FC2ブログ

ザルツブルク音楽祭2020 モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」を NHKプレミアムシアターで観る


"2020 Salzburger Festspiele"から、モーツァルトのオペラ「Così fan tutte」ですね。COVID-19の影響で、全二幕は同じですが休憩なしの2h20mの短縮版にしているそうです。単純なストーリーと配役なので大きな問題はなさそうな感じですが。

演出はモーツァルトを得意とするクリストフ・ロイなので楽しみです。とは言え、ミニマル主義的演出であまり冒険は無いですから前衛ステージにはならない予感です。



(公式Trailerです)


演出
超シンプルで費用を問題にする主催者側が喜びそうですw シンプルを通り越してリハ風景の様ですが、それが今風で違和感はありませんね。ゴテゴテとした時代考証的な方が引けるかもしれません、ロシア・オペラの様な…w
ストーリーには手をつけていません。今の時代、何をするかわかりませんが、それが魅力の一つでもあるのも事実ですね。


舞台・衣装
ミニマリスト演出ですから、白い壁一枚の様な超シンプルな舞台。そして現代服装で、モノトーナル主体のスーツとドレス。対比させる役には派手な色を使っています。シンプルな分、演技が映えるので実力が反映されそうです。


配役
【女性陣】フィオルディリージ役ドライシヒは表情で貞淑さを表現し、このオペラの聴かせ処の第二幕アリアの感情表現はちょっとグッと来ました。姉妹ドラベッラのクレバッサは感情的なキャラを上手く演じ、Mezも伸びやかでしたね。デスピーナのデゾンドレがもっと光ると、この舞台が映えたかもしれません。

【男性陣】グリエルモのシュエンは相変わらず見栄えがしましたが、フェランド役ヴォルコフのテノールはもう少し伸びやかさが聴きたかったです。ドン・アルフォンソのクレンツレは演技が冴えましたが、バス・バリトンらしさは薄かった感じですね。まぁそう言う役柄ですが。

突出した歌唱力はありませんでしたが、全員舞台映えしましたね。個人的には見栄えも重要だと思っています。多重唱が魅力に欠けたのは残念ですが。


音楽
女性指揮者のマルヴィッツに知見が無いのですが、ディナーミクを使って出し入れを感じる流れを感じました。微妙なアゴーギクもあってシンプルな舞台に合ったモーツァルトになった様な。ラストは派手に鳴らしましたね。


前半は淡々とした印象が残りましたが、後半は楽しめましたね。シンプルに拘った演出に一つはあるかもしれませんが、ゴチャゴチャした楽しさがもう少し有った方が好みです。

三大オペラ(フィガロの結婚, ドン・ジョヴァンニ, 魔笛)に比べるとどうしても地味に感じてしまうのは仕方がないのかもしれません。



<出 演>
 ・フィオルディリージ:エルザ・ドライシヒ [Elsa Dreisig]
 ・ドラベッラ:マリアンヌ・クレバッサ [Marianne Crebassa]
 ・グリエルモ:アンドレ・シュエン [Andrè Schuen]
 ・フェランド:ボグダン・ヴォルコフ [Bogdan Volkov]
 ・デスピーナ:レア・デゾンドレ [Lea Desandre]
 ・ドン・アルフォンソ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ [Johannes Martin Kränzle]

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> ヨアナ・マルヴィッツ [Joana Mallwitz]
<演 出> クリストフ・ロイ [Christof Loy]


収録:2020年7月28・30日、8月2日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2006年ザルツブルク音楽祭 『ZAIDE・ADAMA, ツァイーデ・アダマ』モーツァルト と チェルノヴィン



ツァイーデ・アダマ  (ZAIDE・ADAMA)
モーツァルト生誕250年を記念にザルツブルク音楽祭で全22作品の上演をDVDにまとめたシリーズ「MOZART 22」の第9弾「ZAIDE・ADAMA」(2006年)です。

この作品はモーツァルトの未完作品"ZAIDE"に新たに作られた"ADAMA"を入れて再構築しています。

ZAIDE(1780)は「後宮からの逃走 (1782)」の元となった作品でタイトルも見つかっていないので主人公の名前をとっていますね。


2006ZaideAdama.jpg
(映像は演出のClaus Guth氏のwebよりお借りしました)



