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強力な電子現代音楽:エンノ・ポッペ(Enno Poppe)『Rundfunk』の音色


エンノ・ポッペ
(Enno Poppe, 1969/12/30 - )
好きな現代音楽家で指揮者のドイツ人ポッペです。楽風は多様性で電子音楽、一部機能和声を残しながらの反復、そして微分音やサチュラシオンの方向性まで広がりを見せますね。

電子音楽はサンプリングからプリセットでの微分音までシンセサイザーでの基本技術を駆使し、電子楽曲のソフトはヴォルフガング・ハイニガー(Wolfgang Heiniger)により書かれているそうです。


Rundfunk, für neun Synthesizer (2015-18)
"Rundfunk"はもちろんラジオの事で、ラジオ放送無くして電子音楽はなかったとの事です。サブタイトル"for nine synthesizers"とある通り、シンセ9台で'60-'70年代のMinimoogなどの古い音を再現しているそうです。もっとも昔はシングルトーンだったシンセですが、マルチ化である事は当然の様ですが。

楽曲のソフトはもちろんハイニガーによるモノで、ポッペが代表・指揮者でもある今回演奏のアンサンブル・モザイク(Ensemble Mosaik)20周年への称賛だそうです。ポッペも演奏者に名を連ねていますね。






Rundfunk I
シンセの単音で音列配置的な散音から入ります。この時点で反復を感じますね。サンプリングと思われる音色が重なりながら音密度が上がり、サウンドとノイズの中間的な音になります。後半は電子ノイズの方向が強まりながら、ポップな感覚も現れます。ラストは音が溢れ返り、ポッペの世界です。


Rundfunk II
低音ハウリングの様な、ドローンノイズの音色から入ります。ノイズ系空間音響の様な流れで音の厚みが増殖して行き、ラストは音を鎮めます。


Rundfunk III
入りから変奏反復が絡み合います。曲調は"I"に近い流れで、弦楽四重奏にしても面白そうです。キョトキョトと執拗な反復変奏で表情を変えながら、ここでも音密度が増幅。ポリフォニー的に混沌度合いが上がって狂気に近くと、例によって唐突に終了します。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  2019年, Ultraschall Festivalのステージだそうです。



まずは完全な電子混沌音楽です。旋律感の低いノイズと音色の中間色的なサウンドでポッペらしい反復からアブストラクトな流れを創造します。

ダルムシュタットで名を馳せた欧エクスペリメンタリズム前衛現代音楽らしい流れでしょうね。ぜひ一度聴いていただきたいアルバムです。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミラノ・スカラ座 2019/20開幕公演 プッチーニの歌劇「トスカ」を円熟のA.ネトレプコで。 NHKプレミアムシアター。

先月行われたTeatro alla Scalaシーズン開幕公演が早速登場ですね。今や恒例となり嬉しい時代になりました、生きているもんですね。(笑)

プッチーニの超人気オペラ「トスカ, Tosca」に, 歌姫ネトレプコ, メーリ, シャイーと役者が揃いましたね。今や演出が主役となりかねないのでリーベルモルが気になる処ですが、昨シーズン開幕公演「アッティラ」での印象は舞台設定は派手ですがその他はコンベンショナルだった気がします。



(公式Trailerです)



演出
リーベルモンらしい演出と言って良いですね。重厚舞台に進んだプロジェクション・マッピング、ストーリーには手を付けずに、と今や希少な王道的で安心感がありますね。個人的にはアヴァンギャルドの方が好みではありますが。
(音楽監督シャイーは今回初稿を選んだそうですがよくわかりませんでした…汗 第二幕でカヴァラドッシが囚われた部屋にトスカが現れてしまうのは初稿? それとも演出でしょうか)

舞台・衣装
古典風重厚な道具を配してせり上がりや回り装置を生かしたお金のかかった舞台です。そこに動的なプロジェクション・マッピングを入れるのはリーベルモンらしさでしょうね。衣装も適度に時代考証された風で、全体的に今の時代としてはまさに古典的な印象と言った感じです。

