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サラ・ニューフェルド(Sarah Neufeld) の「The Ridge」は心地よいポップさでしょうか


サラ・ニューフェルド
(Sarah Neufeld, 1979/8/27 - )
ヴァイオリニストであり、作曲もこなすカナダの女性音楽家です。作曲よりも演奏の方が主なのでまだ現代音楽家という方向性がどこまでなのかは不明ですね。

興味を持ったのはその経歴です。ロックバンドの"Arcade Fire"のサポート・メンバー(ツアーやレコーディング)であり、その他グループ活動もしているそうです。B.バルトークやS.ライヒからの影響や電子音楽まで包括するそうですから、マルチなフュージョン系の現代音楽を期待しますね。


The Ridge
上記バックボーンからソロアルバム「Hero Brother」をリリースし、本作は2ndアルバムとなります。

今回は以下アーケイド・ファイアのメンバーを含むカルテット(弦x2, 打, 管)です。ポップならヴァイオリンとリリコンにリズムセクションですね。リリコンとシンセを考えると電子音楽的サウンドでしょうか。
 ・Sarah Neufeld [vilolin, voice, synth]
 ・Jeremy Gara [drums, synth]
 ・Colin Stetson [lyricon]
 ・Hans Bernhard [bass]






The Ridge
第一印象はシンセサイザーの"ミニマル"ですね。味付けはロック的リズムを刻むドラムでしょう。中盤からシンセがロングトーンの重厚さを被せてきますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

We've Got A Lot
ドラムのリズムにvnの反復が乗ります。そこにヴォーカリーズと低音のシンセ音。ポップなヴォーカルナンバーですが、これと言った前衛性は感じられません。

They All Came Down
ただのポップ・ソングです。

The Glow
単純な旋律反復のポップスです。ディストーションしたシンセは絡みますが…

Chase The Bright and Burning
ドラムのリズムとミニマル、そしてヴォーカリーズのパターンですね。少し退屈かも…

A Long Awaited Scar
vnの反復ソロから発展する曲です。少し幽玄さを感じますが、それがバルトーク?!ですか。ロック色も加味されて来て初めて面白さがあります。

From Our Animal
ミニマルvnソロ曲ですが、何か超絶技巧性とかが欲しいです。

Where The Light Comes In
現代のサロンミュージックの様な心地よいvn曲です。シンセ等も入ってアンビエントな感じですね。



ロックをベースにした現代音楽かと思いきや、ミニマル基調のただのポップスと特徴的に薄いヴァイオリンでしたね。新しいものを探そうとするとこう言う事も起こります。仕方ありませんね。

唯一 "A Long Awaited Scar" の展開に面白さを感じました。



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ジェルジュ・クルターグ(György Kurtág) と ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger) の対話『Zwiegespräche』


Zwiegespräche, 対話
ジェルジュ・クルターグ(b.1926 HUN🇭🇺)
ハインツ・ホリガー(b.1939 SUI🇨🇭)
欧州前衛エクスペリメンタリズムのビッグネーム二人による、作曲も演奏も'対話'形式になった作品ですね。
ホリガーの80歳を祝して93歳のクルタークが作曲し、それに応える様にホリガーが協調して作られた共作です。演奏もホリガーと弟子のオーボエ奏者マリー=リーゼ・シュプバッハ(Marie-Lise Schupbach)が'対話'しつつ、クラリネットのエルネスト・モリナーリやソプラノのサラ・ウェゲナーが絡みます。

37曲という小曲の組合せ、まさに対話、になっています。TextはPhilippe Jaccotterですが、残念ながら独語のみで英訳がありません。






Zwiegespräche (2018年)
まず始めの二曲ですね。クルターグの"… ein Brief aus der Ferne an Ursula"をホリガーがソロで吹き、それにホリガーの曲"Berceuse pour M"をシュプバッハが吹いて応えます。よく似た静的で深淵な曲ですが、淡々としながら音色の通るホリガーに対して、イングリッシュホルン(コーラングレ: 少し低音のオーボエですね)の幅広い音色です。これが基本構成でしょう。

