2018年4月20日 カンブルラン/読響 の「マーラー交響曲第9番」at サントリーホール

カンブルランのMahler #9とアイヴズThree Places in New Englandとなれば行かない理由が見つかりませんね。

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カンブルランのマーラーは何か仕込んで来る印象です。マエストロは今回何を企んでいるのでしょうか?

□マーラーの9番は65CDの聴き比べをインプレしています




アイヴズ:ニュー・イングランドの3つの場所

現代音楽を得意とするカンブルランのメリハリある素晴らしさが味わえましたね。頭の中のM.T.トーマス/BostonSOの繊細さが好みではありますが。
■ 第一楽章
細く幽玄な美しさよりも、緩いディナーミクを振った演奏はまるでメシアンの楽曲を思わせるカラフルさでした。
■ 第二楽章
ポリフォニーそして多変拍子を明確に打出し、ラストのトゥッティは大クラスターの迫力。まさにカンブルランの面目躍如でしたね。
■ 第三楽章
短い楽章ですが美しい動機を浮かび上がらせ、山場の迫力と対比させました。


マーラー:交響曲 第9番 ニ長調

残念ながら苦手な展開で、抑揚やスローの情感を殺した流れを感じました。オケも特定楽器が崩れ、バランスや一体感が今ひとつでは...
■ 第一楽章
第一主題冒頭のホルン(2nd?)の酷さには目を覆いましたねぇ。いきなりですからシラケちゃいます。第二主題から反復の後の第三主題も流れは厚めのフラットさでした。
■ 第二楽章
主要主題、第一トリオ、第二トリオ、全体的に特徴は薄く印象が残りません。
■ 第三楽章
驚いたのは中間部、テンポも音色も落とさず変化を付けません。それは無いよね、って感じでしたね。ラストはパワーを炸裂させてくれましたが。
■ 第四楽章
主要主題は兎に角厚め。第一エピソード弱音パートはターン音型を生かしてコーダへ方向を向けましたね。第二エピソード静音パートからコーダ、フィニッシュへは普通に落として納めました。


アイヴズが楽しめて良かったです。マーラーに関して言えば個人的にはOUT!、ついて行けませんでした。でもオーディエンスは大喝采。またもや自分の駄耳の証明?!(汗)
カンブルランのマーラーは鬼門かもw





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

武満徹の「Orchestral Works III, Autumn, etc」を聴く


武満 徹 (Toru Takemitsu, 1930/10/8 - 1996/2/20)
亡くなられてから22年も経つんですねぇ。時が経つのは早いです。武満さんも前衛最盛期から衰退の時代を生きたので、前衛の縛りから始まり封じた調性を解き放つ自由度(多様性?)への音楽への変遷でしたよね。久しぶりに聴いてみました。


Orchestral Works III, Autumn, etc
名曲「カトレーン」と同じ中期1970年代の管弦楽曲「Autumn」をメインに、調性感が増した後期1980年代の弦楽曲やフルート協奏曲といったオケ作品集ですね。
演奏は沼尻竜典指揮、東京都交響楽団です。



Autumn - Into The Fall After A Little While (1973年), For Biwa, Shakuhachi & Orchestra
 Biwa – Kakujo Nakamura, Shakuhachi – Katsuya Yokoyama
名作『ノヴェンバー・ステップス』(1967年) と同じ"琵琶"と"尺八"の協奏曲です。よりスロー化して静vs烈vs間のコントラストが明確になって来ています。その分、深淵で官能的な美しさが増して奏でられますね。二つの和楽器が奏でるパートはかなり類似性を感じます。"空"の中に感じる存在は進化している様に思えます。
個人的にはこのAUTUMNの方が好みですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

A Way A Lone II (1981年), For String Orchestra
後期ロマン派からの延長線上を感じる弦楽曲、例えばシェーンベルクの浄夜やマーラーの弦楽緩徐楽章の様な、の流れですね。武満さんらしい"揺らぎ*"を残していますが、それを排除すると不協和音の少し加わった緩徐曲風かもしれません。でもこの幽美さは心地よいですね。
*短くてクイックなクレシェンドやデクレシェンドの様な

I Hear The Water Dreaming (1987年), For Flute And Orchestra
 Flute – Hiroshi Koizumi
独特の"揺らぎ"と武満和声の不協和音が減り、やや平板化して来ています。それでも弦楽器と管楽器の奏でる音色は美しい響きですね。

