アストリグ・シラノシアン(Astrig Siranossian)の『ディア・マドモアゼル』ブーランジェへのトリビュート
Dear Mademoiselle ディア・マドモアゼル
Astrig Siranossian (アストリグ・シラノシアン, チェロ)
Astrig Siranossian (アストリグ・シラノシアン, チェロ)
仏の若手女性チェリストですね。特別興味があったわけでもなく、実は初めて聴きます。
ポイントはナディア・ブーランジェへのトリビュートという事ですね。仏女性音楽家N.ブーランジェ(1887-1979)は現代音楽の指導者としての存在感の大きさです。楽曲はあまり知られる範疇ではありませんが、今活躍中の現代音楽家・演奏家を調べているとやたらと名前が出てきます。
今回の顔ぶれはピアニストのバレンボイムも含めて、ブーランジェ関連の音楽家と言う事になります。ジャンルを跨いだ顔ぶれに驚きですね。全曲vcとpfですからチェロ・ソナタ感覚になるでしょうか。
pfは ナタナエル・グーアン(Nathanaël Gouin) です。(ブーランジェの曲のみダニエル・バレンボイム)
ポイントはナディア・ブーランジェへのトリビュートという事ですね。仏女性音楽家N.ブーランジェ(1887-1979)は現代音楽の指導者としての存在感の大きさです。楽曲はあまり知られる範疇ではありませんが、今活躍中の現代音楽家・演奏家を調べているとやたらと名前が出てきます。
今回の顔ぶれはピアニストのバレンボイムも含めて、ブーランジェ関連の音楽家と言う事になります。ジャンルを跨いだ顔ぶれに驚きですね。全曲vcとpfですからチェロ・ソナタ感覚になるでしょうか。
pfは ナタナエル・グーアン(Nathanaël Gouin) です。(ブーランジェの曲のみダニエル・バレンボイム)
アストル・ピアソラ
(Astor Piazzolla, 1921-1992)
(Astor Piazzolla, 1921-1992)
ブーランジェに師事した翌年、新しいタンゴの為の "ブエノスアイレス八重奏団" をピアソラは結成(1955)しています。その後 "Tango Nuevo" としてブレイクする訳で、旧来のタンゴからの脱却を導いたのですから凄いですよね。
"ル・グラン・タンゴ"はクラシック音楽の為のチェロとピアノの楽曲で、ロストロポーヴィチに献呈されている代表曲の一つです。
"ル・グラン・タンゴ"はクラシック音楽の為のチェロとピアノの楽曲で、ロストロポーヴィチに献呈されている代表曲の一つです。
■1. ル・グラン・タンゴ (1982)
いかにもピアソラらしいクロスオーバー・タンゴですね。はっきりとタンゴなのですが、vcの濃い音色がクラシカルに、pfの歯切れの良さはジャズっぽさがあります。二人の演奏にもメリハリがあってピアソラの楽団に近い感じがありますね。
楽曲的には三部形式っぽく、クラシック音楽的な緩徐の中間部(トリオ)が挟まれています。
いかにもピアソラらしいクロスオーバー・タンゴですね。はっきりとタンゴなのですが、vcの濃い音色がクラシカルに、pfの歯切れの良さはジャズっぽさがあります。二人の演奏にもメリハリがあってピアソラの楽団に近い感じがありますね。
楽曲的には三部形式っぽく、クラシック音楽的な緩徐の中間部(トリオ)が挟まれています。
イーゴリ・ストラヴィンスキー
(Igor Stravinsky, 1882-1971)
(Igor Stravinsky, 1882-1971)
ブーランジェの5歳年上で、彼女が最も傾倒した音楽家がストラヴィンスキーだったそうです。新古典主義時代の作品ですね。Gregor Piatigorskyによるvc, pf編曲ver.です。
■2. イタリア組曲 (1932)
バロックから古典風味の流れから初期ロマン派的、III.Ariaくらいが新古典主義でしょうか。シラノシアンのvcは もっとヴィブラートを付けるかと思いましたが、ほどほどに抑えている様です。ただ、ピアソラの後に聴くと退屈さを感じてしまいます。恐縮ですが。
多少なりと編曲にも その方向性を感じます。
バロックから古典風味の流れから初期ロマン派的、III.Ariaくらいが新古典主義でしょうか。シラノシアンのvcは もっとヴィブラートを付けるかと思いましたが、ほどほどに抑えている様です。ただ、ピアソラの後に聴くと退屈さを感じてしまいます。恐縮ですが。
多少なりと編曲にも その方向性を感じます。
ナディア・ブーランジェ
(Nadia Boulanger, 1887-1979)
(Nadia Boulanger, 1887-1979)
本人作品ですね。この曲の原曲はオルガンですが、後に作られたチェロとピアノver.です。
バレンボイムはクリス・ マーネと共同制作したフォルテ・ピアノの様な平行弦ピアノ "バレンボイム・マーネ" を使っていますね。
バレンボイムはクリス・ マーネと共同制作したフォルテ・ピアノの様な平行弦ピアノ "バレンボイム・マーネ" を使っていますね。
■3. チェロとピアノのための3つの小品 (1911)
美しく繊細な流れは 仏印象派そのものですね、特にピアノは。透明感のあるその音色が平行弦ピアノの効果と言う事なのでしょうか?! 最後のIII. No.3は良く弾んで強音、スケルツォ相当になって、二人の演奏も生き生きしています。
美しく繊細な流れは 仏印象派そのものですね、特にピアノは。透明感のあるその音色が平行弦ピアノの効果と言う事なのでしょうか?! 最後のIII. No.3は良く弾んで強音、スケルツォ相当になって、二人の演奏も生き生きしています。
エリオット・カーター
(Elliott Carter, 1908-2012)
(Elliott Carter, 1908-2012)
カーターは新古典主義時代にブーランジェに師事していますね。ストラヴィンスキーもそうですが、その後 調性からの脱却を目指します。ブーランジェ本人は調性から逸脱する事は無かった様です。
■4. チェロとピアノのためのソナタ (1948)
初期の新古典主義からの脱却時期の作品になるでしょう。調性は若干怪しく、リズムも少しアンバランスさを見せて "rhythmically-complex" の流れになっています。複雑な調性・拍子で自由度の大きさがありますね。演奏もvcの音色を一番朗々と鳴らしている感じがします。これがベスト・トラックでしょう。
初期の新古典主義からの脱却時期の作品になるでしょう。調性は若干怪しく、リズムも少しアンバランスさを見せて "rhythmically-complex" の流れになっています。複雑な調性・拍子で自由度の大きさがありますね。演奏もvcの音色を一番朗々と鳴らしている感じがします。これがベスト・トラックでしょう。
小曲三曲
この三曲はシラノシアンとグーアンの編曲になります。ミニマリストから映画音楽・ジャズ・ポップと言ったジャンルの音楽家まで指導していたのが凄いですね。
□5. フィリップ・グラス (1937- ):Tissue No.7
鬱に美しいミニマルですw カーターの流れからのチェンジとしてはいい感じかも。
□6. ミシェル・ルグラン (1932-2019):メドレー
フランスらしい美しさをがあり、Duoとは思えない音厚も見せますね。誰もが知っている"シェルブールの雨傘"もvcとpfに合った上手い編曲になっていてgoodです。
□7. クインシー・ジョーンズ (1933- ):ソウル・ボサノヴァ
良く知られるQ.ジョーンズらしいジャジーなボサノヴァです。ここでも二人の編曲がとても生きてショータイムの様な楽しい流れを作り出していますね。この曲だけラスト フェードアウトです。
鬱に美しいミニマルですw カーターの流れからのチェンジとしてはいい感じかも。
□6. ミシェル・ルグラン (1932-2019):メドレー
フランスらしい美しさをがあり、Duoとは思えない音厚も見せますね。誰もが知っている"シェルブールの雨傘"もvcとpfに合った上手い編曲になっていてgoodです。
□7. クインシー・ジョーンズ (1933- ):ソウル・ボサノヴァ
良く知られるQ.ジョーンズらしいジャジーなボサノヴァです。ここでも二人の編曲がとても生きてショータイムの様な楽しい流れを作り出していますね。この曲だけラスト フェードアウトです。
★試しにYouTubeで観てみる?
録音風景のteaserです。冒頭曲が7. ですね
古典からポップ、調性多様性までヴァリエーションの広い楽曲選択。シラノシアンとグーアンの快活さが明確な演奏もフィットして、チェロとピアノDuoを楽しめるアルバムになっています。
肩肘張らずに二人で一杯🥃やりながら聴くのにもピッタリです。
肩肘張らずに二人で一杯🥃やりながら聴くのにもピッタリです。