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シンガポール在住のN.Y.出身現代音楽家 ピーター・アイヴァン・エドワーズ(Peter Ivan Edwards) の『ionobia』を聴く


ピーター・アイヴァン・エドワーズ
(Peter Ivan Edwards, 1973 - )
ニューヨーク出身で米(ハヤ・チェルノヴィン)・独で学びシンガポール在住の現代音楽家ピーター・アイヴァン・エドワーズです。コンピューター音楽を得意として、そのアルゴリズム展開(具体的には不明ですw)し、ダルムシュタットやIRCAMといったエクスペリメンタリズム本流の世界でも実績がある様ですね。また活躍の場を欧米だけでなく韓国や中国に広げて現在シンガポールでコンピューター音楽の教鞭もとっています。


ionobia
本アルバムはコンピューター音楽は一曲のみです。他は様々な楽器編成、東洋音楽和声風の展開になっていますね。民族音楽楽器やモードではありませんが。






ionobia for oboe, percussion and piano (2017年)
  Trio Surplus
東洋和声、それも神楽の様な日本的? オーボエと打楽器は特にその傾向を感じます。そこにpfが機能和声の和音で入ってくるといった風でしょうか。途中からは欧前衛的な流れとなり特殊奏法も交えながらパルス的な強音も入ります。静の中に強音という、良くあるパターンにはなりますが…


fleepercellimano for flute, cello, percussion and piano (2013年)
  Ensemble Interface
速いフルートのアルペジオが主役で、手拍子と打楽器が色付けしています。pfも単音打楽器的、vcもピチカートで打楽器的です。和声的には東洋的な印象ですね。途中からflも含めてどの楽器も打楽器点描になります。それはそれで面白いかも。

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Brastri per Celindano for orchestra (2015年)
  Young Siew Toh Conservatory Orchestra
管弦楽作品ですね。音厚あるロングトーンの和音構成で入ります。そこから管楽器が点描的単音を発して色付けして来ます。モノフォニー的な強音も入りますね。ここでは民族和声の印象はありません。また各楽器間はポリフォニーではなく、何らかの繋がりを持っているのでこじんまりと纏っている感じがします。これがエレクトロニクスだったら何か面白さがあったのかもしれません。
演奏は教鞭をとるヨン・シウ・トー音楽院の管弦楽団です。


Ascent: Two Perspectives for flute and violin (2011年)
  Matteo Cesari, Pieter Jansen
二つの楽器が動機を反復・変奏しながら絡んで進みます。印象的にはFlが主でvnが従のホモフォニー風です。不協和音はあっても動機が存在して調性的です。処々民族音楽和声も感じますが…


Ssoonro for bassoon and electronics (2017年)
  Christoph Wichert
この曲だけ得意のコンピューター系の楽曲になりますね。ファゴットの音色をバックグラウンドにループしたりテープ的に使いながらドローンの様なサウンド構成です。少し混沌的で面白さがあるかもしれません。これが一番面白いでしょうね。

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Re for flute, cello and piano (2010年)
  Ensemble Wu Xian
東洋音楽和声的であまり代わり映えのしない印象です。点描的という時点で、古い時代を思い出してしまいますしねぇ。



民族音楽和声風もあるけど調性的、民族音楽サウンド風だけど西洋楽器のみ、特殊奏法もあるけどオマケ的、流れは点描的。なんとなく全部が中途半端風に感じますね。

唯一面白かったのはエレクトロニクスの"Ssoonro"でした。やっぱり得意のエレクトロニクスを聴かないとダメかもしれない、という印象でした。



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ルイジ・ノーノ(Luigi Nono)『断片-静寂、ディオティーマへ | 夢見ながら "歩かなければならない"』緊張感あるアルディッティ・クァルテットですね


ルイジ・ノーノ
(Luigi Nono, 1924-1990)
前回に続いて今更のイタリア人現代音楽家ノーノの後期作品です。という事で、ノーノについては前回のインプレをご覧いただけると幸いです。


Fragmente / Hay que caminar
極端な静音の呻きの中に強音の表出するスタイルの後期作品。その中で今回はアルディッティ弦楽四重奏団(Arditti Quartet)の演奏を聴いてみようと思いました。アルディッティ・クァルテットも前回2017年来日では随分と角の取れたスタイルになったのを感じましたが。






断片-静寂、ディオティーマへ, Fragmente-Stille, an Diotima (1980年)
もちろん弦楽四重奏曲ですね。音数の少ないロングトーンの静音構成で入ります。音色はフラジョレットでノイズ系の印象ですね。時折トリル・トレモロが入りますが、反復や変奏の印象はなく、楽器の絡みも少なく呼吸の様です。そして、その中に切れ味鋭い強音が突然の出現です。ノーノ後期の作風そのものです。このあたりの素晴らしい緊張感はアルディッティの力量の気もしますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  音色が明瞭なLaSalle Quartetです。緊張感は緩めでアルディッティの方がシャープでしょうね。



進まねばならない、と夢みつつ, Hay que caminar sonando (1989年)
亡くなる一年前の最後の作品、二つのヴァイオリンの為の曲ですね。アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)と2nd vnのデヴィッド・アルバーマン(David Alberman, 1985–1994member)です。
 当然似た流れです。弦楽器が二本なくなったのさえも感じないかもしれません。細いフラジョレットの音色が主で、鋭いボウイングの強音が炸裂します。その炸裂頻度が少し上がって、コントラストがより明確な感じですね。この方が奥行きも感じます。



後期作品としてはこういった弦楽四重奏曲が緊張感が伝わって楽しめる気がしますね。少なくとも今までインプレしてきたノーノ作品の中では最も好みです。ただ若干の特殊奏法があるくらいで、新しさはあまり感じられないかもしれません。

この時代は、既に ラッヘンマン, シャリーノ, グリゼー その他大勢が新しい技法でポスト・セリエルを席巻していた訳で、どうしてもそちらに視線が向いてしまいます。



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ルイジ・ノーノ(Luigi Nono) の後期作品『冷たい怪物に気をつけろ / 死の間近な時 ポーランド日記第2番』は洗練された退屈さ?!


ルイジ・ノーノ
(Luigi Nono, 1924-1990)
現代音楽黎明期のビッグネームの一人で、ブーレーズやシュトックハウゼンと共にセリエル時代のエクスペリメンタリズム欧前衛音楽界を牽引しましたね。前回『セリー主義 〜 ブーレーズ / ノーノ / シュトックハウゼン 作品集』を紹介した際に後期作をもう一度聴いてみようと思い、今更の登場です。
楽風は、[前期]セリエル時代 - [中期]イタリア共産主義とテープの時代 - [後期]静寂とライヴ・エレクトロニクス時代、と言った流れですね。


Guai ai gelidi mostri | Quando stanno morendo. Diario polacco n. 2
微弱音の中にクラスターの出現、そしてライヴ・エレクトロニクスの採用という楽風になった後期の声楽作品になります。CD2枚組で二曲構成の作品ですね。二曲共にイタリアの哲学者マッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari, 1944/6/5)のテキストを元に作詞されています。カッチャーリとはオペラも共作していますね。






冷たい怪物に気をつけろ, Guai ai gelidi mostri (1983年)
4パートの楽曲で、アルト2人に室内楽です。ライヴ・エレクトロニクスはヴォーカルパートと他にfeedback loopを使っているそうです。歌詞はイタリア語やラテン語、ドイツ語が交錯する中に"A dryness calling for Death" "discontinuous gods" の英語が見つかるだけですが、細々とした不安の事の様ですね。

例によって音が出ているのかわからない程の微音から入ります。アンサンブルは静音で綴られて、スローでノイズ的で即興風です。voiceが入ってきますがヴォーカリーズで楽器の一部の様な感じです。そして突然の木管の強音が登場してきます。まぁ、予想通りの構成ですね。そこからはボリュームが若干上がり突発性強音、歌唱が入ります。歌唱はロングトーンで読経みたいw 全体が暗い闇の揺動の様で突然大波が来ます、ドローンに強音即興を噛ませた感じ?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  コンサートで演奏の様子が見えた方が楽しめるかもしれませんw


死の間近な時 ポーランド日記第2番
  Quando stanno morendo. Diario polacco n. 2 (1982年)
9パートの楽曲で、ソプラノ3人とアルト1人にバス・フルートとチェロです。ライヴ・エレクトロニクスがどう使われているかは不明です。歌詞は抽象的で 神を待つ話の様ですね。ちなみに同タイトル原曲「ポーランド日記 (1958年)」は中期作品で政治的色合いが強いです。ここでも歌詞の中に潜む政治的背景があるのですが、それは避ける事にします。("Mosca - chi sei?"がヒントですね)

CDを換えても同じ曲の延長の感じですが、始めから聖歌の様な薄いヴォーカルがアカペラで入ってきます。そのまま長く続き、Part II 以降はノイズ的なアンサンブルが被ってきて混沌とします。この曲の方が歌唱中心で、演奏の強音の呻きが強いです。とは言え、ここでも構成は同じですね。



この年代のノーノらしい澱んで呻く様な静音の中に時折立ち昇る強音、それが時に歌唱となっています。いつも同じと言えばそうなのですが、それがノーノの後期でしょうね。

スコアを見ると凝った記譜になっていますが、曲にはその印象が残らない感じもしますね。



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現代音楽の源流・古典『セリー主義 〜 ブーレーズ / ノーノ / シュトックハウゼン 作品集』は、今聴いても新鮮!…かな?


New Dimension Music
20年くらい前のアルバムです。「20世紀の遺産」シリーズの中の一枚で、21世紀を前に発売されていましたね。今思うと、当時はセリエル主体の現代音楽が終わりを迎えて、総括されたのですが次が見つからない、今の様に情報も無かった気がします。
監修の東大・長木先生は現代音楽の解説で話を聞いた事や、この数年前に発売された「グスタフ・マーラー全作品解説辞典」でもお馴染みだったので手にしましたね。

"無調 → 十二音技法 → トータルセリエル" と進んだ、今や "古典現代音楽"、をダルムシュタットを中心に推進した前衛三羽烏の三人をピックアップしたアルバムです。基本中の基本ですね。この後1970年代にセリエル(セリー主義)は停滞期に入って事実上崩壊し、多様性主義となって現代に続いていいますね。
 ▶️ 「このblogで言う現代音楽」を参照下さい

ブーレーズとシュトックハウゼンは21世紀まで、ついこの間まで活躍していたのですが、今や旧世代のビッグネーム現代音楽家の印象でしょう。今更のインプレになるとは思いますが再度聴いてみようと思いました。演奏は超豪華布陣でブーレーズがM.ポリーニ(pf)、他はC.アバド指揮/VPO, BPOです。







ピエール・ブーレーズ (Pierre Boulez, 1925-2016)
この三人の中では最も好きな現代音楽家です。そのカラフルな音色はもちろん師であるメシアンからの流れを感じます。ポストセリエルからはJ.ケージに触発された「管理された偶然性」や、多様性から電子音楽に展開しています。そして、何と言っても今の時代の現代音楽の拠点の一つIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)創設が将来に渡って一番の功労になるでしょうね。晩年は現代音楽界のドンでしたね。

ブーレーズの現代音楽なら全貌を一望できて楽しめるアルバムComplete Works」が超オススメです。

ピアノソナタ第2番, Second Sonata for Piano (1948年)
 ブーレーズ初期の代表作で、バリバリのセリエル時代作品です。基本の十二音列「D-A-D#-G#-C#-F-G-Bb-B-C-F#-E」がスコア冒頭に置かれた十二音技法作品ですが、聴いただけで無調との違いがわかる人はそうそういないでしょう。十二音の基本音列を主題と考えてなのか、古典的四楽章形式ですね。pfはM.ポリーニです。(以前も紹介済みですが)
 いかにも音列配置的です。点描であり、音の跳躍もあって長音はほぼありませんね。もちろん所謂(いわゆる)旋律はありません。この時代らしい調性感を一切排除した音楽です。四楽章あって緩徐楽章も超絶技巧性も存在するのですが、みんな同じに聴こえます。それこそがセリエルでしょう。理論絶対優先、エンターテイメント置き去り時代の現代音楽の鋭さがあります。スコアを手に基本音列の逆行や反行がどの様に作られているのか、音価の分配は、そんな興味が必要かもしれませんね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章だけですが、スコア付きです。





ルイジ・ノーノ (Luigi Nono, 1924-1990)
個人的には三人の中で一番全体像が薄いのがノーノの気がします。セリエルはノーノだけシェーンベルクからの流れを受けていて、ポストセリエルに入ってからもその点描音列的な構成を維持して、ブーレーズやシュトックハウゼンと対立していますね。初期はもちろんセリエルで、その後中期から後期はポストセリエルとしてテープや電子音楽へ舵を切っています。

進むべき道はない、だが進まなければならない…アンドレイ・タルコフスキー, Non hay caminos, hay que caminar … Andrej Tarkowskij (1987年)
 ノーノ晩年の作品で最後の管弦楽作品、サントリーホール「国際作曲委嘱シリーズ」委嘱品で初演、「カミナンテス三部作」の中の第二作品ですね。シュトックハウゼンも用いた他編成オケ作品で、7群化されたオケ配置になります。今回は短時間ver.で17'弱ですが、ロングver.もある様です。
 入りは超静音で、音そのものを聴くというノーノの技法(その後のヴァンデルヴァイザー楽派系?)を用いていますね。そしてその中にパルス的なクラスター音が登場します。静からの烈の出現は、多様性化以降の現代音楽典型の一つでしょうね。ここではかなりそのコントラストが強烈です。シーン…ドカン…シーン…、の様な"音"ですね。空間に響くクラスターは、ヴァレーズやクセナキスを想像するかもしれません。この時代としては目新しさは低く、空間音響系の現代音楽として違和感はありませんね。問題はコンサートでないと7群の音を味わえない事でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  25'ver.です。


愛の歌, Liebeslied (1954年)
 初期作品で混声合唱と室内楽作品で、歌詞は極短い愛の散文詩です。宗教音楽の和声を強く感じますが、十二音技法的な展開がされているのでしょうか。現代音楽家が宗教曲を書くことは珍しくありませんが、ノーノは政治的な色合いはあっても宗教色はあまり感じないのですが。




カールハインツ・シュトックハウゼン
(Karlheinz Stockhausen, 1928-2007)
セリエルからトータルセリエルへ、群作法や 旋律を許すフォルメル技法といったセリエルの可能性を最も追求した印象があります。特徴的なのは「:一週間の七つの日 (1977-2003)」や「クラング:1日の24時間 (2004-2007未完)」といった長編連作を作る事ですね。タイトルを見てもシュトックハウゼンが時間軸に興味があったのを感じますね。"光"などは作成年数が長く、技法的には様々です。

グルッペン, Gruppen (1955-57年)
 前期のセリエルからトータルセリエルへそして電子音楽へと移行する時代の代表作ですね。オケを3群化していて、その後の音響空間への足がかりでもあります。
 この曲を聴くときはボリュームを上げる事が必要ですね。そして音が出てくる方向を感じわけですね。その音が部屋を満たす感じを味わいたいわけです。カラフルな音が響く中に自分を置く感じでしょうか。楽風は点描的なセリエルから半歩前進した感じで、音列も表情を感じる様になっています。所謂旋律はありませんが、音空間を彩るのは明瞭です。3群オケ(通常のオーディオですと左右くらいしかわかりません)の即興的混沌ポリフォニーから協調性まで味わえますね。まぁ、それでも古臭いと言われれば…ですが。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  オケ配置が良く分かりますね。アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏です。





セリエルベースで一番興味深いのはやっぱりシュトックハウゼンでしょう。楽曲選択がセリエルの可能性を見せる様に組まれているのは素晴らしいですね。一番セリエル的な曲を初めに持ってきて、やっぱりこれか、と思わせながらその先を見せてくれます。一曲だけ1980年代を入れているのも効果的です。この時代背景の現代音楽を聴いてみたい方にオススメですね。ライナーノートの長木先生の解説はもっとあっても良かった気がします。

残念ながら多群オケ作品の本当の響き、空間音響系、はCDでは味わえませんね。最近はコンサートでも殆ど見られません、5.1サラウンドなら大丈夫?! (このCDは非対応ですがw)




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フィルム・ミュージックの様なヴィヴァルディとピアソラ、二つの "四季"。カペラ・ガベッタ の『タンゴ・シーズンズ』


カペラ・ガベッタ
(Cappella Gabetta)
ヴァイオリニストのアンドレス・ガベッタ(Andres Gabetta)が設立したピリオド楽器アンサンブルですね。まぁ今はやりの、と言う感じがしますが。このアルバムに興味を持ったのは演奏者ではなくて、ヴィヴァルディとピアソラ二人の"四季*"がクロス配置されて奏される事でした。

* ピアソラは "ブエノスアイレスの四季" ですね


Tango Seasons | Vivaldi, Piazzolla
それぞれ二人の作曲家の案内は今更無用でしょう。ここでは二つの"四季"を交互に配する流れになっています。バロックと近現代アルゼンチン・タンゴの組合せは興味深いですよね。ちなみにピアソラの楽曲にはもちろんバンドネオンが採用されています。最後に追加されている一曲 "リローデッド" は今回の編曲者の一人ロベルト・モリネッリ(Roberto Molinelli)の作品で、二人の楽曲からのインスピレーションだそうです。
さて、どの様にアレンジされているでしょう。






いきなりのヴィヴァルディ"春"は快速です。そしてソロでの駆け引きの様な変奏も加えられて軽妙感を強くアレンジされていますね。いわゆるバロック感は消された表情付けがされています。続くのはピアソラの"冬"ですが、ヴィヴァルディよりも情感はかなり強いのですが、ピアソラ楽団の強い哀愁感に演奏に比べると重厚さを避けているでしょうか。
その後 "夏"、"秋" は同期しています。曲調は以上の流れになっていて、両者オリジナル(ヴィヴァルディは例えばイ・ムジチの様な) に対してフィルム・ミュージック的な印象に編曲されていますね。ヴィヴァルディはアゴーギク・ディナーミクを強め、ピアソラはディナーミクは全体抑え気味、そう言う方向性です。

ラストの "リローデッド" は、処々にバロックを仕込んではいますが、ピアソラ風。それ以上に感じるのはハイテンポ技巧的です。なぜここで必要なのでしょう?


基本的に美しさで流れを統一したアレンジで、お洒落なCDです。バロックと近現代タンゴの両方を、フィルム・ミュージックに方向性を統一している感じです。ただ、ヴィヴァルディ・ファンはクドイと感じるかもしれませんし、ピアソラ・ファンには淡白に聴こえるかもしれません。

ピアソラに関して言えばpfが入っていないのは大きく、オリジナルの演奏の心に染み入る様な情感は避けています。一度オリジナルを聴いて頂きたいと思います。



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美しきアンビエント:ジョン・ルーサー・アダムズ(John Luther Adams) の『Become Ocean』


ジョン・ルーサー・アダムズ
(John Luther Adams, 1953/1/23 - )
アメリカの現代音楽家ですが、ビッグネームの同じジョン・アダムズ(John Coolidge Adams, 1947/2/15 - )と間違えそうですよね。ちなみに後者のアダムズはミドルネームの"クーリッジ"を普通は付けませんね。

こちらのJ.アダムズはミニマルではなくでアンビエント系です。若い頃はロックバンドでドラムスだったそうで、学生時代には環境保護活動を経てアラスカに在住していました。その原風景からの環境音楽になるようです。活動ベースはTVや映画音楽を中心に、アコースティックから電子音楽までといかにも米現代音楽家的であり、このブログのメインの前衛とは縁がありません。


Become Ocean
ジョン・ルーサー・アダムズの代表作で、2014年のピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞していますね。その翌年の受賞が超オススメ盤のJulia Wolfeの"Anthracite Fields"ですから落差が大きい気がします。

演奏はシアトル交響楽団(Seattle Symphony)で、指揮は音楽監督を務めるルドヴィック・モルロー(Ludovic Morlot)になります。






Become Ocean
タイトル曲一曲構成ですね。一言で括ればドローン系のアンビエントでしょう。聴いてもらった方が早いと思います ⬇️

 ★YouTubeで聴いてみる?
  (全曲聴けちゃいますねw)


一部ミニマル傾向や多少の出し入れや強弱はありますが、緩く大きな潮の満ち引きの様なお馴染みの音楽でしょうかね。聴くというよりもループにしてかけておくのでしょう。方向性は明るく、暗く鎮む方向ではありません。
ちなみに2枚組ですが一枚はDVDで美しいアンビエントな写真入り。大きなモニターやTVをお持ちでセットアップが出来るなら映しておくと効果は倍増かもしれません。



静かに部屋でかけておく。そんな音楽ですよね、アンビエント系ですから。ボリュームの設定いかんで、BGMにも癒しにもなるでしょう。

本来なら一般的にいう"現代音楽"の範疇に入れるのは違うかもしれません…



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古き時代の現代音楽を懐古する、ギリシャの現代音楽家 ニコス・スカルコッタス の『Cycle-Concert』


ニコス・スカルコッタス
(Nikos Skalkottas, 1904/3/21 - 1949/9/19)
45歳で早世したギリシャ人現代音楽家スカルコッタスは、26年間の作曲活動で作品を残していますね。亡くなった年代が欧州前衛がエクスペリメンタル全盛に向かうセリエルの時代ですから、シェーンベルクに習って十二音技法からスタートしています。作品数が増える30年代後半から晩年は民族音楽を取り入れてスカルコッタスらしさが味わえる様になりますね。近年はBISレーベルからCD化されていて、本ブログでもインプレ済みですね。


Cycle-Concert
このアルバムはその時代の作品で得意とした室内楽集です。以前PhillipsからDigital Classicsのシリーズとして出ていた、25年近く古い懐かしいアルバムです。
メンバーが豪華ですね。
・ブルーノ・カニーノ(Bruno Canino):ピアノ
・クラウス・トゥーネマン(Klaus Thunemann):バスーン
・ホーカン・ハーデンベルガー(Håkan Hardenberger):トランペット
・ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger):オーボエ
いずれ名だたる名手で現代音楽の信奉者ですね。(残念ながらトゥーネマンだけは知見がありません)






Quartet No.1 for Piano and Winds (1940–43年)
ピアノと吹奏楽(オーボエ, トランペット, バスーン)の四重奏曲ですね。音列配置を思わせる様なパンクチャリズム風ですが、民族音楽和声旋律が存在していますね。四つの楽器が弾む様なリズムと旋律を絡ませるホモフォニー構成です。リズミカルな民族音楽と言ったスカルコッタス楽風ですね。


Concertino for Oboe and Piano (1939年)
上記と同じ様なリズムで入るのですが、民族和声は薄くなり音の跳躍も存在します。そういう意味ではセリエルにより近いでしょう。でも中間パートで緩徐となって音は跳躍からターン音型の様な近隣音を並べ、pfとobは対位的な関係になっていますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  スコア付きです。


Sonata Concrtante for Bassoon and Piano (1943年)
pfに和音が現れて点描印象がやや薄くなっています。それでもロングトーン旋律は皆無でアルペジオ旋律主役です。fgとpfは民族和声的旋律中心にホモフォニー(主従関係)とポリフォニー(対位)の混成的です。ここでも中間パートでは緩徐にしています。少し退屈かな?! これなら上記オーボエの方が音色の延びもあって面白い気がしますね。


Concertino for Trumpent and Piano (1940–43年)
曲構成は他の曲と似ていて、長いpfパートが点描的に続きます。tpがそれまでの木管から金管の響きになって変化を与えていますね。そんな感じですw


Quartet No.2 for Piano and Winds (1940–43年)
一曲目に続き四重奏曲第2番になり、"Tango"と"Foxtrot"といかにも的なパート・タイトルが付いています。何気にその気配は感じますが屋台骨は何も変わりません。それこそがスカルコッタスですね。



ポスト・セリエルと言えるかは別として、点描音列配置的な印象は明確です。そこに民族和声を取り込んだのがスカルコッタスですから、まさにスカルコッタス作品集でしょうね。似たり寄ったり感を含めてセリエルの行き詰まりもあるかもしれません。

1940年代という古き前衛現代音楽を懐古的に楽しむのも一興かと。



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今の時代のクラシック音楽、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ の『管弦楽集:Heliogabalus Imperator』の楽しさは、国内のコンサートで取り上げられても良いですね。


ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ
(Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27)
既に現代音楽の古典となりつつある感もあるドイツの音楽家ヘンツェですね。まさに前衛現代音楽の時代に生き、ノーノ, シュトックハウゼン, ブーレーズといった前衛陣の闊歩する背景と重なりますが、その実験的前衛とは一線を画していました。
初期は政治的志向や十二音技法も取り入れますが、早くから今の時代の現代音楽の主流である多様性に舵を切っていました。そこは先見の明があったのかもしれませんね。(実際には中庸性になるでしょうが…) 現代音楽オペラを得意として、もちろんこのブログでも「バッカスの巫女」他インプレ済みです。


heliogabalus imperator, works for orchestra
交響曲か歌劇といった印象が強いヘンツェですが、ここでは管弦楽集となっています。オケ作品が多いヘンツェなので、1963年から2012年の作品が年代順に並んでいるのも変化が感じられて嬉しいところです。

演奏はオリヴァー・ナッセン(Oliver Knussen)指揮、BBC交響楽団(BBC Symphony Orchestra)になります。






Los Caprichos, Fantasia per orchestra (1963年)
全9パートの楽曲です。時代背景は前衛実験音楽最盛期ですが、既にヘンツェらしさが確立されています。印象はバレエ曲的に感じます。美しい幻想的な旋律が舞台情景を感じさせ、パートの中で強音を生かす様な変化を与えています。構成感が明確なので安心して聴ける幽玄な楽曲と思います。


Heliogabalus Imperator, Allegoria per musica (1971/72, rev. 1986年)
タイトル曲「ヘリオガバルス黄帝」で木管楽器群との協奏曲風でしょうか。木管楽器群が表面に出て来ますね。メシアンを彷彿させる処もありますね。それに合わせて金管楽器群もソロパートを奏します。おしゃべりなポリフォニーとホモフォニーの組み合わせの様な楽曲です。ヘンツェですから旋律が存在するので無調の混沌さはあっても楽しい流れです。そしてもう一つはヘンツェらしい幽玄な透明感ある弦楽です。この組み合わせを基本に構成される大編成管弦楽曲ですが、それを誇示する様な爆音パートは後半に置かれています。
今の時代のクラシック音楽としてコンサートでの演奏機会があっても不思議ではありませんね。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる?


Englische Liebeslieder – Canzoni d’amore inglese
  für Violoncello und Orchester (1984/85年)
全6パートのチェロ協奏曲「イギリスの愛の歌」です。前曲のエンディングと似た入りですね。そこに無調不協和音旋律のチェロが絡んできます。静的に澱んだ流れはポリフォニー・対位的で、無調感が強くなっている気がします。パートに強音を挟んでいるので強弱のコントラストはありますね。チェロは時に技巧的に、時に繊細に奏でられます。
23'弱の楽曲で、これまたコンサート前半に置いても良い様な感じですね。


Ouverture zu einem Theater, für Orchester (2012年)
4'半の短い管弦楽曲で、米管弦楽現代音楽風ですね。ドンシャン的で鳴りの良い音と旋律を組み合わせています。もちろんヘンツェらしい幽玄さを残しながらです。



現代のクラシック音楽ですね。無調を生かした幽玄さのヘンツェの楽風が時代と共に、より自由度を増している感じが伝わりますね。

現代音楽と言っても欧州エクスペリメンタリズム(実験音楽)系ではないので、国内でももっと演奏機会が多くても良いと思います。



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キラキラとしたジェフリー・ブルック(Jeffrey Brooks)のポップ系米現代音楽:Bang on a Can All-Stars の『THE PASSION』


ジェフリー・ブルックス
(Jeffrey Brooks, 1956 - )
ミネアポリス在住の米ポップ系現代音楽家です。主たる提供先が本アルバムのBang on a Can(以下BOAC)ですね。ミネソタ大とエール大で学んだ後にルイ・アンドーリーセンにも師事しています。1980年代にタングルウッドでBOACのメンバーであるマイケル・ゴードンとデイヴィッド・ラングに出会ったのが一つの転機の様です。


THE PASSION
Bang on a Can All-Stars /w. Contemporaneous
本ブログ大推奨の米現代音楽の雄BOACのニューアルバムで、J.ブルックスのアンサンブル三部作になりますね。米現代音楽組織Bang on a Can及びそのバンドのAll-Starsについては何回も紹介済みですので割愛です。
本アルバムのメンバーはBOAC All-Starsを中心にして11人から大編成まで、Contemporaneousからメンバー補填しています。(楽曲別メンバーがありますが、ここでは記しません)

尚、BOAC All-Starsの現在のメンバーは以下の通りです。
 ・Robert Black (Bass)
 ・Taylor Levine (Guitar)
 ・David Cossin (Percussion)
 ・Vicky Chow (Piano and Keyboard)
 ・Ashley Bathgate (Cello)
 ・Ken Thomson (Saxophone)






After the Treewatcher (2013年)
'80年代のマイケル・ゴードンの"The Treewatcher"にインスパイアされて、2013年のBOACのSummer Festivalで初演されているそうです。ラストにデイヴィッド・ラングによるホテルのベル連打も再現されているとの事。
 キラキラとした金属打楽器の音色が特徴的なミニマルですね。速いリズム設定で11編成のポリフォニカルにも感じられます。一種の陶酔的な流れはまさにミニマル本流かと。ヴィッキー・チョウのpfがフィーチャーされてピアノ協奏曲的な構成でもあります。


Capriccio on the Departure of a Beloved Brother (After BWV 992) (2015年)
友人の英音楽家スティーブ・マートランドの死で、バッハの「カプリッチョ:最愛の兄の旅立ちに寄せて」を元にマートランドの好きだったロックやクラブ音楽を入れているそうです。
 レコードによるバッハの同曲再現から入ります。ドラムの音色が強く響き、E-ギターとE-ベースが強烈な反復を奏でます。この時点でクラブ系の印象が強いでしょうね。管楽器と弦楽器は副次的な印象になります。いかにも米ポップ系現代音楽らしいこの展開は面白いですね。バッハとの接点は、主反復動機(バッハから引用?!)をチェンバロでも追っている事でしょうか。三部形式の中間部(トリオ)の様なパートも緩徐的に入ります。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


The Passion (2017年)
"passion"はキリスト教の受難を意味していますが(クラシック系音楽では殆どの場合そうです)、ここでは人々の苦難を表すそうです。Voiceが入り、ロサンジェルスのジャーナリストJefferson Reidと、妹(姉?)のClaudia Brooks Lindberg(子供の末期の病に向き合った)のTextが使われています。
 動機の変奏をベースにして流れを作っています。ホモフォニー的な構成感で、単純なっミニマルではありません。そういう意味ではポスト・ミニマルになるのかもしれませんが。40年前ならフュージョン系のジャズと言った風合いにも感じますね。中盤(ここでも中間部?!)で擦った様な特殊奏法とスロー幻想的流れになるとvoiceが入ります。voiceは三人(英語とそれ以外)が重なる様な語りで、ディストーションされています。LindbergのTextでは再びリズミカルなサウンドに回帰し、voiceも調性のハーモニーなヴォーカルになります。面白い切り替えが生きています。



いかにも米ポップ系現代音楽らしいミニマルベースのアンサンブルですね。カラフルで歯切れの良さがあって気持ちよく、エレキギターやエレキベースといった楽器編成が生きて楽しいです。

J.ブルックスの楽曲とBOACの演奏のマッチングが素晴らしいです。ぜひ一度聴いてもらいたいですね。



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スザンナ・マルッキ指揮 / ヘルシンキ・フィル がクールに描く バルトークのバレエ音楽『木製の王子』と『中国の不思議な役人』


ベーラ・バルトーク
(Béla Bartók, 1881–1945)
普通のクラシック音楽ファンの方が聴ける所謂(いわゆる)現代音楽の限界と言われた事がありますが、コンサートでもよく取り上げられるハンガリーの現代音楽家ですね。今更ですが、年代的にはマーラーやドビュッシーの約20年後、ストラヴィンスキーやベルクと同年代になります。
今回はハンガリー民謡をベースにストラヴィンスキーや新ウィーン楽派の影響も取り入れた独自のスタイルが出来上がる初期舞台音楽ですね。『青髭公の城』もこの年代の作品で、舞台音楽三作はいずれも独特異様な世界観が際立つ1910-20年代の作品になりますね。


The Wooden Prince
The Miraculous Mandarin Suite
木製の王子』2017年 全曲版
ベーラ・バラージュ(Béla Baláczs)のシナリオによる一幕のバレエ曲です。ちなみに『青髭公の城』もバラージュの作品です。登場人物は王子と王女、かかし王子(木製の王子)と妖精で、かかし王子と遊ぶ王女が最後には王子と結ばれるお話です。7つの舞曲と6つの楽曲で構成されて約1時間の作品です。

中国の不思議な役人』1924/1927年 演奏会組曲版(Concert Suite)
バレエでも演じられる本来パントマイムの為の舞台音楽ですね。こちらの方がコンサートやCDでお馴染みではないでしょうか。ストーリーは悪党三人組が少女を使って宝石を纏った不気味な中国人の役人を誑し込み、逃げ廻る少女を役人が捕まえるというお話です。(組曲はそこまで) 三人組が宝石を奪って役人を殺そうとするが死なず、最後は血みどろの役人が少女と抱き合って死を迎えるのが全曲版のエンディングになります。

演奏は個人的ファンで現代音楽のスペシャリストでもあるフィンランド人女性指揮者スザンナ・マルッキ(Susanna Mälkki)、そして彼女が首席指揮者を務めるヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団(Helsinki Philharmonic Orchestra)です。マルッキの演奏なので今回聴く事にしました。






木製の王子, The Wooden Prince, Op.13, BB 74
序奏では森の深淵さが静的幽玄な流れからクレシェンドで表現され、第一舞曲は王女と妖精の様子が鎮んだ気配で奏でられます。第二舞曲は魔法をかけられた森の様子がクールです。決しておどろおどろしい気配ではなく澄んだ印象ですね。妖精に王子が邪魔される第三舞曲は緩徐で、暗く陰影の強い流れにしています。"プリンスのアイディア"は一転スケルツォ風の明るい展開を見せて、王女がかかし王子に辿り着き踊る第四舞曲(と続く二楽曲)の楽曲山場では激しさ表情変化を増して聴きごたえ十分ですね。ボロボロになったかかし王子から王子を見直す第五・第六舞曲は抑え目、王女が自棄なる第七舞曲も流れは同じです。ラストの"The Happy End"も抑えた流れから幽玄な旋律に陰を纏い、静的に終了させています。
全体としては澄んだ流れの中に幽玄さを生かした表現です。ストーリーと舞台を想像しながら聴くと、音楽がしゃしゃり出る様な流れを回避している気がしますね。クールです!!


組曲:中国の不思議な役人, The Miraculous Mandarin Suite, Op.19, BB 82
"Introduction"から"三人の男と少女"は軽妙に切れ味良く、"初めの獲物"(老人)から"二人目の獲物"(少年)は緩徐からリズムを色彩感良くいかにもバルトークらしい流れを作ります。そして"三人目の獲物"(中国の役人登場)も抑え目から鳴りの良い管楽器を生かした派手な後半へと作り上げていますね。"少女の踊り"はためらいながら踊り始める少女の様子が浮かぶ様な流れを上手くディナーミクを効かせ、"少女を追いかける中国の役人"でストラヴィンスキー風な舞曲感を強めています。(「火の鳥」のカスチェイみたいです)
ここでもクールな印象が先立ちますね。この曲の濃厚さを色濃く表現する事はありません。あくまで舞台を意識した流れを作っている感じで良いですね。




不協和音の強い両曲をクールに仕立てたS.マルッキのバルトークです。管弦楽曲としてというよりもあくまで舞台用楽曲としての完成度の高さを感じます。

より楽曲的完成度が感じられる「中国の不思議な役人」がお好みならーレーズ/シカゴ響の全曲盤(DG盤。Sony盤も良いですね)をおすすめします。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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