オヌーテ・ナルブタイテ (Onute Narbutaite) の「No Yesterday, No Tomorrow」を聴く


オヌーテ・ナルブタイテ (Onutė Narbutaitė, 1956/6/12 - )
リトアニアの女性現代音楽家ナルブタイテはリトアニア国立音楽院(Lithuanian State Conservatory)で習い、また教鞭をとっています。


No Yesterday, No Tomorrow
裏ジャケットに"鉄のカーテン"云々と書いてありますが、ナルブタイテの活躍はそれ以降の方が長くなり、作風も大編成化していますね。今回もそんな作品集です。
指揮はクリストファー・リンドン=ギー(Christopher Lyndon-Gee)、リトアニア国立交響楽団(Lithuanian National Symphony Orchestra)による演奏です。



La barca (2005年)
いきなりのクラスターから緊張感のある静の流れ。管楽器によるテンションの張った静の'うねり'は不安と煌めきが同居します。楽風は調性感が強い動機の組合せで、前衛ではありませんね。印象的にはフィルム・ミュージック的な現代のクラシック系かと。

kein gestern, kein morgen (2012/2015年):世界初録音
リルケの詩を元にしたメゾソプラノとテノールの歌が入ります。詩人的な二人の愛の歌で二人の世界には「There is no yesterday, no tomorrow. (英訳)」だそうです。
楽風は似て表情変化や展開感は薄く煌めきと緊張感の静的な暗さがベースですが、調性感は薄くなります。歌い方も調性は薄く幻想的、前衛歌曲的で面白いですね。

krantas upe simfonija (2007年):世界初録音
同じ展開、共鳴する様な音色を静音で流します。そこに一曲目の様な管楽器の動機が重なりますが、調性を強く感じますね。トランス状態に成れれば面白そうですが、やっぱり何か不安要素映像のバック風…

静的で暗く管楽器の陰鬱な煌めきが延々と続く面白さがあります。ただ調性感が強く映画音楽的な印象です。
歌のあるタイトル曲は良いですね。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 60CD聴き比べ! [#5 / CD:51-60]

第5回目は好きなノット盤や発売されたばかりのハーディング盤からベテラン勢、10CDのインプレ追加です。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#5回 60CDまで)
 #5:10CD 本投稿
 #4:10CD
 #3:10CD
 #2:20CD
 #1:10CD


ジョナサン・ノット, Jonathan Nott
★☆
Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-9/15-19

(ノットのマーラーは全集で買って後悔しませんね)

現東京交響楽団の音楽監督を務めるノットが16年間首席指揮者だったバンベルク響とのチクルスからですね。
第一楽章
スロー緩やかな第一主題から第二主題も流れはスロー、そこから金管の下降を経て大きく反復と第三主題を奏します。展開部もスローな暗さと激しい山場の対比が葛藤を描くようです。山場の後は必ず落ち込む鬱も生きています。
第一楽章に欲しい"暗さ"がスローのテンポの中息づいて素晴らしいですね。
第二楽章
主要主題と第一トリオはテンポよく穏やかな優美さで、第二トリオも流れよくスケルツォを奏でます。優美さが引き立ち一楽章からの対比がきれいですね。
第三楽章
主要主題と副主題は速めの流れで、第二楽章ラストの狂奏からの繋がりがあります。中間部のターン音型で徐々に流れを穏やかに落とします。これは最終楽章の中心をなすターンへの流れにピッタリで、前後楽章との連携が見事ですね。ラスト山場も見事な狂乱です。
第四楽章
スローで哀しみの強いアダージョの主題。第一エピソードも沈んだ流れから弦楽緩徐の哀しみ溢れる美しさが大きく広がります。その後もスローなターン音型の浮遊感を最大限生かしながら透明な哀しみと美しさをラストの消え入る動機まで繋げます。この楽章に欲しい"死"を前にした澄んだ世界が感じられます。素晴らしいですね。
・・・・・
この曲の真髄とも言える第一楽章の"暗"と第四楽章の"哀"の美しさが伝わるマーラー9です。
スローで情感深い第一四楽章、明瞭な第二三楽章、その楽章構成が見事ですね。個人的ベスト5の一枚です!




ダニエル・ハーディング, Daniel Harding

Swedish Radio Symphony Orchestra
[harmonia mundi] 2016-9/8-10
ハーディングが2007年から音楽監督を務めるスウェーデン放送交響楽団(Swedish Radio Symphony Orchestra)との録音ですね。
第一楽章
緩やかで美しい第一主題、不安を感じさせる第二主題、反復は大きく奏でます。提示部のラストを激しく、展開部も柔らかさと切れ味の出し入れのコントラストが見事に付いていますね。再現部も懐の広さを感じさせながら、うまく静的なコーダへ結びます。
第二楽章
主部主題、第一トリオ、共にやや重さを感じます。第二トリオは緩やかですが、決して軽やかではありません。第二第三楽章では激しさがベースに存在しますね。
第三楽章
主部主題は切れ味良く、副主題もそれに絡みます。重厚さと軽妙さの微妙なバランスです。中間部はやや速めに美しさと哀しみを合わせ大きな波を奏でます。ラストの暴れ方は見事!!
第四楽章
主要主題は美しく、ファゴットのモノローグから第一エピソードは情感大きく盛り上げ繊細に納めます。第二エピソードもその流れです。「亡き子をしのぶ歌」の引用からコーダはpppスローの美しさを生かして消え入ります。
・・・・・
重心の低い切れ味と見事な広がり、哀愁よりも嶮しさのマーラー9番です。
一四楽章vs二三楽章の対比が見事でした。コンサートでは相性の良くないハーディングですが、期待を裏切る素晴らしさでしたw おすすめの一枚ですね。


