公演ですね。今の時代は配役もさる事ながら"演出"が気になりますね。恥ずかしながらクリストフ・ロイ演出の印象がありませんので、イメージできないのが残念です。
ただこの作品の緩い展開と、第三幕第二場後半の無駄な流れはあまり好きになれません。

<出 演>
 ・ドン・カルロ(侯爵の息子):リュドヴィク・テジエ [Ludovic Tézier]
 ・レオノーラ(ドン・カルロの妹):アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
 ・ドン・アルヴァーロ(レオノーラの恋人):ヨナス・カウフマン [Jonas Kaufmann]
 ・グァルディアーノ神父:フェルッチョ・フルラネット [Ferruccio Furlanetto]
 ・カラトラーヴァ侯爵:ロバート・ロイド [Robert Lloyd]

<合 唱> 英国ロイヤル・オペラ合唱団
<管弦楽> 英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
<指 揮> アントニオ・パッパーノ [Antonio Pappano]
<演 出> クリストフ・ロイ [Christof Loy]


2019年3月24日,4月2・5日 英国ロイヤル・オペラ・ハウスでの収録です





(公式Trailerです)


演出
ロイの演出に目新しさはありませんでした。僅かに使ったプロジェクション・マッピングも今やスタンンダード、舞台・衣装にも特異性はありませんし、過激な表現もありません。
序曲でカルロとレオノーラの兄妹, そして父カラトラーヴァ侯爵の生い立ちを創りましたが、あまり意味を感じる事は出来ませんでした。


舞台・衣装
大枠の舞台道具は固定的で、衣装と合わせて適度な時代考証風になっています。アヴァンギャルドなモノが出現する事もありません。


配役
レオノーラのアンナ・ネトレプコは今やドラマティコ、朗々たるsopを響かせて楽しませてくれます。もちろん演技・表情ともですが、N.Y.で美味しいモノを食べ過ぎでしょうね。
男性陣、ドン・アルヴァーロのヨナス・カウフマンものびやかなテノールは流石で、トップスター二人の声量ある歌声はそれだけでも楽しませてくれます。重唱は言わずもがなでしょう。例によって涎を垂らしていましたがw
ドン・カルロ役のリュドヴィク・テジエが今回一番光りましたね。テノールの様な張りのあるバリトンは好みです。ちょっと憎まれ役はピッタリで堂々と演じるのが良いですね。カウフマンのテノールを飲み込む様な重唱は素晴らしかったです。
(3人の中ではカウフマンが少し元気がなかったでしょうか)


音楽
パッパーノは近年マーラーで良い録音を残していて注目なのですが、ここでもアゴーギクを適度に振っていて流れの良さを感じました。ただ少し引き気味で、もう少し前に出ても良かったかもしれません。



オペラの楽しみは演目か配役か。今回は後者、スター三人を楽しめるのがポイントでしょう。演出は前衛好きですが、このパターンならコンベンショナルで良かったかと。

個人的にはもちろんテジエに一票です。ネトレプコとカウフマンは、観る前から想像出来る範疇ですねw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アルバン・ベルクの歌劇「ルル」:クリスティーネ・シェーファーのタイトルロールで


ベルクの代表作、未完の現代音楽オペラの傑作「ルル」DVDです。
タイトルロールのクリスティーネ・シェーファーは現代音楽を得意としていてシェーンベルク「月に憑かれたピエロ」でも素晴らしい歌声?!を残していています。


Album Title | Composer
LULU (1928-未完)
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)
ここで使われている十二音技法(的な手法)は主音列の十二音をルルに割り当てて、その音列を様々な組合せ変更でシェーン博士・他のキャラクタに振り分けています。言われている事ですが、ワーグナーのライトモティーフの様ですね。

落ちぶれて娼婦に落ちる魔性のルル。その構造は❶1)夫たち, 2)取り巻きたち, 3)客たち, の三つの役に分かれます。特徴的なのは❷殺した夫シェーン博士(役)が 最後に客の切り裂きジャックで登場する事、他二人の死んだ夫(役)も三幕でルルの客になるという第一・三幕シンメトリックな二役が設定されている事でしょう。また, その折り返し点となる❸第二幕ルルの"逮捕・裁判・投獄"が無声フィルムで流される事ですね。