配役
ネトレプコのタイトルロールは何回目でしょう。48歳になり今やドラマティコの様なsopと嫉妬深い熱演は流石でしたね。山場, 第二幕 "歌に生き, 愛に生き" は舞台演出も合わせて魅せてくれました。
・男性陣ではカヴァラドッシのメーリは落ち着いたテノールで、トスカとの対比を作りました。二人のDuoは聴かせ処でしたね。この二人のセットは多い気がしますね。ザルツブルク音楽祭2017「アイーダ」の二人も良かった記憶があります。
・悪徳総監スカルピアのサルシは見栄え・演技・バリトン共に役にピッタリしていました。今まであまり好印象がなかったので期待以上でしたね。第二幕のサルシは光りました。
・脱獄犯アンジェロッティのチーニ、スカルピアの副官スポレッタのボシ、は少し軽い印象でした。

音楽
2017年から音楽監督を務めるシャイーは、程度な陰影付けは感じましたが、演奏に思わず耳を傾ける様な事はしませんでしたね。


古典的で派手な演出の中、メインキャスト三人が楽しませてくれましたね。今やシンプル舞台に前衛演出がメインとなるオペラですが、懐かしささえ感じました。

ネトレプコは益々トスカにピッタリになりましたね。若い頃の細くて美しい彼女が似合った"ラ・ボエーム"のミミとは違う世界になってきました。



<出 演>
トスカ:アンナ・ネトレプコ [Anna Netrebko]
カヴァラドッシ:フランチェスコ・メーリ [Francesco Meli]
スカルピア男爵:ルカ・サルシ [Luca Salsi]
アンジェロッティ:カルロ・チーニ [Carlo Cigni]
スポレッタ:カルロ・ボシ [Carlo Bosi]


<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー [Riccardo Chailly]
<演 出> ダヴィデ・リーベルモル [Davide Livermore]


収録:2019年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





暗鬱混沌の グロリア・コーツ(Gloria Coates)「交響曲 第1番, 第7番, 第14番」という楽しみ


グロリア・コーツ
Gloria Coates, 1938/10/10 - )
ベテラン米女性現代音楽家で活動拠点は30代からミュンヘンの様ですね。今までに室内楽をインプレしていますが、印象は四分音から微分音、グリッサンド、反復、と言った技法を使う暗く幽玄な音ですね。微分音とグリッサンドは同様の技術から出るのですが、チューニングからも弄っている様ですね。そこがコーツのベースですね。


Symphonies Nos. 1, 7 and 14
コーツは16の交響曲を書いています(多分)が、素直な管弦楽編成が少ないのも特徴です。ここでも基本的な管弦楽構成は第7番だけです。1番は開放弦の為の、14番は弦楽とティンパニの為の曲ですね。(CDは14番が先になっていますが、年代順にインプレしています)

演奏は三曲ともに異なる指揮者とオケになります。ジャケット画はもちろんコーツ自身の"Rainbow Folding in Foliage"(1991)ですね。






Symphony No.1, "Music on Open Strings" (1972-3年)
スコルダトゥーラ(変則調弦)で中華和声にチューンされているそうで、この時点で既に微分音もしくは民族和声ですね。最終楽章では標準的な調弦に戻されています。
 低音弦の暗いスタートの第一楽章は反復とグリッサンドのセットで、緩い中華和声を見せながら陶酔的に昇ります。第二楽章はピチカート主体で反復、打楽器の追従、そしてグリッサンドです。第三楽章は僅かな微分音のロングトーンの絡みで、弾きながらチューンしているかもしれませんね。第四楽章ではグリッサンドの混沌です。とにかく独特の世界ですね!!
J.ロッター指揮、ジーゲンラント管の演奏です。


Symphony No.7 (1990年)
珍しいノーマルの管弦楽編成です。"編成"は, ですがw 低い太鼓と金管から入り音の渦巻く第一楽章はただただ混沌です。第二楽章では反復旋律が現れ、第三楽章は緩いグリッサンドが上下行交錯します。一楽章が強烈ですね。
O.ヘンツォルト指揮、バイエルン放送響の演奏です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  G.シュメーヘ指揮シュトゥットガルト・フィルの演奏です



Symphony No.14, "Symphony in Microtones" (2001-2年)
弦楽とティンパニの協奏曲?風で、初期アメリカへ渡った人へのオマージュだそうです。他の資料では"The Americans"ともありますね。四分音とグリッサンド構成だそうで、もちろんTimp.もペダルで微分音を出します。
 虫が飛んでいる様なグリッサンド音はシャリーノやシェルシを思い出しますね。それが延々と流れる第一楽章です。第二楽章は強いバルトーク・ピッツィカートから入りこれまた虫の羽音ですw 第三楽章は微分音反復旋律が主体です。一二楽章で聖歌風の旋律(初期渡米人への賛歌だそうです)が混ざりますね。
指揮はお馴染みC.ポッペン、ミュンヘン室内管の演奏です。