クルターグらしい調性に片足を置いた深淵な曲が並びますね。そんな中、唯一のピアノ曲… für Heinz …(pf: Heinz Holliger)は口数が少ないのに光ります。メインのデュオ曲は対位法、ホモフォニー、時にカノンの様な流れも感じますね。クラリネットはバス系低音で、リード楽器同士の音色の交感が心地よいです。終始クールで、興奮や混沌はありません。あえて言えばホリガーの方が"Sonate für Oboe solo"の様に音数が多め、"Oiseaux"の様に特殊奏法等で多少刺激を与えているかもしれません。

"対話"は曲の中にも、曲と曲の間にも存在します。また、歌曲と朗読もあってヴァリエーションの広い小曲の組合せですから、ホリガーの代表作を思い浮かべました。



通して静ベースの深淵さです。そして小曲構成となるとホリガーの"Scardanelli-Zyklus"を思い浮かべてしまいますね。クルターグもそれを考えたかもしれませんね。

現代音楽の木管の音色とデュオの二旋律の絡みを味わえるアルバムです。



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評判の高い ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger) の「スカルダネッリ・ツィクルス, Scardanelli-Zyklus」という欧州前衛現代音楽


ハインツ・ホリガー
(Heinz Holliger, 1939/5/21 - )
日本でもお馴染みのスイス人オーボエ奏者にして現代音楽家、そして指揮者ですね。今回は現代音楽家としてのインプレです。作曲はS.ヴェレシュとP.ブーレーズに師事している訳ですが、無理やり言うならキラメキの音はブーレーズであり、幽玄さはヴェレシュを感じる訳です。楽風はもちろんバリバリの欧州エクスペリメンタリズムですね。


Scardanelli-Zyklus (1975 -1991年)
先日ヴェレシュをインプレした際に、H.ホリガーとこの作品を思い出しました。もちろん2017の国内初演もですが…(コンポージアムのインプレは残していません)

制作期間16年間(それも前衛の停滞期以降で)とあまりに長く、練習曲だの独詩人ヘルダーリンの'四季'だの組合せだのと言われても混沌で、それ自体が前衛です。37年間精神を病んで籠った詩人を表現と言われても…ですし、CD1と2の落差も飲み込みづらいです。一言で言うなら全22曲のパッチワークの現代音楽でしょうか。織りなす綾(モチーフ)それぞれも大切ですが、全体像を楽しみたいですね。

タイトルの "スカルダネッリ・ツィクルス" は異常をきたしたヘルダーリンが自らをスカルダネッリと称して"四季"の春・夏・秋・冬を繰り返し連作した事をテーマにしている様です。






曲の個別インプレはありません。【CD1】の合唱と演奏は通して"陰・鬱・暗・静" そして微妙な調性感を感じる無調、流れは素晴らしいですが正体が見えづらいです。"Bruchstücke"は一部クラスター的に音を発しますが、全体は蠢きですしね。声楽微分音は無理やり納得するなら"Winter III"や"Herbest II"でしょうか。(えっ、そこには無い?!w) シンプルですが、全体像を掴みづらい面白さを感じますね。

【CD2】では少し表情変化と技巧・技法が感じられます。静かな中にポリフォニカルな混沌蠢きが入ってきて、技巧的にもグリッサンドを使ったノイズ系と思しきものも感じられますね。合唱パートにも表現主義的な色合いもが強くなって、"Sommer I"の詩のポリフォニー朗読は面白です。"Ostinato funebre"は倍音の空間音響系の様な中にノイズが絡みポスト・セリエル的な感じですし、"Der gerne Klang"は少し雅楽和声を感じさせますね。話題に上がるフルート独奏曲"(t)air(e)"は、コンサートでは光りますがそれほど興味は湧きません。なにぶんflの超絶技巧現代曲は数多ありますから。(ファーニホウやサーリアホ、他)



興味深いのはCD1の方、蠢く様な流れで全12曲で一つの生き物の様です。流れに身を任せるのか はたまた使われている技巧を聴き解くのか、楽しみは尽きません。CD2の方は全体的に所謂(いわゆる)現代音楽を感じるでしょうね。