ハヤ・チェルノヴィン Chaya Czernowin
再構築を担当した前衛女性現代音楽家チェルノヴィンは、ザルツブルク音楽祭の演出家ペーター・ルジツカ(Peter Ru­zicka)から委嘱され、脚本もZAIDEのヨハン・アンドレアス・シャハトナー(Jo­hann An­dreas Schacht­ner)を元にチェルノヴィンが担当しています。ちなみにADAMAとはヘブライ語で地球(earth)の意味だそうです。(基本的にはチェルノヴィンの作品と言っていいでしょう。スコアをリリースしているSCHOTT社も作曲者は分けていますがチェルノヴィン作品としています)


チェルノヴィンは次の様に言っていますね。

"ADAMAはモーツァルトのZAIDEの物語の対位的になっていて、自分がこの新たな作品の完全性に貢献したのは伝統的アリアではなく、フラグメントやピースをZAIDEのエレメントと交互に時折ラップする様にする事です。その意味で、ADAMAはZAIDEの鏡と言えるでしょう"

事実チェルノヴィンの言う通り、全29シーンに細分化されて ツァイーデが15シーン(全曲)、アダマが13シーン、一つの舞台で二つの流れが折り重なって演じられます。(オケも指揮者も出演者もそれぞれ別です)


■ 物語の構成 ■
"ZAIDE"にはZaideとGo­matzの二人の恋人がいて、それは中近東の想像上の過去になります。"ADAMA"にも男女二人の恋人がいて、今日の中近東での宗教的かつ政治的な闘争に巻き込まれています。
時代が異なる恋人の関係を、モーツァルトの政治や文化の衝突で監禁された(Zaide)不運の愛と、イスラエル女性とパレスチナ男性の暴力で引き裂かれた愛で対比しています。ADAMAの配役には名前がありません。女・男・父と言った具合です。
(ちなみにチェルノヴィンはイスラエル出身。また、今回の演出は地域性を見せません)





音楽
ADAMAのシーンはモロに前衛現代音楽で、ノイズ系を含む前衛音楽に無調の旋律を歌います。もちろんZAIDEは古典音楽とアリアがあるので、その対比になっています。

一般的に前衛現代音楽家でもオペラの歌唱は調性+不協和音レベルになるのが殆どですが、チェルノヴィンは違いますね。歌唱自体に難しい無調旋律を与えています。これは素晴らしいですね。

オケ配置はZAIDEサイドはオケピットですが、ADAMAサイドは舞台の右で舞台道具の扉のガラスから見る事が出来ます。


演出
これが初演ですから比較するものはありません。配役の他に、大きな顔の被り物の人物が舞台に存在します。また血を見せるシーンもあって少しアヴァンギャルドですね。ZAIDEとADAMAそれぞれの配役は常に舞台に居てそれぞれ協調する演技設定になっています。二つのストーリーのミラーリフレクションにしていますね。

全体としては心象表現の強い前衛演出でZAIDEが持つロケーション的ストーリーを表現する事はありません


舞台・衣装
舞台は狭いですね、オケがいますから。白い部屋、そこに5倍くらいの大きさの家具が配置されて、人物が小さく見える様になっています。ADAMAでは全面にプロジェクション・マッピングが施されたりします。衣装はシンプル現代的です。


配役
【ZAIDE】Gomatzのレティプーはテノールものびのびと演技も熱がこもっています。Zaideのエルドマンはソプラノもよく声が出て、愛らしさが表現されていました。良い演技とテノールを聴かせてくれたのはSlimanのエインズリーで第二幕を締めましたね。曲があまりにもモーツァルトっぽ過ぎでしたがw

【ADAMA】二人は無調で難しい歌が入ります。心地良い旋律は存在しない訳で、そこは配役の良し悪し外です。演技は常にシリアスな気配が表現されて二つのストーリーの合成に貢献していますね。



ADAMAが完全に前衛現代音楽で出来上がっているのが驚きです。それが出来たのは古典の流れと前衛の流れをタイミング良く入れ替える構成にしたからでしょう。

その素晴らしさを構築したのがチェルノヴィンと言う事になりますね。クラウス・グースの演出も古典ZAIDEを前衛的にして統一感があり、全体として前衛オペラです。

今や前衛演出全盛ですからモーツァルト・ファンの方も違和感は少ないでしょうし、前衛現代音楽ファンとしてはもちろんオススメの作品です!!



