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『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』«ネット配信» ラハフ・シャニ指揮/ロッテルダム フィル 2024年2月17日


Rotterdam Philharmonic Orchestra
Lahav Shani: cond.
今注目の指揮者シャニ、一月のパリ管とのマーラー6に続いて手兵のロッテルダムフィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6です。
先週17(土)のLIVEでオランダの公共ラジオ局NPO Klassiekのサイトnporadio4からの配信です。


▶️ NPO Klassiek (公開期間は短いと思われます)





«ネット配信»
Mahler Symphony No. 6
"Tragic"


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[Live at Concertgebouw, Amsterdam, 17 Feb. 2024]


第一楽章
スッキリとした見晴らしの良い第一主題、パッセージはかなり鎮めてスローの間からアルマの主題を華やかですが重厚さを避けて広げます。提示部反復で僅かに色合いを濃くしている様です。
展開部も第一主題から第二主題へのコントラストはスッキリ感、再現部の主題はより明確に表情を作り、コーダの葬送もほどほど鬱にしてテンポアップで駆け抜けます。
重厚さ派手さ控え気味にスッキリ・クールな第一楽章です。

第二楽章
スケルツォです。主部主題はクールに抑え気味、第一楽章パロディ構成でしょう。トリオはスロー軽妙で落ち着いて、途中から少し揺さぶりますが変拍子はあまり強調しません。木管動機も流れに沿った落ち着きでまとめ、回帰でも殊更には色合いを強めません。

第三楽章
主部主題は抑え気味にややスローに弱いアゴーギク、哀愁感は入れません。第一トリオも表情変化を薄めに入り、続くピークはスロー静から広げますが淡々とした印象です。中間部(第二トリオ)も同様に明るい日差しをいっぱいにですが、嬉しさは届けません。後半のピークも気持ちは入れず、感情をコントロールした表情の薄いアンダンテです。

第四楽章
序奏は抑えた入りでタメを作りモットーを鳴らすとアレグロ・エネルジコで一気にパワーを乗せ、第一主題を疾駆させます。パッセージと絡み上げて進みますがクール、第二主題では約束通りに軽妙さで登場です。
展開部の第二主題は華やかに派手に鳴らして、行進曲は激しさをテンポアップで示して切れ味鋭く勇壮な流れを作ります。再現部も第一主題登場で大きく勢いを付けて、騎行は一気呵成のパワープレイで爆進。これを狙っていたんですね。
過度の興奮は避けつつシャープな最終楽章になりました。


最終楽章集中型のマーラー6です。落ち着いてクールな前半楽章、感情を抑えて表情を薄くした第三楽章、待ち構えるシャープな切れ味の第四楽章です。

興奮や豪華絢爛さを避けたクールな"悲劇的"ですが、全体が第四楽章の様な興奮は避けつつもシャープな流れなら更に良かった様な…



ダイジェストが見られます (1日前, 16日の模様で、アンダンテの一部です)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』«ネット配信» ミッコ・フランク指揮/フランス放送フィル 2024年2月16日


Orchestre Philharmonique de Radio France
Mikko Franck: cond.
フィンランドの指揮者ミッコ・フランク🇫🇮が音楽監督を務めるフランス放送フィルハーモニー管弦楽団🇫🇷とのマーラー6、先週16(金)のLIVEが登場です。
配信はradiofranceのwebサイトからです。


▶️ radiofrance (配信は2024-3/15までです)





«ネット配信»
Mahler Symphony No. 6
"Tragic"


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[Live at Maison de la Radio et de la Musique, 16 Feb. 2024]


第一楽章
第一主題は速めで興奮を避けコラールのパッセージも淡々と、アルマの主題も殊更に濃厚には広げません。まとまりは悪くなく速めでクールな提示部です。
展開部"烈-暗-明"のコントラストも極端なテンポ変化の陰影付は避けています。再現部の主題・動機には力感を見事に与え、コーダの葬送もほどほどのスロー鬱にして力感をキープした両主題で締め括ります。
速め爽快な流れの第一楽章になりました。