Twill By Twilight (1988年), For Orchestra
ここでも同傾向が見られます。緩やかな流れが強まり、深淵ながら平和さがより濃く感じられます。

当時は和楽器が入ることに違和感を感じたものですが、AUTUMNは素晴らしいです。やっぱり武満さんは中期(1970年代)作品に魅力を感じてしまいますね。
美しい楽曲アルバムで、中期から後期への武満さんの変移もわかりますからオススメです。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アレーナ・ディ・ヴェローナ 野外オペラ・フェスティバル2017 ヴェルディの歌劇『ナブッコ』をNHKプレミアムシアターで観る

大向こうを唸らせる派手で大げさなジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『ナブッコ』は Arena di Verona の舞台がぴったりでしょうね。

Nabucco–ArenaDiVerona2017
(写真は公式サイトより)

演出

本物の馬や馬車が出てきたり、大きな建物を配したり、キャストの大人数配置や円形劇場の上から大量の兵士が降りてきたり、とにかく広大な舞台を最大限生かす舞台演出が魅力ですね。小細工なしの演出です。


舞台・衣装

舞台は上記の通りですが、衣装はもちろん紀元前という事はなくやや古めかしい時代的になっていますね。観ていて違和感がありません。


配役

何れにしても舞台が広すぎるので苦労が感じられました。まずは女性陣二人のsop。アビガイッレ役のS.ブランキーニは高音が伸びて素晴らしかったです、低い声は少し辛そうでしたが。フェネーナ役のN.スルグラジェは気が強い演技でした。歌はmezらしく二人のコントラストが良かったですね。
男性陣はナブッコのG.ギャグニッザは無理に声を強めずに良いバリトンの色を出していました。イズマエーレ役のR.ぺリッツァーリは、声をはりあげる様なテノールでした。ザッカリアのR.シヴェク、この舞台ではバスは厳しかった感じですね。


音楽

広い舞台と劇場に負けない様にでしょうが、目一杯派手で強音メリハリの演奏でした。まぁ、この舞台そしてナブッコという事でしょう。


一にも二にも大舞台を生かしたショーを楽しむのが、アレーナ・ディ・ヴェローナでしょう。カメラワークも素晴らしくそこは楽しめました。
「ナブッコ」や「アイーダ」はあまり好みではないのですが大舞台向きという事だけは間違いありませんね。


<出 演>
 ・ナブッコ (バビロニア王):ジョージ・ギャグニッザ [George Gagnidze]
 ・アビガイルレ (ナブッコが奴隷に産ませた娘):スザンナ・ブランキーニ [Susanna Branchini]
 ・フェネーナ (ナブッコの娘):ニーノ・スルグラジェ [Nino Surguladze ]
 ・イズマエーレ (エルサレム王の甥):ルーベンス・ペリッツァーリ [Rubens Pelizzari]
 ・ザッカーリア (ヘブライの祭司):ラファウ・シヴェク [Rafal Siwek]

<合 唱> ヴェローナ野外劇場合唱団
<管弦楽> ヴェローナ野外劇場管弦楽団 [Arena di Verona Orchestra]
<指 揮> ダニエル・オーレン [Daniel Oren]
<演 出> アルノー・ベルナール [Arnaud Bernard]


収録:2017年8月23・26日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年4月14日 ジョナサン・ノット/東響 の「マーラー交響曲10番アダージョ・ブルックナー交響曲9番」at サントリーホール

ノット/バンベルク響のマーラーはお気に入りですが、交響曲全集には第10番(アダージョ)は入っていません。と言う訳で今回のメインは前半のはずでした、が…

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マーラー10アダージョ はソナタ形式ですが個人的印象は①序奏主題、第一主題、第二主題がロンド形式の様に展開する前中盤、②まるでトリオ(中間部)の様なコラールから和音、③緩徐の長いコーダですね。
ブルックナー9 は感動的なヴァント/NDR響の日本公演が頭に巣食っています。やや緩い演奏かもしれませんが、次元の異なる話ですよね。この曲は第一楽章第一主題の8つの動機の展開が気になります。




