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2019年3月19日 シルヴァン・カンブルラン『果てなき音楽の旅』w/ ピエール=ロラン・エマール, 読響 at 紀尾井ホール

読響常任指揮者最後の月にカンブルラン自ら選んだ現代音楽アンサンブル作品、場所も紀尾井ホールとうってつけです。

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音響系からスペクトル楽派に至る前衛の流れを並べましたね。前半はカラフルな音が交錯する音響系、後半は現在の空間音響系に直接的に繋がっていく二曲です。(という事で少々古い年代のチョイスではありますが)

 ▶️「このブログでいう現代音楽」に流れを載せてあります。





オクタンドル, Octandre (1923年)
エドガー・ヴァレーズ (Edgard Varèse, 1883-1965)

前衛前夜、ストラヴィンスキーを感じる3パートの小曲(for フルート, クラリネット, オーボエ, バスーン, トランペット, トロンボーン, ダブルベース)で、打楽器が無くヴァレーズらしからぬ楽曲ですね。しかしカンブルランはヴァレーズの煌びやかな反復旋律構成をカラフルに仕立てました。特に管楽器トゥッティでの色彩感溢れる音色は見事で、ホールに響き渡りましたね。
P.ブーレーズ盤(Sony)よりもやや速めで、華やか明快な展開でした。次のメシアンとのつながりの良さも感じました。




7つの俳諧, Sept haïkaï (1962年)
オリヴィエ・メシアン (Olivier Messiaen, 1908-1992)
I.導入部 - II.奈良公園と石燈籠 - III.山中湖-カデンツァ - IV.雅楽 - V.宮島と海中の鳥居 - VI.軽井沢の鳥たち - VII.コーダ

セリエル的な点描とメシアン和声がカラフルな楽曲ですね。III.ではピエール=ロラン・エマール(Pierre-Laurent Aimard)の鳴りの良いpfカデンツァと、アンサンブルの鳥の声のポリフォニーの煌びやかさ、二つの対比が素晴らしかったですね。もう一つのメインVI.はpfとアンサンブルが共にポリフォニカルに絡み、美しい混沌を作りました。
ヴァレーズもそうでしたが、強音パートでの煌びやかな色彩が、ここでも光りましたね。
エマールのpfもこの曲としては主張が明確でアンサンブルとのコントラストを作ってくれたと思います。




4つの小品, Quattro Pezzi (1959年)
ジャチント・シェルシ (Giacinto Scelsi, 1905-1988)

シェルシは弟子のヴィエーリ・トサッティ(Vieri Tosatti)と共同制作で、一音の響きを倍音解析するこの代表曲を作りました。後の"スペクトル楽派"の源流とされますね。
一つの音を色々な楽器で共鳴させる様な楽曲で、旋律(音形?)はありません。グリッサンドによる微分音やトリル・トレモロを組み込んでいます。パートが進むごとに音の重なりと音量が増し、第4パートでは発生する倍音のうねりがホール空間に響き渡りました。
まさに今の時代の空間音響系の原点を味わえましたね。素晴らしい演奏でした。




「音響空間」から“パルシエル”, Les espaces acoustiques: Partiels (1975年)
ジェラール・グリゼー (Gérard Grisey, 1946-1998)

上記シェルシとローマで出会い、スペクトル解析倍音を元にした"スペクトル楽派"の流れをトリスタン・ミュライユと共に作りました。「音響空間」は基音Eの倍音構成で、今回のパート3.パルシエルは18人編成ですね。(▶️ 楽曲構成のインプレへ)
 シェルシ「4つの小品」との違いは微分音を弦楽器の旋律に載せている事、リズムを付ける事でしょう。とは言え、ともすると類型に陥りかねません。カンブルランはここで表現を倍音押出しから、繊細な旋律(or音形?)に軸足を変えました。これでシェルシの進化系という事が伝わりましたね。
そしてエンターテイメントはラスト3'の消え入るノイズに仕込まれていました。楽器をケースにしまう音、スコアの最終ページに貼られたトレース紙を弄る音、カンブルランは赤いタオルで汗を拭きます。ラストはスポットライトがシンバルを構える打楽器奏者に当たりそのまま真っ暗に。そこでpppで打たれて終わりました。
完全にやられましたね。曲の聴かせ方だけでなく、演出も一工夫で本当に楽しませてもらいました。




先ずはキーとなるシェルシの「4つの小品」を生で聴けたのが嬉しかったですね。グリゼーと並べて聴く事で、時代の先端性を強く感じる事が出来ました。

カンブルランが好きそうな?!色彩感ある4曲と見事な演出で素晴らしかったですね。

欧州では前衛現代音楽の指揮者として実績が大きいので、最後にそのカンブルランの顔を見られました。このコンサートに来られて本当に良かったです


オーディエンスは現代音楽好きが多かったので、もちろんスタンディング・オベーション。アンサンブルメンバーも足を踏み鳴らし、起立を拒否して拍手をカンブルランに譲るお馴染みの様子がありました。メンバーがステージから去っても拍手は止まず、カンブルランの再登場。素晴らしいコンサートには付き物ですが、いよいよラストだなぁという気配も感じましたね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年3月14日 カンブルラン/読響の シェーンベルク『グレの歌』at サントリーホール

いよいよシルヴァン・カンブルランの読売日本交響楽団"常任指揮者"最後の月になりました。ラストの3月24日まで毎週(計3回)カンブルランのコンサートに行く予定です。

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アルノルト・シェーンベルクの大曲歌曲『グレの歌』ですね。レコード時代から大好きな曲で、事前に13CDの聴き比べもして準備万端で楽しみにしていました。ぜひそちらもご笑覧下さい。

  ▶️ 『グレの歌 13CD聴き比べ:名盤・おすすめは





ヴァルデマル王 (ロバート・ディーン・スミス, Robert Dean Smith)
序奏下降音階からの"迫り来る黄昏"は愛を優しく歌い、"馬よ!" ではヘルデンテノールの伸びやかなハイトーンを見事に聴かせてくれました。第二部・三部の神に対峙する厳しさは怒りよりも堂々と、聴かせ処 "トーヴェの声で…" は感情が溢れましたね。ヴァルデマルに適役でした。

トーヴェ (レイチェル・ニコルズ, Rachel Nicholls)
"星は歓びの…" のワルツの様な美しさ、ヴァルデマルの "馬よ!" からの流れはこの曲最高の見せ場になりましたね。"あなたは私に愛の…" では優しさを伸びやかに歌って、トーヴェらしさが光りました

山鳩 (クラウディア・マーンケ, Claudia Mahnke)
トーヴェの死の悲しみと怒りを、残念ながら朗々と歌いました。できれば絞り出すような無念さが欲しかったです。

農夫 (ディートリヒ・ヘンシェル, Dietrich Henschel)
少々肩に力の入ったバス・バリトン、"Da fährt's…" は強音オケにかき消されましたね。後半のキリストへの祈りでも力みを感じて、少し好みとは違いましたね。