現代音楽家フリードリヒ・チェルハ補筆版の全三幕ヴァージョンです。1996年のグラインドボーン音楽祭、少々古いですがよく知られた一枚でしょう。





(日本語字幕付きで, わかり易いです)


演出
ヴィックの演出は、この時代のクールさを感じさせますね。古典的な演出からアヴァンギャルドに移行する時代のシンプルな洗練さです。残虐さやエロティックなシーン演出もそこそこで留めていますね。
個人的には、この陰惨なオペラには前衛のドロドロ演出の方が合っている気がしますね。


舞台・衣装
現代的な衣装はシンプルに、舞台もシンプルで狭いグラインドボーン・ハウスの舞台を生かしていますね。中央にせり上がりのある同心円で動く多重の回舞台もあって、この時代らしい20世紀末の洗練された印象です。


配役
まずは何と言っても95年のザルツブルクでもタイトルロールを演じているシェーファーですが、個人的には子供っぽく妖艶さに物足りなさを感じてしまいます。sopも美しいのですが魔性の色合いはありませんね。演技も薄めで小柄でベビーフェイスの小悪魔?、ちょっと違う感じでしょうか。
やっぱりシェーン博士/切り裂きジャックのW.シェーネの素晴らしさでしょう。見栄えと通りの良いバス・バリトンはこの役にピッタリでしたね。
その他顔ぶれも特筆はありませんが、バランスの良い顔ぶれでサポートしていましたね。あえて言えばアルヴァのD.クブラーのテノールと、シゴルヒ役ノーマン・ベイリーの存在感でしょう。


音楽
当時グラインドボーン音楽祭の音楽監督だったアンドルー・デイヴィスは、かなり音を広げて鳴らしている感じがします。歌唱パートはともかく、音楽自体も主役だと言っているかの様です。

ベルクの音楽自体はより調性に回帰指向が強くなっている最晩年ですから違和感はヴォツェックに比べたら無いに等しいでしょう。音の跳躍も減って、語りパートも決してシュプレッヒゲザングにはなりません。



約3時間と長いのですが、流れの明確な演出もあって飽きさせません。そして何と言ってもベルクの音楽の素晴らしさを楽しめる事でしょう。アンドルー・デイヴィスとLPOに拍手ですね。

ただこのストーリーの渦巻く猜疑心や凄惨な流れとは対極にある演出は、きれいにまとまり過ぎの気がします。3人の夫他周囲を死に巻き込み、殺人罪で最後は娼婦に落ちぶれて死を迎えるのですから。今風のアヴァンギャルドな演出で楽しみたいですね。

とは言え、名作をすんなり楽しめるオススメDVDです。



独語+仏語字幕でOKならば、全編YouTubeで観られます!



【配役】
 ・ルル:クリスティーネ・シェーファー [Christine Schäfer]
 ・シェーン博士/切り裂きジャック:ウォルフガング・シェーネ [Wolfgang Schöne]
 ・アルヴァ(シェーン博士の息子):デイヴィッド・クブラー [David Kuebler]
 ・ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:キャサリン・ハリーズ [Kathryn Harries]
 ・画家/黒人客(?*):ステファン・ドラクリチ [Stephan Drakulich]
 ・医事顧問/教授(客):ジョナサン・ベイラ [Jonathan Veira]
 ・シゴルヒ:ノーマン・ベイリー [Norman Bailey]
 ・衣裳係/ギムナジウムの学生/下僕頭:パトリシア・バードン [Patricia Bardon]
 ・猛獣使い/力業師:ドナルド・マクスウェル [Donald Maxwell]
 ・公爵/従僕/侯爵:ニール・ジェンキンス [Neil Jenkins]

【指揮】アンドリュー・デイヴィス [Andrew Davis]
【演奏】ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 [LPO]
【演出】グラハム・ヴィック [Graham Vick]

* 原題"ein Neger"ですが特に黒人として出てくる訳ではありません。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アルバン・ベルクの歌劇「ヴォツェック」を個性派ブルーノ・マデルナのDVDで

