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ルーセル「蜘蛛の饗宴」デュカス「魔法使いの弟子」19世紀末-20世紀初頭のフランスの管弦楽曲を、フランスの指揮者とオケで聴いてみましょう



Composers
ポール・デュカス (Paul Dukas, 1865-1935)
アルベール・ルーセル (Albert Roussel, 1869-1937)
ポール・デュカスはドビュッシーやサティと同年代のフランスの音楽家ですね。パリ音楽院に学んでいて、仏印象派年代ですが独ロマン派の様な楽風印象がありますね。仏前衛現代音楽の師となるメシアンが師事していました。

アルベール・ルーセルはデュカスより4歳若く、同様に仏印象派年代ながら独ロマン派の香りがするのが特徴的です。初期の作品は前者ですが、後期はより調性が明確で新古典主義と言われている様です。こちらも後に米現代音楽に影響を振るったヴァレーズが師事していましたね。

それぞれ二人の代表作の一つで、演奏はパスカル・ロフェ指揮、フランス国立ロワール管弦楽団ですね。







1.ポリュークト序曲, Polyeucte (1891, Dukas)
デュカスの事実上のデビュー曲で「コルネイユの悲劇」を元にした演奏会序曲です。
印象派と言うよりも後期ロマン派的な流れとライトモティーフの様な表題音楽風の構成を明確に感じますね。そう言った意味では指摘されている様に重厚な管弦楽はワーグナー的で、少し古いですがイデーフィクスの仏ロマン派ベルリオーズの様な感じもあるかもしれません。少なくとも仏印象派の気配はありませんね。


2.蜘蛛の饗宴, Le Festin De L'araignée (1913, Roussel)
ファーブル昆虫記を元に蜘蛛や虫たちの戦いのバレエ音楽(13パート)で、ルーセルの初期作品ですね。
前奏曲はいかにもの"仏印象派"の流れを感じます。それをベースにバレエ音楽らしい表情付けがあって、パート毎のタイトルを見ながら聴くとシーンが浮かぶ様です。チャイコフスキーやストラヴィンスキーのフランス版という面持ちでしょうか。実は組曲版もあるのですが、洒脱なバレエ音楽の楽しさがあって聴くならこの全曲版ですね。
仏セットの演奏もそれらしい洒落た表情を見せています。


3.魔法使いの弟子, L'apprenti Sorcier (1897, Dukas)
デュカスと言えばこの交響詩(交響的スケルツォ)ですね。ゲーテの詩を元にしていて、箒に魔法をかけて水浸しになるミッキーマウスのアニメで有名なストーリーです。
"ポリュークト"に比べると重厚さが引き算されて表情の付け方がストーリー性が強く感じられる様です。多分誰でもディズニーの"ファンタジア"が浮かぶのではないでしょうか。(実際にはストコフスキー編曲ver.ですが)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ミッキーマウスのアニメ"Fantasía"からです。やっぱりこれ?!




このアルバムの聴きどころはルーセル"蜘蛛の饗宴"のフランスらしい洒落たバレエ音楽でしょうね。

デュカスの"魔法使いの弟子"はどうしてもミッキーマウスが出てきてしまいますw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アントン・アレンスキー(Anton Arensky) の「ピアノ三重奏曲 第一番・第二番」を トリオ・カルドゥッチで聴いてみましょう


Composer
アントン・アレンスキー
(Anton Arensky, 1861/7/12 - 1906/2/25)
アレンスキーと言われても名前を聞いた事があるかもしれない…と言った印象です。年代的には後期ロマン派時代ですが、ロシアの音楽家ですから。

ロシアではR.コルサコフとスクリャービン/ラフマニノフの間の年代で、前者に師事していて後者はアレンスキーに師事していました。(スクリャービンは後年 対立関係にあったとありますが、音楽方向から行けば当然の様な…) 楽風は師のコルサコフや同年代のチャイコフスキーの影響が強いと言われていますね。ロシア民謡をあまり取り入れず、欧州ロマン派の影響も見られる様です。


Album Title | Player
Piano Trios
トリオ・カルドゥッチ (Trio Carducci)
アレンスキーはピアノ三重奏曲(pf, vn, vc)を二曲残しています。本人の一部演奏も残っている第一番は代表作の一つですね。両者とも四楽章形式で交響曲に近い構成です。

"トリオ・カルドゥッチ"は、2016年に創設されたイタリアの新進気鋭のピアノ・トリオです。本アルバムがデビューCDとなりますが、この録音の後ヴァイオリニストを変更していますね。






ピアノ三重奏曲 第一番, ニ短調 Op. 32 (1894年)
第一楽章第一主題は哀愁を強く激しさを増すと第二主題のvcは落ち着いた流れを作ります。出し入れの強いロマン派的な流れです。展開部・再現部でも特にpfの力感を強く感じますね。第二楽章のスケルツォ主部は跳ねる様な三つの楽器の会話ですが、ここでもpfの強音が気になります。中間部ではやや流麗さを加えてきます。変奏はあっても楽章内の表情変化は薄いです。全楽章に感じますね。
緩徐の第三楽章・最終楽章も含めて、四つの楽章での変化はそれぞれあるのですが新鮮さは見当たりません。古さを感じる流麗な主題と強いコントラストのロマン派楽曲ですね。