マーラー:交響曲 第10番 から アダージョ

コントラストが明確なマーラー9アダージョでした。アゴーギクかディナーミクのスパイスを効かせてもらえたら素晴らしかったと思います。
序奏主題は透明感ある幽玄さ、第一主題と反行形主題は暖かな広がりを見せました。特に管と弦のバランスの良さが引き立ちましたね。第二楽章は個性的な旋律が生きました。
中間部の様な管楽器主役の和音は迫力よりも鳴りの良さが響き、コーダの緩徐は静美的印象は薄かったです。


ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調 WAB109

迫力のブル9。特に怒涛の第二楽章は素晴らしく、この楽章を味わうだけでもコンサートの価値がありました。
第一楽章第一主題の動機群はパート毎にメリハリが付いて、これは行けるかもという期待感が高まりしました。その後もパワーパートを生かす流れが見事でしたね。
第二楽章スケルツォは第一楽章の流れを受けて押し寄せる迫力が陶酔的に炸裂、この曲を味わうポイントの一つが最高度に楽しめました。
第三楽章は冒頭はその流れに乗ってくれましたが、その後の緩徐は重厚なタクトだった為にフラットに感じたのはちょっと残念でした。


パワーのブル9にやられましたw 奇を衒う事の無い王道+αのノットの素晴らしさが第二楽章の力感に結実しましたね。第三楽章とhrの弱さに眼を瞑ってもお釣りのくる素晴らしさでした。

アプルーズを受けメンバーに起立を促しても団員は立たずにノットに譲りました。充実のコンサートならではのシーンが見られましたね。

録音していた様なのでCDが出たら買いましょうw





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年4月10日 大野和士/都響の マーラー交響曲第3番 at サントリーホール

春真っ盛りの東京ですが、花粉が今シーズンはひどいですねぇ。そんな中 都響の新シーズン開幕、六本木まで行ってきました。

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このブログではマーラー第5番の170CDを始め第6番・第9番と聴き比べをやっていますが、実は一番好きなのはこの第3番です。マーラーの中では指揮者による落差は小さい曲ですが、好みはサロネンやMTTの端正さですね。大野さんはどうだったでしょう。




マーラー:交響曲第3番 ニ短調

第一楽章
明瞭な主題群と途中の休符が絡む第一楽章はメリハリと強音重視、第一主題を用いたコデッタからラストのクライマックスは派手に締めましたね。Hrが9人いたと思うのですが…
第二楽章
メヌエットは主要主題を濃厚にしましたが、二回のトリオの変拍子は抑えていました。
第三楽章
主部「夏の歌い手交代」引用は第二楽章からの濃さを感じましたね。ポイントとなるトリオ、バンダのポストホルン、音色も見た目も細身のtpみたいでしたが、は牧歌調でした。
大野さんの好きそうな派手なフィニッシュかと思いましたがピシッと押さえましたね。
第四楽章
リリ・パーシキヴィのアルト独唱は素晴らしかったですね。嫋やかな歌声がホールに響きました。オケがppp設定で抑え気味ならもっと映えたでしょう。
第五楽章
"ビム・バム"リズムと合唱団・アルトの優美な流れ、オケの音色がマッチしました。
この楽章から最終楽章主要主題への流れは素晴らしく、グッとくるものがありました。
第六楽章
ロンドの流れは、弦楽の主要主題から管楽器が入る第一トリオは少し厚め、第一楽章コデッタの第二トリオで表情を変えました。出来れば主題をもっと静音で入って欲しかったです。
二回目の流れで明確に色濃くし、最後の主要主題再現からフィニッシュへは狙い通りの爆演で締めくくりましたね。


メゾソプラノ:リリ・パーシキヴィ(Lilli Paasikivi)
児童合唱:東京少年少女合唱隊
女声合唱:新国立劇場合唱団



まずは大野さんらしいパワーを味わえた濃い味のマーラー3番でした。静音パートをより抑えてダイナミックレンジを広く使ってくれたら嬉しかったです。

リリ・パーシキヴィが素晴らしく、合唱と合わせて第5楽章は白眉でした。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

二期会公演 ヨハン・シュトラウス 喜歌劇「こうもり」をNHKプレミアムシアターで観る

ちょっと変則的演出の二期会公演でしたね。それもありの人気のオペレッタ「こうもり」です。

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(写真はweb上からお借りしました)