クラウス (ユルゲン・ザッヒャー, Jürgen Sacher)
適度な道化感で伸びやかに王の様子を語りましたね。テノールの活き活きとした表現がピッタリでした。

語り手 (→ "農夫"と二役)
シュプレッヒゲザング弱めで力み気味。でも中盤の"夏の夢"からは緩やかに、表情豊かにうたいました。

合唱団 (新国立劇場合唱団)
一眼見た時に少ない⁈って思った印象が尾を引いて、パワー不足を感じました。怒涛の声量が欲しかったのは欲が深すぎでしょうか。
(舞台背面のP席を埋め尽くす合唱団と勝手に想像していたので…)


演奏と流れ
第一部は序奏を暖色の優しさ、"馬よ!" で聴かせる激しさは色彩感強く見事に決まりました。不要な揺さぶりを排し、暖かい優しさとカラフルな強音でしたね。
第二部は入り混じる各テーマを表情を付け、山場 "ヴァルデマルの絶望" を力強く鳴らしました。
(ここで休憩でした。普通は第一部との間が多いのですが)
第三部は、もうちょっとパワープレイでも良かった様な。「夏風の荒々しき狩」序奏のまとまりが不足気味なのも気になりましたね。とは言え色彩感あるオケはカンブルランでした。



揺さぶりや強音勝負は無く、派手さは抑えたカンブルランのグレでしたね。とは言え第一部 "馬よ!" から "星は歓びの…" の素晴らしさは格別で、ヴァルデマル / トーヴェ / カンブルラン三者の真髄だったと思います。

歌手陣ではヴァルデマルのディーン・スミスが出色でした。トーヴェのニコルズ、クラウスのザッヒャーも素晴らしかったですね。

最後にオケが退席し照明が点灯してもかなりの人が残って拍手は鳴り止まず、カンブルランが現れてスタンディングオベーションになりました。



今年は『グレの歌』のコンサート当たり年ですね。この後4月に大野/都響、そして10月にノット/東響とメンツも揃いました。楽しみです。

ちなみに個人的最大の聴き処は第三部#4「トーヴェの声で森はささやき」ラスト、亡霊になってなおヴァルデマルがトーヴェを慕う "Tove, Tove, Waldemar sehnt sich nach dir! "です。


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ジャンル : 音楽

マドリード・レアル劇場2017年 ブリテンの歌劇「ビリー・バッド」をNHKプレミアムシアターで観る

2017年のマドリード・レアル劇場公演(Teatro Real, スペイン)から、ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten, 1913-1976)のオペラ「ビリー・バッド(Billy Budd)」(全2幕) ですね。


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(写真はオフィシャルサイトからお借りしました)


この作品を観るのは初めてです。ブリテンを得意とするイギリス女性演出家デボラ・ウォーナー、男性だけのオペラ、さてどうなるでしょうか。(演出でウォーナーというと、キース・ウォーナー[Keith Warner]が浮かんでしまいますね)

【超あらすじ】
英海軍船での話で、時代は18世紀末のフランス革命が起きた英仏戦争です。仏海軍との戦いで船員不足を補うために商船から3人を強制徴兵します。その内の一人ビリー・バッドは志ある美青年でしたが、緊張すると吃音*するクセがありました。先任衛兵長のクラガートはビリー・バッドを妬み、陥れる為に水兵暴動の首謀者だと艦長ヴィアに注進します。バッドを信じるヴィアは釈明を求めますが、興奮したバッドは吃音して説明が出来ずクラガートを殺害してしまいます。軍法会議で死刑判決が下り、バッドは運命を受け入れ処刑されます。最後に口にした言葉に、後年ヴィアは救済を得る事になります。

 *吃り(どもり)ですが、差別用語かもしれません。



演出
舞台を大きく一つにして無機的な印象つけるのはデボラ・ウォーナーらしい演出ですよね。ストーリー展開になるとメリハリが弱く、原作ストーリーを超えるモノを演出する事が出来なかった様に感じました。男性ばかりの戦艦の中という特殊な閉鎖空間での確執表現も薄く、残念ながらブリテンの曲調と合わせて魅力がわかりませんでした

舞台・衣装
舞台は船の上という設定で照明は暗め。衣装も軍服以外は、半裸の男の品評会の様で着衣は単純なアースカラーです。全体的に無彩色の舞台です。汗臭さは演出で伝わったかもしれませんw

配役
ストーリーと音楽、演出的見せ場が不明瞭なので、個々の配役の印象も薄いです。演技表現も抑え気味で、配役が誰であろうと難しかったのでは、という気がしました。
あえて言えば、クラガート役のブラインドリー・シェラットの憎々しさを抑えた表現がブリテンの曲調に合っていている感じでした。(それがコントラストの低いこのオペラを象徴していたかもしれませんが)

音楽
ブリテンの微妙な調性感とフラットな流れ そして舞台、演奏で助ける事は出来なかったですね。



男ばかりの配役、ブリテンの音楽、現代的シンプル舞台、表情の薄いデボラ・ウォーナー演出、全ての方向がフラットなネガティブ印象でした。もっと極端にドロドロか、前衛演出の方が面白かったかもしれませんね。

いずれにしろ問題は感性の低い聴き手側にあるわけですが…m(_ _)m



<出 演>
 ・ビリー・バッド:ジャック・インブライロ [Jacques Imbrailo]
 ・ヴィア(艦長):トビー・スペンス [Toby Spence]
 ・クラガート(先任衛兵長):ブラインドリー・シェラット [Brindley Sherratt]
 ・レッドバーン(副艦長):トーマス・オリーマンズ [Thomas Oliemans]
 ・フリント(航海長):デイヴィッド・ソアー [David Soar]
 ・ラトクリフ(海尉):トーベン・ユルゲンス [Torben Jürgens]

<合 唱> マドリード・レアル劇場合唱団, マドリード州立児童合唱団
<管弦楽> マドリード・レアル劇場管弦楽団
<指 揮> アイヴァー・ボルトン [Ivor Bolton]
<演 出> デボラ・ウォーナー [Deborah Warner]


収録:2017年2月9・12・22日 マドリード・レアル劇場(スペイン)

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オイスタイン・ボーズヴィーク(Øystein Baadsvik) の plays Tuba Concertos by Baadsvik・Ness・Lindberg を聴く


Øystein Baadsvik plays Tuba Concertos by Baadsvik・Ness・Lindberg
ノルウェーのチューバ奏者オイスタイン・ボーズヴィーク(Oystein Baadsvik, ボーツヴィックとも)をフィーチャーした北欧系のチューバ協奏曲集です。以前「Prelude, Fnugg & Riffs」をインプレしていますが、少々消化不良気味だったと記憶しています。(本人の楽曲のみ面白かったですが)
今回はどうでしょうか。

 ▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

オケはクリスティアン・リンドベルイ指揮、ノルウェー・アークティック・フィルハーモニー管弦楽団(Arctic Philharmonic Orchestra)になります。







オイスタイン・ボーズヴィーク
(Øystein Baadsvik, 1966/8/14 - )
ノルウェーのチューバ・ソリストとして知られていますが、作曲者としては殆ど話が出てきません。所有の中でも自分の演奏アルバムの中に書いている程度です。

チューバ協奏曲 (2012年)
 前回紹介の本人作曲の代表曲"Fnugg Blue"は面白く、そのチューバ奏法 "Lip Beat" は知られるところですが、今回はそういった楽しみにはなりませんでしたね。
 パッと聴くと印象はマニエリスム的な調性の音楽です。メリハリがはっきりとして動機(主題?)も明確に楽器間で共有されています。特殊奏法や無調の様な前衛性はなく、チューバもヴィルトゥオーゾ的超絶技巧を見せるわけでもなく、全体平凡な演奏に感じてしまいます。あえて言えば第三楽章にジャズ的なモードを取り入れているくらいでしょうか、冒険的ではありませんが。チューバのコンチェルトは珍しいですから、コンサートなら受けるかもしれませんね。




ヨン・オイヴィン・ ネス
(Jon Øivind Ness, 1968/3/30 - )
ノルウェーの現代音楽家でノルウェー国立音楽アカデミーで学び、複調多調から始まり四分音符から微分音の方向を持っていますね。楽曲は米・欧でも取り上げられています。個人的には気になる北欧現代音楽家の一人ですね。

悪魔収穫機, Bogey Thresher (2011年)
 タイトルから刺激的です。暗い印象の根暗な曲で、反復の重低音が続く中にチューバや管楽器の咆哮が入ります。もちろん無調で微分音の奇妙な音色で勝負してきます。得意の"Lip Beat"も入り、表情変化も目まぐるしいですね。構成は調性的展開も含む反復・変奏ベースで、その基本旋律とテンポを変化させます。
特殊奏法ノイズや即興的混沌は無く、流れは存在しますから奇妙な小気味の良さも感じられますね。ポスト・ミニマル的要素も見せ、今の時代の多様性の現代音楽です。




クリスティアン・リンドベルイ
(Christian Lindberg, 1958/2/15 - )
スウェーデンのスーパー・トロンボーニストにして現代音楽家、そして指揮者としても活躍中ですね。このブログではご贔屓の一人で、演奏者も指揮者でも来日公演に行っています。今回は指揮者&現代音楽家として登場ですね。

恋するパンダ, Panda in Love (2007-2010年)
1.Panda Searching for Something He Cannot Find - 2.Lion Cub - 3.Panda in Love - 4.Panda in Protest, Goes to Tiananmen Square - 5.Speech of the Panda - 6.Panda Climbing up the Hill... into a World of Freedom
 6パートの協奏曲で子ライオンも登場するパンダの標題音楽です。そういう構成をイメージして聴くとチューバの活躍が楽しめます。楽風は機能和声寄りなので違和感はないでしょう。ストーリー性が明確にあるのは、リンドベルイ本人がトロンボーンで演奏しても成立する様に作っているからかもしれません。三曲の中ではチューバの演奏テクも聴かせ処を作っていて、遊び心が曲に生きた楽しさを味わえますね。




今回は、ボーズヴィーク本人作品以外が面白いです。(笑)
前衛の多様性ネス、標題音楽の楽しさリンドベルイ、二つが味わえますね。ただ、特にチューバである必要性が薄い感じはしますが。(例えばリンドベルイのトロンボーンの方が…w)

前回のアルバムよりも楽しめます。一度ボーズヴィークの圧倒するチューバ超絶技巧を聴いてみたいものですね。





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アイスランドの現代音楽《RECURRENCE》管弦楽集:ヨンスドッティル/ヴィルマーソン/シグフスドッティル/ビャルナソン/ソルヴァルドスドッティル


RECURRENCE
Iceland Symphony Orchestra
アルバムのクレジット名はアイスランド交響楽団になっていて "ISO project vol. 1" とありますね。指揮者ダニエル・ビャルナソン本人作品を含めた近年注目度の上がるアイスランドの現代音楽家5人の管弦楽集になります。

 ▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

【余談】アイスランド人は名前で男女がわかります。---ソン(son, 息子)なら男性、---ドッティル(dóttir, 娘)なら女性です。







スリドゥル・ヨンスドッティル
(Thurídur Jónsdóttir, 1967 - )
レイキャビク音楽大学でフルートと作曲を習った女性現代音楽家です。その後ボローニャ音楽院でエレクトロニクスを習得していますね。

Flow and Fusion
 旋律感の低いロングトーン多声と鍵盤打楽器(マリンバ)の様な連打が少し入ります。エレクトロニクス的な響きもありますが、楽器の音なのか判別できません。フラットではなくディナーミクがあり、空間音響系だと思います。アンビエント系になるのかも?! そんな感じです。




フリヌール・アジルス・ヴィルマーソン
(Hlynur Aðils Vilmarsson, 1976/8/2 - )
レイキャビク音楽大学で作曲を、コーパヴォグル音楽学校でエレクトロニクスを学んでいます。B.ファーニホウにも師事していて、電子工学に明るいそうです。

BD
 BAは博士号のことでしょうか。こちらも旋律感の低いロングトーン多声音響ですが、旋律を挟み込んできます。短旋律反復でノイズ的、それが対位法的に絡み、特殊奏法のポリフォニーそしてホモフォニーへと変化します。即興的混沌には陥らず、奇妙なリズム感の表情でちょっと面白い感じです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




マリア・フルド・マルカン・シグフスドッティル
(María Huld Markan Sigfúsdóttir, 1980/9/29 - )
作曲の博士号をアイスランド芸術アカデミーで取得した女性現代音楽家です。イギリスでも学んでいますね。

Aequora
 ストレッチした音が多声で共鳴する音響空間を作り、そこに静的な旋律が薄く浮かびクレシェンドしてピークを作ります。音色は静的透明感ですが、ディナーミクでの表情付けがありますね。




ダニエル・ビャルナソン
(Daníel Bjarnason, 1979/2/26 - )
レイキャビクで学び、指揮者と現代音楽家で活躍中ですね。

Emergence
 空間音響系で3パートに分かれています。神経質な雰囲気が漂うパート1、連打音が背景に置かれてドローンが被るパート2、静的空間色が全体クレシェンドするパート3。
他の楽曲に比べると反復旋律が耳に付きますね。その意味ではポスト・ミニマルの指向性があるのかもしれません。




アンナ・ソルヴァルドスドッティル
(Anna Thorvaldsdottir, 1977/7/11 - )
アイスランドを代表する女性現代音楽家で、このブログでもご贔屓の一人です。その独特の楽風は魅力的ですね。紹介は割愛です。