【出演者】
[ZAIDE]
 ・Mo­jca Erd­mann, Zaide
 ・Topi Le­htipuu, Go­matz
 ・Jo­han Re­u­ter, Allazim
 ・John Mark Ains­ley, Soli­man
 ・Ren­ato Gir­o­lami, Os­min
[ADAMA]
 ・Noa Fren­kel, Wo­man
 ・Yaron Windmüller, Man
 ・An­dreas Fisc­her, Fath­er
 ・Paul Lorenger, Dan­cer
 ・Bernd Grawert, Act­or

【オケ・指揮者】
[ZAIDE]
 ・Moz­ar­teum Or­ches­tra Salzburg, Ivor Bol­don(con­d.)
[ADAMA]
 ・Aus­tri­an En­semble for New Mu­sic, Jo­hannes Kal­itzke(con­d.)

【演出】
 ・Claus Guth


ザルツブルク音楽祭 2006年8月15-19日

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2019ベルギー王立モネ劇場公演 オッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」を NHKプレミアムシアターで観る


ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach, 1819-1880)の人気オペラ「ホフマン物語, Les Contes d'Hoffmann)ですね。昨年(2019)のベルギー王立モネ劇場の公演です。

ホフマン物語といえば一人四役を演じる事ですよね。5幕中の四つのシーン(1,5.ルーテルの酒場 - 2オランピア - 3.アントニア - 4.ジュリエッタ)でそれぞれの役になりますね。役名が変わるだけで本質的には同じ様な役ですが。(このブログ的にはアルバン・ベルクの「ルル」を思い浮かべます)

未完成作品なので補筆版が多く存在しますが、現在のスタンダード"ケイandクック版"での上演です。



(公式Trailerです)


演出
演出家のヴァルリコフスキには知見がないのですが、現代のハリウッドに置きかえてホフマンを錯乱気味の映画監督にしています。

オリジナルと変えてあるのは次のシーンで、いずれも映画の引用が主です。■1.オリジナルに無い英語の台詞(プロローグと第三幕ラスト)挿入。本編はもちろん仏語ですが。また■2.第三幕のアントニアは死にません。■3.最後はオスカーの授賞シーンで、監督ホフマンが(英語で)割り込んで来ます。(ラストは中途半端感を拭う様にミューズが現れて救済シーンです)

全体的にはその置きかえが中途半端な印象です。もっと極端に、アヴァンギャルドに!!、ですね。


舞台・衣装
舞台は大画面のプロジェクション・マッピング、暗い舞台、シンプルな道具配置。キャストはケバケバしい化粧、今風の安っぽい衣装で大胆下品風、と言った感じです。今風ですが、衣装は内容のわりにインパクトが足りない感じですね。


配役
【男性陣】タイトルロールのE.カトラーは それなりに演技も作ってテノールも程々に生きていた感じです。リンドルフ(他)のG.ブレッツは敵対するイメージは合っていましたね。ただバリトンがややテノール風で対比感が弱かったかも。メイクは明らかにジャック・ニコルソンの映画"ジョーカー"のパロディでしょう。アンドレス(他)のL.フェリックスは存在感が弱かったですね。

【女性陣】注目のオランピア(他)のP.プティボンですがsopはともかく あまり面白さがありませんでした。これは完全に演出の問題でしょう。ニクラウスとミューズのM.ロジェが一番個性的な印象を受けましたね。mezと演技はそこそこなのですが存在感がありました。

キャストが今ひとつ感だったのは演出による処が大きかったのでは無いでしょうか。(個人的にあまり好みの演出ではありませんでしたから)