ピアノ三重奏曲 第二番, ヘ短調 Op. 73 (1905年)
第一番の11年後、亡くなる前年の作品です。全体を3拍子ベースにした四楽章構成。第一楽章導入部からすぐに感じたのは第一番から変わらない出し入れの強い流れですね。楽章構成も緩徐とスケルツォを入れ替えているだけですし、vnの濃厚フラットな演奏も気になります。各楽章のインプレをするのは控えましょう。



古典から推移したロマン派の様な古さを感じます。残念ながら楽曲的には面白さが見出せませんでした。

出し入れが強いのは演奏者の個性かもしれません。今の時代のプレイヤーらしくエモーショナルよりも激しいコントラスト、YouTube方向性を感じますね。くどい演奏と合わせて、悪趣味なこのジャケットも何とかして欲しい様な…w

駄耳な上に感性も低いので。m(_ _)m




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ジョヴァンニ・ボッテジーニ(Giovanni Bottesini) のコントラバス曲集『Via Bottesini Concerti E Pezze Concertanti』: ウィース・ド・ブフ


ジョヴァンニ・ボッテジーニ
(Giovanni Bottesini, 1821/12/22 - 1889/7/7)
ロマン派時代のイタリア人の指揮者・コントラバス奏者・作曲家ですね。元はヴァイオリン奏者でしたが、ミラノ音楽院入学時にコントラバスを選択しています。コントラバス奏者として活躍し、イタリアでは"Il Paganini del contrabbasso" (コントラバスのパガニーニ)と言われている様です。

その後作曲家としてオペラも書いていますが、主としてコントラバス曲で知られていますね。この時代らしくベッリーニのトランスクリプションでコントラバス幻想曲も多く残しています。指揮者としてはヴェルディからの要請で「アイーダ」の初演を指揮しいるそうです。


Via Bottesini Concerti E Pezze Concertanti
ウィース・ド・ブフ (Wies de Boevé, b.1987)
現バイエルン放送響首席コントラバス奏者のブフがボッテジーニのコントラバス協奏曲を四曲選んだアルバムです。ボッテジーニに倣って3弦のコントラバスを使用しているとの事ですね。(ジャケット写真を見てもその様です)

コントラバス曲となるとついつい聴きたくなってしまいます。ヴァイオリンはヨシフ・イヴァノフ(Yossif Ivanov)、ワイラースタイン指揮、ブリュッセルフィルの演奏です。






Double Bass Concerto in B Minor
「コントラバス協奏曲 第2番」ですね。 ロマン派時代ですが、古典や宮廷音楽的な印象も受けます。コントラバスのチェロ的な鳴りと旋律感が強いですね。全体的に柔らかい印象で、技巧が全面に出てくるわけではありません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Bottesini Competition 2017 で優勝したときのステージです!



Grande allegro di concerto (alla Mendelssohn)
この曲の方がロマン派の流れが明確ですね。"メンデルスゾーン風に"とありますが、メンデルスゾーンに詳しくないのでわかりません。多分に情感の強いオケとコントラバスの協奏構成にはなっていますね。その意味では個人的にはより聴き易さを感じます。カデンツァもエモーショナルです。


Gran Concerto for Double Bass in F-Sharp Minor
「コントラバス協奏曲 第1番」です。やはり古典的な流れを感じますね。出し入れが強く、第2番よりもオケのパートが多く取られています。三曲続けて聴いてくると残念ながら少々退屈に感じてしまい、コントラバスならではの何かが欲しい気がしてしまいます。


Gran Duo Concertante for Violin and Double Bass
以前エーデン・ラーツのコントラバスでインプレしています。その時も書きましたが、R.シュトラウスの「ドンキホーテ」の様なvnとcbの掛け合いが楽しめます。(もちろんドンキホーテはvaとvcですが)
ここではイヴァノフのvnが切れ味良く、冴えて楽しませてくれます。楽曲的にも演奏的にもこのアルバム一番ですね。



コントラバスの奏でる古典風な優雅な楽曲を楽しむアルバムですね。グリグリのcb超絶技巧を味わう作品ではありません。もちろん技巧性の高いパートも存在して楽しめます。

長い夜にウイスキーのお供で楽しむ…そんな一枚です。

次はH.W.ヘンツェの現代音楽コントラバスのアルバムをインプレ予定です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ベンジャミン・ブリテンの『春の交響曲』5CD聴き比べ:ブリテン, ガーディナー, ヒコックス, ラトル, プレヴィン


ベンジャミン・ブリテン
(Benjamin Britten, 1913/11/22 - 1976/12/4)
今更のブリテンで、いつも書く事ですが前衛全盛期に生きていますがそこに踏み入れる事はありませんでした。でも調性の微妙さは聴いてわかりますね。前衛と新古典主義の時代ですが、どちらでもない英国音楽で、このブログでも現代音楽家のCDリストには入れていません。



春の交響曲
Spring Symphony, Op. 44 (1949年)
メリハリのあるブリテンらしい曲ですよね。12曲全歌曲で、元はラテン語で書こうとしたらしいので俗語オラトリオ(orカンタータ?)的な四部構成で、4楽章の交響曲になっています。個人的な楽しみ方は次の通りですね。

