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2019年5月13日 ミハエル・シェンヴァント指揮 / オールボー交響楽団『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


ミハエル・シェーンヴァント, Michael Schønwandt
(オールボー交響楽団, Aalborg Symphony Orchestra)
デンマーク人指揮者シェーンヴァント(現:モンペリエ国立歌劇場首席指揮者)が、同じくデンマークのオールボー交響楽団を振ったマーラー9。デンマーク放送のウェウサイト"DR P2 Koncerten"からの配信です。

▶️ こちら (今日まで!? いずれお早目に)




マーラー 交響曲 第9番
(2019-5/13 at Musikkens Hus Aalborg)

20190513AalborgSO_-Schønwandt-mahler9


第一楽章
序奏からやや演奏が怪しげです。第一主題は特筆なく第二主題は緩めですが、提示部反復にかけての広がり感は悪くありません。ただ第三主題で弾けてくれないのは残念です。展開部序盤スローは緩め、J.シュトラウス引用の金管も締まりません。山場以降の流れではその荒れた感じが生きたかもしれません。今ひとつ落ち着きと締まりのない感じは否めませんね。

第二楽章
主要主題は特筆なく、第一トリオは速いです。第二トリオではスロー化してから厚みをつけますが、管楽器が少し尖っちゃいます。可も無し不可も無しの印象ですね。

第三楽章
主要主題から第一トリオは悪くありませんが、これと言ったポイントはありませんね。第二トリオ(中間部)はtpの音色が自信無さげで怪しいです。ラストは走りますが、流れはいたって普通でしょう。

第四楽章
主要主題は心持ち速いので情感を湛える事はありません。第一エピソードは低弦の響きが生きましたが流れはフラット。第二エピソードも山場は盛り上げますが、流れは没個性的。後半からコーダへ向かうターン音型も透明感ある浮遊感に欠けます。


なんとなく掴み所がないマーラー9です。演奏が怪しげで、馬脚を表さない様に?色付けはディナーミクのみ、アゴーギクはほぼ感じません。何かシャキッとしたファウンデーションが不足している感じです。

個性的なアゴーギクを振ってもここでは難しい気がします。凡百の底に埋もれそうです。



CDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年5月10日 トマス・セナゴー指揮 / ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団『マーラー 交響曲 第6番』«ネット配信»


トマス・セナゴー, Thomas Søndergård
(Royal Scottish National Orchestra)
デンマークの指揮者セナゴーはパーカッショ二スト(主としてティンパニー)として活躍後に指揮者となっています。今回は昨年(2018年)より首席指揮者を務めているロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管を振ったマーラー6ですね。英BBCラジオ3のウェブサイト"Radio 3 in Concert"よりの配信です。

▶️ こちら (2019年6月13日まで公開されています)

残念ながらCDではないので「マーラー第6番聴き比べ:60CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第6番
(2019-5/10 at The Usher Hall)

20190510ThomasSøndergårdRSNO-mahler6


第一楽章
第一主題は落ち着いた行進曲でパッセージも同様に。アルマの主題も劇的な情感は避けていますね。展開部はアルマの主題を勇ましく変奏して挿入部を上手くスロー静の流れにしています。極端にスロー化していないのが好感が持てますね。再現部も第一主題にスパイスを加えますが、コーダは落ち着きを取り戻します。

第二楽章
アンダンテの採用ですね。主要主題はやや陰を持って美しく、第一トリオは哀愁というきれいな流れを作ります。中間部(第二トリオ)は晴れ晴れとした印象です。淡々としたクドさのない美しさですが、少し演奏が不安定なパートも。

第三楽章
スケルツォですね。主要主題はやや速めですが興奮はなく、さっぱりとした感じです。トリオも速めでメヌエット風にせず極端なチェンジはしませんね。

第四楽章
主題と動機が入り乱れる個性的な長い序奏は明瞭で、特には深彫りせず。アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題の盛り上げは弱く、Hrのパッセージでも流れはフラット気味です。第二主題は少し軽妙さを見せます。展開部では多少激しさが表現されますが、揺さぶりの少ない速め基本の流れは変わりません。展開部・再現部の行進曲や騎行パートの勇壮さは速めベースですからホットに生きていますね。