演出

日本でも活躍する著名オペラ演出家アンドレアス・ホモキ(Andreas Homoki)による東京バージョンだそうです。いきなりアルフレードが現れたり、第二幕の途中で休憩だったり、刑務所がそのままオルロフスキー邸の延長で、イッセー尾形さんの一人芝居があるという変則が売りの様です。


舞台・衣装

時代背景らしい大道具配置に衣装(今の時代の正装?)、それはそれでこの喜劇らしいさかもしれません。細かい所では隅の道具類が斜めになったりと細工が見られましたね。


配役

ロザリンデの澤畑さんが演技・歌唱ともに魅せてくれました。アルフレートの糸賀さん、台詞のトーンがやけに軽いですが演技が楽しくテノールも良かったですね。ファルケの宮本さんは役柄らしい気配を演じてました。
以前「金閣寺」で素晴らしかった小森さん、アイゼンシュタインでは声の出が今ひとつかな。オルロフスキー公爵は青木さんのズボンで、演技より歌と見栄えが良かったですね。
話題の刑務所の看守フロッシュのイッセー尾形さん、もちろん台詞だけですが独自の一人芝居を演じましたね。過去の日本でも現地でも有名役者さんが務めることもあり、それもこの喜歌劇のポイントでしょう。
アデーレの清野さんの演技はいただけません。歌もスタミナに欠け、日本人コメディアンの様な仕草と表情、日本語が相まって"お笑芸人"、凄く残念でした。


音楽

メリハリのある演奏でしたが、流れに乗れていたのかな?


台詞は日本語、歌はドイツ語。日本語で話がわかり易い一方で、よく知られている本劇の印象を変えてしまう感じがしますね。演技も、日本人的"お笑い感覚"が一部で印象付けされて残念でした。
イッセー尾形さんの一人芝居は悪くありませんが、そこだけイッセー尾形ショーでしたねw

....なるほど、喜歌劇ではなく日本のお笑 演出の「こうもり」だったのですね。個人的には洒脱さが欲しかったです。


<出 演>
 ・アイゼンシュタイン:小森輝彦
 ・ロザリンデ:澤畑恵美
 ・アルフレード:糸賀修平
 ・オルロフスキー:青木エマ
 ・ファルケ:宮本益光
 ・アデーレ:清野友香莉
 ・フロッシュ:イッセー尾形

<合 唱>二期会合唱団
<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団
<指 揮>阪 哲朗
<演 出>アンドレアス・ホモキ


収録:2017年11月22・24日 日生劇場


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マルセル・ランドスキ(Marcel Landowski) の 協奏曲集を聴く


マルセル・ランドウスキ (Marcel Landowski, 1915/2/18 - 1999/12/23)
オネゲルに影響を受けたフランス人現代音楽家で、指揮はモントゥーに師事していますね。楽風的には仏近代音楽の流れを無調に展開した中庸さです。もちろん前衛ではありません。時代は前衛最盛期から衰退期に生きていますが。
経歴の派手さ、仏文化省の音楽・オペラ部局監督から仏国立アカデミー終身総裁、の方が象徴的かもしれません。


Concertos
協奏曲集になりますね。ピアノ、オンド・マルトノ、パーカッション、トランペット、電子音楽、といったバリエーション豊かなコンチェルトです。



■ Concerto No. 2 pour Piano et Orchestre (1963年)
ランドウスキの代表作の一つでしょう。三楽章形式で無調ですが旋律が主体で混沌の無調とは一線を画します。pfはソフト&スローからハード&クイックと幅広く、オケはより調性的です。この当時は前衛バリバリの時代、中途半端感が強烈だったでしょうね。

■ Concerto pour Ondes Martenot, Orchestre à cordes et percussions (1954年)
オンド・マルトノとパーカッションです。オンド・マルトノは例によって幽霊の様な音色、弦楽器群も調性薄めに幽玄な印象派的流れを作り、パーカッションが控えめに絡むといった様相です。第二楽章の冒頭は一瞬メシアン風?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?

