2018年6月20日 マルク=アンドレ(マルカンドレ)・アムランのピアノ・リサイタル at ヤマハホール

東京は雨空ですが銀座のヤマハホールへ行ってきました。

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10年ほど前には毎年の様に来日していたM.A.アムラン(Marc-André Hamelin)ですが、久しぶりに見たら髪が薄くなってややふっくら、老けた印象でした。



J.ハイドン/ピアノ・ソナタ 第48番(第58番) ハ長調 Hob.XVI:48, Op.89

二楽章の小曲ですが第二楽章でしょう。ただアゴーギクが強く、主題の反復が多い流れに抑揚が強く感じられてアムランらしからぬ印象を受けました。


S.フェインベルク/ピアノ・ソナタ 第2番 イ短調 Op.2 (1916年)
ピアノ・ソナタ 第1番 イ長調 Op.1 (1915年)

今回唯一現代音楽時代のソ連の作曲家サムイル・フェインベルク(Samuil Feinberg, 1890/5/26 - 1962/10/22)の作風は調性は怪しげながら機能和声からの脱却はありません。その辺りがアムラン好みで、楽しみな演奏になります。二曲とも単一楽章で10'に満たない小曲です。ピアノ・ソナタは全12曲あり、最後の12番は亡くなった1962年の作品になりますね。
やっぱりここでアムランらしさが楽しめましたね。アゴーギクを抑えて速さや音数の多さを物ともせずに音の粒立ちを明瞭に聴かせてくれました。曲調と合わせてクールなヴィルトォーゾの本領発揮だったと思います。


L.v.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」ヘ短調 Op.57

言わずと知れたベートーヴェンの傑作「アパッショナータ, Appassionata」ですが、アムランは情熱をピアノの鳴りと見事な運指で披露してくれましたね。この曲がこんなに超絶技巧曲に感じたのは初めてでした。少し技巧強調の感も残るアパッショナータでしたが。


R.シューマン/幻想曲 ハ長調 Op.17

休憩後は一転してロマン派展開の代表曲を感情を込めての演奏でした。多分この曲が今日のベストでしょう。ただディナーミクもアゴーギクも効かせて朗々バリバリの気配。なんだか堅苦しさを感じてしまいました。この辺りから今回のコンサートに少し違和感が...


アンコール

予定アンコール四曲がありました。ドビュッシーも二曲やってくれましたが、以前ドビュッシーの聴き比べでも書いた通り少し違う気がしましたね。CDと似てやけにソフトかと思うと一方で技巧性で唸らせる。何かしっくり来ない様に思うのですが。
それだったらアムラン本人が委嘱曲として書いたと言っていた一曲目のアンコール曲の方が良かったですね。フェインベルクと少し似て、速い指遣いの中に緩いメロディが存在してヴィルトゥオーゾ的でした。
(追記:アンコール曲は以下。ヤマハホールfbより)
・マルク=アンドレ・アムラン/Toccata on l'homme armé
・C.ドビュッシー/水の反映
・C.ドビュッシー/花火
・R.シューマン/森の情景よりOp.82-9 別れ



以前のように素直に楽しめなかった気がします。何故だかはうまく説明出来ないのですが、技巧性がやけに全面に感じられてお腹いっぱい感強いです。
ピアノの鳴りも素晴らしかったので、コンサートでは力強いアムランに変わりはない事はわかっているのですが。アンコールも四曲目になると、もういいなか的な感じがしました。

【参考】過去来日印象だけでなく「Live at Wigmore Hall」のライヴCDでも同じ様にコンサートでのアムランがセッション録音CDのクールさとは違い強鍵ヴィルトゥオーゾ押出しである事はわかりますね。



もう一つ。シューマンの幻想曲の時にアラーム時計の音が。それも一回二回ではなく。
最後にはひどいフライング拍手をした人も。なんだか残念な気分で帰宅の途に着きました。



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2018年5月28日 ズービン・メータ/イスラエル響 来日公演中止に思う事

残念ながらマエストロ健康上の理由により中止になりました。

近年で同じ様な事で思い出すのはアバド/ルツェルン祝祭管(2013年10月17日-中止)、マゼール/ボストン響(2014年5月-中止)です。アバドはその3ヵ月後80歳で、マゼールは2ヶ月後に84歳で亡くなられています。その時もチケットを入手済みで、マゼールと今回のメータの演目は同じマーラーの交響曲第5番でした。