このブログのメインは現代音楽なので、約50年前の古いこの映画版DVDの注目ポイントはブルーノ・マデルナです。


Conductor
ブルーノ・マデルナ
(Bruno Maderna, 1920-1973)
個人的に好きな現代音楽家で指揮者です。前衛全盛期にトータル・セリエルを牽引し、指揮者としてはあのシェルヘンに師事して超個性的で素晴らしいマーラーやシェーンベルクを残していますね。(インプレしてあります)


Album Title | Composer
ヴォツェック Op.7 (Wozzeck, 1925年)
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)
新ウィーン楽派の中ではシェーンベルクと共に好きな音楽家です、ヴェーベルンは苦手ですがw
「ルル」と並ぶベルクの代表作オペラですね。三幕それぞれが明確な音楽構成を持っていて、"I. 5つの性格的作品" - "II. 5楽章交響曲" - "III. 6つのインヴェンション"、ですね。各幕・各場は舞台と整合して、三幕五場の作品となっています。(第三幕には間奏曲が入って"6つの…"となります)

ルル同様陰惨な作品になりますが、その両者を合わせた様なB.A.ツィンマーマンの名作「兵士たち」の元にもなっていますね。現代音楽オペラ(映像付き)は、作品により所謂(いわゆる)オペラと楽しみ方も違う事があります。今回のポイントは2つです。

■ 救済も大団円も無い陰惨ドロドロのストーリー。
マデルナ指揮のベルク現代音楽としての楽しみ。





(所有盤は左です。右は国内発売盤ですね)


音楽
無調ですが旋律感は強いので、前衛現代音楽としては聴き易いですね。歌唱は音の跳躍が大きく、一部はシュプレッヒゲザングになって 前衛初期の時代を感じさせてくれますね。特に役柄によってシュプレッヒゲザングを強くしているのも印象的です。
一幕では十二音技法が使われていますが、それは技法的にであり旋律と言ったものが存在するのがベルクらしさですね。第二幕はより調性感が強く交響曲構成で聴き易く、第三幕はセリエル的なパートを感じます。間奏曲は多調の後期ロマン派的ですね。(構成上はフィニッシュ前のコーダの位置付けになります)

マデルナは例によって派手な出し入れの強い流れを作ります。ただ声楽が主役のオペラですから得意の極端なアゴーギクの振りは避けている様です。それでもメリハリの良さは音楽だけを楽しんでも十分満足できるでしょう。


配役
唯一表情豊なタイトルロールのトニ・ブランケンハイム(Toni Blankenheim)が印象に残ります。ただ映画版なので、自由度の高い映像とセッション録音で作り込まれた完成度になるでしょう。舞台と違い映像と歌唱(音楽)の一体感が薄く、ここで配役の印象をコメントするのは難しいと思いますね。(映像無しで聴いた方が素晴らしさを感じます)


演出
1970年前後のオペラは時代背景に忠実に作られていますから、ここでもその様な設定(1820年頃)になっていてストーリーも基本通りですね。今の演出は現代の舞台設定やアヴァンギャルドですから、基本を知らないと その面白さがわかりづらいのが事実です。
個人的には、この作品こそドロドロの前衛演出で楽しみたいとは思いますが。


完成度が高くストーリーもわかり易いのですが、映画版はどうしても好きになれませんねェ。映像なしで音楽だけ楽しむ方が曲や歌唱の素晴らしさが満喫出来ます。問題は独語の歌詞だけでは追いづらい事でしょうか。

マデルナのコントラストの強い流れと、各配役のいずれも完成度の高い歌唱を期待する貴方にはオススメです。もちろんカラーで音も問題ありませんがmonoなのでご注意を。



なんとYouTubeで英語字幕付き全編観られます!




 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2019-20アン・デア・ウィーン劇場公演 モニューシコ 歌劇「ハルカ」をNHKプレミアムシアターで観る

19世紀のポーランドの音楽家 スタニスワフ・モニューシュコ(Stanisław Moniuszko, 1819-1872)のオペラ「ハルカ, Halka」です。男性主役、演出、指揮者、含めてポーランド布陣による公演ですね。演出のM.トレリンスキに知見がありませんので、どの様な舞台になるか楽しみです。