第二楽章
スケルツォですが主部主題は一層高速化して、トリオも軽妙ですがテンポは速めでスケルツォらしく。一楽章延長線パターンで上手い対比を作りました。木管動機も個性を発揮させる事はしません。

第三楽章
主部主題は微妙なアゴーギクの揺らぎを入れて色濃く、第一トリオの木管も感情を込めて、哀愁を強調するトリオ回帰は厚い音色に。
中間部(第二トリオ)の陽光は燦々と広げて、第一トリオ最後の回帰では強いスローのタメを作って哀愁を大きく溢れさせます。
音厚を感じる濃厚アンダンテです。一二楽章との対比も見事。

第四楽章
序奏は殊更に弄らず…ですがソロ群の鳴りが少ししょぼい!! アレグロ・エネルジコからの第一主題は一気にテンポアップで勇壮さを強めます。普通はもう少し抑えるのですが。パッセージと絡んで力感を高めると第二主題が約束通りの軽妙さでチェンジペース。
展開部はチェロ動機を力強く鳴らし、第二主題を派手に作ると行進曲はシャープさを漲らせて邁進します。落ち着いたリズム感もあります。
再現部も淡々と入りながら第一主題で派手に広げて高速パワー騎行に突入、約束通りのパワーを見せつけます。コーダは流れを落ち着かせて終結の一発です。


しっかり計算され練られたマーラー6です。ハイテンポでクールな前半、対照的に後半は濃厚な緩徐楽章と王道の最終楽章、ストーリーがしっかり着いています。

このパターンだと "第二楽章スケルツォ/第三楽章アンダンテ" がフィットしています。最終楽章序奏の様な演奏の解れはありますが、やっぱり客演ではない主席指揮者(音楽監督)とオケが作ったマーラーは構成感が伝わる、って感じです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ピエール=ロラン・エマールで聴く「バルトーク:ピアノ協奏曲集」E.P.サロネン指揮 サンフランシスコ響


Bartók Piano Concertos
Pierre-Laurent Aimard: pf
(San Francisco Symphony, Esa-Pekka Salonen: cond.)
ベラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)はピアノ協奏曲を三曲残しています。(厳密には第三番は最後が未完で補筆完成版)
今回は "仏のピアニスト/北欧の指揮者/米オケ" と言うグローバルセットで聴いてみましょう。

バルトークの知られる曲を年代で見ると、「青髭公の城」が1911年で「オケ・コン」が1943年、初期の民族音楽の時代と米亡命後晩年期の激しさの時代です。

一方ピアノ協奏曲は、第一・二番が1926年と1931年で中間期、第三番は1945年の最晩年期です。中間期の薄い調性から新古典主義への一・二番がどう表現されるかがポイントでしょうか。





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1. ピアノ協奏曲第一番 (1926)
バルトークが自らの為に書いた曲で、ピアニストとしてこの時期活躍が多かったそうです。緩徐楽章を挟んだ三楽章で自らのpfで初演を行いました。
第一楽章】 一瞬ストラヴィンスキーのバレエ曲を思わせます。pfは和音の連打が飛び跳ね強鍵的な演奏で、オケもそれに負けない強音パートで応えるパワプレーのアレグロです。構成は新古典主義的ですが、民族和声や一部不協和音が絡んで微妙な調性に感じます。
第二楽章】 ここでもpfは和音連打、一楽章をスロー静音にした様な流れで調性はいっそう不安定感を増して来ます。途中で暗鬱なスケルツォも現れ民族和声の舞踏になります。
第三楽章】 第一楽章回帰的です。打楽器を含めてよりアグレッシブになってpfは技巧性を増しています。主導機が変奏されて楽器間を行き来して、pfがそれに絡みます。かなり諄いですw


