エリオット・シャープ(Elliott Sharp) の Tranzience を聴く

米現代音楽家エリオット・シャープ(Elliott Sharp, 1951/3/1 - )は前衛系で、特に電子音楽に関しては米国でも早くから取り入れていました。Terraplane, Carbon といったアンサンブルを率い、またギターを中心として自らのパフォーマンスも見せてくれますね。
現代音楽の作曲はモートン・フェルドマンらに師事しています。また作品はアンサンブル・モデルンやクロノスQ.にも取り上げられていますね。楽風はノイズでありノー・ウェーブ系(パンクロック・サブカルチャー)です。

本アルバムは2016年発売の室内楽集になります。エリオット・シャープ曰く、数学や科学は宇宙の生データを解析して秩序付けるものであり、自分の創作はそんな中に見る不合理や直感と合理性があるとの事です。

Tranzience / Elliott Sharp

Tranzience (2013年)
[JACK Quartet] Chris Otto, violin; Ari Streisfeld, violin; John Pickford Richards, viola; Kevin McFarland, cello
弦楽器のトリル、トレモロを徹底的に使ったノイズ系の前衛音楽です。もちろん長音もからみながら、アゴーギクを振っています。それに前衛ミニマルとでもいう様な反復が乗ってきます。28分ですが、ポリフォニーも組み込まれたりと表情変化はとても豊かです。

Approaching The Arches of Corti (1997年)
[New Thread Quartet] Geoffrey Landman, Kristen McKeon, Erin Rogers, Zach Herchen, soprano saxophones
ソプラノ・サックス四重奏曲です。ここでは極端な特殊奏法もなく、ミニマル的な反復を長音との組合せを生かしています。反復の中に楽器間の微妙なズレ(ライヒのフェイジングに様な?)も使っていますし、長音では共鳴音もある様です。ミニマル・ポリフォニーなパートもなかなかです。

Homage Leroy Jenkins (2008年)
Joshua Rubin, clarinet; Rachel Golub, violin; Jenny Lin, piano
クラリネット- ヴァイオリン - ピアノ三重奏曲です。旋律が多く感じられる音楽です。もちろん無調ですが、反復もなく旋律がからむパートは調性感さえあります。でも、その後は反復ノイズ系音楽&トリル・トレモロの波がやってきます。後半の民族音楽の様な音色は米現代音楽らしさを感じますね。

Venus & Jupiter (2012年)
[Either/Or] Stephanie Griffin, viola; Margaret Lancaster, alto flute; Chris McIntyre, trombone; Joshua Rubin, bass clarinet; David Shively, marimba; Alex Waterman, cello; Richard Carrick, piano, conductor; w/Elliott Sharp, electroacoustic guitar
こういう楽器編成が個人的には好きな米現代音楽ですね。曲風は同じですが、楽器の音色で表情の広がりがありますね。ポリフォニーでは楽器編成が広がった分の混沌が現れてきます。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
 世界初演のステージです。もちろんEither/Orと本人のE.ギター&指揮です。




様々な楽器編成でエリオット・シャープの反復&トリル・トレモロのノイズ音楽が楽しめますね。その中に旋律が存在するのが米現代音楽と言う感じです。
即興的混沌や微分音の様な極端な不安定感は少なく聴きやすいノイズ音楽?!ですね。
ノイズ系現代音楽を聴いてみるにはおすすめですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ジョン・アダムズ(John Adams)のシェヘラザード2を聴く:都響公演(本邦初演)を前に

都響のコマーシャルが飛びまくるジョン・アダムズ(John Coolidge Adams, 1947/2/15 - )の昨年作品「シェヘラザード.2)」を聴いておきましょう。もちろん都響定期公演(A.ギルバート指揮)のチケットを持っている4月18日公演の予習ですね。
とはいえ、定期公演のチケットがなければ楽風から見て行く事は無いでしょう。また、個人的には2005年度武満徹作曲賞とコンポージアム2005を個人的な商業的理由からすっぽかした悪印象から逃れられませんが...(汗)

この作品は日本初演(Japan Premiere)ですね。騒がれていますが、ポイントは以下の様です。
1.今回指揮のアラン・ギルバート指揮による初演で2回の日本公演が45・46回目の話題曲である事 2.ヴァイオリンが主役のコンチェルト風(作品を献呈されたリーラ・ジョセフォウィッツが全ての演奏会でvn独奏) 3.ツィンバロンが使われている事(本ブログでは紹介済み)

シェヘラザードと言えばリムスキー=コルサコフですが、その関係や今の時代のシェヘラザードを描いた事は本人の語りでどうぞ。

Scheherazade.2 / John Adams

第1楽章:若く聡明な女性の物語 - 狂信者たちに追われて / I. Tale of the Wise Young Woman - Pursuit by the True Believers
 いきなりのツィンバロンとvnの音色で始まります。第一印象は現代音楽ではなく、映画音楽風の標題音楽という事ですね。各楽器が役割を持っていて、機能和声での旋律がアラビア風サウンドを奏でます。ツィンバロンの音色も一役買っています。
主役のvnは雄弁で語りの様な旋律です。

第2楽章:はるかなる欲望(愛の場面) / II. A Long Desire (love scene)
 楽章は変わりますが、構成感は変わりません。構成がソナタ形式を採用しているのかも一回目では主題やトリオ(曲調変化はわかりますが)は不明です。

第3楽章:シェヘラザードと髭を蓄えた男たち / III. Scheherazade and the Men with Beards
 ここでも同じです。緩徐楽章を入れてもよかったのではないかと思ってしまいますね。

第4楽章:脱出、飛翔、聖域サンクチュアリ / IV. Escape, Flight, Sanctuary
 最終楽章もアクの強いアゴーギクとディナーミクは変わりません。四楽章通して常時劇的シーンの様な流れは少々疲れる感が拭い切れません。(断片的に緩徐シーンはありますが...)
最後は静的に終了します。
ちなみに、vnのLeila Josefowiczは刺激的な演奏を見せてくれました。そこはコンサートが楽しみですね。



