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シンガポール在住のN.Y.出身現代音楽家 ピーター・アイヴァン・エドワーズ(Peter Ivan Edwards) の『ionobia』を聴く


ピーター・アイヴァン・エドワーズ
(Peter Ivan Edwards, 1973 - )
ニューヨーク出身で米(ハヤ・チェルノヴィン)・独で学びシンガポール在住の現代音楽家ピーター・アイヴァン・エドワーズです。コンピューター音楽を得意として、そのアルゴリズム展開(具体的には不明ですw)し、ダルムシュタットやIRCAMといったエクスペリメンタリズム本流の世界でも実績がある様ですね。また活躍の場を欧米だけでなく韓国や中国に広げて現在シンガポールでコンピューター音楽の教鞭もとっています。


ionobia
本アルバムはコンピューター音楽は一曲のみです。他は様々な楽器編成、東洋音楽和声風の展開になっていますね。民族音楽楽器やモードではありませんが。






ionobia for oboe, percussion and piano (2017年)
  Trio Surplus
東洋和声、それも神楽の様な日本的? オーボエと打楽器は特にその傾向を感じます。そこにpfが機能和声の和音で入ってくるといった風でしょうか。途中からは欧前衛的な流れとなり特殊奏法も交えながらパルス的な強音も入ります。静の中に強音という、良くあるパターンにはなりますが…


fleepercellimano for flute, cello, percussion and piano (2013年)
  Ensemble Interface
速いフルートのアルペジオが主役で、手拍子と打楽器が色付けしています。pfも単音打楽器的、vcもピチカートで打楽器的です。和声的には東洋的な印象ですね。途中からflも含めてどの楽器も打楽器点描になります。それはそれで面白いかも。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Brastri per Celindano for orchestra (2015年)
  Young Siew Toh Conservatory Orchestra
管弦楽作品ですね。音厚あるロングトーンの和音構成で入ります。そこから管楽器が点描的単音を発して色付けして来ます。モノフォニー的な強音も入りますね。ここでは民族和声の印象はありません。また各楽器間はポリフォニーではなく、何らかの繋がりを持っているのでこじんまりと纏っている感じがします。これがエレクトロニクスだったら何か面白さがあったのかもしれません。
演奏は教鞭をとるヨン・シウ・トー音楽院の管弦楽団です。


Ascent: Two Perspectives for flute and violin (2011年)
  Matteo Cesari, Pieter Jansen
二つの楽器が動機を反復・変奏しながら絡んで進みます。印象的にはFlが主でvnが従のホモフォニー風です。不協和音はあっても動機が存在して調性的です。処々民族音楽和声も感じますが…


Ssoonro for bassoon and electronics (2017年)
  Christoph Wichert
この曲だけ得意のコンピューター系の楽曲になりますね。ファゴットの音色をバックグラウンドにループしたりテープ的に使いながらドローンの様なサウンド構成です。少し混沌的で面白さがあるかもしれません。これが一番面白いでしょうね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Re for flute, cello and piano (2010年)
  Ensemble Wu Xian
東洋音楽和声的であまり代わり映えのしない印象です。点描的という時点で、古い時代を思い出してしまいますしねぇ。



民族音楽和声風もあるけど調性的、民族音楽サウンド風だけど西洋楽器のみ、特殊奏法もあるけどオマケ的、流れは点描的。なんとなく全部が中途半端風に感じますね。

唯一面白かったのはエレクトロニクスの"Ssoonro"でした。やっぱり得意のエレクトロニクスを聴かないとダメかもしれない、という印象でした。



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近年最高のマーラー5では!! 2019年7月5日 ユッカ=ペッカ・サラステ / ケルンWDR交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信»


ユッカ=ペッカ・サラステ, Jukka-Pekka Saraste
(ケルンWDR交響楽団, WDR Sinfonieorchester Köln)
サラステが今シーズン(2018–2019)まで首席指揮者を務めるケルンWDR交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)を振ったマーラー5ですね。このセットは素晴らしいマーラー5番のCD(2013年録音)を残しているので楽しみですね。先日のマーラー6番に続いての、独放送局"WDR3 Radio"ウェブサイトからの配信です。


