fc2ブログ

ジブオクレ・マルティナイティーテ(Žibuoklė Martinaitytė)の「Ex Tenebris Lux 闇から光へ」


Ex Tenebris Lux
(Zibuokle Martinaityte, b. 1973)
N.Y.在住リトアニアの女性現代音楽家ですね。"Saudade" と "In Search Of Lost Beauty" で紹介済みなので詳細割愛です。

今までに2013-19年の音楽変遷を聴いて、"陶酔系のポストミニマル"であり"空間音響系"も感じられますね。前者は米であり後者は欧と言う彼女の音楽環境が反映されているのがわかります。
今回はその後、2019-2021年の楽曲が並ぶので現在のマルティナイティーテの楽風が楽しめそうですね。オケはいずれも弦楽オーケストラで、1.はパーカッション 3.はチェロの協奏曲です。

演奏はカロリス・ヴァリアコイス(Karolis Variakojis)指揮、リトアニア・チャンバーオーケストラ。1.のパーカッションはPavel Giunter、3.のチェロはRokas Vaitkeviciusです。オール・リトアニアのセットですね。







1. Nunc fluens. Nunc stans 過ぎ行く今、残る今 (2020) for percussion and string orchestra
ロングトーン(ボウイング)とトレモロの組合せは静的環境音楽風、そこに鍵盤打楽器が色合いを添えて来ます。緩い流れに低弦音も加わりゆっくりとクレシェンドして音厚を増して行くと煌めく金属系の鳴り物が入ります。処々ドローンでもあって括って言えばアンビエントでしょうね。電子音楽ならエレクトロニカと言った風です。


2. Ex Tenebris Lux 闇から光へ (2021) for string orchestra
夕暮れの森に魑魅魍魎が蠢く様な低弦音、もちろんトレモロとロングトーン、が1.との気配を変えて鬱で妖しい流れを作ります。そして短い下降旋律が変奏されながら出現。空間音響的でもあり途中で音厚が増してマルティナイティーテらしい楽曲構成ですね。


3. Sielunmaisema 心の原風景 (2019) for cello and string orchestra
I. Winter - II. Spring - III. Summer - IV. Autumn
楽曲構成的には同じトリル・トレモロとロングトーンがベースで何処かアンビエント。聴く限りでは独奏チェロは弦楽奏に溶け込んでいる感じです。
特に"四季"を表現している感じではありませんね。(何処にいても変わらないと言う主旨がある様です)
面白いのはIII.でしょうか。穏やかなロングトーンの音変化の中にスローグリッサンドが入って、そこに調性を超える微分音とノイジーさが僅かながら感じられます。ほんの僅かですが、これが今回唯一の新しさでしょう。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Hartmut Rohde cond. / Klaipeda chamber orchestraのLIVE映像です
  CDよりも高音でノイズ風のかすれた音色が強いですね



19, 20, 21年と言う近年作で基本は変わりませんがどこか瞑想的な方向性を感じます。少しアンビエント風でもありますね。

"トリル・トレモロ"そして"空間音響"そんな技法で、やっぱり"Beyond the post minimalism"の印象です。(勝手な造語ですがw)



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーリン・ボング(Malin Bång) の「Works for Orchestra」欧実験前衛音楽の残映


マーリン・ボング
(Malin Bang, b. 1974)
スウェーデンの女性現代音楽家ですね。2012年のドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage)で若手音楽家としての印象が強かったのですが今や中堅となりました。一時期はドイツに活動拠点を置いていましたが、今はスウェーデン(ストックホルム)に戻り創設者の一人でもあるCurious Chamber Playersの在籍作曲家も務めています。

B.ファーニホウ、G.グリゼー、P.マヌリ、と言ったビッグネームに師事していてアンサンブルや管弦楽、フィールドレコーディングを含むエレクトロニクス系の楽曲を得意としていますね。
方向性は特殊奏法のノイズそして即興的混沌、過去の演奏では電気掃除機が登場したりとかもあってパフォーマンスも見せていますね。
楽風はバリバリの欧エクスペリメンタリズム!!