ヴァイオリンがシェヘラザードとなって語る千夜一夜物語音楽「劇的交響曲」ですね。そういう意味ではリムスキー=コルサコフの様な音楽性よりもストーリー性が濃厚です。同じストーリー性で言えばR.シュトラウスの「ドン・キホーテ」の様な後期ロマン派音楽作品というよりも、より出し入れの強い映画音楽風でsolo-vnの出番も多いです。

今の時代のクラシック音楽 ヴァイオリン協奏曲風でしょうか。というよりも、コンサート受けを考えて作られている感じもしますね。オケはドンシャン風、vnもキレキレですからw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

先月発売の アムラン と ブニアティシヴィリ で聴き比べるラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番

ここ近々で発売されたセルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninov, 1873/4/1 - 1943/3/28)のピアノ協奏曲第三番、注目の二枚を聴き比べてみようと思います。
言わずと知れた人気の超絶技巧ピアノ・コンチェルトですのでラフマニノフと曲の紹介は割愛ですね。
それにしてもジャケットもモノクロでタイトルが赤と似ていますよね。

HamelinBuniatishvili.jpg



かつてハマっていたアムランのCDは10枚以上インプレ済みだと思いますが、近年は来日がありませんね。
マルク=アンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)と書きますが、発音はマルカンドレ・アムラン。そんな事は音楽に関係無いと思いますが、こだわる人もいて日本語化は面倒です。

Medtner Piano Concerto No.2, Rachmaninov Piano Concerto No.3 / Marc-Andre Hamelin

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
 全体スローです。第一楽章の例のカデンツァ(長くなるのでオリジナルとオッシアの件は割愛w)は切れ味の効いた、これ見よがしの無いシャープさです。アムランらしいですね。第二楽章のエピソードなどもピアノの歯切れの良さは素晴らしいですね。通してピアノパートは派手さを抑えたアムラン・パターン、オケも控えめで落ち着いたコンビネーションです。pfはたとえ強音パートでも興奮より雄大さ。ユロフスキ指揮/ロンドンフィルも寄り添うように必要以上の盛上げを回避しています。全てで音の粒立ちの良さはアムランらしい さりげない超絶テク、まさにクール!
コンサートで熱狂を誘う様なあざとい演奏とは一線を画した、アムランのコンチェルトですね。

□ メトネル・ピアノ協奏曲第2番
 カップリングはメトネル(Nikolai Karlovich Medtner, 1880/1/5 - 1951/11/13)です。と言ってもアムランとイリーナ・メジューエワくらいしか浮かびません。アムランのアルバムで初めて聴いたのが正直なところです。ラフマニノフの7歳上、印象はロシア的ロマン派ですね。
まさにそんな曲ですが、ここでのアムランはラフマニノフよりも饒舌です。表情を強く出す様なディナーミクと見合ったpfの力を見せてくれますね。特別面白い曲でも無いのですが、打鍵の切れ味の良いアムランのpfが最大の魅力です。



見た目の肉感的(失礼!)な様相とは違うエモーショナルさが好きなピアニスト、ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili)です。この二曲は不安感でした。大向こうを唸らせる演奏が今のブニアティシヴィリの個性に合ってとは思えない気がするからですね、個人的にですが。

Rachmaninoff Piano Concertos Nos 2&3 / Khatia Buniatishvili

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
 速めでアゴーギクを振ります。第一楽章のカデンツァは濃い感じがブニアティシヴィリらしく無い気がします。速めな分、pfは技巧を見せつけたくなる展開ですがそこはブニアティシヴィリ、明るいパートやスローなパートでの情感あるエモーショナルさを聴かせます。この曲の持つ美しさを最大限表すブニアティシヴィリの良さですね。ただ、オケ(P.ヤルヴィ/チェコフィル)はもったいぶった陰影を付け過ぎのきらいが感じられます。強音パートでのpfのブニアティシヴィリも今ひとつ、そこでのネガティブ感が強いですね。プロデューサー、グロスの責任?w

□ ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番
 カップリングされたのは第2番、ここでも同じ事が感じられます。確かにこの二曲は重厚壮大さでコンサートでは大受けとなるわけですが、ブニアティシヴィリの良さを生かすのが本当にその王道でP.ヤルヴィ/チェコフィルの様なセットなのかなぁ、って思います。ブニアティシヴィリの感性を生かした解釈で新しいラフマニノフのピアノ協奏曲を作っても良かったのでは。今更リヒテルも無いでしょうし、アルゲリッチから脱却してもいいと思います。その手はラン・ランあたりに任せて、今の時代の新しい演奏が聴きたいですね。

このブログのブニアティシヴィリ関連投稿記事



クールなヴィルトゥオーゾ、アムラン。際立つ超絶技巧を軽々と難なく見せつけるスタイルはやっぱり素晴らしく、買って損なし!!です。メトネルの情熱ある演奏も良いですね。久しぶりのアムランを楽しめました。
 一方ブニアティシヴィリは彼女らしい情感の高さを生かすも、重厚な興奮を求めたくなるパートでその良さが生かせず。もし、そのパートを音楽監督やプロデューサーが新しいオリジナリティを考えていたらもっと違った世界があったかもしれません。良い悪いはわかりませんが、期待したブニアティシヴィリではありませんでした。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ガリーナ・ウストヴォーリスカヤ(Galina Ustvolskaya)の ピアノ作品集(Piano Sonatas No.1-6, 12 Preludes)を聴く

超個性的なロシアの女性現代音楽家ガリーナ・ウストヴォーリスカヤ(Galina Ustvolskaya, 1919/6/17 - 2006/12/22)のピアノ作品集です。ショスタコーヴィチとの師弟関係等は以前に紹介済みです。