【第一部】
一番長い"序奏"と続くキャラクター色の濃い3'以下の四つのパートのコントラストですね。聖歌的で後半強い流れの序奏 "1.Shine out" を幽玄さと切れ味で、続く短いパートでは "4.The Driving Boy" の少年少女合唱団の明るさに期待しますね。
【第二部】
緩徐楽章に当たる三曲です。序奏と似た構成の三曲目 "8.Out on the Lawn I lie in Bed" の澄んだ流れがメインですが、その前の二曲を上手く繋げて欲しいです。
【第三部】
スケルツォに当たる楽章になる三曲でしょうか。テンポの良さがあると良いですね。アタッカで繋がる "9.When will my May come" と"10.Fair and Fair" のテノールとソプラノのコントラストが聴き処です。
【第四部】
"12.Finale"の一曲構成です。やっぱり派手に切れ味よくブリテンらしく、ですね。特に後半の"Sumer is icumen in"は明るく。








5CDの全体インプレです

 ① ブリテン本人 :押し出しの強さで、ブリテンらしい?!
 ② ガーディナー:バランスとクールさで、完成度を感じます
 ③ ヒコックス :朗々たる鳴りの良さがあります
 ④ ラトル   :意外にも落ち着いた聴き易さです
 ⑤ プレヴィン :表情ある楽しさはプレヴィンならでは

個人的オススメは最後に。





個別インプレです


①ベンジャミン・ブリテン
 (コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団)



【第一部】序奏は幽玄で濃厚、主張の強さを感じます。続く小曲は明るさの中に陰影付けがあります。"3.Spring…"の鳥の鳴き交わしは、重厚な背景音がすごいですね。
【第二部】少し暖かみを感じる春の足音の様な流れから、"8.Out on…" は広がりを感じる伸びやかさがあります。緩やかな明るさの緩徐楽章ですね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは演奏共にシャキッとした流れです。"11.Sound…"は弾む様なスケルツォになっています。
【第四部】終始炸裂的な音を使った歯切れの良さが際立ちます。起立整列してビシッとした印象です。"Sumer…"では花咲き乱れる派手な様相からフィニッシュです。

折り目正しい表情で、強音側のディナーミクが印象的です。




②エリオット・ガーディナー (フィルハーモニア管弦楽団)



【第一部】序奏は抑えた透明感のある幽玄さから、後半激しさを盛り上げます。続く小曲は明るさを前面にして、"4.The Driving Boy"は子供達の歌声に心地よさが良いですね。
【第二部】幽玄さと暖かみのバランス良い流れから、"8.Out on…" は静かで明るい日差しの森の中を歩く様に進みます。透明感を感じる緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは抑えながらもアゴーギクの良さを感じてシャープです。"11.Sound…"の合唱団も素晴らしいですね。
【第四部】ここでもディナーミクで透明感ある入りから、アゴーギクを利かせて切れ味の強い流れです。力技よりも切れ味ですね。後半"Sumer…"は揺さぶりを効かせて明るさを作っています。
全体、オケと合唱団のバランスも優れますね。

アゴーギク/ディナーミクを効かせながらもクールです。




③リチャード・ヒコックス (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は冷静で落ち着いた流れを作り、後半山場も迫力を付けますが客観的に感じますね。続く小曲は春の訪れを感じる様に、"3.Spring…"は歌唱も鳥の鳴き交わしも色濃く、"4.The Driving Boy"は子供達が元気です。
【第二部】明るさ主体の明瞭さの流れから、"8.Out on…" は聖歌的な印象が強く落ち着かせる様な緩徐を感じますね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが強い演奏と相まって朗々としています。"11.Sound…"は派手さとリズミカルなスケルツォです。
【第四部】落ち着いた入りから晴朗なハリのある歌唱が広がります。後半"Sumer…"は少しスローに狂乱風に鳴らします。

明瞭で朗々とした流れが特徴的ですね。




④サイモン・ラトル (バーミンガム市交響楽団)



【第一部】序奏の入りからアゴーギク/ディナーミクの振りを感じますね。鬱な気配から表情豊かな流れの緊張感、後半山場は意外に冷静です。続く小曲群はバランスの良さを感じますね。"4.The Driving Boy"は思いの外落ち着いた流れです。
【第二部】冷静な表現から、"8.Out on…" は静でスローを基本に緊迫感の流れです。やや暗めの緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはクールに落ち着いた流れに乗って、"11.Sound…"も興奮を排除して、落ち着いたスケルツォ楽章ですね。
【第四部】基本は冷静さかと思いきや、強音パートでは荒さを上手く見せます。出し入れのバランスが良く、それまでの楽章と一味違いますね。後半"Sumer…"もドンシャン的です。