2. ピアノ協奏曲第二番 (1931)
バルトークに言わせると"聴きやすい協奏曲にした"とかw ここでも緩徐を挟んだ三楽章で、自ら初演をこなしています。
第一楽章】 相変わらずpfは和音連打で、オケは派手な鳴りで対峙します。オケはやや反復が増えたかもしれませんが、pfの高速アルペジオはかなり厄介そうです。派手で諄い鳴りですが調性が明確な動機・旋律が増えて新古典主義の色合いが濃くなっています。
第二楽章】 第一番と大きく変わりました。幽玄な弦楽奏から入りpfも落ち着いたアルペジオで応えます。打楽器もそこいるのですが控え目です。途中prestoになりpfが高速アルペジオで疾走しますが、ラストは主部の弦楽奏で静の幽玄さに。コントラストの付いた素晴らしい緩徐楽章になりました。
第三楽章】 第一楽章回帰的に暴れます。とにかく鳴らして怒涛です。調性感と新古典主義傾向は強まり、何処か米フィルムミュージック風でもあります。


3. ピアノ協奏曲第三番 (1945)
奥さん(Ditta Pásztory-Bartók)の為に米国で書かれた曲で、その録音も残されているそうです。ラスト17小節は補筆になります。基本構成は一・二番と同じですが…
第一楽章】 大きく変化して、クセのある強い連打音で飛びまくるパートが抑えられています。変わって調性感が強まり、心地良い動機(旋律?)の反復・変奏が登場です。新古典主義と言うよりも新ロマン主義の様相になりました。民族和声や調性の薄さはありません。
第二楽章】 いかにも緩徐楽章で、個性は消えて印象派に鞍替えしたシューマンの様な感じです。(僅かな不協和音をpfに残しつつ)
第三楽章】 ここでもpfは走りつつも明瞭な旋律で構成されます。個性は極薄まり、どこかバルトークっぽいかな?!、と言った感じになりました。



バルトークの音楽変遷がわかるピアノ協奏曲三つです。
聴き疲れのパワーと微妙な調性感第一番、より新古典主義に向いた第二番、調性回帰の新ロマン主義第三番、です。個人的には諄い一番が好きですが。

pfはとにかく叩きますから、エマールにはピッタリなのではないかと言う感じです。オケも華やかな鳴りで応えています。ただ全体的には程良くまとまった演奏の印象にはなりますが。
個人的にはブーレーズDG盤(3オケ, 3ピアニスト)をオススメでしょうか。



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ジェイソン・エカート(Jason Eckardt)の「Passage」認知心理学とCIA


ジェイソン・エカート
(Jason Eckardt, 1971/5/17 - )
米現代音楽家です。元はジャズ・メタルのギタリストでしたが、A.ヴェーベルンを聴いて作曲に専念する事にしたそうです。
年代からいくととても不自然?な印象ですが、M.バビットにも影響を受けているそうなのでセリエル系が源流なのでしょう。
IRCAMやISCMそしてダルムシュタットにも登場していて、様々な大学で教鞭にも立っています。

楽風は無調で微分音や多様なリズム/ポリフォニーが軸とあります。音楽以外の物や事に触発されての作品が多いそうで、代表作である今回の"パッセージ"もその方向性です。



Passage
(JACK Quartet, Jason Hardink: piano 2)
1. Passageは少々テーマが変わっています。 知覚・感覚の遮断と人間心理に関する影響と言う、CIAが歴史的にテーマとして関わった事柄に関するものだそうです。(Project Bluebookを思い出します)
それを三つのパート "I. Subject (主題)- II. Ascension (昇天) - III. Testify (証明)" に分けています。よくわかりませんし、聴いてわかるものでもないでしょうが、ステージでは軍が尋問に使うライトが使われるとか。(下のYouTubeで見られます)