本アルバムは2016年9月8-10日のセッションですが、翌2017年7月24日のヴェルビエ祝祭管弦楽団(Verbier Festival Orchestra)とのLiveを聴く事ができます。
Mahler “Symphony No. 9” (Daniel Harding • Verbier Festival Orchestra, 24 Jul 2017)
流れとしては良く似た演奏になります。第一楽章は悪くありませんが、第二楽章が軽めで間伸び感を感じます。第三楽章は揃いは今ひとつですが激しさが良いですね。第四楽章は似た展開ですがやや緩いです。
結果的には煮詰めたセッションと言う事になるのでしょうが、それをライヴで聴きたいところですね。




小澤征爾, Seiji Ozawa (2録音)

(#1)
Boston SO
[Philips] 1989-10
言わずと知れたボストン響の音楽監督時代のマーラー9番です。
第一楽章
第一主題と第二主題を抑えて冷静な流れから展開部へ入ります。展開部もクールで静的パートと激情パートのコントラストがコントロールされています。再現部も"計算尽く"を感じます。
第二楽章
主要主題はややスロー穏やかに絡んで第一トリオでシャキッと気配を変え心地よいスケルツォになります。第二トリオは緩やか穏やかです。後半の山場も暴れる事なく全体として穏やかさのスケルツォですね。
第三楽章
主題と副主題は心地よい勇壮感と軽快感で絡んで進み、中間部では穏やか伸びやかで山場へ繋ぎます。ラストもマーラーの指示通りに荒々しく、見晴らしの良い楽章です。
第四楽章
序奏・主題の美しい広がりは第三楽章からの対比が心地よいですね。第一エピソードは暗い静音パートと弦楽緩徐パートの広がりが美しです。第二エピソードもうまくアゴーギク・ディナーミクを振って哀愁ある美しさが際立ちます。この流れからのラストの静的美しさはマッチしています。
・・・・・
全て小澤さんコントロール下、ライヴとしてはマイルドでまとまりすぎのマーラー9です。
ただ、第三楽章から最終楽章は素晴らしく全体この流れだったら絶対☆ですね。




(#2)
サイトウキネン・オーケストラ
[Sony] 2001-1/2-4
BSOとの12年後、これまた言わずもがなの創設者であり総監督を務めるサイトウキネンを振った演奏です。
第一楽章
タメの効いた第一主題と揺らぎを持った第二主題、金管の半音下降からの反復と第三主題の緊張感が素晴らしいですね。展開部・再現部共に緊張感とオケの漲るパワーを感じられます。ただこの楽章としては厳つい気配が強すぎの気がします。
第二楽章
主要主題は穏やかな流れ、第一トリオでピシッとするのはBSOと同じですね。その後も良く似ていますが演奏の切れ味はこちらが上。
第三楽章
主題と副主題は切れ味よく絡み、伸びやかな中間部以降ですが前半がややフラットに感じます。ラストのパワーは見事。
第四楽章
序奏・第一主題は重厚感、第一エピソードも重さが際立ちます。第二エピソード緩徐パートもそっけない感じです。ラストに向けても線の細さより朗々と鳴る気配です。
・・・・・
この曲に感じる哀しみや美しさが弱いマーラー9ですね。通して重厚、緩徐パートも厚い音色だからかもしれません。
演奏が素晴らしいのでコンサートで聴いたら賞賛してしまうかもしれませんね。(汗)




クルト・ザンデルリンク, Kurt Sanderling (4録音)
日本でもお馴染みの父ザンデルリング。マーラーの9番は4枚も正規録音を残しています。(もう一枚フィルハーモニア管との非正規盤がありますが…)


(#1)
Berlin SO
[Deutsche Schallplatten] 1979-2/28,3/2,8
鍛え上げた手兵 ベルリン交響楽団(東独)の芸術監督/首席指揮者を1977年に退いた2年後の録音ですね。
第一楽章
スローな序奏と第一主題、第二主題から反復で大きな波を奏でます。第三主題の激しさから暗転して展開部に入りますが少しモヤモヤした感じですね、山場はパワフルですが。再現部は落ち着いた流れで悪くありません。
第二楽章
主要主題と第一トリオは硬派なレントラーとスケルツォ。第二トリオはやや緩めて流れる様なスケルツォです。後半は情感を上げますが真面目過ぎかも。
第三楽章
主要主題と副主題の絡みは教科書的で変化に乏しく、中間部やラストでも変化量が不足気味です。
第四楽章
序奏・第一主題は厚めの音で入ります。第一エピソードは細く入って厚くなりますが没個性的です。第二エピソードも生真面目で、流れにアゴーギク・ディナーミクの個性が感じられません。
・・・・・
破綻の無い、落ち着いて計算された真面目なマーラー9です。何か一味足りません。




