今の時代の米現代音楽:パーカッション・アンサンブル Sō Percussion の Where (We) Live は聴く or 観る?!

前回のSo Percussion初アルバムの8年後2012年にリリースされたアルバムになります。ニューヨーク・ブルックリンのサウンドですね。リリース元はもちろんBang on a Canの"Cantaloupe"レーベルです。

So Percussion が築いてきた他(多?)分野のアーティストとの親交がベースとなっているオリジナル作品で、「そんなパフォーマンスの抽出がこのアルバムだ」"This album is a distillation of that performance."、との事です。

今回はGuitar🎸 and Vocal でゲストのグレイ・マクマレイ(Grey Mcmurray)が加わります。メンバーは現在と同じ、Adam Sliwinski*, Eric Beach, Jason Treuting*, Josh Quillen です。(*印の二人がオリジナルメンバーです)

Where (We) Live / Sō Percussion

10パート(3-7分/1パート)構成で、4曲*には歌詞があります。その他の曲にも一人称の語りでストーリーが展開されます。

1. This Place the Place
ホーム(家)について語りが入ります。美しいBGMはスクラッチノイズの中にミニマルで存在します。語りはこのアルバムタイトルについて書かれたライナーノートがベースの様ですね。ノイズ系のポスト・ミニマルです。

2. Five Rooms Back
ここでも語りが入り、pfのミニマル音にブルースハープ(ハーモニカ?)やシンバル音やノイズ系効果音があります。後半のe-Guitarの前衛ロックサウンド炸裂がすごいです。すごく興味深いです。

3. *Strange Steps
電子処理されたサウンド、e-Bassの単音繰り返し、e-Guitarのディストーションサウンド、ロック系のヴォーカル。ノイズ系前衛ロック風です。

4. *Moat
打楽器とハーモニックス・サウンド、そして柔らかなヴォーカルでバラードと言ったパートでしょう。ディストーションは電子処理でノイズ化します。

5. Room and Board
語りメインの打楽器チャカポコです。後半はロック風味のサウンドがハードに色を付けます。語りは家と家族です。

6. In Our Rooms
オンドマルトノの様な電子音、ピアノの特殊奏法、ポスト・ミニマルなシンプルな混沌です。

7. All Along
等拍のドラム音に電子処理されたノイズサウンドで、その中に宇宙空間を思わせる反響音が鳴ります。空間音響音楽ですね。ラストはドラム音が消えてドローンとなります。

8. *Strangers All Along
前の7.からの流れがリズミカル・ドローンwに変化します。そのままヴォーカルが乗って、環境音楽系のロックからハードな音になって行きます。

9. Five Rooms Down
各部屋の語りパートで、サウンドはロック色の強い展開とノイズで、古典の引用も用いられています。声も含めてディストーションが多くかけられていますね。

10. *Thank You
合唱曲風。以下の歌詞の繰り返しになります。ちょっといいですよね。
 Thank you for letting we know
 that there are people out there
 that can get you better then
 you thought you could be got

試しにYouTubeで観てみる?
 通し1時間のLiveです!! ステージは映像やパフォーマンスも含まれて、完全にインスタレーション系です。サウンドはCDの方がより先鋭ですが、展開や語りはアドリブ?も入って異なりますね。一見の価値大です!!




単なるパーカッション・ユニットではありません。前衛の様々な要素と表現を用いた世界をみることができるアルバムです。そして欧前衛系とは異なり、ロックの色合いが強いポスト・ミニマルのN.Y.ブルックリン系米クロスオーバー現代音楽が楽しめますね。おすすめです
 実際のステージ(上記YouTube参照)では完全にインスタレーション系現代音楽ですから、CDで聴くサウンドとは違う世界も存在します。

ただ多くのクラシック音楽ファンには無縁でしょう、これをClassical-contemporaryと言うにも無理がありそうです。Classical-Clossoverでしょうかね。ジャンルなんて意味はないのはわかってますが。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

米現代音楽パーカッション・カルテット "So Percussion" を聴く

ここで米現代音楽、ポストミニマル系(と括っていいのか、Classical Crossover の方が合っているかw?)、の演奏グループをインプレしておきたいと思います。まずはN.Y.で活躍中の打楽器アンサンブルのソー・パーカッション(Sō Percussion)ですね。

