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アイスランドの現代音楽:ISO Project Vol. 3『Occurrence』ビャルナソン, ヴァカ, トウマソン, ヨンスドッティル, ヨハンソン



"Occurrence" ISO Project Vol. 3
Iceland Symphony Orchestra
アイスランド交響楽団が進めるアイスランド現代音楽家シリーズの第三弾『ISO Project vol. 3』ですね。"vol. 1" "vol. 2" はインプレ済みです。

本アルバムにはCDの他にBlu-rayオーディオディスクが付いてmShuttleオーディオ対応です。ネット上からmp3, FLAC, wav, がDL出来ます。



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ダニエル・ビャルナソン
(Daniel Bjarnason, 1979/2/26 - )
本アルバムの指揮者であり、アイスランドの現代音楽家です。レイキャヴィクや独フライブルクで学んでいますね。指揮者としてはアイスランド響の首席客演指揮者、在籍アーティストでもありました。作曲家としては多岐にわたる、オペラからフィルム・ミュージックやダンス・ミュージック等、ジャンルにチャレンジしている様です。

■1. Violin Concerto
 vnのピチカートと口笛で入ってくるのが面白いですが、すぐに調性が崩れてノイズも絡んで来ます。刺激的な流れと緩やかさが入れ替わるコントラストある無調のヴァイオリン協奏曲ですね。出し入れのメリハリが強く、無調ですが旋律が存在していて新古典主義に近い流れも感じます。特殊奏法も含めたソロvnはトレモロを主体に流れを作っていますね。vnはPekka Kuusistoです。



ヴェロニク・ヴァカ
(Veronique Vaka, 1986 - )
女性現代音楽家でチェリストでもあります。エレクトロ・アコースティックをモントリオール大学で学び、アイスランド芸術大学でも習っています。
今回の"Lendh"はアイスランドと北欧の音楽賞にノミネートされた楽曲だそうです。

■2. Lendh (2018)
 旋律はなく暗いドローンの音塊ですね。コードを感じますから調性基本で、空間音響系と言っても良いでしょう。暗闇で蠢く魑魅魍魎か、ナイトサファリの生き物か、そんな生命感。"ありげ"と言ってしまうと身も蓋もないのですが、今の時代の多様性現代音楽の一つの方向性である事は間違いありませんね。個性が見られるとすれば、弦のトレモロが入っている事でしょうか。



ヘイクル・トウマソン
(Haukur Tómasson, 1960/1/9 - )
前回のISO Project Vol. 2でもピアノ協奏曲#2が取り上げられたトウマソンは、アイスランド以外の米・独・オランダでも学んでいます。初期はフィボナッチ数を使っていたりしますが、その後本人の言う"spiral technique"と言う技法?とアイスランド民族音楽の方向性に変わって来ています。

■3. In Seventh Heaven (2011)
 機能和声の旋律の反復・変奏で構成されたディズニーのフィルム・ミュージックの様なチョコマカした流れです。面白いとは思いますが、現代音楽と言うよりも映画音楽の様です。百歩譲って明快な標題音楽と言った処でしょう。
Vol.2にあった2016年の "ピアノ協奏曲#2"、本作品は2011年、ではこのパターンから無調へのアプローチもあったので今後の期待値はありますね。



スリドゥル・ヨンスドッティル
(Thurídur Jónsdóttir, 1967/3/30 - )
レイキャビク音楽大学、イタリア・ボローニャで学んだ女性現代音楽家でフルーティストですね。エレクトロニクスやフィールド・レコーディングと言ったテクニックも駆使します。"Flutter"は彼女の代表作の一つです。

■4. Flutter (2009)
 入りは特殊奏法のノイズ系です。flのノイズとオケの対峙ですが、緊張感ある流れを作っています。また、ソロflは反復旋律を奏でるパートもありますが、その際もオケは緊迫感ある音塊で、ボリュームを上げてflを飲み込みます。その後もソロflとオケの関係は常に緊張感を崩さずにパターンを変えて行きます。構成感もあって、変化と表情の面白さがありますね。
flはMario Caroliです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同メンバーで, 2019年のLIVEです
  最後にヨンスドッティル本人もステージに上がります