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧




管弦楽作品集
(演奏:下記ヴァリエーション)
本ブログでは個別楽曲で何回かインプレしているボング、実は本アルバムも過去の録音のピックアップ構成になります。テーマのある新作録音を期待したいですね。

演奏陣は豪華版です。これを見ただけでも聴いてみたくなります。
1. WDR Sinfonieorchester, Ilan Volkov: cond.
2. SWR Symphonieorchester, Uli Fussenegger: cb, Jonny Axelsson, perc. , Peter Rundel: cond.
3. SWR Symphonieorchester, Pascal Rophé: cond.
4. Klangforum Wien, Enno Poppe: cond.







1. avgår, pågår for symphony orchestra (2014)
特殊奏法のノイズですね。それらが時に即興ポリフォニー的に、時に空間音響的に表現されます。聴き慣れた前衛で少し時代を感じるのが正直なところでしょうか。


2. ripost for amplified contrabass and amplified objects with symphony orchestra (2015)
波打ち際の効果音??からいきなりポリフォニー炸裂、そして静とノイズのコントラストに入ります。特殊奏法オンパレードのノイズサウンドです。


3. splinters of ebullient rebellion for symphony orchestra (2017/2018)
これは2018ドナウエッシンゲン音楽祭のCDと同じですね。その時のインプレをここで再度残して起きます。

『溢れる特殊奏法のノイズ、そして即興的混沌、所謂(いわゆる)音楽ではありません。"グリグリギギギイィィィ"、でもこれがドナウエッシンゲンでしょう。少しボリュームを上げて、混沌の音の中に自分を置いてみる。そんな楽しみ方がピッタリ来ますね。師である上記三人よりもラッヘンマンの方向性かと。中間部で現れる手回しオルゴールの静的で美しい旋律が色合いを添えています。全体構成も良く楽しめますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  2018年のドナウエッシンゲン音楽祭の映像そのものです!!
  数々の特殊奏法を見る事ができます

 』


4. irimi for sinfonietta (2012)
ノイズ混沌の一番古い楽曲ですね。当時はまだこの世界にワクワク感があったのが脳裏に残っています。



完成度の高いノイズ系前衛ですが、20世紀後半に行き詰まった欧エクスペリメンタリズムポスト・セリエルの生き残りか残像か、その再確認になりました。

可能性を見せるのは最も新しい3.の中間部の展開で、ここは他の曲にない流れがあります。さて、この先のボングが何処へ向かうのでしょう? そこに興味が尽きませんね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第5番』アンドリス・ネルソンス指揮/TMC管弦楽団 «ネット配信» 2022タングルウッド音楽祭


アンドリス・ネルソンス | タングルウッド・ミュージックセンター管弦楽団
(Andris Nelsons | Tanglewood Music Center Orchestra)
今年のタングルウッド音楽祭(Tanglewood Music Festival)よりネルソンスが振るマーラー5ですね。WCRBからの配信です。


▶️ WCRB (公開期間は短いと思われますのでお早めに)





«ネット配信»
Mahler Symphony No. 5


2022Tanglewood-Nelsons_Mahler5.jpg
[Live at Tanglewood Music Festival, July 23, 2022]


第一部
第一楽章葬送行進曲はスローを強調、第一トリオはテンポは標準的ですが微妙なアゴーギクが、第二トリオも静に揺さぶりを入れた哀愁になっています。
第二楽章第一主題は激しく鳴らし第二主題は淡々と、一楽章トリオとの差別化を計っていますね。展開部の'烈→暗→明'のコントラストは彫りが浅いです。再現部は淡々とですがラスト前コラールの華やかさが見事ですね。
微妙なアゴーギクと淡々さでクセのある第一部です。