▶️ こちら (8月7日まで楽しめます)


実は一曲目のベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann)のフォトプトーシス(Photoptosis)も素晴らしい演奏です。是非お聴きいただきたいですね。




マーラー 交響曲 第5番
(5 Jul. 2019 at Kölner Philharmonie)

20190705JukkaPekkaSaraste-Mahler5.jpg
(当日のプログラムの表紙です)


第一部
第一楽章葬送行進曲は陰鬱ですが殊更のスローではありません。導入句のファンファーレは力強く、第一トリオは一気にテンポアップして切れ味鋭い迫力を見せてくれますね。第二トリオは細い哀愁から入りますが哀しみに溺れる事なく鋭い流れに戻りますね。第二楽章第一主題も激しさと鋭さです。そして第二主題(一楽章第二トリオ)を鎮めてコントラストをキッチリと付けて来ます。展開部・再現部でも動機と主題が一層のコントラストで彩られています。マーラーの指示に沿ったメリハリある気持ちの良い第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題はリズム良く弾ける流れで、そこからレントラー主題は緩やか優美に流れを変えています。切れ味ある小刻みな動機の後、第三主題は落ち着いた流れにしていますね。短い展開部で一気に激しさを表出させて、その流れに乗って再現部の主題回帰はより華やかに入ります。こちらの方が展開的流れです。コーダは派手で迫力の素晴らしさです!
優美な前半から切れ味の後半、素晴らしい構成と演奏の第三楽章です。オブリガート・ホルンも良い音色です。

第三部
第四楽章主部は甘美を避けてやや速めで透明感ある流れでクールそのものです。マーラーの緩徐でお約束の情熱パートもさりげない上手さで、続く中間部はトーンを抑えて秘めた感情を表現します。ラストで溢れる感情、好きなアダージェットです! 最終楽章の第一第二主題の絡みは適度な揺さぶりを付けた切れ味を、コデッタ主題ではリズム良くと対比します。展開部は各主題の広がりを大きくして、山場に向かいます。再現部も主題を明確に色付けて締まり良く、山場からコーダは纏まり派手さと迫力を作ります。フィニッシュはアッチェレランドがビシッと決まります。鳴り止まない大喝采!!


構成感のしっかりとしたメリハリのマーラー5です。この曲の持つ迫力・優美・洒脱を見事に構成して、近年聴けた最高の演奏の一つかと。

実際のコンサートでこの演奏に出会えたら当面マーラー5番は行かなくてもいいかも!!



本当に残念ながらCDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ルイジ・ノーノ(Luigi Nono)『断片-静寂、ディオティーマへ | 夢見ながら "歩かなければならない"』緊張感あるアルディッティ・クァルテットですね


ルイジ・ノーノ
(Luigi Nono, 1924-1990)
前回に続いて今更のイタリア人現代音楽家ノーノの後期作品です。という事で、ノーノについては前回のインプレをご覧いただけると幸いです。


Fragmente / Hay que caminar
極端な静音の呻きの中に強音の表出するスタイルの後期作品。その中で今回はアルディッティ弦楽四重奏団(Arditti Quartet)の演奏を聴いてみようと思いました。アルディッティ・クァルテットも前回2017年来日では随分と角の取れたスタイルになったのを感じましたが。






断片-静寂、ディオティーマへ, Fragmente-Stille, an Diotima (1980年)
もちろん弦楽四重奏曲ですね。音数の少ないロングトーンの静音構成で入ります。音色はフラジョレットでノイズ系の印象ですね。時折トリル・トレモロが入りますが、反復や変奏の印象はなく、楽器の絡みも少なく呼吸の様です。そして、その中に切れ味鋭い強音が突然の出現です。ノーノ後期の作風そのものです。このあたりの素晴らしい緊張感はアルディッティの力量の気もしますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  音色が明瞭なLaSalle Quartetです。緊張感は緩めでアルディッティの方がシャープでしょうね。