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メータ氏が元気に復活されることを心から祈っています。


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2018年5月22日 下野竜也/都響「コリリアーノ:ミスター・タンブリンマン - ボブ・ディランの7つの詩」日本初演 at サントリーホール

今日は都響があまり取り上げない、それが残念ですが、現代音楽を楽しみに六本木に行って来ました。いつも六本木一丁目から行くので六本木と言っていますが住所的には赤坂一丁目、目の前カラヤン広場は六本木一丁目という微妙な場所ですね。

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米現代音楽家のコリアーノ(John Corigliano)はこのブログでは「ディラン・トーマスの三部作(Trilogy) 」をインプレしていますが、技術的には前衛ではありません。また詩人の作品を元にする事も多いですね。今回もボブ・ディランの原曲を一切聴かずに詩を元に作品を作っているそうです。また歌はアンプ使用でオケと伍するそうです。(理由はオペラの様に歌って欲しくないからだとか)
ちなみに七つの詩は「ミスター・タンブリンマン」「物干し」「風に吹かれて」「戦争の親玉」「見張りからずっと」「自由の鐘」「いつまでも若く」で、コリリアーノの描くストーリーに対応しています。

子供の頃にディランのレコード(CDではないですよ)を初めて買ったのは "Like a Rolling Stone"の入った「Highway 61 Revisited」をソニー買収後のCBS(ソニー)再発盤でした。ノーベル文学賞受賞もありディランは後年になるにつれ詩人としての評価が高まった行くのでしょうか、違和感もありますが…




メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op.56《スコットランド》

ロマン派と古典派の折衷で曲調はいかにもイギリス風、メンデルスゾーンはドイツ人ですが、の印象が強い曲です。所有しているマリナー盤と比べると出し入れの強さが少しマイルドでメンデルスゾーンぽいかなという気がしましたが、退屈興味の範疇の外側の曲でよくわからなかったのが本音です。


コリリアーノ:ミスター・タンブリンマン ─ボブ・ディランの7つの詩 (2003年)

調性は薄く歌も尖って音や声の跳躍があるので前衛"的"現代音楽です。とはいえ技法・技術の大きな冒険はなく、歌もシュプレッヒゲザングの様な狂気性は低い、それがJ.コリリアーノですね。(個人的印象です)
でもピアノ伴奏版の印象よりも遥かに色彩感溢れる作品になっていました。一つには打楽器群を生かした鳴りの良さかもしれません。チャイム(チューブラーベル)をバンダとして2F席左右に配置していましたね。コリリアーノ得意のオケ作品で広がりのある音が楽しめました。調性感もより強く感じられましたが。
ヒラ・プリットマン(Hila Plitmann)も舞台を広く使い表現主義的なソプラノを聴かせてくれましたね。
歌詞が重要な位置づけですが都響webの月刊都響PDFには載っていないのが残念。(配布版にはありました)


機能和声に寄りかかった現代音楽ですが、これがヴァレーズやアイヴスを源流とする今の米現代音楽の一端かと思います。コリリアーノを得意とする下野さんと都響の広がりある演奏も良かったですね。
今後チャンスがあれば欧前衛系現代音楽を取り上げて欲しいですね。期待しないで待ちましょうw




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2018年4月20日 カンブルラン/読響 の「マーラー交響曲第9番」at サントリーホール

カンブルランのMahler #9とアイヴズThree Places in New Englandとなれば行かない理由が見つかりませんね。

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カンブルランのマーラーは何か仕込んで来る印象です。マエストロは今回何を企んでいるのでしょうか?