感情移入はほどほどに、流れのシンプルなマーラー6です。やや速めでアゴーギクやディナーミクの振り幅を抑えているからそう感じるのかもしれませんね。

どうせならもっとクールにした方が面白かったかも




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年5月10日 ダニエル・ハーディング指揮 / バイエルン放送交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


ダニエル・ハーディング, Daniel Harding
(バイエルン放送交響楽団, Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)
個人的には相性の良くない指揮者の一人です。(笑) マーラーの5番は演奏機会が多い様ですね。日本国内でも新日フィルやパリ管首席指揮者就任の来日でも振っています。スウェーデン響との録音は今ひとつでしたが、今回客演したバイエルン放送響ではどうでしょう。5月9,10,11日と演奏された中から10日の公演をバイエルン放送"BR-Klassik"のウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (多分すぐに公開終了になると思いますが)

CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第5番
(2019-5/10 at Gasteig München)

DanielHardingSOBR-mahler5.jpg


第一部
ファンファーレは普通に入り主要主題も重厚さは避けてすっきりとした印象です。第一トリオも大きなテンポ変化は避けて適度な締まりです。第二トリオも特徴的なものはなくごく標準的に感じました。第二楽章第一・第二主題も特異性は皆無、でも展開部ではチェロを少し沈めて多少のアゴーギク振って来ます。再現部も同様ですね。この方がいい感じです。
もっと揺さぶってくるかと思いましたが、あまりクセのない第一部でしたね。

第二部
スケルツォ主題、レントラー主題共に優美、第三主題は緩やかでやや締まりに欠ける感もありますが安定した提示部です。短い展開部で元気を取り戻して、再現部は三つの主題を色濃く混ぜて良い流れを作っていましたね。フィニッシュもアッチェレランド気味に締めました。
ただ、この楽章主役のオブリガートHrはやや難ありでしょうか。

第三部
アダージェットは冷たく静めた好きな流れですね。全体スロー、主部山場も殊更の盛り上げは避け、中間部も僅かに揺さぶりをかけながらもクールでした。第五楽章第一・第二主題の対位法的絡みはアッサリと、コデッタ主題は優しく奏でます。展開部はやや間延び感から、展開部は主題変奏もメリハリ良く進みます。山場からコーダは見事に盛り上げ、フィニッシュはビシッとアッチェレランド。大喝采です。


細かな揺さぶりはあっても、本流的なマーラー5ですね。緩さも感じますが、第一・第二・第三部、共にラストが決まっていますね。(それぞれソナタ形式の再現部です)

良い悪いは別として超個性的だったパリ管との来日公演、それに近いスタンスのスウェーデン響とのCDに比べると、平凡な印象が勝つかもしれません。




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ジャンル : 音楽

ベアト・フラー(Beat Furrer)の「Chamber Music」を聴く


ベアト・フラー
(Beat Furrer, 1954/12/6 - )
このブログではご贔屓のスイス人現代音楽家ですね。ローマン・ハウベンシュトック=ラマティに師事し、現代音楽アンサンブルのクラングフォルム・ウィーン(Klangforum Wien)創設者でもあります。指揮はオトマール・スイトナーに習いマーラーなどもやるそうですから一度聴いてみたいですところですね。(スイトナーもマーラーを録音していますね)
1980年代までの作風はより実験的でラッヘンマンの影響(特殊奏法)が大きいですね。1990年代以降は多様性の流れに乗りますが、それが現在の欧エクスペリメンタリズム現代音楽の主流かもしれません。あとはインスタレーションでしょう。