(#2)
BBC Philharmonic
[BBC Legends] 1982-7
ベルリン響の3年後、BBCフィルハーモニックを振った演奏です。
第一楽章
スローな出だしは変わりません。第三主題から展開部も同様ですが、自然体の流れと程良いコントラストがありますね。
第二楽章
ここでも主要主題から第二トリオまで穏やかさのレントラーとスケルツォになっています。全体としてやや緩さが強くダレますが。
第三楽章
主要主題と副主題の絡みはフラット、中間部も変化が薄いです。ラストはもっと強烈さが欲しいです。
第四楽章
序奏・第一主題は緩徐色を強めていますね。第一エピソードも第二エピソードもその流れで緩徐的です。ただ単調で感情移入は薄くフラットさが拭えません。
・・・・・
特徴が薄く緩いマーラー9です。特に第二第三楽章にマーラーの指示する「粗野」や「反抗的」が欠ける感じですね。




(#3)
NDR Symphonieorchester Hamburg
[Profil] 1987-11/7
BBC-Pとの5年後、北ドイツ放送交響楽団(現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)との演奏です。非正規盤から昨年正規盤となって話題になりましたね。
第一楽章
序奏から第一主題は適度にスローですが第二主題と反復も含めて緊張感があります。第三主題も緊迫感がいいですね。展開部、再現部共に適度な揺さぶりと荒れが締まりのある演奏にしています。
第二楽章
主要主題はカッチリ、そこから流れを作り第一トリオは表情変化させて明確なリズムを刻みます。スローダウンの第二トリオも全体の流れを生き生きさせていますね。後半は約束通りに荒れ気味に。
第三楽章
主要主部と副主題は落ち着いた絡みから軽妙さを見せ、中間部で牧歌調にチェンジします。ラストはコントロールが効き過ぎかも。
第四楽章
第一主題は大きく優美さを見せます。そして第一エピソードも重心の低い豊かな表情を見せてくれます。第二エピソードも哀愁漂う表情を見せながら山場を作り、『亡き子をしのぶ歌』引用の浮遊感から消え入ります。
・・・・・
適度な揺さぶりと興奮、安心して聴ける王道的マーラー9です。初めて聴くのにもオススメですね。
指揮者よりもドイツオケならではのパターンの気がします。この演奏だけ色合いが違うのが明白ですから。(同じ事はマーラー5番でも感じてインプレしています)




(#4)
Philharmonia O
[ERATO] 1992-1/24,25
NDR響の5年後、名誉指揮者を務めたフィルハーモニア管弦楽団を振った演奏です。
第一楽章
出だしは再びスローに戻って、第二主題への流れは変化が薄く反復もモッソリ。第三主題も見晴らしがよくありません。展開部・再現部もスローモヤモヤですね。
第二楽章
主要主題のtbが奇妙なヴィブラートですが、流れはレントラーが生きています。第一トリオはスロー、例によって落ち着かない変化です。第二トリオもスローの揺さぶりでモヤモヤ感が拭えません。
第三楽章
主要主題と副主題はリズミカルですが変化に乏しく退屈、でも中間部では表情を一転させます。ラストは約束通りに少し乱舞して見せます。
第四楽章
入りは美しい緩徐ですね。第一エピソードは抑揚が抑えられてフラット、第二エピソードもその延長、通して長く感じてしまいます。
・・・・・
82年BBC-Pの延長線上にある、もどかしさ満点のマーラー9番です。モッソリ・モヤモヤ、体調不良かもw
結局ザンデルリンクはNDR主導の演奏だけという事に思えてしまいます。




キリル・コンドラシン, Kirill Kondrashin (2録音)

(#1)
Moscow Philharmonic Orchestra
[Meloydia] 1964-5
コンドラシンが15年間首席指揮者を務めた手兵モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団を振った演奏です。
第一楽章
美しく軽い第一主題、第二主題も重さは控え目に、反復でも重厚さより明るさを感じます。展開部も軽めながらスピード感と切れ味の山場です。再現部も速め軽量で胃もたれしない流れですね。
第二楽章
主要主題は落ち着きから優美に、第一トリオはややもったいぶっていますが良いスケルツォ感です。第二トリオも大きく変化はさせずに穏やかですね。
第三楽章
主要主題・副主題共に速め軽やかで中間部も速く変化量は少なめです。12'を切って流れは速いですね。
第四楽章
序奏・主題は透明感ある美しさで、第一エピソードは哀愁を感じる流れからhrが主題を美しく奏でていい緩徐パートです。第二エピソードも哀しみを感じる美しさから山場を作ります。この流れはラストの消え入るターン音型にベストマッチでこの楽章として好みですね。透明な美しい哀しみの音色は、静かな"ersterbend 死"のイメージに近い印象です。
・・・・・
やや速めライトウェイトの肩のこらないマーラー9番です。最終楽章の静的な美しさは好みですね。
コンドラシンにしては淡白でしょうか。