進まねばならない、と夢みつつ, Hay que caminar sonando (1989年)
亡くなる一年前の最後の作品、二つのヴァイオリンの為の曲ですね。アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)と2nd vnのデヴィッド・アルバーマン(David Alberman, 1985–1994member)です。
 当然似た流れです。弦楽器が二本なくなったのさえも感じないかもしれません。細いフラジョレットの音色が主で、鋭いボウイングの強音が炸裂します。その炸裂頻度が少し上がって、コントラストがより明確な感じですね。この方が奥行きも感じます。



後期作品としてはこういった弦楽四重奏曲が緊張感が伝わって楽しめる気がしますね。少なくとも今までインプレしてきたノーノ作品の中では最も好みです。ただ若干の特殊奏法があるくらいで、新しさはあまり感じられないかもしれません。

この時代は、既に ラッヘンマン, シャリーノ, グリゼー その他大勢が新しい技法でポスト・セリエルを席巻していた訳で、どうしてもそちらに視線が向いてしまいます。



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ルイジ・ノーノ(Luigi Nono) の後期作品『冷たい怪物に気をつけろ / 死の間近な時 ポーランド日記第2番』は洗練された退屈さ?!


ルイジ・ノーノ
(Luigi Nono, 1924-1990)
現代音楽黎明期のビッグネームの一人で、ブーレーズやシュトックハウゼンと共にセリエル時代のエクスペリメンタリズム欧前衛音楽界を牽引しましたね。前回『セリー主義 〜 ブーレーズ / ノーノ / シュトックハウゼン 作品集』を紹介した際に後期作をもう一度聴いてみようと思い、今更の登場です。
楽風は、[前期]セリエル時代 - [中期]イタリア共産主義とテープの時代 - [後期]静寂とライヴ・エレクトロニクス時代、と言った流れですね。


Guai ai gelidi mostri | Quando stanno morendo. Diario polacco n. 2
微弱音の中にクラスターの出現、そしてライヴ・エレクトロニクスの採用という楽風になった後期の声楽作品になります。CD2枚組で二曲構成の作品ですね。二曲共にイタリアの哲学者マッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari, 1944/6/5)のテキストを元に作詞されています。カッチャーリとはオペラも共作していますね。






冷たい怪物に気をつけろ, Guai ai gelidi mostri (1983年)
4パートの楽曲で、アルト2人に室内楽です。ライヴ・エレクトロニクスはヴォーカルパートと他にfeedback loopを使っているそうです。歌詞はイタリア語やラテン語、ドイツ語が交錯する中に"A dryness calling for Death" "discontinuous gods" の英語が見つかるだけですが、細々とした不安の事の様ですね。

例によって音が出ているのかわからない程の微音から入ります。アンサンブルは静音で綴られて、スローでノイズ的で即興風です。voiceが入ってきますがヴォーカリーズで楽器の一部の様な感じです。そして突然の木管の強音が登場してきます。まぁ、予想通りの構成ですね。そこからはボリュームが若干上がり突発性強音、歌唱が入ります。歌唱はロングトーンで読経みたいw 全体が暗い闇の揺動の様で突然大波が来ます、ドローンに強音即興を噛ませた感じ?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  コンサートで演奏の様子が見えた方が楽しめるかもしれませんw


死の間近な時 ポーランド日記第2番
  Quando stanno morendo. Diario polacco n. 2 (1982年)
9パートの楽曲で、ソプラノ3人とアルト1人にバス・フルートとチェロです。ライヴ・エレクトロニクスがどう使われているかは不明です。歌詞は抽象的で 神を待つ話の様ですね。ちなみに同タイトル原曲「ポーランド日記 (1958年)」は中期作品で政治的色合いが強いです。ここでも歌詞の中に潜む政治的背景があるのですが、それは避ける事にします。("Mosca - chi sei?"がヒントですね)

CDを換えても同じ曲の延長の感じですが、始めから聖歌の様な薄いヴォーカルがアカペラで入ってきます。そのまま長く続き、Part II 以降はノイズ的なアンサンブルが被ってきて混沌とします。この曲の方が歌唱中心で、演奏の強音の呻きが強いです。とは言え、ここでも構成は同じですね。



この年代のノーノらしい澱んで呻く様な静音の中に時折立ち昇る強音、それが時に歌唱となっています。いつも同じと言えばそうなのですが、それがノーノの後期でしょうね。

スコアを見ると凝った記譜になっていますが、曲にはその印象が残らない感じもしますね。



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現代音楽の源流・古典『セリー主義 〜 ブーレーズ / ノーノ / シュトックハウゼン 作品集』は、今聴いても新鮮!…かな?