Return and transformation
Beat Furrer’s chamber music, 1991–2011
実はこのMusiques Suisses盤にはジャケットに具体的なタイトルはありません。ただ海外サイトを見るとなぜか"Chambre Music"となっている事が多いですね。上記はライナーノート(の英文訳)によるものです。
1991年から2011年の作品で年代順に並んでいるので楽風変化も感じれるのが嬉しい一枚になります。フラーの作品は今までもそうですが、KAIROSから出る事が多いのでこのマイナー・レーベルは個人的には初めてです。

演奏は、Trio Catch, ensemble proton bern, 及びそのメンバー。ラストの"ピアノのための練習曲"は現代音楽ヴィルトゥオーゾのニコラス・ハッジス(Nicolas Hodges)ですね。






Aer (1991年)
クラリネット, チェロ, ピアノの三重奏曲です。もろにpf特殊奏法ベースの無調ノイズ系ですね。ラッヘンマンと言われても頷いちゃうかもしれません。ただ反復的な要素がclにはっきりと現れて、三者の関係も存在しています。
流れの基本は静的方向でポリフォニカルな中に互いの音を聞く様な印象を感じますね。


... cold and calm and moving (1992年)
フルート, ハープ, 弦楽三重奏の楽曲です。前曲と一年違いですが、特殊奏法を控えてより静音パートを強調しています。フルートには処々で旋律感のある流れも感じられ、静の中にインパクトを挟む緊張感ある方向性も見え始めます。三度・五度といった機能和声な音もあって、フラーらしさが出て来た感じですね。


Lied (1993年)
ヴァイオリンとピアノの曲です。より調性感の強い流れになっています。それによってエレジー風の印象さえ感じます。静的支配はより強まっていて、静の緊張が張り詰めている感じがします。


auf tönernen füssen (2001年)
"for voice and flute"です。フルートは特殊奏法バリバリです。そこにドイツ語の間をとった語りが入ります。Textは1950年代後半のオーストリアの女性詩人Friederike Mayröckerによるものですが、英訳がないので意味不明です。従ってコメントができません。詩が主体なのですから。


Studie (2011年)
ピアノの為の練習曲です。ちょっと単音点描的でセリエルの流れを感じてしまうかもしれません。音の跳躍も存在しているので余計そう思えるかもしれません。ただ動機と変奏の組み合わせ、もちろん無調ですが、になっているので全く異なるわけですが。
6'ほどですぐに終わってしまい然程面白さは感じられませんが、一つの方向性と言う事でしょうか。



"... cold and calm and moving"が一番面白いですね。そして"Lied"。全体の流れからするとフラーの本流ではないかと思います。

残念ながら、このアルバムでフラーの面白さを感じるのは難しい感じもしますね。



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2018年12月3日 デイヴィッド・ロバートソン / シドニー交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


デイヴィッド・ロバートソン, David Robertson
(シドニー交響楽団, Sydney Symphony Orchestra)
米人指揮者D.ロバートソンはブーレーズに師事しアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席指揮者を務めた事もありますね。今回は今年まで首席指揮者(2014-2019)を務めるシドニー響を振ったマーラー5です。ツアーの様で独ハンブルクのエルプフィルハーモニーでの昨年末の演奏、北ドイツ放送のウェブサイト(NDR Kultur)からの配信です。

▶️ こちら (多分一ヶ月,2019-6/2まで公開かと)

CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第5番
(2018-12/3 at Elbphilharmonie Hamburg)

201812DavidRobertson-SydneySymphonyOrchestra-mahler5_NDR-Kultur.jpg


第一部
第一楽章葬送行進曲はコントラストが良く、第一トリオでもディナーミクによるメリハリを付けていますね。第二トリオは哀愁ですがクドさはありません。第二楽章第一主題は重心を下げて締まりのある流れを作ります。第二主題は第一楽章第二トリオのままで、良いコントラストです。展開部も序奏や両主題の対比を上手く付けて見晴らしの良さがありますね。特にチェロの緩徐パートは美しいです。心地よい第一部でした。