■ Concerto pour trompette, Orchestre et éléments électroacoustiques "Au bout du Chagrin, une fenêtre ouverte" (Paul Eluard) (1976年)
この時代らしくエレクトロニクスを使っています。流れは一曲目のピアノ協奏曲と似て、無調的tpに調性色のオケですが幽玄な流れを感じますね。とは言え前衛の衰退の時代背景にあっては難しい立ち位置の気がします。


ジョリヴェやオネゲルといった仏音楽の先達を思わせますね。前衛や実験とは無縁の無調で、不協和音や移調・転調的な話声です。特徴的なのはソロ楽器には無調を、オケは調性でといった構成でしょうか。
いずれ中途半端な退屈感は残りますが…




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エリーシャ・ネルソン(Eliesha Nelson) のヴィオラで聴く「Russian Viola Sonatas」


エリーシャ・ネルソン (Eliesha Nelson, ヴィオラ va )
アラスカ出身の女性ヴィオラ奏者エリーシャ・ネルソンが、ナイジェリア生まれで英国のピアニストのグレン・イナンガ(Glen Inanga)と組んだヴァイオラ・ソナタ集です。
取り上げた作曲家が旧ソ連の近現代音楽家というところがポイントですね。


三人の作曲家
バーバラ・ガイジェローワ (Barbara Gaigerova, 1903 - 1944)
女性作曲家で、カトワールやミヤスコフスキと共にモスクワ音楽院で学んでいます。楽風は時代を背景とした後期ロマン派と以降の流れです。

アレクサンダー・ウィンクラー (Alexander Winkler, 1865 - 1935)
ロシアで学んだ後にフランスやオーストリアに渡っていますね。後にプロコフィエフを教えてもいますが、グラズノフやリムスキー・コルサコフと共にサンクトペテルブルクの"ベリャーエフ・サークル, Belyayev Circle"の一員でもありました。

パウル・ユオン (Paul Juon, 1872 - 1940)
モスクワ出身のスイス系ロシア人で活躍したのはドイツになりますね。楽風はバリバリのドイツ・ロマン派になります。そういう意味では、このブログの対象ではないかもしれません。

 ("現代音楽CD[作曲家別]一覧" の対象はガイジェローワ一人ですね)



Suite for viola and piano, Op.8 : Barbara Gaigerova
四楽章で、ロマン派の香りが強い機能和声の楽章と、少し調性の薄い幽玄な緩徐楽章、そしてロシア民族音楽を感じるといった独特の構成です。va, pf共に鳴りの良い演奏ですが、特徴的な印象が残りません。緩徐楽章もvaなのでvnの様な細い音色は難しそうです。第三楽章のロシア風リズムや民族系が生きているかもしれませんね。

Pieces for viola and Piano, Op.31 : Alexander Winkler
後期ロマン派的な楽曲です。美しい音色のpart1、リズミカルで技巧的なpart2の構成です。part2が個人的には楽しめました。

Sonata for viola and piano, Op.15 : Paul Juon
古典派の流れです。

Sonata Op.10 : Alexander Winkler
三楽章で第三楽章は主題のアンダンテと7つの変奏、そしてコーダの9小曲構成になっています。曲調は古典(〜ロマン)派的、第三楽章の変奏もこれといったパートはありません。


作曲家としては古典・ロマン派(〜後期ロマン派)の流れで、それ以上でも以下でもありません。それを飲み込んで楽しめるならヴィオラらしい音色の旋律が生きています。

しかし個人的嗜好はvaを生かした今の時代の楽曲演奏ですから、vnからvcの音色までカヴァーする貴重な楽器とはいえvnの切れる様な高音や朗々としたvcの胴の大きな音色は出ないわけで、バシュメットの様な楽曲選択、例えばカンチェリとか、が欲しい気がしますね。
もしくは先日インプレしたアントワン・タメスティの様に前衛現代音楽で突撃するか……そりゃ無理ですねw




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ダリボル・ブクヴィッチ(Dalibor Bukvić) の Hrvatski Suvremeni Skladatelji を聴く


ダリボル・ブクヴィッチ (Dalibor Bukvić, 1968/1/1 - )
クロアチア人現代音楽家ブクヴィッチ(ダリボール・ブビッチの方が近い?)は、ザグレブの音楽学校を出てダルムシュタットでシュトックハウゼンに師事しています。その後パリのCNSMやIRCAMで習い、スペクトル楽派の雄ジェラール・グリゼーとも親交がある様です。2008年からはクロアチアのザグレブで活躍中ですね。