とにかく強烈なオリジナリティを感じますね。グリッサンド(微分音を含む)と反復の渦巻く暗鬱混沌世界です。ウストヴォーリスカヤに並ぶ個性が際立つ前衛女性現代音楽家ですね。

もちろんポスト・ミニマルでもあるでしょう。一度は聴いて欲しい、オススメの一枚です!!
ネイティブ・アメリカンを制圧した人々を尊重しているのは好めませんが…



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トマーシュ・ネトピル / エッセン・フィル の「マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"」を聴いてみましょう


トマーシュ・ネトピル, Tomáš Netopil
(エッセン・フィルハーモニー管弦楽団, Essener Philharmoniker)
チェコの中堅指揮者ネトピルが同歌劇場の音楽監督を務めるエッセン・フィルを振ったマーラー6ですね。甘口で破綻のなかった9番に続くマーラーですが、どうでしょうか。
エッセン・フィルと言うと、1906年5月27日にマーラー本人の指揮でこの曲が初演された事が必ず出て来ますね。





マーラー 交響曲 第6番
(2019-5/14-17)



第一楽章
第一主題はビシッと勇壮で、パッセージは淑やかにアルマの主題はスローに華やか優美ですね。濃厚な提示部になっています。展開部の第一主題も締まり良く、第二主題回帰の挿入部ではスローでシンプルにしています。再現部を激しさを増して進み、コーダを陰鬱から立ち上げて鳴らします。バランス良く隙のない教科書通りの第一楽章ですね。


第二楽章
スケルツォです。主要主題は締まり良く、トリオはここでもスロー&シンプルです。王道なのか教科書的なのか、きっちりと作り込まれた感じです。


第三楽章
アンダンテです。主要主題は包む様な穏やかさで、第一トリオの副主題がobで哀愁を漂わせます。ほんの僅かにhrが綻びを見せますね。ミキシング修正すれば良かったのに、って言う感じです。中間部ではhr群がのびのびと音色を響かせ、第一トリオ回帰の山場は大きく鳴らします。


第四楽章
序奏はスロー揺さぶりは少なめでhrだけ少し怪しいw、アレグロ・エネルジコから第一主題は快走します。パッセージと上手く絡みながら第二主題は軽快で、王道ですね。展開部・再現部の出し入れもクセ無く安心して聴く事が出来ます。



王道的にキッチリ作り込まれたマーラー6ですね。堂々たる演奏でクセや欠点などありません。(後半楽章hrは少し修正すれば良かった気がします) その代わり情熱や個性の魅力も感じられません。

最近は演奏だけでなく録音技術を駆使して作り込まれた作品が多くなっている気がします。全曲通し一発勝負のLiveでどうなるのかが興味ありますね。



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2020年1月16日 マーティン・ブラビンズ/都響「日本初演マクミラン/トロンボーン協奏曲 | エルガー/エニグマ変奏曲」at サントリーホール


今年の初コンサートです。指揮者にマーティン・ブラビンス(Martyn Brabbins)を招いた都響定期Bに行ってきました。

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メインは何と言っても本邦初演となる英現代音楽家ジェームズ・マクミランの「トロンボーン協奏曲」ですね。トロンボーン奏者は初演(初録音)のヨルゲン・ファン・ライエンというのも嬉しいです。もちろん同CDで予習のインプレもして来ました。▶️ こちら





ラヴェル:クープランの墓

管弦楽版なので4パートですね。頭で鳴っているのはデュトワ/モントリオール響の優しく洒脱な演奏です。

"プレリュード" は少し速く感じましたが、"フォルラーヌ"は上手くまとまりました。"メヌエット"は三部形式の中間部を印象的に、"リゴドン"では唯一金管が活躍する主要主題を鳴りの良さで表現してくれましたね。
とてもきっちりとした演奏で良かったです。肩の力の抜けた洒脱さが欲しかったかも...