N.Y.というとN.Y.ミニマルということになりますが、Sō Percussionも Bang On a Can(以下BOAC) のレーベル"Cantaloupe"から全てのアルバムを出していますね。これでスタイル等々がほぼわかるのでは。

コラボしているミュージシャンもスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)のDrummingは本人とのライヴも含めて二回CD化されていますし、お馴染みのデイビット・ラング(David Lang)やブライス・デスナー(Bryce Dessner)との共作もありますね。

本アルバムはタイトルもSō Percussion(2004年)のデビューアルバムで、楽曲はBOAC All-Starsのメンバーであるエバン・ジポリン(Evan Ziporyn)とD.ラングの作品です。

メンバーはAdam Sliwinski*, Doug Perkins, Jason Treuting*, Todd Meehanですが、現在でも在籍しているのは*二人になりますね。

Sō Percussion

Melody Competition (2000年, by Evan Ziporyn)
ジポリンらしいバリのガムランをベースにした音楽ですね。鍵盤打楽器とカラフルな音色の打楽器類が、時にメロディーラインを、また打楽器音を中心に変化させながら進みます。その響はバリや東南アジア系の民族音楽を思わせます。ラスト4分は細切れにミニマル的アイディア違いの楽風が出て面白いですね。

the so-called laws of nature (2002年, by David Lang)
 part I, II, III
So Percusson他の委嘱作品でSo Percussionに献呈されている三部構成のラングらしい美しいポスト・ミニマル系音楽です。
part I はシロフォンの様な硬い木琴系の音で構成されていて、細かいトリル・トレモロが連打されています。基本音C, C#(多分)がミニマル的にベース音として存在していますね。part II はチューブベル系の音色です。ここでもトリル・トレモロ系の連打で金属音の残響と共鳴が発生して、背景音となっています。後半は音程を変えたドラムセットの音が主役に入替ります。part IIIは鍵盤打楽器を使ったポスト・ミニマルですね。トレモロの上に単純音階が乗る構成で、透明感があります。

試しにYouTubeで観てみる?
 part II になります。




個人的にはラングの作品の方が面白いです。一曲目はブラインドで聴いても "もしかしてジポリンかな?" って答えるかもしれません。
この後、So Percussionはオリジナリティーも出していくわけですが、次回は2012年リリースの素晴らしい作品をインプレしますね。






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ジャンル : 音楽

2017年9月14日 上岡敏之/新日フィル の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール ★

先月まで"2017リニューアル"で休館していたサントリーホール、再開後は今日が初でした。演目はコンサート機会の多いマーラーの5番。暑さの残る六本木です。

20170914SuntoryHall.jpg

マーラー5番は160CDのインプレもブログにあり、コンサートターゲット曲の一つです。マエストロ上岡敏之さんの2010年ヴッパータール響との好演LiveCDも#6に入っています。(もちろん事前に聴いてきました)



前半の楽曲にも少しだけ触れておきますね。古典を聴かなくなって数十年、カデンツァに何を採用しているかさえわかりませんので本当に印象のみです。(汗)
事前にスマートなポリーニ(w/アバドBPO)盤と血色の良いギレリス(w/セルCleveland管)盤を聴いてきました。

■ ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
 デジュー・ラーンキ(Dezsö Ranki)のpfは硬質で無表情、上岡/新日フィルは良い鳴りでキレがありました。
第一楽章は特に印象は有りませんが、第二楽章はラーキンの硬い音色が緩徐楽章に沿わない感じです。第三楽章はオケはこの楽章らしい音色を奏でましたが、pfの打鍵の硬さは気になりました。


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 7年前のヴッパータール響との個性的なスローを生かした美しさから一転、落ち着かない揺さぶりのクセモノに変身でした。(独特のアゴーギクが根底にあるのは同様です)
第一楽章葬送行進曲ではcbのピチカートや管楽器の一音を投げる様に強調します。第一トリオは暴れ、第二トリオは美しい流れなのにvnは聴いたこともない強烈なビブラートを仕込みました。第二楽章の展開部第二主題での極端な静音対応はここでもありましたが、大きなアゴーギクと細かな揺さぶりがしっくりと来ません。クセモノは歓迎ですが、落ち着かない第一部。
第三楽章、スケルツォからレントラーは速めで全体は揺さぶりと荒れです。力強さの指示はあってもこの荒れ方は不釣合で、まとまりを感じられない第二部です。
第四楽章アダージェットも速めで入りながらのアゴーギクは、座り心地の良くない椅子の様。ここでのvnの大ビブラートは考えられません。第五楽章も頭の一音をやたらと長く保持したりとクセモノぶり発揮の第三部でした。