2. pulse-echoは楽器の持つ基本的なデザインからインスピレーションを受けているとの事です。

こう言った能書きの'頭でっかち'感がいかにも前衛的だと思いますw





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1. Passage, for string quartet (I. 2011/II. 2014/III. 2018)
[I. Subject] パルス的に弦楽音は飛び交います。旋律感は低く衝撃音的で、僅かなトリル・トレモロや微分音的なショートグリッサンドを挟みます。でも統制感は強くカオスではありません。似た楽曲が浮かびません。
ところが突如として明確なポリフォニーとなり、インプロビゼーション風に激しく、また細かいピチカートの繊細な絡みで、と変化を付けますがこれは'ありげ'に感じます。
後半は静音空間の中に主部?のパルス的な展開と中間部?のポリフォニーが混ざった形式となります。とても興味深い前衛音楽になっています。

[II. Ascension] ここでも静空間に音を散らばす流れで入ります。出現する音に統制感があって計算された構成が特徴的です。ポリフォニーではなくホモフォニーでしょう。音楽か音か、そのボーダーです。
後半には激しいインプロビゼーション風ポリフォニーが現れますが、それがないまま終わった方が面白いと思うのですが。

[III. Subject] それまでに出てきた技法・構成が表情を変えて構成されます。入りは執拗な反復強調と言う風、そして微分音グリッサンドのシャリーノ風ホモフォニー、'ギコギコ'ノイズ系も明確に現れます。


2. pulse-echo, for piano quintet (2013)
静空間に音の散らばりで緊張感と神経質な流れに終始します。"1-II. Ascension"に近い構成ですが、ここでは最後まで激しいインプロビゼーション風ポリフォニーは現れません。それがgoodです。
技法的には、pf特殊奏法、パルス的音発信、残響音、も使われています。



神経質さがあって練られた構成感が見事なのですが、全体とするとどこかで聴いた的エクスペリメンタリズムに感じてしまいます。

メインの技法はインプロビゼーション(風)とポリフォニーでしょうか、元ジャズプレイヤーだったルーツを感じます。そして烈と静のコントラストです。
CIAとの関係はわかりませんでしたがw、ベストトラックは "1-I. Subject" でしょう。



Jack Quartetの"1-I. Subject"のLIVEです。使われているのは問題の照明でしょうか



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ピエール・ジョドロフスキ(Pierre Jodlowski)の破壊的混沌「Séries for Piano and Soundtrack」


ピエール・ジョドロフスキ
(Pierre Jodlowski, b. 1971)
9年前に「Drones・Barbarismes・Dialog/No Dialog」をインプレしていて、以下の様に紹介しています。

フランス人現代音楽家でパフォーマーも含めて他分野に活躍しています。リヨン国立高等音楽学校でフィリップ・マヌーリに師事しIRCAMでも学んでいます。現在はフランスとポーランドを拠点に活動中です。名前から見てもポーランド系?
作風はIRCAMのCURSUSプログラムによる電子音処理がベースの様ですが、時にポリフォニックであり即興的です。また一方では統一的なリズム感のある展開も見せてくれますし、もちろん空間音響系の残響的でもあります。でも音列配置的な傾向は全く感じる事は無く、まさに今の前衛現代音楽です。

その後もIRCAMとの関係を続けてエレクトロニクスを軸にダンス・演劇と言った他分野芸術との協業も多く、マルチアーティストとしての活動へと進化している様です。



Séries for Piano and Soundtrack
(Małgorzata Walentynowicz, pf)
タイトル通りのピアノとエレクトロニクスの作品集です。そして個別の楽曲タイトルを見るとカラー・シリーズで6タイトル6色が振られているのがわかります。

以前から演奏されていたピアノ&エレクトロニクスの楽曲を今回のポーランド人ピアニストであるマウゴルザタ・ヴァレンティノヴィチの提案でまとめたのが本アルバムで、全曲LIVEです
年代順に聴いたインプレになります。(No.がCD順です)





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2. Séries Noire (2005)
語りとelec.ノイズのテープと強音インプロビゼーション的pfの組み合わせ、コラージュです。語りは何らかのサンプリングで、この曲の為にvoiceを採用しているのではないでしょう。
pfは技巧性も高く破壊的な強音の出し入れです。台風とか嵐の真っ只中みたいな…