第二部
スケルツォ主題は華やかな演舞曲風で踊る様に、レントラー主題は優美さをスローアゴーギクで表現します。第三主題主部はオブリガートホルンが落ち着いたトーンを鳴らしてスローの弦と対比を利かせ、変奏部でも揺さぶりは抑えていますね。そこから展開部はスローから一気に派手に決めます。再現部は各主題を強調、コーダを派手派手に鳴らして、全体としては華やかなスケルツォ楽章と言っていいでしょうね。

第三部
第四楽章主部は程良いスローアゴーギクを使った静美、中間部も静けさを表現してクールなアダージェットになりました。
第五楽章第一・第二主題はテンポよく掛け合いながら、コデッタ主題は優美さ強調して安定と心地良さの提示部です。展開部は力感で入りますが流れは淡々と。再現部三主題パートはスローで抑え、山場からコーダは上げて鳴りの良い大きな広がりを見せます。フィニッシュのアッチェレランドは華やかでビシッと決めました。もちろん大ブラボーの嵐です。


アゴーギクの揺さぶりと淡々としたパートが気にはなるものの華やかな鳴りのマーラー5になりました。演奏もユースオケとしては上々の出来でしょう。

ネルソンスのマーラー5は2015ルツェルン祝祭管とのDVDが似た印象でしたね。鳴りの良さと広がりがネルソンスかもしれません。(2018年のボストン響とのLIVEwebはいまいちでしたが…)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





イェスパー・ノルディン(Jesper Nordin)の『Vicinities』超多様性現代音楽


Vicinities
(Jesper Nordin, b. 1971)
先日 "Emerging from Currents and Waves" をインプレした今注目のスウェーデンの現代音楽家J.ノルディンの新譜です。近年作品が取り上げられる機会が多いので少し聴いてみようかと。

前回の印象はインスタレーションではありましたが前衛音楽ではなく今の時代のクラシック音楽で "心地良い統一主題を排除 | 全体は幽幻で反復変奏 | 静烈のコントラスト付け" の構成でした。ところが……

今回は室内楽から管弦楽までの3曲で、エレクトロニクス(2. 3.)が用いられているのがポイントでしょうか。そして今回も演奏陣は豪華です。
1.がダニエル・ハーディング指揮(音楽監督)スウェーデン放送交響楽団で、ファゴットがフレドリク・エクダール(Fredrik Ekdahl)。2.がディオティマ弦楽四重奏団、3.がアンサンブル・アンテルコンタンポランです。







1. Vicinities (2011)
1. In the Vicinity of The Open Sky - 2. In the Vicinity of Intimacy - 3. In the Vicinity of Noise

3パートの楽曲です。1.は中東和声風のfgが迷走する様な旋律を奏で、その背景オケがノルディンらしい鎮んだ中に煮詰まった濃い音色を付けてきます。調性とモードの混用的印象です。
2.は緩徐パートで、fgとオケの楽器のdialogueの流れになります。ホモフォニーですが旋律は対位的にもなり、微妙な調性感も表れますね。また静の中の強音炸裂(トリオ?)がここでもあって作風がわかります。三部形式を使うのも特徴ですね。
3.では幽幻さと反復変奏、強弱出し入れが強まってきます。反復の背景にロングトーンが絡んでくるのも前回も感じたノルディンらしさですね。パーカッションのリズムがアフリカの民族音楽風で面白いです。


2. The View from Within (2016)
導入部はクレシェンドの弦楽ノイズ、特殊奏法かは微妙でエレクトロニクスが絡んでいるかもしれません。ボリュームが上がると無調の激しいトレモロのボウイングが絡んで来ます。目新しさはありませんが何と完全な無調混沌の前衛実験的です。
ここでもトリオがあって調性感を残したvnの旋律がホモフォニーとモノフォニーで絡んでいますね。そこから激しいトリル・トレモロになって主部が回帰します。ハムノイズ風の音はエレクトロニクスでしょうか?!