(#2)
Moscow Philharmonic Orchestra
[ALTUS] 1967-4/16
1967年東京文化会館でのマーラー9番本邦初演。記念すべき録音ですね。マーラー人気が近年の事であるのが今更ながら再認識されますね。
第一楽章
美しい緩やかさの第一主題から興奮を避けた第二主題、それを大きく構えた反復と第三主題の提示部です。展開部も落ち着きはらい緩やか優美からアレグロ・リゾルートで興奮の山場を作りコントラストの良い流れ。彫りが深く、美しさと暗い重さのバランス良い楽章です。
第二楽章
主要主題は優美ですが表情豊かです。第一トリオは派手め第二トリオを優美にと、濃厚なスケルツォ楽章です。
第三楽章
主要主題・副主題は切れ味と軽快さのバランスよく流れて中間部は速めです。緩やかな揺さぶりを感じます。
第四楽章
揺さぶりを感じる主題、第一エピソードは繊細な音色からマーラーらしい弦楽の美しい山場を作ります。第二エピソードも静音パートは素晴らくラストへの静的流れはいいのですが山場もクールです。
・・・・・
コンドラシンらしい陰影を付けた明快なマーラー9番です。山場強音パートに激情さや狂気があれば素晴らしかったでしょう。





全集物を中心にまだ残っているようですので、また追記すると思います。^^;

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年2月16日 細川俊夫のオペラ「松風」初日 at 新国立劇場

楽しみにしていた日が来ましたね。会場も電車で20分もかからない初台の新国立劇場です。^^

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細川俊夫さんのオペラは東日本大地震の津波を基にした「Stilles Meer 海、静かな海 (2015年)」が素晴らしかったので、『松風 (2011年)』が観られるのは本当に嬉しい事です。
能がベースなのであらすじの確認は容易で助かりました。

"能"のダイジェストをYouTubeで見ておきました。
能「松風」ダイジェスト
もう一つ、この公演を前に行われた細川さんによる解説のダイジェストですね。
「能とオペラ『松風』をめぐって」ダイジェスト

能の持つ現実・非現実感や、あの世とこの世、松風と村雨で表す一人の陰陽、等々は頭に入れつつも素直に現代音楽オペラを楽しんで来ました。


演出

前衛ダンサーであるサシャ・ヴァルツの演出は音楽と並行して作られたそうです。
ダンスの占める役割りが大きく、風や波、松風や村雨、そして行平、松の木でもあります。極シンプルな舞台の重要配置でした。


舞台

一幕三場的な舞台は、フラット舞台オンリー、黄泉との結界の様な黒糸を編んだネット、塩屋の大きくシンプルなキューブリック。
特にベルリンで活躍する塩田千春さんによる黒い糸の舞台は演技と相まって象徴的でした。


配役

独唱や重唱が見せ場のオペラとは違い役作りも幽玄なので、特に誰がと言った印象は浮かびませんね。現代音楽ですから語り風で声の跳躍もありますがシュプレッヒゲザングではありません。松風や村雨が行平を思うシーンには音楽に合わせた狂気の表現があっても良かったのでは。(それをやらない演出も素晴らしいのでしょうが)


音楽

細川さんの音楽らしい幽玄さは何も変わりません。コールマン指揮/東響の演奏も素晴らしく、パルスやクラスターの強音パートも激しさよりも深淵さを感じましたね。


幽玄なストーリー・音楽・演出、それに応える演技・演奏。全てがマッチした細川作品が楽しめました。あらゆるものが抽象的なのに訴えるものが感じられて素晴らしかったですね。

ストーリーにいる"待つ人"、そして間と静と狂気が研ぎ澄まされシンプル化されて次のオペラ「Stilles Meer 海、静かな海」につながった事が感じられました。



<出 演>
・松風:イルゼ・エーレンス (Ilse EERENS)
・村雨:シャルロッテ・ヘッレカント (Charlotte HELLEKANT)
・旅の僧:グリゴリー・シュカルパ (Grigory SHKARUPA)
・須磨の浦人:萩原 潤 (HAGIWARA Jun)

<合 唱> 新国立劇場合唱団
<管弦楽> 東京交響楽団
<ダンス> サシャ・ヴァルツ&ゲスツ
<指 揮> デヴィッド・ロバート・コールマン (David Robert COLEMAN)
<演出・振付> サシャ・ヴァルツ (Sasha WALTZ)


2018年2月16日 新国立劇場・本邦初演



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2017年チューリヒ歌劇場公演 マスネの歌劇「ウェルテル」をNHKプレミアムシアターで観る

オペラ「タイス」でお馴染みのフランスの作曲家ジュール・マスネ(Jules Massenet, 1842/5/12 - 1912/8/13)のオペラ『ウェルテル, Werther (四幕)』ですね。もちろんゲーテの「若きウェルテルの悩み」がベースです。

OperZürich2017-Werther
(映像はwebより)

演出

シンプルな舞台設定はギュルバカらしさでしょうね。そしてライティングストップモーションで陰影を付けています。舞台・ストーリー共に前衛性はありませんが、少し奇妙な老人を配したパートやプロジェクション・マッピングもあり 今らしいオペラにはなっていますね。


舞台・衣装

狭い舞台はバックに木製室内を一面に配したシンプルさ、衣装は現代風。舞台の密集感が気になる処でしたが。


配役

ウェルテルのフアン・ディエゴ・フローレスは演技も濃く声の延びて熱唱ですが、個人的には少し抑え気味の方がマッチする気がしましたね。もっと心象的に悩みを見せて欲しかったですね。
シャルロットも同じで第三幕はもっと鬱な気配から入っても良かったかも。