1. Séries Blanche (2007)
まず入りのpfは調性単純旋律の反復になりました。微妙な変奏から左右の手が対位的になり、調性が緩やかに崩れてエレクトロニクスでディレイとループの様に入って来ます。この時点でポリフォニー(もしくはヘテロフォニー)になって、シンプルな混沌を作り出します。pfの打鍵が強まってクレシェンド、破壊的混沌へと進みます。
コーダ?はノイズとシンプルな高音pfの響きで収束です。


5. Séries Rose (2012)
fpは残響音を中心に、テープは何らかのシーンの対話、それがコラージュされます。信号ノイズなどelec.ノイズ、pfはアルペジオが増えて空間密度が上がって行きます。シンプルな流れからコンプレックスになるのは上記Séries Blancheと似た展開です。もちろん破壊的混沌へ持って行きます。


3. Séries Bleue (2013)
ハムノイズとpfの短音&残響の入りで、年々pfの入りがシンプル化しているのがわかります。ここでもゆっくりとコンプレックスになって、インプロビゼーション系のポリフォニーな流れに。単純な上り坂ではなく、繰り返してその流れが現れます。ディストーションした電子楽器音も入ったり、ドローンの様な流れになったり、ロック風になったりと作風多様化も見られます。でも後半は破壊的混沌ですw


4. Séries Rouge (2017)
エレクトロニクスなのかチューニングなのかpfは微分音的な崩れた音色を出して来ます。他の音も聴くと特殊奏法なのかもしれません。それが曲の軸となっていて、即興的混沌ではありますが明らかに音楽技法の変化が感じられます。でも後半は破壊的混沌ww


6. Séries Cendre (2022)
pfとエレクトロニクスが等拍的なリズムを刻む新しい技法が登場します。とは言え全体は混沌コラージュで後半破壊的混沌www



pfとテープの混沌コラージュです。pfは処々で調性旋律が出ますが、基本は無調混沌系。エレクトロニクスは昔で言うテープのサンプリング(フィールドレコーディングを含む)になります。ソフト(CURSUSプログラム?)を使ったライヴエレクトロニクスでしょう。

多少の変化はあってもドラスティックな楽風変化はありません。破壊的混沌は好きな方向で面白いのですがやや時代を感じてしまうかも。そんな感じの作品です。




"5. Séries Rose (2012)" でピアニストはCDと同じヴァレンティノヴィチです


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『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』«ネット配信» ラハフ・シャニ指揮/パリ管 2024年1月17, 18日



Orchestre de Paris | Lahav Shani: cond.
(ラハフ・シャニ | パリ管弦楽団)
個人的今注目の指揮者シャニがパリ管を振ったマーラー6が登場。本年1月のコンサートLIVEで、仏RadioClassiqueからの配信です。

昨年(2023)5月の ロッテルダム・フィルとのマーラー2近年では最高の'復活'でした。この時は手兵でしたが、今回はK.マケラが主席指揮者を務めるパリ管の客演。さて結果はいかに。



▶️ RadioClassique (公開期間は短いと思われます)





«ネット配信»
Mahler Symphony No. 6
"Tragic"


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[Live at Grande salle Pierre Boulez, 17, 18 Jan. 2024]


第一楽章
第一主題は速めのテンポで重厚感を与えつつも勇壮な切れ味、パッセージは約束通りにトーンを落としてアルマの主題は華やかさを広げます。王道の提示部です。展開部の"烈-暗-明"の流れは明瞭で、第一主題はやはり速めで重苦しさよりもシャープ。第二主題以降はスロー静で対比を作り、最後は一気に駆け抜けます。再現部の第一主題はより一層の力感を込めて、コーダは葬送をあまり鎮めずに第二主題を被せる様に入れてラストは派手派手しくまとめ上げます。
ハイコントラストで堂々王道の第一楽章です。素晴らしい!