Hrvatski Suvremeni Skladatelji
Cantusレーベルから出ているクロアチア現代音楽家(Croatian contemporary composers)シリーズの一枚ですね。タイトルはクロアチア語の同名になります。
ソロから管弦楽、電子音楽まで聴く事ができます。



(DL版になります)

Spatial - Danse Des Apparitions (1998年), for electronics
電子音楽で左右の位相を使ったノイズ系ドローンですが、アンビエントではありませんね。残響音を残しているのはブクヴィッチの習ってきた音楽を背景に感じます。目新しさはありません。

Prophéties (1991年), for piano
テーマと6変奏の7つのピアノソロ小曲集です。主題は調性に不協和音的、音列的な印象で静から強への移行です。そもそもが旧態然とした動機で、その繰り返しと変奏ですから面白さが感じられないのが残念です。

Fantasia (1994/2008年), for flute
フルートソロで、やはり調性感漂う流れにスローな静からハイテンポ化します。動機の繰り返しと変奏も似たパターンですね。唸る様な超絶的技巧を感じる訳でもありません。

Musica Pian E Forte (1992年), for brass quintet
華々しい管楽器五重奏曲ですね。展開は同じですが、古典的なフーガさえ使って中途半端さが強烈です。

Diptih (1991年), for piano and ten woodwinds
上記曲の規模を大きくしたピアノと10人の管楽器奏者のための曲です。それでもpfの4/8拍子的ホモフォニーが面白さを出しているかもしれません。後半にはメシアンの様な管楽器とpfのポリフォニーパートもあります。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  スコア付きで、繰り返しの印象がわかります。


Actus (1992年), for orchestra
一曲目の電子音楽と似た流れです。トレモロ・トリルに木管が被る静音パート、ピアノや金管が絡みます。個々の声部に特徴は薄いですが、ポリフォニーの幽玄さとクラスター炸裂の"それっぽい"気配がありますw

Afrodizzyak (1996年), for bass clarinet and piano - one musician
バスクラとピアノ曲で、両者特殊奏法です。ノイズ系になりますね。ここまでの小編成曲としては一番面白いでしょうか。ただ、調性感が存在するのは奏法とミスマッチの気がしますね。


調性感+不協和音的な曲が並びます。特に小編成ではワンパターン、古さ、平凡さと言った印象が拭えませんね。4拍子ホモフォニーや大きな楽器編成の方が面白いかもしれません。




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2018年3月26日 インバル/都響 の ベルリオーズ「幻想交響曲」at サントリーホール

桜🌸満開の東京、今日はシーズン最終の定期公演で六本木へ行ってきました。インバルが得意とする二人の作曲家ですね。

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前半のアレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)もショスタコをどう演奏するのか興味がありますね。




ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102

A.タローの個人的勝手な印象とは異なる緩徐楽章の音の硬さ、第一楽章のカデンツァのスローに振られたアゴーギクでした。
オケもショスタコ節が抑えめに感じましたが演奏は共に素晴らしく、ファンにはたまらなかったのでは。なにぶんショスタコーヴィチは殆ど聴かないので...


ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

頭の中で鳴っている定番ミュンシュ/パリ管、アゴーギクよりもディナーミクで展開する印象、を凌駕した迫力の第四第五楽章。
芸術家(音楽家)の不安を前半に、後半死後の狂気を乱舞させてくれました。演奏が真面目すぎるのが玉に瑕?w

第一楽章「夢と情熱」
第1vnのイデー・フィクスに揺さぶりが強かったですね。続く第2楽章へはアタッカで繋ぎました。
第二楽章「舞踏会」
第三楽章「野の風景」
この二つの楽章は可も無く不可も無くに感じました、が...
第四楽章「断頭台への行進」
凄かったのはここからでした。聴かせどころの「衛兵の行進」は華々しささえ感じさせ、短いイデー・フィクスからギロチンは大迫力。
第五楽章「サバの夜の夢」
再びアタッカで繋げると迫力と切れ味を増し、Wチューバが印象的な「怒りの日」は見事、思わずゾクッとしましたね。フィニッシュまで息もつかさぬ怒涛の流れでした。


『幻想交響曲』、実は相性いまいちのインバルなのですがこれはかなりgood!だったでしょう。後半、真面目な都響に標題音楽の狂気が憑依していたら名演の可能性さえ感じました。
団員の皆さんの満足感も伝わりましたね。
これがあるからコンサートはやめられません。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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