マグヌス・ブロンダル・ヨハンソン
(Magnús Blöndal Jóhannsson, 1938/9/8 - 2005/1/1)
現代音楽家で指揮者としても活躍していました。レイキャヴィク音楽大学で習った後、ジュリアードにも通った様です。1950年代から60年代初頭はアイスランド前衛音楽のリーダーシップをとっていたそうで、十二音技法の楽曲や電子音楽も作っています。
その後10年間の活動休止後、楽風を変えて この"Adagio"で作曲活動を再開したそうです。

■5. Adagio (1980)
 低音のドローン系を背景音として、繊細で美しい調性旋律が被って来ます。楽器の変化で表情が変わります。チェレスタのキラキラした音色はよく使われるパターンですね。なるほど、アダージョです。



今の時代らしい多様性の現代音楽が並びましたが、類型的な印象が残ります。第三弾ですから、新しさや冒険的な音も聴きたかったですね。

今回もドローン系の様な音塊の方向が多く取り上げられています。アイスランド現代音楽のメインストリームが空間音響系にあるのかもしれませんね。

ベストトラックは "4. Flutter" です。




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ウィルヘルミナ・スミス(Wilhelmina Smith) の『デンマーク現代 無伴奏チェロ作品集』



WORKS FOR SOLO CELLO
ウィルヘルミナ・スミス (Wilhelmina Smith, vc)
以前サロネンとサーリアホの無伴奏チェロ作品集をリリースしている米の女性チェリストのW.スミス。そのサロネンの招聘でロサンジェルス・フィルの首席客演奏者を受けているそうですが、それ以上の事はよくわかりません。来日経験もあるそうです。

今回はデンマークのベテラン現代音楽家二人の作品です。



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ペア・ノアゴー
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
今やデンマーク現代音楽の重鎮ですね。何と言っても独自の無限セリー(Uendelighedsrækken)を開発した事でしょう。何回も書いているので割愛ですが、今回の楽曲は年代的に使われていませんね。

■1. Cello Sonata No. 1 (1953)
 北欧ロマン主義的な音楽ですね。機能和声ですが、幽玄さを感じます。ダブルストップなどは古典的な響さでもあります。と言うわけでそれほど興味が湧く様なものはありませんが、W.スミスのvcは表現主義的な刺激的な音色を奏でますね。


■2. Cello Sonata No. 2 (1954/rev. 1980)
 一気にセリエルを跨いで1980年に改訂されたver.ですね。曲の流れは1.と似ていますが、調性が薄く自由度が高くなっています。こちらの方が曲も演奏も表情があって聴き応えがありますね。ダブルストップも微妙な音色を重ねています。vcの音色もナチュラルなボウイングをメインにしているのが分かりますが、も〜っと繊細でも良い様な…


■3. Cello Sonata No. 3 (1999)
 2.を一層調性感を薄めた印象で、グリッサンドが多くなって微分音の様な音色も感じさせます。曲は短くなりましたが、充実度は確実に上がっていますね。ただvcの音色が強いので、もっと繊細さを強調したコントラスト付けが欲しい気がします。



ポウル・ルーザス
(Poul Ruders, 1949/3/27 - )
デンマークの現代音楽家で、K.A.ラスムセンに師事しています。ジャンルもオペラからソロまで書くそうで、楽風は幅広くバロックから現代音楽までだそうです。デンマーク前衛はこのブログ大注目ですが、その実験前衛ではありませんね。(ラスムセンの下ではステーン=アナセンの様な過激な前衛音楽家が育っていますが)

■4. Bravourstudien (1976)
 ルネッサンス期の曲をモチーフにして、10の変奏曲にしています。調性やテンポ・拍子、を変化させてセレナーデやエチュード他を仕立てていますが、特殊奏法などは用いません。また調性や拍も極端な方向性を見せるわけでもなく、全体として凡庸な流れに感じてしまいます。