第二部
スケルツォ主題は広がりよく伸びやか、レントラー主題では軽やかな優美さに変化させます。第三主題は沈めて来ますがオブリガートホルンと弦楽器の"間"が素晴らしいですね。展開部は提示部延長的で、再現部は各主題の変奏を色濃く絡み合わせて息をつかせません。この楽章が短く感じるのは素晴らしいですね。

第三部
第四楽章は山場も抑えて流れは静的クール、中間部の細く冷たい音色は心に染み入ります。屈指の素晴らしいアダージェットです。最終楽章は緩やかな序奏から第一・第二主題の絡みは落ち着気味、コデッタが現れると優美さを色添えて提示部を終えます。何かスッキリしません。展開部でも流れが今ひとつもたつき気味で、ホルンも怪しげだったのが残念です。再現部は山場は広がり大きく、コーダ前で間延びしますが、そこからは派手に盛り上げてフィニッシュはアッチェレランド弱めですが切れ味を見せました。最終楽章、アゴーギクが見晴らしの良さを欠いたのが残念です。


計算されたスマートさ、堂々本流的マーラー5でしたね。王道風ですが各主題を明確に色付けした、主としてディナーミク、見晴らしの良さが光ました。

最終楽章で印象を落としたのがとても残念ですが、コンサートで当たったら気持ち良い演奏でしょう。



前半のルノー・カピュソンのvnをフィーチャーしたコルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold)のヴァイオリン協奏曲op.35もなかなか面白いですよ。


テーマ : クラシック
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とんでもないハプニング付き!! 2019年4月25日 イラン・ヴォルコフ / バーミンガム市響『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


イラン・ヴォルコフ Ilan Volkov
(バーミンガム市交響楽団, City of Birmingham Symphony Orchestra)
イスラエル人指揮者のヴォルコフは、ボストン響時代の小澤征爾さんのアシスタントを務めた事がありますね。BBCスコティッシュ響やアイスランド響の首席指揮者を歴任し、今回は先月ゲスト指揮者としてバーミンガム市響を振ったマーラー9番になります。"A deeply personal farewell"と題されたこの日のコンサート、イギリス・ラジオ放送"BBC Radio 3"のウェブサイトからネット配信です。

▶️ こちら (公開は2019-5/26までですね)

CDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第9番
(2019-4/25 at Symphony Hall, Birmingham)

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第一楽章
第一主題は穏やか、第二主題でも大きな変化は与えません。提示部後半から反復でも抑え気味のいい感じ、第三主題では締まりを見せました。この楽章のキー 展開部淀んだ第一主題の中からJ.シュトラウス引用で光が射し、中盤の出し入れが強い流れも上手くコントロール出来てる感じです。特別な個性はありませんが、アゴーギクが見晴らしの良い表情変化を作っています。

第二楽章
主要主題はスロー気味で抑揚強めに、第一トリオでも流れは変えません。三拍子の中間部(第二トリオ)では落ち着きを作ってきますね。それでも全体としては少し濃い目、ややフラット印象でしょうか。

第三楽章
主要主題・副主題と前楽章コーダの流れからはシャキッと立ち上がらせて来ますね、特徴は薄いですが。中間部はチェンジペースしますが少しギクシャク感が残ります。ラストは適度に暴れて上手いフィニッシュです。

第四楽章
主要主題は緩やかですが情感的にはクールです。処々音が怪しいのが気になりますが。第一エピソードは情感はありますが流れは速めで薄味的。ただ後半のターン音型はコーダを思わせますね。第二エピソードも速めですが山場はしっかりアゴーギクを振って、後半のターン音型からコーダは約束通りに納めて行きます。とんでもないハプニングがラストに待っていましたが.....