抑え気味のコントラスト付けで聴き易い表現です。




⑤アンドレ・プレヴィン (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は静的な深淵さで沈んだ流れから中盤で切れ味を見せて、山場もシャープです。続く小曲では表現力ある歌唱と演奏のバランスが良く、"3.Spring…"は演奏も歌唱も鳥の鳴き交わしも華麗、"4.The Driving Boy"は子供達が楽しげです。
【第二部】優しさを感じるプレヴィンらしい流れからの "8.Out on…" は、祈りを感じる様な神聖ささえ感じます。山場は抑え目にしてクールな緩徐楽章です。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが付いてオケとのバランスが良く、"11.Sound…"も心地良いリズム感でまさにスケルツォですね。
【第四部】落ち着きから強音へ、小刻みからパワーへと、流れに表情が豊かです。"Sumer…"は締めくくりに相応わしい華々しさです。

表情豊かな歌唱とオケが心地良いです。





オススメCD
⑤プレヴィン:心地よい流れを楽しめますね
 (ブリテンの曲らしい音の張りが欲しいなら①ブリテン本人ですw)



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  バーンスタインとニューヨークフィル、1963年5月3日のライヴ音源です。



■来月4日都響#897のコンサートを前に予習を兼ねて聴いて見ました。大野和士さんが得意としそうなメリハリがあるので期待できそうですね。
【2020年2月27日 記】新型コロナウィルスの影響で中止となりました。

■来月28日のNHKプレミアムシアターでは、ラトル/ロンドン交響楽団の2018年のライヴ映像が楽しめます。

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シュテファン・イルマーのピアノで聴く、ジギスムント・タールベルク『ピアノ作品集』


ジギスモント・タールベルク
(Sigismond Thalberg, 1812/1/8 - 1871/4/27)
スイス生まれでフランス・オーストリア・イタリアで活躍した、ロマン派時代のバリバリの超絶技巧ピアノストにして作曲家ですね。

曰く、3本や10本の腕や手があると言われる程の技巧曲の名手で、作品はトランスクリプションも含みますね。その辺りもよく比較されるリストと似ています。(リストもベートーベンの曲などトランスクリプションを残していますね)


12 Etudes Op 26, Fantaisies Op. 33 & Op. 40
二つの幻想曲と、12エチュードの三曲を収録したピアノ曲集ですね。エチュードは前後半を分けて、その間に「ロッシーニ "湖上の美人" による幻想曲」を挟んでいます。一曲目の「ロッシーニ "エジプトのモーゼ" による幻想曲」と共に得意のトランスクリプションですね。

ピアノはシュテファン・イルマー(Stefan Irmer)になります。






Fantaisie sur des thémes de lópéra Moise de G. Rossini Op. 33 (1839年)
美しいロマン派らしいピアノ曲です。激しい強鍵とソフトタッチの対比が明確です。技巧性の高さはありますが楽曲としては動機の反復変奏が印象的で、主題の変化もありますね。
イルマーのpfのタッチは強鍵パートでの粒立ちの良さがあって鳴りが良く、ピッタリしています。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ピアニストは違いますが、こちらの方がアゴーギクの振りでバランスは良いかも



Douze Études nos. 1-6 Op. 26
基本的に反復変奏主体の技巧曲です。聴かせに入る楽曲並びで2'-3'なのでアンコール用とでも言ったらわかっていただけるでしょうか。例えばショパンのエチュードの様に美しいシンプルな流れに続く超絶技巧性ではなく、通して技巧性と感情の昂りを前面に押し出していますね。


Fantaisie sur des motifs de la Donna del Lago op. 40
前の幻想曲と同様にソフトと強鍵の対比になっていますね。イルマーのpfは全体的にパキパキとした音立ちが強いのでソフトな流れのパートもギスギスしているかもしれません。ソフトなパートは、やっぱり柔らかなタッチのエモーショナルさでコントラストを付けて欲しいですね。


Douze Études nos. 7-12 Op. 26
前半よりも柔らかい曲が並びますが、イルマーは叩きますから音がピンピンと立っています。ピアニストのキャラで、ピアノが鳴りまくりますね。緩徐のNo.10でもエモーショナルさは弱く、硬くフラットです。終わって、どっと聴き疲れ感がのしかかりますw



タールベルクの曲調はロマン派時代のピアノ・ヴィルトゥオーゾ楽曲そのものですね。よく弾み、その手のピアニスト向けです。今回はそれ以上にピアニストのキャラの濃さが出た気がしますね。

イルマーの常に"叩く"個々の音は、終始ピアノをガッツリ鳴らしている印象です。幻想曲のソフトなパートやエチュードNo.10でエモーショナルさが聴けたら良かったのではないかと感じました。
全編"グワワ〜ン!"といったピアノの鳴りが好きな貴方にオススメです。




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ジャンル : 音楽





エルガーの「エニグマ変奏曲」: コンサートを前に4CDで, 今更ながらの おさらいです


エニグマ変奏曲, Op.36 (1899年)
(エドワード・エルガー, Edward Elgar 1857-1934)
今更ですが、今回は個人的な聴き方ポイントをおさらいして来週のコンサート(都響/ブラビンズ, 4/25には東響/ノットも)の予習ですw


【エニグマ変奏曲の個人的楽しみ方】 
[前半]第7変奏までは緩徐に、短く派手な第4・7変奏でメリハリを。
[後半]をメインに。第9変奏「ニムロッド」の美しさ、第10変奏「ドーラベッラ」の軽妙さ、第11変奏「G.R.S.」のワンコ(Dan)の元気さ、第12変奏「B.G.N.」チェロの響き、と楽しみます。そして最後の第14変奏「エドゥー」では迫力ですね。