■ 超あらすじ
【第一幕】領主ヤヌシュと名門令嬢ゾフィアの婚礼の会場。そこにヤヌシュに弄ばれた村娘ハルカが現れますが、ヤヌシュに言いくるめられてしまいます。
【第二幕】村の青年ヨンテックがハルカに騙されている事を伝えると、たまらず婚礼会場に向かいます。領主であるヤヌシュはヨンテックにハルカを何とかする様に言います。
【第三幕】正気を失って行くハルカ、ヨンテックはハルカがヤヌシュに遊ばれた事を村人に伝えます。
【第四幕】教会に向かうヤヌシュとゾフィア、それを祝う村人たち。ハルカは火を放とうとしますが止まり、川に身を投げます。教会から出てきた人々は、その事実を知りますが領主の婚礼の祝いはそのまま過ぎていきます。



Halka2019NPC.jpg
(オフィシャルサイトより)



1. 演出
設定を現代のホテルにして、裕福な婚礼客(領主の結婚)と従業員(村人)という構図になっていますね。そして舞台上にはプロジェクションマッピングと、今の時代らしい設定です。ハルカの赤ちゃんのシーンで一瞬グロテスクさが出るかと思いましたが、大丈夫でした。今の時代の演出はその手の危険性が高いですからねw と言う訳でアヴァンギャルドではありません。
前奏曲の際に舞台では事件の検視の様なシーンを持ってきているのはヤヌシュが引きずる背景設定の様ですね。

2. 舞台・衣装
回り舞台に階層の構造物とお金をかけていますね。衣装は現代風(ミニスカートとベルボトムは1970年代風?)です。全体的にモノトーンで合わせてありクールな感じでした。回り舞台は多用されて効果的に見えましたね。

3. 配役
男性陣では、ヨンテックのベチャワは太りましたねぇ。でも流石のテノールを聴かせてくれました。もちろん演技もビシッと決まっていました。
ヤヌシュ役のコニェチュニも良かったですね。バス・バリトンもさる事ながら、演技も好感が持てました。悪いヤツに見えないのが弱点といえばそうだったかもしれませんね。そう言えば2018バイロイトのローエングリンでもベチャワと一緒でしたね。その時のテルラムントでも悪さが足りない気がしたのを思い出しましたw

女性陣、タイトルロールのコリーン・ウィンターズはspoは朗々として、態度も堂々、本来のストーリー上のイメージとは少々印象が違いました。
ゾフィアは、シックな上流階級のお嬢様というよりも活発元気な女性の設定です。カヴァウェクは見た目も含めてピッタリでしたね。

4. 音楽
演奏は控えめに感じました。録音の問題もあるかもしれませんが、もう少し前に出てきても良かった気がしました。いかがでしょう。


女性陣二人の設定がイメージと違ったのは、現代の設定にした演出なのでしょう。男性陣は楽しませてくれましたね。

全体的に演出の上手さを感じました。意外ですが舞台と衣装の統一感も印象的で、クールに引き立てていましたね。



<出 演>
 ・ハルカ:コリーン・ウィンターズ [Corinne Winters]
 ・ヨンテック:ピョートル・ベチャワ [Piotr Beczała]
 ・ヤヌシュ:トマシュ・コニェチュニ [Tomasz Konieczny]
 ・ゾフィア:ナタリア・カヴァウェク [Natalia Kawałek]

<合唱指揮> エルヴィン・オルトナー
<合 唱> アルノルト・シェーンベルク合唱団
<管弦楽> ウィーン放送交響楽団
<指 揮> ウカシュ・ボロヴィチ [Łukasz Borowicz]
<美 術> ボリス・クドリチカ [Boris Kudlička]
<衣 装> ドロタ・ロケプロ [Dorothée Roqueplo]
<照 明> マルク・ハインツ [Marc Heinz]
<映 像> バルテク・マシアス [Bartek Macias]
<演 出> マリウシュ・トレリンスキ [Mariusz Treliński]


収録:2019年12月15・17日 アン・デア・ウィーン劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エクサン・プロバンス音楽祭2019 クルト・ヴァイルの歌劇「マハゴニー市の興亡」をNHKプレミアムシアターで観る

ドイツの近現代音楽家クルト・ワイル(Kurt Weill 1900-1950)のオペラ「マハゴニー市の興亡」(1930年, Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny)ですね。