New Dimension Music
20年くらい前のアルバムです。「20世紀の遺産」シリーズの中の一枚で、21世紀を前に発売されていましたね。今思うと、当時はセリエル主体の現代音楽が終わりを迎えて、総括されたのですが次が見つからない、今の様に情報も無かった気がします。
監修の東大・長木先生は現代音楽の解説で話を聞いた事や、この数年前に発売された「グスタフ・マーラー全作品解説辞典」でもお馴染みだったので手にしましたね。

"無調 → 十二音技法 → トータルセリエル" と進んだ、今や "古典現代音楽"、をダルムシュタットを中心に推進した前衛三羽烏の三人をピックアップしたアルバムです。基本中の基本ですね。この後1970年代にセリエル(セリー主義)は停滞期に入って事実上崩壊し、多様性主義となって現代に続いていいますね。
 ▶️ 「このblogで言う現代音楽」を参照下さい

ブーレーズとシュトックハウゼンは21世紀まで、ついこの間まで活躍していたのですが、今や旧世代のビッグネーム現代音楽家の印象でしょう。今更のインプレになるとは思いますが再度聴いてみようと思いました。演奏は超豪華布陣でブーレーズがM.ポリーニ(pf)、他はC.アバド指揮/VPO, BPOです。







ピエール・ブーレーズ (Pierre Boulez, 1925-2016)
この三人の中では最も好きな現代音楽家です。そのカラフルな音色はもちろん師であるメシアンからの流れを感じます。ポストセリエルからはJ.ケージに触発された「管理された偶然性」や、多様性から電子音楽に展開しています。そして、何と言っても今の時代の現代音楽の拠点の一つIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)創設が将来に渡って一番の功労になるでしょうね。晩年は現代音楽界のドンでしたね。

ブーレーズの現代音楽なら全貌を一望できて楽しめるアルバムComplete Works」が超オススメです。

ピアノソナタ第2番, Second Sonata for Piano (1948年)
 ブーレーズ初期の代表作で、バリバリのセリエル時代作品です。基本の十二音列「D-A-D#-G#-C#-F-G-Bb-B-C-F#-E」がスコア冒頭に置かれた十二音技法作品ですが、聴いただけで無調との違いがわかる人はそうそういないでしょう。十二音の基本音列を主題と考えてなのか、古典的四楽章形式ですね。pfはM.ポリーニです。(以前も紹介済みですが)
 いかにも音列配置的です。点描であり、音の跳躍もあって長音はほぼありませんね。もちろん所謂(いわゆる)旋律はありません。この時代らしい調性感を一切排除した音楽です。四楽章あって緩徐楽章も超絶技巧性も存在するのですが、みんな同じに聴こえます。それこそがセリエルでしょう。理論絶対優先、エンターテイメント置き去り時代の現代音楽の鋭さがあります。スコアを手に基本音列の逆行や反行がどの様に作られているのか、音価の分配は、そんな興味が必要かもしれませんね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章だけですが、スコア付きです。





ルイジ・ノーノ (Luigi Nono, 1924-1990)
個人的には三人の中で一番全体像が薄いのがノーノの気がします。セリエルはノーノだけシェーンベルクからの流れを受けていて、ポストセリエルに入ってからもその点描音列的な構成を維持して、ブーレーズやシュトックハウゼンと対立していますね。初期はもちろんセリエルで、その後中期から後期はポストセリエルとしてテープや電子音楽へ舵を切っています。