Dreaming
 紹介済みの楽曲ですね。(聴き比べはしませんw)
ベースとなるのは旋律感の低いノイズ系のドロドロとした蠢めく様な低い地鳴り、ドローンや響に近いでしょう。それがソルヴァルドスドッティルですね。そこに不安な色合いの旋律やクラスター的強音が現れます。ラストは弦楽器の特殊奏法だけのパートで面白いです。




アイスランド空間音響系の楽曲集で、北極圏の360°広がる上空を耳で感じる様な印象です。いわゆるドローンと違って細かな音色や変化による色付けがしっかりあるのが特徴的ですね。

旋律性は低く、響きで空間を満たす世界です。この手の現代音楽を聴いてみたい方にはおすすめですね。





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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 100CDの聴き比べです [#7 / CD91-100]

マーラー第9番今回10CDインプレで100CDまで来ました。同じ曲なのに様々なバリエーションがあり、指揮者やオケの個性が一緒に味わえるので楽しいですね。

このブログはあくまで楽曲のインプレで、マーラーの人生や楽曲の背景 その構成には触れていません。生きた時代も世界も違う歴史上の才人の人生や作曲経緯、ましてやその思いを安易な調べで素人のブログに載せるのは申し訳ない気がします。("商品"はインプレできますが…)

楽曲的には最終楽章も二つの主題(動機)の変奏とコーダと見る方が見晴らしが良い気もしますが、今は主題とエピソードでインプレしています。
(もちろんマーラーのスコアには主題や中間部といった表記はどこにもありません。BPM速度標記さえないので演奏テンポの差も大きいわけですが…)


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 100CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:20CD
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 若杉弘[x2], 高関健, 山田一雄, 秋山和慶, 大植英次[㊟], ギルバート, シェーンヴァント, クーン, ブラウン, ミュンフン, ネトピル, ノセダ[☆]
 #7:10CD 本投稿です
ワルター[x2 ★☆㊟], ブーレーズ[x2 ☆㊟], ノリントン, エルダー, ペシェク, ドホナーニ, シュワルツ, タバコフ



ブルーノ・ワルター, Bruno Walter (2録音)

ワルターはマーラーに呼ばれ副指揮者からウィーン歌劇場(1901-1913)に立ちましたね。その時25歳、もちろん総監督はグスタフ・マーラー本人(41歳)です。
100CDインプレまで来たので、ここでワルターの有名な二録音を聴き比べておきましょう。この二曲はワルターの二つの顔を持つ演奏になりますね。



(#1)
★☆(㊟)
Vienna Philharmonic
[OPUS蔵・他] 1938-1/16


(同年録音の貴重な第5番アダージェットも聴く事ができるOPUS蔵盤です)

ナチスから逃れてウィーンでVPOを振ったワルターの歴史的名演Liveですね。
第一楽章
第一主題から第二主題への表情変化は明確に、その後の山場と反復 第三主題もメリハリは明瞭です。アゴーギクも見事に決まっていますね。展開部前半の陰鬱を速めのテンポの揺さぶりで奏して、J.シュトラウス引用を明るく表現します。中盤は激しく荒れたパートと陰鬱パートのコントラストを強烈に付けています。コーダのまとめも素晴らしいですね。速め基本です。
第二楽章
スローな二つの動機がメリハリ強く絡む主要主題、第一トリオはテンポアップしてシャープなレントラーに切り替えますね。第二トリオもスローにはなりますが隙は全くありません。山場はマーラーの指示 "きわめて粗野に" 以上にキレキレです。
第三楽章
冒頭から激しい主要主題、絡む副主題もシャキッとしていて両者疾駆疾走します。走った後の中間部もテンポは上げ気味のまま緊張感をキープし、ラストは爆裂でまさにマーラーのいう"きわめて反抗的に"です!!
第四楽章
主題を穏やか優美に広げてfg動機で瞬間的に暗転させてテンポを速めます。第一エピソードもその流れで速め、暗鬱に沈む事なく感情を広げます。第二エピソードも速めの流れから山場を炸裂させ、後半からコーダは濃いめ静美な浮遊感に落とし込みます。
19'を切るかなり速い最終楽章ですね。


アゴーギクとディナーミクを大きく効かせた個性的でビシッと硬派のマーラー9です。ゆるさの微塵もありません。速さと緊張感に乗って一気に聴き終えます。一度はぜひ聴いておきたい演奏です。録音の古さなど関係ありませんね。個性も光ります。

バーンスタイン9番の原点にあるのがワルターと感じますね、特に中間楽章では。





(#2)
Columbia Symphony Orchestra
[Sony (CBS)] 1961-1/16-30, 2/6

 
(右は全集で1番は名盤、5番も素晴らしいのでおすすめですね)

VPOから23年後、当時CBSが録音オケとしていたコロンビア交響楽団を振ったマーラー9ですね。ワルターのステレオ録音用に米西海岸で編成されたオケですね。ワルターはこの翌年に85歳で亡くなっています。
第一楽章
第一主題は緩やか大きく、第二主題も流れを生かして盛り上げます。テンポも時代にあった設定となり見晴らしの良い提示部です。展開部前半をスローに落とし、アレグロ・リゾルートからもアゴーギクは弱くその分ディナーミクで見事にコントラスト付けしています。スロー化でこの曲の陰鬱感の美しさが引き出された感じです。
第二楽章
スローな主要主題ですがキリッとした動機の絡み、第一トリオではテンポアップして心地よい切れ味をつけます。もちろん第二トリオは美しく。
第三楽章
スローですが締まりの良い主題とソフトな副主題が絡みながら少しテンポを上げて山場を作ると、中間部でも大きな変化よりも美しさを引き立てます。
第四楽章
主要主題は穏やかそのもの、ここでもfgの動機で少しテンポを上げています。第一エピソードもそのテンポで暗い美しさを奏でて、第二エピソードも美しさを軸に山場へ引上げます。ターン音型の静パートからはこの演奏の真骨頂となりますね。


今の時代のスロー基本美しさ軸足のマーラー9の原点です。23年前と大きく様変わり、アゴーギクを排した全編スローとなっていますね。VPO盤とは正反対で曲の美しさが光る演奏です。スロー化でもディナーミクを使ったコントラスト付けがしっかりと付けられています。

音質もリマスタリングで今の時代になり価値が上がっていますね。本来の位置付けは★☆かもしれません…




ピエール・ブーレーズ, Pierre Boulez (2録音)

指揮者としてのブーレーズのCDと言うと、Sony(CBS)とDGでの同曲再録音を浮かべますがマーラー9のSony盤はありません。その代わりに同時代の録音がマイナーレーベルからリリースされています。それで聴き比べができますね。



(#1)

BBC Symphony Orchestra
[ENTERPRISE] 1972-10/22


(所有と同じENTERPRISE盤。他にMemoriesとAs Discからもリリース)

BBC交響楽団の首席指揮者(1971-1975)時代のロンドンでのライヴです。実はもう一枚BBC響とはこの前年1971年録音[Arkadia]がありますが未所有です。
第一楽章
第一主題から第二主題は特異はなく反復を含めて安定した提示部です。展開部も同様で前半はあまり沈めずにアレグロ・リゾルートから表情変化を付けますが、極端なコントラスト付けはしてしません。流れは全体的にやや速めでシャープさがあり、その辺りがこの時代のブーレーズらしさでしょう。
第二楽章
主要主題は軽快に二つの動機を絡め、第一トリオを歯切れよく切り替えていますが録音がこもり気味でシャキッと聴こえないのが厳しいですね。
第三楽章
主要主題と副主題はピシッと締まり良くテンポも上げ気味で刺激的、いい感じです。中間部も速めで入る珍しい流れですが一気にスロー化して山場、ラストは一気にストレッタして見事です。この録音レベルでも素晴らしい楽章とわかります
第四楽章
主題は厚めの流れで微妙なテンポ変化を入れてきます。第一エピソードは速めで暗鬱さは控え目、第二エピソードも速めで揺さぶり強く山場へなだれ込みます。後半からコーダもスローの揺さぶりですが音圧は高く、録音され?、て変ですね。それにしても個性的な最終楽章です。


全体速めでややテンポを揺さぶったマーラー9です。特に第四楽章はクセのある揺さぶりが強く個性的展開、第三楽章は実に見事な切れ味です。前半には目を瞑って㊟印と言う事で。(後半楽章は上記ワルター1938年を彷彿させますね)

録音が(演奏も?)今ひとつで、音楽として楽しむには少々難ありですすが個性派好きの貴方にはオススメです。





(#2)

Chicago Symphony Orchestra
[DG] 1995-11


上記23年後、シカゴ交響楽団の首席客演指揮者(1995–2006)時代のグラモフォン盤マーラー9ですね。
第一楽章
穏やかで澄んだ第一主題と重心の低い第二楽章、見晴らしの良い流れで完成度の高い提示部です。展開部前半はスロー静に重心を落とし、中盤からはCSOらしい鳴りの良さを生かしています。厄介なコーダも清流にこなして、朗々とした見事な第一楽章ですね。
第二楽章
二つの主題動機は歯切れよく、第一トリオではレントラーらしい優雅さを、そして第二トリオで柔らかいスロー美に落ち着かせます。変化球なし、曲の完成度の高さです。
第三楽章
主題に副主題(第一トリオ)、共に各楽器の鳴りもシャープです。中間部(第二トリオ)も穏やかさが心地よいですね。ラストはキッチリと締めてきます。
第四楽章
やや速めの主題は適度な揺らぎで延びやかです。第一エピソードも速めで暗鬱さに沈むのを避け、心が高揚する後半の広がりにつなげます。第二エピソードも速めの流れからタメを作って山場を奏で、後半からコーダのターン音型はゆるい揺らぎを加えて浮遊感を作り出します。


惹きつけられる素晴らしさというよりも、完成度の高さが見事なマーラー9です。CSOの演奏、録音、全て揃ってピカピカに磨き上げたっていう感じですね。

確かに突出したモノはありませんが、これだけの安定感充実感もそうそう無いと思います。




ロジャー・ノリントン, Roger Norrington

Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
[Hanssler Classic] 2009-9/5


イギリス人指揮者ノリントンが首席指揮者時代(1998-2011)にシュトゥットガルト放送交響楽団を振ったマーラー9ですね。ノンビブラートで軽快といった印象がありますね。
第一楽章
第一主題は揺らぎなき穏やかさ、第二主題もほどほど、反復と第三主題でタメを作って盛り上げます。展開部は前半のスロー静を特徴的に、強音は速くと正攻法ですがそのコントラストがぴったり来ますね。鬱ベースのスローが面白いです。
第二楽章
二つの動機が絡む主要主題は速くアッサリ風味、第一トリオでもリズミカル軽量に、第二トリオでもテンポは速めを保ちます。ノリントンらしい楽章でしょうか。
第三楽章
主要主題はここでも軽快で副主題(第一トリオ)もやや落ち着きますが同様です。中間部(第二トリオ)も一呼吸程度で大きな展開感はありませんね。走るラストも激しいのですがほどほどです。
第四楽章
主要主題も速めで重厚さは避けています。第一エピソードもその流れで静的パートもあまりスロー化させません。そこが一楽章との違いですね。第二エピソードも速いのですが山場は間を作ってしっかり盛り上げ、後半からコーダのターン音型ではスロー静音に落とします。
この楽章20'を切るのは珍しい速さですね。


緩急はあるのですが基本速さ、サッパリとしたマーラー9です。ノリントンらしい軽快感がそう思わせるのかもしれません。

低重心のドッカリとしたマーラー9の対極にいる演奏ですね。第一楽章のスロー静の"鬱"が最終楽章にも生かされたらより面白かったという感じです。




マーク・エルダー, Mark Elder

Hallé Orchestra (The Hallé)
[Halle] 2014-5/22


2000年からハレ管弦楽団の首席指揮者を務めるM.エルダーが、その手兵を振ったマーラー9ですね。オペラを得意としていますね。
第一楽章
第一主題は緩やか穏やかに、第二主題も抑え気味、反復から盛り上げて第三主題、と言う正攻法ですね。展開部も前半を静に落とし、アレグロ・リゾルート以降をを多少の揺さぶりを交えて変化を大きく鳴らします。クセなく安心して聴ける反面、これと言った個性は弱く感じます。コーダは少しユルいですね。
第二楽章
主要主題も第一トリオも第二トリオもクセはなく標準的なのですが、なんとなく流れている様な気配。スケルツォ(相当楽章)なのに弾んでくれないのは辛いですね。
第三楽章
主要主題と副主題は適度なテンポと締まりを見せてリズムを刻み、ポリフォニカルな良い流れを作って中間部で情景を一変させます。とても見晴らしの良い流れで、山場からラストもマーラーの指示通り"Sehr trotzig, きわめて反抗的に"、素晴らしい楽章です
第四楽章
主要主題は心もち速めながら感情込めた哀愁を奏でます。第一エピソードは沈んだ面持ちを見せる様なスロー暗に軸足を置き重心の低い情感を湛えます。第二エピソードも山場を息詰まる様な演奏で作り上げ、後半のターン音型からコーダの5'は静的浮遊感を漂わせた空間を作りました。
指揮者とオケが一体となった情感が伝わりましたね。


流れのゆるい前半と充実の後半、二つの顔のマーラー9です。前半はスパイスが足りませんね。後半は気持ちも入って、コンサートらしい一体感も感じられた素晴らしさです。

第三楽章は第一主題の動機の多声を生かした見事さがあるので本当に残念、前半だけやり直しよろしく!!って感じ。




リボール・ペシェク, Libor Pešek

Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
[Virgin Records] 1990-6


ペシェクが音楽監督(1987-1998)を務めた時代のロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団のマーラー9です。現在は桂冠指揮者ですね。
第一楽章
第一主題は優美、第二主題も同じ流れを保ち山場を作ると反復から第三主題で大きくまとめます。展開部は前半は鬱な中にJ.シュトラウスの引用を穏やかに生かし、アレグロ・リゾルートからは強音パートに鋭いキレを見せてくれますね。コーダのスローは少し気になりますが、見事なコントラストです。
第二楽章
主要主題の二つの動機は穏やか軽やかですが緩め、第一トリオも流れは変えず優雅な宮廷音楽調です。第二トリオもその流れに乗っています。やや間延び感があるでしょうか。
第三楽章
主要主題と副主題は速めの切れ味で適度な荒れた表情も、中間部はまさにチェンジペースでスローに変えて大きく広げますがややフラット。山場とラストの激しさはキレキレで光ります。
第四楽章
主要主題は流れの良いスロー、第一エピソードは透明感のある静に沈ませています。(緩くディナーミクの揺さぶりが入っていますね) 第二エピソードは少しテンポアップさせ哀愁感を付けて、山場を鳴りよく奏でます。(山場の下り坂のスロー化は??ですが) 後半からコーダは極端に静音化します。


スロー基本でキッチリとしたマーラー9です。オケの鳴りも良くパワープレイのパートは素晴らしいのですが、処々でベースのスローがフラットな間延感になるのが残念。

スローのフラット以外はディナーミク/アゴーギクのバランスも上手いですし、定位の良い録音も一役買っているのですが。




クリストフ・フォン・ドホナーニ, Christoph von Dohnányi

The Cleveland Orchestra
[DECCA] 1997-5


ドホナーニが音楽監督(1984-2002)として鍛えた手兵クリーブランド管弦楽団を振ったマーラー9ですね。現在は桂冠指揮者です。
第一楽章
大きくスローに振った第一主題。第二主題で重心を落として盛り上げますが、上手く揺らぎをかけて寄せては引く波の様です。展開部前半のスロー静もディナーミクで緊張感を与えて、中盤を出し入れ良く程よく荒れながら聴かせます。パワーと静のコントラスト、聴きやすい第一楽章ですね。
第二楽章
主要主題は標準的なテンポとリズム感で、第一トリオは歯切れ良くですがスロー化です。ちょっと珍しい流れでしょうか。第二トリオはその流れで落ち着きを見せる感じです。スローお上品な楽章です。(マーラーの意図とは違う様な…)
第三楽章
主要主題と副主題はキレ良いリズム感です。スロー化させた第二楽章と対比する感じでしょうか。中間部も約束的に静めますね。ラストも盛り上げますが暴れる事はありません。
第四楽章
主題は暖色系の緩やかさです。第一エピソードは静で暗に、回帰する主題を大きく奏でます。第二エピソードは一つ目の山場を揺らぎを使って盛り上げ、後半の主題はターン音型の浮遊感をコーダにつなげます。


安心して聴けるバランス感のマーラー9です。ベースはスローですが適度な揺らぎを入れているので飽きることもないでしょう。

突出を避けた安定志向がお好みの方におすすめです。打楽器重低音は床が響く録音です。




ジェラード・シュワルツ, Gerard Schwarz

Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
[Artek] 2006-6/1-3


米トランペット奏者で指揮者のG.シュワルツが音楽監督(2001-2006)を務めた時代にロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団と行ったマーラー・チクルスからの第9番ですね。
第一楽章
第一・第二主題とも表情は穏やか、一山上げてから提示部反復は見晴らしが良いです。展開部前半もピチカートを強調する程度でクセはなく、中盤での激しいテンポ変化も堂々とこなしています。コーダも含めて良く出来ていますね。
第二楽章
主要主題は適度なテンポに切れ味、第一トリオで少し色付けを増したレントラーにしています。絡ませながら第二トリオで一息入れる感じでしょうか。落ち着いた流れですね。
第三楽章
上げ気味の主要主題は第一トリオと絡んで適度に刺激的で流れよく進み、中間部からの表情変化も上手く付けています。ラストもしっかりとストレッタしています。
第四楽章
主題の流れは緩やかで大きく、第一エピソードもその流れで中後半はぶ厚いです。第二エピソードの山場はタメを作って見事に鳴らし上げ、後半からはコーダに向けてターン音型を緩やかに沈めて行きます。


80点主義的なマーラー9ですね。全楽章ミスや変な処は全然感じません。全く悪くないのですが、惹きつけられる何か+αが見当たりません。

炸裂するパワーや狂気とまで言いませんが、良い流れの演奏ほど この曲には強い思い入れの様な+αが欲しい気がします。




エミール・タバコフ, Emil Tabakov

Sofia Philharmonic Orchestra
[Capriccio] 1991-3

 
(右は全集です)

タバコフのソフィア・フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者(1987-2000)時代のマーラー9です。ブルガリア・セットのチクルスからですね。
第一楽章
スローに振った第一主題と第二主題はチェンジペースも薄く、スローに徹した提示部です。展開部もスローですが前半の静はコントラストが強めで引用パートは緩め、アレグロ・リゾルートからはテンポ変化を大きく付けて表情変化を見せてきます。コーダは超スロー、出し入れの強い楽章です。
第二楽章
スロー気味の主要主題は処々ゆるく、第一トリオはテンポアップで帳尻合わせです。第二トリオは落としますが、表情変化は薄いでしょうか。
第三楽章
かなり速い主要主題と副主題は荒れた表情を見せます。中間部で大きくスロー化しますが、ラストはひと暴れ。
第四楽章
主題を広がりよく鳴らし、第一エピソードの静けさ暗さも弱めです。第二エピソードは超スローから山場を作り、後半はスロー静のお約束ですね。


テンポ変化の大きいマーラー9です。一つの主題の中でも大きくテンポを変化させ、全体では超スローから乱速までありますね。それでやや統一感は欠けるのが残念ですが。






まだしばらく枚数がありそうなので、楽しめます。

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ジャンル : 音楽

イェクスパー・ホルメン(Jexper Holmen) の『オールトの雲, Oort Cloud』を聴く


イェクスパー・ホルメン
(Jexper Holmen, 1971/2/16 - )
デンマークの現代音楽家、ロイヤル・デンマーク音楽院でイブ・ノルホルム(Ib Nørholm)に学んでいます。現在はインスタレーション系を得意としている様ですね。

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Oort Cloud
オールトの雲*
英ハダースフィールド・コンテンポラリー・ミュージック・フェスティバル(hcmf// Huddersfield Contemporary Music Festival)からの委嘱作品になりますね。サックスと2台のアコーディオン、そしてエレクトロニクスです。そしてマーティン・スティグ・アンダーセン(Martin Stig Andersen)の"CosmogyralEcho"が残響音的に挟まれているそうです。両方ともに宇宙ネタのタイトルですね。

前衛ライナーノートが大問題で、ジャケット写真の様に全ページ文字を分散して表記してあるので全く読む気がしません。と言うわけでレーベルの紹介ページを参照する必要があります。

* 太陽系最外殻カイパーベルトの延長線上にあるとされる仮想天体群






Oort Cloud (2008年)
  "CosmygyralEcho" by Martin Stig Andersen included
ライナーノートにはエオリアン・ハープ(Aeolian harp)を例に楽曲の印象を含めた解説(インプレ?!)がありますが、先入観になる可能性がありますね。
察しの良い方は想定想像の範疇で、56’一曲です。聴くというよりも浸るとか、その中にいるとか言った大括りアンビエント系ですね。アコーディオンの音色はわかり易いですが、サックスは特殊奏法的です。
当然旋律は無く、ロングトーンと響きだけが延々とフラットに連続します。ただ音色からするとドローンとは一味違う様な。(わかっていないだけかも…汗)

41'過ぎに無音を挟んでノイズのバックグラウンド音が現れます。これが"CosmygyralEcho"でしょう。エレクトロニクスのノイズ(のドローン?)と思われますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  56'完全版です。



アンビエントなのかエレクトロニカなのか不明ですが、要はそういう範疇です。タイトルのイメージっぽいのが素晴らしいのか残念なのか??!!

少なくとも"オールトの雲"の推測理論や技術データからの曲構築という解説はありませんでした。(ライナーノートのスペルのバラバラ分散が何らかの意味あり??!!)



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

デンマークの現代音楽:ベント・セアンセン(Bent Sørensen) の「ミニョン, Mignon」を聴く


ベント・セアンセン
(Bent Sørensen, 1958/7/18 - )
デンマークの現代音楽家ベント・セアンセンは、デンマーク音楽アカデミーでイブ・ネアホルム(Ib Nørholm)に習い、その後オーフス王立音楽アカデミーでペア・ノアゴー(Per Nørgård)に師事しています。アコースティックを用いて静美な音楽を微妙な調性(四分音符や微分音)で表現しますね。電子音楽には手をつけていません。
サーアンセン、ソレンセン、例によって日本語表があやしい北欧系名です。

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Mignon
ミニョン
管弦楽とピアノ協奏曲で、ソロのヴァイオリン曲も入りますね。

演奏はラップランド室内管弦楽団(Lapland Chamber Orchestra)、指揮ヨーン・ストルゴーズ(John Storgårds)のフィンランド・セットです。ピアノはカトリーヌ・ギスリンゲ(Katrine Gislinge)、ストルゴーズはヴァイオリン・ソロ*も披露していますね。

* ストルゴーズはサロネンが首席指揮者時代のスウェーデン放送響のコンサートマスターでした。指揮を習う前からヴァイオリニストでしたね。






Mignon - Papillons, for piano and strings (2013-14年)
パピヨン三部作(Papillons trilogy)の一つで、本ピアニスト: カトリーネ・ギスリンジェの為に書かれています。
7パートの楽曲で調性の薄い、実際には無調でしょうが、印象派-後期ロマン派末裔的な楽曲です。古典的な旋律も現れますが、もちろん支配しているのは"静寂美"です。弦楽グリッサンドやトリルの幽玄な音色の中に繊細なピアノのアルペジオが絡みます。ディナーミクはしっかり付きますが、強音らしさは奮い立てませんね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Serenissima, for solo violin (2014年)
グリッサンドの反復・変奏を中心とした曲で、静音静寂が支配します。ここでも時折強音パートが現れますが、すぐに消滅しますね。パターンでしょう。


Sinful Songs, for ensemble (1997-98年)
管楽器のグリッサンドで微分音を生かすセアンセンのパターンですね。細かい打楽器の連打と速いトリルの組み合わせも挟まれますが、幽玄さが主役である事は変わりません。


The Lady of Shalott, version for solo violin (1987; 1992年)
ソロですが二挺のヴァイオリンの様な音色を聴かせてくれます。基本構成は変わりません。


Ständchen, for 8 players (2006年)
5パートの楽曲で、冒頭管楽器に旋律が現れます。ゆっくりとグリッサンドに崩れて行きますが、一味違うポリフォニー的ですね。殆どのパートはグリッサンドとトリルです。


The Weeping White Room, for piano and ensemble (2002年)
冒頭曲に戻った様なピアノ協奏曲です。このグリッサンドとピアノの組合せは面白いですね。ここではvoiceも入っています。



グリッサンドを中心に微分音を使うのが特徴的で、その調性の薄い静美・静寂は個性的で、路線はその一本ですね。弦楽器のグリッサンドだけをとってみるとシャリーノを彷彿するかもしれません。

幽玄な無調のBGMとしても面白いと思います。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

クリスティアン・ウィンザー・クリステンセン の『Almost in G』を聴く:現在のデンマークの現代音楽ですね


クリスティアン・ウィンザー・クリステンセン
(Christian Winther Christensen, 1977 - )
デンマーク音楽アカデミーでベント・セアンセンやハンス・エブラハムセンらに習い、その後パリ音楽院でフレデリック・デュリユーにも師事しています。長編のアンサンブル作品や管弦楽を得意としていますね。本人曰く、"ラッヘンマンやリゲティらの旧世代からの影響もあるが, 同時代の音楽家の影響はより大きい" そうです。
これを聞いても楽風は欧エクスペリメンタリズムの影響を受けている事がわかりますね。

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Almost in G
"... the embrace of the everyday ..."
C.W.クリステンセンの最新室内楽アルバムになります。ライナーノートには"私達の耳の聴き直し"と言うコラムがあり、サミュエル・ベケットの"Watt"を引用して、物というのは常に居場所を変えるものだ、とあります。ポケットで溶けたチョコが再び固まって形を変える様に、とも。演奏者のSCENATET*(セナテット)と共に我々の耳に新たな聴き直し(再構築)の楽しみを与えてくれた、のだそうです。
要は遠回しに"普通の音楽じゃないですよ"って言う事ですね。(爆)

* デンマークのオーフス・フェスの音楽監督であるアナ・ベーリト・アスプ・ クリステンセン(Anna Berit Asp Christensen)が設立したデンマークのアンサンブルですね。今回はエレキギターやエレクトロニクス(事前録音)といった多岐にわたるパターンで対応しています。





(D/L版はこちら)


Almost in G (2016年)
ト長調(tonality G)を主体として、テープと最後は全音音階を使っているそうです。
打楽器の様な弦楽器(多分w)の特殊奏法、"バチバチ・バシバシ・ゴシゴシ"とハジけまくります。次は細〜ぃロングボウイングにパルス的に凶暴な短旋律反復が割込みます。最後は砂漠の中の風と小生物みたいな… 完全にエクスペリメンタリズム、ノイズ実験音楽です。ノコギリの"ゴシゴシ"音が面白いですが、Gのキーに拘るのがもっと面白い?!


Sextet (2010, 2014年)
初期ルネッサンスの賛美歌を元にしているそうです。
これまたノイズ系で蒸気機関車の様なノコギリ音の様を背景に置いて、奇妙に美しい旋律とリズムが薄っすらと乗ります。そこにギ〜ッとノイズが。不気味に美しい面白さ!!