次の4CDでインプレです。バーンスタイン以外はそれぞれオケの主席指揮者(音楽監督)時代ですね。

 ①プレヴィン / ロイヤルフィル
 ②ラトル / バーミンガム市響
 ③バーンスタイン / BBC響
 ④モントゥー / LSO
 ・下へ行くほど濃い味ですw




アンドレ・プレヴィン
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 (1986年)



前半は緩徐パートの真面目な優しさが印象的ですね。ほどよいメリハリに第4変奏や第7変奏での強音を鳴りよく奏します。第9ニムロッドは優しい美しさが際立ちます。第10ドーラベッラは少しシャイに、第11Danは元気いっぱい、第12変奏のチェロは哀愁ですね。ラストE.D.U.は折り目正しい強音パートです。


落ち着いていて優しい、いかにもプレヴィンらしいエニグマですね。





サイモン・ラトル
バーミンガム市交響楽団 (1993年)


rattle-enigma.jpg
(ジャケット写真です)


前半は緩徐を明瞭に表現して、第4・第7変奏は切れ味の良さを感じました。後半第9変奏は特徴的にppを長くゆっくりと現れてきます。印象的なニムロッドです。第10ドラベッラは軽妙、第11のワンコDanはイタズラ子の如く、第12変奏B.G.N.のチェロは落ち着きを払います。第14変奏E.D.U.の強音は派手ですね。


ほどよいコントラストを付けた落ち着きある流れのエニグマですね。





レナード・バーンスタイン
BBC交響楽団 (1982年)



主題から間を取って彫りの深さを見せてくるのが, いかにもバーンスタインです。前半から聴かせに入っていて惹き込まれてしまいます。第4変奏はそれほど力みませんが、第7変奏Troyteは疾走です。

後半第9変奏はトーンを沈めて夜明けの光の様な広がりを作って見事なニムロッドですね。コンサートのアンコールだったら目頭が熱くなるでしょう。第10ドーラベッラは落ち着いた楽器間の会話が楽しく、第11変奏はDanの冒険ですね。第12変奏ではゆったりとしたチェロですがオケとの音の厚みを感じます。FinaleのE.D.U.は揺さぶりの強い濃い流れです。


どのパートをとっても隙のない深慮の采配、感動的なバーンスタインのエニグマになっています。BBC響の演奏も見事ですね。(実はカップリングの"威風堂々"も素晴らしいです)

もっと濃い味、となると次のモントゥーしかありませんw





ピエール・モントゥー
ロンドン交響楽団 (1961年) [mono]



前半の緩徐はやや速めで感情を強めに込めているのが特徴的ですね。第4・第7変奏では速く激しく、です。

後半ニムロッドは唯一静的な流れを作っていて、やや速めではありますがグッとくるものがあります。第10変奏ドーラベッラはまさにお喋りなドーラ・ペニーに、第11変奏は走り回って川に飛び込むDanです。第12変奏のチェロはエモーショナルで情感が濃いです。FinaleのE.D.U.は爆走爆裂です!!


とにかく速いです。あっという間に進んで行く感じです。そして感情過多で突撃系のエニグマ ですね。

一番古く個性的, mono録音のエニグマ。これが私の標準原器になりますね。理由はありません。なぜかこれです!!




このインプレは個人的嗜好が偏って参考にならないかもしれません。もちろんオススメは④モントゥーと③バーンスタインです。

④モントゥーは一度聴いて欲しいですが、monoですしこの曲の好まれる方向とは違うかもしれません。③は人気があると思いますが、①や②が今の方向性かもしれませんね。

次週のコンサート, 都響は指揮が英国人ブラビンズさんですからなんとなく方向はわかる気がしますが。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ワーグナーの序曲・前奏曲を楽しめる管弦楽曲集:クールなデ・ワールト vs 濃厚なエストラーダ


ワーグナー管弦楽曲集
①エド・デ・ワールト ②アンドレス・オロスコ=エストラーダ
リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner, 1813-1883)の楽劇の序曲や前奏曲を集めたアルバムですね。一昔前は人気があったと思うのですが、今やなんでも全曲版の時代。このパターンが少なくなった気がします。でもコンサートでの登場機会もあり、ワーグナーのお馴染みの曲を知っておきたい、聴いてみたい、と言ったニーズはあると思うのですが。

ちなみにワグナーが序曲から前奏曲に替えたのは"ローエングリン"から、歌劇を楽劇に替えたのは次の"トリスタンとイゾルデ"からですね。

色々ありますが 個人的に馴染んでいたのはEMIカラヤン盤('74)ですね。今更それもないと思いますので、今回は色合いの異なる二つのヴァージョン、"エド・デ・ワールト指揮/オランダ放送フィル"(2003) と "アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮/フランクフルト放送響"(2018) で聴き比べてみようと思います。

ワーグナー作品年代 w:ワールト, e:エストラーダ】
  1840年:リエンツィ e
  1842年:さまよえるオランダ人 w, e
  1845年:タンホイザー w, e
  1848年:ローエングリン w, e (eは第1幕前奏曲のみ)
  1848-1874年:ニーベルングの指環 (今回録音なし)
  1859年:トリスタンとイゾルデ w, e
  1867年:ニュルンベルクのマイスタージンガー w
  1882年:パルジファル w, e