進むべき道はない、だが進まなければならない…アンドレイ・タルコフスキー, Non hay caminos, hay que caminar … Andrej Tarkowskij (1987年)
 ノーノ晩年の作品で最後の管弦楽作品、サントリーホール「国際作曲委嘱シリーズ」委嘱品で初演、「カミナンテス三部作」の中の第二作品ですね。シュトックハウゼンも用いた他編成オケ作品で、7群化されたオケ配置になります。今回は短時間ver.で17'弱ですが、ロングver.もある様です。
 入りは超静音で、音そのものを聴くというノーノの技法(その後のヴァンデルヴァイザー楽派系?)を用いていますね。そしてその中にパルス的なクラスター音が登場します。静からの烈の出現は、多様性化以降の現代音楽典型の一つでしょうね。ここではかなりそのコントラストが強烈です。シーン…ドカン…シーン…、の様な"音"ですね。空間に響くクラスターは、ヴァレーズやクセナキスを想像するかもしれません。この時代としては目新しさは低く、空間音響系の現代音楽として違和感はありませんね。問題はコンサートでないと7群の音を味わえない事でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  25'ver.です。


愛の歌, Liebeslied (1954年)
 初期作品で混声合唱と室内楽作品で、歌詞は極短い愛の散文詩です。宗教音楽の和声を強く感じますが、十二音技法的な展開がされているのでしょうか。現代音楽家が宗教曲を書くことは珍しくありませんが、ノーノは政治的な色合いはあっても宗教色はあまり感じないのですが。




カールハインツ・シュトックハウゼン
(Karlheinz Stockhausen, 1928-2007)
セリエルからトータルセリエルへ、群作法や 旋律を許すフォルメル技法といったセリエルの可能性を最も追求した印象があります。特徴的なのは「:一週間の七つの日 (1977-2003)」や「クラング:1日の24時間 (2004-2007未完)」といった長編連作を作る事ですね。タイトルを見てもシュトックハウゼンが時間軸に興味があったのを感じますね。"光"などは作成年数が長く、技法的には様々です。

グルッペン, Gruppen (1955-57年)
 前期のセリエルからトータルセリエルへそして電子音楽へと移行する時代の代表作ですね。オケを3群化していて、その後の音響空間への足がかりでもあります。
 この曲を聴くときはボリュームを上げる事が必要ですね。そして音が出てくる方向を感じわけですね。その音が部屋を満たす感じを味わいたいわけです。カラフルな音が響く中に自分を置く感じでしょうか。楽風は点描的なセリエルから半歩前進した感じで、音列も表情を感じる様になっています。所謂旋律はありませんが、音空間を彩るのは明瞭です。3群オケ(通常のオーディオですと左右くらいしかわかりません)の即興的混沌ポリフォニーから協調性まで味わえますね。まぁ、それでも古臭いと言われれば…ですが。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  オケ配置が良く分かりますね。アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏です。





セリエルベースで一番興味深いのはやっぱりシュトックハウゼンでしょう。楽曲選択がセリエルの可能性を見せる様に組まれているのは素晴らしいですね。一番セリエル的な曲を初めに持ってきて、やっぱりこれか、と思わせながらその先を見せてくれます。一曲だけ1980年代を入れているのも効果的です。この時代背景の現代音楽を聴いてみたい方にオススメですね。ライナーノートの長木先生の解説はもっとあっても良かった気がします。

残念ながら多群オケ作品の本当の響き、空間音響系、はCDでは味わえませんね。最近はコンサートでも殆ど見られません、5.1サラウンドなら大丈夫?! (このCDは非対応ですがw)




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2019年3月11日 ヴァレリー・ゲルギエフ / マリインスキー劇場管『マーラー 交響曲 第5番』at Barcelona Obertura Spring Festival #1 «ネット配信»


ヴァレリー・ゲルギエフ, Valery Gergiev
(マリインスキー劇場管弦楽団, Mariinsky Theatre Symphony Orchestra)
ゲルギエフが長く総裁を務める手兵マリインスキー劇場管を率いて、第一回となる『バルセロナ・オーベルトゥーラ春の祭典, (Barcelona Obertura Spring Festival)』に出演した時のマーラー5ですね。

▶️ こちら (賞味期限は短いのでお早目に)




マーラー 交響曲 第5番
(11 Mar. 2019 at Sala Pau Casals de L'Auditori)


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(フェスティバルのプログラムの表紙です)