第二楽章
スケルツォです。主部主題は速めで勇壮そのもの、途中から重心を下げて流れを支配します。トリオはスローを強調したメヌエット、変拍子のアゴーギクで色合いを添えます。木管動機もスロー気味ですが抑え気味に。ここでも回帰ではよりコントラストを上げて来ます。見晴らしの良さが光ります。

第三楽章
主部主題は緩やか静美に僅かな哀しみを色添える流れ、僅かにアゴーギクを振っています。第一トリオもスローの哀愁を強調、そのまま哀しみを溢れるように広げると、中間部(第二トリオ)ははっきりと明るさを見せるコントラストを作ります。ここでも回帰では濃厚さを増して、感情豊かな濃いアンダンテになりました。

第四楽章
厄介な序奏は必要以上のアゴーギク/ディナーミクを振らず抑え気味、アレグロ・エネルジコからの第一主題は一気にテンポを上げてキレキレの勇壮さです。パッセージは少し抑えて再び切れ上がると第二主題が軽妙さを強調して登場、肩の力を抜きます。約束通りですが上手いです。
展開部は抑え気味に入り第二主題を華々しく鳴らして、行進曲はテンポを速くしてキレキレ勇壮です。肩を揺らしたくなるリズム感も良いですね。
再現部も入りは抑えタメを作ると第一主題を大きく広げ、猛烈にテンポアップ!! ガツッと騎行に突撃します。リズム変化を与えて騎行は先鋭な流れで突き進みます。流れをはっきり作った最終楽章です。


王道で聴き応えあるマーラー6です。
基本やや速め、明確なテンポ設定、各回帰での色濃い流れ、指揮者とオケの一体感、それらがフィットしたハイコントラストの見晴らしの良さです。

+αの個性は薄く王道なのは客演では当然と思われますが、それでもこの出来です。シャニ侮れず!!



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ヨウナス・アウスゲイル・アウスゲイルソン(Jónas Ásgeir Ásgeirsson)の『Fikta』オール・アイスランドの前衛アコーディオン


Fikta
(Jónas Ásgeir Ásgeirsson, accordion)
アイスランド人のアコーディオン奏者ですが、デンマーク王立音楽アカデミーで学位を取得、活動の拠点はデンマーク/コペンハーゲンの様です。

本アルバム"Fikta"で、アイスランド音楽賞2023クラシック/コンテンポラリー部門「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

アイスランドの現代音楽家5人の作品で、作曲年代1972-2020年に渡っていますからアウスゲイルソンのスタイルだけでなく、アイスランド現代音楽の方向性も見えるかもしれません。
ドッティルさん達が一人も入っていないのがちょっと残念、🇮🇸を代表する人もいるので。





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フィンヌル・カールソン
(Finnur Karlsson, b. 1988)
アイスランド芸術大とデンマーク音楽アカデミーで習い、H.アブラハムセン, A.インゴルフソン, に師事しています。
"アコーディオン協奏曲"は今回演奏のJ.A.アウスゲイルソンとElja Ensembleの為に書かれていますが、COVID-19により初演が遅れました。

■1. Accordion Concerto (2020)
1, A Dream About Flying - 2. one and a -3. Thread / Longed for - 4. two and a - 5. Bontempi’s Ghost - 6. three and a - 7. Et Cetera
 7パートですが偶数パートは短い間奏曲。技術的には六音音階(hexatonic scale, -3.)やクラスター, エレクトロニクスを使っているそうです。
 まず1.はのっけからエレクトロニクスが絡み、多分w、ポリフォニー&クラスターっぽく。アルペジオが細かく刻まれて、静空間も対位的に作られて面白い入りです。
その後も間奏曲をリズム変化を付けて調性を崩しながら作りつつ、静の中の対位的旋律と強音を対比させて聴かせてくれます。楽器の特性を引き出す楽曲に演奏者が応えた楽しさがあります。

特殊な事がある訳ではないのですが、前衛には基本のポリフォニーとクラスター, エレクトロニクスや特殊奏法、調性の枠を越えようとする調性の崩しもあります。これは面白いです!!