ぜひ手元に一枚置いて欲しい現代音楽アルバムで、マニアックな "Super無調BGM" としてもオススメです。



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ハンガリーの現代と近代音楽家作品『ヴェレシュ/弦楽三重奏曲、バルトーク/ピアノ五重奏曲』


Veress/String Trio - Bartok/Piano Quintet
近代と現代を繋ぐ二人のハンガリーの音楽家の室内楽セットで、若手を中心とした演奏家のアルバムです。アルファ ・レーベルらしい組合せで思わず手にしました。クレーメルで知られる様になったロッケンハウス音楽祭とのコラボ作品だそうですね。

ハンガリーの氏名は日本と同じ"姓・名"の順なので、最近は《ベラ・バルトーク➡︎バルトーク・ベラ》となっています。でも本ブログでは旧来表記ですw







シャーンドル・ヴェレシュ
(Sándor Veress, 1907/2/1 - 1992/3/4)
ハンガリー人現代音楽家ですが、スイスをベースに活躍していたそうです。バルトークやコダーイに師事していますね。ハンガリーの民族音楽に精通していて、指導者としてもリゲティ, クルターグ, ホリガー と言った錚々たる顔ぶれを育てていますね。楽風は民族音楽と前衛になりますね。

弦楽三重奏曲 (1954年)
 バルトークの幽玄さを引き継いでいるのが分かりますね。無調幽玄旋律のポリフォニー、もしかしたらカノンも?、で紡ぐ様な弦楽奏です。時に先鋭になり、静になり、優美になり、織りなす綾は美しさを感じますね。II.Allegro moltoでも切れ味重視で、暴走や混沌に陥る事はありません。旋律感は民族和声も入っている様です。素晴らしいですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Mondrian Ensembleのvn, va, vc, の演奏です




ベーラ・バルトーク
(Béla Bartók, 1881/3/25 - 1945/9/26)
ここで紹介も不要でしょうね。常識ある?wクラシック・ファンの方が現代音楽として限界なのがバルトークとか聞いた事があります。(実際には近代音楽家になるでしょう)
今までPiano Quintetはインプレしていない様なので良かったです。

ピアノ五重奏曲 SZ.23 (1904年)
 初期作品で民族音楽に触れ始めた時代の作品になりますね。ロマン派とハンガリーの舞曲を組合せた室内楽です。楽器間の関係がよりホモフォニー構成になる事を再確認できます。浮遊する様な薄い調性感はまだ薄め、激しく弾む舞曲の流れは民族音楽そのものと言った感じです。ヴェレシュとの対比だと1910年代以降作品の方が良かったかもしれません。



民族音楽和声と調性の薄さがその後のバルトークなら、そこからより無調方向に足を踏み込んだのがヴェレシュでしょう。ハンガリー近代・現代音楽の素晴らしさが垣間見れるでしょうか。

初期バルトークの弾ける様な舞曲もあり、楽しめる一枚です。



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フィンランドの現代音楽 ヨウニ・カイパイネン(Jouni Kaipainen) は欧州前衛の残像?!


ヨウニ・カイパイネン
(Jouni Kaipainen, 1956/11/24 – 2015/11/23)
ヘルシンキ生まれのフィンランド人現代音楽家です。シベリウス音楽院でお馴染みのサッリネンやへイニネンに習っている北欧現代音楽家のメインストリーマーなのですが、基本は無調で技法的には欧州前衛の十二音技法からポスト・セリエルへと進みました。従って北欧風景の様な楽風ではありませんね。

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Meet The Composer: Jouni Kaipainen
フィンランドのレーベル"FINLANDIA"が北欧音楽家を2枚組CDで紹介する"Meet The Composer"シリーズの一枚ですね。
CD2枚に7曲を詰め込む為に年代順にはなっていませんが、せっかくですからインプレは年代順にしようと思います。(作品番号ではなく完成年です)

演奏はE.P.サロネン/BBC-SO、他諸々ですね。






Ladders to Fire (Concerto for Two Pianos), Op. 14 (1979年)
3パートのピアノデュオ曲ですね。無調点描的で音列配置のpfです。1979年の作ですが既に行き詰まったセリエルそのものの気配で、静も動も全てが古いモダニズム色です。


Trois morceaux de l'aube, Op. 15 (1980–81年)
チェロとピアノのデュオ、2パートの楽曲です。pfがvcのグリッサンドを交えた無調の音色に変わり、三度・五度と言った和声や反復が出てくるので聴き易い方向には進んでいる様です。美しさを感じるかもしれません。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Trio I, Op. 21 (1983年)
3パートの室内楽です。相変わらず基本は点描的ですが、トリル・トレモロ・反復変奏と言った表情が現れてきます。調性を感じる様な流れも見えて多様性の現代音楽に踏み込んでいるのかもしれません。


String Quartet No. 3, Op. 25 (1984年)
"弦楽四重奏曲 第三番" です。何処となくアルディッティSQが演奏しそうな刺激的で技巧性の高い楽曲になっています。幽玄さもあり、静と動のコントラストも生きています。グリッサンドと反復、そして切れ味の弦楽奏ですね。ここまででは一番面白いでしょうね。


Symphony No. 1, Op. 20 (1980–85年)
一楽章の交響曲です。年代が広いので作風が交錯している様です。即興的点描の強音パートが散見するのは古い楽風、それ以外は1980年代中期のイメージでしょう。静の中に現れる打楽器含むクラスターや緊張感ある構成はポスト・セリエル時代の趣を感じますね。


Conte, Op. 27 (1985年)
ピアノ・ソロ曲です。音の跳躍が大きく点描的、基本はセリエルを引きずる感じです。旋律感もある事はあるのですが、'85年でこれは古すぎでしょうか。


Antiphona SATB (Super ‘Alta Trinitá Beata’), Op. 40 (1992年)
唯一'90年代の声楽曲です。宗教曲の様な和声で、児童合唱団と男声合唱のantiphonal-choirs構成です。そこにヴォーカリーズでの揺さぶりが掛かっているのが特徴的でしょう。そこはこのアルバム唯一の面白さかもしれません。



1979年の無調点描から調性を取り戻す様に舵を切り、1980年代中盤には類型的な前衛現代音楽の流れになっています。イメージはこの時代の欧州前衛の残照の様な印象を受けますね。

何かオリジナリティ、北欧らしい風向き か全く独自の技法とか、があれば興味をひくのではないかと思います。



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ペア・ノアゴー(Per Nørgård) の無限セリーの傑作『交響曲 第3番』と「第7番」を、ダウスゴー/デンマーク国立響で聴く


ペア・ノアゴー
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
昨日の第2・6番に続きノアゴーの交響曲 第3・7番になります。第3番は、第2番に続くノアゴーのオリジナル:無限セリーの注目作ですね。

Nørgård-infinity sequence

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Symphonies 3 and 7
第3番は全面に無限セリーを取り入れたデンマーク国立放送からの委嘱作で、2番を書いた後5年経って完成させています。同じ無限セリー作品ですから続けて聴いて変化を楽しめそうですね。
その委嘱の際、無限セリーを追究する方向についてノアゴー本人が書いた資料が読めますね。無限級数の他、倍音等々にも触れられています。▶️ こちら

第7番は楽風が変化した作品で、世界初録音ですね。
演奏はトマス・ダウスゴー(Thomas Dausgaard)指揮、デンマーク国立交響楽団に合唱が入ります。






交響曲 第3番 (1972-75年)
導入部からノアゴーらしい煌びやかな管楽器とpfが特徴的です。その中に無限級数からのセリーらしき音が転がりますね。調性に近い音列が増えているのも特徴的です。その後もアゴーギクとディナーミクの変化や混沌、暗闇の様な流れを作り出します。

時にポリフォニーに、時にホモフォニーに、表情変化のある楽風は中後期に近いかもしれません。手法はセリーですが、無調混沌では無く調性を薄くした現代音楽ですね。第二楽章では調性感の強い北欧風の流れから大合唱に流れ込み、溢れる音の洪水が素晴らしいです。
アルトはウッラ・ムンク(Ulla Munch)です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


交響曲 第7番 (2004-06年)
約10年後の作品ですね。派手な管楽器とパーカッションの対比が面白く、調性を強く感じさせながらの第一楽章。オルガンを含めた音の厚さの中にテンポ・強弱の出し入れの第二楽章。ふとバーンスタインの曲を思わせる様な第三楽章。そんな中、楽器の音色を上手く活かしているのはノアゴーらしさですね。一つ前の6番より調性回帰が強く新古典主義でしょうね。



表情の薄い第2番から第3番の変化が大きいですね。煌びやかで表情のある この第3番の楽風から無限セリーを除いたのが、その後の1900年代のノアゴーの気がします。それも踏まえて素晴らしい北欧前衛の現代音楽ですね。

調性回帰の強い第7番も聴き応えがあり、強くオススメの一枚です。ダウスゴーも見事ですね。



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デンマークの現代音楽家 ペア・ノアゴー(Per Nørgård) の無限セリーの数式と「交響曲 第2番・第6番」


ペア・ノアゴー
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
デンマークの現代音楽家ノアゴーと言えば、なんと言っても1960年代に構築した無限セリーでしょう。それまでの北欧和声から欧州前衛で猛威を奮っていたセリエルに踏み入り、独自の無限セリーを開発した事ですね。ポスト・セリエルと言うよりも、数学を使ったセリエル技法の一つになるでしょうか。

ただ、その使用は欧前衛の衰退が叫ばれた1970年代までで、以降は使われていませんね。楽風は無調前衛のスタンスを保ちつつ、21世紀に入ると調性回帰が強まり新古典主義的になります。

Nørgård-infinity sequence

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Symphonies 2 & 6
その無限セリーを使った第2番と、中期の第6番のカップリングになります。第6番は本CDのオスロフィル他 北欧3交響楽団からの委嘱作品で、ミレニアム(西暦2000年)を祝って作られていますね。三楽章形式ですが、ここでは"three passages"と表現されています。祝典音楽ですから楽しみですね。CDは2番が後になっていますが、年代順に聴きましょう。

指揮はヨーン・ストルゴーズ(John Storgårds)ですが、NørgårdもStorgårdsも日本語読みが相変わらずいろいろで戸惑いますねw






交響曲 第2番 In One Movement (1970年)
23'の一楽章形式で、ソナタや三部形式の様な構成感はありません。導入部は単音の共鳴の様な音の重なりで、まさに実験音楽風。所謂(いわゆる)交響曲とは縁遠いですね。そこから単純音階の音列配置的な音が重なりますが、弦楽のロングボウと面白いマッチングを見せてくれます。明確な旋律は存在しませんが混沌は少なく、アゴーギクも振ってあるので聴きやすさはありますね。無限セリーの音は解析値の様にターン音形風で反復の色合いが強く、煌びやかなセリエルの残照の様な音楽です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  セーゲルスタム指揮デンマーク国立管の演奏です。



交響曲 第6番 "At the End of the Day" (1999年)
長い第一楽章は無調の煌めく混沌から入ります。基本は無調ポリフォニーですね。弦楽が主になるパートでは暗い印象になり、コントラストも付いて煌びやかです。第二楽章は暗闇の緩徐が面白く、アタッカで繋がる第三楽章は何と"Allegro energico"で変拍子的な派手な流れになります。この最終楽章は実に表情が豊かですね。



カラフルな管楽器とロングトーンの弦楽器が作るノアゴーらしい無調の煌びやかさは時代を超えて美しいと再確認ですね。処々に少し混沌を混えるのも変わりません。

楽風は似ていますが、表情が薄い2番よりも6番の方が面白さは上でしょう。2番には時代の流れを味わえますね。楽しい一枚です



 次回は究極の無限セリー作品である "交響曲 第3番" をインプレしようと思います。

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フィンランドの現代音楽家 セバスチャン・ファーゲルルンド(Sebastian Fagerlund) の 「isola」 を聴く


セバスチャン・ファーゲルルンド
(Sebastian Fagerlund, 1972/12/6 - )
フィンランドの現代音楽家でポスト・モダンの印象派などと書かれている事があり、前衛ではありません。トゥルク音楽院でヴァイオリンを習い、その後オランダやシベリウス音楽院でも作曲を学んでいます。マスタークラスでミカエル・ジャレルやマグヌス・リンドベルイにも師事していますね。
2016/17シーズンはロイヤルコンセルトヘボウの在籍作曲家を務めていた事からも、注目されているのがわかりますね。

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isola
ファーゲルルンドの出世作となった「クラリネット協奏曲」を含む、オーケストラ作品集になりますね。他にはパーカッションと弦楽奏という興味深い組合せの「パルティータ」、差別隔離諸島の島*を描いた管弦楽「イソラ」の三曲構成です。

* ファーゲルルンドの生まれ故郷 Pargas は、A.ベックリンの絵画 '死の島' で知られるハンセン氏病・精神病 隔離病院のSjälö島が近くにありました。自らの棺の木材集めをする病人の悲惨な生活と、環境だったそうです。ラフマニノフはその絵にインスパアされた同名作品を残していますし、独現代音楽家J.カリツケの "4つの死の島" は本ブログでもインプレしています。

演奏はディーマ・スロボジェニュク指揮、エーテボリ響になります。






Clarinet Concerto (2005–06年)
クラリネットは'RUSK Chamber Music Festival'の共同創設者であるクリストファー・スンドクヴィスト(Christoffer Sundqvist)です。
四楽章構成です。導入部はまるで先達を習うかの様な北欧風の澄んだオケの音色に技巧性の高いclが絡みます。その後もclは特殊奏法は使わずに技巧性の高い音色を奏でて行きます。第二楽章は、澄んだ音色とのドン・シャン的コントラストが効いています。第三楽章は幽玄な音色の緩徐をベースに進み、半ば過ぎに長く神経質なカデンツァが現れ、そのまま最終楽章のオケとの対比に入ります。新古典主義を感じるコンチェルトです。


Partita (2007–09)
  for string orchestra and percussion
当時流行った、S.グバイドゥーリナやJ.マクミランで、新神秘主義作品だとありますね。
幽玄さはフィルム・ミュージック的な印象もあります。そこに激しい打楽器が絡むのは、どうもパターンの様ですね。その後も静と動の対比を付けてきます。そのコントラストがファーゲルルンドかもしれません。幽玄さとキラキラした音色が特徴的ですね。色付けは神秘的ではありますが…


Isola (2007年)
  for symphony orchestra
英名'Islad'、'Korsholm Music Festival'の委嘱作品です。
ポリフォニー的な混沌から入りますが、すぐに反復を主体とした暗い緩徐へと移ります。その後は暗さを残しながら反復を意識した重く停滞した流れを作り、続くパートではテンポアップして緊迫感を与えながら反復・変奏の流れです。執拗な反復・変奏と重さの楽曲で、標題音楽らしいのでしょう。



暗く激しい新古典主義風で、このブログの方向ではない様です。幽玄さとドン・シャン的メリハリがあって米国でも受けそうな感じですね。

機能和声ですが北欧管弦楽の直系でもありません。もっと陰湿に沈めばA.ペッテションでしょうか。
もう少し踏み込んで聴いてみるか、さてどうしましょう?!




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スウェーデンの現代音楽家 ダグ・ヴィレーン(Dag Wirén) の「Symphonies 2 & 3, Concert Overtures」を聴く


ダグ・ヴィレーン
(Dag Wirén, 1905/10/15 - 1986/4/19)
スウェーデンに生まれ音楽評論の後、40歳を過ぎてから作曲家となった現代音楽家ですね。パリでL.サバネーエフに学んだ1930年代前半に、ストラヴィンスキーやプロコフィエフ、'フランス6人組'といったその時代の音楽に接しています。

作風はシリアスから映画音楽の様な作品に渡りますが、基本はエンターテイメントやリスナーに喜ばれ寄り添う"モダン"だと本人が言っている様です。従って前衛ではありません。

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交響曲 第2番/第3番・演奏会用序曲 第1番/第2番
初期の管弦楽作品集になりますね。交響曲は第5番まで、Concert Overtureはこの二曲の制作になっています。

演奏はトーマス・ダウスゴー(Thomas Dausgaard)指揮、ノールショーピング交響楽団(Norrköpings Symfoniorkester)になります。






Symphony No. 2 Op.14 (1939年)
三楽章形式です。まず感じるのは北欧的交響曲、後期ロマン派の派生的で緩やかで冷たく美しい広がり、の印象でしょうか。20世紀初頭の北欧系の音楽家に感じられる和声ですね。心地よい北欧の交響曲で、楽章間の変化は少ないです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Symphony No. 3 Op.20 (1943–44年)
第2番と同じ構成です。allegroのテンポ設定が速めになって刺激のスパイスが増え、少し新古典主義的な香りがします。adagioは緩徐楽章となって、楽章間の構成に個性を振られていますね。第2番は同じ様な構成でしたから。


Concert Overture No. 1 Op.2 (1931年)
8’弱の一番古い作品で、パリへ行く前の時代。後期ロマン派と新古典主義の折衷的作品でしょうね。


Concert Overture No. 2 Op.16 (1940年)
約5'の小曲です。新古典主義の色合いが強い上記楽曲の類型ですね。



前衛に足を踏み入れる前の北欧管弦楽と新古典主義の流れですね。どの楽章にしても山場を明確に設定しているのが特徴的ですね。調性からの逸脱はありません。

聴き易い楽風ですが、どこかで聴いた様な… と言った20世紀前半北欧の類型的かもしれません。演奏は広がりがあって素晴らしいですね。



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テリー・ライリー(Terry Riley) の代表作『In C』、本人演奏 と Bang On a Can で楽しみましょう


In C [1964年]
テリー・ライリー (Terry Riley, 1935/6/24 -)
前回テリー・ライリーの新譜「Sun Rings」をインプレした際に、なんと代表作を忘れていた事に気がつきました。テリー・ライリーについてはそちらをご覧ください。

ミニマルを代表する "In C" は、欧州前衛がトータル・セリエル絶頂期に出現した米現代音楽ですね。全てハ長調(in C)の、拍子指示と小節区分の無い長短53のモジュールを一定等拍のC音を元に楽器編成の制約なく演奏するものです。ライリーは即興演奏でも知られるわけですが、現代音楽技法的には"偶然性"の音楽にもなるでしょう。従って数多のパターンが存在します。

とりあえず所有の2CDをインプレです。
一枚目はレコード時代から所有するライリー本人が演奏者(リーダー&サックス)として参加した1967年の盤です。もう一枚はこのブログではお馴染みのBang On a Can(以下BOAC)による演奏です。BOACについては割愛です。

楽器編成は同じ11編成ですが、同じ楽器はその中で5つですね。(下記*印)



Terry Riley・他 (1967年)



【楽器編成:11】sax*, piano*, oboe, bassoon, trumpet, clarinet*, flute, viola, trombone, vibraphone*, marimba*

管楽器が多い事が特徴的ですね。音が華やかで厚みがあり明瞭感が強いです。等拍単音パートを多く使っている様です。サックスの色付けが個性的に聴こえます。鍵盤打楽器が煌びやかに東南アジア和声の様な印象も与えますね。

・・・・・

金属的印象で刻む様なミニマルです。単音反復を強調して、より単純化(ミニマル?)されています。音色がカラフルです。





Bang On a Can (1998年)



【楽器編成:11】bass, cello, marimba*, clarinet*, electric-guitar, vibraphone*, mandolin, piano*, pipa(琵琶), sop-sax*, violin

弦楽器が多いのが特徴的です。その分、全体的に雲の様な塊の音に聴こえますね。鍵盤打楽器の音色が少し薄く感じます。等拍単音パートよりも旋律パートが表面に出る感じです。エレクトリック・ギターの音色もBOACらしさを感じさせてくれますね。

・・・・・

ポリフォニカルなミニマルです。ベースに単音反復を敷いて、その上に旋律を載せている感じですね。旋律がカラフルです。




ミニマル陶酔感はもちろん同じです。楽器編成とパート区分
で異なるサウンド
のミニマルになっていますね。

キラキラの前者と前衛の香りの後者、どちらも個性的で楽しめます。特にラスト10'での対比は面白いですね。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Baylor Percussion Group・他による演奏です。マイルドな味付けですね。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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