マクミラン:トロンボーン協奏曲

曲はアタッカで繋がっていて単一楽章的ですが、CDでは三楽章になっているのでそれに沿って聴いて来ました。

【第一楽章】静的ポリフォニカルなオケとtbの対話が予想以上にしっかりと流れで、中間部ではtbの低い唸りが先導するとオケは調性色の強さを鳴らしました。
【第二楽章】明るい音色のtbは抑えた音色で入りましたね。その後はオケとの対位的な流れを上手く上げて激しさを見せましたが、ホモフォニーや出し入れはやや固かったでしょうか。
全休符を挟んで激しい中にサイレンも鳴り響きますが、直ぐに静的流れに。後半は調性の薄さを生かした美しい緩徐でしたが少々間延び感だったかもしれませんね。
【第三楽章】トゥッティとサイレンからキレあるリズムに乗ってtbは小刻みに軽快にオケと疾走。再び管楽器トゥッティ風から静音パートとなります。混沌からライエンがオケに振り向くとオケtb3本とのtb絡み合いの見せ場を見事に築きました。(都響tbも負けていませんでした!)
都響は真面目で調性感が伝わり、ライエンのtbも終始几帳面さを感じました。



エルガー:エニグマ変奏曲 Op.36

コンサートでは超お馴染みの曲ですが、久しぶりに4CDでインプレをして自分勝手にポイントを予習して来ました。

主題第一動機でまずはスローで揺さぶりを感じましたね。第7変奏までの[前半]は強音の第4変奏"W.M.B." 第7変奏"Troyte"を派手に、全体揺さぶりの強い流れでした。
メインの[後半]、第9変奏"ニムロッド"の美しさは感動的、第10変奏"ドーラベッラ"は今ひとつでしたが、第11変奏"G.R.S."のDanは派手に大きく駆け回り素晴らしかったですね。第12変奏"B.G.N."のチェロは強烈濃厚な哀愁でした。
ラスト第14変奏"エドゥ"は派手で重厚に聴かせてくれました。
表情豊かでエルガーらしいエニグマが楽しめました。ブラビンズはスコアを開く事もなく、タクト姿も前半とは違う'手の内'感がありましたね。




真面目な前半、表情豊かな後半と二つのスタイルを楽しませてもらいました。前半は都響のキャラ、後半は英人指揮者ならではのお家芸でしょうか⁈

やっぱりエニグマの素晴らしさに一票でしょうね。


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スーパー・チェリストにして現代音楽家ジョヴァンニ・ソッリマ(Giovanni Sollima) の『natural songbook』は超絶的な楽しさです!


ジョヴァンニ・ソッリマ
(Giovanni Sollima, 1962/10/24 - )
このブログでは超オススメのイタリア人チェリストにして現代音楽家ですね。昨年来日の100人チェロのコンサートに行けなかったのは痛恨の極みです。現代のチェリストに影響力のある一人と言って良いのではないでしょうか。歩きながら弾いたり、もぅ自由自在です。Youtubeからポップで名を馳せた"2CELLOS"など、見た瞬間にその影響を感じました。(2012年の来日コンサートに行ってますw)

楽風は民族音楽和声やポスト・ミニマル系で、所謂(いわゆる)欧エクスペリメンタリズム前衛現代音楽とは一線を画しますね。

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natural songbook
2008年から10年間かけて、コツコツと作ってきた作品だそうです。演奏はソロだけでなく、パーカッションやピアノとのDuoやチェロのアンサンブル、コンチェルトにまで及びます。

全19パート構成で"Natural Songbook"が12パート、その間に"Sonata 2050", "Citarruni", "The N-Ice Cello Concerto", が挟まる形をとっています。"The N-ice Cello…"では、氷で作製されたチェロで演奏されているそうです。






Natural Songbook
得意の中近東和声(I)や、変奏反復超速でのvc技巧曲(II)、バラード(III)と言ったソロパートでの素晴らしさを始めに配置して惹き込みますね。その時点で既に満足度は高調になります。
その後はパーカッションとの激しいDialogue(IV)、表情豊かなチェロ・アンサンブル等々、たっぷりと楽しませてくれます。曲もさる事ながらチェリストとしてのソッリマを堪能できますね。サティの"ジムノペディ#1"vcトランスクリプション(IX)も楽しいですし、テープとノイズ(XIII)の前衛系もあります。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "natural songbook I" のライヴ映像で、途中で歩き出します。必見です



Sonata 2050 for Cello and Piano
三楽章のチェロソナタですね。ベートーベンやバッハからの流れで作られていて、古典和声をベースにです。第一楽章は古典だけど元気なチェロソナタ、第二楽章は超絶技巧強音と幽玄な調性緩徐の対比、第三楽章は緩いポスト・ミニマルな緩徐楽章です。
聴き応え十分で、続きのチェロソナタを期待してしまいますね。