アトリ・インゴルフソン
(Atli Ingólfsson, b. 1962)
本ブログでも紹介済みのインゴフルソンですが、仏G.グリゼーに師事していて音響系の技巧を使います。
この"Radioflakes"は文字通りラジオとアコーディオンの類似性を元に作られて、ラストはモールス信号のパターンを即興で奏でる様に指定されているそうです。(instructed to improvise ‘very irregular morse-like patterns’ · – ·   · –   – · ·   · ·   – – –   · · – · · – · · · – – · – · · · ·)

■2. Radioflakes (2004)
 入りは信号音的な単音、そこに何かを叩く様な音が入り、音幅とリズムが生まれます。広がりは調性を崩しながら複雑な対位法展開となって洪水に、処々で特殊奏法の音色も聴えます。1.と同じくこの楽器の持つ表現力を活かす作品とそれを生かす奏者のセットです。
テクニカルで聴かせるアコーディオンの技巧曲でもあるでしょう。流石はA.インゴルフソンです!!



アトリ・ヘイミル・スヴェインソン
(Atli Heimir Sveinsson, 1938-2019)
ケルン国立音楽大でB.A.ツィンマーマンに師事していて、ダルムシュタットではシュトックハウゼンのコースにも入っていたそうです。多様性を尊重していたそうですが、時代を感じます。
今回の作品の初演は2020年になってからで、作曲から随分と時間が必要でした。TEXTはロシアの詩人オシップ・マンデリシターム(Osip Mandelstam)によるものですが内容は不明です。

■3. Lieder und Intermezzi for soprano and accordion (1996)
 跳躍音階を含む尖ったsopですが調性内です。アコーディオンはその伴奏になっています。それ以上でも以下でもない様な…
と思っていたら2'過ぎくらいからはsopもヴォーカリーズになって、ロングトーン中心の空間音響系の流れに変化します。sopはシュプレッヒゲザングにもなって、強い反復やトリル・トレモロの流れになったりと、この曲も表現変化の多彩さと面白さがあります。



ソルケル・シーグルビョルンソン
(Þorkell Sigurbjörnsson, 1938-2013)
高校卒業後に米国で学んでいます。その後アイスランドに戻って音楽界で様々な職席を務め、アイスランド芸術家協会の会長の席にもあったそうです。多作家で知られているとの事です。
この曲はデンマークのアンサンブル"Trio Mobile"の為に書かれたそうです。

■4. Mobilissima visione (1972)
 鍵盤打楽器やピアノ、打楽器やE-ギターの音色が絡みアコーディオンが主役ではなく室内楽です。
反復とトリル・トレモロが軸となって組み合わせれ小刻みな表情を見せる調性ベースの楽曲で、各楽器の音色がヘテロフォニー的に絡む面白さが生かされています。



フリズリク・マルグレタル=グズムンドソン
(Friðrik Margrétar-Guðmundsson, b. 1993)
2017年にアイスランド芸術大学を卒業した31歳のアイスランド若手作曲家で、舞台やメディア音楽を得意としている様です。
この曲は学生時代からの友人であるJ.A.アウスゲイルソンの為に作られていて五度の周波数比を元にしているそうです。

■5. Fikta (2018)
 五度の和音とそれに比率割で与えられた音がロングトーンでハーモナイズする空間音響系の音楽です。全体とすると変化率は低めでアンビエントやネオクラシックの方向性も感じます。限定された平均率の音楽と言う事になるでしょうか。



まず一言で言うなら"素晴らしいアルバム"です。アコーディオンにこだわる必要もないほどですが、見事にアコーディオンの可能性を作曲家と演奏家で作り上げたと言って良いとでしょう。

調性ベースでその枠を超える為のポリフォニーや調性の崩し他の技法を駆使し、楽曲により前衛色であったり技巧色であったりとバリエーションも豊かなオススメの一枚です!!



"2. Radioflakes"のオフィシャルMVで、パフォーマンスもあるのかも
また、使用しているアコーディオンがかなり複雑な事もわかります




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マーラー関連から随時画像挿入予定ですが時間を要するかと

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