音楽
指揮のアルティノグリュにも知見がないのですが、強音パートはともかく静音パートが弱かった感じがしますね。



どの幕もオリジナルに対するハリウッド置きかえが中途半端で、それが全ての印象の足を引っ張っていた感じです。

舞台の置きかえをするならその落差も徹底的であって欲しかったです。"これじゃ歌詞と合ってないよねェ"くらい前衛に!!w


<出 演>
 ・ホフマン:エリック・カトラー [Eric Cutler]
 ・オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリシア・プティボン [Patricia Petibon]
 ・ニクラウス/ミューズ:ミシェル・ロジエ [Michèle Losier]
 ・リンドルフ/コペリウス/ミラクル/ダッペルトゥット:ガーボル・ブレッツ [Gábor Bretz]
 ・アンドレス/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:ロイク・フェリックス [Loïc Félix]

<合 唱> モネ劇場合唱団
<管弦楽> モネ劇場管弦楽団
<指 揮> アラン・アルティノグリュ [Alain Altinoglu]
<演 出> クシシュトフ・ヴァルリコフスキ [Krzysztof Warlikowski]


収録:2019年12月17・20日 ベルギー王立モネ劇場 (La Monnaie)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウイーン国立歌劇場 2019年公演 R.シュトラウスの歌劇「影のない女」をNHKプレミアムシアターで観る


観るチャンスの少ないオペラ、リヒャルト・シュトラウスの「影のない女, Die Frau ohne Schatten」(全3幕: 約3時間半)の登場ですね。ティーレマンの指揮もポイントでしょう。ただ、演出のヴァンサン・ユゲ(Vincent Huguet)に知見がないので予想がつきません。



(公式Trailerです)


よく出て来るのは"魔笛"を元にした話ですが、感じられますか?! 皇帝・皇后がタミーノ / パミーナで、バラックと妻がパパゲーノ / パパゲーナ、乳母が夜の女王でしょうか。ちょっと無理がありますよねェ…

演出
シンプルな舞台・衣装で、プロジェクション・マッピング(以下PM)も今やスタンダードです。何よりストーリーには手をつけていませんから安心して観ていられる事に繋がっているかもしれませんね。今の時代ですと極標準的な印象になるでしょうか。

舞台・衣装
舞台はアースカラーで無機質な大物配置で暗く設定されて 大きな背景は時にPM、最近の傾向そのものでしょう。衣装も時代背景(神話ですが)と現代衣装のミックスといった、これまた現代のスタンダード。

配役
まず第一印象は女性陣がレベル高く楽しませてくれた感じです。
女性陣はタイトル・ロールのC.ニールント、バラックの妻のN.シュメンテ、乳母のE.ヘルリツィウス、それぞれ三者三様に素晴らしかったです。安定した歌唱と演技でしたね。
男性陣では皇帝役のS.グールド。同2019のバイロイトでタンホイザーのタイトルロールでしたが印象は薄かったのですが、役柄らしい堂々とした雰囲気でしたが声がやや弱い印象でした。バラックのW.コッホはクールさが目立ちましたね。

演出でもう少し配役にコントラストを付けてもらえたら良かった気がします。

音楽
楽曲が少々難解なのも変化に乏しい感を残しています。演奏でティーレマンがメリハリを付けているのですが。
ただ、ラストの石像になった皇帝に皇后が会うシーンは、交響詩の様なわかりやすい曲の流れになって大団円を受け入れやすくしていますね。


第一・二幕がわかりづらいイメージはやはり変わりませんね。楽曲から行くと近代オペラですから、単純に楽しみづらく長く感じます。

その分?!第三幕は素晴らしく、愛の物語が伝わりましたね。ラストの救済はやっぱり感激的です。


<出 演>
 ・皇后:カミッラ・ニールント [Camilla Nylund]
 ・皇帝:ステファン・グールド [Stephen Gould]
 ・乳母:エヴェリン・ヘルリツィウス [Evelyn Herlitzius]
 ・バラック:ウォルフガング・コッホ [Wolfgang Koch]
 ・バラックの妻:ニナ・シュテンメ [Nina Stemme]

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]
<演 出> ヴァンサン・ユゲ [Vincent Huguet]