近年のマーラー5番のコンサートでは稀に見るクセモノでしたね。もちろんクセモノが嫌いなわけではありません、シェルヘンとかマデルナ好きですから。
ただ、細かいパートを弄くり回すのは好みではありません。また、リードのtpやオブリガートhrが怪しげな音を出し、管楽器群を主として音もまとまりも????ではちょっと……ね ^^;

クセモノぶりが様になっていたのは上岡さんの指揮スタイルと、一人ノリノリ姿だったコンマス崔さん?!w





とは言え、会場はフラブラと大喝采で皆んな大喜び。やっぱり駄耳の証明かな (笑)
いろいろな演奏に出会えるのもコンサートの楽しみの一つですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

エクサン・プロバンス音楽祭 2016 オペラ「ペレアスとメリザンド」を NHKプレミアムシアターで観る

クロード・ドビュッシー唯一のオペラ(全五幕)「ペレアスとメリザンド, Pelléas et Mélisande」、昨年放映されたのですが見逃していました。オンデマンドにあったので観ようかと思っていたので嬉しい限りです。

個人的見所は何と言ってもバーバラ・ハンニガンですね。現代音楽を得意とする彼女のファンですからw

THE-FESTIVAL-DAIX-EN-PROVENCE-2016_Pelléas-et-Mélisande

演出
 前衛ではありませんが、とても奇抜な設定です。いきなりメリザンドがステージにいたり、二人出てきたりするので戸惑いますがストーリー全体をメリザンドの夢にしています。一人のメリザンドは人形の様に振る舞い、存在していないかの様に動きます。(周囲の人には見えないかの様に非存在です。ゴローやペレアスも同様にその他のシーンに非存在的に現れます。メリザンドの心の投影?!)
今回は映像ではなく二人のメリザンドを採用した英女性演出家ケイティ・ミッチェルですが、ロールを二重映しにするのは同じテクですね。
 また、幕毎に衣装を脱がされて下着姿になったり、ペレアスに対して積極的なセクシャルな動きを見せたりと、エロティックなメリザンドにもしています。その辺りはK.ミッチェルらしさでしょうか。

舞台・衣装
 領地から家に置き換えられた舞台は、初めの森と泉は部屋、盲の泉はプール、といった設定です。塔の長い髪のシーンも部屋です。メイン舞台は上下に区分され、左サイドに各場のセットを入れ替え時の螺旋階段の舞台があります。衣装は現代風ですね。

配役
 メリザンドのB.ハンニガン、抑え気味に作られたソプラノに演技でストイックさを感じさせてくれました。K.ミッチェルの演出を最大限生かしていますね。
ゴローのナウリとペレアスのドゥグーも好演でした。なんとなく似た気配と声質でしたが。

音楽
 度々の来日でも良い演奏を聴かせてくれるサロネンとフィルハーモニア管、ここでも明瞭な音出しで陰影の強いサウンドを鳴らしてくれます。ドビュッシーらしい幽玄さの中に煌めく色合いも感じましたね。



全体 としてはケイティ・ミッチェルの描くメリザンド像を、バーバラ・ハンニガンが見事に演じた作品になりました。

始めと終わりはベッドのメリザンドがウェディングドレス姿で、マリッジブルーの夢から覚める設定だそうです。新しい環境に入る不安を鬱的な動きで、その一方ではエロティックな女性を演じる。そんな二面性の新しいメリザンド像を楽しませてもらいました。

<出 演>
 メリザンド : バーバラ・ハンニガン [Barbara Hannigan]
 ペレアス : ステファヌ・ドゥグー [Stéphane Degout]
 ゴロー : ローラン・ナウリ [Laurent Naouri]
 アルケル : フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ [Franz Josef Selig]
 ジュヌヴィエーヴ : シルヴィ・ブリュネ・グルッポーゾ [Sylvie Brunet-Grupposo]
 イニョルド : クロエ・ブリオ [Chloé Briot]
 医師 : トマス・ディアー [Thomas Dear]

<演 出> ケイティ・ミッチェル [Katie Mitchell]
<合 唱> ケープタウン・オペラ合唱団
<管弦楽> フィルハーモニア管弦楽団
<指 揮> エサ・ペッカ・サロネン [Esa-Pekka Salonen]