コンパクトにまとまったマーラー9ですね。アゴーギクの設定が上手く、全体に表情豊かです。ただ基本はあっさりめのテンポ設定で、どこかを更に強調する様な流れを作ったら面白かった気がします。コンパクト軽量級に感じるのは録音に起因する可能性もありますね。

この曲を象徴する最終楽章のコーダからフィニッシュで愚か者が大声でハミングし、静的に消え入る美しいラストを搔き消てしまいます。こんなのありえません!!
(アプローズはそれに負けないほど凄かったですが)



最後に入っている"Viktor Ullmann String Quartet No.3, Op.46"も素晴らしいので是非聴いてくださいね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

オーストリアの女性現代音楽家オルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth) の『死と乙女 II, Death and the Maiden II』を聴く


オルガ・ノイヴィルト
(Olga Neuwirth, 1968/8/4 - )
以前素晴らしいN.ハッジス(pf)とアルディッティ(SQ)の「Akroate Hadal, Chamber Music」を紹介したオーストリアの女性現代音楽家ですね。以下はその際の紹介文になります。
ウィーンやサンフランシスコで学んでいますが、何と言ってもIRCAMで電子音楽や音響系を学んでいる事でしょう。その際にトリスタン・ミュライユに師事している事を考慮すれば音楽のスタイルは想定できますね。ノーノとの政治的スタンスについてはコメントできませんが。
室内楽を得意としていますが、近年はより大編成化した音楽やオペラ等のステージ音楽にも傾倒してインスタレーション系のアプローチもある様です。


Der Tod und das Mädchen II
Expo2000でドイツ・パビリオンで採用されたザールランド州立劇場による委嘱作で、オーディオテープ作品ですね。バレエ曲ですがTextはオーストリアのエルフリーデ・イェリネク(Elfriede Jelinek)で、ノイヴィルトとはオペラ作品でもコラボしています。
ベースはテープの電子音楽で、ナレーター二人(アンネ・ベンネント Anne Bennent, ハンナ・シグラ Hanna Schygulla)が入ります。Textは"眠れる森の美女"の男(王子)と女(王女)の立ち位置に踏み込んでいて、シューベルトの同名歌曲"死と乙女"の死の意義とはスタンスが少々異なる様ですね。Textは眠っている女性の眠りと目覚めの哲学的解析の独白と、王子の永遠と死の見識になっています。(独語のみライナーノートにあり。パートを拾って翻訳ソフトに入れると、英文解説で言っているおおよその流れはわかりますね)






Part 1-15
全15パート、約52分です。基本は電子音のキーンとしたノイズとvoiceですが、ヴォーカリーズの様な滑舌の悪さや反響も入ります。主となる独語パートに英訳さえないので残念ですが、曲目説明にある様に"眠れる森の美女"の眠り(死)と目覚めと男(王子)に対してクールに語っています。王子の方が斜に構えた語り口の様ですね。こちらも淡々とした表現です。
楽曲としては欧州エクスペリメンタリズムそのもののノイズ系ドローンのサウンドで、語りの時はサウンドが控えめでバレエとしても当然前衛となるのでしょう。後半はポップが顔を出したり笑い声が入ったり前衛弦楽四重奏的な音やネイチャー・サウンドもあったり、とサウンドの存在感が強まり多様性方向を見せていますね。ラスト・パートは音楽だけで終わります。
ただ、どう聴いても語りの内容が重要ですからせめてTextの英訳は欲しかったです。(英文解説で流れはわかりますが)



楽曲としては多様性ノイズ系の欧州前衛現代音楽そのもので楽しめますが、絶対的に歌詞が必要な音楽ですね。少し時間をかけても独語の一部を翻訳してTextの流れを理解しておくのは必須でしょう。(それでライナーノートの英文解説がわかります)

ノイズ系サウンドとTextの融合、それでバレエ曲ですから実際に観てみたいですね。バレエ曲というよりもインスタレーションとして捉えた方がベターなのかもしれませんね。



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ヨエル・ボンス(Joël Bons) の『遊牧の民, Nomaden』をジャン=ギアン・ケラスのチェロとアトラス・アンサンブルで聴く