何と言っても後期のホモフォニーで単拍子のクラスター音楽は似た世界がありません。このアルバムでは1947年から1988年にかけてのピアノ・ソナタと1953年の12 Preludesが楽しめます。
ピアノはイワン・ソコロフ(Ivan Sokolov)です。ウストヴォーリスカヤのピアノ曲集は多数出ているので、本来ならヒンターホイザー(Markus Hinterhaeuser)らとの聴き比べが必要でしょうが、今回は楽曲のインプレになります。

Piano Sonatas No.1-6, 12 Preludes / Galina Ustvolskaya

■ ピアノ・ソナタ第1番 (1947年)
四楽章の音列配置的な楽曲です。第三楽章は緩徐楽章ですが、全楽章で打鍵の強さを感じますね。一つ一つの音が存在感を持つのはこの時代から既に確立されていた感じです。基本的には新ウィーン楽派ピアノ曲からの派生の様相です。

■ ピアノ・ソナタ第2番 (1949年)
二楽章で#1に似ている展開です。一つの音符に明瞭に打たれる強い打鍵音はウストヴォーリスカヤですが、全体としては音列配置風の音楽の域を脱しませんね。ただ、後半楽章で旋律的な展開や反復が見られる様になります。

■ ピアノ・ソナタ第3番 (1952年)
一楽章形式になります。反復が採用され、打鍵音には強弱の変化が大きくなります。基本的にはアルペジオ点描的音列ですが、表情変化が明らかに認められる様になりますね。

■ ピアノ・ソナタ第4番 (1957年)
時代はトータルセリエルからポストセリエルへの時代。四楽章形式に戻りますが、強弱のコントラストと旋律の存在、そして反復が明確になります。和音やトリル展開も入り、それが音列配置の中に何か超える楽風を見せ始めます。

■ ピアノ・ソナタ第5番 (1986年)
何と約30年を隔てて創られた一楽章のソナタです。いきなりの強音展開です。和音でのクラスター音は音塊です。基本に流れるのは反復構成で、緊迫感を増していますね。静音との対比で、それが一層感じられますね。後期のウストヴォーリスカヤらしいパワーが溢れています。

■ ピアノ・ソナタ第6番 (1988年)
一楽章で、よりおどろおどろしい気配が強くなります。執拗な反復と低音域の和音クラスターの組み合わせは単拍子で特徴的、ピアノがゴワ〜ンと共振しているのがわかります。無比のウストヴォーリスカヤのとんでもない素晴らしさです。

試しにYouTubeで聴いてみる?
 楽譜付です。♩=92の速度記号と1/4の拍子記号はありますが小節はありません。単拍子の楽譜が明瞭です。(拍子記号があるのに小節がないのも不思議ですが...)


12の前奏曲 (1953年)
ピアノソナタ第3番の翌年作品です。基本姿勢はpreludeだからと言って変わるはずもなく、ここでは小節はありませんが1/4と1/8の拍子記号はあります。(小節も拍子記号もない事が多い様です)
印象はsonata no.3と同じですね。

試しにYouTubeで聴いてみる?
 同じく楽譜付です。




何と言っても後期、ピアノソナタ第5番・第6番です。それも圧倒的に第6番の凄さで、一時代 人気を博したのがわかりますね。実にオススメです。

このブログのウストヴォーリスカヤの投稿記事



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ペーテル・エトヴェシュ(Peter Eotvos)の Chinese Opera, Shadows, Steine を聴く

個人的ご贔屓のハンガリーの現代音楽家ペーテル・エトヴェシュ(Peter Eötvös, 1944/1/2 - )です。
代表作のatlantisを含めて何回も紹介しているので、そのスタイル等は割愛です。

エトヴェシュは多様性があって楽しいですね。今回は1990年代前後のアンサンブル作品集で、演奏は Peter Eötvös 本人指揮、演奏はスイスの現代音楽家ベアト・フラーが創設した Klangforum Wien です。

Chinese Opera, Shadows, Steine / Peter Eötvös

Chinese Opera (1986年), for ensemble
 1. Erste Szene in E und Gis - 2. Zweite Szene in F und G - 3. Dritte Szene in Fis und C
ブーレーズの後を継いで音楽監督を務めていたアンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain) 10周年に書かれた曲です。エトヴェシュは、自分のイメージの京劇をシーンとシネマ風に表現したと言っていますね。それが自分の得意分野とするオペラだそうです。
 京劇は印象程度しかわかりませんが、ドラや打楽器の音色に確かに舞踊的なサウンドを感じます。その意味で1990年代に入ってからのエトヴェシュらしい空間音響の様な音楽とは一線を画す作品ですね。
無調でポリフォニーとモノフォニー、細かい音色の弦楽器の静音と対峙する様な管楽器の出現、そして特殊奏法や反復。基本的な楽風は変わりませんが、コントラストは弱いですね。

Shadows (1996年), for ensemble
 1.Satz - 2.Satz - 3.Satz
三楽章からなるフルートとクラリネットの協奏曲で上記の代表作atlantisにも収録されていました。ライナーノートには弦楽器と管楽器が向かい合う配置や、マイクによる音取り、スピーカー配置が記されています。と言う事でライヴエレクトロニクスの楽曲です。
 二つの楽器のカデンツァの会話がポイントだとあり、その通りですw 曲調はエトヴェシュらしさ、澄んだ静音と現れる強音の対比、が際立ちます。詳細はatlantisで書いた通りで、特にpart1.と3が研ぎ澄まされてイイですね。^^v

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  第一楽章の約3分です


Steine (1985-1990年), for ensemble
エトヴェシュの技法が網羅された室内楽曲ですね。ポリフォニーとモノフォニーで各楽器の奏でるDialogを基本としています。静音にも強音にも感じられる緊張感がありますね。音数が少ない静音パートは素晴らしいです。



前回のSNATCHESではジャズをベースにした楽しさを紹介しましたが、懐の広さから楽しめるのがエトヴェシュだと思います。そろそろオペラ作品を紹介する必要がありそうですね。