少々残念な印象で、曲も演奏も魅力に欠ける感を拭えません。

ノアゴーの後年はともかく、1. 4.は興味が湧きません。またW.スミスのvcも繊細さに大きく欠けて調性の薄い幽玄さが伝わりません。パガニーニでも取り上げた方が向いている様な…

結局の処、私の駄耳の証明と言う事になってしまいました。




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ヤクブ・フルシャ指揮 バンベルク交響楽団 の「マーラー 交響曲 第4番」クールな好演ですね



ヤクブ・フルシャ Jakub Hrůša, cond.
(Bamberger Symphoniker, 2020/7)
フルシャが2016年から主席指揮者を務めるバンベルク響とのマーラー4がリリースされましたね。メゾソプラノは若手のアンナ・ルチア・リヒター(Anna Lucia Richter)で、コロナ禍の昨年(2020)7月の録音です。

フルシャは都響の主席客演指揮者時代にフィット感が良かったので、次期あたり都響の主席指揮者でもいいのでは?!、などと考えてしまいます。

4番はマーラーの交響曲の中では一番聴く機会が少ない曲です。あまりに古典色が強く、後半楽章で天国を聴くのか、はたまたマーラーらしい悪魔のパロディなのか、掴み所の薄い印象ですね。アバドの様に穏やかに落ち着かせるのか、バーンスタインの様に上記のコントラストを強めるのか、いずれ振り幅も小さい曲だと思います。

なおインプレでは第一楽章は二つの主題(部)、第三楽章は変奏部を二つとして聴いています。




マーラー 交響曲 第4番



第一楽章
序奏のflと鈴はややスローに、第一主題は少しテンポを上げてアゴーギクで古典的メヌエットっぽさを演出します。第二主題のvcもその流れに乗って優美ですね。展開部はテンションを上げ、flの動機は澄んだ音色で、tpがファンファーレをだ出すと流れは切れ味で進みます。再現部第一主題は色合い濃く現れて、華やかな流れを作ります。優美な中にアゴーギクが見晴らしの良い流れを作る楽章です。

第二楽章
スケルツォ冒頭の死神vnソロwは揺さぶって神経質。主部は戯けた流れと陰影を交えてアゴーギクを効かせ、二回目のトリオは7番を思わせるスロー優美をclで奏でます。主部回帰では明るさを射し込ませて、クセのある楽章を上手くまとめています。

第三楽章
変奏楽章の第一主題は大きくスロー化して静美を強調、個性を放ちます。第二主題もその流れのスローから哀愁を奏でますね。第一変奏部はスローながらも陰影を濃く入って軽妙さへ、第二変奏部はアゴーギクで軽快さと色濃さの対比を作ります。コーダの山場は高らかで、ディミヌエンドで静美に鎮めます。

第四楽章
天国を歌うsopは伸びやかで表情が豊か、歌詞の区切れに挟まれるオケの動機は約束通りに速めでシャッキリ。アゴーギクを生かした流れは飽きさせませんね。流石にsopは若く艶やかさには欠けますが生き生きと感じました。


殊更の古典表現を回避して、アゴーギクを生かした見晴らしの良いマーラー4です。第三楽章の二つ主題では大きくスローと個性もしっかりと見せていますね。

フルシャの作る流れは表情を付けながらもクール、A.L.リヒターのsopも表情豊かにフィットしています。スッキリと聴けて好演の一枚ではないでしょうか👏




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フィレンツェ五月音楽祭2019 ワーグナー 歌劇『さまよえるオランダ人』をNHKプレミアムシアターで観る

2019年の"フィレンツェ五月音楽祭"(Maggio Musicale Fiorentino) から「さまよえるオランダ人, Der fliegende Holländer」です。救済あり、一幕後インターミッションあり、のヴァージョンだった様です。

ポール・カランによる演出ですが知見がないので予想がつきませんね。下記YouTubeを見る限りでは奇抜さは無い様です。今の時代のオペラですと舞台・衣装だけでなくストーリーにさえ手を付ける事が不思議では無いので…