ヨエル・ボンス
(Joël Bons, 1952 - )
アムステルダム生まれのオランダ人現代音楽家で、若い頃はジミヘンやザッパを聴き、後にストラヴィンスキーから民族音楽へと興味の世界を広げたそうです。その元となったのは両親がアフリカのポリリズムやブギウギ他、多ジャンルの音楽を聴いていた事の様ですね。
その後音楽大学に学んで、ダルムシュタットでドナトーニやドナウエッシンゲンにも行き、フライブルクではファーニホウに師事しています。


Nomaden
タイトル・イメージ通り世界各国の民族楽器とケラス(Jean-Guihen Queyras)のチェロとのアンサンブルになります。構成は38曲で、Nomaden:#1-8 / 経過句(passage):#1-11 / 残りは特定楽器タイトル曲となりますね。

演奏のアトラス・アンサンブル(Atlas Ensemble)は2002年にボンスが創設した現代音楽アンサンブルで、世界各国の民族楽器を用いています。日本の"笙"で佐藤尚美さんが入っていますね。指揮はエト・スパンヤールト(Ed Spanjaard)です。






38曲殆どが1'前後の小曲構成ですから合わせて一曲だと思います。
基本は旋律感のあるスロー静ベースとモード的無調の楽曲になります。明確な民族音楽和声は一部楽曲で、様々な流れで構成されていますね。

どの楽曲も基本旋律(主題)が存在して、その変奏が基本になっている様です。Erhungiではミニマル的な流れも見せてテンポもアップし変化を付けています。Duelでもduoのやりとりが強いですが、ホモフォニー的です。民族音楽的なら長い4'のAzertetが中近東風ですね。同じく長い4'の13/8ではポップな展開になっていますし、Erhuでは執拗なユニゾンが使われています。後半は少し前衛風なパートもありますね。
全体的には聴きやすい和声構成ですね。


民族楽器編成から想像される様なワールド音楽ではありませんね
かといって欧州エクスペリメンタリズム前衛でもありません。無調ながら旋律感を残しミニマル様相も見せ、もちろんモード展開や主題による変奏とホモフォニーからポップ風もあります。あらゆる表情を見せてくれますね。そういう意味では今の時代の多様性現代音楽でしょう。ただインスタレーションの方向があるのかは不明です。

どちらかと言うと米現代音楽の方向を感じますが、特異的なものが感じられないのが少々残念です。



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アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団で聴くマーラー『大地の歌, Das Lied von der Erde』


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860-1911)
『大地の歌』前回は昨年サイモン・ラトル/バイエルン放送響が発売された際に、カラヤンとバーンスタインとの聴き比べでインプレしています。▶️ インプレです。
今回はハンガリー人指揮者アダム・フィッシャー(Ádám Fischer)がデュッセルドルフ交響楽団(Düsseldorf Symphony Orchestra)を振った昨年(2018年)の録音になります。最近は弟のイヴァン・フィッシャーのマーラーも気になりますね。

アルトはアンナ・ラーション(Anna Larsson)、テノールはスチュアート・スケルトン(Stuart Skelton)で、E.ガードナー指揮「グレの歌」でも二人で採用されいます。またS.スケルトンは前回インプレのラトル盤に、ラーションはこのセットのマーラー交響曲第3番でも採用されていて脂ののった二人という事になるでしょうか。

「大地の歌」流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。


アダム・フィッシャー / デュッセルドルフ交響楽団
[アルト] アンナ・ラーション [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
ペザンテの印象よりも少し調性を怪しくした様な流れを感じますね。スケルトンのテノールも朗々としてはいますが、ネガティヴな印象です。朗々堂々というより陰を感じます。


第二楽章「秋に寂しき者」
陰鬱さを感じるオケとアルトの流れは不可思議な流れの緩徐楽章です。薄く繊細な流れを軸にここでも調性の揺らぎの様な流れを感じますね。再現部では少し明るい光が射します。