Chorale (2006, 2016-2017年)
事前録音のピアノにピアノを合わせながら、アコースティックギターとエレキギターを対比させているそうです。
ノイズのポリフォニーですね。それ以前に特殊奏法がキツイので楽器本来の音が不明ですw 勝手に即興的な演奏をしている様な。全部打楽器に聴こえますねぇ。


String Trio (2008-2009年)
これも古い曲をモチーフにしているそうです。
弦のグリッサンド音がちゃんと聴こえます。なんだかエフェクターの様な歪みがありますが、エレクトロニクス処理ではないでしょうね。ベートーベンの第9の引用もあったりして新しい展開かと思いきや、実はこれが一番古い曲だそうです。ここから病状悪化したんですねw


Nachtmusik (2010-2011年)
細かく静な背景音を作り、そこにキャンバスにペイントを投げつける様に音が乗ってくるのは一つのパターンですね。その時のノイズ音が年代毎に変化・進化している様です。後半は等拍的な強音連打になりますが、これもパターンの様です。
ここでは僅かに旋律感が残留物の様に残っていますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "SPOR festival 2014" でのLiveで演奏もSCENATETですね。
  CDとはやや印象が異なります。



Being Apu Sarkar (2009年)
これも背景静音パターンですが、その中に例のノコギリ"ギコギコ"が登場します。これも等拍なんですね。そしてペイント投げ付け音がありません。最後はハミングの様な音も。


Four Hyper-Realistic Song (2014-2015年)
ノイズのポリフォニーです。無音の"間"を入れながら、若干の旋律感を残していますね。いずれゴシゴシゴシ…的ですがw その後はまた静音背景にペイント投げ付けパターンとノイズのポリフォニーが展開されます。



どう聴いてもH.ラッヘンマンの影響が大きとしか言えませんねぇ。バリバリの特殊奏法ノイズ実験音楽で、黙って聴いたら欧エクスペリメンタリズムです。ライナーノートにスコアのサンプルを載せて欲しかったですね。

この世界を垣間見たい人には是非おすすめしたいですね。楽器の演奏法に懐疑的になる事間違いなし。エッ、目から鱗ですか?!



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ジャンル : 音楽

ノルウェーの現代音楽:A.ヌールハイム/O.マトレ/J.O.ネス「Snarks In The Kitchen」は、おすすめの一枚ですね


Snarks In The Kitchen
A.Nordheim / J.Ø.Ness / Ø.Matre
3人のノルウェーの現代音楽家の作品集ですね。魁(故人)、中堅、若手によるトロンボーン作品集で、ソロからトリオそして室内楽や電子音楽とヴァリエーション豊かに並んでいます。それぞれ色々な分野の作品からインスパイアされているそうです。

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メインのトロンボーン演奏はノルウェーのスヴェッレ・リース(Sverre Riise)になります。







アルネ・ノールヘイム
(Arne Nordheim, 1931/6/20- 2010/6/5)
ノルウェーの現代音楽家ビッグ・ネームですね。日本語表記がヌールハイムだったりと不確定なのが困りますが。ノルウェー国立音楽アカデミーで学び、デンマーク(コペンハーゲン)でヴァン・ホルンボーに師事し、その後フランスに渡りパリで電子音楽を学んだ 北欧電子音楽の草分けです。
本作品はルイス・キャロルの「スナーク狩り」をもとにしていますね。伝説の生物スナークを探します。

The Hunting of the Snark, for trombone solo (1976年)
 トロンボーンのソロです。いきなりグリッサンドのTbで生物感を作って意表を突きます。もっそりとした生き物の息遣いや存在感、Tbのミュートや技巧、音色を使い分けて面白い世界を表現していますね。面白いです!!

Vevnad (The Tapestry) (1993年)
 トロンボーン、チェロ、電子音楽のトリオです。どう聴いてもピアノが聴こえますが、それがエレクトロニクスでしょうか? 曲は静的で調性を軸とした反復動機がホモフォニーに絡みます。ラストはポリフォニーのカオスです。

The Return of the Snark (1987年)
 トロンボーンとテープ(事前録音, Sverre Riise)のコラボです。背景に渦巻く様な電子ノイズ、そこにI.の様なTbが乗ってきます。TbはI.よりもストイック混乱的で、背景音と合わせて混沌ノイズですね。テープは様々な音を包括して空間音響的でもあります。ディレイやサンプリングの気配も感じますが…
流れに構成感やストーリー感があって面白いですね。




オーヤン・マトレ
(Ørjan Matre, 1979/11/6 - )
ノルウェーの若手現代音楽家で、ノルウェー国立音楽アカデミーで学んでいます。室内楽や管弦楽を得意としていますが、欧州のエクスペリメンタリズムとの直接的な関わりはなく北欧をメインの活躍の場としている様ですね。

"… but I must have said this before", for trombone, cello and piano (2010年)
 単音(低音)アルペジオのピアノの残響、協調するグリッサンドのチェロとトロンボーン、スロー無調の旋律に乗って共鳴する不思議な音空間です。残響と共鳴、反復とTb特殊奏法の織りなす空間ですね。これも楽しいです。




ヨン・オイヴィン・ ネス
(Jon Øivind Ness, 1968/3/30 - )
ノルウェー国立音楽アカデミーで学び、複調多調から始まり四分音符から微分音の方向を持っていますね。楽曲は米・欧でも取り上げられています。

Moray (The Piece Formerly Known as Phekph Piphtolph)
 トロンボーン、チェロ、ピアノ三重奏曲です。低音でテンポの速い反復が三者で協調します。前半は低音響くポスト・ミニマル的陶酔音楽です。中盤スローテンポ化(中間部か展開部?)でTbとVcに微分音が入って、等拍の様にも展開して面白い流れを作ります。後半は再現部的変装ですね。

The Dangerous Kitten, for trombone and sinfonietta (1998年)
 ネスを特徴付ける楽曲「危険な子猫」だそうで、cl三本がオケとは別に陣取っているそうです。タイトルはフランク・ザッパ(Frank Zappa)の"The Dangerous Kitchen"(子猫誕生からの日記)から、また"イパネマの娘"やノルウェーで子供達が歌う"The Animals of Africa"からもヒントを得ているとか。
オケ/トロンボーン/クラリネットの無調ポリフォニーの入りから、ホモフォニーに変化してきます。いずれ飛び跳ねる跳躍音階が特徴的です。調性ベースの旋律と言う北欧系の流れを汲みつつ前衛に軸足を移す、新しいノルウェー現代音楽を感じますね。旧来の静的広がりではないカラフルな音高密度です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




実験的なヌールハイム、前衛らしいマトレ、カラフルなネス。なんとも素晴らしい三者三様のノルウェー現代音楽です

いずれも共通しているのは、ただの混沌に陥らずにストーリー性や構成感を持っている事でしょう。多様性現代音楽の必聴おすすめの一枚ですね。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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