第一部
第一楽章葬送行進曲は間を作ったファンファーレから少し揺さぶりながら鬱な音色で進めます。山場のコントラストは明瞭です。第一トリオでは鳴りの良さを生かします。激しさはほどほどですが、テンポと演奏が緊迫感を作っていますね。第二トリオは細い哀愁です。第二楽章第一主題は緊張感高く、第二主題で静的哀愁でコントラストを付けます。緊迫感の高いメリハリの第一部、マーラーの指示通りの流れを感じますね。

第二部
スケルツォ主題はややスローに入りますが、vnがシャープに感じます。レントラー主題は優しく華麗です。このコントラストが欲しかったのでしょうか。中間部(トリオ)に近い流れの第三主題は緩い流れに転じます。その後も短い展開部は締まり良く、コーダはストレッタ的です。第三楽章は優美よりもシャキッとしたスケルツォです。

第三部
第四楽章はスロー甘美は避けて表現の強い美しさです。山場は大きく中間部も情熱を感じますね。あまり類型が無いアダージェットです。第五楽章導入部のホルンは破綻が酷いです。第一・第二主題の絡みは速く力感があり、コデッタもシャキッとした流れです。展開部もかなり速く強く、特にvnの流れは、慌てている様な感じです。その分再現部山場からコーダは暴れて、その手が好きな方向きです!


全体速め硬めで、特に後半に向けて走るマーラー5です。ゲルギエフは各地のコンサートでもマーラーを取り上げるので、いろいろな事をやっている感もありますね。速め基本、特に最終楽章の慌ただしさはやり過ぎかと。

実はコンサートでの相性が良くない一人、最近は生で聴いていないのですが…



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。


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王道の演奏で、CD化の予感がしますね。2019年6月29日 ユッカ=ペッカ・サラステ / ケルンWDR交響楽団『マーラー 交響曲 第6番』«ネット配信»


ユッカ=ペッカ・サラステ, Jukka-Pekka Saraste
(ケルンWDR交響楽団, WDR Sinfonieorchester Köln)
サラステが今シーズン(2018–2019)まで首席指揮者を務めるケルンWDR交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)を振ったマーラー6ですね。このセットのマーラーは5番と9番で素晴らしいCDを残しているので楽しみですね。(サラステのマーラー6番はオスロフィルとの2010年録音が残されています。そこでもハンマーは三発でした)
独放送局"WDR3 Radio"ウェブサイトからの配信です。


▶️ こちら (7月31日まで楽しめます)




マーラー 交響曲 第6番
(29 Jun. 2019 at Kölner Philharmonie)

20190629JukkaPekkaSaraste-Mahler6.jpg
(当日のプログラムの表紙です)


第一楽章
第一主題は過度の興奮は回避した行進曲にして、パッセージの静からアルマの主題を感情を込めた流れにします。王道ですね。展開部は第一主題に激しさを増して、厄介な挿入部をvnのトレモロを明確に表現して穏やかな音色に仕立てます。各ソロパートの腕も確かですね。楽章としてアゴーギクは少なめです。

第二楽章
スケルツォです。ここでも主要主題は殊更の重厚さを避けて切れ味です。トリオ(中間部)は軽妙に色合いを変えていますね。変化球なしのストレート勝負です。

第三楽章
アンダンテです。楽章が始まる前のチューニング音も入っています。主要主題は優しく心持ち速めに、副主題(第一トリオ)のイングリッシュホルンも優しさを込めてここではややスローに流れを作ります。優しく穏やかな緩徐楽章に作り上げられました。中間部(第二トリオ)での明るい流れは明瞭、ラスト前第一トリオ回帰の溢れる哀愁は見事です。マーラーの緩徐楽章らしい山場の構築ですね。

第四楽章
序奏は各主題を明らかにしながらスローベースに組み立てていますね。もちろんコントラストは強いです。提示部第一主題は勇壮にシャープに走ります。その流れでのパッセージから、第二主題で軽妙洒脱にチェンジ。見事に決まりましたね。展開部からコーダは各主題がどうのこうのと能書きは不要でしょう。過度の興奮を避けつつも、アゴーギクとディナーミクを使った切れ味ある組合せで流れを作ります。ぜひボリュームを上げて聴いて欲しいですね。コーダでハンマー三発目!