本ブログのエトヴェシュの記事



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

Ensemble Modern plays Frank Zappa, Greggery Peccary & Other Persuasions を聴く

普通はフランク・ザッパ(Frank Vincent Zappa, 1940/12/21 - 1993/12/4) と言えば政治色の強いロックですよね。もちろん私も学生時代にロック・ギタリストとしてのザッパを知っていました。
現代音楽には1980年代中盤から電子楽器シンクラヴィア(Synclavier)で踏み込むわけですが、現代音楽家としての認知は音楽界でも高いとは言えない気がします。ブーレーズやアンサンブル・モデルンが取り上げても変わらないでしょう。
それには、明確な音楽理論に基づく作曲になっていない、という意見がありますね。現代音楽は自らの音楽理論をどう楽曲にしているか、が一つの大きなポイントです。

このアルバムは現代音楽でのZappaの代表作にして遺作ライヴ録音『The Yellow Shark』(1992年9月)と同じ、独前衛現代音楽アンサンブル「Ensemble Modern」によるザッパ没後10年の作品になります。今回は楽曲がE.M.の意図で再構築されています。

Ensemble Modern plays Frank Zappa, Greggery Peccary & Other Persuasions / Ensemble Modern

1. Moggio:ポップカルチャーのビッグバンド
2. What Will Rumi Do?:一昔前のフュージョン
3. Night School:#2のアップテンポ
4. Revised Music For Low Budget Orchestra:不協和音と変拍子のビッグバンド
5. The Beltway Bandits:ハイテンポな不協和音フュージョン、モチーフ的
6. A Pig With Wings:民族音楽的幻想曲、未完成の構想風
7. Put A Motor In Yourself:リズミカルでコミカルなフュージョン
8. Peaches En Regalia:映画音楽風
9. Naval Aviation In Art?:映画の状況描写の効果音楽みたいな

タイトル通りここ9曲目までは1〜7分半ほどの小曲で、とても心地よいロック&ジャジーなフュージョン曲集です。

10. The Adventures Of Greggery Peccary
メインで21分強の楽曲です。「グレッガリー・ペッカリーの冒険」の通りの、物語を語りと展開効果音楽で構成した映画音楽風標題音楽です。背景にアニメがあれば、ディズニーとかの音楽っぽいです。
主犯意図はアンサンブル・モデルンのサウンド・ダイレクターNorbert Ommerでしょうねぇ、きっとw

試しにYouTubeで聴いてみる?
 なんと全曲試聴できます!




どこをどう弄ったらこうなったのでしょうか?! Todd Yvegaがザッパのシンクラヴィア楽譜からピックアップしてAli N. Askinがアレンジとありますが、これがアンサンブル・モデルンが目指した音楽とは驚きです。好きなポップカルチャー系米現代音楽としても、ただのポップにしか聴こえません。
Transcriptionとある時点でザッパの曲ではなくなって、Ali N. Askinの曲になっているわけですが....

...なるほど、もっと先を行くポップ系をE.M.は狙っていたのですね。^^


本ブログ中の Frank Zappa の投稿記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 40CD聴き比べ! [#1 / CD:1-10]

【2017年3月23日 見直し修正実施】
本投稿は2012年4月10日版なのですが、バーンスタイン, アバド, ラトルの計9枚を聴き直してインプレ部分を修正しました。その他は投稿当時の内容になります。


このブログで有名交響曲をあまり出していないのですが、今回はマーラーの交響曲第9番で話題のバーンスタイン/イスラエル・フィルのアルバムが出たので聴き比べを載せてみようと思います。
とりあえずはバーンスタイン既発4枚を含め10CDsほど聴き比べてみました。マーラーの9番は5番と違い全部で50CDsくらいしかありませんから、集中力があればすぐに聴き比べできちゃいそうですね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#3 40CDまで)
 #3:10CD
 #2:20CD
 #1:10CD 本投稿



まずはバーンスタインを年代順に聴き比べです。

バーンスタインN.Y SO 1965年 [Sony]
 若きレニーとNYSOの一枚。
第一楽章の第一主題は美しさを、そして第二主題は大きく。第三主題以降でやや間延び感があり、山場は切れ味はありますが今ひとつ掴み処が弱いです。第二楽章は緩やかなレントラーですが切れ味という点ではまだまだ弱いですね。第三楽章も同様でスマートな演奏ですが特徴が薄いですね。第四楽章の主題は澄んだ美しさ第一第二主題の対比は弱いです。その後も緩やかな美しさを主体としてラストへ向かいます。
・・・・・
悪いところはない代わりに、その後のレニーの9番を聴くと平凡過ぎて物足りなさだけを感じてしまいますね。
リマスターの12CDsetで持ってますけど、発売時は¥2kを切っていて驚きました。



バーンスタインBoston SO 1979Live [sardana]
 かのベルリンフィルLiveと同年の7月、タングルウッド(Tanglewood Music Festival)での録音(非正規)ですね。オケはタングルウッド音楽祭ですからボストン響。BPOとの3ヶ月前で同様の客演Liveです。これはもう その違いを聴く事以外にありません。
第一楽章第一主題から第二主題への流れは似ていますが丁寧で、第三主題も同様です。その後の起伏も暴れないだけで迫力はそのままですね。第二楽章はシャープで優美なレントラーですが、やや緩さが強いかも。第三楽章は悪くはありませんが、マーラーの指示の「きわめて反抗的」より上品な感じでフラットに感じます。ラストのストレッタは大迫力です。第四楽章の弦楽による主題は端正な緩やかさで美しいです。第一エピソードの後の大きな美しさは特筆的、第二エピソード後の押し迫る様な迫力も素晴らしいですね。コーダのアダージッシモの静的な透明感は録音のS/N比の悪さが残念です。
・・・・・
演奏時間も含めて似た演奏です。三ヶ月後のBPOと違うのは音の揃いが良い分スローパートがやや緩く感じる事(録音の問題も大きいでしょう)、迫力と情熱はバーンスタインのコントロール下にある事でしょう。第一第四楽章は実に素晴らしいです。非正規盤としては音も悪くありませんが、正規録音盤が出て欲しい一枚ですね。
これを超える+αがあるのがBPO盤という事になりますね。