台本はベルトルト・ブレヒトになります。ブレヒトとのコンビでは1928年に"マック・ザ・ナイフ"で有名な「三文オペラ」を大ヒットさせていますね。ヴァイルはナチスから逃れるため1935年に米国に移住してからはミュージカル音楽の世界に踏み入れてジャズやポップにも影響を与えている様です。

演出イヴォ・ヴァン・ホーヴェは尖った演出をする印象があるのですが、今回も危なさがあるのかも興味のポイントですね。(2017年のサロメはグロテスクさに腰が引けました)


■ 超あらすじ
  (ゴールドラッシュ時代のアメリカ)

【第一幕】場所の知れない荒野で指名手配犯3人(ベクビク, ファッティ, モーゼ)の車がストップし身動きが取れなくなります。そこで3人は"マハゴニー"という享楽の町を作り一儲け企みます。そのマハゴニーに4人のアラスカの木こり達(ビル, ジム, ジャック, ジョー)が楽しみを求めてやってきます。歓楽の町でジムは失望しながら売春婦ジェニーに出会い、町の規制を破り棄てます。
【第二幕】欲望に浸る中で、ジャックは食べ過ぎで死に、ジョーはボクシングでモーゼに撲殺されてしまいます。
【第三幕】ジムは様々な容疑と無支払で死刑となります。腐敗し火に落ちる町"マハゴニー"にデモが現れ、残ったビルがジムの棺を担いで行進して幕となります。


Festival_D_Aix2019.jpg
(写真はオフィシャルサイトからお借りしました)



演出
舞台上にカメラマンを配置して、その映像を大型モニターに投影すると言う設定ですね。インスタレーション系に踏み込んでいる感じです。ただ処々で背景に映像を入れる事自体はデフォルトで設定されている様です。
ただ流れ的にはやや寂しく、過食死やボクシング僕殺などはもっと派手なシーンを作っても良かった気がしました。ジェニーとジムの関係もはっきりしませんでしたね。

舞台・衣装
暗くてシンプルな舞台は今風で、上記の大型モニターが置かれます。そこにリアルタイムの映像が映されるのは斬新で、臨場感が上がりますね。衣装は当時の労働者風です。

配役
まず男性陣ですが、モーゼ(ウィラード・ホワイト)、ファッティ(アラン・オーク)は声・演技ともに地味ですね。期待したジム(ニコライ・シュコフ)も声は良いのですが人物設定が不明瞭で男性陣は今ひとつの感じでした。

一方の女性陣、悪役側ベクビクのカリタ・マッティラは、ラトルの"グレの歌"で素晴らしいトーヴェの記憶があります。今回の演技の内容と表情は全く別人ですねw 役作りはピッタリでしたが、sopはトーヴェで聴かせた優しさが感じられてしまいました。
ジェニー役のアンネッテ・ダッシュは、何と言っても2011バイロイトの"ネズミのローエングリン"でエルザ役の印象が残りますね。マッティラと同じく演技と容姿は役に合わせていて、ここでは売春婦的です。声にも伸びと尖ったsopが感じられましたね。

音楽
先ずは語りパートが多い事に気がつきますね。近現代音楽としては旋律感もあって、声楽パートも特異性はないので安心して楽しめます。その分中途半端感と背反ですが。なんとなくガーシュインやバーンスタインの様な音も感じる処もあります。
演奏はサロネン/フィルハーモニア管らしい落ち着いたコントロールとメリハリの管楽器を感じましたね。


原作のキャラクターと人間関係の不明瞭さが一番だと思いますが、イヴォ・ヴァン・ホーヴェの演出の切れ味も弱く、まとまりと山場に欠ける感じでした。

近現代の音楽と享楽のストーリー設定ですから、もっと出し入れの強いアヴァンギャルドな流れを作ってくれたら少しは楽しめた様な…
(現代音楽と前衛演出好きですが、今回は残念でした)


<出 演>
 ・レオカディア・ベクビク:カリタ・マッティラ [Karita Mattila]
 ・支配人ファッティ:アラン・オーク [Alan Oke]
 ・三位一体のモーゼ:ウィラード・ホワイト [Sir Willard White]
 ・ジェニー:アンネッテ・ダッシュ [Annette Dasch]
 ・ジム:ニコライ・シュコフ [Nikolai Schukoff]
 ・ジャック:シーン・パニッカー [Sean Panikkar]
 ・ジョー:ペイジン・チェン [Peixin Chen]
 ・ビル:トーマス・オリーマンズ [Thomas Oliemans]

