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2020年1月16日 マーティン・ブラビンズ/都響「日本初演マクミラン/トロンボーン協奏曲 | エルガー/エニグマ変奏曲」at サントリーホール


今年の初コンサートです。指揮者にマーティン・ブラビンス(Martyn Brabbins)を招いた都響定期Bに行ってきました。

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メインは何と言っても本邦初演となる英現代音楽家ジェームズ・マクミランの「トロンボーン協奏曲」ですね。トロンボーン奏者は初演(初録音)のヨルゲン・ファン・ライエンというのも嬉しいです。もちろん同CDで予習のインプレもして来ました。▶️ こちら





ラヴェル:クープランの墓

管弦楽版なので4パートですね。頭で鳴っているのはデュトワ/モントリオール響の優しく洒脱な演奏です。

"プレリュード" は少し速く感じましたが、"フォルラーヌ"は上手くまとまりました。"メヌエット"は三部形式の中間部を印象的に、"リゴドン"では唯一金管が活躍する主要主題を鳴りの良さで表現してくれましたね。
とてもきっちりとした演奏で良かったです。肩の力の抜けた洒脱さが欲しかったかも...



マクミラン:トロンボーン協奏曲

曲はアタッカで繋がっていて単一楽章的ですが、CDでは三楽章になっているのでそれに沿って聴いて来ました。

【第一楽章】静的ポリフォニカルなオケとtbの対話が予想以上にしっかりと流れで、中間部ではtbの低い唸りが先導するとオケは調性色の強さを鳴らしました。
【第二楽章】明るい音色のtbは抑えた音色で入りましたね。その後はオケとの対位的な流れを上手く上げて激しさを見せましたが、ホモフォニーや出し入れはやや固かったでしょうか。
全休符を挟んで激しい中にサイレンも鳴り響きますが、直ぐに静的流れに。後半は調性の薄さを生かした美しい緩徐でしたが少々間延び感だったかもしれませんね。
【第三楽章】トゥッティとサイレンからキレあるリズムに乗ってtbは小刻みに軽快にオケと疾走。再び管楽器トゥッティ風から静音パートとなります。混沌からライエンがオケに振り向くとオケtb3本とのtb絡み合いの見せ場を見事に築きました。(都響tbも負けていませんでした!)
都響は真面目で調性感が伝わり、ライエンのtbも終始几帳面さを感じました。



エルガー:エニグマ変奏曲 Op.36

コンサートでは超お馴染みの曲ですが、久しぶりに4CDでインプレをして自分勝手にポイントを予習して来ました。

主題第一動機でまずはスローで揺さぶりを感じましたね。第7変奏までの[前半]は強音の第4変奏"W.M.B." 第7変奏"Troyte"を派手に、全体揺さぶりの強い流れでした。
メインの[後半]、第9変奏"ニムロッド"の美しさは感動的、第10変奏"ドーラベッラ"は今ひとつでしたが、第11変奏"G.R.S."のDanは派手に大きく駆け回り素晴らしかったですね。第12変奏"B.G.N."のチェロは強烈濃厚な哀愁でした。
ラスト第14変奏"エドゥ"は派手で重厚に聴かせてくれました。
表情豊かでエルガーらしいエニグマが楽しめました。ブラビンズはスコアを開く事もなく、タクト姿も前半とは違う'手の内'感がありましたね。




真面目な前半、表情豊かな後半と二つのスタイルを楽しませてもらいました。前半は都響のキャラ、後半は英人指揮者ならではのお家芸でしょうか⁈

やっぱりエニグマの素晴らしさに一票でしょうね。


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ジャンル : 音楽





ハンマー三発、第二楽章アンダンテの「マーラー 交響曲 第6番」: アラン・ギルバート/都響 2019年12月16日 at サントリーホール


今年最後のコンサートです。クリスマス飾りのカラヤン 広場、コンサートの機会を減らしているので久しぶりのサントリーホールです。


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ギルバート/都響のマーラーは2016年7月の「第5番」以来です。都響スペシャル公演のweb配信で24日のLiveを観る事ができる様になりましたね。翌25日の定期公演に行きましたが素晴らしいマーラー5でした。インプレも残してあります。

今回の「第6番」の注目は、三発目のハンマーと第二楽章アンダンテですね。事前に月刊都響(webにもあります)でわかってしまったのは微妙ですがw





マーラー 交響曲 第6番《悲劇的》

第一楽章
第一主題はvc, cbが刻むモットーから荒々しさを感じさせ、パッセージを鎮めてアルマの主題は派手な流れを作りました。展開部は導入部に激しさを持ってきて挿入部の静とコントラストを付けましたね。遠くから聞こえるカウベルを左サイドのバンダにしていました。このパターンは第四楽章でも使っていましたね。
コーダの締まりは、この楽章をまとめる様な激しさがありました。