音楽

前奏曲とラストで細く美しい流れが感じられましたが、幕中では特別な印象はありませんでしたね。


熱演主体でしっくり来ない印象が残ります。間とか鬱、洒脱さがありませんでしたね。平板な舞台に展開の速さもそう感じさせたのかもしれません。ウェルテルが濃すぎ、他にも第二幕の冒頭シーンの中途半端さは何? 
そうか、このオペラがわからずハイレベルな演出にもついて行けなかったという事ですね。^^;



<出 演>
ウェルテル:フアン・ディエゴ・フローレス (Juan Diego Flórez)
シャルロット:アンナ・ステファニー (Anna Stephany)
アルベール:アウドゥン・イヴェルセン (Audun Iversen)
ソフィー:メリッサ・プティ (Mélissa Petit)

<合 唱> チューリヒ歌劇場 児童・少年合唱団
<管弦楽> フィルハーモニア・チューリヒ
<指 揮> コルネリウス・マイスター (Cornelius Meister)
<演 出> タチヤナ・ギュルバカ (Tatjana Gürbaca)

収録:2017年4月20・24日 チューリヒ歌劇場(スイス)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ダニエル・ハーディング / スウェーデン放送交響楽団 の マーラー交響曲第9番 は期待を裏切る素晴らしさ


ダニエル・ハーディング (Daniel Harding, 1975/8/31 - )
今や中堅どころとなったハーディングですが、個人的にはコンサートであまり当たった記憶がありません。一昨年のパリ管とのマーラー5番も今ひとつ。でもマーラー10番のCDは素晴らしいので、この9番にも期待して予約購入しました。

ハーディングが2007年から音楽監督を務めるスウェーデン放送交響楽団(Swedish Radio Symphony Orchestra)との録音ですね。

本来なら『マーラー交響曲第9番 : 50CD聴き比べ』に加えるのですが、それは次回ロットということで。




■ 第一楽章
緩やかで美しい第一主題、不安を感じさせる第二主題、反復は大きく奏でます。提示部のラストを激しく、展開部も柔らかさと切れ味の出し入れのコントラストが見事に付いていますね。再現部も懐の広さを感じさせながら、うまく静的なコーダへ結びます。
■ 第二楽章
主部主題、第一トリオ、共にやや重さを感じます。第二トリオは緩やかですが、決して軽やかではありません。第二第三楽章では激しさがベースに存在しますね。
■ 第三楽章
主部主題は切れ味良く、副主題もそれに絡みます。重厚さと軽妙さの微妙なバランスです。中間部はやや速めに美しさと哀しみを合わせ大きな波を奏でます。ラストの暴れ方は見事!!
■ 第四楽章
主要主題は美しく、ファゴットのモノローグから第一エピソードは情感大きく盛り上げ繊細に納めます。第二エピソードもその流れです。「亡き子をしのぶ歌」の引用からコーダはpppスローの美しさを生かして消え入ります。

期待を裏切る素晴らしさ。重心の低い切れ味と見事な広がり、哀愁よりも嶮しさのマーラー9番です。
近年ちょっとした でもクセの強いアゴーギク*が目立つ気がしていますが、ここでは違いましたね。一四楽章vs二三楽章の対比が見事でした。おすすめの一枚です。

*昨年発売のThe Wagner Projectや上記パリ管とのライヴ



本アルバムは2016年9月8-10日のセッションですが、実は2017年7月24日のヴェルビエ祝祭管弦楽団(Verbier Festival Orchestra)とのLiveを聴く事ができます。

Mahler “Symphony No. 9” (Daniel Harding • Verbier Festival Orchestra, 24 Jul 2017)

流れとしては良く似た演奏になります。第一楽章は悪くありませんが、第二楽章が軽めで間伸び感を感じます。第三楽章は揃いは今ひとつですが激しさが良いですね。第四楽章は似た展開ですがやや緩いです。
結果的には煮詰めたセッションと言う事になるのでしょうが、それをライヴで聴きたいところですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

H.ラッヘンマン(Helmut Lachenmann)のピアノ曲集 2CD「„…Zwei Gefühle…“, Pression, Piano Works」と「Klaviermusik」本人のピアノとR.ケラーで聴き比べ


ヘルムート・ラッヘンマン (Helmut Lachenmann, 1935/11/27/ - )
何枚もインプレしている欧現代音楽ビッグネームの一人ラッヘンマン、昨年も来日していますね。紹介は割愛ですw

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ラッヘンマンのピアノ・ソロ曲集を2CD。■印の三曲(Weigenmusik, Guero, Ein Kinderspiel)が重なっていますので、本人とローランド・ケラーのピアノで聴き比べしてみましょう。
ラッヘンマンの楽曲は様々なCDでラップしていますが、とりあえずはこの二枚で。



„…Zwei Gefühle…“, Pression, Piano Works

ピアノはラッヘンマン本人です。


Weigenmusik (1963) for piano solo
ラッヘンマンが名付け親であるピアニスト/ヨースト・クレーマー(Jost Cramer)の娘スザンナの為に書いた"揺かごの曲"だそうです。
硬質で不協和音のシンプルな3'半ほどのピアノ曲です。静音と金属的な共鳴音が印象的ですね。