約1'と極短い抜粋版です


演出
衣装も舞台もシンプル化されていますが、原作に則った設定で 置き換えも採用していませんから今の時代にしたら古典的演出と言ってもいいかもしれません。もちろんストーリーに手を入れる事もありません。シンプルに暗いステージ、プロジェクション・マッピング(PM)は今のオペラの標準仕様でしょうね。

舞台・衣装
暗い舞台に大きなPM、単純な道具類。衣装は多少デザイナー的ですが、落着いたアースカラー基本に程々の時代考証でしょうか。いずれシンプル化されていますね。

配役
【女性陣】ゼンタ役のM.オーウェンズは太り過ぎです!!w 一人群を抜く巨体は役にフィットしないでしょう。ただ、sopは伸びと艶が素晴らしく今回のキャストではベストでしたね。性格設定は明るい女性です。個人的には細く鬱な方がワーグナー的だと思うのですが。
マリーのA.ヤーンスは印象が薄かったですね。

【男性陣】タイトルロールのT.ガゼリのバリトンと、ダーラント役のバスのM.ペトレンコは似た印象でした。歌唱・演技共に悪くないのですが、殊更良くも無いと言った風で、バリトンvsバスの重唱は地味に聴こえました。ただ、ラストのガゼリは素晴らしかったですね。
エリックのB.ベルヒトルトのテノールはほどほどでしたが、年齢的にはゼンタを慕う青年というには無理がある様な…w

音楽
ルイージのコンサートでの印象はクールな見かけと異なりますすね。単独でも演奏される序曲では 速め激しさで入り、アゴーギクとディナーミクのコントラスト付けを強くメリハリある演奏でした。(頭の中の序奏はE.D.ワールトです)
劇中での演奏もかなり出し入れの強い鳴りを感じ、やっぱりルイージでした。


ワーグナーと言うとバイロイトが前衛演出なので、久しぶりに旧タイプの演出・舞台・衣装のワーグナー作品でした。本来なら違和感なく楽しめるはずですが、今や少々物足りない感が否めないかもしれません。

配役も微妙で、ゼンタとエリックは少々アンフィット。その他男性陣は何かもう一つ欲しかった様な。



<出 演>
 ・オランダ人:トーマス・ガゼリ [Thomas Gazheli]
 ・ダーラント:ミハイル・ペトレンコ [Michail Petrenko]
 ・ゼンタ:マージョリー・オーウェンズ [Marjorie Owens]
 ・マリー:アネッテ・ヤーンス [Annette Jahns]
 ・エリック:ベルンハルト・ベルヒトルト [Bernhard Berchtold]
 ・かじ取り:ティモシー・オリヴァー [Timothy Oliver]

<合 唱> フィレンツェ五月音楽祭合唱団
     アルス・リリカ合唱団
<管弦楽> フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
<指 揮> ファビオ・ルイージ [Fabio Luisi]
<演 出> ポール・カラン [Paul Curran]


収録:2019年1月10・13日 フィレンツェ五月音楽祭劇場(イタリア)

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英現代音楽家ジェイムズ・ブラック(James Black) の「music is not always participatory」と言うデンマーク前衛



ジェイムズ・ブラック (James Black, b.1990)
英の若手現代音楽家ですが、現在はデンマークで活動しています。この時点で??って思われた方は流石ですね。英ではオックスフォードの音楽学部で習いましたが、コペンハーゲンのデンマーク音楽アカデミーでBent Sørensen, Jeppe Just Christensen, 他に師事しています。本blogではお馴染みの顔ぶれです。そう、今最もアヴァンギャルド性の高いデンマーク前衛の拠点で習って活動していると言う事ですね。