堂々王道のマーラー6です。このパターンは演奏の質を問われる訳ですが、もちろん完成度が高いですね。録音も素晴らしく、楽章間もそのままなのでボリュームを上げられればコンサートホールの印象で楽しめるでしょう。2010年のオスロ・フォルとのCDよりも更に完成度を上げていますね。唯一の欠点は出来過ぎ、と言う贅沢な悩みかもしれません。

本録音をベースに、"Profil"レーベルからCD化される気がします。CD化されればもちろん☆印ですね。



残念ながらCDではないので「マーラー第6番聴き比べ:60CD」にはアップしません。


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2019年6月25日 アレクサンドル・ブロック / リール国立管弦楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


アレクサンドル・ブロック, Alexandre Bloch
(リール国立管弦楽団, Orchestre national de Lille)
フランス人指揮者のブロックが2016年から音楽監督を務めるリール国立管を振ったマーラー5ですね。リール国立管と言うとどうしてもジャン=クロード・カサドシュ(Jean-Claude Casadesus)が1976年に創設して長く音楽監督を務めたイメージが強いですね。(カサドシュとリール国立管はマーラー5番のCDも残しています)
仏放送局"france musique radio"ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (賞味期限は短いのでお早目に)




マーラー 交響曲 第5番
(2019/06/25 at Basilique-Cathédrale de Saint-Denis)

20190625AlexandreBloch-Mahler5.jpg


第一部
第一楽章葬送行進曲は静的で重厚さを避け、ファンファーレの回帰も抑え気味です。第一トリオは明瞭に広げますが荒々しさはありませんね。第二トリオの哀愁もほどほどです。第二楽章第一主題は適度なアップテンポと緊迫感を付けています。第二主題も程よくテンポを落として哀愁のコントラストを付けています。クセも個性もあまり感じませんが。展開部・再現部も特徴は薄く、クセのない教科書的な第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題は少しもっさりしている感じです。オブリガート・ホルンが今ひとつだからかもしれません。レントラー主題は緩やか優美ですが纏まりがよくありません。第三主題ももっさりとした印象です。短い展開部で締まりを取り戻しますが、再現部は各主題の纏まりがやっぱり良くない感じです。見晴らしの良くない第二部です。

第三部
アダージェットは弦楽パートなので本来バランスが良いはずですが、細かな揃いが足りていない感じです。トリオで妙な揺さぶりがあります。第五楽章第一第二主題の絡みにクセはありませんね。コデッタも特徴はありません。展開部山場から再現部は揃いが悪く、そのままコーダへなだれ込みます。ラストは力技です。


流れも演奏も全部が今ひとつのマーラー5です。流れはクセもない代わりに個性もなく、演奏は大きな破綻はありませんが切れ味のあるパートも見つかりません。

指揮者とオケの全体印象はカサドシュが振ったマーラー5と似ているのかもしれません。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。


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2019年6月19日 ヤクブ・フルシャ / ベルリン・ドイツ交響楽団『マーラー 交響曲 第6番』«ネット配信»


ヤクブ・フルシャ, Jakub Hrůša
(ベルリン・ドイツ交響楽団, Deutsches Symphonie Orchester Berlin)
都響の首席客演指揮者であった事もあり、チェコ人若手指揮者(38)のフルシャは日本でもお馴染みですね。現在バンベルク交響楽団の首席指揮者、フィルハーモニア管の首席客演指揮者を務めています。今回はベルリン・ドイツ交響楽団を客演で振ったマーラー6、ドイツの放送局Deutschlandradio Kulturのウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (賞味期限が短いのでお早目に)




マーラー 交響曲 第6番
(2019/6/19 at Philharmonie Berlin)

20190619JakubHrůša-Mahlre6
(当日のプログラムの表紙です)


第一楽章
第一主題は勇壮な中に落ち着きを見せます。少し特徴的なアゴーギクを感じますね。経過句はかなり鎮め、アルマの主題は緩い揺さぶりを入れて甘美に仕立てています。展開部は二つの主題を締まり良く、挿入部のスローにも適度な緊張感を残します。再現部では両主題に激しさと緩やかさのコントラストを付けますね。