3. Sculpting the Air - Gestural Exformation (2015)
まずトゥッティから入り静の中に潜り込み、静を引っ張って打楽器連打に強音反復が瞬間的に表れます。流れは激しい即興の無調混沌になってフリージャズの様相を呈します。よく聴くとその中に反復変奏が多用されているのもわかりますね。
そしてここでもトリオがあってエレクトロニクスと思われるノイズがゆっくりと登場。アンサンブルもノイズに変化して対応して、落ち着くとメランコリックな中華和声のモード緩徐パートに。
緩やかに機能和声に変化してスロー静の美しい反復動機になって静空間に終結します。驚くほど多岐に渡る技巧が散りばめられていますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



大きく印象が変わりますね。"無調 - モード - 調性"を駆使する超多様性現代音楽です。それだけでなく技法的にも前衛までも網羅して来ます。

全方位あってかなり混乱しそうではありますが、それを全て見せる"3. Sculpting the Air - Gestural Exformation"は注目です。これはオススメのアルバムで、この先のノルディンが楽しみですね。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マルチン・スタンチク(Marcin Stańczyk)の「Dark, Almost Night」新しいフィルム・ミュージック


Dark, Almost Night
(Marcin Stańczyk, b. 1977)
本ブログでは "Mosaïque"、"Acousmatic Music" を紹介済みのポーランドの現代音楽家マルチン・スタンチクによるサウンドトラックCDです。そもそも標題現代音楽の様相を見せる楽風なので違和感はないでしょうし、米フィルム・ミュージックとは一味違うでしょうね。

映画「Dark, Almost Night」はポーランドの女性作家ヨアンナ・バトール(Joanna Bator)の小説 "Ciemno, prawie noc" を元にしたホラー作品で、台本はボリス・ランコシュ(Borys Lankosz)になります。




超あらすじ
ポーランドの小さな町で警察でも不可解な子供たちの誘拐事件が起こります。同郷のジャーナリストのAlicja Taborは調査を始めると数十年前の手掛かりを入手します。そこには性的虐待が絡み、彼女は自らの過去の恐怖、家族関係と直面する事となります。


なのですが、今回は映画のサウンドトラックではなく純粋の前衛現代音楽として聴いてみたいと思います。

演奏はシモン・ビヴァレツ(Szymon Bywalec)指揮, シンフォニア・ヴァルソヴィア(Sinfonia Varsovia)、ソプラノとリコーダー、トランペット、アコーディオンそしてキーボードがフィーチャーされています。







1. Into The Hole - 2. The House Of Alice - 3. Mark - 4. Adalbert - 5. Angelica - 6. Anna Alias Rosemarie - 7. Evas Lament - 8. Bad Love - 9. The Funeral Of Daisy - 10. Russians In Waldenburg - 11. Kalinka - 12. The Hole - 13. Mama - 14. Sea - 15. Alice

面白い事に1.11.の冒頭に邦楽和声を感じます。もちろんスタンチクは意識していないでしょう。そして1.では倍音の共鳴の様な中に不協和音的な音色が重なる音響的パートに繋がります。2.でも和音のロングトーンの中に調性を崩す音を挟んで不安定さを表現、3.はそこからメランコリックな動機の反復・変奏の流れに入って行きます。

5.では倍音の共鳴が唸るように響き、6.では調性+不協和音で不安定さを広げてポリフォニーな混沌へと流れ込みます。その後もヴォーカリーズを交えたり, 強音トゥッティを鳴らしたり, 重低音の振動を響かせて, と表現パターンを広げますね。ラスト15.はちょっとErik Satieを思わせます。
様々な音楽技法を使って情景表現をするのが感じられます。リコーダーとアコーディオンも効果的ですね。



調性と言う水面に不協和音の微水滴を落として広がる水紋の様な調性感の拡張が感じられます。(個人的にはもう少し調性を崩しても良いとは思いますが)