それはご本人のwebサイト(https://www.jamesblackcomposer.com)を見ても感じられますね。ライナーノートの本人写真はもっとグロテスクな事になってますがw



music is not always participatory
エレクトロニクス、ノイズ、引用、と言ったエクスペリメンタリズム前衛です。ライナーノートには詳細な解説がありますが、聴く前に読むと影響されてしまいそうです。タイトル『音楽は常に参加型ではない』に紐付けされた楽曲制作スタンスも書かれています。詰まる処 "制約や失敗はあるものの、アートと表現力は強烈に伝えられた" そうです。

本人ソロの楽器はキーボードとシーケンサー・リズムマシンです。他メンバーは二人でバラ・ギスラドッティル(Bára Gísladóttir)が3.でvocal、7.はコナー・マクリーン(Connor McLean)が作曲をしていてvocal と 9.ではE-guitarを担当しています。

ギスラドッティルはコペンハーゲンを拠点とするアイスランドの女性音楽家でコントラバスとエレクトロニクスの強烈なノイズ音楽 "HĪBER" をリリースしていますね。







1. music is not always participatory (2020)
1. I think you're really cool - 2. SHEL - 3. Baby's teeth - 4. You win - 5. Angel's Music - 6. Music for use - 7. Folk Music -8. You lose - 9. Antifleur - 10. The Future of Classical Music


いきなりノイジーな "1. I think you're really cool" は賛美歌が歪んだ電子音で重なり合います。歪みはどんどんと悪化して凶暴性を増して全体を飲み込みます。

2.と9.がプロローグとエピローグになっているそうです。"2. SHEL" はシンセサイザーで単純音階の反復・変奏から入りますが、ノイズが被り始めるとまたもや増幅してリズムマシーンも入って来てポリリズムになります。

"3. Baby's teeth" のvoiceはライナーノートではギスラドッティルの即興(即興で歌った?!)となっていて、背景音はエレクトロニクス音のドローンです。英語で小さな子供の語り風、"赤ちゃんの歯"ですね。

"5. Angel's Music" は1960年代のフォークソングの引用?に思い切りノイズが被ります。ノイズにはサンプリング音も多く、フォークソングは殆ど掻き消されて聴こえません。

"7. Folk Music" はマクリーンのヴォーカリーズにリズムマシーンのドラムが付いていますが、ノイズは現れずに全然面白くないマクリーンの曲ですw 

"9. Antifleur" はリズム・マシーンからのハムノイズで入ってしばらくはそのジージー音、ノイズパターンが変化しながらゲーム音の様なノイズも紛れ込んで全面ノイズ一色。5'半くらいからノイズ混沌の中にシンセサイザー音(ギター?)が入って来ますね。

ラスト"10. The Future of Classical Music" ではシューベルトのピアノ曲引用がアップライトの様な音で弾かれて、途中で調性が崩れます。いつノイズが被るかと思っていたらそのまま終了。やってくれますねw
冒頭の1.の賛美歌、真ん中の5.のフォークソング 同様に既存の音楽に対するリスペクト?!wでしょうか。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  なんと全曲聴ける様です!!




これぞエクスペリメンタリズム!! バリバリの実験前衛ノイズですね。ノイズ系音楽ではなく、ノイズそのものが主役で、それに何を抱き付かせるかです。

今や欧エクスペリメンタリズムはドナウエッシンゲンでもダルムシュタットでもなく、デンマークにあり?! それにしてもデンマークの前衛レーベル「Dacapo」は何を聴いてもヤバいですねw "7. Folk Music"はマクリーンの曲なので印象が全く異なります。



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今気になるCHANDOSのエドワード・ガードナー(Edward Gardner), 二つの『浄夜』シェーンベルク と フリート



Verklärte Nacht
Edward Gardner (エドワード・ガードナー, 指揮者)
今年からロンドン・フィル(LPO)の音楽監督に就任する英中堅指揮者のガードナー。この処注目度の高い作品をCHANDOSレーベルから次々とリリースしていて、2020年だけでも「ペレアスとメリザンド」「ピーター・グライムズ」と気になるCDを出しています。この注目セットから新たに出たのが四人の近現代音楽家の作品集ですね。曲的には後期ロマン派ですが。

ドイツの詩人リヒャルト・デーメル(Richard Dehmel)の "浄夜"(Verklärte Nacht) を元にそのままタイトルにした二曲を並べたのがポイントですね。"浄夜"と言えばシェーンベルクですが、フリートの作品は初めて聴きます。

もう一つのポイントはテノールのステュアート・スケルトン(Stuart Skelton)です。同じくCHANDOS/ガードナーの「グレの歌」でもヴァルデマル王で起用されていましたね。A.フィッシャーのマーラー「大地の歌」でもヘルデン・テノールらしいハイトーンを聴かせてくれました。



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フランツ・レハール
(Franz Lehar, 1870-1948)
レハールと言えば「メリー・ウィドウ」ですねェ。年代的には近現代ですが、その範疇のイメージは誰もないでしょう。歌曲を聴くのは初めてです。

Fieber (1915)
 後期ロマン派の色濃いテノール歌曲ですね。スケルトンのテノールがヘルデンらしいトーンで聴かせてくれますが、少し押し出しが弱いかもしれません。楽風はレハールらしく時に舞曲の様に、またシェーンベルクの「グレの歌」を思わせる様な色合いも見せますね。結構楽しめるかもしれません。



オスカー・フリート
(Oskar Fried, 1871-1941)
ユダヤ系ドイツ人音楽家で指揮者でマーラーとの懇親があり、意外にも"第6番・第7番・大地の歌・第9番"のベルリン初演をBPOで振っています。作曲家としては不遇を送った様です。

Verklärte Nacht Op.9 (1901)
 原作と同じ様に男(テノール)と女(メゾソプラノ, Christine Rice)が登場して、男女間のかなりシビアな語らいを紡ぎますから基本的なストーリーは知っておいた方がいいかもしれません。mezは意図強く問題のパートを歌い、tenorがそれに応えます。ストーリー性を感じる二人の歌いで、演奏は美しい後期ロマン派楽曲でラストは大きく広げます。ここでのスケルトンは伸び良く聴かせてくれますね。ただ、クリスティーネ・ライスの方が勝っていますが…



アルノルト・シェーンベルク
(Arnold Schoenberg, 1874-1951)
言わずと知れたシェーンベルク、その初期の無調に足を踏み入れる前の後期ロマン派時代の傑作ですね。録音は多々存在しますが、ガードナーはどうでしょうか。今回はオリジナル弦楽合奏版(1917)のコントラバス・パートを見直しした1943ver.を採用しています。

Verklärte Nacht Op.4 (1917, revised 1943)
 まず導入部動機は暗く美しいのですが、かなり抑え気味にそして揺さぶりを入れて来ます。その後も揺さぶりは強めで、前半は不安げな流れを作ります。この辺はストーリーと合わせている感じです。弦楽合奏版と言うとカラヤンが浮かぶわけですが、あの濃厚な美しさよりも不安を掻き立てる様な揺さぶりが特徴的ですね。後半も美しい流れは排除されて、強い揺さぶりがギクシャクする様な印象を受けます。好みかと聴かれると、ちょっと違う???かもw
個人的には濃厚な甘美さと激しさが"浄夜"です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  DG盤ではありませんが、カラヤンBPOですね
  最高のDG盤はもっと静にスローから迫りますがこれも素晴らしいです




エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
(Erich Wolfgang Korngold, 1897-1957)
ユダヤ系オーストリアの音楽家ですね。前衛隆盛期に後期ロマン派の楽風で苦労し、米国で映画音楽家として活動していますね。ここにコルンゴルトが入っているのが少し不思議です。

Lieder des Abschieds Op.14 (1920-21)
 "別れの歌"、後期ロマン派と言うよりもロマン派のリート管弦楽ver.的でしょうか。穏やかな美しい流れとスケルトンらしい落ち着いたテノールです。これはこれで味わい深い印象ですね。オリジナルはmezとpfのリートですか?!



ガードナーのスタンスが "グレの歌" でもあった様にクセのある揺さぶりが特徴的である事が 今回もシェーンベルク "浄夜" でわかりますね。他の曲は頭にないので、それほど違和感を感じる事はありませんでした。

スケルトンのテノールも"グレの歌"の時の印象と同様で、やや引けた個性を感じました。4.が一番良かったですね。今回のベスト・トラックはフリートの"浄夜"でしょうか。




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向井山朋子さんをフィーチャーしたマイケル・ゴードン(Michael Gordon) の『The Unchanging Sea』素晴らしき空間音響



The Unchanging Sea
== A music-film project ==
この作品はフィルムと*コラボでインスタレーションなのでDVDが同包されています。元になった映画があって無声時代の1910年にD.W.Griffith制作の同タイトルで、S.S.Willametteがゴールドラッシュへ向かう船からの情景だとか。

ロッテルダム・フィルと今回演奏のシアトル交響楽団との共同委嘱作品で、シアトル国際映画祭でお披露目されていますね。

*最近、主として米、では"cross-arts collaborations"と言う表現も使われている様ですね。



マイケル・ゴードン | ビル・モリソン | 向井山朋子
マイケル・ゴードン (Michael Gordon, b.1956)
言わずと知れた米現代音楽組織 "Bang On a Can"(以下BOAC) 創設メンバーで、今や米現代音楽を代表する音楽家の一人でしょう。BOACは本ブログのオススメで度々インプレしていますので、M.ゴードン本人の紹介も含めて割愛です。

ビル・モリソン (Bill Morrison, b.1965)
ニューヨークを拠点とする映像アーティストで、今回の様な古い映像・画像と現代音楽のコラボを得意とするそうです。

向井山朋子 (Tomoko Mukaiyama, b.1963)
前衛パフォーマーでピアニスト、まさにインスタレーションで分野を跨ぐ活動が素晴らしいですね。スタンスから今回の起用は完全にフィットしている感じです。BOACとの組合せはちょっと意外な気もしますが。
向井山さんと言うと傑作 "Women Composers" のウストヴォーリスカヤ「ピアノ・ソナタ#6」が浮かびますね。



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1. The Unchanging Sea 不変の海 (2016)
変奏三部の様な構成です。静の中に向井山さんのpfが単音の響きを利かせて入って来ます。【前半】はそこに背景音の管弦楽がロングトーンで色付けし、徐々に音量が上がってカオス的圧迫に。旋律感の低い音塊的な空間音響系です。【中盤】も上げて行く流れは同じですね。pfはトリル・トレモロでオケは鬱なトーンの背景音で対位し、音厚を上げて圧倒する密度になるとpfは小刻みな昇音階と変化し混沌空間を作ります。一度落ち着きを取り戻して【後半】も同様にpf, オケがトリル・トレモロの音厚高い空間を築き、pfが即興的な強鍵でオケと対峙すると狂気さえ見せる様な炸裂した流れになって終結します。

通して、空間に広がる緊迫感・重厚感が見事でその中に吸い込まれそうです。今の時代のピアノ協奏曲で素晴らしいですね!!

DVDで映像があると、何故か音楽はミニマルを感じて不思議です。映像はモノクロの無声映画の傷んだフィルムで、傷み具合は加工しているでしょう。楽曲前半は船に乗るまで、中盤は船に乗ってから、後半は沈没してからになっています。具体性がある映像なので視覚に意識が集中してしまい、楽曲の印象が薄まります。インスタレーションと言うよりも映像作品ですね。個人的にはCDで大音量で聴きたいです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  DVDの抜粋です



2. Beijing Harmony 北京のハーモニー (2017)
1.をミニマル色濃くした様な流れです。1.があまりに素晴らしいのでインプレは残しません。



ミニマルですがCDで聴くとその感は低く、圧倒する音厚の空間音響系前衛現代音楽です。

向井山さんのpfもフィットして最近聴いた中ではお気に入りで超オススメです!!

奥様のジュリア・ウルフ、同じくBOAC創設メンバー、も今や米国の歴史を彩るテーマで新境地を突き進んでいて流石はBOACと実感しますね。




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