<合唱指揮> リチャード・ウィルバーフォース
<合 唱> アンサンブル・ピグマリオン
<管弦楽> フィルハーモニア管弦楽団 [Philharmonia Orchestra]
<指 揮> エサ・ペッカ・サロネン [Esa-Pekka Salonen]
<美術・照明> ヤン・ヴァースウェイヴェルド [Jan Versweyveld]
<衣 装> アン・デュハウス [An d’Huys]
<映 像> タル・ヤーデン [Tal Yarden]
<演 出> イヴォ・ヴァン・ホーヴェ [Ivo van Hove]


収録:2019年7月4・11日 プロバンス大劇場(フランス)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミラノ・スカラ座 2019/20開幕公演 プッチーニの歌劇「トスカ」を円熟のA.ネトレプコで。 NHKプレミアムシアター。

先月行われたTeatro alla Scalaシーズン開幕公演が早速登場ですね。今や恒例となり嬉しい時代になりました、生きているもんですね。(笑)

プッチーニの超人気オペラ「トスカ, Tosca」に, 歌姫ネトレプコ, メーリ, シャイーと役者が揃いましたね。今や演出が主役となりかねないのでリーベルモルが気になる処ですが、昨シーズン開幕公演「アッティラ」での印象は舞台設定は派手ですがその他はコンベンショナルだった気がします。



(公式Trailerです)



演出
リーベルモンらしい演出と言って良いですね。重厚舞台に進んだプロジェクション・マッピング、ストーリーには手を付けずに、と今や希少な王道的で安心感がありますね。個人的にはアヴァンギャルドの方が好みではありますが。
(音楽監督シャイーは今回初稿を選んだそうですがよくわかりませんでした…汗 第二幕でカヴァラドッシが囚われた部屋にトスカが現れてしまうのは初稿? それとも演出でしょうか)

舞台・衣装
古典風重厚な道具を配してせり上がりや回り装置を生かしたお金のかかった舞台です。そこに動的なプロジェクション・マッピングを入れるのはリーベルモンらしさでしょうね。衣装も適度に時代考証された風で、全体的に今の時代としてはまさに古典的な印象と言った感じです。

配役
ネトレプコのタイトルロールは何回目でしょう。48歳になり今やドラマティコの様なsopと嫉妬深い熱演は流石でしたね。山場, 第二幕 "歌に生き, 愛に生き" は舞台演出も合わせて魅せてくれました。
・男性陣ではカヴァラドッシのメーリは落ち着いたテノールで、トスカとの対比を作りました。二人のDuoは聴かせ処でしたね。この二人のセットは多い気がしますね。ザルツブルク音楽祭2017「アイーダ」の二人も良かった記憶があります。
・悪徳総監スカルピアのサルシは見栄え・演技・バリトン共に役にピッタリしていました。今まであまり好印象がなかったので期待以上でしたね。第二幕のサルシは光りました。
・脱獄犯アンジェロッティのチーニ、スカルピアの副官スポレッタのボシ、は少し軽い印象でした。

音楽
2017年から音楽監督を務めるシャイーは、程度な陰影付けは感じましたが、演奏に思わず耳を傾ける様な事はしませんでしたね。


古典的で派手な演出の中、メインキャスト三人が楽しませてくれましたね。今やシンプル舞台に前衛演出がメインとなるオペラですが、懐かしささえ感じました。

ネトレプコは益々トスカにピッタリになりましたね。若い頃の細くて美しい彼女が似合った"ラ・ボエーム"のミミとは違う世界になってきました。



<出 演>
トスカ:アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
カヴァラドッシ:フランチェスコ・メーリ [Francesco Meli]
スカルピア男爵:ルカ・サルシ [Luca Salsi]
アンジェロッティ:カルロ・チーニ [Carlo Cigni]
スポレッタ:カルロ・ボシ [Carlo Bosi]


<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー [Riccardo Chailly]
<演 出> ダヴィデ・リーベルモル [Davide Livermore]


収録:2019年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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