収録:2016年7月7日 プロバンス大劇場(フランス)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

オランダ国立歌劇場公演 2017 オペラ「サロメ」を NHKプレミアムシアターで観る

リヒャルト・シュトラウスのオペラ、全一幕(4場)の「サロメ (Salome Op.54)」です。交響詩を得意としたR.シュトラウスが最後に「英雄の生涯」を書き上げた後、初めに評判になったオペラですね。この後、「エレクトラ Op.58」「ばらの騎士 Op.59」「ナクソス島のアリアドネ Op.60」とヒット作を飛ばします。

このエログロ風の作品をトネールフループ・アムステルダム(劇団)芸術監督のイヴォ・ヴァン・ホーヴェ*による新演出でどうなるのかが個人的な楽しみです。
*本年11月に「オセロー」の東京公演を行いますね。

RichardStrauss-Salome-DutchNationalOpera2017.jpg


演出
 I.V.ホーヴェは2012年にリヨンで大野和士さんの元、マクベスも演出してします。ここでも現代風のコスメティックに誇張された表現が生きています。ヤン・ファンデンハウエのドラマトゥルグも合っていましたね。ラストは生首のはずのヨカナーンが血みどろで現れてサロメが絡むのはまさにグロテスク。

舞台・衣装
 舞台はシンプルで黒、暗くスポットライトで浮かび上がる設定です。衣装は当然現代に置き換えられています。近現代風といった感じですが。

配役
 タイトルロールのサロメ役に尽きるオペラですから、マリン・ビストレムですね。素直な声はもっと狂気を感じたかった気もしますが、演技と表情は素晴らしく楽しませてくれました。"7つのヴェールの踊り"もビストレム本人が演じました。
ヨカナーンのニキーチンは声も体格も大柄すぎですw、だいたい肌も白くないし全身刺青で髪も黒くないですから。

音楽
 ダニエレ・ガッティにしては揺さぶりが弱かった感じです。このオペラには彼らしい起伏があっても良かったと思います。



全体としては今の時代の先鋭な"サロメ"が楽しめて素晴らしかったです。M.ビストレムもエロティックでグロテスクさを魅せてくれました。
一に演出、二にM.ビストレムでしたね。

<出 演>
 ヘロデ(ユダヤの領主): ランス・ライアン [Lance Ryan]
 ヘロディアス(領主の妻): ドリス・ゾッフェル [Doris Soffel]
 サロメ(ヘロディアスの娘): マリン・ビストレム [Malin Byström]
 ヨカナーン(予言者): エフゲニー・ニキーチン [Evgeny Nikitin]

<管弦楽> ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
<指 揮> ダニエレ・ガッティ [Daniele Gatti]
<演 出> イヴォ・ヴァン・ホーヴェ [Ivo van Hove]

収録:2017年6月12・27日 ミュージックシアター(アムステルダム)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ステファン・アルバート(Stephen Albert) の In Concordiam・TreeStone を聴く

前回に続いて米現代音楽家ステファン・アルバート(Stephen Albert, 1941/2/6 – 27 December 1992/12/27)です。今回はコンチェルトと室内楽、こちらの方が前回のSymphonyより楽しめます。

In Concordiam・TreeStone / Stephen Albert

In Concordiam (1983年)
 Ilkka Talvi : Violin, Seattle Symphony, cond. Gerard Schwarz
ヴァイオリン協奏曲です。この時代のS.アルバートらしく、静的な美しさと管楽器の響きの組み合わせになりますね。vnはその間を縫って先鋭的な音色を響かせます。後期ロマン派を感じる様な全体の流れですが、これは面白いですね。

 試しにYouTubeで聴いてみる?

TreeStone (1986年)
 [Part I] I am Leafy Speafing - A Grand Funferall - Sea Birds, [Part II] Tristopher Tristan - Fallen Griefs - Anna Livia Plurabelle
 Lucy Shelton : Soprano, David Gordon : Tenor, New York Chamber Symphony, cond. Gerard Schwarz
声楽付きの室内楽です。S.アルバートは作家ジェイムズ・ジョイス(James Joyce)の作品を元にした作品が多く見られます。これもジョイスのフィネガンズ・ウェイク(Finnegans Wake)にインスパイアされ、悲劇の伝説トリスタンとイゾルデを掘り下げたそうです。
 幽玄さのある流れが主体で、調性の薄さが魅力的です。ちょっとバルトークを思わせる様な感じと言ったらいいでしょうか。声楽も音の跳躍が大きくやや前衛風、楽曲は調性の薄い鬱的流れになります。魅力的ですね。

 試しにYouTubeで聴いてみる?



前回紹介の交響曲は退屈なクラシカルでした。でも、この二曲は後期ロマン派の末裔的なコンチェルトと、微妙な調性感を生かした声楽室内楽で楽しめますね。
S.アルバートを聴くなら、絶対にこちらです!





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

米現代音楽家 ステファン・アルバート(Stephen Albert) の 交響曲第1番・第2番 を聴く

51歳で急逝したステファン・アルバート(Stephen Albert, 1941/2/6 – 27 December 1992/12/27) は、作曲をN.Y.のイーストマン音楽学校(Eastman School of Music)で学び、後にストックホルムでカール=ビリエル・ブロムダール(Karl-Birger Blomdahl)にも師事していますね。K.B.ブロムダールはこのblogでもお馴染みです。

調性音楽を中心とした楽風で、シアトル響のComposer-in-residenceを務めていたのは納得ですね。
ヨーヨー・マの力を借りて完成されたチェロ協奏曲が有名でしょうか。マによればアルバートの作曲はカタルシスだとの事。その時点でK.B.ブロムダールを感じますね。

本アルバムは二曲存在する交響曲のカップリングで、演奏はポール・ポリヴニック(Paul Polivnick)指揮、Russian POになります。

Symphony No.1 'RiverRun', Symphony No.2 / Stephen Albert

Symphony No.1 'RiverRun' (1983年)
四楽章形式で機能和声の標題音楽、雨が降って川の流れが終えるまでのタイトルが各楽章に付きます。
フィルムミュージックの様な堂々とした第一楽章、緩徐楽章となる第二楽章は陰的な静けさ、第三楽章は管楽器の響の良さ、最終楽章は緩徐主体でS.アルバートらしさかもしれません。

Symphony No.2 (1992年)
9年後の作品で、三楽章形式 allegro - adagio - allegroです。
並びの通りの落ち着いた展開の中に表情を豊かに付けています。メロディーラインが明瞭でストーリー展開を感じるのでフィルムミュージックと勘違いしそうです。



調性音楽の管弦楽曲で、米FilmMusicをベースとする様な正統的現代のクラシック音楽ですね。今の米国現代音楽の一つの明確な流れです。(本人はFilmMusicanではありませんが)
演奏はやや控えめな感じがします。
次回はもう少し調性の薄くて興味深い作品を紹介しますね。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ガブリエラ・リナ・フランク(Gabriela Lena Frank) の Compadrazgo を聴く

女性米現代音楽家では好きな一人、ガブリエラ・レーナ・フランク(Gabriela Lena Frank, 1972/9 - ) の2013年のアルバムです。
"Hilos (Threads)"でキャリア等の略歴を紹介済みで、南米系の民族音楽ベースと無調西洋和声の楽風が基本ですね。

このブログのG.L.フランクの関連投稿記事

室内楽でピアノ・ソロからDuo, Trio, そしてピアノ五重奏曲まであります。演奏はEnsemble Memeのメンバーになりますね。

Compadrazgo / Gabriela Lena Frank

Sonata Andina (2000年) for solo piano
 Molly Morkoski (Piano)
四楽章形式のピアノ・ソロです。第一楽章は強鍵的リズミカルさで表情豊か、"rumbling and thumping"なピアノが楽しめます。第二楽章は手拍子とピアノのパフォーマンスで単純反復の強いミニマルと刺激。第三楽章は宇宙空間的響の音数の少ない美しい緩徐楽章。第四楽章は不協和音的な西洋和声が古臭いです。
やや古い作品で、構成的な統一感のなさと特徴の薄さを感じますね。

Sueños de Chambi: Snapshots for an Andean Album (2002年) for flute and piano
 Molly Morkoski (Piano), Barry Crawford (Flute)
7パートの楽曲です。日本的な"笛"を感じたり、その他民族和声的な音色をフルートが奏でます。ピアノは時に美しく、またrumblingな響を聴かせジャジーでもあります。ただ、pfが不協和音的西洋和声になるのは中途半端でいただけません…