第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題を抑え気味に入るので第一楽章ラストとの対比構成があります。第一トリオ(副主題)もその流れでスロー静の緩徐の気配が強く、中間部で緩やかな明るさを灯します。この楽章全体を大きな(ターン音型)動機の緩徐として構築し、前後楽章とのコントラスト付けが素晴らしいです。

第三楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の印象を復活させた気配でクールな勇壮さです。トリオは変拍子をあまり意識させない静的優美な流れでコントラスト付けしていますね。回帰する主題とトリオも都度表情を変化させて上手いです。トリオの後の木管の動機はあっさりしているかもしれません。

第四楽章
問題の?序奏はスローを基本に流れを統一するので見晴らしは良いですね。そこから一気に提示部第一主題を走らせるのが狙いだったのでしょう。もちろん過度の興奮は避けています。パッセージも抑えつつ、現れる第二主題では軽妙さを出しています。この曲の心臓部でもある展開部から再現部は、アゴーギクとディナーミクのコントラスト付けを最大限に振って華やかささえ感じますね。行進曲や騎行での興奮をクールに抑えているのもいい感じです。


クールでシャープ、構成感あるマーラー6です。爆演や興奮はありません。代わりにアゴーギクを主体に構築し、上手くディナーミク付けした 締まりある良い流れです。

個性を見せつつ見晴らしの良さもある感じ、やっぱりフルシャは注目ですね。CDインプレなら☆印(個人的お勧め)です。



残念ながらCDではないので「マーラー第6番聴き比べ:60CD」にはアップしません。


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フィルム・ミュージックの様なヴィヴァルディとピアソラ、二つの "四季"。カペラ・ガベッタ の『タンゴ・シーズンズ』


カペラ・ガベッタ
(Cappella Gabetta)
ヴァイオリニストのアンドレス・ガベッタ(Andres Gabetta)が設立したピリオド楽器アンサンブルですね。まぁ今はやりの、と言う感じがしますが。このアルバムに興味を持ったのは演奏者ではなくて、ヴィヴァルディとピアソラ二人の"四季*"がクロス配置されて奏される事でした。

* ピアソラは "ブエノスアイレスの四季" ですね


Tango Seasons | Vivaldi, Piazzolla
それぞれ二人の作曲家の案内は今更無用でしょう。ここでは二つの"四季"を交互に配する流れになっています。バロックと近現代アルゼンチン・タンゴの組合せは興味深いですよね。ちなみにピアソラの楽曲にはもちろんバンドネオンが採用されています。最後に追加されている一曲 "リローデッド" は今回の編曲者の一人ロベルト・モリネッリ(Roberto Molinelli)の作品で、二人の楽曲からのインスピレーションだそうです。
さて、どの様にアレンジされているでしょう。






いきなりのヴィヴァルディ"春"は快速です。そしてソロでの駆け引きの様な変奏も加えられて軽妙感を強くアレンジされていますね。いわゆるバロック感は消された表情付けがされています。続くのはピアソラの"冬"ですが、ヴィヴァルディよりも情感はかなり強いのですが、ピアソラ楽団の強い哀愁感に演奏に比べると重厚さを避けているでしょうか。
その後 "夏"、"秋" は同期しています。曲調は以上の流れになっていて、両者オリジナル(ヴィヴァルディは例えばイ・ムジチの様な) に対してフィルム・ミュージック的な印象に編曲されていますね。ヴィヴァルディはアゴーギク・ディナーミクを強め、ピアソラはディナーミクは全体抑え気味、そう言う方向性です。

ラストの "リローデッド" は、処々にバロックを仕込んではいますが、ピアソラ風。それ以上に感じるのはハイテンポ技巧的です。なぜここで必要なのでしょう?


基本的に美しさで流れを統一したアレンジで、お洒落なCDです。バロックと近現代タンゴの両方を、フィルム・ミュージックに方向性を統一している感じです。ただ、ヴィヴァルディ・ファンはクドイと感じるかもしれませんし、ピアソラ・ファンには淡白に聴こえるかもしれません。

ピアソラに関して言えばpfが入っていないのは大きく、オリジナルの演奏の心に染み入る様な情感は避けています。一度オリジナルを聴いて頂きたいと思います。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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