① Edo De Waart
Radio Filharmonisch Orkest Holland


Orchestral Work I
 
(左はハイブリッド盤, 右はシングルレイヤーSACDです)


『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲
かの冒頭の"マイスタージンガーの動機"はやや速めの落ち着いた気配で入ってきますね。"求愛の動機"はフルートで静める様に、コラールの様な"ダヴィデ王の動機"で華やかに、"芸術の動機"から山場へ向かいますが、この曲としては落ち着いた流れでしょう。展開部以降も同様で曲構成のわりには落ち着いた前奏曲になっています。

余計な事ですが、この曲の再現部の動機(主題)の表情を変える変奏パターンはマーラーもよく使っていると思いますね。


『ローエングリン』第1幕への前奏曲
序奏で天上が奏でられて、繊細で透明感ある"聖杯の動機"が現れます。木管に動機が移ると明るい光を感じる様になり、さらに金管が入って緩やかな広がりにします。山場は自然な流れで迎えて、静かに弦楽でおさめられていきます。穏やかで心地良い前奏曲になっていますね。


『ローエングリン』第3幕への前奏曲
第3幕の結婚行進曲への短い導入曲ですから"歓喜の動機"を切れ味よく必要以上の興奮を避けながら入ります。"婚礼の動機"を優美に奏でて、再び"歓喜の動機"がシャープに出現します。派手な曲ですが、落ち着いた前奏曲になっていますね。


『パルジファル』第1幕への前奏曲
冒頭の"聖餐の動機"は澄んだ音色を奏でて不安の流れを保ち、二回目の全休符後に"聖杯の動機"がゆったりと鳴り渡ります。"信仰の動機"が明るい光を優しく与えて、全体的には落ち着いた流れで、寂しげな"聖餐の動機"が印象的な前奏曲です。


『さまよえるオランダ人』序曲
ホルンが響く"呪いの動機"は締まり良く入り、鬱に流れます。ゼンタの"救済の動機"は静かに奏され、対話をする様ですね。曲が混沌としながらコーダは"救済の動機"で鎮まります。とは言え、抑えの効いた序曲の印象です。


『トリスタンとイゾルデ』第1幕への前奏曲・愛の死
前奏曲」のトリスタン和声が現れる冒頭の"憧れの動機"は間を作りながらもクール、"愛のまなざしの動機"は徐々にくるおしさを増しながら大きな波となりますが、揺さぶりはなくスッと冒頭の動機に寝ります。緩やかで冷めた前奏曲になっています。

愛の死」では"愛の死の動機"で静かに入り、"愛のまなざしの動機"の変奏で徐々に上げて行きます。ラストに静かに"憧れの動機"を見せます。愛の濃厚さ気高く表す感じです。


『タンホイザー』序曲
冒頭の"巡礼の動機"は緩やかに光を感じます。そのまま大きく盛り上げて"バッカナールの動機"を劇的に、巡礼動機を挟んで"ヴェーヌスの動機"は陽気に現れますね。例によってクールなコントラストですね。動機を絡ませ山場は激しさを見せて、ラストは落ち着いた広がりですね。落ち着いた構成のタンホイザーです。



楽曲構成に忠実さを感じ、興奮を排したクールなワーグナーの序曲・前奏曲になっていますね。揺さぶりは少なく、唸らせる様な流れは避けている感じです。

序曲・前奏曲自体で勝負と言うよりも、あくまでも全曲への導入をする印象です。




② Andrés Orozco-Estrada
Frankfurt Radio Symphony


Overtures & Preludes


『さまよえるオランダ人』序曲
"呪いの動機"は華々しく激しく、この曲らしさを感じます。"救済の動機"では鬱的なゼンタを緩やかに表してコントラストが良いですね。その後も荒々しさを表に出して、コーダの"救済の動機"で心の鎮まりを見せます。ストーリー性を強調する様な序曲です。


『ローエングリン』第1幕への前奏曲
澄んだ天上の音色から"聖杯の動機"は細い弦音でやや速めの繊細さです。木管が入ると落ち着いた音色となってきます。さらに金管が入る事で重心を下げて、山場は雄大に奏でます。まるで天上界から降臨するかの様です。速めのテンポ設定と楽器編成を生かして、名曲の美しい流れに磨きをかけていますね。


『トリスタンとイゾルデ』第1幕への前奏曲
入りの"憧れの動機"から大きくスローにアゴーギクを振っています。そこから"愛のまなざしの動機"がチェロで緩やかに入ると、感情移入の強い流れで二人の絡み合う情感が伝わる様です。高みに登った二人の感情が最後は見つめ合いながら離れる様におさまります。ストーリー的で情熱溢れる愛の前奏曲になっていますね。


『トリスタンとイゾルデ』イゾルデの愛の死
"愛の死の動機"はゆっくりと光がさす様に、そして"愛のまなざしの動機"変奏を繰り返しながら感情を高めて山場は劇的です。静かに死を迎える様に音をまとめるのも上手いです。イゾルデの愛が溢れる「愛の死」で、思わずグッときます。