第二楽章
アンダンテです。主要主題は緩やかですが微妙な揺さぶりを感じ、副主題(第一トリオ)は哀愁は控えめでした。ここでのカウベルは山場なのでステージ上で三人が鳴らしていましたね。
印象的なのは終盤の怒涛ですが、全体的には控え目でしょうか。

第三楽章
スケルツォです。主要主題は切れ味良く、中間部は変拍子を生かした流れに感じました。
この二つの中間楽章が、少し弱かったかもしれません。

第四楽章
長い印象的な序奏は嵐の前の静けさの様でした。ここでtpがフライングでヘマったのは残念!!
アレグロ・エネルジコから提示部第一主題を勇壮に入り、パッセージと絡みながら疾走。聴きどころの展開部はvcのモットーから流れは怒涛になり行進曲はクールに、荒々しさとコントラストを付けて進みました。再現部は静に鎮めて入り、テンポアップの第一主題回帰からパッセージそして騎行へは激走です。コーダには三発目のハンマーがありましたが、僅に遅れた様な...
とは言え、荒々しさ激しさが生きた最終楽章になりました。もちろん拍手喝采でした。


第一第四楽章が素晴らしいマーラー6でした。いつもはお行儀の良い都響ですが、この荒々しい締りの良さが見られて良かったです。ギルバートさんは5番に続いてマーラーを楽しませてくれました。

ハンマーや最後の一撃トゥッティの本当の響きはコンサートでしか味わえませんね。中間楽章や怪しげ1stHrに目をつぶってもお釣りが来たマーラー6でした。


テーマ : クラシック
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前半二楽章の美しさ、2019年10月16日 小泉和宏/都響 の『ブルックナー 交響曲 第7番』at サントリーホール


ブルックナーの7番を聴きに六本木まで。近年はコンサートでもない限り聴くことは無くなりましたが好きな曲、本日70歳の誕生日を迎えたマエストロがどう振ってくれるか楽しみですね。


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発売時のインパクトも含めて、この曲の個人的マスターピースはカラヤン最後の録音(w/ VPO)です。w/ BPO盤の厳しい抑揚を削ぎ落として、クールに広がる美しさが光りますね。





ブルックナー 交響曲 第7番 ホ長調 WAB107 (ノヴァーク版)

■ 第一楽章 [三つの主題のソナタ形式]
第一主題はvcを美しく奏で、第二主題のobとclは流れに乗りながら、山場の後の第三主題は表情変化を大きく奏でました。
展開部・再現部は主題をコントラスト良く対比させて、コーダは大きく派手な山場を作りました。
全体としては揺さぶりや重厚さを抑えていましたね。
■ 第二楽章 [A-B-A-B'-A のロンド形式]
主要主題は暗さを軸足に取ったアダージョ、中間部はやや明るさを見せるモデラートでした。
その後の両主題回帰ではもう少し短調の主要主題を生かして欲しかった気がしました。コーダのワーグナーの「葬送音楽」ももっと鎮めた音色でも良かったのでは。
■ 第三楽章 [中間部一回の三部形式]
主要主題はスケルツォらしさよりも勇壮さ主体に、中間部はその流れからの穏やかさでした。
ブルックナーらしい怒涛の流れがありましたね。もう一歩踏み込めば陶酔的だったかも。
■ 第四楽章 [三つの主題のソナタ形式]
テンポ設定が速めでした。第一主題は弾ける響きを強調しながら第二主題は優美に、第三主題は派手派手しく、適度なコントラストと言った感じです。
展開部を細く繋げて、再現部は逆順となる三主題を明確に回帰させました。コーダはもちろん大きく広げて締めました。


前半二つの楽章の美しさを前面にしたブルックナー7でした。そこに怒涛や低重心、揺さぶりといった方向を回避しましたね。個人的には好きな方向ですが、それが好みを分たかもしれません。

コンサートならではの一体感と言った、+αがあればもっと素晴らしかったかな⁈

カーテンコールではマエストロに"happy birthday to you"と花束も出て楽しいコンサートだったと思います。


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2019年9月20日 ヴァイグレ/読響『マーラー 交響曲 第5番』at サントリーホール


季節が秋風に変わった東京、清々しい空気の六本木一丁目まで行ってきました。ヴァイグレ/マーラー5番の三日連続公演の初日です。(後二回は東京芸術劇場)

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この四月から読売日本交響楽団第10代常任指揮者に就任したセバスティアン・ヴァイグレ(Sebastian Weigle)さんですが、恥ずかしながら殆ど知見がありません。と言うわけで、今回がその個性と手腕を楽しむチャンスとなりました。(カンブルランは以前から現代音楽を振っていましたからね)





マーラー 交響曲第5番 嬰ハ短調

第一部
tpが少し怪しいですが、ファンファーレがまずは派手。葬送行進曲はスロー低重心、第一トリオ速くて激しく、第二トリオは哀愁、コントラストの明確な流れでした。
第二楽章第一主題は速くて荒っぽい良い気配から、第二主題は哀愁よりも力強さを感じましたね。展開部のvcは優しい美しさがありました。期待を抱かせる第一部だったのですが。

第二部
スケルツォ主題もレントラー主題も優雅さがありません。その一つの理由はhrの破綻でしょう。その後もオブリガートhrは安定せず、他の管楽器もまとまりに欠けました。この楽章に欲しい優美さは感じられませんでした。強音パート、ラストは荒れ気味で面白かったのですが。

第三部
アダージェットは夏の夕陽の様な暖色系で濃厚。トリオさえも力強さを見せてきます。近年珍しいですね。最終楽章、第一主題と第二主題の絡みは管楽器にまとまりがありません。その後もそこが足を引っ張った様な... コデッタは一転して実に優美でしたね。この流れを第三楽章に作ってくれればgoodだっのですが。展開部の山場、再現部は山場からラストはほぼトゥッティの爆演ですから管楽器は馬脚を現さずに済みました。

ヴァイグレさんは速く激しいパートと優しさを対比させ、アダージェットの様な個性も見せましたね。演奏が着いていければ…





ちなみに前半の『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番』もメリハリがあり、まとまりもある演奏でした。全体的には古典色の強いマイルドな味わいでしたね。
pf:ルドルフ・ブッフビンダーは想像以上に流麗さのタッチでした。アンコールの"テンペスト第3楽章"の方が力感もあって、ブッフビンダーらしかった気がしましたね。



聴きに行ったのはマーラーだっのですが、良かったのはベートーベンの方でした。いずれにしてもヴァイグレさんはメリハリをはっきりさせた流れを作りそうですね。

読響管楽器群が頑張ってくれるとこれから楽しそうです。


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個性を感じた二つの演奏:2019年9月4日 大野和士/都響『ベルク:ある天使の思い出に | ブルックナー:交響曲第9番』at サントリーホール


"若杉弘没後10年記念"として行われる都響定期885回。もう10年になるんですねぇ…
なんと約1ヶ月ぶりのコンサート、サントリーホールへ行ってきました。何故か足が徐々に遠のきます…

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今回はコンサート定番二曲。外れの少ないセットだと思いますが、皆さん好みを持っていらっしゃる両曲でしょう。

ちなみに "ベルク:ある天使の思い出に" はクレーメルとツェトマイアーの聴き比べファウスト他5CD聴き比べも過去にインプレしています。(今回はツェトマイアーを聴いて来ました)





ヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》
アルバン・ベルク (Alban Berg, 1885-1935)

大野/都響は第一楽章を調性感のある明瞭な流れにして来ました。本当は深淵であって欲しかったですが。第二楽章I.Allegroでガツっとメリハリを付けるかと思いきや、そこそこに納めた感じでしたね。

問題はヴェロニカ・エーベルレ(Veronika Eberle)のvnが好みでない事でしたねェ。暖色系で明瞭な鳴りの第一楽章、この時点で好みとは違うのはわかりました。第二楽章I.Allegroはグリグリのテク見せつけて "大向こうを唸らせ" ました。この曲で?!
個人的には無調ベースの幽玄さ優しさが "ある天使=マノン" ですが、逆の暑苦しい感じで残念でした。




交響曲 第九番 ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)
アントン・ブルックナー (Anton Bruckner, 1824-1896)

■ 第一楽章
第一主題の動機群は速めの緊迫感を作って第七動機の山場を迎えます。第二主題は優しく美しく心穏やか、とは行かず続く第三主題にかけて予想以上に濃厚な流れを作りましたね。落ち着きはありませんが個性的です。
展開部の第一主題変奏は第七動機が一層激しさを増していました。
再現部の第二・三主題も速く濃い流れを維持して、コーダはラスト炸裂でした。
■ 第二楽章
ここでも主要主題は速め、そこから強烈なトゥッティの動機で爆裂です。続くobからの動機も濃く、トリオも一般的な軽快とは言い難い濃厚さでしたね。"全体が速め音圧高め" の一二楽章は個性的でした。
■ 第三楽章
残念だったのはこの楽章でした。テンポも普通になってメリハリに欠けた感じです。特に第一主題入りのトリスタン和声はやや暑苦しく残念でした。「生への決別」は激しさ炸裂で良かったのですが、それでなくても構成の分かりづらい楽章がフラットに長く感じましたね。コーダは落ち着かせたのですが、ラストはやや尻切れトンボ風に感じました。
第三楽章は別として、第一第二楽章は速くて炸裂感の高い、一癖ある面白い流れでしたね。




前半の協奏曲は好みのパターンではなかったと言う事で...

ブルックナーは、ヴァントのスロー低重心と全く方向性の異なる、速めで腰の高い荒波の様で面白かったですね。全体完成度を上げて第三楽章もその流れに合っていたら興味深いブルックナー9だったのではないでしょうか。

大野さんの完成形を聴いてみたいですね。


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2019年6月25日 クシシュトフ・ペンデレツキ / 都響『ペンデレツキ:ヴァイオリン協奏曲第二番 | ベートーヴェン:交響曲第七番』at サントリーホール

梅雨の東京は天気は今ひとつ。何とか晴れた今日、六本木まで行ってきました。今回は「日本・ポーランド国交樹立100周年記念」だそうです。

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85歳になっても各地のオケに指揮者として客演し、自曲を指揮する元気なポーランドの現代音楽家クシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki)の都響客演ですね。今回も二曲目の庄司紗矢香さん(vn)の "メタモルフォーゼン*" が聴きどろこかと。
ベートーヴェンの第七番ですが、今やコンサートセットされない限り聴く事は無くなったので厳しいですね。派手派手しいので誰がやっても受けると思いますがw

*仲良しのA.S.ムターに献呈されていて、1997年にペンデレツキ指揮(LSO)で録音されていますね.





ペンデレツキ:平和のための前奏曲 (2009年)

管楽器とパーカッションの楽曲で、調性回帰後の曲ですね。ファンファーレ的で華やかで鳴りの良い演奏でした。tpが少し怪しかったですがw
(指揮者が同行のアシスタント:マチェイ・トヴォレクに変わりました)



ペンデレツキ:ヴァイオリン協奏曲第2番《メタモルフォーゼン》 (1992-95年)

長い第一楽章は、抑えた深遠さや幽玄さと言うよりも厚めの音を感じました。vnもムターの繊細で細い音色ではなく、ヴィブラートの効いた切れ味と音の厚さでしたね。
第二三四の三つの楽章はvnの表情を濃く、オケは出し入れ強く、押し出しの強い感じがしました。
第五楽章のメイン、長いカデンツァはなぜかとても短く感じてしまいました⁈
締めの最終楽章は第一楽章の回帰となりますが、オケもvnも厚め濃厚でしたね。
A.S.ムター/LSO盤に比べると、庄司紗矢香さんは技巧を見せつけて都響は音圧のある演奏だったかと。予想通りでしたが、好みは前者になります...




ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92

第一楽章はソナタ三つのパートを華やかに、ですが流れはややフラット気味でした。
第二楽章は本来緩徐楽章ですが、ここは指示通りに少し速めに。然程の特徴は無かった気がします。
第三楽章はスケルツォで、第一楽章回帰的な楽章、ややメリハリが付いてきた様に思えました。
第四楽章はお馴染みの派手な二拍子、テンポ上げて来ました。この楽章が白眉でしたね。速いテンポが締まりを生み出してコントラストも付きました。コンサートならではの一体感も少し感じられましたね。
楽章が進むにつれて、メリハリがハッキリする流れでしたね。最終楽章は聴かせてくれました。




指揮者としてのペンデレツキのイメージが無いのですが、本人のヴァイオリン協奏曲は献呈したムターとの演奏とは対極に感じました。この日一番は、ベートーヴェン7番最終楽章の楽しさだったと思います。

ベートーヴェン第7番を聴くと、この熱狂は1812年当時は現代音楽だったのでしょうねぇ、と思います。




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素晴らしい"グレ"!、2019年4月14日 東京春祭2019 最終日 大野和士/都響の シェーンベルク『グレの歌』at 東京文化会館


東京・春・音楽祭2019の最終日、天気下り坂の上野まで行ってきました。今回は大野さんの指揮ですから流れは何となく想像できたわけですが、もう一つのポイントは山鳩を得意とする藤村実穂子さんの期待値でしたね。グルントヘーバーは?、不安と期待がありましたが…w


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アルノルト・シェーンベルク『グレの歌, Gurre-Lieder』はレコード時代から大好きな曲で、13CDの聴き比べもしてあります。ぜひそちらもご笑覧下さい。

  ▶️ 『グレの歌 13CD聴き比べ:名盤・おすすめは





ヴァルデマルとトーヴェは始めからステージに、その他は歌う際のみ登場する珍しいパターンでしたね。大ベテランのグルントヘーバーは最後までステージに残りました。曲の繋がりだけでなく脚の具合も勘案したのかもしれません。

ヴァルデマル王 (クリスティアン・フォイクト, Christian Voigt)
入りの "迫り来る黄昏に" で、軽やかなテノールがヴァルデマルらしさを感じさせてくれました。ところが "馬よ!" では残念ながら声が前に出て来ません。表現は好みなのですが、強音の高音は無理を感じました。従って第二・第三部の神と対峙する姿勢は弱かったです。

トーヴェ (エレーナ・パンクラトヴァ, Elena Pankratova)
ヴァルデマルの"馬よ!" を受けての "星は歓びの…" は凄く速いテンポ設定で驚かされました。走っているごとくでしたね。太めのsopで表現力も濃厚、可憐な若さというよりも恋愛に長けた女性と言った風。個人的な好みのトーヴェとは少し違いました。

山鳩 (藤村実穂子, Mihoko Fujimura)
トーヴェの死の悲しみと怒りを、見事に色濃く歌い上げましたね。声量・表現・切れ味 共に素晴らしかったです。ただ、ヤンソンスとの共演盤の方が、絞り出す様な歌い方で好みではありますが。(中国初演:上海公演に近い感じだったかも)
やっぱり期待を裏切らない凄さでした。

農夫 (甲斐栄次郎, Eijiro Kai)
前半は慄きは上手いバス・バリトンで、"Da fährt's…" から後半のキリストに祈るパートではやや一本調子ではありましたが落着きを見せる表現でしたね。予想を上回る出来で、失礼!!、嬉しかったですね。

クラウス (アレクサンドル・クラヴェッツ, Alexander Kravets)
道化の具合は完璧! 本当に道化で、着崩れて一杯やりながら酔っ払った演技で登場しました。歌は速めでもちろんコミカル、笑いも入れてクールな内容を斜に構えて歌いましたね。本来ならあまり道化たクラウスは好みでは無いのですが、今回は一本取られましたw

語り手 (フランツ・グルントヘーバー, Franz Grundheber)
御歳81歳のシュプレッヒゲザングは前半は凄い早口。後半"夏の夢"からは内容に合った諭すようなバリトンが生きましたね。
登場時は杖を突いてゆっくりと出てきたので、また演技付きかと思いましたがマジでした。拍手!!

合唱団 (東京オペラシンガーズ)
"よくぞ来られた…" は、オケのパワーに負けてました。個人的な希望としては複数合唱団が良いですね、色々難しいでしょうが。"見よ, 太陽!" は混声合唱が活きていました。


演奏と流れ (東京都交響楽団/大野和士)
第一部序奏は速めで厚い音、管楽器が少し破綻をきたし不安がよぎりました。ところが "馬よ!" は第一部最高の演奏で、ディナーミクを振った派手さが生きました。第一部は前半の速めのテンポ設定が特に際立ちました。
第二部は動機群を山場 "ヴァルデマルの絶望" を含めて見事にメリハリを付けて鳴らしました。
第三部も第二部の流れからペースも上がって'出し入れ'の明瞭なこの曲らしさを味合わせてくれました。ここでも途中、管楽器の破綻が有ったのが実に残念ですが、目をつぶれる全体の見事な出来でしたね。



素晴らしいグレだったと言って良いのでは! 演奏は多少の破綻は有ったものの大野さんらしいドンシャン・メリハリを生かした演奏が決まり この曲らしさを見せてくれやした。

歌手陣も楽しさ十分でした。藤村さんの見事な山鳩、カーテンコールの拍手も一番!、を筆頭に農夫・クラウス・語り手それぞれが個性的に演じてくれましたね。主役二人がやや残念ですが、補って余りあり!でしたね。

この曲にはクールで良い録音もありますが、迫力系+演技の仕込で楽しめたのは間違いなく、今日は楽しかったです。



今年は『グレの歌』コンサート当たり年ですね。先月3月のカンブルラン/読響、そして10月にはノット/東響と三回楽しめます。

ちなみに個人的最大の聴き処は第三部#4「トーヴェの声で森はささやき」ラスト、亡霊になってなおヴァルデマルがトーヴェを慕う "Tove, Tove, Waldemar sehnt sich nach dir! "です。そこは次回のお楽しみと言う事で。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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