Citarruni for Viola, 2 Cellos and Percussions
弦楽奏とパーカッションで、中近東和声も現れるハイテンポで反復の強いポスト・ミニマル曲ですね。ソッリマらしさの楽曲と演奏です。


The N-Ice Cello Concerto for Ice Cello and Orchestra
美しい三楽章形式の"氷のチェロ"協奏曲です。民族音楽和声を基本にしていますね。澄んで広がる音色の第一楽章、vc技巧と美しい反復動機の第二楽章、前衛技巧を垣間見せるポスト・ミニマルと美的な第三楽章、と言った感じでしょうか。オケとの協奏と言うよりもチェロが前面に出ている感じですね。

 ★驚きの氷のチェロを弾くシーンです!!
  (氷チェロのソロ・ツアーの様子です。インスタレーションですね)




現代音楽家とチェリスト、両方のソッリマを楽しめる超オススメの一枚です!!

無調混沌の前衛とは異なる 美しさと技巧のポスト・ミニマルで、今の時代を代表する多様性現代音楽の一つですね。チェリストとしても超絶技巧を披露してくれています。個人的には'頭でっかち系意味不明の前衛'が好きですが、調性軸足ながらソッリマは楽しめる事請け合いです。



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ピエール・バルトロメー(Pierre Bartholomée) の「Années 1970-1985」、注目のギーレン指揮 "Harmonique"


ピエール・バルトロメー
(Pierre Bartholomée, 1937/8/5 - )
ブリュッセル生まれベルギーの現代音楽家で指揮者としても活動している様で、W.ケンプに師事していますね。楽風はポスト・セリエルになるでしょうか。


Années 1970-1985
タイトル通りバルトロメーの1970年から1985年の古い管弦楽・室内楽の作品集になります。録音年も4(1917年)以外は古く、1(1973年)、2,3(1986年)ですね。
特徴的なのは"1.Harmonique"、バルトロメー初めての管弦楽曲です、を本人指揮の初演後にギーレンが要望して本録音になったそうです。

演奏は以下
1 : ミヒャエル・ギーレン(Michael Gielen)指揮、hr交響楽団
2, 3 : ジョルジュ=エリ・オクトール(Georges-Elie Octors)指揮、アンサンブル・ミュジーク・ヌーベル
4 : Bl!ndman Quartet (saxophone quartet)







1. Harmonique (1970年)
まさに前衛の停滞期の作品になりますね。最も長い19'ほどのポスト・セリエルの楽曲です。音列配置を基本に点描的で無調混沌系です。静の中に、細かな音の並びと、時折のクラスター的強音、いかにもあの時代を思わせますね。フランス系のキラメキを感じます。楽曲の技術的な解説がライナーノートにないのが残念ですね。
ギーレンの好みそうな前衛曲になっています。


2. Trois pôles entrelacés (1985年)
5パートの楽曲で、アンサンブルには奥様でハープ奏者のフランチェット(Francette)が入っていますね。またベルクの'Kammerkonzert'との類似性、vnに対するharpの位置付けと言った、も述べられています。
15年後の作品になって調性感のある旋律と抑えられたディナーミクが明瞭です。もちろん無調ですが。時代の本流が多様性となろうかという背景を考えると納得の流れでしょう。ハープが主役になって反復の弦楽器と対位的に、管楽器も交えてポリフォニカルになって行きます。パートにより暗い幽玄さも現れます。特徴は薄くて眠くなります…


3. Fancy as a Ground (1974年)
奥様のフランチェットに献呈されています。打楽器を生かしたキラメキのある音が印象的です。既に調性旋律と反復がありますね。でも表情が豊で、今の時代でも十分に聴く事ができる感じですね。pfが無調の面白い演奏を聴かせるのもポイントでしょう。キョトキョトしたハイテンポが面白いです!!

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  楽しめますので、一度ぜひ!!



4. Ricercar (1974年?)
一聴して前曲との類似性を感じますね。サックスの鳴りを生かしながら小刻みなリズムの設定が楽しいですね。1970年の'Harmonique'から既に点描的音列の呪縛から逃がれ様としている事が聴き取れますね。三度五度といった機能和声も頻繁に登場します。これも楽しめますね。



ポスト・セリエル時代の欧エクスペリメンタリズムの現代音楽ですね。一二曲目は古いポスト・セリエル, 後半二曲は模索中の様相で、年代は挟んでいるのに好対照です。後半二曲は1970年代当時はともかく、今なら時流に乗った感もあって楽しめますよ。

裏ジャケットの曲の並び順が違っていますよね。(1と3が逆です)



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エルガーの「エニグマ変奏曲」: コンサートを前に4CDで, 今更ながらの おさらいです


エニグマ変奏曲, Op.36 (1899年)
(エドワード・エルガー, Edward Elgar 1857-1934)
今更ですが、今回は個人的な聴き方ポイントをおさらいして来週のコンサート(都響/ブラビンズ, 4/25には東響/ノットも)の予習ですw


【エニグマ変奏曲の個人的楽しみ方】 
[前半]第7変奏までは緩徐に、短く派手な第4・7変奏でメリハリを。
[後半]をメインに。第9変奏「ニムロッド」の美しさ、第10変奏「ドーラベッラ」の軽妙さ、第11変奏「G.R.S.」のワンコ(Dan)の元気さ、第12変奏「B.G.N.」チェロの響き、と楽しみます。そして最後の第14変奏「エドゥー」では迫力ですね。


次の4CDでインプレです。バーンスタイン以外はそれぞれオケの主席指揮者(音楽監督)時代ですね。

 ①プレヴィン / ロイヤルフィル
 ②ラトル / バーミンガム市響
 ③バーンスタイン / BBC響
 ④モントゥー / LSO
 ・下へ行くほど濃い味ですw




アンドレ・プレヴィン
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 (1986年)



前半は緩徐パートの真面目な優しさが印象的ですね。ほどよいメリハリに第4変奏や第7変奏での強音を鳴りよく奏します。第9ニムロッドは優しい美しさが際立ちます。第10ドーラベッラは少しシャイに、第11Danは元気いっぱい、第12変奏のチェロは哀愁ですね。ラストE.D.U.は折り目正しい強音パートです。


落ち着いていて優しい、いかにもプレヴィンらしいエニグマですね。





サイモン・ラトル
バーミンガム市交響楽団 (1993年)


rattle-enigma.jpg
(ジャケット写真です)


前半は緩徐を明瞭に表現して、第4・第7変奏は切れ味の良さを感じました。後半第9変奏は特徴的にppを長くゆっくりと現れてきます。印象的なニムロッドです。第10ドラベッラは軽妙、第11のワンコDanはイタズラ子の如く、第12変奏B.G.N.のチェロは落ち着きを払います。第14変奏E.D.U.の強音は派手ですね。


ほどよいコントラストを付けた落ち着きある流れのエニグマですね。





レナード・バーンスタイン
BBC交響楽団 (1982年)



主題から間を取って彫りの深さを見せてくるのが, いかにもバーンスタインです。前半から聴かせに入っていて惹き込まれてしまいます。第4変奏はそれほど力みませんが、第7変奏Troyteは疾走です。

後半第9変奏はトーンを沈めて夜明けの光の様な広がりを作って見事なニムロッドですね。コンサートのアンコールだったら目頭が熱くなるでしょう。第10ドーラベッラは落ち着いた楽器間の会話が楽しく、第11変奏はDanの冒険ですね。第12変奏ではゆったりとしたチェロですがオケとの音の厚みを感じます。FinaleのE.D.U.は揺さぶりの強い濃い流れです。


どのパートをとっても隙のない深慮の采配、感動的なバーンスタインのエニグマになっています。BBC響の演奏も見事ですね。(実はカップリングの"威風堂々"も素晴らしいです)

もっと濃い味、となると次のモントゥーしかありませんw





ピエール・モントゥー
ロンドン交響楽団 (1961年) [mono]



前半の緩徐はやや速めで感情を強めに込めているのが特徴的ですね。第4・第7変奏では速く激しく、です。

後半ニムロッドは唯一静的な流れを作っていて、やや速めではありますがグッとくるものがあります。第10変奏ドーラベッラはまさにお喋りなドーラ・ペニーに、第11変奏は走り回って川に飛び込むDanです。第12変奏のチェロはエモーショナルで情感が濃いです。FinaleのE.D.U.は爆走爆裂です!!


とにかく速いです。あっという間に進んで行く感じです。そして感情過多で突撃系のエニグマ ですね。

一番古く個性的, mono録音のエニグマ。これが私の標準原器になりますね。理由はありません。なぜかこれです!!