□マーラーの9番は70CDの聴き比べをインプレしています




アイヴズ:ニュー・イングランドの3つの場所

現代音楽を得意とするカンブルランのメリハリある素晴らしさが味わえましたね。頭の中のM.T.トーマス/BostonSOの繊細さが好みではありますが。
■ 第一楽章
細く幽玄な美しさよりも、緩いディナーミクを振った演奏はまるでメシアンの楽曲を思わせるカラフルさでした。
■ 第二楽章
ポリフォニーそして多変拍子を明確に打出し、ラストのトゥッティは大クラスターの迫力。まさにカンブルランの面目躍如でしたね。
■ 第三楽章
短い楽章ですが美しい動機を浮かび上がらせ、山場の迫力と対比させました。


マーラー:交響曲 第9番 ニ長調

残念ながら苦手な展開で、抑揚やスローの情感を殺した流れを感じました。オケも特定楽器が崩れ、バランスや一体感が今ひとつでは...
■ 第一楽章
第一主題冒頭のホルン(2nd?)の酷さには目を覆いましたねぇ。いきなりですからシラケちゃいます。第二主題から反復の後の第三主題も流れは厚めのフラットさでした。
■ 第二楽章
主要主題、第一トリオ、第二トリオ、全体的に特徴は薄く印象が残りません。
■ 第三楽章
驚いたのは中間部、テンポも音色も落とさず変化を付けません。それは無いよね、って感じでしたね。ラストはパワーを炸裂させてくれましたが。
■ 第四楽章
主要主題は兎に角厚め。第一エピソード弱音パートはターン音型を生かしてコーダへ方向を向けましたね。第二エピソード静音パートからコーダ、フィニッシュへは普通に落として納めました。


アイヴズが楽しめて良かったです。マーラーは個人的にはOUT!ですねぇ、ついて行けませんでした。でもオーディエンスは大喝采。またもや自分の駄耳の証明かな?!(汗)
カンブルランのマーラーは鬼門かもw





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2018年4月14日 ジョナサン・ノット/東響 の「マーラー交響曲10番アダージョ・ブルックナー交響曲9番」at サントリーホール

ノット/バンベルク響のマーラーはお気に入りですが、交響曲全集には第10番(アダージョ)は入っていません。と言う訳で今回のメインは前半のはずでした、が…

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マーラー10アダージョ はソナタ形式ですが個人的印象は①序奏主題、第一主題、第二主題がロンド形式の様に展開する前中盤、②まるでトリオ(中間部)の様なコラールから和音、③緩徐の長いコーダですね。
ブルックナー9 は感動的なヴァント/NDR響の日本公演が頭に巣食っています。やや緩い演奏かもしれませんが、次元の異なる話ですよね。この曲は第一楽章第一主題の8つの動機の展開が気になります。




マーラー:交響曲 第10番 から アダージョ

コントラストが明確なマーラー9アダージョでした。アゴーギクかディナーミクのスパイスを効かせてもらえたら素晴らしかったと思います。
序奏主題は透明感ある幽玄さ、第一主題と反行形主題は暖かな広がりを見せました。特に管と弦のバランスの良さが引き立ちましたね。第二楽章は個性的な旋律が生きました。
中間部の様な管楽器主役の和音は迫力よりも鳴りの良さが響き、コーダの緩徐は静美的印象は薄かったです。


ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調 WAB109

迫力のブル9。特に怒涛の第二楽章は素晴らしく、この楽章を味わうだけでもコンサートの価値がありました。
第一楽章第一主題の動機群はパート毎にメリハリが付いて、これは行けるかもという期待感が高まりしました。その後もパワーパートを生かす流れが見事でしたね。
第二楽章スケルツォは第一楽章の流れを受けて押し寄せる迫力が陶酔的に炸裂、この曲を味わうポイントの一つが最高度に楽しめました。
第三楽章は冒頭はその流れに乗ってくれましたが、その後の緩徐は重厚なタクトだった為にフラットに感じたのはちょっと残念でした。


パワーのブル9にやられましたw 奇を衒う事の無い王道+αのノットの素晴らしさが第二楽章の力感に結実しましたね。第三楽章とhrの弱さに眼を瞑ってもお釣りのくる素晴らしさでした。

アプルーズを受けメンバーに起立を促しても団員は立たずにノットに譲りました。充実のコンサートならではのシーンが見られましたね。

録音していた様なのでCDが出たら買いましょうw





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2018年4月10日 大野和士/都響の マーラー交響曲第3番 at サントリーホール