Guero (1970) for piano solo
バッタやコオロギの音をイメージするそうで、特殊奏法バリバリの小曲です。ギリギリギリ…ゴンゴッゴン…的なw 所謂(いわゆる)ピアノの音色はありません。おとなしめな演奏に感じますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  もちろん本人の演奏で特殊奏法が明瞭にわかります。


Ein Kinderspiel (1980) for piano solo
息子のデイヴィッドの為に書いた7曲からなる小曲集です。子供用練習曲とはいえラッヘンマンですから単純ながらの強烈な表現主義。基本は単純音階+和音+不協和音で、強烈なディナーミクの高音から低音までの展開です。タイトル「子供の遊び」の通り楽しさいっぱい、特に強音パートは子供が弾いて喜びそう?!

„…Zwei Gefühle…“, Musik mit Leonardo (1992) for speaker and ensemble
 ・Helmut Lachenmann, narrator, ・Ensemble Signal, ・Brad Lubman, conductor
室内楽と本人の語り、Textは本人の代表作"マッチ売りの少女"からになりますね。強烈な出し入れと特殊奏法で構成される1990年代後半のラッヘンマンそのものです。静と間の間にパルス的強音とノイズ、それが嵐の様に襲いかかってきます。刺激的な21'のやっぱりこの曲がメインでしょう。

Pression (1969-70) for cello solo
 ・Lauren Radnofsky, cello
特殊奏法のチェロ曲です。ほとんどチェロとは思えません。作曲年代も1970年で目一杯特殊奏法ですしね。その中に旋律が存在して、これぞラッヘンマンでしょう。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  チェロはJonathan Gotlibovichです。


本人のピアノは無機硬質で単純明快さが響きますね。"Guero"ではラッヘンマンらしい特殊奏法が印象的ですが、他二曲は子供の為の曲?、それでも"Ein Kinderspiel"ではラッヘンマンらしさを感じました。
でもやっぱり室内楽曲の„…Zwei Gefühle…“にはかなわないですね。Pressionもラッヘンマンらしさ炸裂で、おすすめのアルバムです





Klaviermusik

こちらは全曲ピアノ・ソロ、pfはローランド・ケラー(Roland Keller)です。
右は再発盤ですね。


Weigenmusik (1963) for piano solo
ラッヘンマンに比べると表情、アゴーギク、を感じます。その分無機的共鳴は低くなりますが、細く弱い抑揚が生きている感じですね。(M.A.アムランに弾かせたら、こうなりそうw)

Guero (1970) for piano solo
ライナーノートに特殊奏法の技法が写真入りで解説されています。より特殊奏法性が強く、強弱が明確もになります。演奏時間が1'以上長いのはどうしてでしょう? それほどスローには思えません。

Ein Kinderspiel (1980) for piano solo
ここでもアゴーギクで表情を付けています。子供が喜びながら弾く感じではなく、明らかに単純な表現主義からピアニストの曲になっている感じです。楽しさよりも単純さの裏にあるものを見せようという感じです。ただラストの"Schattentanz"は個性的で素晴らしかったですね。

Five variations on a theme of Franz Schubert (1956) for piano
ドイツ舞曲を元にしているそうですが、シューベルトは範疇外なので…^^; もろにシューベルトがヴァリエーション化によって動機を活かしながら不協和音と調性自体を崩して行きます。それはそれで面白いかも。ラッヘンマン本人が弾いたらどうなるのでしょう?!

Echo Andante (1961) for piano
初期作品で、間と音のピアノ曲です。音列配置的な印象で、古さを感じますね。

ピアニストとしての楽曲になっていますね。その割に今ひとつ強烈な印象が残らないのは残念です。
「ラッヘンマンのピアノ曲ね…ふぅ〜ん」的な。(汗)




やっぱりオリジナルw、ピアノはラッヘンマンの硬質で金属的な響きがいい感じです。特に"Ein Kinderspiel"の印象は、強烈な楽しさでやられました。
ケラーはピアニストとしての独自表現を出していますね。
アルバムとしては『„…Zwei Gefühle…“, Pression, Piano Works』が楽しめます。



最後にラッヘンマンが「猫踏んじゃった」を演奏するシーンをYouTubeで。

これを見ると「Ein Kinderspiel, 子供の遊び」の気持ちが伝わりますね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ブルーノ・マントヴァーニ(Bruno Mantovani) の La Sette Chiese, Streets, Éclair de Lune を聴く


ブルーノ・マントヴァーニ (Bruno Mantovani, 1974/10/8 - )
フランスの現代音楽で、作曲はもちろんの事 仏国内でアナリーゼから電子音楽までを学んでいますね。もちろんIRCAM出身でもあり、バリバリの仏現代音楽家です。


La Sette Chiese, Streets, Éclair de Lune
マントヴァーニの転換期作品、本人も語っている、となる「La Sette Chiese, 七つの教会」をメインとしたアンサンブル作品集ですね。
演奏はスザンナ・マルッキ(Susanna Mälkki)指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain)と最高の布陣です。