第三楽章「青春について」
スケルツォですね。オケもテノールも流れのよさを感じさせてくれます。中間部の陰付けでは一呼吸的です。


第四楽章「美について」
アルトなので当然ですが、落ち着いたトーンで歌うラーションの乙女。それに合わせるオケの主要主題パートは洒脱さです。中間部の馬で駆ける若者との対比は歌曲らしい適度なコントラストで安定的ですね。


第五楽章「春に酔える者」
ここでも流れはクールです。アゴーギクでテンポ変化させたくなる処を落ち着いたタクトでコントロールしています。従って中間部(展開部?)でも変化は少なめで、コントラストが強い流れとは一味違いますね。


第六楽章「告別」
提示部のアルトの伸びとフルートは印象的で流れにモード的な和声さえ感じます。フラットに感じるかもしれませんがラーションの表現力が素晴らしいですね。オケ・パートの展開部ではスローな中に抑えたアゴーギクで陰のある表情を作り、再現部はより提示部回帰的に感じます。ラーションがいいですね



クールな『大地の歌」です。時に調性を薄く感じさせる様な流れも見せながら、アゴーギク・ディナーミク共に抑えて全体的には落ち着いていますね。
スケルトンはヘルデン・テノール風に、ラーションは深みのある表現で素晴らしいですが、曲としてはオケと指揮者の個性が印象的かもしれません。

出し入れが強いパターンがお好きな方も、一度聴いてもらいたい感じですね。





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シルヴァン・カンブルラン/読響 のAltus新譜『マーラー 交響曲 第9番』を聴く


シルヴァン・カンブルラン Sylvain Cambreling
(読売日本交響楽団, Yomiuri Nippon Symphony Orchestra)
先月をもって読響の首席指揮者を退いたカンブルラン。昨年2018年4月20日のサントリーホールでのLive盤が発売されましたね。このコンサートは行ってきました。▶️ インプレです

正直なところそれほどの演奏では無かった気がしたのは私だけではなかった様でしたが、ミキシングとマスタリングの処理で録音(CD)ではどうなっているでしょう。極端なエラー以外はかなり調整幅はあるので気になりますね。(演奏エラーでさえ調整している事もある様ですが…)
本CDは4月発売でしたが、3月のカンブルランのコンサート会場では先行発売されていましたね。






第一楽章
序奏の管楽器が怪しげ、第一主題・第二主題もやや重めの流れで後半から反復で緊迫感を上げ第三主題で盛り上げますが、あまり特徴的ではありません。まとまりも今ひとつで、展開部も管楽器が冴えません。楽章全体の流れはスローをベースに陰鬱重めで悪くはないのですが。


第二楽章
主要主題は締まりよく、第一トリオは弾む様に、第二トリオでも管楽器が怪しい音を出しますねぇ。ややギクシャク気味で流れも個性に欠けますね。


第三楽章
主要主題はスローぎみで揃いが悪くもっさりとした感じで管楽器は怪しげ、副主題も同様です。驚きは中間部でテンポも落とさずスルッと通り抜けてしまいます。ただラストは荒れ気味なのが生きて激しさが決まりました。


第四楽章
主要主題は濃厚で暑苦しいアダージョ、第一エピソードは入りの低弦も怪しげw それ以外はスローパートは落ち着いています。山場が濃いめで疲れますが。第二エピソードは山場をガッツリ盛上げます。後半からはターン音型で鎮めてコーダへ向かいますが、ここは弦楽パートなので曲調通りですね。



なぜか落ち着かないマーラー9です。管楽器の怪しさ、ギクシャクした流れ、そういったものが強く感じられるにも関わらず一切遠慮のない演奏です。それが良さを見せるパートもあるのですが、全体としては一体感を感じられません。練習不足?!って言うこともないでしょうが、かなり残念な一枚になってしまいました

これが狙いならレアといえばレア(笑) コンサートの印象とほぼ変わらない結果でした。そう言えばカンブルランのコンサートで好みのマーラーに当たった事がありません。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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