春真っ盛りの東京ですが、花粉が今シーズンはひどいですねぇ。そんな中 都響の新シーズン開幕、六本木まで行ってきました。

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このブログではマーラー第5番の170CDを始め第6番・第9番と聴き比べをやっていますが、実は一番好きなのはこの第3番です。マーラーの中では指揮者による落差は小さい曲ですが、好みはサロネンやMTTの端正さですね。大野さんはどうだったでしょう。




マーラー:交響曲第3番 ニ短調

第一楽章
明瞭な主題群と途中の休符が絡む第一楽章はメリハリと強音重視、第一主題を用いたコデッタからラストのクライマックスは派手に締めましたね。Hrが9人いたと思うのですが…
第二楽章
メヌエットは主要主題を濃厚にしましたが、二回のトリオの変拍子は抑えていました。
第三楽章
主部「夏の歌い手交代」引用は第二楽章からの濃さを感じましたね。ポイントとなるトリオ、バンダのポストホルン、音色も見た目も細身のtpみたいでしたが、は牧歌調でした。
大野さんの好きそうな派手なフィニッシュかと思いましたがピシッと押さえましたね。
第四楽章
リリ・パーシキヴィのアルト独唱は素晴らしかったですね。嫋やかな歌声がホールに響きました。オケがppp設定で抑え気味ならもっと映えたでしょう。
第五楽章
"ビム・バム"リズムと合唱団・アルトの優美な流れ、オケの音色がマッチしました。
この楽章から最終楽章主要主題への流れは素晴らしく、グッとくるものがありました。
第六楽章
ロンドの流れは、弦楽の主要主題から管楽器が入る第一トリオは少し厚め、第一楽章コデッタの第二トリオで表情を変えました。出来れば主題をもっと静音で入って欲しかったです。
二回目の流れで明確に色濃くし、最後の主要主題再現からフィニッシュへは狙い通りの爆演で締めくくりましたね。


メゾソプラノ:リリ・パーシキヴィ(Lilli Paasikivi)
児童合唱:東京少年少女合唱隊
女声合唱:新国立劇場合唱団



まずは大野さんらしいパワーを味わえた濃い味のマーラー3番でした。静音パートをより抑えてダイナミックレンジを広く使ってくれたら嬉しかったです。

リリ・パーシキヴィが素晴らしく、合唱と合わせて第5楽章は白眉でした。



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2018年3月26日 インバル/都響 の ベルリオーズ「幻想交響曲」at サントリーホール

桜🌸満開の東京、今日はシーズン最終の定期公演で六本木へ行ってきました。インバルが得意とする二人の作曲家ですね。

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前半のアレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)もショスタコをどう演奏するのか興味がありますね。




ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102

A.タローの個人的勝手な印象とは異なる緩徐楽章の音の硬さ、第一楽章のカデンツァのスローに振られたアゴーギクでした。
オケもショスタコ節が抑えめに感じましたが演奏は共に素晴らしく、ファンにはたまらなかったのでは。なにぶんショスタコーヴィチは殆ど聴かないので...


ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

頭の中で鳴っている定番ミュンシュ/パリ管、アゴーギクよりもディナーミクで展開する印象、を凌駕した迫力の第四第五楽章。
芸術家(音楽家)の不安を前半に、後半死後の狂気を乱舞させてくれました。演奏が真面目すぎるのが玉に瑕?w

第一楽章「夢と情熱」
第1vnのイデー・フィクスに揺さぶりが強かったですね。続く第2楽章へはアタッカで繋ぎました。
第二楽章「舞踏会」
第三楽章「野の風景」
この二つの楽章は可も無く不可も無くに感じました、が...
第四楽章「断頭台への行進」
凄かったのはここからでした。聴かせどころの「衛兵の行進」は華々しささえ感じさせ、短いイデー・フィクスからギロチンは大迫力。
第五楽章「サバの夜の夢」
再びアタッカで繋げると迫力と切れ味を増し、Wチューバが印象的な「怒りの日」は見事、思わずゾクッとしましたね。フィニッシュまで息もつかさぬ怒涛の流れでした。


『幻想交響曲』、実は相性いまいちのインバルなのですがこれはかなりgood!だったでしょう。後半、真面目な都響に標題音楽の狂気が憑依していたら名演の可能性さえ感じました。
団員の皆さんの満足感も伝わりましたね。
これがあるからコンサートはやめられません。




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2018年3月14日 ズヴェーデン/ニューヨーク・フィルハーモニック の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今日は何と言ってもマーラーを得意とする歴代指揮者が並ぶニューヨークフィル(NYP)ですね。

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ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンのマーラーは第5番(ロンドンPO)と第6番(ダラスSO)でインプレしていますが、共にLiveながら "きれいにまとめる" 印象です。NYPにはLiveならでは情熱を期待したいところです。




メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64

残念ながら印象はマイルド。vnは五嶋龍さんらしい優しい音色を奏でました。特に第一楽章展開部のカデンツァ、スロー側にアゴーギクを振っていたのでヴィルトゥオーゾ性には欠けましたが。
NYPの基本スロー、ディナーミク抑えめの流れが一番のマイルドさの要因でしょう。


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体としてはNYPのパワーサウンドが、うまいアゴーギクとディナーミクで生かされた聴き応えあるマーラー5番でした。特に素晴らしかったのが金管楽器群で、ホールに鳴り響きましたね。
第一楽章・第二楽章
ファンファーレから主部主題葬送行進曲の適度な揺らぎで"これは良いかも"って感じました。第一トリオでは切れ味良く、弦楽の第二トリオは哀愁の美しさでした。
第二楽章第一主題も歯切れ良く、弦主体の第二主題も優しさでコントラスト良かったですね。適度な揺さぶりが随所に生きていました。
第三楽章
特徴的な力強いスケルツォから切れ味のレントラーと一味違う流れで入り、第二トリオはスローに美しく。コーダは見事な管楽器群が鳴り響きました。オブリガート・ホルン、第一トランペットは素晴らしかったです。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは速めでトロトロの甘美さを避けました。特に中間部は鋭ささえ感じさせる揺らぎが印象的でした。
最終楽章第一第二主題を抑揚付けて上げて行き、展開部と再現部の山場を大編成を生かして見事に盛り上げ、コーダからフィニッシュは重量級にまとめました。



メインディッシュでNYPが期待に応えてくれましたね。コンサートならではの興奮や情熱とまではいきませんでしたが、近年のマーラー5番では一番楽しめました。

この方向が音楽監督就任早々のズヴェーデンなのかNYPなのかはわかりません。アンコールのローエングリン第三幕前奏曲抜粋も似た流れながら揺さぶりが弱かったのをどう見るかでしょうか。

フィニッシュで大きく両手を上に開くポーズはちょっといただけませんw




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2018年3月11日 サカリ・オラモ/BBC交響楽団 の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今シーズンのマーラー5番、今日のオラモ/BBCに続いて三日後14日(水)にズヴェーデン/ニューヨークフィル、そして5/28日のメータ/イスラエルフィル、と続けて楽しめますね。
まずは第一弾、BBC風に言えばカリ・オラモを楽しみに行ってきました。

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英国でも活躍するフィンランド人指揮者オラモ(Sakari Oramo)、音楽監督を務めたバーミンガム市響とのLive録音が『マーラー5番:170CD聴き比べ #9』にインプレしてあり、そこには "コンサートで聴いてみたい" と。^^/
CDではクセのない王道演奏の好演でしたが、さてコンサートではどうだったでしょう。




ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18

この曲はラリードライバーの様なスリルと迫力がライヴでのポイントですが、お抱え運転手さんの様な手堅さで終始しましたね。好みの問題かもしれません。

第一楽章の主役のオケも、弾きっぱなしのピアノも、鳴りの良さをみせてくれたもののフラットに感じましたね。
第二楽章のオケも緩徐の美しさでは無く淡々とこなした感じです。pfカデンツァからの美しさを期待したのですが残念。
第三楽章も派手な第一主題と民族的叙情の第二主題でオケは抑え気味、ならば小菅優さんのピアノがもっと情熱的に振舞ったら楽しかったでしょうね。



マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体的にCDと良く似た王道のマーラー5番で、出会えそうでなかなか出会えないライヴだったかもしれません。
ただ何か一つ足りず、少し心残りを感じます。