このインプレは個人的嗜好が偏って参考にならないかもしれません。もちろんオススメは④モントゥーと③バーンスタインです。

④モントゥーは一度聴いて欲しいですが、monoですしこの曲の好まれる方向とは違うかもしれません。③は人気があると思いますが、①や②が今の方向性かもしれませんね。

次週のコンサート, 都響は指揮が英国人ブラビンズさんですからなんとなく方向はわかる気がしますが。



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ロイヤルコンセルトヘボウの現代音楽 "Horizon 8" で聴く, ジェームズ・マクミラン「トロンボーン協奏曲」他


Horizon 8
(MacMillan, Knussen, Ali-Zadeh)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(Royal Concertgebouw Orchestra, 以下R.C.O.)が現代音楽を取り上げるシリーズ "HORIZON" の第8弾ですね。

今回は三人の現代音楽家で、委嘱作品(初演)の二曲(マクミランとアリ=ザデー)を含む協奏曲二曲と声楽曲になります。指揮者は三曲とも異なりますね。







ジェームズ・マクミラン
(James MacMillan, b.1959)
このブログではお馴染みの英現代音楽家のビッグネームですね。近年作品が楽しめるのは嬉しい限りです。

Trombone Concerto (2017初演)
 「トロンボーン協奏曲」指揮はイヴァン・フィッシャー、R.C.O.の主席トロンボーニストで献呈されたヨルゲン・ファン・ライエン(Jörgen van Rijen)ですね。
第一楽章は繊細な弦楽から入り調性の薄い流れのポリフォニーで、中間部では地鳴りの様な音色を響かせ調性の派手なオケになり、主部回帰します。第二楽章では明るい音色のtbがリードして激しいオケとの絡みとなり、対位的な流れから全休符を挟んでサイレンが鳴り響くと、静的な流れとなります。第三楽章は激しいサイレンでスタート。リズムの良いオケの流れにtbが乗って快走しますが、炸裂して静まりオケのtbとの激しい絡みが現れます。聴かせ処ですね。
 美しい静と華の対比が明確で、随分とマクミランが調性回帰しているのを感じますね。tbの超絶技巧カデンツァを味わいたい気がしました。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  マクミランとライエンによるShort documentaryです




オリヴァー・ナッセン
(Oliver Knussen, 1952-2018)
亡くなられてもう1年半になるんですねぇ。大柄な指揮者で日本でもお馴染みの英現代音楽家ですね。代表作で大好きな児童オペラ「かいじゅうたちのいるところ」をインプレしています。

Horn Concerto (1994)
 「ホルン協奏曲」ウィグルスワース指揮、元R.C.O.首席ホルン奏者フェリックス・デヴォー(Félix Dervaux)フィーチャーです。
オケもhrもバレイ音楽や舞台音楽の様な表情がありますね。時に派手で、時に神経質に、四楽章ですが切れ目はなく流れます。調性感が強くマクミランと似た傾向にありますが、より流れに情景変化が明確にあって表題音楽の風合いが強いですね。hrの音色が主役なのでフィルム・ミュージック風ではないので気持ち良く聴けます。ナッセンらしい楽しさです



フランギス・アリ=ザデー
(Franghiz Ali-Zadeh, b.1947)
ドイツ在住アゼルバイジャンのベテラン女性現代音楽家でピアニストですね。"Mugam Sayagi"では中近東和声が特徴的に思える記憶がありますね。
「ナシミ受難曲」は14-15世紀アゼルバイジャンの詩人イマードゥッディーン・ナシミ(Alī Imādud-Dīn Nasīmī, 1369–1417)のTextとの事ですが、ナシミ名や生誕は不明確な様です。ちなみに初演された2017年にナシミ没後600周年の行事がユネスコ本部で行われたそうです。

Nasimi-Passion (2017初演)
 「ナシミ受難曲」はブラビンズ指揮、6パートのバリトンと合唱団のオラトリオ風です。楽曲も機能和声範疇で出し入れの強い新古典主義的流れ、民族音楽の風合いも無調の気配もありませんね。語りと歌でも特異性は感じられません。以前のアリ=ザデーの個性が消えている気がします。楽曲としては楽しく、決して悪くはありませんが。



調性感の強い現代音楽が三つ並びましたね。時代が多様性現代音楽へと動いているのが明確なのと、チョイスがR.C.O.らしいと言う事になるのでしょう。聴き応えが楽しめます。