そして流れは時にメランコリックに、時に倍音共鳴の広がりに、そしてポリフォニーへと技巧的に展開されて表現力を広げていますね。

多様性の現代音楽で音楽だけを聴いても十分に楽しめます。映画はB級ホラーっぽい感じですが。



 ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ギーレン(Michael Gielen)のメシアン(Oliveir Messiaen)「忘れられた捧げ物 | ミのための詩 | クロノクロミー」


Les Offrandes Oubliées・Poèmes pour Mi・Chronochromie Oliveir Messiaen, 1908-1992
(ORF Vienna Radio Symphony Orchestra, Michael Gielen: cond.)
1991-1996年と少々古い録音ですが、ORFEOレーベルがリリースするギーレン/ORFウィーン放送響のシリーズ#5からメシアンの三曲ですね。

管弦楽集で初期の1. 2. 、そして音楽語法や鳥の鳴き声の採譜と言ったメシアン技法確立後の3.と言う構成です。
もちろんキーとなるのは"3. クロノクロミー"で、トータルセリエルからの決別ともなったメシアンのBirdsongの集大成で代表作ですね。時代は前衛が全盛を迎える時で、初演での評価が大きく分かれる事になったのは知られるところです。

今更ですが微妙な緩急をつけてくるギーレンが、どんなメシアンを聴かせてくれるか楽しみです。







1. 忘れられた捧げ物 (1930)
不協和音的な無調の澄んだ曲です。カオスな完全な無調ではなく、調性音楽をベースに崩している感じですね。美しい管弦楽のパートは新印象派と言った様な印象も受けます。調性の枠を広げる音楽ですね。
そこに強音ハードパート(トリオ?)が挟まれますが、これは調性。そんな習作的な楽曲です。ギーレンらしくコントラストの付け方は明確です。


2. ミのための詩 (1936)
ソプラノ(サラ・レオナルド, Sarah Leonard)が入ります。
sopは若干シュプレッヒゲザング風で、管弦楽はディズニーアニメと1.を混ぜた様な流れです。面白い反復が出てきたりはしますが、ほぼ調性で激しいパートはこの時代の表現主義的、軸は仏後期ロマン派とか新印象派とかそんな括りの範疇にあるかもしれません。


3. クロノクロミー (1960)
機能和声でキラキラとした煌めき、そしてBirdsongの旋律感、それらが組み合わされた いかにもメシアンと言う曲ですね。主題やメインとなる動機が存在しないのは今の時代のクラシック音楽の先鞭にもなるでしょう。ポリフォニカルなホモフォニーと言うのも同様です。
それをギーレンらしい出し入れの強さで躍動感を加えて煌めきを際立たせています。



前期作の1. 2.は透明感に、代表作3.はBirdsongに、それぞれメシアンらしい煌めきを再確認できますね。それこそがブーレーズにも渡された仏前衛にあるベースかもしれません。

もちろんベストトラックは3.で、ギーレンのタクトがキラキラ感を際立たせているのは言うまでもありません。この煌めきは一度聴く価値があります。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第2番 "復活"』ファン必見!! «web配信» 2022年エクサン・プロバンス音楽祭 エサ=ペッカ・サロネン指揮/パリ管


エサ=ペッカ・サロネン | パリ管弦楽団
(Esa-Pekka Salonen | Orchestre de Paris)
2022エクサン・プロバンス音楽祭(Festival d’Aix-en-Provence)で行われたマーラー2は前衛表現主義的な"復活"と言って良いでしょう。話題となったそのマーラー2が仏"ARTE Concert"から映像配信されています。

1988年以降使われていない落書きだらけの仏ヴィトロレス・スタジアム(Stadium de Vitrolles)でロメオ・カステルッチ(Romeo Castellucci)演出による前衛舞台を交えたインスタレーションの"復活"です。

描かれる世界はこれまでにない圧倒的な凄惨さです。あまりにグロテスクであり(集団墓地で死体が沢山出て来ます)、コロナ禍やマリウポリのロシア侵攻を象徴する意図も考慮されます。