第一楽章・第二楽章
主部主題葬送行進曲はスローに、第一トリオ、第二トリオはうまくメリハリを付けました。
第二楽章へはアタッカで繋げて第一主題は激しく、コントラストをつける第二主題のチェロは哀愁と王道です。
第三楽章
スケルツォはリズムよく、レントラーは優美に、第二トリオはスローの哀愁美とこの楽章の良さを引き出していました。オブリガート・ホルンも鳴り良く聴かせ、コーダは華々しく決めましたね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットはCDより速めになって、ハープが抜けるトリオからラストでの透明感が増した様です。
アタッカで進んだ最終楽章は第一第二主題を切れ味よく絡めて第4楽章中間主題を使ったコデッタで優美に流れます。コーダからフィニッシュは見事、アッチェレランドも切れ上がりましたね。

重箱の隅を突くなら、最終楽章序奏のHrが素っ頓狂な音を立てたくらいでしょうw



BBCプロムスでの活躍等、今聴きたいユニットでオラモの真面目さが伝わる王道マーラー5番でした。スパイスが加わって味に深みが出れば素晴らしかったでしょう。

アンコール二曲はシベリウスだったけど少しプロムスっぽかったかな。

計画アンコール二曲を終えたらさっさと退場するBBCは笑えましたが、前半のラフマニノフ不発弾は残念でした。^^;




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2018年2月16日 細川俊夫のオペラ「松風」初日 at 新国立劇場

楽しみにしていた日が来ましたね。会場も電車で20分もかからない初台の新国立劇場です。^^

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細川俊夫さんのオペラは東日本大地震の津波を基にした「Stilles Meer 海、静かな海 (2015年)」が素晴らしかったので、『松風 (2011年)』が観られるのは本当に嬉しい事です。
能がベースなのであらすじの確認は容易で助かりました。

"能"のダイジェストをYouTubeで見ておきました。
能「松風」ダイジェスト
もう一つ、この公演を前に行われた細川さんによる解説のダイジェストですね。
「能とオペラ『松風』をめぐって」ダイジェスト

能の持つ現実・非現実感や、あの世とこの世、松風と村雨で表す一人の陰陽、等々は頭に入れつつも素直に現代音楽オペラを楽しんで来ました。


演出

前衛ダンサーであるサシャ・ヴァルツの演出は音楽と並行して作られたそうです。
ダンスの占める役割りが大きく、風や波、松風や村雨、そして行平、松の木でもあります。極シンプルな舞台の重要配置でした。


舞台

一幕三場的な舞台は、フラット舞台オンリー、黄泉との結界の様な黒糸を編んだネット、塩屋の大きくシンプルなキューブリック。
特にベルリンで活躍する塩田千春さんによる黒い糸の舞台は演技と相まって象徴的でした。


配役

独唱や重唱が見せ場のオペラとは違い役作りも幽玄なので、特に誰がと言った印象は浮かびませんね。現代音楽ですから語り風で声の跳躍もありますがシュプレッヒゲザングではありません。松風や村雨が行平を思うシーンには音楽に合わせた狂気の表現があっても良かったのでは。(それをやらない演出も素晴らしいのでしょうが)


音楽

細川さんの音楽らしい幽玄さは何も変わりません。コールマン指揮/東響の演奏も素晴らしく、パルスやクラスターの強音パートも激しさよりも深淵さを感じましたね。


幽玄なストーリー・音楽・演出、それに応える演技・演奏。全てがマッチした細川作品が楽しめました。あらゆるものが抽象的なのに訴えるものが感じられて素晴らしかったですね。

ストーリーにいる"待つ人"、そして間と静と狂気が研ぎ澄まされシンプル化されて次のオペラ「Stilles Meer 海、静かな海」につながった事が感じられました。



<出 演>
・松風:イルゼ・エーレンス (Ilse EERENS)
・村雨:シャルロッテ・ヘッレカント (Charlotte HELLEKANT)
・旅の僧:グリゴリー・シュカルパ (Grigory SHKARUPA)
・須磨の浦人:萩原 潤 (HAGIWARA Jun)

<合 唱> 新国立劇場合唱団
<管弦楽> 東京交響楽団
<ダンス> サシャ・ヴァルツ&ゲスツ
<指 揮> デヴィッド・ロバート・コールマン (David Robert COLEMAN)
<演出・振付> サシャ・ヴァルツ (Sasha WALTZ)


2018年2月16日 新国立劇場・本邦初演



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kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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