★☆ バーンスタインBPO 1979Live [DG]
 かの有名なベルリンフィルとのLiveです。第一楽章はあまり美しさを感じられません。音のそろいが良くない裏に張りつめた緊張感が感じられます。そして何より緊迫感の第三主題、その後の起伏と陰鬱さはもの凄いです。第二楽章は意図してなのかわかりようも無いのですが、マーラーの指示以上に荒いレントラーで一触即発的な緊迫を感じるキレキレの演奏。第三楽章は切れ味鋭い演奏ですが12分と短い楽章で、ラストのストレッタは迫力。第四楽章は美しい弦楽主題と雄大さ、音の乱れと緊張感による迫力、その中に光る美しさを感じます。特に第一エピソード後の美しさ、第二エピソード後のクライマックスは素晴らしいですね。
・・・・・
緊迫的激情、狂気さえ感じるスリル満点のマラ9。そういうのが好きな人にはお奨め盤。もちろん今回発売のIPOよりも好きです。そして実は3ヶ月前のボストン響との演奏がキーになっているのも事実ですね。
この様な超有名な演奏について素人がとやかく言うのはヤボというものですけど.....

これに対抗出来るとすれば、カラヤンの1982-5/1ライブ(非正規盤)しか見当たらないです。#2で、その他好きな盤も紹介します。
ちなみにkokotonPAPA的に この曲は丁寧にまとめあがったものよりも情熱あふれる演奏が好き。5番, 6番, もそうかもしれないですね。6番は端正な演奏もまた良しですが。


★☆ バーンスタインRCO 1985 [DG]
 耽美なるマラ9典型です。スローな入りで美しい第一主題、そして激しさ有る第一楽章は大海の波の様。その迫力は緊迫感や興奮よりも派手で華やか。コーダは繊細そのもの。そこがロイヤルコンセルトへボウ(Royal Concertgebouw)でしょうか。
第二楽章もいいテンポ、しかしIPOやBPOの様な狂気性はありません。その代わりに優美なレントラーが置かれています。第三楽章は早くて切れ味の良さがありますが、迫力より繊細さが感じられますね。第四楽章も入りの弦楽主題から悲しみさえも感じられる独特の美しさです。繊細な第一エピソードの後は主題にある冷たい美しさはまさに流麗で壮大です。第二エピソードは清貧の美しさ、そしてその後の山場はその美しさを昇華させてまさにこの楽章のハイライトです。ここからの静音パートはコーダの「ersterbend, 死に絶えるように」に向けて本当に素晴らしい流れです。マーラーが9番に死のイメージを埋めたなら、まさにこの楽章はそのものでしょう。
・・・・・
RCOと作り上げたこの素晴らしい第四楽章を聴くと、レニーはこの先にどんなマーラ−9番を見ていたのか想像を禁じえません。感動的な楽章で、この楽章を聴くだけで所有する価値がありますね。
(今回発売になったIPO盤と同年二ヶ月前の演奏になりますが、この違いはなんなのでしょうか。緊張感や緊迫感は排除されて美しさを基にした迫力と流麗耽美なマーラー9番です。よく聴けばアゴーギクなど似ている事は明確なのですが、不思議です)


☆ バーンスタインIPO 1985年Live [helicon]
 これが今回発売された興味津々のBernstein & IPOのMahler No.9ですね。ユダヤがどうのこうの....とか、最高だった日本公演との比較だとか話題ですね。興味ある方はググってみてください。
バーンスタイン-IPO-マーラー9

一楽章は第一主題と第二主題のコントラストが強めです。その後も気迫ある展開は良いのですが全体は緩めで小慣れた感じになって間延び感があります。
第二楽章はゆったりとしたテンポ、リズミックな中に潜む緊張感。レントラーではありますが、この楽章にはマーラーの指示「きわめて粗野に」が生きてますね。続く三楽章は緊張感はそのままに気迫のこもった展開で、ラストのストレッタは錯乱的爆裂です。
第四楽章の入りからの弦楽主題は包み込む様な音の抱擁感で緊張感はありません。第一エピソードの後の重厚で切迫的な美しさ、第二エピソード後の山場は張りつめたものが感じられますね。コーダのアダージッシモと、そこへ向かう静音パートは研ぎ澄まされています。
・・・・・
コンセルトヘボウとの録音の2ヶ月後の演奏としては印象が大きく異なり、どこか6年前のBPO時代に逆戻りの印象が強く、BPO盤と比べたくなってしまいますね。
そうなると第一楽章は完成度の高さと引き換えに、迫る緊迫感や緊張感が薄れています。しかし、第二第三楽章は本当に素晴らしい!


☆ アバドVPO 1988Live [DG]
 クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)ウィーン国立歌劇場音楽監督時代のウィーンフィルとの演奏ですね。
第一楽章第一主題は緩やか遅め、第二主題も重さ控えめ、でも全体としてはとてもバランスと切れ味の良さを感じます。クールです。
第二楽章のレントラーは揺らぎを感じますが、軽妙さも持ち合わせていますね。基本はシャープです。第三楽章も流れは同じく気持ちの良い「きわめて反抗的に」を表現した演奏です。ラストはアッチェレランドをかけていますね。
第四楽章は穏やかな流れの主題から、第一エピソード後のホルンと弦楽の程良い美しさへと繋がります。その後情感ある第二エピソード、そして音揃いの良い山場へ流れ込みます。この流れはラストのpppへのつながりも良く、クールに終焉しますね。
・・・・・
アバドのマーラー9番だとBPOの方がどうしても評判が高いのですが、適度な興奮と切れ味のVPOとの本録音も決して悪くないと思います。基本的な構成はよく似ている感じがしますね。


★☆ アバドBPO 1999Live [DG]
 アバドと言う指揮者はあまり好みではなかったのですが、近年その素晴らしさがわかるようになってきました。
このBPOとのマラ9も素晴らしいですね。アバドと言うと思い入れの強い展開が無いイメージでしたが違い、第一楽章からしてアゴーギクを効かせた演奏でエモーショナルな重厚感で盛り上げてきます。特に第二主題から第三主題への揺らぎは情感高いです。BPOの適度な荒れ方も"それらしい"流れを作っていますね。
第二楽章も揺らぎの強い、優雅さよりも迫力を感じるレントラーです。BPOのパワーを感じますね。第三楽章も前楽章の流れをつなぐように最後のストレッタまでパワフルな演奏です。
第四楽章の弦楽主題も音の厚みのある重厚さで、第一エピソード後の弦楽パートも凄い音圧です。第二エピソードは透明感、その後の山場はこの曲のピークと言えるでしょう。そしてコーダ"アダージッシモ"では一転、マーラーの指示するersterbendらしい最後を見せてくれます。
・・・・・
バーンスタインもカラヤンもBPOとの素晴らしい演奏を残しているのですが、これまたアバドBPOの迫力と鬼気迫る重量級の演奏です。素晴らしいですね!


ラトルVPO 1993Live [EMI]
 バーミンガム市響の音楽監督だったサー・サイモン・ラトル(Sir Simon Rattle)がウィーンフィルを振ったマーラー9番です。
もったいぶったスローな第一楽章第一主題ですが、重厚さはありません。そこから第二主題はボリュームアップにコントラストを強めます。楽章中後半でもアゴーギク&ディナーミクの出し入れの強い演奏ですが、感情移入の様なものは薄く 計算尽くな気配が強く感じられますね。"なるほどね…" 的な、でもこの楽章に必要な音量だけではない迫力が感じられません。
第二楽章も同様で、揺さぶられたレントラーはクセが強いです。その他は平凡かも。第三楽章も同様で、それ以上の特徴はありません。
第四楽章の弦楽主題は緩め、第一エピソードも緩め、その後の叙情性が高い弦楽もやや緩めです。第二エピソード後訪れる山場は速めのスピードで盛り上げます。ラスト5'とpppは美しいです。
・・・・・
ラトルが計算しつくした演奏なのでしょうが、迫力なのか緩いのか、はたまた重量級なのか軽快なのか、クセが強くキョロキョロと表情が変わるので掴み処がありません。


ラトルBPO 2007Live [EMI]
 VPOとの録音から14年後、ベルリンフィルの首席指揮者兼芸術監督に就任して5年後の充実期に入っての演奏ですね。
ここでももったいぶったスローの第一楽章第一主題ですが、雄大さと第二主題とのバランスは取れていますね。提示部の流れは自然になり第三主題から山場へもBPOらしい音圧のある波の様な揺らぎは自然です。展開部と再現部もアゴーギクとディナーミクの不自然さが1993年VPOほどはなく、ベースは重厚さです。この曲のBPOの録音に共通する気がします。
第二楽章のレントラーの入りを除くと、第三楽章も不自然さのあった出し入れはなくなり迫力ベースの演奏となっていますね。しつこさ クドさを感じますが。
第四楽章弦楽主題は濃くて暑苦しいですw その後も弦楽を主体としたこの楽章が全面的に音の厚みをメインに演奏されるのはあまり記憶にありません。コーダのアダージッシモも明瞭さがあり、ラストpppで整える感じです。
・・・・・
重厚さと迫力、この曲のBPOの録音に共通ものがここにもある気がします。曲者ヴィルトゥオーゾ集団BPOのなせる技なのか、指揮者の共通イメージなのか…
ラトルで言うと基本はVPO時代と変わらずの しつこさとクドさ感が残ります。


ゲルギエフLSO 2011Live [LSO]
 昨年のライブ。当代人気の指揮者の一人ゲルギエフとロンドンSOとの競演盤です。当然ながら期待値高く聴いたCDですね。
第一楽章の入りはppで静かに、しかしすぐに一転 ディナーミクとアゴーギクを効かせて来きます。第一主題も豪快な響きながら後半は落ち着きを見せます。ゲルギエフは幽玄凄涼なる音作りと、正反対に激情的な展開のバランスが同居しますね。第二楽章はシャープなリズムを刻みながら第二主題へ入って行きます。力強い。それにしてもLSOの弦は柔らかな音を出します。第三楽章はアンバランスさは良いのですがイマイチ締まりがない感じ。第四楽章は流麗な弦から入ります。この楽章は素晴らしいです。出来ればもう少し陰が欲しいですね。
・・・・・
第一・二・三楽章は力技的、最終楽章が流麗なマラ9です。


ムント 京都SO 2001-3/22,24,25,26 [BMG]
 京都交響楽団とUwe Mundの競演盤。 全体的にスローな第一楽章。ディナーミクが低く、やや眠い調子。演奏は丁寧ですが、それがかえって期待させる気配を薄めている様です。第二楽章の入り、レントラーも生真面目。ロンドが少しメリハリがあり、締まりのある演奏になります。最終楽章も一部ディナーミクを大きくとる事もあり、後半の二つの楽章が救いでしょうか。
・・・・・
インテンポまじめなマーラー9番。


朝比奈隆 大阪PO 1983-2/15 [FIREBIRD]

 全体的に暗い 第一楽章。演奏も暗い。特筆する事なし....かな。第二楽章も眠い。これはディナーミク不足じゃないのかなぁ。一つ一つの楽器に力が感じられません。第三楽章も少々ギクシャクした感じで、最後まで期待を越える演奏がないのは残念です。その中であえて言うなら第四楽章のラストのpppの演奏が良い感じ。
・・・・・
人それぞれとはいうものの、これで本当にブラボーなのかなぁ......



次はカラヤンのライブとかテンシュテットのライブとか、非正規盤の気になるのも合わせて聴き比べてみたいと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バーデン・バーデンのオペラ・ガラ(OPERA GALA live from Baden-Baden)を楽しむならやっぱり映像付きですね

当初CDで所有していた2007年盤ですが、2016年盤が映像オンリーだったので、合わせてDVDを購入して楽しみました。遅れてのインプレですw

オペラ・ガラ バーデン・バーデン

オペラはもちろん楽しいですが、この様なガラ・コンサートでは色々なアリアを舞台さながらに、またエンターテイメントを効かせて楽しめるので大好きですね。
バーデン・バーデンのホールは、オーケストラを周り囲むように舞台設定されています。2016年は舞台右側にも回り上がっていますね。



THE OPERA GALA live from Baden-Baden 2007
Anna Netrebko(soprano), Elīna Garanča(mezzo-soprano), Ramón Vargas(tenor), Ludovic Tézier(baritone), Marco Armiliato(cond.)

曲目も四人のバランスの良さも楽しさいっぱいです。でもこの年は花のある女性陣二人エリーナ・ガランチャとアンナ・ネトレプコが主役でしょう。艶やかな声のネトレプコ(まだプロポーションも…w)と、個人的にファンのガランチャの透明感と切れ味の歌声ですね。そして重唱曲が多いのも楽しめます。


6曲目 ベッリーニ:『ノルマ』より「清らかな女神よ」ネトレプコ:前半はしっとりと、後半はコロラトゥーラ風に素晴らしいソプラノを聴かせてくれます。お見事!!の喝采です。
7曲目 ロッシーニ:『チェネレントラ』より「不安と涙のうちに生まれ」ガランチャ:続けてガランチャもテクニックを見せつけるような素晴らしい歌声披露です。もちろん大喝采
10曲目 ドリーブ:『ラクメ』より「花の二重唱」ネトレプコ、ガランチャ:澄んで美しい重唱です。ラストは舞台から去りながら遠ざかる歌声が静かに流れます。このデュエットの素晴らしさで、前半のハイライトですね。
 ★試しにYouTubeで観てみる?

11曲目 ビゼー:『真珠とり』より「神殿の奥深く」ヴァルガス、テジエ:続く男性人重唱も聴かせます。しっとりとした前半から風雲急を告げる変化に美しい調べ、男の友情で好きな楽曲でグッと来ます。前曲ドリープのラクメと似た同じ叙情的フランス・オペラで曲調もよく似ていますね。
16曲目 ヴェルディ:『リゴレット』より「愛する美しい乙女よ」ネトレプコ、ガランチャ、ヴァルガス、テジエ:全員登場です。選択曲も良く、特にガランチャとヴァルガスはバッチリ。この日のメインでしょう。
17曲目 レハール:『ジュディッタ』より「私のくちびるは熱いキスをする (私は自分自身が分からない)」ネトレプコ:歌って踊って、靴を脱ぎ飛ばす。観客に花を投げたり、コンマスに抱きついたりと大暴れのネトレプコちゃんエンターテイメントの舞台です。楽しさいっぱい、ガラならではの楽しさですね。大ブラボーです!!
20曲目 ビゼー:『カルメン』より「闘牛士の歌」テジエ:控えめながらテジエのバリトンは好みの声で、この曲らしさをスマートに楽しめます。やっぱりこの曲は大喝采です!!
 ★試しにYouTubeで観てみる?

21曲目 ヴェルディ:『椿姫』より「乾杯の歌」ネトレプコ、ガランチャ、ヴァルガス、テジエ:全員ワイン片手で乾杯しながら歌います。手拍子も沸き、もぅ最高です!! これほどピッタリな曲はないでしょう。スタンディングオベーションです。最後の二曲は選曲がずるい!!

【演奏】マルコ・アルミリアート(指揮)、SWR南西ドイツ放送交響楽団
【収録】2007年7-8月、バーデン・バーデン祝祭劇場

試しにYouTubeで全部観てみる?
 なんと全編観られます!! 映像も良く、それも英訳付きです。


CDですと曲目は少なくなりますが、いい曲は全部入っていますね。




OPERA GALA live from Baden-Baden 2016
Anja Harteros(soprano), Ekaterina Gubanova(mezzo-soprano), Jonas Kaufmann(teno), Bryn Terfel(bass/baritone), Marco Armiliato(cond.)

2016年の主役はやっぱり男性陣ですね。女性陣二人もさることながら、情感と艶やかな歌声のヨナス・カウフマンと、表情豊かに演じ歌うブリン・ターフェルの二人は場をもたせますね。


4曲目 プッチーニ:『トスカ』より「星は光りぬ」カウフマン:実はあまり好きではないカウフマンですが、情感強いテノールはこの曲にぴったりです。声援も一番人気です。
5曲目 ボイト:『メフィストーフェレ』より「私は悪魔の精」ターフェル:演じるターフェルの楽しさいっぱい、会場と掛け合う指笛でも楽しませてくれます。
7曲目 マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「お前ここにいたのか、サントゥッツァ?」グバノヴァ、カウフマン:やっぱりガラの楽しみの一つはデュエットですね。オペラの舞台さながらのやり取りは素晴らしいです。グバノヴァの熱唱とカウフマンの艶やかな歌声が素晴らしいですね。前半の見せ場です。
11曲目 ヴェルディ:『ドン・カルロ』より「呪わしき美貌」グバノヴァ:グバノヴァの熱唱はやっぱり聴かせます。予定では好きなガランチャだったのですが、これなら変わっても納得感が高いですね。
16曲目 ジェリー・ボック:『屋根の上のバイオリン弾き』より「金持ちだったら」ターフェル:ターフェルの語りとダンスw付きですから最高ですね。この歌は英語版なので楽しめます。コミカルな曲調でターフェルの魅力に溢れてます。
 ★試しにYouTubeで観てみる?

18曲目 レハール:『ほほえみの国』より「君こそわが心の全て」グバノヴァ、カウフマン、ハルテロス、ターフェル:お約束の全員揃いです。四人の仕草も含めて楽しさいっぱい、これが楽しくないわけがありませんね。ちなみにジャケットはこの歌のシーンです。

【演奏】マルコ・アルミリアート(指揮)、バーデン・シュターツカペレ
【収録】2016年7月22, 24日、バーデン・バーデン祝祭劇場



価格からも絶対オススメですね。楽しさいっぱいですから。こんなのからオペラに入ってもいいですよね。
どちらか一本なら2007年盤の方。重唱シーンも多く、選曲が舞台受けするうまさもありますね。個人的には好きな曲も多いです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

トーマス・アデス(Thomas Adès)の The Twenty-Fifth Hour を聴く

イギリスの現代音楽家 トーマス・アデス(Thomas Ades, 1971/3/1 - )はピアニスト・指揮者としても活躍していますね。
同じスタンスだったブリテンの再来と言われています。ピアニストとしてはアルディッティ弦楽四重奏団との共演やナンカロウの演奏もしています。指揮者としては音楽監督も弱小楽団で勤めていますが、これからでしょう。
作曲家としてはオペラ・管弦楽・室内楽とこなしますが、ブリテンと同じように前衛ではなく折衷的な学風です。まぁ英国ですから… ただ、ピアノ曲ではコンロン・ナンカロウの影響を受けて難解さを表出させる様です。

このアルバムはピアノを含めた室内楽が楽しめます。演奏はニューヨーク・タイムスで絶賛された米のコールダー・カルテット(The Calder Quartet)になります。

The Twenty-Fifth Hour, Chamber Music of Thomas Adès

Piano Quintet (2001年)
 I, II, III
この曲にはアデス本人がpfで入ります。音列配置的な点描pfはナンカロウ色といっていいかもしれません。
不思議な楽曲で、不協和音の様な旋律の弦楽団とpfなのですが所々に後期ロマン派的な響きを感じます。繊細かつ刺激的で面白いです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  Arditti quartet とアデス本人です。アルディッティは切れ味がいいですね。


The Four Quarters (2011年)
 I. Nightfalls - II. Serenade, Morning Dew - III. Days - IV. The Twenty, Fifth Hour
アルバムのタイトル今日が入っていますね。弦楽器による不協和音と旋律の同居、ポリフォニー、潜む後期ロマン派の香り、シンプルな点描と技巧性、ミニマル、様々な要素が組合されていますね。
ノイズやクラスター、カオスの方向性はありません。切れ味を感じます。

Arcadiana (1993年)
 I. Venezia notturno - II. Das klinget so herrlich, das klinget so schön - III. Auf dem Wasser zu singen - IV. Et… (tango mortale) - V. L'Embarquement - VI. O Albion - VII. Lethe
この中では一番古い曲になります。基本構成は変わりませんが尖っていて、研ぎ澄まされる前の作品の印象です。個性が出る前で、特徴的ではありませんね。



折衷的で日和見?と見るか、現代のクラシックと見るか、見方は色々ありそうです。でも、聴いて面白さや惹かれるものを感じる何かがありますね。もう少し入手して聴いてみたくなりました。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze) の交響曲第1番・第6番を聴く

ドイツのビッグネーム、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27) は日本でも人気のある現代音楽家ですね。CD屋さんの棚には多くのアルバムが並んでいます。
シュトックハウゼンやノーノ、ブーレーズと同年代で12音技法から入り、トータルセリエル、前衛の衰退期と現代音楽の時代の流れにと共に生きた代表的な一人で、もちろんダルムシュタットにも参加しています。ですが前衛先陣を切る音楽家にはなりませんでした。
もちろんマニエリスムとは違いますので基本 調性はありません。でも旋律は存在して聴きやすいですね。オペラやバレエ曲も得意としています。反面、室内楽は少ないです。

実はヘンツェはあまり聴きません。数少ない所有から、このアルバムは初期と中期の交響曲になります。
演奏はマレク・ヤノフスキ(Marek Janowski)指揮、ベルリン放送交響楽団(Berlin Radio SO)です。

Symphonies 1 & 6 / Hans Werner Henze

Symphony No.1 (1947年)
時代は音列技法バリバリの年代、初期作品ですね。三楽章という古典的な形式からも前衛でない事が明瞭です。曲全体は調性からは逃れているものの、個々の旋律には調性感はしっかり残ります。無調というよりも移調・転調・多調を駆使した機能和声の感じです。
各楽章で共通しているのは透明感のある広がりでしょう。心地よさを感じますね。第一楽章冒頭他でバレエ曲的な流れが散見できます。

試しにYouTubeで聴いてみる?

Symphony No.6 (1971年)
現代音楽でいう前衛衰退期時代の三楽章作品になります。曲調は無調即興的ポリフォニーやクラスター方向も見せ、1番に比べると明確な旋律は減り混沌前衛風です。でも、その中にフーガの様な形式を取り込んだり、聴きづらい音の跳躍展開はありません。
ヘンツェの面白さは第三楽章で、オペラやバレエを感じさせ情景が想像されます。



このアルバムで言えば、前衛ではない現代音楽を聴くなら初期、ほどほど前衛なら中期というイメージです。全体はそう簡単に括れませんが、このアルバムならヘンツェの音楽性の変化の一端を明確に感じられますね。
そのうちバレエ曲をインプレしないといけませんね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA


ものずき、おっさん じいさん、わがままきまま、すきほうだい、しななきゃなおらない.

 kokotonPAPAのブログ  ホームページtop  メールtop



1.このblogで言う現代音楽
2.マーラー交響曲第5番 150CD
 (名盤・珍盤 聴き比べ)

カテゴリ
個人的お奨め度*
★   こんなもん?
★★  悪くないね
★★★ 最高です!
☆   +0.5
お友達ブログ
kokotonPAPAカウンター
unique-access