演奏はサロネン指揮のパリ管、ソプラノはゴルダ・シュルツ(Golda Schultz)、アルトはマリアンヌ・クレバッサ(Marianne Crebassa)です。歌手/合唱/演奏陣はオケ・ピット、そしてamplificationされています。



▶️ ARTE Concert

ショッキングなシーンがあるので了解画面が出ます
配信予定は長く、現状2025/1/13までの様です






«web配信»【映像付き】
Mahler Symphony No. 2
"Resurrection"


mahler2-Aix-en-Provence2022.jpg
(写真はwebからお借りしました)
[Live at Stadium de Vitrolles, 4/7/10/11/13 Jul. 2022]


第一楽章 既に舞台は始まっています。
提示部第一主題は激しさをかなり抑えてスタート、葬送行進曲もブレーキを効かせています。第二主題は明るい光を差すようにですが殊更の明るさは控え、コデッタでまとまった力感を表現し葬送行進曲を鎮めて締め括ります。
展開部前半第二主題は緩やか、コデッタの山場は一楽章再現的。後半はスロー暗鬱、コラールの山場は行進曲風に激しさを加えて。
再現部は流れを明瞭に激しさと色合いを増して、コーダも提示部コデッタを強い鬱の流れで仕上げます。
抑えを効かしたハイコントラストな第一楽章です。


第二楽章へ入る間は十分な時間がとられ陰惨な舞台シーンに集中させられます。(ここで間を置く様にマーラーは指示しています)


第二楽章
主要主題は緩やかスローの演舞曲です。舞台との落差の大きさに寒気がする様です。トリオでも変化は低く演奏されて、回帰では濃厚さを増して進み深みのあるトーンを奏でます。完成度の高い楽章になっていますね。

第三楽章
主部は影を感じる様な『子供の不思議な角笛』で表情が濃いです。コーダ後半は引き締まったクールな仕上がりですね。

第四楽章
主部アルト「原光」は約束通り低く構えたトーンの素晴らしさ。中間部は哀愁感が"神のもとに帰る"気持ちをスローに浮かび立たせこの楽章らしさを表現します。


第五楽章
提示部第一主題は怒涛!! そしてhrの動機が山にこだまします。第二主題の"復活の動機"、そしてそこからの長く厄介な動機群の絡みは音色を煌めかせて表情が豊か。アゴーギクとディナーミクの素晴らしいコントラストはサロネンらしさを感じますね。
展開部"死者の行進"は強烈に軽快に勇壮に進みます。見事な構成ですね。ここからはこの曲の聴かせ場所ですから!!
再現部前半は各楽器は色濃く絡みます。合唱が静に厳かに現れて空気を変えるとaltoが "我が心を信じる様に" を切々と でも力を込め説得。sopも素晴らしい表現で続きます。sopとaltoは素晴らしいですね。ハイコントラストな男声合唱を踏み台にsop/alto重唱が "光へ向かう" 気持ちを切れ上がる様に歌い上げ、そこからは一気に怒涛の "Aufersteh'n" の山場を作り上げて感激のラストです!!


新しいマーラー2 "復活"で、まさに今の時代のインスタレーション前衛を下敷きにしていますね。

サロネンのタクトの完成度は高く、全ての楽章で表情が豊か。近年聴いた"復活"では最高の出来でしょう。(サロネンのマーラーはいずれもクールで好みです)

舞台は正視に耐えない陰惨さです。でもラストのクロプシュトックの賛歌『復活』はその歌詞を知れば一層の感動を味わえます。



パリ管は2022からクラウス・マケラが主席指揮者ですが、マケラは振りたかったのでは。ちなみにサロネンとは同郷でアシスタントも務めていましたね。 (大人気のマケラは2027からRCOの首席指揮者にもなるそうで大忙しです。いくつ掛け持ち?!)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
07 | 2022/08 | 09
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます