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フランク・ペーター・ツィンマーマン「マルティヌー/ヴァイオリン協奏曲、バルトーク/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」新古典主義の流れ



Martinů : Violin Concertos&Bartók : Sonata for Solo Violin Frank Peter Zimmermann
今やドイツをと言うよりも欧を代表するヴァイオリニストの一人、F.P.ツィンマーマン。今回リリースしたのは、19世紀後年生まれの東欧の近現代音楽家二人をフィーチャーしたアルバムです。

ボフスラフ・マルティヌー(Bohuslav Martinů, 1890-1859)はチェコの音楽家で、パリに出た後、ナチス進行で米に渡っています。今回の二曲はパリ時代と全盛期の米時代に分かれていて、キャラクターが異なる面白さが味わえそうです。
ベラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)はハンガリーのビッグネームですね。亡くなる前年の米時代の作品ですから新古典主義でしょう。

1930-40年代の作品ですから、欧州では十二音技法が確立され前衛エクスペリメンタルの隆盛前夜になります。その本流となるセリエルの基礎「メシアン:音価と強度のモード (1949)」がすぐに出現します。当時の米ではその流れを感じる事は少なかったでしょう。

協奏曲(1. 2.)の演奏は主席指揮者のヤクブ・フルシャが振るバンベルク交響楽団です。


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1. マルティヌー:ヴァイオリン協奏曲第1番 (1933)
アルバムでは第2番が先になっていますが、いつもの様に年代順に1番を先に聴きます。
 華やかでストラヴィンスキー風の祭典的主題が現れる一楽章。派手で切れ味良いvnが現れて、僅かに民族音楽的な和声も感じます。アンダンテは民族音楽ベースの緩徐楽章で、東欧ローカルの音風景が伝わりますね。第三楽章もそうですが、全体的には民族和声をベースに舞踏的な歯切れ良さです。vnもしゃしゃり出ずに切れ味良く、です。


2. マルティヌー:ヴァイオリン協奏曲第2番 (1943)
10年後の作品です。派手で陰影が強く、vnも幽玄神秘ながら押し出しの強い音色を奏でる第一楽章。この時点で新古典主義(新ロマン主義?)の様相を感じますね。vnが表に出て来て技巧を見せるパートも多いです。第二楽章では古典の様な動機が明確に現れていて、執拗なvnの反復も出て来ます。第三楽章は重心の低い出し入れの強い主題が支配的、ラスト前にカデンツァが待っています。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Julia Fischer(vn), Czech Philharmonic, David Zinman(cond.)です
  こちらの方がオケの表情が豊かですね



3. バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ (1944)
バルトークで浮かぶ暗く幽玄な音世界ではありませんね。一音一音を際立たせて明瞭に鳴らす方向性が感じられます。動機も調性の薄さは皆無で押し出しの強さです。バルトークだと思って聴くと???的でしょう。ただ、技巧性も高くてシャープな曲ですからツィンマーマンのvnを聴くなら一番良いでしょうね。

唯一、第三楽章だけは以前のバルトークらしい幽玄さを聴かせてくれる緩徐楽章になっていて嬉しいです。ツィンマーマンのvnがもう少し暗く鬱に鳴らしてくれるとより好みなのですが…w



バルトークは新古典主義、マルティヌーは民族和声主体から新古典主義へ個性を変化させ、この時代の前衛ではないメインストリームのクラシック音楽を味わえます。

今の時代でも米オケが好みそうな出し入れの強さと明快さのコンチェルト。ソロ曲はF.P.ツィンマーマンらしい明瞭な音色でvn技巧を聴かせてくれますね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウラジーミル・マルティノフ(Vladimir Martynov) の『ユートピア交響曲 (UTOPIA)』ミニマルとマニエリスムの美しさ



ウラジーミル・マルティノフ
(Vladimir Martynov, 1946/2/20 - )
ロシア前衛音楽の推進者の一人ですね。モスクワ音楽院で習い、初期は十二音技法やセリエルのスタイルだったそうです。その後、ロシア前衛のグバイドゥーリナやシュニトケ達と顔を合わせています。ロシア民族音楽への傾倒から民族音楽学者となって、宗教への興味も持つ様になり、ロシア正教会聖歌を学びながら米ミニマル音楽を統合するマルティノフの楽風を構築していきます。


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UTOPIA
London Philharmonic Orchestra (Vladimir Jurowski, cond.)
この作品は2005年の交響曲 "シンガポール:地政学的ユートピア" と言う作品のリメイク版になりますね。当時の駐ロシアのシンガポール大使Michael Tayからのシンガポールを祝う為の委嘱作品だったそうで、老子の"老子道徳経"を元にユートピア思想を描いているそうです。

演奏はロシア生まれのウラディーミル・ユロフスキが主席指揮者を務めるロンドン・フィルハーモニー管弦楽団です。他に合唱・ヴァイオリン独奏・語り手(speaker)が入りますね。







1. ユートピア交響曲 (2019)
2part構成です。手拍子と合唱の反復から入るのが面白いですね。すぐわかるのは機能和声のミニマルもしくはポスト・ミニマル音楽だと言う事です。音の響きは確かに宗教曲の和声を感じるものがあります。米ミニマルや同じく宗教とミニマルを合わせせたA.ペルトとはまた異なるミニマル路線を感じますね。

殆ど変わらない、歌詞は変わっていきますが、曲調がどんどんと楽器数も増えながら音の厚みを増して行きます。ありげなパターンではありますが、陶酔的でどことなくケチャの様でもあります。中間部(トリオ)の様な変化がやって来ますが、変化は小さいですね。一部露骨にグラス風のミニマルになるのが面白いです。

大きな変化は合唱に替わってvnの反復も出て来ると英語の語りがアジテートして合唱団が追従するパートですね。その後は曲調の変化があります。"part II"は平和で美しく穏やか、まさにユートピア。陶酔的なミニマルではなく、主役は反復からメロディーラインの美しさとなります。ミニマルと言うよりもマニエリスムの楽曲でしょうか。捻くれた心が洗われる様ですw


 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  全曲聴く事が出来てしまいますw



明るく陽気で賛歌的なミニマルの"Part I"と、美しく穏やかなマニエリスムの"Part II"です。前衛性はゼロですね。

"Part II"の様な美しい調性旋律に普段は興味は湧かないのですが、通して聴くと心が穏やかになる気がします。一度YouTubeで聴いてみてはどうでしょうかw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アルディッティ弦楽四重奏団の "シャリーノ | クセナキス | 細川俊夫 | リゲティ" 作品集



SCIARRINO | XENAKIS | HOSOKAWA | LIGETI
Arditti Quartet
アルディッティ4の新譜は大物現代音楽家の作品を並べました。"シャリーノ | クセナキス | 細川俊夫 | リゲティ"、新鮮味には欠ける様な…

実は昨年(2019)11月の高崎芸術劇場での来日公演からになります。コンサートなら嬉しいチョイスですね。
ポイントは細川俊夫さんの「パッサージュ」、高崎芸術劇場/ケルン・フィルハーモニー共同委嘱作品で世界初演でした。


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1. Codex Purpureus II [サルバトーレ・シャリーノ]
1984年作品ですね。執拗に続く静のトレモロの緊張感、そこにpf強音が一瞬のパルスで飛び込み、弦の刺激音が湧き起こります。殆どは静の空間。この静の空間と一瞬の烈出現がシャリーノですね。後半はやや饒舌になります。


2. AKEA [ヤニス・クセナキス]
後期の1986年作品です。まずは無調混沌の弦楽四重奏にpfがアルペジオで絡んで幽玄な気配を醸します。不協和音旋律は存在して、pfは奇妙な旋律の反復も使われています。中盤からは強音の絡みも出て来てクセナキスらしく音密度が増してポリフォニーとなります。それでもタイミングを合わせた奇妙な反復が現れるのが不思議な感じですね。


3. Passage [細川俊夫]
世界初演(2019)となる新作ですね。静の空間に神経質な弦のトリル・トレモロやグリッサンドが右往左往。少しづつボリュームを上げながら刺激のあるボウイングを入れて来ます。時折パウゼを入れて表情を変化させてますが、主たる細川さんの幽玄神経質な音色の空間は変わりません。
もっとキレキレのアルディッティを聴きたかったですね。細川さんの作品なので幽玄さ重視で良かったのかもしれませんが。


4. Streichqurtett No. 2 [ジェルジ・リゲティ]
1968年作品でアルディッティ4のレパートリーですね。リゲティと言うと聴きやすい曲から実験的な曲までヴァリエーションの広さがありますが、この曲はいかにもアルディッティ4が好きそうな当時の前衛的な無調の弦楽四重奏曲です。基本はトリル・トレモロにポリフォニカルな無調の速い展開、静スローと強ファストの出し入れの強い流れ。本来なら、そのコントラストの強さをアルディッティ4がキレキレで楽しませてくれるのですが、昔を知っているとマイルドに感じてしまいます。(part 4は刺激的で良かったです)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  LaSalle Quartetですが、繊細です
  切れ味はArditti Quartetの方が良いですね




実績ある現代音楽家の各個性を楽しめました。細川さんを除くと古いのですが、前衛の停滞時期であり多様性に推移した時代。まさに今の現代音楽の源流でしょう。

数年前のコンサートでも感じましたが、やっぱりアルディッティ4がマイルドになった印象が強いですね。昔の様に刺激物の様なキレキレさがありません。深淵になったのかもしれませんが、やっぱり残念な気がします。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アイスランド現代音楽家の作品集「Concurrence」ソルヴァルドスドッティル/トウマソン/シグフスドッティル/パールソン



Concurrence
Iceland Symphony Orchestra (Daníel Bjarnason, cond.)
アイスランド交響楽団と主席指揮者ダニエル・ビャルナソンが進めるアイスランド現代音楽家シリーズの第二弾『ISO Project vol. 2』です。"vol. 1"にはビャルナソン本人の作品も入っていましたね。

本アルバムにはCDの他にBlu-rayオーディオディスクが付いてmShuttleオーディオ対応です。ネット上からmp3, FLAC, wav, がDL出来ます。


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アンナ・ソルヴァルドスドッティル
(Anna Thorvaldsdóttir, b. 1977)
女性現代音楽家で、今やアイスランドを代表する一人と言って良いでしょうね。楽風は無調前衛です。紹介文は今更ですので割愛です。

Metacosmos (2017)
 暗幽玄のドローンです。そこに強音、バルトークピチカート?、が飛び込み、弦のトリル・トレモロが加わりますね。流れが混沌として来ると、管楽器が大きな雲の様な音塊を背景に投げかけて弦楽器と対位的に進みます。ゆっくりと静まってノイズが残ると、弦の神秘的な響に変わり、打楽器のパワーが出現して混沌状態がピークを迎えます。ラストは調性のある美しい静的エモーショナルの流れが出現します。
構成感もしっかりと組まれて聴き応えある作品になっていますね。スタンスが多様性の方向に向き始めているのを感じます。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同じメンバーによる2019年のLIVEです!!




ヘイクル・トウマソン
(Haukur Tómasson, b. 1960)
以前フルート協奏曲#2をインプレしているトウマソンは、アイスランド以外の米・独・オランダでも学んでいます。初期はフィボナッチ数を使っていたりしますが、その後本人の言う"spiral technique"と言う技法?とアイスランド民族音楽の方向性に変わって来ています。

Piano Concerto No. 2 (2016)
 単一楽章のピアノ協奏曲で、pfはヴィキンガー・オラフソン(Víkingur Ólafsson)になります。点描的なpfとオケがポリフォニーに絡み合い、pf二声部さえも対位的です。音価の高い音がなかなか現れないので落ち着きのないピョコピョコとした流れが前半を支配しますね。中間部(トリオ)?らしきパートは美鬱な緩徐の流れを調性感薄く入って、激しさと重厚さに。点描ポリフォニーの流れが戻ると激しい混沌を描きます。
無調から調性を行き来して、オリジナリティーの強さを感じる作品ですね。



マリア・フルド・マルカン・シグフスドッティル
(Maria Huld Markan Sigfúsdóttir, b. 1980)
"ISO Project vol. 1"でもフィーチャーされていた女性現代音楽家です。元はヴァイオリニストで弦楽四重奏団でも活躍、作曲は博士号をアイスランド芸術アカデミーで取得していてエレクトロニクスにも明るい様です。

Oceans (2018)
 北欧の森を通り抜ける朝の風の様な美しさを、調性感の強いロングトーンの"音"が折り重なって作り上げていますね。全体で旋律のイメージを作りますが、"音塊"の印象が強く感じます。
いかにも北欧的なサウンドで北欧ロマン主義の流れを感じますね。素晴らしいです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同じメンバーによる2019年のLIVEです!!




パール・ラグナル・パールソン
(Páll Ragnar Pálsson, b. 1977)
元はプログレッシブ系ロックバンドのギタリスト、その後クラシック現代音楽の作曲家を目指しアイスランド芸術大に入っています。エストニアに渡りエストニア音楽アカデミーでも学んでいて、エストニア音楽界とのリレーションが強いそうです。

Quake (2017)
 チェロ協奏曲で、vcはサイウン・ソルステインスドッティル(Saeunn Thorsteinsdottir)です。無調で刺激の強い濃厚さを感じますね。弦は微分音も入れて来ますし執拗な反復も入って、ソロのvcの他にvnも強烈な激しいボウイングを見せて嵐の様相です。静音パートを挟みながら主流は激烈と緊迫感です。



完成度の高いアイスランド現代音楽を並べましたね。近年作品で、どの曲も聴き応えがあります。演奏者の力量も見事な表現力を感じますね。

多様性の現代音楽になりますが、前衛寄りから調性寄りまで、美から烈まで、表情豊かな曲がバランスよく並んでいて素晴らしいです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アンティ・アウヴィネン(Antti Auvinen)の「Junker Twist | Himmel Punk | Turbo Aria」強烈なパワープレイ



Junker Twist | Himmel Punk | Turbo Aria
アンティ・アウヴィネン (Antti Auvinen, b. 1974)
若い頃はクラシックギタリストを目指していたフィンランドの現代音楽家で、プラハ音楽アカデミーやアムステルダム音楽院で学んでいます。
楽風は様々な構成のアンサンブル作品を得意としていて、ポリリズムとポリパルスを用いるのが個性的との事です。打楽器を多用する様になってからはより個性がましたそうで、エレクトロニクスも使っていますね。

今回は管弦楽曲集ですね。演奏はハンヌ・リントゥ(Hannu Lintu)と、リントゥが主席指揮者を務めるフィンランド放送交響楽団(The Finnish Radio Symphony Orchestra)です。


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1. Junker Twist (2015)
一瞬、日本のお祭りの音頭かとw 特殊奏法なのか打楽器なのかハイテンポの打楽器群と管と弦。それぞれが小刻みな旋律をホモフォニーとポリフォニーの境界面で疾走します。リズムで言うとポリリズムではありますが統合感はありますね。ホイッスルを使ったり楽器も人も叫んだりして大暴れで面白いですね。


2. Himmel Punk (2016)
打楽器が暴れます。曲調は1.と同じ路線ですがポリフォニー方向が強まっているでしょうか。ほぼ全体が強音パートですが、中間部(トリオ)的な緩徐パートが出現(2回目はラスト)するのが1.と異なる処でしょう。pfもウストヴォーリスカヤの様な打音を奏でて、もちろんホイッスルや人の叫び声も入り、全体が暴力的強引さで構成されています。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


3. Turbo Aria (2017/2018)
一番新しい楽曲で楽風が変化しています。エレクトロニクスが採用されてサンプリングによるエフェクト音の様やノイズ系の音が入ります。それが基調となって強音主張は追従的な関係に変化しています。追従的と言っても主張は強烈ですがw サンプリングではヴォイス・エフェクトやテープのヒスノイズの様な音とヴァーカリーズ・サウンドも出て来たりします。強音連打でもポリフォニカル要素が強くなり、1.や2.から表情がとても豊になって新しい方向性が見えて来ました。



調性軸の多様性現代音楽です。打楽器が主張を強く鳴らしハイテンポ強音の色合い、そこにエレクトロニクスも加わって現代のエドガー・ヴァレーズと言った風合いです。

北欧現代音楽は欧エクスペリメンタリズムと一線を画す印象が強かったのですが、今や前衛・多様性、両方で聴き応えがあります。このパワープレイは好みで、オススメの一枚になりますね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





Musica Viva #36:欧州前衛エンノ・ポッペ(Enno Poppe) の "Fett / Ich kann mich an nichts erinnern"


Fett / Ich kann mich an nichts erinnern
エンノ・ポッペ (Enno Poppe, b.1969)
本ブログではお馴染みのドイツの現代音楽家/指揮者ですね。特徴はエレクトロニクスと微分音になるでしょうが、近年は反復や調性和音を使う多様性の現代音楽に少しづつ変化している感じです。今回は近年作品ですので傾向が見られそうです。

現代音楽ファンにはお馴染み、本ブログでも何回か紹介済みの"Musica Viva"シリーズ#36です。興味のある方はそちらを参照下さいね。

演奏はバイエルン放送交響楽団(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)と同合唱団、1.の指揮はスザンナ・マルッキ(Susanna Mälkki)、2.はマティアス・ピンチャー(Matthias Pintscher)。現代音楽を得意とする安定感ある顔ぶれです。


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1. Fett (2018-2019)
パーカッションを除いた管弦楽曲です。いきなり微分音で入って来ます。微分音だけではなく、調性感の強い美しいハーモニーとのコラボレーションの様な流れです。ほぼ旋律は無く、ロングトーンが重なる反復で、響きですね。静的ですがどんどんと音が溢れて、それが寄せては返す波の様な抑揚を重ねて行きます。処々でサチュラシオン的な印象になっているかもしれません。聴くとパーカッションを外したのが、なるほどと感じますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  指揮はCDと同じくマルッキ、オケはヘルシンキ・フィルです



2. Ich kann mich an nichts erinnern (2005-2015)
ポッペと同世代のドイツの作家・詩人のマルセル・バイアー(Marcel Beyer)のTEXTを元にした、オルガンと合唱と管弦楽の為の9パートのカンタータです。
 合唱は調性的でオケは微分音を含んだ幽玄なサウンドと言った、ポッペらしさですね。ロングトーンの音の重なりは1.と同様ですが、特徴的なのは音の厚みでしょうか。全体としては調性感の強い流れで、テンポ変化は薄く極端に暗くスロー重厚なカンタータになっています。



反復陶酔的な1.と幽玄重厚な2.。どちらもポッペらしさで、両者共にテンポ変化を抑えて音厚で変化を付ける処が特徴ですね。

今の時代の欧エクスペリメンタリズムを味わえる、興味深い一枚です!!




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ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第3番』 «web配信» ロレンツォ・ヴィオッティ指揮/ベルリンフィル 2020年2月29日


COVID-19パンデミック前夜のベルリンフィル「マーラー交響曲第3番」もちろん今回のポイントはガランチャですね。


ロレンツォ・ヴィオッティ指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

(Lorenzo Viotti | Berliner Philharmoniker)
今注目度の高い日本でも活躍するスイス人若手指揮者ヴィオッティのBPOデビュー この時29歳、そしてマーラーです。実は予定されていたヤニック・ネゼ=セガンのキャンセルによる代行ではありますが。

アルトがエリーナ・ガランチャ(Elīna Garanča)と言うのが個人的ポイントです。切れ味鋭いmezが落ち着いた "O Mensch! Gib acht!" にどう入って行くか楽しみですね。ちなみに今回のBPOコンマスは樫本大進さん。
BPOのwebサイト、"デジタル・コンサートホール" からの配信です。


▶️ BPO Digital Concert Hall (会員サイト)





«web配信»
マーラー 交響曲 第3番

29feb2020BPO-Viotti-mahler3.jpg
[Live at Berliner Philharmonie, 29 Feb. 2020]


第一楽章
序奏第一主題の8基のhrは落ち着いて入り直ぐに沈めます。行進曲は陰鬱に重心を下げて、第二主題のhrもその流れに乗ります。第三主題obの"目覚める牧神"は穏やかに。提示部の"暗→明→烈"は抑えたtbが印象的で第三主題で明るさを強調、行進曲は抑え気味から明確さに、ラスト山場は鳴らしますが興奮は避けていますね。
展開部の"鬱→明"のコントラストは落ち着いた流れが主体。tb-Ehrの流れも静が強く、vn独奏-木管と楽器と動機をタッチしながらも淡々と進んで、テンポアップでピークに力感を与えます。印象は地味ですが。
再現部はまさに再現で落ち着いた流れに終始し、行進曲で少し色合いを付けながらピークへ、コーダは激しさ程々に仕上げます。暗く落ち着いた印象が強い第一楽章になっています。この楽章が終わるとガランチャと合唱団が入場しますね。

第二楽章
主要主題は穏やかさと哀愁のバランス良く、トリオは変則変奏的ですが抑えた印象です。主部・トリオ回帰でもテンポアップするくらいで、あまり強めたり変拍子強調をしたりはしませんね。平和なメヌエット強調です。

第三楽章
主部の木管群動機は洒脱、vn動機で華々しく奏でますがやっぱり落ち着き主体ですね。トリオはバンダ(ポストホルンではなくフリューゲルホルンの様でした)が平和を伝え、山場は一気に雰囲気を変えて激しさを見せます。もちろんコントロールされていますが。

第四楽章
弦の静スローの流れからアルト独唱はシャープに入ります。色濃く歌うと言うよりも淡々とした落ち着きでしょうか。

第五楽章
子供達の"ビム・バム"は少し元気が無いかも。でも女声合唱団が鋭く、アルトが伸びの良い繊細なmezを聴かせてくれました。心地良い楽章になりましたね。

第六楽章
弦楽の主要主題は暗い中にスローの美しさを見せ、第一トリオが木管とhrで寄り添う様に協調すると、一瞬激しい第二トリオを見せます。各動機の回帰ではこの楽章らしい美しい流れを強調して進み、スロー静パートは少し間延び感がありましたが、山場からコーダは感激的な広がりで終結します。それでも少し抑え気味でしょう。


マイルドで穏やかなマーラー3でした。何となくほどほど感の強い印象ではありますが、第五・六楽章は心地よさから美しさを味わう事が出来ました。

力感や高揚を避けている様にも感じましたね。BPOの初ヴィオッティに対する様子見もあったのでしょうか。心なしか樫本さんのvnの鳴りもいつもよりも細い印象でした。スタンディグオベーションでしたが、そこまでとは…



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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