R.C.O.らしい柔らかい華やかさもあって、今の時代のクラシック音楽をコンサートで楽しむ、と言った流れに合致しているアルバムになっていますね。



マクミランの「トロンボーン協奏曲」が、次週 都響に本アルバムのヨルゲン・ファン・ライエン[tb]を迎えて日本初演があります。指揮は三曲目のブラビンズですね。


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クセナキス(Xenakis) の『プレイアデス, Pléïades』Salabert ver. を新録音 DeciBells で聴く


ヤニス・クセナキス
(Iannis Xenakis, 1922/5/29 - 2001/2/4)
建築家にして数学者、反戦で顔の左が崩れ片目負傷、派手な大音響、と言った印象がまず浮かぶ古典の前衛を代表する一人、フランスを拠点に活躍したギリシャ人現代音楽家ですね。ビッグネームで過去のインプレでも紹介していますので、割愛ですw

数学的音楽理論は別にして、サウンドを聴くとヴァレーズの印象をどうしても引き摺りますね。



Pléïades (1979年)
過去にも色々な演奏者でリリースされている代表作の一つですね。'sixxen'と呼ばれる楽器演奏ですが、造語で6人(six)アンサンブルとクセナキス(xenakis)から取っています。

この曲は四曲構成なのですが、それぞれフランス語で楽器の編成がタイトルになっています。そして一番の特徴は並び方が5パターン準備されている事ですね。クセナキスのオリジナルが2パターンで、それ以外に3パターンあります。そこが今回のインプレのポイントですね。

今回は唯一1曲目に"Claviers"(Keyboards, 鍵盤楽器)がくるSalabertヴァージョンですね。ちなみに委嘱した 'Les Percussions de Strasbourg' オリジナルでは, I.Mélanges - II.Métaux - III.Claviers - IV.Peaux, の並びでした。その後クセナキス本人がI.Mélangesを4曲目に移動するヴァージョンを作っています。

スイス創設のパーカッション・アンサンブル"DeciBells"による2018年録音です。(日本人のヤスイ・サキコさんが参加しています)






I. Claviers (Keyboards)
鍵盤打楽器パートです。鉄琴系の幽玄な響きと木琴系の細かな音色の対比でポリリズム/ポリフォニーです。反復の印象も強く、無調混沌と言うよりも機能和声的です。このパートだけでも曲としての成立性が高く素晴らしいと感じますね。

II. Peaux (Skins)
太鼓系打楽器パートで、リズム基本となります。太鼓類の響きが素晴らしいですね。まとまりが良く、ポリリズムの混沌を避けているかの様に感じます。リズム陶酔系のサウンドですね。ラストは怒涛からフェードアウトです。(ストラスブール盤はより出し入れが強いです)

III. Métaux (Metals)
金属系打楽器パートです。鳴り響くチューブは微分音チューニングだそうです。微分音とは思えない倍音の様な音色を感じる煌びやかさです。音程が作られて、繊細な反復陶酔的な様相を呈します。リズムだけでなく残響音の印象も強く感じますね。(ストラスブール盤は繊細な陶酔より、がっしりとしたスチールドラムみたいなガムランの和声を感じますね)

IV. Mélanges (Mixture)
全打楽器パートですね。ガムランの様な流れから入りますが、様々な様相を呈します。時に静に時に激しく、もちろんポリリズムです。ラストのトゥッティは素晴らしいですね。(ストラスブール盤の方がより力強くポリリズム感を表現しています)

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  PERCURAMA Percussion Ensemble による演奏です
  楽器構成が良くわかりますね




打楽器の編成を替えて、その楽しさと可能性を最大限に表現してくれていますね。カオスはありませんのでアンチ前衛系の方にもオススメできますね。出来ればヴォリュームを上げて聴くとその楽しさは倍増です!!





'Les Percussions de Strasbourg' 盤と比べると、全体的に熱した部分が少なくテンポも揺らぎが少ないDeciBellsはクールですね。

その違いは曲の並びが違いに生きていて、前半に幽玄・陶酔、後半に金属的な響でクールさをまとめています。力感のあるストラスブールは逆パターンで, ラストに強烈な打楽器陶酔系を持ってくるのが素晴らしいです。両者表情の違いが面白いですね。


(Les Percussions de Strasbourg, ストラスブール盤です)



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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