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クララ・イアノッタ(Clara Iannotta) の「Earthing」生き物の様なノイズ系前衛音楽



クララ・イアノッタ (Clara Iannotta, b. 1983)
イタリアの若手女性現代音楽家でミラノ音楽院で学んだ後、仏IRCAM、米ハーバードでも習っています。ハヤ・チェルノヴィンにも師事している様ですが、近年の若手はチェルノヴィンに習っている人が多い気がします。

楽曲はアルディッティをはじめ、名だたる前衛系アンサンブルに提供されているので楽風の想定が付きますね。活動の拠点はドイツだそうですが、米国での展開も広そうです。


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Earthing JACK Quartet
弦楽四重奏曲を得意とするイアノッタ、それを米前衛弦楽四重奏団ジャック・クァルテットが演奏すると言うセットです。

"イアノッタは深海に光る微生物の様な壊れやすいイメージを強調する音楽" と言う解説もあるので、面白そうですね。







1. Dead Wasps in the Jam-Jar (iii)
まず入りは静のノイズですね。確かに深海の中に細かな何かが蠢く様な印象です。そしてそこに呻く様な強音が時折出現します。音密度は決して薄い訳ではなく、常にpp音で犇いていますね。
途中にパウゼが入って表情が変わり、音が大きめの唸りや呼吸の様な音色が主体になって来ます。ノイズ系ですが生物的とでも言う感じですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  前衛を得意とする伊"mdi ensemble"の演奏です。静音が少し強い感じです
  これを聴くと、エレクトロニクス処理がある様に聴こえますね



2. You Crawl over Seas of Granite
基本的に流れは同じで、空の中に蠢く"Creature Noise"音楽です。微細な生き物から化け物までが浮遊する空間です。タイトルから行けば、聴いている本人が這いずり廻っている訳ですがw


3. A Failed Entertainment
弦の特殊奏法に音色の切れ味が強まっています。それによって生き物感は薄くなって旧来のノイズ系前衛音楽に近い感じですね。リズム感を取り入れたり、激しい出し入れを交えたりと面白さも見せますが、まさにタイトル通り?!


4. Earthing – Dead Wasps (Obituary)
前半二曲の様な "空の中の微ノイズ" を主軸にするサウンドではないですね。残響音や低音背景音も使って、そこに咆哮や呻き唸りを入れる魑魅魍魎的な流れです。生き物(creatre)的な面白さはありますが、1. 2. の方が個性的に感じます。



ノイズ系エクスペリメンタリズム現代音楽ですが、それがまるで生き物"creature"の様なサウンドだと言うのがポイントですね。まさに"Creature Noise"音楽です。

ノイズ系としては面白い方向性なので、楽曲に個性を付けられると更に面白さが一気に増すでしょうね。これからがとても楽しみです。

弦楽四重奏曲として、確かにチェルノヴィン(Chaya Czernowin)の影響を感じますね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ピーター・リーバーソン(Peter Liebenson) の幽玄で美しい歌曲「Songs of Love and Sorrow」



ピーター・リーバーソン
(Peter Liebenson, 1946/10/25 - 2011/4/23)
N.Y.生まれのアメリカの現代音楽家ですね。お父さんはコロンビア・レコードの社長だったそうです。作曲を前衛ミルトン・バビットにも習ったという処に危険な香りがしますが。

もう一つの顔が"密教"(チベット仏教?)で、その活動のために生活拠点を移すほどの様でした。1990年代中盤以降は作曲に専念していたそうです。前衛と仏教がどう影響しているのかも興味深いですね。



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Songs of Love and Sorrow | The Six Realms
愛と悲しみの歌, Songs of Love and Sorrow」と言うタイトル通り、二人目の奥さんの為に書かれたバリトンとオケの歌曲集ですね。パブロ・ネルーダの詩を元にしています。
六道, The Six Realms」は仏教タイトルで、餓鬼道や畜生道と言った6パートのチェロ協奏曲ですね。チェロはアンプを通したアンプリファイドになっています。

演奏はハンヌ・リントゥ指揮・フィンランド放送交響楽団、バリトンはGerald Finley、チェロはAnssi Karttunenになります。







1. The Six Realms (2000)
かなり調性の薄いアンプリファイドvc、背景はやや調性の緩いオケ。もしかしたらスコアは無調かもしれません。調性寄りと無調寄りのバランスが微妙に揺れて面白いです。前衛ではありませんから旋律は存在していますが、もちろん心地良いラインはありませんね。オケの主軸はリズミカルで強音、音の出し入れが強い流れです。カデンツァがないのが残念ですね。