収録:2019年5月25日、6月10日 ウイーン国立歌劇場(Vienna Staatsoper, オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





パリ・オペラ座公演 ラモー歌劇「みやびなインドの国々」をNHKプレミアムシアターで観る

バロック音楽家ラモーの1736年の古いオペラ「優雅なインドの国々, Les Indes galantes」です。3時間を超える大作ですね。

バロック時代、ヨーロッパ以外をインドと称して東側(東インド)と西側(西インド)とみなし、その野蛮な国の文化を一つのオペラで楽しむと言う、当時の白人世界の偏見の極みの様なオペラですw


Title | Composer
みやびなインドの国々 ジャン=フィリップ・ラモー
なんと言っても特徴的なのは仏ヒップホップ系ダンサーで振付師のB.デンベリを起用している事でしょう。まぁフランスのオペラと言えばバレエが入るのが常套手段ですからw
演出ののコジトレは知見がありませんので、推測が出来ませんね。

【超あらすじ】
[プロローグ] 女神エベが若者達と楽しんでいる所へ戦いの神べローヌが現れて戦いの時を伝えると、若者達は各地に散った。愛を取り戻させるべく、エベの願いでキューピット達が遣わされる。
[四つの幕] インドの国々(ヨーロッパ以外の事です)トルコ、ペルー、ペルシャ、アメリカ、で愛が成就されていく。


<出 演> (各シーンでの役名です)
 ・エベ / パーニ / ジーマ:サビーヌ・ドゥヴィエル [Sabine Devieilhe]
 ・ベローヌ / アダリオ:フロリアン・センペイ [Florian Sempey]
 ・アモール / ザイール:ジョディ・デボス [Jodie Devos]
 ・オスマン / アリ:エドゥウィン・クロッスリー・メルセ [Edwin Crossley-Mercer]
 ・エミリエ / ファティマ:ジュリー・フックス [Julie Fuchs]
 ・ヴァレル / タクマ:マティアス・ヴィダル [Mathias Vidal]

<管弦楽> オーケストラ・カペッラ・メディテッラネア
<指 揮> レオナルド・ガルシア・フラルソン [Leonardo García Alarcón]
<振 付> ビントゥ・デンベリ [Bintou Dembélé]
<演 出> クレマン・コジトレ [Clément Cogitore]


収録:2019年10月8日・10日 パリ・オペラ座バスチーユ(フランス)





(ラストのダンスシーンです)


演出
大きな3つの流れが混用されます。①プロローグのファッションショーへの読み替えとバレエ。ファッションショーの舞台裏から衣装撮影、そしてショーの設定で女神エベはデザイナーですね。②第一・二幕はバレエ中心的でストーリーとは関連の薄い流れ。③後半二幕はバレエは控えてストーリーに近い衣装と配役設定になっています…少し統一してもらった方が焦点を絞りやすかった気がします。

面白かったのは①の読み替えとバレエで、オペラ演出というよりも前衛バレエ振付の印象ですね。

舞台・衣装
無機質シンプルな舞台と現代的衣装です。中央にせり上がり舞台があり、その上部に大物を吊り下げると言うのが舞台装置で周辺には何も配置しませんね。

配役
曲が単調過ぎて歌い手のキャラを楽しむのが難しいですね。それがバロック歌劇の難しさでしょう。

音楽
残念ながらバロック音楽は範疇の外となるのでコメントのしようがありません。指揮のフラルソンも全く知見がありませんね。



バロック音楽と現代バレエの融合ですが、後半はそれを弱めて半端な感じが残ります。

プロローグの様なストーリーの読み替えとバレエを徹底してやっていたらもっと楽しかったかもしれません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





英国ロイヤル・オペラ公演 ヴェルディの歌劇「運命の力」を NHKプレミアムシアターで観る

今回は見逃せない豪華布陣ですね。個人的にはこの顔ぶれならテジエのファンですが、それにしてもNHKさんはネトレプコ好きですね。


Opera Title | Composer
運命の力 ジュゼッペ・ヴェルディ
英国ロイヤル・オペラ・ハウス(Royal Opera House) 2018/19 Spring の最終公演ですね。今の時代は配役もさる事ながら"演出"が気になりますね。恥ずかしながらクリストフ・ロイ演出の印象がありませんので、イメージできないのが残念です。
ただこの作品の緩い展開と、第三幕第二場後半の無駄な流れはあまり好きになれません。