La Sette Chiese, for ensemble (2002年)
1.La piazza Santo Stefano - 2.L'église de Saint-Jean Baptiste - 3.La crypte - 4.La basilque du sépulcre - 5.Basilique des saints Vital et Agricola - 6.La cour de Pilate - 7.L'église du martyrium - 8.Le cloître - 9.La chapelle du bandeau
「七つの教会」はボローニャの複雑な教会をモチーフにしているそうです。二部に分かれていて、全9つの楽曲は教会とそのエリアに対比させています。アンサンブルを四編成に分けていて、第二部一曲目(5)はメシアンへの追悼、二曲目(6)はJ.ノットへ送られれています。
 ポリフォニックで反復、静音とクラスター、時折現れる旋律。9曲の表情は異なりますが特徴は同じです。静音パートには美しさも感じられます。アンサンブルを四部に別けている配置については書かれていませんが、前方四ヶ所でしょうか。オーディエンスを中心に配置しているとしたらライヴでないと広がりはわからないかもしれません。
即興的混沌やノイズ的特殊奏法はなく、ポリフォニーの音響系?です。ちょっとブーレーズを思い出しますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Streets, for ensemble (2007年)
アンテルコンタンポラン委嘱のこの曲はピエール・ブーレーズに献呈されていて、ニューヨークを歩いている時に発想したそうです。
 トリルや細切れの音色が錯綜しているのはN.Y.の喧騒でしょうか。反復的で緊張感のある平坦なその流れをベースに打音やパルスが絡みます。前曲の7年後で、曲調は単純化して研ぎ澄まされている感じです。

Éclair de Lune, for 3 instrumental groups & electronics (2006年)
IRCAMとアンサンブル・イクトゥス(Ensemble Ictus)の共同委嘱作品で、アンサンブルとエレクトロニクスの音楽です。
 ピアノのトレモロ・トリルがベースラインに存在し、それ自身も変化しながら流れます。マントヴァーニ曰く"piano sonata"だそうです。そしてパーカッションが現れて、ノイズ的にも発展します。クラック音のノイズはエレクトロニクスのセバスチャン・ルー(Sébastien Roux)がやっていそうですが、それ以上は不明ですw 


細かく速い演奏にスローと単音が絡む強弱のポリフォニー、ライナーノートの楽譜からも明確です、が特徴的で美しさも感じられます。後年作品の方が表情変化のヴァリエーションは減っていますね。
ただ突出した前衛性は感じられません。その分、安心して聴くことができるのも事実でしょう。完成度が高く、IRCAMを中心とした今の仏現代音楽を楽しむには良い一枚ですね。




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ジャンル : 音楽

ガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré) の The Music for Cello & Piano を聴く


ガブリエル・フォーレ (Gabriel Faure, 1845/5/12 - 1924/11/4 )
フォーレの印象といえば、優しく美しい楽曲でフランスらしい音楽でしょうか。古典でもロマン派でもないその微妙な後期の和声はフランス印象派の黎明音楽家と言われていますね。


The Music for Cello & Piano
1880年から1921年までのチェロ&ピアノ小曲集で、主に中期のフォーレらしい美しい旋律の曲が並んでいます。
・チェロ:アンドレアス・ブランテリド (Andreas Brantelid)
・ピアノ:ベングト・フォシュベリ (Bengt Forsberg)
'6.Morceau de lecture' のみもう一人のチェリスト:フィリップ・グラデン(Filip Graden)とのDuoになります。



1.Romance (1894) - 2.Papillon (1884) - 3.Sérénade (1908) - 4.Berceuse (1879?) - 5.Sonata for Cello and Piano No.1 (1917) - 6.Morceau de lecture (1897) - 7.Berceuse, form Dolly (1864/1893) - 8.Sicilienne (1893/98) - 9.Elégie (1880) - 10.Sonata for Cello and Piano No. 2 (1921) - 11.Andante (1894)

年代順になっていないのが残念ですが、初期から後期までのフォーレが楽しめます。
古典やロマンの香り漂う優しさと美しさの初期作品4.Berceuseや7.Berceuse, form Dolly、フォーレらしい和声の中期作 2.Papillonの洒脱なvcのトリルや3.Sérénade、8.Sicilienne、11.Andanteの旋律ですね。ちなみにSicilienneは名作「ペレアスとメリザンド」に転用されている有名な旋律です。

 試しにYouTubeで「Sicilienne」を観てみる?
  David Louwerseのチェロと François Daudetのピアノです。


素晴らしいのは半音階的で調性感の薄くなる後期作品。5.Sonata for Cello and Piano No.1の第二・三楽章、10.Sonata for Cello and Piano No. 2の第三楽章は、まさに仏印象派の音色でドビュッシーやラヴェルにつながる事が明白です。

ブランテリドのvcは暖色系で表情豊かな音色と演奏ですね。全体としてはもう少しクールに弾いてもらった方が好みかもしれません。ベストトラックは9.Elégieでしょう。


フォーレをただの美しいサロンミュージックと聴くのか、時代を反映させた和声を楽しむのかで違うかもしれません。個人的には後期作品の洗練に一票ですが。
もちろんリビングルームでゆったりとした時間を過ごすのには最高の音楽でしょう。





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ミラノ・スカラ座2017/18シーズン開幕公演 ジョルダーノの歌劇『アンドレア・シェニエ』をNHKプレミアムシアターで観る