Canto de Harawi: "Amadeoso" (2005年) for flute, clarinet and piano
 Barry Crawford (Flute), Molly Morkoski (Piano), Michael Norsworthy (Clarinet)
一楽章形式で、二つの木管楽器の絡みが主役です。単純ですが不思議な和声で、ミニマルでもあります。ポスト・ミニマル的で、この辺りからG.L.フランクの楽しさが明確になって来る気がしますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  演奏はJessica Warren-Acosta (flute), Gregory Oakes (clarinet), Kuang-Hao Huang (piano)になります


Tres Homanajes: Compadrazgo (2007年) for piano quintet
 Liuh-Wen Ting (Viola), Harumi Rhodes (Violin), Molly Morkoski (Piano), Austin Hartman (Violin), Caroline Stinson (Cello)
ソナタ形式三楽章の楽曲です。スケルツォやアレグロを展開して、無調ですが旋律とリズムが存在ます。そしてミニマルも流れに一役かう今の時代のクラシック音楽でしょうね。第二楽章のチェロはバルトークも感じます。第三楽章の激しい切れ味は、中途半端だった不協和音展開の進化系ですね。



二つの流れ、民族音楽をベースにした表情、そして無調基本のクラシカルは良いですね。やっぱり2005年以降辺りからがG.L.フランクの素晴らしさと実感します。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2017年8月24日 読響サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会 の R.シュトラウス at 東京芸術劇場 ★☆

訳あって一ヶ月以上コンサートを空けてしまいました。夏の気候が梅雨の様な今年の東京、でも昨日・今日は晴れ間が出てくれました。今日は池袋です。

20170824TokyoGeijyutuGekijyo.jpg

ファビオ・ルイージを迎えてのリヒャルト・シュトラウス交響詩スペシャルですね。Fabio Luisiと言うと個人的にはオペラでの端正さ、マーラー5番ではアゴーギクをスロー側に振る 全体としてはジェントルな印象なのですが、読響とのシュトラウスではどうだったでしょう。

メインディッシュの「英雄の生涯」はカラヤンの3CDとシュトラウス本人指揮で事前インプレしておきました。(残念ながらルイージ盤は未所有ですが、頭の中で鳴っているのがカラヤンと言うのは問題かもw)



R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」Op.20
力感に欠けるのは残念な感じもしますが、全体としてはルイージらしいスマートなドン・ファンでした。
 冒頭のテーマは速めで、切れ味と言うよりも爽やかさを感じました。前半・中盤の2人の女性との出会いは、ルイージらしくスローに女性を表現してコントラストを見せ、後半の山場は激しさよりもスムーズ。
ラストのドン・ファンの死は、弄りようがないでしょうね。


R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」Op.40
素晴らしさは三つ [3. 英雄の伴侶]のコンマスの長原幸太さんのvn、迫力満点の[4. 英雄の戦場]、そして第1稿採用の[6. 英雄の隠遁と完成]のラスト、死を迎える英雄でした。
 [1. 英雄]はドン・ファンと似て力感よりジェントルさ。[2. 英雄の敵]の敵は速すぎで、揶揄する気配が弱いです。
[3. 英雄の伴侶]の技巧的なvn(妻)が素晴らしかったですね。クールかつ情感ある音色で魅せてくれました。オケの表情と絡みは今ひとつかも。[4. 英雄の戦場]は白眉‼︎。ルイージらしからぬw激しさで、読響の炸裂感は最高でした。[5. 英雄の業績]と[6. 英雄の隠遁と完成]は弱音の表情に欠けた感じがありましたが、ルイージが採用した第1稿は妻のvnに見守られながら英雄のhrがラストを静かに終える流れで素晴らしかったです。




個人的には、ドン・ファンと英雄の両テーマにビシッとした力強さが欲しかったですね。
でも、「英雄の生涯」の三つの良さで楽しませてもらいました。
ルイージの指揮スタイルが思いの外激しいのに驚きましたね。





【PS】ハイドン:交響曲第82番「熊」についてはインプレするだけの知見がありません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バイロイト音楽祭2017 ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を NHKプレミアムシアター で観る

今年のバイロイト音楽祭の初日を飾った『ニュルンベルクのマイスタージンガー, Die Meistersinger von Nürnberg』ですね。新演出となり、前衛でならすカタリーナ・ワーグナー(R.ワグナーの孫で音楽祭総監督ですね)からバリー・コスキーの演出になりました。

BayreutherFestspiele2017-DieMeistersingerVonNürnberg

演出
ユダヤ系演出家B.コスキーが持ち込んだのは二つ。①ワーグナーの反ユダヤ主義と②ワーグナー家族・知人関係を配役に当てはめています。そこにはワーグナーやリスト(ワーグナーの妻であるコジマの父です)達が現れます。デフォルメされた張りぼて頭や大風船のワグナーも現れ、その頭にはユダヤの帽子が被されています。そんなネガティヴ・テーマを自虐的に登場させる演出はバイロイトならでは?!
ラストはザックスのドイツ芸術を讃える歌の後、前奏曲をザックス演じるワーグナーが舞台上のダミーオケを指揮をして終わります。

舞台衣装
前奏曲でピアノから何人ものワーグナーが出てきます。第一幕はそのままワーグナー家「ヴァーンフリート荘, Villa Wahnfried」で聖カタリーナ教会ではありません。第二幕は草原(背景は第三幕)、第三幕は1945年のWWIIのニュルベルク裁判法廷で、戦勝国の国旗が見えます。
衣装はアヴァンギャルドさはなく、マイスタージンガーの時代背景的?です。

配役
それぞれがワーグナーと、取り巻く人物になぞらられています。(下記<出演>を参考下さい)
そっくりさんショーを除けば、まずは同じみヘルデンテノールのフォークト演じるヴァルターですよね。その伸び伸びとした軽やかなテノールの第三幕第五場「朝はバラ色に輝いて」は感動的です。
光ったのはポーグナー役グロイスベックと役得ザックスのフォレのバス-バリトンで、演技も合わせて楽しさいっぱいでした。ほぼ主役のミヒャエル・フォレは楽しませてくれましたね。
それにしてもリスト役のポーグナーを演じる、グロイスベックはリスト(の写真)そっくりw

音楽
P.ジョルダンの指揮はかなり抑え目に感じてしまいましたが、いかがでしょう。



全体としては、リストやワーグナーそっくりさん等々に面白さはあったものの、この楽劇に感じる4時間をゆうに超える長さは払拭できませんでした。

問題の香りがするドイツ・芸術を讃えるザックスを最後に浮き立たせる様に反ユダヤ舞台展開をしたり、エヴァが愛した2人(ザックスとヴァルター)を共にワグナーにしたりと刺激のある演出ではありました。もっと視覚的にもアヴァンギャルドさを期待してしまいますね、バイロイトですからw

ワグナー役のザックスが、憎まれ役ベックメッサーのユダヤ人指揮者レヴィをばかにした態度をとったり、本来の喜劇的演技はそのまま生かされて楽しめました。

ネットでの現地の印象、音楽と政治的背景の関連付けについての反応は様々な様です。




<出演>
ハンス・ザックス(靴屋):ミヒャエル・フォレ [Michael Volle]
 → 老ワーグナー
ファイト・ポーグナー(金細工師):ギュンター・グロイスベック [Günther Groissböck]
 → リスト
ジクストゥス・ベックメッサー(市役所の書記):ヨハネス・マルティン・クレンツレ [Johannes Martin Kränzle]
 → へルマン・レヴィ (指揮者Hermann Levi, 1882年パルジファル初演を振った)
  実はクレンツレもレーヴィ(の写真)にそっくり!!
ヴァルター・フォン・シュトルツィング(若い騎士):クラウス・フロリアン・フォークト [Klaus Florian Vogt]
 → 若きワーグナー
ダーヴィット(ザックスの従弟):ダニエル・ベーレ [Daniel Behle]
 → 前奏で現れたワーグナーの一人
エヴァ(ポーグナーの娘):アンネ・シュヴァーネヴィルムス [Anne Schwanewilms]
 → コジマ (ワグナーの奥さんで、リストの娘です)
マグダレーネ(エヴァの乳母):ヴィープケ・レームクール [Wiebke Lehmkuhl]
 → ポーグナー家の女中

<合 唱> バイロイト祝祭合唱団
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮> フィリップ・ジョルダン [Philippe Jordan]
<演 出> バリー・コスキー [Barrie Kosky]

収録:2017年7月25日 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)

*例えば「barrie kosky Die Meistersinger」等で検索すると情報が色々出てきますね。

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1.このblogで言う現代音楽
2.マーラー交響曲第5番 160CD
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