『パルジファル』第1幕への前奏曲
"聖餐の動機"は穏やかで緩やかな光の様です。一回目の全休符後は哀しみに色を変え、二回の全休符後の"聖杯の動機"は堂々と鳴り響きコントラストが見事ですね。"信仰の動機"は緩やかに大きく、静かな中から現れます。アゴーギクを排したスロー静の中に表情のある前奏曲になっていますね。後半やや中だるみ感があるのが少し残念です。


『タンホイザー』序曲
"巡礼の動機"は澄んだ哀愁の音色を感じます。"バッカナールの動機"・"ヴェーヌス"の動機は派手な鳴りで色合いを濃く奏します。山場は速目に刺激を与えて、ラストはもちろん壮大そのものです。本編並みに激しい流れになっていますね。


『リエンツィ』序曲
殆ど序曲でしか聴くことのない歌劇ですね。導入部の管楽器の動機は暗く落ち着き、リエンツィの祈りで広げる様に美しい流れを作ります。雄叫びでは大きく鳴らして流れに変化を付けています。その後もメリハリ主体で、この曲を派手に飾り立てていますね。



アゴーギクとディナーミクによる色付けがマッチしたメリハリのあるワーグナーの序奏・前奏曲になっています。

トリスタンとイゾルデ「愛の死」は気持ちが入ってしまいますし、ローエングリンの第1幕前奏曲は素晴らしい演奏です。エストラーダ侮れず!! と言った感じですね。




クールなワールト、濃厚なエストラーダと言うとても対照的な二枚ですね。ストーリーをイメージしながらゆったり聴くならワールト。感情移入しながらメリハリを楽しむならエストラーダでしょう。

ワールトのワグナーと言うとデ・ヴリーガー編曲の管弦楽版"指環"が知られる訳ですが、個人的には以前インプレしたジョナサン・ダーリントンの"ドレスラー編曲版"も侮れずだと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アンドリュー・デイヴィス指揮 All英国セットで聴く エドワード・エルガー(Edward Elgar) の「The Music Makers / The Spirit of England」


エドワード・エルガー
(Edward Elgar, 1857/6/2 - 1934/2/23)
イングランドの作曲家エルガーですが、知っているのはエニグマ変奏曲と威風堂々(第一番)くらい。このブログでインプレもチェロ協奏曲だけですね。知っている様で知らない英国人音楽家の一人です。

ブリテンもそうですが、楽風からこのブログの現代音楽家リストに入れていません。年代的には近現代音楽家なのですが。

 ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


The Music Makers / The Spirit of England
前回インプレで派手な合唱曲を聴いたので、ふとこのアルバムがある事を思い出しました。二曲ともに独唱を含めた合唱曲です。

アンドリュー・デイヴィス(Andrew Davis)指揮、BBC Symphony Chorus and Orchestra、そして歌手陣もレーベルも全て英国セットでの演奏です。






The Music Makers, Op. 69 (1912年)
内容は個性的で自曲の引用、分かりませんがw、を多く使っています。Testは詩人オショーネシーの「Ode」、芸術家を称える詩、です。ソプラノはサラ・コノリー(Dame Sarah Connolly)になります。
メロディアスなロマン派的な序奏から入り、合唱曲は聖歌風から情熱のフォルテに、派手な流れを主流にして雰囲気は勇壮な中に暗い印象を受けますね。#6 partでsopが芸術家を緩徐に、そして合唱と合わせて大きく表現します。ここが山場ですね。全体通して大きなロマン派的合唱曲です。


The Spirit of England, Op. 80 (1915-17年)
第一次大戦中に作られた曲で「イングランドの精神」というのがエルガーらしいと思ってしまうタイトルですね。Textはバイニョンから使っていて勇壮、テノールはアンドリュー・ステープルズ(Andrew Staples)です。
導入部から明るく派手ですね。そしていきなりテノールが入ってきます。歌詞も'栄光の死'などと、それらしい流れです。勇壮ですが、明るく朗々とした印象が強く、テノールの伸びある歌声がピッタリですね。全体的には優しさと緩徐の印象もありバランスが良い合唱曲になっています。



ロマン派的な二曲で、曲の背景は異なるのですがエルガーらしく心地よさがあります。二曲共に大きな合唱曲で、プロムスで聴いたら盛り上がる気がします。個人的には一曲目の方が好みです。

ライナーノートには英文の詩があるので、見ながら聴くのをオススメします。記載は主文だけで、歌には反復があり不明様ではありますがw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





リッカルド・ムーティ&シカゴ響 の "ショスタコーヴィチ/ミケランジェロの詩による組曲"、"シェーンベルク/コル・ニドライ" という迫力カップリングCD


Kol Nidre
Suite on Verses of Michelangelo Buonarroti
メインは『ミケランジェロの詩による組曲』ですね。実は素晴らしいシェーンベルクの『コル・ニドライ』が一曲目にこっそり置かれています。ムーティならではの見事な選曲でしょうか。







コル・ニドライ, Op. 39 (1938年)
アルノルト・シェーンベルク (Arnold Schoenberg, 1874-1951)

シェーンベルク米国亡命後の晩年作品ですね。楽風的には調性回帰や新古典主義風味の時代になり、最晩年に多く手がける事になる合唱曲です。"コル・ニドライ"はユダヤ教の典礼歌(→Wikipedia)を元にしていて、合唱だけでなく語り手(Alberto Mizrahi)が入ります。

幽玄さはバルトーク風、バレエ音楽的な要素はストラヴィンスキー風、そんな印象が初めに浮かびました。そこに"グレの歌"のシュプレッヒゲザングの様な語り手が入ります。合唱が入るとオラトリオの様です。
ショスタコーヴィチのオマケで付けられたのが残念なくらい素晴らしいです。ムーティが得意そうなのも好演の理由でしょうね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ギーレンのLive録音です。これも素晴らしい!!
  なぜか初期作品の"グレの歌"を思わせます。





ミケランジェロの詩による組曲, Op. 145a (1974年)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ (Dmitrii Shostakovich, 1906-1975)

ショスタコーヴィチが亡くなる一年前の曲です。第15番(得意とした交響曲と弦楽四重奏曲)は澄んだ印象さえ受けるわけですが、この合唱曲ではどうでしょう。バスはイルダール・アブドラザコフ(Ildar Abdrazakov)です。ちなみに作品番号についている"a"はバス/管弦楽伴奏版ですね。(オリジナルはバス/ピアノ版)

11パートの楽曲です。第一印象は重厚なバスを前面に押し出した、ショスタコーヴィチらしからぬ旋律です。独特のショスタコ節は影を潜め、低音弦の響く#1パートの印象は強烈です。
その後もバスと管弦楽が沈みながら、時に細い光を見つける様に進みます。暗さにおどろおどろしさは無く、研ぎ澄まされた流れに感じますね。今一つその個性が好みにならないショスタコーヴィチですが、晩年のこの迫力は楽しめますね。アブドラザコフのバスも、ムーティ/シカゴ響もピッタリです。



強烈な威圧感の二曲が並びました。どちらも新古典主義的ではありますが個性的です。派手なオラトリオ的なシェーンベルク、重厚リート的なショスタコーヴィチ、両者強力ですね。

ムーティも見事で、合唱・声楽曲が好きな方にはオススメの一枚になります!!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2CELLOS の ルカ・スーリッチ(Luka Sulic) がチェロの室内楽に編曲した ヴィヴァルディ『四季』


ルカ・スーリッチ
(Luka Šulić, 1987/8/25 - )
人気チェロ・デュオの2CELLOSの一人、旧ユーゴ出身でYouTubeからビッグネームになった今の時代の音楽家ですね。チェリストの父親を持ち ザグレブ、ウィーンから英王立音楽アカデミーで学んでいます。

2CELLOSはポップなスタイルからヒットしたので、本来なら偏屈な視野の自分としては範疇外。でも一度聴いたらバックボーンにジョヴァンニ・ソッリマ*やマリオ・ブルネロを感じました。実は2012年のコンサートにも行っていますw
それ以来、気になってはいました。

*ソッリマの今夏の100チェロコンサートに行けなかったのは残念です


四季 (The four seasons)
アントニオ・ヴィヴァルディ (Antonio Vivaldi)
全12曲のOp.8ヴァイオリン協奏曲集の#1-#4、今更この曲の説明もないと思います。このブログ、と言うか個人的にも今は殆ど聴く事はなくなりましたが、いずれにしろイ・ムジチの印象でしょうか。

それをスーリッチがvnパートをvcに入れ替え、室内楽パートも自ら編曲しているとの事、そこがポイントで手にした訳ですね。現代のチェロ演奏を見せるスーリッチの古典音楽への方向性が楽しみです。
演奏は、ルイジ・ピオヴァーノ指揮、サンタ・チェチーリア・アカデミア弦楽合奏団です。






La Primavera
最も知られたアレグロではメリハリの強い派手な流れを作ります。チェロも技巧の見せつけパートになっていますね。少なくとも優美や優雅ではありません。ラルゴはチェロの音色を生かした落ち着き、アレグロは勿論回帰です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  1stMov.アレグロのLiveですが、本CDに比べ平凡な演奏になっていて残念!!
  やはり聴衆に配慮しているのでしょうか…



L'Estate
揺さぶりによる表情付けが明確で、vcパートの激しさは技巧的に見せて2CELLOS風になっていますね。"夏"が一番その傾向が強いでしょう。


L'Autunno
有名なアレグロは速くて派手ですね。ここでも技巧的な振りが大きく、落ち着きがないと感じるかもしれません。でも全体としてそういう編曲だという事でしょう。アダージョではスローでのコントラストを大きくつけていますね。3rdMov.のアレグロはチェロを生かし豪華円舞曲風です。


L'Inverno
アレグロは不安定な音の配分から入ってくる現代風の面白さがありますね。それまでの3パートにはない展開です。ラルゴも色濃い流れです。



予想通り2CELLOSを思わせる出し入れの強い"四季"になっていますね。洒脱や優美とは異なる、彫りの深い濃厚激情な流れです。その中で四つのパートのキャラクターを見事に変えています。そこは予想を超えた楽しさでした。

来年3月にはこの"四季"でクラシカル・ミュージック オンリーの来日を果たす予定だそうですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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