ウンベルト・ジョルダーノのオペラ『アンドレア・シェニエ』、フランス革命を基にした悲劇ですね。1896年3月の初演もミラノ・スカラ座でした。
今回は何と言ってもエイヴァゾフとネトレプコの夫妻がタイトルロールと歌姫を演じた事が話題でしたが、NHKプレミアムシアターはネトレプコ好きですねw

TeatroAllaScala-AndreaChénier-2017-2018
(画像はオフィシャルサイトより)



演出

マリオ・マルトーネはイタリアオペラ保守本流の演出でしょうか。クセはなく個性もなく…的ですが。大人数の団員を配した舞台が目を引いたくらいかもしれません。


舞台・衣装

時代背景的な衣装と舞台で、今や古臭い感じもする設定ですね。ただ暗さに照明の設定は今らしさでしょう。配置された額縁のミラーが大きくて歪みがあって特徴的でした。何かを映し出す意図なのでしょうか。


配役

見飽きた感もあるネトレプコちゃんはますます育ってご立派な体格、マッダレーナの可愛い仕草に違和感がありますw もちろん歌声は艶やか太いsop、文句無しですが。個人的にはベルシ役のストロッパのmezoの方が尖ってクールに思いました。
男性陣ではタイトルロールのエイヴァゾフが思いの外、失礼、良かったですね。朗々とした声と役作りでした。ジェラールのルカ・サルシも期待したほどではなかった感じでしたしね。


音楽

シャイーだったのでもう少しオケが前に出るかと思いましたが、控えめだった気がしますね。各幕毎のラストは押し出しが効いていましたが。


全体として地味な印象を受けました。もちろんアヴァンギャルドには無縁で、古臭さを感じてしまいました。
その中で、エイヴァゾフの良さが光ったのが楽しめましたね。映像用のカメラワークにも力を入れていた感じです。


<出 演>
・アンドレア・シェニエ:ユシフ・エイヴァゾフ (Yusif Eyvazov)
・マッダレーナ:アンナ・ネトレプコ (Anna Netrebko)
・カルロ・ジェラール:ルカ・サルシ (Luca Salsi)
 ・ベルシ:アンナリーザ・ストロッパ (Annalisa Stroppa)
 ・コワニー伯爵夫人:マリアーナ・ペンチェヴァ (Mariana Pentcheva)
 ・ルーシェ:ガブリエレ・サゴーナ (Gabriele Sagona)
 ・フーキエ・ダンヴィル:フーキエ・ダンヴィル (Gianluca Breda)
 ・マチュー:フランチェスコ・ヴェルナ (Francesco Verna)
 ・無信仰者:カルロ・ボシ (Carlo Bosi)
 ・シュミット:ロマーノ・ダル・ゾーヴォ (Romano Dal Zovo)


<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー (Riccardo Chailly)
<演 出> マリオ・マルトーネ (Mario Martone)


収録:2017年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)


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2018年1月20日 大野和士/都響 のメシアン「トゥーランガリラ交響曲」at 東京芸術劇場

楽しみにしていた大野さんの「トゥーランガリラ交響曲」です。
近年のメシアンでは昨年のカンブルラン/読響「彼方の閃光」が出色の出来でしたね。(アッシジの…には行けませんでした)

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個人的なこの曲の印象と楽しみは、下降音階、等拍的リズム、主題(特にStatue ThemeとLove Theme)で、その中に ある種のポリリズムとも言える「ペルソナージュ・リトミック」の複雑な絡みです。
「非可逆リズム」と「移調の限られた旋法」といったメシアン独自の対称性で構成されていて「群論」を思い浮かべますね。




告別の鐘と微笑み~オリヴィエ・メシアンの追憶に:ミュライユ

引用元のメシアンの最初期作品「八つの前奏曲」"6.苦悩の鐘と告別の涙 Cloches d' angoissse et larmes d'adieu (1929年)" も8'弱の小曲ですが、より短い4'ほどのピアノ曲です。美しく不思議な和声のメシアンに対してミュライユらしい残響音の響きが特徴的でした。
ただピアノは叩き過ぎ、ミュライユですからね。グリゼーだったらこれかもしれませんが。同じ事か「トゥーランガリラ交響曲」のpfでも言えた気がします。


トゥーランガリラ交響曲:メシアン

すぐに気になったのは強音側に振られたアゴーギクの速さです。これでは管楽器はメシアンらしい煌めきではなくパワープレイになってしまいますね。
第五楽章「彫像の主題」からの「ペルソナージュ・リトミック」はメシアンの色彩感ある複雑さよりも荒々しさの印象。
第六楽章はもっと弱音のほうが、四度下降が印象的な「愛の主題」の静的美しさが際立ったと思います。
第八楽章と最終楽章前半は元気さでもOKだったかもしれませんが、コーダ前の「愛の主題」は派手過ぎ、ラストは大野さん大好きの爆裂フィニッシュでした。
全体的に音の厚い、パワー系でしたね。


煌めく様な色彩感のメシアンではなく、爆音元気な「トゥーランガリラ交響曲」でした。
残念ですが、好みのメシアンではなかった感じです。これがマーラーだったら漲る興奮を生かした素晴らしいコンサートだったでしょう。



テーマ : クラシック
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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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