<出 演>
 ・ドン・カルロ(侯爵の息子):リュドヴィク・テジエ [Ludovic Tézier]
 ・レオノーラ(ドン・カルロの妹):アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
 ・ドン・アルヴァーロ(レオノーラの恋人):ヨナス・カウフマン [Jonas Kaufmann]
 ・グァルディアーノ神父:フェルッチョ・フルラネット [Ferruccio Furlanetto]
 ・カラトラーヴァ侯爵:ロバート・ロイド [Robert Lloyd]

<合 唱> 英国ロイヤル・オペラ合唱団
<管弦楽> 英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
<指 揮> アントニオ・パッパーノ [Antonio Pappano]
<演 出> クリストフ・ロイ [Christof Loy]


2019年3月24日,4月2・5日 英国ロイヤル・オペラ・ハウスでの収録です





(公式Trailerです)


演出
ロイの演出に目新しさはありませんでした。僅かに使ったプロジェクション・マッピングも今やスタンンダード、舞台・衣装にも特異性はありませんし、過激な表現もありません。
序曲でカルロとレオノーラの兄妹, そして父カラトラーヴァ侯爵の生い立ちを創りましたが、あまり意味を感じる事は出来ませんでした。


舞台・衣装
大枠の舞台道具は固定的で、衣装と合わせて適度な時代考証風になっています。アヴァンギャルドなモノが出現する事もありません。


配役
レオノーラのアンナ・ネトレプコは今やドラマティコ、朗々たるsopを響かせて楽しませてくれます。もちろん演技・表情ともですが、N.Y.で美味しいモノを食べ過ぎでしょうね。
男性陣、ドン・アルヴァーロのヨナス・カウフマンものびやかなテノールは流石で、トップスター二人の声量ある歌声はそれだけでも楽しませてくれます。重唱は言わずもがなでしょう。例によって涎を垂らしていましたがw
ドン・カルロ役のリュドヴィク・テジエが今回一番光りましたね。テノールの様な張りのあるバリトンは好みです。ちょっと憎まれ役はピッタリで堂々と演じるのが良いですね。カウフマンのテノールを飲み込む様な重唱は素晴らしかったです。
(3人の中ではカウフマンが少し元気がなかったでしょうか)


音楽
パッパーノは近年マーラーで良い録音を残していて注目なのですが、ここでもアゴーギクを適度に振っていて流れの良さを感じました。ただ少し引き気味で、もう少し前に出ても良かったかもしれません。



オペラの楽しみは演目か配役か。今回は後者、スター三人を楽しめるのがポイントでしょう。演出は前衛好きですが、このパターンならコンベンショナルで良かったかと。

個人的にはもちろんテジエに一票です。ネトレプコとカウフマンは、観る前から想像出来る範疇ですねw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アルバン・ベルクの歌劇「ルル」:クリスティーネ・シェーファーのタイトルロールで


ベルクの代表作、未完の現代音楽オペラの傑作「ルル」DVDです。
タイトルロールのクリスティーネ・シェーファーは現代音楽を得意としていてシェーンベルク「月に憑かれたピエロ」でも素晴らしい歌声?!を残していています。


Album Title | Composer
LULU (1928-未完)
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)
ここで使われている十二音技法(的な手法)は主音列の十二音をルルに割り当てて、その音列を様々な組合せ変更でシェーン博士・他のキャラクタに振り分けています。言われている事ですが、ワーグナーのライトモティーフの様ですね。

落ちぶれて娼婦に落ちる魔性のルル。その構造は❶1)夫たち, 2)取り巻きたち, 3)客たち, の三つの役に分かれます。特徴的なのは❷殺した夫シェーン博士(役)が 最後に客の切り裂きジャックで登場する事、他二人の死んだ夫(役)も三幕でルルの客になるという第一・三幕シンメトリックな二役が設定されている事でしょう。また, その折り返し点となる❸第二幕ルルの"逮捕・裁判・投獄"が無声フィルムで流される事ですね。