やや無調寄りの米オケが好みそうな作品ですね。仏教的な和声は出て来ませんが東洋和声の様なパートは"餓鬼道"で感じられますね。


2. Songs of Love and Sorrow (2010)
5パートの歌曲集です。幽玄で美しい調性音楽の歌曲です。少し、バルトーク「青ひげ公の城」を思わせると言うと雰囲気はわかっていただけるでしょうか?!

美しさと幽玄さを持つ流れは今の時代の一つの方向性でしょうね。ジェラルド・フィンリーのバリトンも落ち着いた歌いで抑揚を押さえて、曲調に合っていますね。好みの曲です

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



調性の薄い1.、幽玄な歌曲の2.、いずれも近年よく耳にする今の時代のクラシック音楽ですね。

今や北欧を含めて、この楽風の現代音楽家が増えているのは間違いないでしょう。歌曲が素晴らしいですね。

ちなみに仏教系やM.バビットの影は見当たりません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コリン・カリー登場のカレヴィ・アホ(Kalevi Aho) パーカッション協奏曲「シエイディ」そして前衛時代の「交響曲第5番」



カレヴィ・アホ (Kalevi Aho, b. 1949)
今やフィンランドを代表する、と言うより北欧を代表する現代音楽家ですね。このブログでもインプレ数が多い一人です。

基本的には前衛ではなく、調性感を薄くした今の時代のクラシック音楽という事でしょう。今は調性回帰方向をより強くしていますが、その昔多少の前衛技法を用いた時期があります。生まれた時代が欧エクスペリメンタリズム最盛期で、学生時代は停滞期に入っていましたから、その激流に呑まれる事は無かったという事でしょうか。



Sieidi・Symphony No.5
スティーヴ・ライヒと共に来日したのも記憶に新しい、パーカッション・スペシャリストの英コリン・カリー(Colin Currie)による委嘱作品「Sieidi」ですね。民族打楽器から鍵盤打楽器まで9つのパーカッションをソリストととしてステージ前面に並べて各楽器をソロ楽器で協奏曲としています。今回はこれを聴きたいと思いました。

もう一曲は「交響曲第5番」ですが、前衛を覗いた時代のアホの古い作品です。オケが二群に分かれるので指揮者を二人置く、いかにも前衛が欧州を席巻していた時代の名残さえ感じますね。個人的には、この時代のアホの方が好みなので両方が聴き比べられるのは嬉しいかもしれません。







1. Sieidi Concerto for Percussion & Orchestra (2010)
導入部の民族打楽器は特徴が薄いですが、その後に現れる管弦楽はポリフォニーの嵐の様、続く弦楽奏は打楽器に寄り添う流れですね。処々で明確な旋律が存在しているのも今のアホらしい感じです。マリンバのパートではオケとの静的ホモフォニーの関係が明確に作られ、ヴィブラフォンのパートでは幽玄なカデンツァが採用されていますね。その後は反復要素も入り込んできます。構成感も聴きやすさが優先されている感じです。ラストは民族楽器を使ったノイズですね。
完全に機能和声の音楽で新古典主義回帰的、米国系のクラシック音楽の様な印象です。調性の薄さも不協和音のかけらも見当たりません。打楽器の音に目新しさが感じられないのは残念ですが、実験前衛系ではないので当然かもしれません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  パーカションはMartin Grubingerです
  オケのperc.も三翼配置で面白いですね



2. Symphony No.5 (1975-76)
パルス反復の対位的な弦楽と木管から入って、金管が絡んで来ますね。明確に調性の崩しを感じ、基本はポリフォニー構成ですから個人的に好きな指向性です。前衛的跳躍音階や後半には無調混沌も発生させて面白い構成です。
それでも主軸は調性の薄さを生かした多様性現代音楽と言って良いでしょう。ショスタコーヴィチやプロコフィエフの香りを感じる人がいるかもしれませんね。



時代の流れに敏感なアホを感じますね。強いメリハリと調性軸足で、いかにもオケからの委嘱が多そうなコンチェルトになっています。

一方、交響曲第5番は調性の薄さを生かした時代のアホで、個人的には惹かれてこちらがオススメです。一枚でアホの音楽推移が楽しめるアルバムですね。



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アンデシュ・ヒルボリ(Anders Hillborg) の「Sirens」スウェーデンの現代音楽



アンデシュ・ヒルボリ (Anders Hillborg, 1954/5/31 - )
スウェーデンの現代音楽家で、ストックホルムで作曲, 電子音楽, 他を学んでいます。その際に客員教授だった欧エクスペリメンタリズムの雄"ブライアン・ファーニホウ"に習ったのがポイントらしいですが、あまり感じられないかと…

エサ=ペッカ・サロネンとのコラボがキーとなって米オケの委嘱も増えているそうで、今回の「Sirens」もロサンゼルス・フィルとシカゴ響の委嘱作品です。

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Sirens
管弦楽、一部弦楽奏、にvoiceを交えた作品集で、代表作と言っていいでしょう。タイトルにはelectronicsと明記されませんが、1.には電子処理が入ります。タイトルにsamplerの文字があるのでわかりますかね。

2.のTextはスウェーデンの詩人"グンナル・エーケレ, Gunnar Ekelöf"を元に、4. は古代ギリシャの"オデュッセイア, Homer’s Odyssey"を元にしています。

演奏はロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニーク管弦楽団ですが、指揮はビッグネーム三人が振り分けていますね。1. 2.サカリ・オラモ、3. デイヴィッド・ジンマン、4. エサ=ペッカ・サロネンです。







1. Beast Sampler, for orchestra (2014)
ポリフォニーではなくホモフォニーですね。主題や主旋律の様なものはありませんが、無調混沌ではありません。多少のノイズと ロングトーンやトリル・トレモロの様な調性感ある音の塊が入替り移動している様な不思議さがあります。"従来の音楽"と"空間と音響"の中間の様な作品で、フィルム・ミュージックっぽさも感じます。エレクトロニクスはソフトのプログラムだと思いますね。音楽的にはアルバム中一番面白さを感じます


2. O dessa ögon, for soprano and strings (2011)
澄んだ弦楽バックグラウンドとソプラノが美しい5'弱の楽曲です。もちろん調性の曲で、透明感が北欧の夜空の様に感じます。


3. Cold Heat, for orchestra (2010)
機能和声だと思いますが、まるで無調のポリフォニーの様な構成で前衛的に聴こえますね。年代的には1.の様な空間を移動する音塊になる前、と言った音印象になります。当然ながら主題や動機と言った心地良い旋律は存在しません。マニエリスムではありませんが、もちろんエクスペリメンタリズムでも、多様性前衛でもありません。やっぱりこの辺が今の時代のクラシック音楽なのでしょうか

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  Andrey Boreyko指揮, Belgian National Orchestraの演奏です
  CDよりもリズム感が強調されている感じですね



4. Sirens, for two sopranos, mixed choir and orchestra (2011)
澄んだ空間とvoiceに音、2.と3.を合体させた様な北欧的透明感の美しい現代オラトリオですね。途中でミニマル的な流れが持ち込まれていますが陶酔感がナチュラルにフィットしています。これは素晴らしい楽曲です。(オラトリオ系に弱い?!w)



前衛実験音楽系ではありません。いかにも米国オケが委嘱しそうな機能和声とフィルム・ミュージック的な管弦楽ですね。

ピューリッツァー賞というよりもアカデミー賞を狙う様な方向と言ったらわかっていただけるでしょうか。1.が音楽的に, 4.が楽曲的に素晴らしく、オススメの一枚です!!




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ピエール・アンリ(Pierre Henry) の「La Dixième Symphonie - Hommage à Beethoven」ベートーヴェン再構築



ピエール・アンリ
(Pierre Henry, 1927/12/9 - 2017/7/5)
フランスの現代音楽家で、N.ブーランジェやO.メシアンに師事しています。年代的にはブーレーズやシュトックハウゼンと同じ前衛先端と同じ'20年代生まれですが、セリエルではなく電子音楽とミュージック・コンクレート方向です。特にミュージック・コンクレート*、ヴァレーズのサイレンが最も知られる処ですが基本は電子処理された音、に関してはP.シェフェールと共に開発者の一人とされていますね。

*1951年にフランス国営放送にGRMCを設立し、ラジオ放送を通して影響力を増したそうです。今は広義ではライヴ・エレクトロニクスを含む電子音楽全般を指す事が多いですね。個人的には楽器以外の音を使う事を指すイメージで、少々違和感がありますが。


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La Dixième Symphonie - Hommage à Beethoven
タイトル「第10交響曲 - ベートーベンへのオマージュ」の通りベートーヴェンの交響曲の再構築、トランスクリプション、コラージュ、と言った作品ですね。

オリジナルは1979年に12楽章のテープ作品として完成、1988年にはエレクトロニクス&アコースティクver.が出て、1998年にはそのリミックスver.の"Remixe Sa Dixieme Symphonie"(10楽章)がCD化されていますね。

今回は楽章を減らしてエレクトロニクスを排除、8楽章のアコースティック(生楽器)ver.として録音・リリースされました。P.アンリらしさが減っている様な懸念を感じなくもありませんが…

演奏パターンも凝っていて、三群のオケと合唱団を配置して指揮者も三人(パスカル・ロフェ、ブルーノ・マントヴァーニ、マルゼーナ・ディアクン)と言う、前衛最盛期に見られた構成ですね。演奏はフランス放送フィルハーモニー管弦楽団, パリ音楽院管弦楽団、最終楽章に僅かですが声楽(Benoît Rameau, tenor)があるので、パリ青年合唱団, フランス放送合唱団, が入ります。







I. Allegro con brio - II. Scherzo - III. Allegro molto - IV. Andante - V. Rondo - VI. Presto - VII. Comme une fantaisie - VIII. Finale
クラシックの交響曲らしい速度表記名の楽章が並びますね。その通りに構成はされています。ベートーヴェンの動機を繋ぎ合わせ、変奏して、再構築した、ただの古典交響曲風です。詳細インプレ不要でしょう。

II. Scherzo, やV. Rondo のコラージュ・ポリフォニーで少しリズムが錯綜する様な微々たる面白さか、ベートーヴェンの再構築を楽しめる方には聴く価値を見出せるかもしれません。

三部のポリフォニーに貢献するくらいしか三群の配置の面白さも伝わりませんし、エレクトロニクスを排除した事で一気に前衛的面白さも排除されてしまいましたね。もしかしたらB.A.ツィンマーマンの様な壮大なコラージュが楽しめるかと思いましたが、楽しみが見い出せない残念な一枚でした



ベートーヴェンの動機コラージュによるポリフォニーですが、前衛性は極低いです

ベートーヴェン好きの前衛ファンなら、新しい耳触りで楽しめるかもしれません。でも、真面目なベートーヴェン好きの方が聴いたら怒っちゃうかも…w



蛇足ですが、一つ前のエレクトロニクスも入ったver. "Remixe Sa Dixieme Symphonie" は前衛色が濃いので面白いですよ。

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ジャンル : 音楽





オウティ・タルキアイネン(Outi Tarkiainen) の「The Earth, Spring's Daughter | Saivo」ラップランドの現代音楽

ノルドグレン, サッリネン, コッコネン, と歴代のフィンランドの現代音楽家を続けてインプレしたので、今回は若手(35歳)の女性音楽家を聴いてみましょう。


オウティ・タルキアイネン (Outi Tarkiainen, 1985/2/7 - )
シベリウス音楽院で習い、ロンドンやマイアミ大でも学んでいます。特徴的なのはジャズをベースにしている事と声楽に興味を持っている事だそうです。またラップランド生まれで、かの地の民族サーミに根差したテーマを用いている事もある様ですね。


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The Earth, Spring's Daughter | Saivo
歌曲と協奏曲の二曲セットです。"1. 大地, 春の娘"(Eanan, giđa nieida ) はサーミの詩人のTextを用いています。"2. サイヴォ"はサックス奏者のユッカ・ペルコ(Jukka Perko)のために書かれていて、ソプラノ・サックスにペダル・エフェクターを使っています。タイトル名はサーミ語で神聖なる土地を意味するそうです。

演奏は個人的に興味ある、来日公演にも行きましたね、ヨン・ストルゴーズ(John Storgårds)の指揮でラップランド室内管弦楽団です。







1. The Earth, Spring's Daughter (2014-15)
9パート構成です。冒頭サーミ語でしょうか全くわからない言語で語られるText、その背景は調性音楽で幽玄な音になっています。パート2以降は歌唱となって、ライナーノートには英訳があるのでストーリーはわかりますね。

音楽は明るい・暗い、強い・弱いと言った表情変化はありますが、前衛ではなく神秘主義的な音色で構成されて、一部は民族音楽和声を感じる事がありますね。トリル・トレモロをバックにロングトーンの音色が前に出てくる、そんな感じです。明確な主題の様な旋律は存在しませんが、パート毎に動機があってその変奏が主構成の様です。今の時代のクラシック音楽の歌曲的ですね。ラスト"Epilogue"のvcの演奏が良いです。


2. Saivo (2016)
5パートの楽曲です。曲構成的には同じで、トリル・トレモロを背景にして旋律が乗ってくる幽玄な流れですね。サックスがメインですが、他の楽器もソロ的に出て来ます。sop-saxのエフェクト音もあまり特徴的な音を出す事がありません。処々で面白いピチカートやパーカッションが使われますが、個性を感じるレベルでもありません。サックスの超絶技巧カデンツァか即興パートでもあると面白かったかもしれませんね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ご本人のYouTubeから抜粋ver.(4. Reflection - 5. Fissureから?)です
  Anna-Maria Helsing指揮、Tapiola Sinfoniettaの演奏です
  sop-saxはCDと同じJukka Perkoですね




機能和声の音楽で前衛ではありません。ジャズ和声もなく、今の時代に多い幽玄深淵さを感じさせる音楽でしょうか。出し入れの強さもありますしね。

興味深い個性・特徴が感じられないのは残念ですが、今の時代を楽しめます。




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ヨーナス・コッコネン(Joonas Kokkonen)の 代表作オペラ「最後の誘惑, The Last Temptations」



ヨーナス・コッコネン (Joonas Kokkonen, 1921-1996)
P.H.ノルドグレン(b.1944), A.サッリネン(b.1935), と続けてインプレしましたが、二人が師事していたのがコッコネンですね。前衛実験音楽に進まなかったフィンランドの現代音楽家の源流、それがコッコネンですね。

コッコネン本人はシベリウス音楽院で学んではいますが、特に誰かに師事したという事もなく独学に近いそうです。楽風は新古典主義(1948-1958) → 十二音技法(1959-1966) → 新ロマン派(1967以降)、と言われていますね。もちろん十二音技法は、三度・五度や反復の否定といった前衛実験音楽方向は受容しませんでした。


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The Last Temptations (1975年)
以前インプレした"レクイエム"と並んでコッコネンの代表作で、フィンランド音楽を代表するオペラでもありますね。

フィンランドの18世紀末から19世紀の信徒伝道者(Lay Preacher)であるパーボ・ルオツァライネン(Paavo Ruotsalainen, 1777-1852)を題材としています。フィンランドの農家に生まれ宗教復興運動"Herännäisyys, 覚醒"のリーダーだったそうで、教会と州により裁判にかけれらています。それを元に劇作家のラウリ・コッコネン(Lauri Kokkonen)が台本を起こし、ヨーナス・コッコネンが音楽を付けました。

【超あらすじ】
死を前に床につくパーボが、復興運動により蔑ろにした家族や学問的な虚栄心を回想(フラッシュバック?)するストーリーです。
死んだ前妻のリータや二人の間の息子ユハナ、昔の家、二人の死を回想し自分が死に向かう事を浮かべます。そして最後にパーボを苦しめて来た者たちが誰(何?)であったかを理解し、賛美歌を聴きながら神を讃えて死を迎えます。







最後の誘惑
まず、後期作品なのでほぼ調性音楽だと言う事ですね。後期ロマン派の延長線上におある流れで、新ロマン派?になるのでしょう。そして北欧の風景感もあまり感じない旋律ですね。知らずに聴いたら北欧系やコッコネンに思えないかもしれません。多少の不協和音さえ存在しない感じで、チャイコフスキーあたりの歌劇を思い浮かべるかもしれません。

歌唱はトーキング・ソング的な箇所があってクラシックで言うメロドラマ風(台詞の背景に演奏を付けた音楽)になっているのも特徴的です。朗々と歌い上げる様な所謂(いわゆる)アリアはありませんね。

映像がないので歌いだけで聴くと配役にスペシャルな印象はありません。演技力はわかりませんね。


 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一幕第七場"Paavo's Monologue"、ピアノ伴奏のリート風です




フィンランドの近現代音楽を代表するオペラですが、その方向性はコンベンショナルな歌劇曲であり前衛のかけらも見当たりません。

純粋に人気オペラとして映像付きで楽しむ作品だと感じますね。入手できれば、再度インプレしたいと思います。




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