2018年4月20日 カンブルラン/読響 の「マーラー交響曲第9番」at サントリーホール

カンブルランのMahler #9とアイヴズThree Places in New Englandとなれば行かない理由が見つかりませんね。

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カンブルランのマーラーは何か仕込んで来る印象です。マエストロは今回何を企んでいるのでしょうか?

□マーラーの9番は65CDの聴き比べをインプレしています




アイヴズ:ニュー・イングランドの3つの場所

現代音楽を得意とするカンブルランのメリハリある素晴らしさが味わえましたね。頭の中のM.T.トーマス/BostonSOの繊細さが好みではありますが。
■ 第一楽章
細く幽玄な美しさよりも、緩いディナーミクを振った演奏はまるでメシアンの楽曲を思わせるカラフルさでした。
■ 第二楽章
ポリフォニーそして多変拍子を明確に打出し、ラストのトゥッティは大クラスターの迫力。まさにカンブルランの面目躍如でしたね。
■ 第三楽章
短い楽章ですが美しい動機を浮かび上がらせ、山場の迫力と対比させました。


マーラー:交響曲 第9番 ニ長調

残念ながら苦手な展開で、抑揚やスローの情感を殺した流れを感じました。オケも特定楽器が崩れ、バランスや一体感が今ひとつでは...
■ 第一楽章
第一主題冒頭のホルン(2nd?)の酷さには目を覆いましたねぇ。いきなりですからシラケちゃいます。第二主題から反復の後の第三主題も流れは厚めのフラットさでした。
■ 第二楽章
主要主題、第一トリオ、第二トリオ、全体的に特徴は薄く印象が残りません。
■ 第三楽章
驚いたのは中間部、テンポも音色も落とさず変化を付けません。それは無いよね、って感じでしたね。ラストはパワーを炸裂させてくれましたが。
■ 第四楽章
主要主題は兎に角厚め。第一エピソード弱音パートはターン音型を生かしてコーダへ方向を向けましたね。第二エピソード静音パートからコーダ、フィニッシュへは普通に落として納めました。


アイヴズが楽しめて良かったです。マーラーは個人的にはOUT!ですねぇ、ついて行けませんでした。でもオーディエンスは大喝采。またもや自分の駄耳の証明かな?!(汗)
カンブルランのマーラーは鬼門かもw





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2018年4月14日 ジョナサン・ノット/東響 の「マーラー交響曲10番アダージョ・ブルックナー交響曲9番」at サントリーホール

ノット/バンベルク響のマーラーはお気に入りですが、交響曲全集には第10番(アダージョ)は入っていません。と言う訳で今回のメインは前半のはずでした、が…

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マーラー10アダージョ はソナタ形式ですが個人的印象は①序奏主題、第一主題、第二主題がロンド形式の様に展開する前中盤、②まるでトリオ(中間部)の様なコラールから和音、③緩徐の長いコーダですね。
ブルックナー9 は感動的なヴァント/NDR響の日本公演が頭に巣食っています。やや緩い演奏かもしれませんが、次元の異なる話ですよね。この曲は第一楽章第一主題の8つの動機の展開が気になります。




マーラー:交響曲 第10番 から アダージョ

コントラストが明確なマーラー9アダージョでした。アゴーギクかディナーミクのスパイスを効かせてもらえたら素晴らしかったと思います。
序奏主題は透明感ある幽玄さ、第一主題と反行形主題は暖かな広がりを見せました。特に管と弦のバランスの良さが引き立ちましたね。第二楽章は個性的な旋律が生きました。
中間部の様な管楽器主役の和音は迫力よりも鳴りの良さが響き、コーダの緩徐は静美的印象は薄かったです。


ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調 WAB109

迫力のブル9。特に怒涛の第二楽章は素晴らしく、この楽章を味わうだけでもコンサートの価値がありました。
第一楽章第一主題の動機群はパート毎にメリハリが付いて、これは行けるかもという期待感が高まりしました。その後もパワーパートを生かす流れが見事でしたね。
第二楽章スケルツォは第一楽章の流れを受けて押し寄せる迫力が陶酔的に炸裂、この曲を味わうポイントの一つが最高度に楽しめました。
第三楽章は冒頭はその流れに乗ってくれましたが、その後の緩徐は重厚なタクトだった為にフラットに感じたのはちょっと残念でした。


パワーのブル9にやられましたw 奇を衒う事の無い王道+αのノットの素晴らしさが第二楽章の力感に結実しましたね。第三楽章とhrの弱さに眼を瞑ってもお釣りのくる素晴らしさでした。

アプルーズを受けメンバーに起立を促しても団員は立たずにノットに譲りました。充実のコンサートならではのシーンが見られましたね。

録音していた様なのでCDが出たら買いましょうw





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年4月10日 大野和士/都響の マーラー交響曲第3番 at サントリーホール

春真っ盛りの東京ですが、花粉が今シーズンはひどいですねぇ。そんな中 都響の新シーズン開幕、六本木まで行ってきました。

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このブログではマーラー第5番の170CDを始め第6番・第9番と聴き比べをやっていますが、実は一番好きなのはこの第3番です。マーラーの中では指揮者による落差は小さい曲ですが、好みはサロネンやMTTの端正さですね。大野さんはどうだったでしょう。




マーラー:交響曲第3番 ニ短調

第一楽章
明瞭な主題群と途中の休符が絡む第一楽章はメリハリと強音重視、第一主題を用いたコデッタからラストのクライマックスは派手に締めましたね。Hrが9人いたと思うのですが…
第二楽章
メヌエットは主要主題を濃厚にしましたが、二回のトリオの変拍子は抑えていました。
第三楽章
主部「夏の歌い手交代」引用は第二楽章からの濃さを感じましたね。ポイントとなるトリオ、バンダのポストホルン、音色も見た目も細身のtpみたいでしたが、は牧歌調でした。
大野さんの好きそうな派手なフィニッシュかと思いましたがピシッと押さえましたね。
第四楽章
リリ・パーシキヴィのアルト独唱は素晴らしかったですね。嫋やかな歌声がホールに響きました。オケがppp設定で抑え気味ならもっと映えたでしょう。
第五楽章
"ビム・バム"リズムと合唱団・アルトの優美な流れ、オケの音色がマッチしました。
この楽章から最終楽章主要主題への流れは素晴らしく、グッとくるものがありました。
第六楽章
ロンドの流れは、弦楽の主要主題から管楽器が入る第一トリオは少し厚め、第一楽章コデッタの第二トリオで表情を変えました。出来れば主題をもっと静音で入って欲しかったです。
二回目の流れで明確に色濃くし、最後の主要主題再現からフィニッシュへは狙い通りの爆演で締めくくりましたね。


メゾソプラノ:リリ・パーシキヴィ(Lilli Paasikivi)
児童合唱:東京少年少女合唱隊
女声合唱:新国立劇場合唱団



まずは大野さんらしいパワーを味わえた濃い味のマーラー3番でした。静音パートをより抑えてダイナミックレンジを広く使ってくれたら嬉しかったです。

リリ・パーシキヴィが素晴らしく、合唱と合わせて第5楽章は白眉でした。



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2018年3月26日 インバル/都響 の ベルリオーズ「幻想交響曲」at サントリーホール

桜🌸満開の東京、今日はシーズン最終の定期公演で六本木へ行ってきました。インバルが得意とする二人の作曲家ですね。

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前半のアレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)もショスタコをどう演奏するのか興味がありますね。




ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102

A.タローの個人的勝手な印象とは異なる緩徐楽章の音の硬さ、第一楽章のカデンツァのスローに振られたアゴーギクでした。
オケもショスタコ節が抑えめに感じましたが演奏は共に素晴らしく、ファンにはたまらなかったのでは。なにぶんショスタコーヴィチは殆ど聴かないので...


ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

頭の中で鳴っている定番ミュンシュ/パリ管、アゴーギクよりもディナーミクで展開する印象、を凌駕した迫力の第四第五楽章。
芸術家(音楽家)の不安を前半に、後半死後の狂気を乱舞させてくれました。演奏が真面目すぎるのが玉に瑕?w

第一楽章「夢と情熱」
第1vnのイデー・フィクスに揺さぶりが強かったですね。続く第2楽章へはアタッカで繋ぎました。
第二楽章「舞踏会」
第三楽章「野の風景」
この二つの楽章は可も無く不可も無くに感じました、が...
第四楽章「断頭台への行進」
凄かったのはここからでした。聴かせどころの「衛兵の行進」は華々しささえ感じさせ、短いイデー・フィクスからギロチンは大迫力。
第五楽章「サバの夜の夢」
再びアタッカで繋げると迫力と切れ味を増し、Wチューバが印象的な「怒りの日」は見事、思わずゾクッとしましたね。フィニッシュまで息もつかさぬ怒涛の流れでした。


『幻想交響曲』、実は相性いまいちのインバルなのですがこれはかなりgood!だったでしょう。後半、真面目な都響に標題音楽の狂気が憑依していたら名演の可能性さえ感じました。
団員の皆さんの満足感も伝わりましたね。
これがあるからコンサートはやめられません。




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2018年3月14日 ズヴェーデン/ニューヨーク・フィルハーモニック の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今日は何と言ってもマーラーを得意とする歴代指揮者が並ぶニューヨークフィル(NYP)ですね。

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ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンのマーラーは第5番(ロンドンPO)と第6番(ダラスSO)でインプレしていますが、共にLiveながら "きれいにまとめる" 印象です。NYPにはLiveならでは情熱を期待したいところです。




メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64

残念ながら印象はマイルド。vnは五嶋龍さんらしい優しい音色を奏でました。特に第一楽章展開部のカデンツァ、スロー側にアゴーギクを振っていたのでヴィルトゥオーゾ性には欠けましたが。
NYPの基本スロー、ディナーミク抑えめの流れが一番のマイルドさの要因でしょう。


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体としてはNYPのパワーサウンドが、うまいアゴーギクとディナーミクで生かされた聴き応えあるマーラー5番でした。特に素晴らしかったのが金管楽器群で、ホールに鳴り響きましたね。
第一楽章・第二楽章
ファンファーレから主部主題葬送行進曲の適度な揺らぎで"これは良いかも"って感じました。第一トリオでは切れ味良く、弦楽の第二トリオは哀愁の美しさでした。
第二楽章第一主題も歯切れ良く、弦主体の第二主題も優しさでコントラスト良かったですね。適度な揺さぶりが随所に生きていました。
第三楽章
特徴的な力強いスケルツォから切れ味のレントラーと一味違う流れで入り、第二トリオはスローに美しく。コーダは見事な管楽器群が鳴り響きました。オブリガート・ホルン、第一トランペットは素晴らしかったです。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは速めでトロトロの甘美さを避けました。特に中間部は鋭ささえ感じさせる揺らぎが印象的でした。
最終楽章第一第二主題を抑揚付けて上げて行き、展開部と再現部の山場を大編成を生かして見事に盛り上げ、コーダからフィニッシュは重量級にまとめました。



メインディッシュでNYPが期待に応えてくれましたね。コンサートならではの興奮や情熱とまではいきませんでしたが、近年のマーラー5番では一番楽しめました。

この方向が音楽監督就任早々のズヴェーデンなのかNYPなのかはわかりません。アンコールのローエングリン第三幕前奏曲抜粋も似た流れながら揺さぶりが弱かったのをどう見るかでしょうか。

フィニッシュで大きく両手を上に開くポーズはちょっといただけませんw




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2018年3月11日 サカリ・オラモ/BBC交響楽団 の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今シーズンのマーラー5番、今日のオラモ/BBCに続いて三日後14日(水)にズヴェーデン/ニューヨークフィル、そして5/28日のメータ/イスラエルフィル、と続けて楽しめますね。
まずは第一弾、BBC風に言えばカリ・オラモを楽しみに行ってきました。

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英国でも活躍するフィンランド人指揮者オラモ(Sakari Oramo)、音楽監督を務めたバーミンガム市響とのLive録音が『マーラー5番:170CD聴き比べ #9』にインプレしてあり、そこには "コンサートで聴いてみたい" と。^^/
CDではクセのない王道演奏の好演でしたが、さてコンサートではどうだったでしょう。




ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18

この曲はラリードライバーの様なスリルと迫力がライヴでのポイントですが、お抱え運転手さんの様な手堅さで終始しましたね。好みの問題かもしれません。

第一楽章の主役のオケも、弾きっぱなしのピアノも、鳴りの良さをみせてくれたもののフラットに感じましたね。
第二楽章のオケも緩徐の美しさでは無く淡々とこなした感じです。pfカデンツァからの美しさを期待したのですが残念。
第三楽章も派手な第一主題と民族的叙情の第二主題でオケは抑え気味、ならば小菅優さんのピアノがもっと情熱的に振舞ったら楽しかったでしょうね。



マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体的にCDと良く似た王道のマーラー5番で、出会えそうでなかなか出会えないライヴだったかもしれません。
ただ何か一つ足りず、少し心残りを感じます。

第一楽章・第二楽章
主部主題葬送行進曲はスローに、第一トリオ、第二トリオはうまくメリハリを付けました。
第二楽章へはアタッカで繋げて第一主題は激しく、コントラストをつける第二主題のチェロは哀愁と王道です。
第三楽章
スケルツォはリズムよく、レントラーは優美に、第二トリオはスローの哀愁美とこの楽章の良さを引き出していました。オブリガート・ホルンも鳴り良く聴かせ、コーダは華々しく決めましたね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットはCDより速めになって、ハープが抜けるトリオからラストでの透明感が増した様です。
アタッカで進んだ最終楽章は第一第二主題を切れ味よく絡めて第4楽章中間主題を使ったコデッタで優美に流れます。コーダからフィニッシュは見事、アッチェレランドも切れ上がりましたね。

重箱の隅を突くなら、最終楽章序奏のHrが素っ頓狂な音を立てたくらいでしょうw



BBCプロムスでの活躍等、今聴きたいユニットでオラモの真面目さが伝わる王道マーラー5番でした。スパイスが加わって味に深みが出れば素晴らしかったでしょう。

アンコール二曲はシベリウスだったけど少しプロムスっぽかったかな。

計画アンコール二曲を終えたらさっさと退場するBBCは笑えましたが、前半のラフマニノフ不発弾は残念でした。^^;




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2018年2月16日 細川俊夫のオペラ「松風」初日 at 新国立劇場

楽しみにしていた日が来ましたね。会場も電車で20分もかからない初台の新国立劇場です。^^

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細川俊夫さんのオペラは東日本大地震の津波を基にした「Stilles Meer 海、静かな海 (2015年)」が素晴らしかったので、『松風 (2011年)』が観られるのは本当に嬉しい事です。
能がベースなのであらすじの確認は容易で助かりました。

"能"のダイジェストをYouTubeで見ておきました。
能「松風」ダイジェスト
もう一つ、この公演を前に行われた細川さんによる解説のダイジェストですね。
「能とオペラ『松風』をめぐって」ダイジェスト

能の持つ現実・非現実感や、あの世とこの世、松風と村雨で表す一人の陰陽、等々は頭に入れつつも素直に現代音楽オペラを楽しんで来ました。


演出

前衛ダンサーであるサシャ・ヴァルツの演出は音楽と並行して作られたそうです。
ダンスの占める役割りが大きく、風や波、松風や村雨、そして行平、松の木でもあります。極シンプルな舞台の重要配置でした。


舞台

一幕三場的な舞台は、フラット舞台オンリー、黄泉との結界の様な黒糸を編んだネット、塩屋の大きくシンプルなキューブリック。
特にベルリンで活躍する塩田千春さんによる黒い糸の舞台は演技と相まって象徴的でした。


配役

独唱や重唱が見せ場のオペラとは違い役作りも幽玄なので、特に誰がと言った印象は浮かびませんね。現代音楽ですから語り風で声の跳躍もありますがシュプレッヒゲザングではありません。松風や村雨が行平を思うシーンには音楽に合わせた狂気の表現があっても良かったのでは。(それをやらない演出も素晴らしいのでしょうが)


音楽

細川さんの音楽らしい幽玄さは何も変わりません。コールマン指揮/東響の演奏も素晴らしく、パルスやクラスターの強音パートも激しさよりも深淵さを感じましたね。


幽玄なストーリー・音楽・演出、それに応える演技・演奏。全てがマッチした細川作品が楽しめました。あらゆるものが抽象的なのに訴えるものが感じられて素晴らしかったですね。

ストーリーにいる"待つ人"、そして間と静と狂気が研ぎ澄まされシンプル化されて次のオペラ「Stilles Meer 海、静かな海」につながった事が感じられました。



<出 演>
・松風:イルゼ・エーレンス (Ilse EERENS)
・村雨:シャルロッテ・ヘッレカント (Charlotte HELLEKANT)
・旅の僧:グリゴリー・シュカルパ (Grigory SHKARUPA)
・須磨の浦人:萩原 潤 (HAGIWARA Jun)

<合 唱> 新国立劇場合唱団
<管弦楽> 東京交響楽団
<ダンス> サシャ・ヴァルツ&ゲスツ
<指 揮> デヴィッド・ロバート・コールマン (David Robert COLEMAN)
<演出・振付> サシャ・ヴァルツ (Sasha WALTZ)


2018年2月16日 新国立劇場・本邦初演



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2018年1月20日 大野和士/都響 のメシアン「トゥーランガリラ交響曲」at 東京芸術劇場

楽しみにしていた大野さんの「トゥーランガリラ交響曲」です。
近年のメシアンでは昨年のカンブルラン/読響「彼方の閃光」が出色の出来でしたね。(アッシジの…には行けませんでした)

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個人的なこの曲の印象と楽しみは、下降音階、等拍的リズム、主題(特にStatue ThemeとLove Theme)で、その中に ある種のポリリズムとも言える「ペルソナージュ・リトミック」の複雑な絡みです。
「非可逆リズム」と「移調の限られた旋法」といったメシアン独自の対称性で構成されていて「群論」を思い浮かべますね。




告別の鐘と微笑み~オリヴィエ・メシアンの追憶に:ミュライユ

引用元のメシアンの最初期作品「八つの前奏曲」"6.苦悩の鐘と告別の涙 Cloches d' angoissse et larmes d'adieu (1929年)" も8'弱の小曲ですが、より短い4'ほどのピアノ曲です。美しく不思議な和声のメシアンに対してミュライユらしい残響音の響きが特徴的でした。
ただピアノは叩き過ぎ、ミュライユですからね。グリゼーだったらこれかもしれませんが。同じ事か「トゥーランガリラ交響曲」のpfでも言えた気がします。


トゥーランガリラ交響曲:メシアン

すぐに気になったのは強音側に振られたアゴーギクの速さです。これでは管楽器はメシアンらしい煌めきではなくパワープレイになってしまいますね。
第五楽章「彫像の主題」からの「ペルソナージュ・リトミック」はメシアンの色彩感ある複雑さよりも荒々しさの印象。
第六楽章はもっと弱音のほうが、四度下降が印象的な「愛の主題」の静的美しさが際立ったと思います。
第八楽章と最終楽章前半は元気さでもOKだったかもしれませんが、コーダ前の「愛の主題」は派手過ぎ、ラストは大野さん大好きの爆裂フィニッシュでした。
全体的に音の厚い、パワー系でしたね。


煌めく様な色彩感のメシアンではなく、爆音元気な「トゥーランガリラ交響曲」でした。
残念ですが、好みのメシアンではなかった感じです。これがマーラーだったら漲る興奮を生かした素晴らしいコンサートだったでしょう。



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2018年1月10日 大野和士/都響 の R.シュトラウス組曲《町人貴族》・ツェムリンスキー交響詩《人魚姫》at サントリーホール

今日が年明け初コンサート、都響第846回定期演奏会で冬晴れの六本木まで行ってきました。

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20世紀初頭のドイツ後期ロマン派作品、似たような演奏時間の標題音楽二つが並びました。
違うのは小編成オケと大編成。
大編成の『人魚姫』の方が曲調含めて大野さんが得意そうな気がしますが、どうでしょうか。事前インプレをしてから来ました。
 ・R.シュトラウスの『町人貴族』聴き比べ:テンシュテット / ライナー / シュトラウス
 ・ツェムリンスキーの交響詩『人魚姫』を聴く



組曲《町人貴族》 Op.60:R.シュトラウス

前奏曲冒頭の軽さを聴いた時はアレ?っと思いましたがその後はアゴーギクを使ったいい流れに、続く2.メヌエットではロココ・バロック調のこの曲とは思えない小編成オケながら重量感ある演奏になりました。
独奏vnは力感ある音色と切れ味を見せ、part9.宴会は素晴らしく、表情豊かにしてお喋りな演奏で楽しませてくれましたね。R.シュトラウスですからね、これでないと。
それにしても、この曲はピアノが響きませんねェ。


交響詩《人魚姫》:ツェムリンスキー

一言で言うと、大音響の人魚姫でしたね。各楽章共に、残った印象は大編成オケの鳴り響くパワー。弱音側の振りは極少なく、とにかく厚め。アゴーギクもあまり感じなかったので、印象は爆音フラット。
人魚姫の独奏vnは第一楽章はわかりましたが、第三楽章の弱音ソロはわかりませんでした。人魚姫のストーリーを想像する様な展開ではなかった感じです。
とは言え、これだけの音量は実に久しぶりの様な...
終演後のオケのメンバーの様子はかなりの満足気。またもや駄耳の証明⁈


何と言っても表情豊かな《町人貴族》が素晴らしかったですね。
事前予想では《人魚姫》だったのですが、こちらは久々の大爆音が楽しめたので、それもまた楽しでした。
今年の初コンサートとしたら上々でしたね。


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2017年11月8日 ハンヌ・リントゥ/都響 の シベリウス『クレルヴォ交響曲』at 東京文化会館

曇り空の東京 上野、今日は久しぶりの東京文化会館です。フィンランド・セット&都響の今夜は楽しみでした。

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ストーリー(あらすじ)や楽章の内容はベルグルンド/ボーンマス響の"KULLERVO"でインプレ済みですので、ご覧ください。今回は結構聴き込んできました。


クレルヴォ交響曲 Op.7

劇的なクレルヴォでした。何と言っても第三楽章の声と音の厚みに圧倒されましたね。主役はフィンランド ・ポリテク男声合唱団の百人合唱の迫力で、その声量声圧に負けないハンヌ・リントゥと都響の劇的展開も素晴らしかったです。ニーナ・ケイテル(sop)とトゥオマス・プルシオ(bar)も感情溢れる独唱で応えてくれました。

【第一楽章】導入部 Johdanto (Allegro moderato)
 全体やや速めで音の厚みを感じる流れ。でも再現部後半の激しさとコーダの静けさのコントラストは弱く感じられました。
【第二楽章】クレルヴォの青春 Kullervon nuoruus (Grave)
 ともすると間延び感のあるロンド形式の緩徐楽章前半ですが厚みのある音で聴かせましたね。主部の回帰では激しさと静けさのバランスを見せました。
【第三楽章】クレルヴォとその妹 Kullervo ja hänen sisarensa (Allegro vivace)
 踊る五拍子リズムから強く入り、圧倒的な大合唱が旅するクレルヴォを歌います。山場は、身の上を歌うN.ケイテルの後半からT.プルシオ。情感強く、また激しい調子で感情を歌い上げ、まるでオペラの様でした。特にプルシオは声量も見事でしたね。
リントゥは全体パワー系とも思える強烈な劇的表現で都響を鳴らしました。
【第四楽章】戦いに向かうクレルヴォ Kullervon sotaanlähtö (Alla marcia)
 軽快さよりもパワーのスケルツォ。何と言ってもコーダからフィニッシュが雄々しく爆裂で見事でした。
【第五楽章】クレルヴォの死 Kullervon kuolema (Andante)
 森の中を歩き妹の最後の場所へたどる道を歌う合唱には悲しみがこもりました。剣に死を問い その死までは激しく、ラストの管弦楽の後での合唱は大きく死を歌い劇的な締めくくりとなりました。


フィンランディア Op.26 (予告アンコール)

 中間部のフィンランディア賛歌合唱付きは初めて聴きますが、とても合っていました。ラスト1'の主部の再現では大迫力‼︎ もちろん大喝采!!


素晴らしい演奏会でした。クレルヴォは歌詞を知って聴くと悲しみ深く感じますが、リントゥは厚め側ディナーミクを最大限生かす激情型。好みは別れるかもしれません。でも、コンサートならではの一体感ある盛り上りが感じられました。そこが一番ですね。

『フィンランディア』に喰われるかと心配もありましたが、その心配は杞憂でした。アンコールにぴったりの位置付けで楽しませてく良かったです。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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