現代音楽家フリードリヒ・チェルハ補筆版の全三幕ヴァージョンです。1996年のグラインドボーン音楽祭、少々古いですがよく知られた一枚でしょう。





(日本語字幕付きで, わかり易いです)


演出
ヴィックの演出は、この時代のクールさを感じさせますね。古典的な演出からアヴァンギャルドに移行する時代のシンプルな洗練さです。残虐さやエロティックなシーン演出もそこそこで留めていますね。
個人的には、この陰惨なオペラには前衛のドロドロ演出の方が合っている気がしますね。


舞台・衣装
現代的な衣装はシンプルに、舞台もシンプルで狭いグラインドボーン・ハウスの舞台を生かしていますね。中央にせり上がりのある同心円で動く多重の回舞台もあって、この時代らしい20世紀末の洗練された印象です。


配役
まずは何と言っても95年のザルツブルクでもタイトルロールを演じているシェーファーですが、個人的には子供っぽく妖艶さに物足りなさを感じてしまいます。sopも美しいのですが魔性の色合いはありませんね。演技も薄めで小柄でベビーフェイスの小悪魔?、ちょっと違う感じでしょうか。
やっぱりシェーン博士/切り裂きジャックのW.シェーネの素晴らしさでしょう。見栄えと通りの良いバス・バリトンはこの役にピッタリでしたね。
その他顔ぶれも特筆はありませんが、バランスの良い顔ぶれでサポートしていましたね。あえて言えばアルヴァのD.クブラーのテノールと、シゴルヒ役ノーマン・ベイリーの存在感でしょう。


音楽
当時グラインドボーン音楽祭の音楽監督だったアンドルー・デイヴィスは、かなり音を広げて鳴らしている感じがします。歌唱パートはともかく、音楽自体も主役だと言っているかの様です。

ベルクの音楽自体はより調性に回帰指向が強くなっている最晩年ですから違和感はヴォツェックに比べたら無いに等しいでしょう。音の跳躍も減って、語りパートも決してシュプレッヒゲザングにはなりません。



約3時間と長いのですが、流れの明確な演出もあって飽きさせません。そして何と言ってもベルクの音楽の素晴らしさを楽しめる事でしょう。アンドルー・デイヴィスとLPOに拍手ですね。

ただこのストーリーの渦巻く猜疑心や凄惨な流れとは対極にある演出は、きれいにまとまり過ぎの気がします。3人の夫他周囲を死に巻き込み、殺人罪で最後は娼婦に落ちぶれて死を迎えるのですから。今風のアヴァンギャルドな演出で楽しみたいですね。

とは言え、名作をすんなり楽しめるオススメDVDです。



独語+仏語字幕でOKならば、全編YouTubeで観られます!



【配役】
 ・ルル:クリスティーネ・シェーファー [Christine Schäfer]
 ・シェーン博士/切り裂きジャック:ウォルフガング・シェーネ [Wolfgang Schöne]
 ・アルヴァ(シェーン博士の息子):デイヴィッド・クブラー [David Kuebler]
 ・ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:キャサリン・ハリーズ [Kathryn Harries]
 ・画家/黒人客(?*):ステファン・ドラクリチ [Stephan Drakulich]
 ・医事顧問/教授(客):ジョナサン・ベイラ [Jonathan Veira]
 ・シゴルヒ:ノーマン・ベイリー [Norman Bailey]
 ・衣裳係/ギムナジウムの学生/下僕頭:パトリシア・バードン [Patricia Bardon]
 ・猛獣使い/力業師:ドナルド・マクスウェル [Donald Maxwell]
 ・公爵/従僕/侯爵:ニール・ジェンキンス [Neil Jenkins]

【指揮】アンドリュー・デイヴィス [Andrew Davis]
【演奏】ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 [LPO]
【演出】グラハム・ヴィック [Graham Vick]

* 原題"ein Neger"ですが特に黒人として出てくる訳ではありません。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます