2017年10月8日 イブラギモヴァとティベルギアン の ベートーベン「クロイツェル」at 三鷹市芸術文化センター 風のホール ★★

今日はバスで15分のご近所、kokotonMAMAと二人でコンサートです。晴天の10月、昼のコンサートはいいですね。

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アリーナ・イブラギモヴァ(Alina Ibragimova / vn)とセドリック・ティベルギアン(Cedric Tiberghien / pf)のDuoコンサートは2013年9月20日王子ホール以来です。その時も「クロイツェル」がメインでしたね。

正直言うとイブラギモヴァとティベルギアンのDuoには「クロイツェル」は合わないと思うのですが、時を経てどうなっているのか楽しみでした。もちろんその時も二人のクロイツェルCDを聴いて行きました。(←印象は今でも同じです)



普段は聴くことの稀な古典ばかり三曲。特にモーツァルトはオペラ以外は…^^;
(個人的な嗜好はリストやショパンといった19世紀生まれのロマン派以降になります。除くブラームス…笑)

モーツァルトヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調 K.379
 曲がフラットなので、演奏の冴えは分かりづらいですね。一楽章では柔らかさから適度なメリハリのvn。pfは硬めで、vnは鳴りが今ひとつに感じました。

シューベルト幻想曲 ハ長調 D934
 アンダンテ・モルトからアレグレットでは細く伸びの良い音色から小洒落た音色、そして切れ味の良さがありましたね。ラストのアレグロ・ヴィヴァーチェが良く、切れ味と鳴りの良いvnを聴かせてくれました。pfは全体的にやや角を感じましたね。

ベートーヴェン:『クロイツェル』ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 op.47
 まず感じたのは、この曲が二人の手の内に入っている事でした。演奏回数を重ねている事は明白で、二人の息はぴったり。ディナーミクの付け方からこの曲の魅惑的な旋律とその間の取り方まで隙がありません。ティベルギアンのpfも歯切れや情感も素晴らしく、vnとの駆け引きも楽しめました。CDはもちろん2013年のコンサートよりもユニットの完成度が明らかに高かったですね。
あとはもう好みの問題になるでしょうか。



東京のローカル・ホールでこれだけの演奏が楽しめた事に感謝しました。これ以上の二人のクロイツェルを望むならコンサートならではの感情の炸裂といった特別な世界になるでしょう。
ただ、今日一番はシューベルトの最終楽章だと思います。イブラギモヴァの音色の良さである繊細さが生きていました。クロイツェルは野太いvnが好みです。

個人的にはイブラギモヴァのDuoなら「Szymanowski:The Complete Music For Violin and Piano」とか好きですね。





PS:イブラギモヴァは丸くなりましたかねぇ、音じゃなくて顔とかw


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2017年9月14日 上岡敏之/新日フィル の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール ★

先月まで"2017リニューアル"で休館していたサントリーホール、再開後は今日が初でした。演目はコンサート機会の多いマーラーの5番。暑さの残る六本木です。

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マーラー5番は160CDのインプレもブログにあり、コンサートターゲット曲の一つです。マエストロ上岡敏之さんの2010年ヴッパータール響との好演LiveCDも#6に入っています。(もちろん事前に聴いてきました)



前半の楽曲にも少しだけ触れておきますね。古典を聴かなくなって数十年、カデンツァに何を採用しているかさえわかりませんので本当に印象のみです。(汗)
事前にスマートなポリーニ(w/アバドBPO)盤と血色の良いギレリス(w/セルCleveland管)盤を聴いてきました。

■ ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
 デジュー・ラーンキ(Dezsö Ranki)のpfは硬質で無表情、上岡/新日フィルは良い鳴りでキレがありました。
第一楽章は特に印象は有りませんが、第二楽章はラーキンの硬い音色が緩徐楽章に沿わない感じです。第三楽章はオケはこの楽章らしい音色を奏でましたが、pfの打鍵の硬さは気になりました。


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 7年前のヴッパータール響との個性的なスローを生かした美しさから一転、落ち着かない揺さぶりのクセモノに変身でした。(独特のアゴーギクが根底にあるのは同様です)
第一楽章葬送行進曲ではcbのピチカートや管楽器の一音を投げる様に強調します。第一トリオは暴れ、第二トリオは美しい流れなのにvnは聴いたこともない強烈なビブラートを仕込みました。第二楽章の展開部第二主題での極端な静音対応はここでもありましたが、大きなアゴーギクと細かな揺さぶりがしっくりと来ません。クセモノは歓迎ですが、落ち着かない第一部。
第三楽章、スケルツォからレントラーは速めで全体は揺さぶりと荒れです。力強さの指示はあってもこの荒れ方は不釣合で、まとまりを感じられない第二部です。
第四楽章アダージェットも速めで入りながらのアゴーギクは、座り心地の良くない椅子の様。ここでのvnの大ビブラートは考えられません。第五楽章も頭の一音をやたらと長く保持したりとクセモノぶり発揮の第三部でした。



近年のマーラー5番のコンサートでは稀に見るクセモノでしたね。もちろんクセモノが嫌いなわけではありません、シェルヘンとかマデルナ好きですから。
ただ、細かいパートを弄くり回すのは好みではありません。また、リードのtpやオブリガートhrが怪しげな音を出し、管楽器群を主として音もまとまりも????ではちょっと……ね ^^;

クセモノぶりが様になっていたのは上岡さんの指揮スタイルと、一人ノリノリ姿だったコンマス崔さん?!w





とは言え、会場はフラブラと大喝采で皆んな大喜び。やっぱり駄耳の証明かな (笑)
いろいろな演奏に出会えるのもコンサートの楽しみの一つですね。




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2017年8月24日 読響サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会 の R.シュトラウス at 東京芸術劇場 ★☆

訳あって一ヶ月以上コンサートを空けてしまいました。夏の気候が梅雨の様な今年の東京、でも昨日・今日は晴れ間が出てくれました。今日は池袋です。

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ファビオ・ルイージを迎えてのリヒャルト・シュトラウス交響詩スペシャルですね。Fabio Luisiと言うと個人的にはオペラでの端正さ、マーラー5番ではアゴーギクをスロー側に振る 全体としてはジェントルな印象なのですが、読響とのシュトラウスではどうだったでしょう。

メインディッシュの「英雄の生涯」はカラヤンの3CDとシュトラウス本人指揮で事前インプレしておきました。(残念ながらルイージ盤は未所有ですが、頭の中で鳴っているのがカラヤンと言うのは問題かもw)



R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」Op.20
力感に欠けるのは残念な感じもしますが、全体としてはルイージらしいスマートなドン・ファンでした。
 冒頭のテーマは速めで、切れ味と言うよりも爽やかさを感じました。前半・中盤の2人の女性との出会いは、ルイージらしくスローに女性を表現してコントラストを見せ、後半の山場は激しさよりもスムーズ。
ラストのドン・ファンの死は、弄りようがないでしょうね。


R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」Op.40
素晴らしさは三つ [3. 英雄の伴侶]のコンマスの長原幸太さんのvn、迫力満点の[4. 英雄の戦場]、そして第1稿採用の[6. 英雄の隠遁と完成]のラスト、死を迎える英雄でした。
 [1. 英雄]はドン・ファンと似て力感よりジェントルさ。[2. 英雄の敵]の敵は速すぎで、揶揄する気配が弱いです。
[3. 英雄の伴侶]の技巧的なvn(妻)が素晴らしかったですね。クールかつ情感ある音色で魅せてくれました。オケの表情と絡みは今ひとつかも。[4. 英雄の戦場]は白眉‼︎。ルイージらしからぬw激しさで、読響の炸裂感は最高でした。[5. 英雄の業績]と[6. 英雄の隠遁と完成]は弱音の表情に欠けた感じがありましたが、ルイージが採用した第1稿は妻のvnに見守られながら英雄のhrがラストを静かに終える流れで素晴らしかったです。




個人的には、ドン・ファンと英雄の両テーマにビシッとした力強さが欲しかったですね。
でも、「英雄の生涯」の三つの良さで楽しませてもらいました。
ルイージの指揮スタイルが思いの外激しいのに驚きましたね。





【PS】ハイドン:交響曲第82番「熊」についてはインプレするだけの知見がありません。


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2017年6月30日 大野和士/都響, アルディッティ弦楽四重奏団 at 東京オペラシティ ★★★

梅雨で天気が今ひとつの中、第835回 定期演奏会Bで初台へ行ってきました。

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今回のポイントは明確ですね。
1) 先週に続くアルディッティSQの日本初演
2) 昨年(2016年6月9日)の大野/都響で演奏した以下二曲の延長戦
 ・歌劇『ピーター・グライムズ』「4つの海の間奏曲」
 ・スクリャービン / 法悦の詩 交響曲第4番
 (前回は迫力パートの素晴らしさと引き換えに静音パートの情感不足を感じましたが)



ブリテン:パッサカリア 歌劇『ピーター・グライムズ』より Op.33b (1945年)
全体的に強音構成でしたね。
 『ピーター・グライムズ』Op.33 第2幕第2場への間奏曲ですね。前回の「4つの海の間奏曲」をOp.33a として、この二曲を作品番号にa,bで抜き出し管弦楽曲としてあります。
6-7分の小曲、ベース低音の上に現れる各楽器の旋律とクレッシェンド、そして沈黙へ。初めから明瞭な鳴りで始まり、ラストの静音でも、消え入る様な様子はありませんでした。


細川俊夫:フルス (FULSS, 河) ~弦楽四重奏とオーケストラのための(2014年)[日本初演]
細川さんらしい神経の様な細い線、そこに弦楽四重奏の脳神経の刺激ような切れ味が絡み、最後は同期して巨大生命の覚醒なごとく。素晴らしいですね。
 アルディッティQに献呈された弦楽四重奏曲「遠い小さな河」を元に、40周期年記念に再び献呈された弦楽四重奏協奏曲ですね。恥ずかしながらの初聴きです。
静音でロングトーン、ロングボウイングのオケにアルディッティのトリルやグリッサンドが刺激します。そのままオケも同調する様に技術的にもクレシェンドしながら進み、キレキレの弦楽四重奏のカデンッアへ。そして渾然一体となります。


スクリャービン:交響曲第3番「神聖な詩」 Op.43 (1904年)
大野和士さんのスタンスが曲にぴったり合った最高の演奏でしたね。派手さが生き、テンポ、拍子の作る流れも素晴らしかったです。
闘争」序奏のtb,tpが特徴的な雄叫びを上げたあと、明確な音色にテンポを上げピチカートをバックの第二主題を伸びやかに、展開部から再現部も派手さ中心に展開します。
官能の悦び」で緩やかな流れに一変すると、トリオでは管と弦の対比を迫力で見せて、穏やかな調べから収束します。
神聖な遊戯」へは全く切れ目無くつながり、跳ねるtpのリズム主題を生かしてテンポアップします。派手さを押し出しながら表情を変化させて壮大なコーダからラストはトゥッティは雄大です。大野さんはティンパニの連打を強く残しながらのトゥッティ2発で締めましたね。




まずはフルスでしたね。繊細さから渾然の一体感へ。アルディッティSQが先週よりも鋭い切れ味が光りました。細川さんが登壇したのも嬉しかったです。スクリャービンは事前に迫力のスヴェトラーノフと爽快なゲルギエフを聴いておきましたが、それらを上回る素晴らしい演奏でした。
一曲目は情景から行くともう少し陰鬱さが欲しい気がしましたが、それを差し引いても晴らしいコンサートに違いありませんね。




都響のページには、わかり易い各曲解説があります。


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2017年6月24日 アルディッティ弦楽四重奏団 at 東京文化会館 小ホール ★★

今回のアルディッティ弦楽四重奏団(Arditti Quartet)来日、本当は6月17日(土)のラッヘンマンとの公演に行きたかったのですが水戸で都合がつかず、今日と来週の都響との共演の二回です。

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現メンバーは以下。もちろん創設メンバーはアーヴィン・アルディッティご本人のみですが、それでも最後にルーカス・フェルズが2006年に加わってから11年目になるんですね。

・アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti), The 1st Violin
・アショット・サルキシャン(Ashot Sarkissjan), The 2nd Violin
・ラルフ・エーラーズ(Ralf Ehlers), Viola
・ルーカス・フェルズ(Lucas Fels), Cello

アルディッティ弦楽四重奏団来日2017年

当初二曲目予定だった西村さんの初演作品がラストになりましたね。
ご本人が最後に登壇した事もあるでしょうが、結果的に曲構成でも良かったのは。

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調, Ravel : String Quartet in F major
 意表を付く選曲を一曲目に持ってきたので驚きです。静的な美しさを主としたイメージはおおよそ似つかわしてくない曲ですよね。
そんな中、予想通り最終楽章の激しさが売り物でしたね。キレキレの中にエモーショナルさも生きて良かったです。
でも、三楽章まではちょっと??でした。特徴的な第一楽章の美しい流れは速めで、ラベルらしさ感じられませんでした。全体としては、やっぱりこの曲を入れた意図が個人的にはくめませんでしたね。

細川俊夫:沈黙の花, Toshio Hosokawa : Silent Flowers
 今回一番聴きたかったのはアルディッティが1998年初演しCD(インプレ済みです)にも残している、静寂の中に刃物のような先鋭な弦音が飛び交うこの曲ですね。
切り裂く様なボウイングそしてピチカート、超静音のグリッサンドと間はCDとは一味違いました。アルディッティSQが創り出す緊張感と一体感はライヴならではの素晴らしさでしたね。

バルトーク:弦楽四重奏曲第6番, Bartók : String Quartet No.6 Sz.114
 一つの主題Mestoが各序奏に存在し、それを軸にするこの曲。アルディッティSQらしさを二・三楽章の序奏後の展開に期待しましたが、そうでもありませんでした。激しさと切れ味は薄く、予習イメージのハーゲンSQを超えられませんでした。
Mesto主題が主部となる第四楽章の幽幻さも取り立てての特徴は感じられませんでしたね。

西村朗:弦楽四重奏曲第6番「朱雀」(2017/世界初演)Akira Nishimura : String Quartet No.6 "Suzaku - The vermilion Bird"
 二楽章形式 [I. 鬼(Ghost)と星(Stars) - II. 火(Fire)と翼(Wings)] で、東洋の夏とその象徴の古代中国の朱雀(Suzaku)をモチーフにしているそうです。朱雀の持つ四つのイメージを楽章に配しているとのことですね。
これが一番の聴かせどころになりました。高速のトリルとグリッサンドが支配するまさに前衛現代音楽のノイズ系?弦楽四重奏でしたね。
もちろん機能和声的な旋律は存在しませんから「朱雀の飛翔の音列主題」(D-B-E-H-F-Ges-C-A-As-G-Cis-Dis)もその中に現れます。
技巧性が強く、一塊となったアルディッティSQのみごとさが活かされて朱雀の飛翔を感じる素晴らしい演奏でした。



前衛超絶系の現代音楽と古い弦楽四重奏曲のコンビネーション。圧倒的に良かったのは現代音楽二曲でした。
とはいえ、近年言われている通り鋭い尖りからやや円熟の域の味わいになって来ているのは実感します。そしてエモーショナルな古い曲の選択。アルディッティSQに円熟を期待したくないなぁと思ったコンサートでしたね。




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2017年5月31日 諏訪内晶子, マリオ・ブルネロ & ボリス・ベレゾフスキー at 紀尾井町ホール ★☆

第5回国際音楽祭NIPPON公演の一環、ブルネロをお目当に赤坂まで行ってきました。
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今日はkokotonMAMAと一緒です。夕食を早めにゆっくりと軽く一杯。こういう日は事前の楽曲聴き込みとかせずに、ナチュラルに音楽を楽しみました。
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演奏メンバーは豪華です。
・諏訪内晶子(ヴァイオリン)
・マリオ・ブルネロ(Mario Brunello, チェロ)
・ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky, ピアノ)

ベレゾフスキーは個人的には鬼門ですが...



グリーグ:ノルウェー舞曲 Op.35 (ソロ・ピアノのための)
 ピアノをよく鳴らし、ヴィルトゥオーゾらしい演奏を見せてくれましたね。明るい曲風ともマッチしていました。音の粒立ちが良ければ、好みなのですが。
それにしてもベレゾフスキーは、また太りましたねw

コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
 硬質で無機質なvn、エモーショナルで朗々としたvc、幽玄さの曲調にとても合っていて素晴らしい演奏でしたね。
乱暴なボウイングでも円やかさのブルネロと、先鋭な諏訪内さんのバランスが生かされ楽しませてくれました。

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50「偉大な芸術家の思い出」
 二楽章で主題の変奏による楽曲ですね。50分近くかかる曲ですが、3人の熱演でした。ただ、弦2人は情感的ですがピアノは少々没我的な感じがしました。スローなパートは三重奏の良さが味わえましたね。
アンコールの方がマッチは良かったですが、ブラームスでは何とも...



ブルネロと諏訪内さんのコダーイが曲も含めて最高で、緊張感とスリルが味わえましたね。
全体としては、もうちょっとバリエーションを付けた小曲の組合せでも楽しかったかもしれないと思いました。



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2017年5月18日 サロネン/フィルハーモニア管 の マーラー交響曲 第6番「悲劇的」at 東京オペラシティ ★★★

エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen) / フィルハーモニア管弦楽団は、2015年3月6日「火の鳥」が良かったので期待大でした。(フィルハーモニア管の諸々の点についてここで触れる必要はありませんね)

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もちろんメインはマーラー6番ですが、2015年に楽譜が見つかり 昨年世界初演されたストラヴィンスキーの「葬送の歌, Funeral Song」も嬉しいですね。



ストラヴィンスキー葬送の歌 Op.5 (1908年) [日本初演]
 「火の鳥」の1年前の作品ですね。12分ほどの小曲で暗め。火の鳥に似た感があり、前半の弦のトレモロと管楽器が王子登場に、後半はカスチェイと悪党を連想しました。
サロネンは拍手を受けた時に、初演のゲルギエフにならってかスコアを掲げましたね。

106年ぶりに楽譜が発見され、2016年12月2日に世界初演された話はこちらから


マーラー交響曲 第6番 イ短調 《悲劇的》
 ライブならではの興奮とパワーの素晴らしい演奏でした。コンサートで聴きたいのは形通りの好演ではなく、暴れる様な乱れも包括する情熱漲る演奏ですね。

第一楽章は、提示部出だしの緩いテンポと怪しい管楽器を聴いた時はヤバイと思いましたw
ところが提示部の反復で一転、行進曲の第一主題で勇壮壮大さを見せ、続く流れに乗ったアルマの主題(第二主題)でも大きな流れを作りました。強音パートは多少の乱れも情熱となり、走るパートは駆け抜ける迫力となりました。ここから本領発揮でしたね。
第二楽章はスケルツォでした。主部は第一楽章再現部からの情熱溢れる流れをとり、トリオでは一転して優美さを前面にしてメヌエットの様です。
第三楽章は、見事に緩徐楽章の流れを作りましたね。第一主題は穏やかに各楽器で引継がれ、第二主題の流れも哀しみよりも優しさを感じました。とは言え、中間部の山場では迫力が波の様でした。
第四楽章はこの日の白眉でしょう。30分はあるこの楽章がこんなに短く感じたのは初めてでした。中でも素晴らしかったのは、この曲で一番厄介な展開部でした。炸裂するパワーがオケとホールに響き渡りましたね。サロネンはその前の提示部最後で右を向いた際に笑みを見せました。なんだっのでしょう?!。
この楽章は溢れるパワーに浸りました。もちろんラストの一撃は約束の衝撃で、ティンパニーと弦のピチカートも明瞭でした。
ちなみにハンマーは標準的な展開部二発でしたね。



物足りなさが残ったとすれば、静音スローパートが哀しみよりも優しさだった事でしょうか。もしそこが冷たい哀しみだったら凄い名演だったかもしれません。(個人的好みの問題ですがw)
でも、それを差し引いても指折りの素晴らしいマーラー6番だったでしょう




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2017年5月16日 ブラビンズ/都響, S.オズボーン(ピアノ) で聴く英国音楽 at 東京オペラシティ ★☆

東京はこのところ天気がはっきりしません。そんな中、今日は近くて楽な初台でした。

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都響定期B第831回は、指揮ブラビンズ(Martyn Brabbins)、ピアノはオズボーン(Steven Osborne)、英国音楽家の楽曲という英国音楽シリーズですね。
実は英近現代音楽家は、ブリテンやマクミランら一部しか馴染みがありませんが、お楽しみの一つはスティーブン・オズボーンのピアノですね。今回は素直に事前の曲確認もなしで楽しんでみたいと思います。(聴いていない曲のCDを購入して確認するのも楽しみですが...)

曲目解説は都響のページを参考にどうぞ。



青柳の堤 (1913年) :バターワース(George Butterworth, 1885/7/12 - 1916/8/5)
 A.ベルクと同い年で、享年31歳と早世ですね。英国音楽らしい長閑な風景感のある、いかにも標題音楽です。6分と短く、展開はシンプルですね。演奏もマッチしていました。

ピアノ協奏曲 (1955年):ティペット(Sir Michael Tippett, 1905/1/2 - 1998/1/8)
 日本初演だそうです。細切れで忙しない音の並びに終始し、不協和音が微妙な調性感を醸し出します。動機の反復と変奏で構成されて、他二曲と対比する絶対音楽で好みですね。
オズボーンのpfはテクニックだけではなく、音の粒立ちと歯切れの良さが素晴らしいですね。揃いの良い都響と相まってこの曲の良さを引き出していたのではないでしょうか。

ロンドン交響曲(交響曲第2番, 1920年):ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams, 1872/10/12-1958/8/26)
耳なじみの良い旋律を次から次へとつなぎ合わせて、その主旋律に伴奏パートを組み合わせた様な全曲ですね。聴き手を不安にする様な和声や、旋律が交錯するポリフォニーの要素は皆無です。その代わりにワクワク感や沸る様な刺激もありません。
でも各楽章にロンドンの情景が振られている標題音楽ですから、それをイメージしながら都響の素晴らしい演奏に身を浸すのが楽しみ方でしょう。



何と言ってもティペットのピアノ協奏曲が素晴らしかったですね。都響の見事な演奏は陶酔性を感じましたし、ピアノとのせめぎ合いもスリルがありました。
S.オズボーンはCDのインプレで何回か紹介済みですが、印象はずっと良かったですね。次は叙情性の強い曲で聴いてみたいと思いました。



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ジャンル : 音楽

2017年4月18日 A.ギルバート/都響 の ジョン・アダムズ「シェヘラザード.2」at 東京オペラシティ ★☆

都響定期Bがサントリーホール改修中のため、初台の東京オペラシティへ。ここは京王線一本で近いですから楽ちんです。
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今更何が話題かは言うまでもないでしょうが、事前にCDインプレしていますので そちらをご笑覧くださいね。
前半はマ・メール・ロア(バレエ音楽版)で、頭の中はデュトア/モントリオール響の澄んだ美しい音色です。



・ラヴェルマ・メール・ロワ《バレエ音楽版》
演奏の素晴らしさとは別にやや好みの演奏とは異なりました。どちらかというとシャープでしょうか。愛おしさを思わせる様な美しい流れがより感じられると個人的な方向ですがw
 都響は丁寧な演奏ですが、好みから行けば管楽器とソロのvnの音色に より優しい美しさを感じられると嬉しかったです。
この曲では上記の様に好みがはっきりしているので仕方ありませんね。もちろんブラボー大喝采で、演奏が素晴らしかったのは事実です。^^;


・ジョン・アダムズシェヘラザード.2《ヴァイオリンと管弦楽のための劇的交響曲》
ちょっと騒々しいこの曲をコンサートで楽しむなら、ライブならではの情熱溢れた熱演でしょう。ジョセフォウィッツのヴァイオリンでそれが堪能できましたね。都響も好演でしたが、もう一つCDを超える何かがあると尚良かったかと。
 CDのインプレでも書きましたが、通して激情的展開で楽章間での変化が乏しいのはやっぱり楽曲の個性でしたね。第二楽章で緩徐パートがありますが、明確な抑揚や変化が欲しい気がしました。
都響は終始乱れのない充実の演奏でしたが、それに少々暴れるくらいの情熱が加われば最高でした。
今回楽しませてくれたのは二人。主役のvn, リーラ・ジョセフォウィッツ(Leila Josefowicz)は、この曲を手の内にした熱演で素晴らしかったです。大喝采でした。
そしてツィンバロン、生頼さんが隠れ熱演で良かったです。情熱でジョセフォウィッツと渡り合っていましたね。




アラン・ギルバート/都響は昨年7月25日のマーラー第5番で見せてくれた情熱ほとばしる見事な演奏とまでは行きませんでした。
期待値が大きかったので少しだけ残念な感が残りましたが、二曲とも充実の演奏で大喝采でした。^^



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2017年4月15日 カンブルラン/読響 の バルトーク「青ひげ公の城」at 東京芸術劇場 ★★☆

春本番、満開の桜もあっと言う間に葉桜になった東京です。そんな中、池袋まで行ってきました。
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シルヴァン・カンブルラン(Sylvain Cambreling)のバルトーク(Bartók Béla, 1881/3/25 - 1945/9/26)「青ひげ公の城(Bluebeard's Castle)」は、やっぱり興味津々ですね。
今回の三曲は今年11月のメシアン「アッシジの聖フランシスコ」に向けたカンブルランの選択とか。一曲目のメシアン「忘れられた捧げもの」は、好演だった1月31日の「彼方の閃光」と似た曲調でもあり期待値は高かったです。



・メシアン忘れられた捧げもの管弦楽のための交響瞑想
弱音パートでの寒色的な美しさが弱い代わりに色彩感の演奏。個人的にはもう少し幻想的な方が好みでした。
 静音パート「十字架 La Croix」では思いの外 音が厚く色彩感がありました。期待の薄かった強音パート「罪 Le péché」が、読響の管楽器の美しさに適度な興奮が加わり良かったですね。続く「聖体 L'Eucharistie」の弦楽静音パートは期待の美しさでしたが、もっと薄くても良かった様な...


・ドビュッシー聖セバスティアンの殉教交響的断章
ここでも同じ傾向でした。 最終楽章では、薄い幽幻さのある美しさがバランスされて素晴らしかったですね。


・バルトーク青ひげ公の城Op.11(演奏会形式/字幕付き)
 ・ユディット[メゾ・ソプラノ]:イリス・フェルミリオン(Iris Vermillion)
 ・青ひげ公[バス]:バリント・ザボ(Balint Szabo)

この曲の印象を大きく変えさせらせる素晴らしい演奏でした。陰鬱な陰の様な世界から、青ひげと城に隠された秘密が彫り深く表現されました。(この曲だけなら★★★です)
 冒頭の吟遊詩人の口上はカットでしたね。まずは、ユディットのフェルミリオンですが良かったです。初めは陰鬱さに欠ける感が強く感じられましたが、聴くうちにオケとマッチした情熱に引き込まれました。
青ひげ公のザボは印象通りの好演。
何より演奏でしたね。カンブルランの描く青ひげの秘密とユディットを見事に表現しました。
ともすれば抑揚の薄い退屈な展開となる曲ですが、カンブルランは出し入れの効いたストーリー展開を見せてくれましたね。ユディットの気持ちの強さといい、バラージュの台本に近いのではないでしょうか。
ポイントの一つは長いパートのホールのシーンと「涙の湖」の部屋のシーンでしょう。ここを中だるみなど全く見せませんでしたし、バンダの入ったパートの迫力も素晴らしかったですね。ラストも綺麗に納めました。
出来れば三人の妻たちの呻き声があればより良かった気がします。




前半二曲はやや好みとの違いが先立ちましたが、後半の青ヒゲは素晴らしい展開でした。大方のオーディエンスの反応もそんな感じだった様な気がします。
結局カンブルランの方針は一貫していましたね。

そして読響の華やかな管楽器生き生きとそれに答える好演でした。このセットの良さを楽しめました。



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